【解決手段】個片体形成装置EAは、膨張性微粒子SGが添加されている接着シートASを被着体WFに貼付するシート貼付手段10と、被着体WFに改質部MTを形成し、個片化予定領域WFPを被着体WFに形成する改質部形成手段20と、被着体WFに外力を付与し、当該被着体WFを個片化して個片体CPを形成する個片化手段30とを備え、シート貼付手段10は、第1膨張性微粒子SG1が添加された第1接着シートAS1を被着体WFに貼付する第1シート貼付手段10Aと、第2膨張性微粒子SG2が添加された第2接着シートAS2を第1接着シートAS1に重ねて貼付する第2シート貼付手段10Bとを有し、個片化手段30は、第1エネルギーIRを付与する第1個片化手段30Aと、第2エネルギーUVを付与する第2個片化手段30Bとを備える。
前記個片化手段によって変位される前の被着体部分が変位することを抑制する変位抑制手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の個片体形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、本実施形態におけるX軸、Y軸、Z軸は、それぞれが直交する関係にあり、X軸およびY軸は、所定平面内の軸とし、Z軸は、前記所定平面に直交する軸とする。さらに、本実施形態では、
図1(A)に示すY軸と平行な矢印BD方向から観た場合を基準とし、図を指定することなく方向を示した場合、「上」がZ軸の矢印方向で「下」がその逆方向、「左」がX軸の矢印方向で「右」がその逆方向、「前」がY軸と平行な
図1(A)中手前方向で「後」がその逆方向とする。
【0010】
本発明の個片体形成装置EAは、被着体としての半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」ともいう)WFを個片化して個片体としての半導体チップ(以下、単に「チップ」ともいう)CPを形成する装置であって、所定のエネルギーEGが付与されることで膨張する膨張性微粒子SGが添加されている接着シートASをウエハWFに貼付するシート貼付手段10と、ウエハWFに改質部MTを形成し、当該改質部MTで囲繞された個片化予定領域WFPをウエハWFに形成する改質部形成手段20と、ウエハWFに外力を付与し、改質部MTを起点として当該ウエハWFに亀裂CKを形成し、当該ウエハWFを個片化してチップCPを形成する個片化手段30と、ウエハWFと個片化手段30とを相対移動させる移動手段40と、個片化手段30によって変位される前のウエハWF部分が変位することを抑制する変位抑制手段50と、ウエハWFを搬送するウエハ搬送手段60とを備えている。
【0011】
シート貼付手段10は、第1エネルギーとしての赤外線IRで膨張する第1膨張性微粒子SG1が添加されている第1接着シートAS1をウエハWFに貼付する第1シート貼付手段10Aと、第2エネルギーとしての紫外線UVで膨張する第2膨張性微粒子SG2が添加されている第2接着シートAS2をウエハWFに貼付されている第1接着シートAS1に貼付する第2シート貼付手段10Bと、第1、第2シート貼付手段10A、10BとウエハWFとを相対移動させるシート貼付用移動手段10Cとを備えている。
なお、第1接着シートAS1は、第1基材BS1と第1接着剤層AL1とを備え、第1剥離シートRL1に仮着されることで第1原反RS1とされ、第1接着剤層AL1のみに第1膨張性微粒子SG1が添加されたものが採用されている。また、第2接着シートAS2は、第2基材BS2と第2接着剤層AL2とを備え、第2剥離シートRL2に仮着されることで第2原反RS2とされ、第2接着剤層AL2のみに第2膨張性微粒子SG2が添加されたものが採用されている。
【0012】
第1シート貼付手段10Aは、第1原反RS1を支持する支持ローラ11と、第1原反RS1を案内するガイドローラ12と、剥離縁13Aで第1剥離シートRL1を折り曲げて当該第1剥離シートRL1から第1接着シートAS1を剥離する剥離手段としての剥離板13と、ウエハWFに第1接着シートAS1を押圧して貼付する押圧手段としての押圧ローラ14と、駆動機器としての回動モータ15Aの図示しない出力軸に支持され、ピンチローラ15Bとで第1剥離シートRL1を挟み込む駆動ローラ15と、ピンチローラ15Bとの間に存在する第1剥離シートRL1に常に所定の張力を付与して当該第1剥離シートRL1を回収する回収手段としての回収ローラ16とを備えている。
第2シート貼付手段10Bは、第2原反RS2から第2接着シートAS2を剥離して当該第2接着シートAS2をウエハWFに貼付された第1接着シートAS1に押圧して貼付するものであり、その構成は、第1シート貼付手段10Aと同等なので、その説明は省略する。
シート貼付用移動手段10Cは、駆動機器としてのリニアモータ17のスライダ17Aに支持され、減圧ポンプや真空エジェクタ等の図示しない減圧手段(保持手段)によって吸着保持が可能な支持面18Aを有するウエハ搬送テーブル18と、ウエハ搬送テーブル18内に配置され、リフト台19Aを昇降させる駆動機器としての直動モータ19とを備えている。なお、リフト台19Aは、減圧ポンプや真空エジェクタ等の図示しない減圧手段(保持手段)によって吸着保持が可能な支持面19Bを備えている。
【0013】
改質部形成手段20は、複数のアームによって構成され、その作業範囲内において、作業部である先端アーム21Aで支持したものを何れの位置、何れの角度にでも変位可能な駆動機器としての所謂多関節ロボット21と、多関節ロボット21の先端アーム21Aが嵌り込み、当該多関節ロボット21に保持されるレーザ保持部22Aを有するレーザ用ブラケット22と、レーザ用ブラケット22に支持され、ウエハWFにレーザLSを照射し、改質部MTを形成するレーザ照射機23とを備え、第1方向としてのY軸方向に沿う第1改質部MTYと、Y軸方向に交差する第2方向としてのX軸方向に沿う第2改質部MTXとを形成し、第1改質部MTYと第2改質部MTXとで囲繞された個片化予定領域WFPを形成するように構成されている。なお、多関節ロボット21は、例えば、特開2016−81974に例示されている多関節ロボット111等が例示できる。
【0014】
個片化手段30は、赤外線IRを付与する第1個片化手段30Aと、紫外線UVを付与する第2個片化手段30Bと、赤外線IRおよび紫外線UVを透過可能な支持テーブル34とを備えている。なお、支持テーブル34は、減圧ポンプや真空エジェクタ等の図示しない減圧手段(保持手段)によって吸着保持が可能な支持面34Aを備えている。
第1個片化手段30Aは、移動手段40に支持された第1光源ボックス31Aと、第1光源ボックス31A内に支持され、赤外線IRを発光する第1発光源32Aと、当該第1発光源32Aで発光した赤外線IRを集光させる第1集光板33Aとを備え、第1接着シートAS1に対して部分的に赤外線IRを付与し、当該赤外線IRが付与された第1接着シート部分AS1Pに添加されている第1膨張性微粒子SG1を膨張させ、当該第1接着シート部分AS1Pに貼付されている個片化予定領域WFPを変位させる構成となっている。
第2個片化手段30Bは、移動手段40に支持された第2光源ボックス31Bと、第2光源ボックス31B内に支持され、紫外線UVを発光する第2発光源32Bと、当該第2発光源32Bで発光した紫外線UVを集光させる第2集光板33Bとを備え、第2接着シートAS2に対して部分的に紫外線UVを付与し、当該紫外線UVが付与された第2接着シート部分AS2Pに添加されている第2膨張性微粒子SG2を膨張させ、第1接着シートAS1を介して当該第2接着シート部分AS2Pに貼付されている個片化予定領域WFPを変位させる構成となっている。
なお、個片化手段30は、赤外線IRを付与した位置に、当該赤外線IRの付与領域が所定の方向に延びる第1ライン状付与領域LG1を形成し、さらに、紫外線UVを付与した位置に、当該紫外線UVの付与領域が所定の方向に延びる第2ライン状付与領域LG2を形成する構成となっている。
【0015】
移動手段40は、駆動機器としての回動モータ41と、その出力軸41Aに支持され、第1、第2光源ボックス31A、31Bをそのスライダ42Aで支持する駆動機器としてのリニアモータ42とを備え、個片化手段30が形成した第1ライン状付与領域LG1をY軸方向と平行となるように移動させ、さらに、第2ライン状付与領域LG2をX軸方向と平行となるように移動させる構成となっている。
【0016】
変位抑制手段50は、改質部形成手段20と共用される多関節ロボット21と、多関節ロボット21の先端アーム21Aが嵌り込み、当該多関節ロボット21に保持される押え板保持部51Aを有する押え板51とを備えている。
【0017】
ウエハ搬送手段60は、改質部形成手段20および変位抑制手段50と共用される多関節ロボット21と、多関節ロボット21の先端アーム21Aが嵌り込み、当該多関節ロボット21に保持される吸着アーム保持部61Aを有し、減圧ポンプや真空エジェクタ等の図示しない減圧手段によって吸着保持が可能な保持手段としての吸着アーム61とを備えている。
【0018】
以上の個片体形成装置EAの動作を説明する。
先ず、
図1(A)中実線で示す初期位置に各部材が配置された個片体形成装置EAに対し、当該個片体形成装置EAの使用者(以下、単に「使用者」という)が
図1(B)のように第1、第2原反RS1、RS2をそれぞれ第1、第2シート貼付手段10A、10Bにセットした後、操作パネルやパーソナルコンピュータ等の図示しない操作手段を介して運転開始の信号を入力する。すると、第1、第2シート貼付手段10A、10Bが各回動モータ15Aを駆動し、第1、第2原反RS1、RS2を繰り出して先頭の第1、第2接着シートAS1、AS2の繰出方向先端部が各剥離板13の剥離縁13Aで第1、第2剥離シートRL1、RL2から所定長さ剥離されると、各回動モータ15Aの駆動を停止する。一方、個片体形成装置EAに運転開始の信号が入力されると、ウエハ搬送手段60が多関節ロボット21を駆動し、先端アーム21Aを吸着アーム保持部61Aに嵌め込んで多関節ロボット21で吸着アーム61を保持する。
【0019】
次いで、使用者または多関節ロボットやベルトコンベア等の図示しない搬送手段が、
図1(A)、(B)中実線で示すように、ウエハWFをウエハ搬送テーブル18上に載置すると、シート貼付手段10が図示しない減圧手段を駆動し、支持面18A、19BでのウエハWFの吸着保持を開始する。その後、シート貼付手段10がリニアモータ17を駆動し、ウエハ搬送テーブル18を左方へ移動させ、ウエハWFが第1シート貼付手段10Aに対する所定の位置に到達すると、当該第1シート貼付手段10Aが回動モータ15Aを駆動し、ウエハWFの移動速度に合わせて第1原反RS1を繰り出す。これにより、第1接着シートAS1は、
図1(B)中二点鎖線で示すように、剥離板13の剥離縁13Aで第1剥離シートRL1から剥離されつつ、押圧ローラ14によってウエハWFの上面に押圧されて貼付される。第1接着シートAS1全体がウエハWFに貼付された後、次の第1接着シートAS1の繰出方向先端部が剥離板13の剥離縁13Aで第1剥離シートRLから所定長さ剥離されると、第1シート貼付手段10Aが回動モータ15Aの駆動を停止する。
【0020】
その後もウエハ搬送テーブル18の左方への移動が続行され、ウエハWFが第2シート貼付手段10Bに対する所定の位置に到達すると、当該第2シート貼付手段10Bが回動モータ15Aを駆動し、ウエハWFの移動速度に合わせて第2原反RS2を繰り出す。これにより、第2接着シートAS2は、
図1(B)中二点鎖線で示すように、剥離板13の剥離縁13Aで第2剥離シートRL2から剥離されつつ、ウエハWFに貼付されている第1接着シートAS1の上面に押圧ローラ14によって押圧されて貼付される。第2接着シートAS2全体がウエハWFに貼付されている第1接着シートAS1に貼付された後、次の第2接着シートAS2の繰出方向先端部が剥離板13の剥離縁13Aで第2剥離シートRL2から所定長さ剥離されると、第2シート貼付手段10Bが回動モータ15Aの駆動を停止する。
【0021】
次に、第1、第2接着シートAS1、AS2全体が貼付されたウエハWFが第2シート貼付手段10Bの押圧ローラ14の左方の所定位置に到達すると、シート貼付手段10がリニアモータ17の駆動を停止した後、図示しない減圧手段の駆動を停止し、支持面18AでのウエハWFの吸着保持を解除する。そして、シート貼付手段10が直動モータ19を駆動し、
図1(B)中二点鎖線で示すように、リフト台19Aを上昇させてウエハWFを支持面18Aから離間させると、ウエハ搬送手段60が多関節ロボット21を駆動し、ウエハWFの下面に吸着アーム61を当接させた後、図示しない減圧手段を駆動し、吸着アーム61でのウエハWFの吸着保持を開始する。次いで、シート貼付手段10が図示しない減圧手段の駆動を停止し、支持面19BでのウエハWFの吸着保持を解除すると、ウエハ搬送手段60が多関節ロボット21を駆動し、第1、第2接着シートAS1、AS2が貼付されたウエハWFを支持面19Bから離間させた後、シート貼付手段10がリニアモータ17および直動モータ19を駆動し、ウエハ搬送テーブル18およびリフト台19Aを初期位置に復帰させる。
【0022】
その後、ウエハ搬送手段60が多関節ロボット21を駆動し、吸着アーム61を天地反転させ、第1、第2接着シートAS1、AS2が貼付されたウエハWFの第2接着シートAS2側を支持テーブル34上に載置すると、個片化手段30が図示しない減圧手段を駆動し、支持面34AでのウエハWFの吸着保持を開始する。次に、ウエハ搬送手段60が図示しない減圧手段の駆動を停止し、吸着アーム61でのウエハWFの吸着保持を解除した後、多関節ロボット21を駆動し、吸着アーム61を初期位置に復帰させ、先端アーム21Aを吸着アーム保持部61Aから抜き取り、当該先端アーム21Aをレーザ保持部22Aに嵌め込んで多関節ロボット21でレーザ照射機23を保持する。そして、改質部形成手段20が多関節ロボット21およびレーザ照射機23を駆動し、レーザ照射機23を前後方向に移動させ、
図2(A)に示すように、ウエハWFに第1改質部MTYを形成した後、レーザ照射機23を左右方向に移動させ、
図2(B)に示すように、ウエハWFに第2改質部MTXを形成し、個片化予定領域WFPを形成する。次いで、改質部形成手段20が多関節ロボット21を駆動し、レーザ照射機23を初期位置に復帰させた後、先端アーム21Aをレーザ保持部22Aから抜き取り、当該先端アーム21Aを押え板保持部51Aに嵌め込んで多関節ロボット21で押え板51を保持する。
【0023】
その後、個片化手段30および移動手段40が第1発光源32Aおよびリニアモータ42を駆動し、Y軸方向に延びる第1ライン状付与領域LG1を形成した後、
図2(C)に示すように、第1光源ボックス31Aを左方から右方に向けて移動させ、第1ライン状付与領域LG1をY軸方向と平行な状態で移動させる。すると、赤外線IRが付与された第1接着シート部分AS1Pに添加されている第1膨張性微粒子SG1が同図に示すように次々に膨張し、第1接着剤層AL1に無数の凸部CVが形成される。これにより、ウエハWFは、左方から右方に向けて次々に部分的に持ち上げられて変位し、第1改質部MTYが起点となってY軸方向に延びる亀裂CKYが形成され、Y軸方向に延びる短冊状のウエハWFSとなる。なお、上記のようにして亀裂CKYを形成する際、変位抑制手段50が多関節ロボット21を駆動し、変位させたくない個片化予定領域WFP上に押え板51を配置させ、改質部MTを起点とした亀裂CKの形成ができなくなることを防止する。
【0024】
次に、第1光源ボックス31AがウエハWFの右端部の右方所定位置に到達すると、個片化手段30および移動手段40が第1発光源32Aおよびリニアモータ42の駆動を停止した後、移動手段40が回動モータ41を駆動し、個片化手段30をXY平面内で上面視反時計回転方向に90度回転移動させる。そして、個片化手段30および移動手段40が第2発光源32Bおよびリニアモータ42を駆動し、X軸方向に延びる第2ライン状付与領域LG2を形成した後、
図2(D)に示すように、第2光源ボックス31Bを後方から前方に向けて移動させ、第2ライン状付与領域LG2をX軸方向と平行な状態で移動させる。すると、紫外線UVが付与された第2接着シート部分AS2Pに添加されている第2膨張性微粒子SG2が同図に示すように次々に膨張し、第2接着剤層AL2に無数の凸部CVが形成される。これにより、短冊状のウエハWFSは、後方から前方に向けて次々に部分的に持ち上げられて変位し、第2改質部MTXが起点となってX軸方向に延びる亀裂CKXが形成され、当該亀裂CKXと先に形成されていた亀裂CKYとで複数のチップCPとなる。このときも、変位抑制手段50が多関節ロボット21を駆動し、変位させたくない個片化予定領域WFPを押え板51で押さえておく。
【0025】
次いで、第2光源ボックス31BがウエハWFの前端部の前方所定位置に到達すると、個片化手段30が第2発光源32Bの駆動を停止した後、移動手段40が回動モータ41およびリニアモータ42を駆動し、第1、第2光源ボックス31A、31Bを初期位置に復帰させる。その後、変位抑制手段50が多関節ロボット21を駆動し、押え板51を初期位置に復帰させた後、先端アーム21Aを押え板保持部51Aから抜き取り、当該先端アーム21Aを含む各アームを初期位置に復帰させる。次に、ピックアップ装置や保持装置等の図示しないチップ搬送手段や使用者が、全てのチップCPまたは所定数のチップCPを第1接着シートAS1から取り外し、当該チップCPを別の工程に搬送すると、個片化手段30が図示しない減圧手段の駆動を停止し、支持面34Aでの第2接着シートAS2の吸着保持を解除した後、使用者または図示しない除去手段が支持テーブル34上から第1、第2接着シートAS1、AS2を除去し、以降上記同様の動作が繰り返される。
【0026】
以上のような実施形態によれば、接着シートASに添加されている膨張性微粒子SGを膨張させることで、個片化予定領域WFPを変位させてチップCPを形成するので、接着シートASに張力を極力付与することなくウエハWFを個片化してチップCPを形成することができる。
【0027】
本発明における手段および工程は、それら手段および工程について説明した動作、機能または工程を果たすことができる限りなんら限定されることはなく、まして、前記実施形態で示した単なる一実施形態の構成物や工程に全く限定されることはない。例えば、改質部形成手段は、被着体に改質部を形成し、当該改質部で囲繞または当該改質部と被着体の外縁とで囲繞された個片化予定領域を被着体に形成可能なものであれば、出願当初の技術常識に照らし合わせ、その技術範囲内のものであればなんら限定されることはない(その他の手段および工程も同じ)。
【0028】
シート貼付手段10は、第1、第2剥離シートRL1、RL2に仮着された帯状の接着シート基材に閉ループ状または短寸幅方向全体の切込が形成されることで、その切込で仕切られた所定の領域が第1、第2接着シートAS1、AS2とされた第1、第2原反RS1、RS2を繰り出してもよいし、帯状の接着シート基材が第1、第2剥離シートRL1、RL2に仮着された第1、第2原反RS1、RS2を採用し、接着シート基材に閉ループ状または短寸幅方向全体の切込を切断手段で形成し、その切込で仕切られた所定の領域を第1、第2接着シートAS1、AS2としてもよいし、支持ローラ11やガイドローラ12等の各ローラの代わりに、板状部材やシャフト部材等で第1、第2原反RS1、RS2や第1、第2剥離シートRL1、RL2を支持したり案内したりしてもよいし、第1、第2原反RS1、RS2を巻回することなく例えばファンフォールド折りにして支持してもよいし、回収手段は、巻回することなく例えばファンフォールド折りにして第1、第2剥離シートRL1、RL2を回収してもよいし、シュレッダ等で切り刻んだりして回収してもよいし、巻回したりファンフォールド折りにしたりすることなく単に集積して回収してもよいし、剥離板13で剥離された第1、第2接着シートAS1、AS2を接着面の反対から保持部材で保持し、保持した第1、第2接着シートAS1、AS2をウエハWFに押圧して貼付する駆動機器を備えた第1、第2シート貼付手段10A、10Bを採用してもよいし、第1、第2シート貼付手段10A、10Bに対してウエハWFを往復移動させ、1つのウエハWFに対して第1、第2接着シートAS1、AS2のうち少なくとも一方を複数枚貼付してもよいし、ウエハWFを移動させずにまたは移動させつつ、第1、第2シート貼付手段10A、10Bを移動させ、当該ウエハに接着シートASを貼付してもよいし、支持面18A、19Bに保持手段がなくてもよいし、天地反転して配置したり横向きに配置したりして、第1、第2接着シートAS1、AS2をウエハWFに貼付してもよいし、リニアモータ17およびウエハ搬送テーブル18の代わりに、多関節ロボット21でウエハWFを保持して移動させることで当該ウエハWFに第1、第2接着シートAS1、AS2を貼付してもよいし、第1、第2シート貼付手段10A、10Bが全く同じ構成でもよいし、相互に異なる構成でもよいし、押圧ローラ14をウエハWFに離間接近させる押圧部材接離手段としての駆動機器を採用し、ウエハWFにストレスがかかったり損傷したりすることを防止するようにしてもよいし、他の装置でウエハWFを移動させる場合、シート貼付用移動手段10Cが備わっていなくてもよい。
【0029】
改質部形成手段20は、レーザ照射機23を移動させずにまたは移動させつつ、ウエハWFを移動させて当該ウエハWFに改質部MTを形成してもよいし、X軸またはY軸と平行な1本または複数本の改質部MTを形成してもよいし、X軸またはY軸と平行でない1本または複数本の改質部MTを形成してもよいし、相互に等間隔または不等間隔な複数本の改質部MTを形成してもよいし、相互に平行または平行でない複数本の改質部MTを形成してもよいし、相互に交差しない複数本の改質部MTを形成してもよいし、相互に直交または斜交する複数本の改質部MTを形成してもよいし、第1、第2方向以外に、その他の1または2以上の方向それぞれに1本または複数本の改質部MTを形成してもよいし、曲線状または折線状の1本または複数本の改質部MTを形成してもよく、そのような改質部MTによって形成される個片化予定領域WFPやチップCPの形状は、円形、楕円形、三角形または四角形以上の多角形等、どのような形状でもよい。
改質部形成手段20は、レーザ光、電磁波、振動、熱、薬品、化学物質等の付与によって、ウエハWFの特性、特質、性質、材質、組成、構成、寸法等を変更することで、ウエハWFを脆弱化、粉砕化、液化または空洞化して改質部MTを形成してもよく、このような改質部MTは、膨張性微粒子SGの膨張を外力とし、被着体を個片化して個片体を形成することができればどのようなものでもよい。
改質部形成手段20は、変位抑制手段50やウエハ搬送手段60と共用することのない駆動機器でレーザ照射機23を保持して移動させる構成でもよいし、ウエハWFに改質部MTが形成され、当該改質部MTで囲繞または当該改質部MTとウエハWFの外縁とで囲繞された個片化予定領域WFPが予め形成されている場合、本発明の個片体形成装置EAに備わっていなくてもよいし、備わっていてもよい。
【0030】
個片化手段30は、
図3(A)に示すように、第1接着シートAS1または第2接着シートAS2全体に一括で赤外線IRまたは紫外線UVを付与可能な第1、第2発光源35A、35Bと、当該第1、第2発光源35A、35Bで発光した赤外線IRまたは紫外線UVを反射させる反射板36と、反射板36の上部の開口部36Aを開閉可能な開閉板37とで構成してもよい。この場合、第1発光源35Aを駆動して赤外線IRを発光し、開口部36Aを開閉板37で全閉にした状態から当該開閉板37を左方から右方に向けて徐々に移動させ、
図3(A−1)に示すように、左方から右方に向けて次々に亀裂CKYを形成し、Y軸方向に延びる短冊状のウエハWFSを形成する。次いで、第1発光源35Aの駆動を停止して開口部36Aを開閉板37で全閉にした後、個片化手段30をXY平面内で上面視反時計回転方向に90度回転移動させる。その後、第2発光源35Bを駆動して紫外線UVを発光し、開閉板37を後方から前方に向けて徐々に移動させ、
図3(A−2)に示すように、後方から前方に向けて次々に亀裂CKXを形成し、亀裂CKXと亀裂CKYとでチップCPを形成してもよい。
個片化手段30は、開閉板37の代わりに、
図3(B−1)、(B−2)に示すように、第1、第2発光源35A、35Bが発光した赤外線IRまたは紫外線UVで第1、第2ライン状付与領域LG1、LG2を形成するスリット38Aを備えた移動板38を採用してもよいし、スリット38Aには、赤外線IRまたは紫外線UVを集光させたり平行光としたりするレンズを設けてもよいし、開閉板37や移動板38を例えば支持テーブル34側に設けてもよい。
個片化手段30は、第1、第2集光板33A、33Bや反射板36がなくてもよいし、第1、第2集光板33A、33Bの代わりにまたは第1、第2集光板33A、33Bと併用し、赤外線IRまたは紫外線UVを集光させたり平行光としたりするレンズを設けてもよいし、第1、第2膨張性微粒子SG1、SG2の特性、特質、性質、材質、組成および構成等を考慮して、第1接着シートAS1や第2接着シートAS2に赤外線IRまたは紫外線UVを照射する時間を任意に決定することができるし、第1、第2発光源32A、32B、35A、35Bとして、LED(Light Emitting Diode、発光ダイオード)ランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ等何を採用したり、それらを適宜に組み合わせたものを採用したりしてもよいし、エネルギーとしてレーザ光、電磁波、振動、熱、薬品、化学物質等を付与するものを採用したり、それらを適宜に組み合わせたものを採用したりしてもよく、第1、第2膨張性微粒子SG1、SG2の特性、特質、性質、材質、組成および構成等を考慮して任意の構成を採用することができるし、第1、第2接着シートAS1、AS2が貼付されたウエハWFの当該ウエハWF側を支持テーブル34上に載置し、支持テーブル34の反対側から赤外線IRや紫外線UVを照射してもよいし、被着体が所定のエネルギーを透過可能なものの場合、当該所定のエネルギーを被着体側から付与してもよいし、接着シートAS側から付与してもよいし、被着体側と接着シートAS側との両方から付与してもよい。
個片化手段30は、前記実施形態では、第1、第2ライン状付与領域LG1、LG2を形成して第1接着シートAS1や第2接着シートAS2に対して部分的に赤外線IRまたは紫外線UVを付与したが、赤外線IRまたは紫外線UVの付与領域が点状となる点状付与領域を形成し、第1接着シートAS1や第2接着シートAS2に対して部分的に赤外線IRまたは紫外線UVを付与したり、個片化予定領域WFPの平面形状に対応した面状付与領域または、個片化予定領域WFPの平面形状に対応していない面状付与領域を形成して第1接着シートAS1や第2接着シートAS2に対して部分的に赤外線IRまたは紫外線UVを付与したりしてもよいし、例えば、任意の位置の個片化予定領域WFPの1つまたは複数の区画に対応する第1接着シート部分AS1Pや第2接着シート部分AS2Pだけに赤外線IRまたは紫外線UVを付与し、当該第1接着シート部分AS1Pや第2接着シート部分AS2Pに貼付されている1つまたは複数の区画からなる個片化予定領域WFPを変位させてチップCPを形成してもよい。
支持テーブル34は、保持手段がなくてもよいし、被着体が所定のエネルギーを透過不可能なものであれば、当該所定のエネルギーを透過可能なもので構成すればよいし、被着体が所定のエネルギーを透過可能なものであれば、当該所定のエネルギーを透過不可能なもので構成してもよいし、透過可能なもので構成してもよいし、多関節ロボット21でウエハWFを保持する場合や、他の装置でウエハWFを支持する場合、本発明の個片体形成装置EAに備わっていなくてもよい。
【0031】
移動手段40は、
図3(C)に示すように、第1改質部MTYおよび第2改質部MTXに斜交する第1ライン状付与領域LG1および第2ライン状付与領域LG2(不図示)をウエハWFの一端から他端に向けて同時に移動させることで、第1、第2改質部MTY、MTXの両方を起点として亀裂CKY、CKXを同時に形成し、チップCPを形成してもよい(
図3(C)には、ウエハWFに貼付されている第1、第2接着シートAS1、AS2は不図示)。なお、この場合の斜交角度は、例えば、X軸やY軸に対して1度、5度、10度、45度、60度、89度等、どのような角度でもよい。
移動手段40は、1つの駆動機器(例えばリニアモータ)の別々の出力部(例えばスライダ)で第1、第2光源ボックス31A、31Bを個別に支持してもよいし、別々の駆動機器のそれぞれの出力部で第1、第2光源ボックス31A、31Bを個別に支持してもよいし、個片化手段30を移動させずにまたは移動させつつ、ウエハWFを移動させ、個片化手段30に対してウエハWFをXY平面内で上面視反時計回転方向に90度回転移動させたり、第1ライン状付与領域LG1をY軸方向と平行となるように移動させたり、第2ライン状付与領域LG2をX軸方向と平行となるように移動させたりしてもよいし、第1、第2ライン状付与領域LG1、LG2をX軸やY軸方向と平行とならないように移動させてもよいし、個片化手段30およびウエハWFの少なくとも一方を右方から左方に向けて移動させてもよいし、個片化手段30およびウエハWFの少なくとも一方を前方から後方に向けて移動させてもよいし、個片化手段30およびウエハWFの少なくとも一方をその他の方向から別の方向に向けて移動させてもよいし、個片化手段30およびウエハWFの少なくとも一方をXY平面内で上面視時計回転方向に90度回転移動させてもよいし、個片化手段30およびウエハWFの少なくとも一方をXY平面内で90度以下または90度以上回転移動させてもよいし、本発明の個片体形成装置EAを構成する構成物として備わっていてもよいし、他の装置で個片化手段30およびウエハWFの少なくとも一方を移動させる場合、本発明の個片体形成装置EAに備わっていなくてもよいし、例えば、ウエハWFの1箇所だけに個片化予定領域WFPが形成されており、個片化手段30がこの個片化予定領域WFPの平面形状に対応または対応していない面状付与領域を形成し、接着シートASに対して部分的に赤外線IRや紫外線UVを付与して1つのチップCPを形成する場合等においても、本発明の個片体形成装置EAに備わっていなくてもよい。
【0032】
変位抑制手段50は、変位させたくない個片化予定領域WFP上に押え板51を当接させてもよいし、当接させなくてもよいし、気体の吹き付けにより、個片化手段30によって変位される前のウエハWFが変位することを抑制したり、プーリとベルトとで個片化手段30によって変位される前のウエハWFが変位することを抑制したりする他の構成を採用してもよいし、改質部形成手段20やウエハ搬送手段60と共用することのない駆動機器で押え板51を保持して移動させる構成でもよいし、押え板51を一方向(例えば左右方向)に移動させる駆動機器と、他の押え板を他方向(例えば前後方向)に移動させる別の駆動機器とを採用してもよいし、本発明の個片体形成装置EAに備わっていなくてもよい。
【0033】
ウエハ搬送手段60は、改質部形成手段20や変位抑制手段50と共用することのない駆動機器で吸着アーム61を保持して移動させる構成でもよいし、接着シートASが貼付されたウエハWFを他の装置で移動させる場合、本発明の個片体形成装置EAに備わっていなくてもよい。
【0034】
シート貼付手段10は、第1エネルギーとしての80℃の熱エネルギーで膨張する第1膨張性微粒子SG1が添加されている第1接着シートAS1を、ウエハWFに貼付する第1シート貼付手段10Aと、第2エネルギーとしての120℃の熱エネルギーで膨張する第2膨張性微粒子SG2が添加されている第2接着シートAS2を、ウエハWFに貼付された第1接着シートAS1に貼付する第2シート貼付手段10Bとを採用してもよい。この場合、上記実施形態と同様の動作で、個片化手段30が第1個片化手段30Aで80℃の熱エネルギーを付与し、第1改質部MTYを起点として亀裂CKYを形成した後、第2個片化手段30Bで120℃の熱エネルギーを付与して第2改質部MTXを起点として亀裂CKXを形成してチップCPを形成することができる。なお、第1エネルギーや第2エネルギーは、何度の熱エネルギーでもよいし、膨張性微粒子SGが、第1、第2エネルギー以外の他の温度の熱エネルギーで膨張する他の膨張性微粒子を有する場合、個片化手段30は、他の温度の熱エネルギーを付与する他の個片化手段を増設することができる。
所定のエネルギーEGとしての第1エネルギーと第2エネルギーとの組み合わせは、赤外線、紫外線、可視光線、音波、X線またはガンマ線等の電磁波や、熱湯や熱風等、第1、第2接着シートAS1、AS2に添加されている第1、第2膨張性微粒子SG1、SG2の組み合わせによってどのような組み合わせでもよいし、第1、第2エネルギー以外の他のエネルギーで膨張する他の膨張性微粒子が添加されている接着シートASが採用された場合、当該他のエネルギーを付与する他の個片化手段を増設することができる。
さらに、前記実施形態では、ウエハWFの一端から他端に向けて徐々に第1、第2ライン状付与領域LG1、LG2を移動させたが、改質部MTが形成されている位置のみに第1、第2ライン状付与領域LG1、LG2が位置するように個片化手段30を移動させ、改質部MTを起点として亀裂CKを形成したり、第1、第2発光源32A、32B、35A、35Bを消灯させておき、改質部MTが形成されている位置に第1、第2ライン状付与領域LG1、LG2が位置するように個片化手段30やスリット38Aを移動させてから第1、第2発光源32A、32B、35A、35Bを駆動し、改質部MTを起点として亀裂CKを形成したりしてもよい。
また、接着シートASとして、紫外線、可視光線、音波、X線またはガンマ線等の電磁波や、熱湯や熱風等の熱を所定のエネルギーとして膨張する膨張性微粒子SGが添加されているものが採用されてもよく、個片化手段30は、それら膨張性微粒子SGの特性、特質、性質、材質、組成および構成等を考慮して当該膨張性微粒子SGを膨張させ、被着体を個片化して個片体を形成できればよい。
個片体形成装置EAは、第1接着シートAS1からチップCPを取り外すことなく、搬送手段や使用者が第1、第2接着シートAS1、AS2ごとチップCPを別の工程に搬送するものでもよい。
【0035】
接着シートASは、当該接着シートASを構成する基材(第1基材BS1、第2基材BS2)のみに膨張性微粒子SGが添加されているものが採用されてもよいし、接着剤層(第1接着剤層AL1、第2接着剤層AL2)と基材との両方に膨張性微粒子SGが添加されているものが採用されてもよいし、接着剤層と基材との中間に中間層が存在し、当該中間層、接着剤層および基材のうち少なくとも1つまたは少なくとも2つに膨張性微粒子SGが添加されているものが採用されてもよいし、ウエハWFにおける回路が形成された面に貼付されてもよいし、回路が形成されていない面に貼付されてもよいし、ウエハWFの両面に貼付されてもよく、このように、ウエハWFの両面に接着シートASが貼付される場合、それら接着シートASは、同一のものでもよいし、同一でないものでもよいし、一方の接着シートには、膨張性微粒子SGが添加されていなくてもよいし、支持面18A、19Bに当接する面に予め接着シートASまたは接着シートASとは異なる接着シートが貼付されていてもよい。なお、個片化手段30でチップCPを形成する際、邪魔な接着シートは、当該個片化手段30で外力を付与する前に、公知のシート剥離手段でウエハWFから剥離してもよい。
個片体は、チップCPに限らず、例えば、短冊状のウエハWFSでもよく、この場合の個片化予定領域は、第1改質部MTYとウエハWFの外縁とで囲繞された領域となり、移動手段40は、個片化手段30が形成した第1、第2ライン状付与領域LG1、LG2を1つの方向(例えばY軸、X軸またはその他の方向)に移動させるだけでよい。
被着体が予め短冊状のウエハWFSのようなものであれば、移動手段40は、個片化手段30が形成した第1、第2ライン状付与領域LG1、LG2を1つの方向(例えばY軸、X軸またはその他の方向)にだけ移動させてチップCPを形成してもよい。
個片化予定領域は、改質部MTとウエハWFの外縁とで囲繞されたものでもよく、このような個片化予定領域から形成される個片体は、例えば、X軸と平行な1つの辺とY軸と平行な1つの辺とウエハWFの外縁とで形成される略扇状のものや、X軸と平行な2つの辺とY軸と平行な1つの辺とウエハWFの外縁とで形成される形状のもの等、どのような形状のものでもよい。
膨張性微粒子SGは、例えば、イソブタン、プロパン、ペンタンなどの加熱によって容易にガス化して膨張する物質が弾性を有する殻内に内包された微粒子等が例示でき、特願2017−73236、特開2013−159743、特開2012−167151、特開2001−123002等で開示されている熱発泡性微粒子や、特開2013−47321、特開2007−254580、特開2011−212528、特開2003−261842等で開示されている膨張性微粒子等、何ら限定されるものではなく、例えば、熱分解して、水、炭酸ガス、窒素を発生させて膨張性微粒子と類似の効果を奏する発泡剤を採用してもよいし、特開2016−53115、特開平7−278333で開示されている紫外線により気体を発生するアゾ化合物等の気体発生剤で殻を膨張させるものでもよいし、例えば、加熱によって膨張するゴムや樹脂等でもよいし、その他、重曹、炭酸水素ナトリウム、ベーキングパウダ等でもよい。
ウエハWFは、一方の面および他方の面のうち少なくとも一方に所定の回路が形成されていてもよいし、それら両方に回路が形成されていなくてもよい。
接着シートASは、無数の凸部CVが形成されることで、チップCPとの接着領域が減少して当該チップCPとの接着力が減少してもよいし、チップCPとの接着力が減少しなくてもよく、チップCPとの接着力を減少させて当該チップCPの取り外しを容易にするために、例えば、赤外線、紫外線、可視光線、音波、X線またはガンマ線等の電磁波や、熱湯や熱風等の接着力低減エネルギーによって、接着剤層ALの接着力が低減するものを採用してもよい。この場合、接着力低減エネルギーを照射する接着力低減エネルギー付与手段を採用し、チップCPを接着シートASから取り外す前段で、当該接着シートASに接着力低減エネルギーを照射するようにすればよい。
【0036】
本発明の個片体形成装置EAは、ウエハWFを所定の厚みにまで研削(研磨)する公知の研削(研磨)手段が備わっていてもよいし、チップCPを接着シートASから取り外す公知のピックアップ手段が備わっていてもよいし、接着シートASから取り外したチップCPを基板や載置台等の他の部材に接着する公知の接着手段が備わっていてもよい。
【0037】
本発明における接着シートASおよび被着体の材質、種別、形状等は、特に限定されることはない。例えば、接着シートASは、円形、楕円形、三角形や四角形等の多角形、その他の形状であってもよいし、感圧接着性、感熱接着性等の接着形態のものであってもよく、感熱接着性の接着シートASが採用された場合は、当該接着シートASを加熱する適宜なコイルヒータやヒートパイプの加熱側等の加熱手段を設けるといった適宜な方法で接着されればよい。また、このような接着シートASは、例えば、接着剤層ALだけの単層のもの、基材BSと接着剤層ALとの間に中間層を有するもの、基材BSの上面にカバー層を有する等3層以上のもの、更には、基材BSを接着剤層ALから剥離することのできる所謂両面接着シートのようなものであってもよく、両面接着シートは、単層又は複層の中間層を有するものや、中間層のない単層又は複層のものであってよい。また、被着体としては、例えば、食品、樹脂容器、シリコン半導体ウエハや化合物半導体ウエハ等の半導体ウエハ、回路基板、光ディスク等の情報記録基板、ガラス板、鋼板、陶器、木板または樹脂等の単体物であってもよいし、それら2つ以上で形成された複合物であってもよく、任意の形態の部材や物品なども対象とすることができる。なお、接着シートASは、機能的、用途的な読み方に換え、例えば、情報記載用ラベル、装飾用ラベル、保護シート、ダイシングテープ、ダイアタッチフィルム、ダイボンディングテープ、記録層形成樹脂シート等の任意のシート、フィルム、テープ等でもよい。
【0038】
前記実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、2軸または3軸以上の関節を備えた多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダ及びロータリシリンダ等のアクチュエータ等を採用することができる上、それらを直接的又は間接的に組み合せたものを採用することもできる。
前記実施形態において、ローラ等の回転部材が採用されている場合、当該回転部材を回転駆動させる駆動機器を備えてもよいし、回転部材の表面や回転部材自体をゴムや樹脂等の変形可能な部材で構成してもよいし、回転部材の表面や回転部材自体を変形しない部材で構成してもよいし、ローラの代わりに回転するまたは回転しないシャフトやブレード等の他の部材を採用してもよいし、押圧ローラや押圧ヘッド等の押圧手段や押圧部材といった被押圧物を押圧するものが採用されている場合、上記で例示したものに代えてまたは併用して、ローラ、丸棒、ブレード材、ゴム、樹脂、スポンジ等の部材を採用したり、大気やガス等の気体の吹き付けにより押圧する構成を採用したりしてもよいし、押圧するものをゴムや樹脂等の変形可能な部材で構成してもよいし、変形しない部材で構成してもよいし、剥離板や剥離ローラ等の剥離手段や剥離部材といった被剥離物を剥離するものが採用されている場合、上記で例示したものに代えてまたは併用して、板状部材、丸棒、ローラ等の部材を採用してもよいし、剥離するものをゴムや樹脂等の変形可能な部材で構成してもよいし、変形しない部材で構成してもよいし、支持(保持)手段や支持(保持)部材等の被支持部材を支持または保持するものが採用されている場合、メカチャックやチャックシリンダ等の把持手段、クーロン力、接着剤(接着シート、接着テープ)、粘着剤(粘着シート、粘着テープ)、磁力、ベルヌーイ吸着、吸引吸着、駆動機器等で被支持部材を支持(保持)する構成を採用してもよいし、切断手段や切断部材等の被切断部材を切断または、被切断部材に切込や切断線を形成するものが採用されている場合、上記で例示したものに代えてまたは併用して、カッター刃、レーザカッタ、イオンビーム、火力、熱、水圧、電熱線、気体や液体等の吹付け等で切断するものを採用したり、適宜な駆動機器を組み合わせたもので切断するものを移動させて切断するようにしたりしてもよい。