【実施例1】
【0024】
以下、図面を参照しながら実施例1を説明する。
図1は本発明のロック構造の一実施形態を示す構成図である。また、
図2は係合開始時の状態を示す断面図、
図3は係合途中の状態を示す断面図、
図4は係合直前の状態を示す断面図、
図5は係合終了時の状態を示す断面図、
図6は係合解除時の状態を示す断面図である。
【0025】
<ロック構造21の構成について>
図1において、ロック構造21は、物品22から突出するロック突起23と、他の物品24に形成されてロック突起23に係合するロックアーム25とを備えて構成される。ロック構造21は、物品22に対し他の物品24を固定するための構造として採用される。ロック構造21は、物品22及び他の物品24の複数箇所に配置される(ここでは複数あるうちの1つを説明するものとする)。尚、物品22及び他の物品24に関しては、実施例2の説明において一例を挙げるものとする。
【0026】
本明細書では、物品22に対し他の物品24を移動させるとロック突起23及びロックアーム25が係合するようになるが、逆に、他の物品24に対し物品22を移動させてロック突起23及びロックアーム25が係合するようになることでも当然によいものとする。
【0027】
<ロック突起23について>
図1において、ロック突起23は、これにロックアーム25が係合すると他の物品24の下方への移動を規制することができる部分に形成される。ロック突起23は、従来のロック突起3(
図11参照)に比べ耐久性のある部分に形成される。ロック突起23は、突起本体26と、治具用溝27とを有して図示の形状に形成される。
【0028】
<突起本体26について>
図1において、突起本体26は、物品22の壁面から外側に突出するブロック状の突起部分に形成される。突起本体26の表面には、複数の面が配置形成される。具体的には、ロックアーム25との係合方向K(
図2参照)に沿って、アーム案内面28と、突出先端面29と、係合面30とが配置形成される。また、両側には、本体側面31がそれぞれ配置形成される。尚、係合方向Kは、物品22及び他の物品24の振動方向に略一致する方向であるものとする。
【0029】
アーム案内面28は、物品22の壁面から突出先端面29に向けて傾斜する面に形成される。アーム案内面28は、ロックアーム25が最初に当接する面、また、摺動する面に形成される。尚、傾斜角度は適宜設定されるものとする。本実施例1においては、角度が小さく設定されて緩やかな傾斜面にアーム案内面28が形成される。アーム案内面28は、物品22の壁面に対し曲面32を介して連続するように形成される。また、アーム案内面28は、突出先端面29に対し曲面33を介して連続するように形成される。
【0030】
突出先端面29は、突起本体26の突出方向の先端に位置する面に形成される。突出先端面29は、係合方向K(
図2参照)に沿った面、また、物品22の壁面に平行な面に形成される。突出先端面29は、係合方向Kの長さが後述するアーム先端42の係合方向Kの長さよりも長い面に形成される(
図5に示す如くの係合状態において、アーム先端42の長さよりも下方に長い面に形成される)。
【0031】
突出先端面29が長い面であれば、突起本体26は従来のロック突起3(
図11参照)よりも係合方向Kに長い肉増し部分に形成される。別な言い方をすれば、振動等の要因で係合面30の側から突起本体26が削れたとしても、従来より長く機能できるような部分に形成される。突起本体26は、耐久性のある部分に、また、安定した係合状態を維持できる部分に形成される。
【0032】
係合面30は、突起本体26の一番上に位置する面に形成される。係合面30は、突起本体26を乗り越えたロックアーム25が係合する面に形成される。係合面30は、ロックアーム25の後述する被係合面44が対向する面に形成される。係合面30は、若干傾斜する面に形成される。本実施例1においては
図2に示す如く、物品22の壁面に対し鈍角になるような傾斜面に形成される(一例であるものとする。物品22の壁面に対し直角な面であってもよいものとする)。係合面30は、物品22の壁面に対し曲面34を介して連続するように形成される。尚、突起本体26は、本実施例1において、係合面30と突出先端面29との連続部分がエッジになるように形成される。
【0033】
<治具用溝27について>
図1において、治具用溝27は、後述する治具57(又はマイナスドライバー等)を誘導するための部分に形成される。治具用溝27は、突起本体26の幅方向中央位置に配置形成される。治具用溝27は、アーム案内面28から突出先端面29にかけて係合方向K(
図2参照)に突起本体26を切り欠くような溝部分に形成される。治具用溝27は、突起本体26の幅方向の長さの1/3程度の溝幅を有するような溝部分に形成される(溝幅は一例であるものとする。後述する治具57のサイズに合わせればよい)。
【0034】
治具用溝27には、第一溝底35と、第二溝底36(底壁)とが形成される。また、治具用溝27には、第一溝底35及び第二溝底36を繋ぐ曲面37と、第二溝底36及び突出先端面29を繋ぐ曲面38とが形成される。第一溝底35は、物品22の壁面と同一平面に形成される。第一溝底35は、後述する治具57を最初に誘導するための部分に形成される。一方、第二溝底36は、アーム案内面28と略平行なテーパの溝底に形成される。第二溝底36は、治具57を後述するアーム先端42に向けて誘導するための部分に形成される。第二溝底36は、従来のロック突起3のアーム案内面6(
図11及び
図12参照)と略同位置に配置形成される。
【0035】
治具用溝27は、突出先端面29に開口する部分が後述するアーム先端42の外面50に対向するように形成される。治具用溝27は、突出先端面29に開口する部分から後述する治具57を出して、アーム先端42を押すことができるように形成される。
【0036】
<ロックアーム25について>
図1において、ロックアーム25は、ロック突起23に対し係合する部分に形成される。ロックアーム25は、アーム本体39と、係合凸部40とを有して図示の形状に形成される。ロックアーム25は、後述する横リブ48以外が従来のロックアーム5(
図11参照)と基本的に同じ形状に形成される(一例であるものとする)。
【0037】
<アーム本体39について>
図1において、アーム本体39は、この一端41が他の物品24の壁面に連続する片持ちのアーム形状に形成される。アーム本体39は、他の物品24の壁面に向けて撓むような可撓性のある部分に形成される。アーム本体39は、上記一端41が撓み部分として形成される。アーム本体39は、上記一端41が外側に短く突出する部分に形成される。残りの部分は、図の下方に向けてのびるように形成される。アーム本体39は、この他端に(自由端に)アーム先端42が形成される。尚、アーム本体39における引用符号43は、曲部を示すものとする。
【0038】
<係合凸部40について>
図1において、係合凸部40は、アーム本体39の外面から突出する部分に形成される。具体的には、アーム本体39のアーム先端42を残した位置から突出する部分に形成される。係合凸部40は、ロック突起23に対し直接係合する部分に形成される(別な言い方をすれば、直接係止される部分に形成される)。係合凸部40の表面には、複数の面が配置形成される。具体的には、ロック突起23との係合方向K(
図2参照)に沿って、被係合面44と、突出先端面45と、被案内面46とが形成される。
【0039】
被係合面44は、ロック突起23の係合面30に対向する面に形成される。被係合面44は、係合面30に合わせて傾斜する傾斜面に形成される(一例であるものとする。係合面30が直角であればこれに合わせて直角な面であってもよいものとする)。被係合面44は、突出先端面45に対し曲面47を介して連続するように形成される。被係合面44には、横リブ48が形成される。この横リブ48は、ロックアーム25の幅方向に沿って真っ直ぐのびるように形成される。横リブ48は、小さく下方に突出するように形成される。
【0040】
尚、横リブ48の形成は任意であるが、横リブ48があれば係合面30との間隔を狭めてガタの吸収に有効である。また、横リブ48があれば物品22及び他の物品24が振動等を受けた場合にロック突起23の突起本体26よりも先に削れ易くなることから、突起本体26の寿命を延ばすことに有効である。
【0041】
突出先端面45は、係合凸部40の突出方向の先端に位置する面に形成される。突出先端面45は、係合方向K(
図2参照)に沿った面、また、他の物品24の壁面に平行な面に形成される。突出先端面45は、ロック突起23の突出先端面29よりも係合方向Kの長さが短い面に形成される。突出先端面45は、被案内面46に対し曲面49を介して連続するように形成される。
【0042】
被案内面46は、突出先端面45からアーム本体39の曲部43に向けて傾斜する面に形成される。被案内面46は、ロック突起23のアーム案内面28に対し最初に当接する面、また、摺動する面に形成される。
【0043】
<アーム先端42について>
図1において、アーム先端42は、アーム本体39の他端(自由端)として形成される。このアーム先端42には、外面50と、端部51と、内面52とが形成される。アーム先端42の側面53は、アーム本体39の側面54と同一平面に形成される。外面50は、他の物品24の壁面に平行な面に形成される。端部51は、円弧状の部分に形成される。内面52は、アーム本体39の内面55に向けて傾斜する面に形成される。
【0044】
<ロック構造21の作用について>
以下、ロック構造21の作用について、
図2ないし
図6を参照しながら説明をする(必要に応じて
図1も参照する)。
【0045】
図2において、ロック突起23に対し矢印の係合方向Kに沿ってロックアーム25を移動させると、ロックアーム25は被案内面46がロック突起23のアーム案内面28に当接する。そして、被案内面46がアーム案内面28を摺動するようにロックアーム25を更に係合方向Kに沿って移動させると、この時、ロックアーム25に撓みが生じる。
【0046】
ロックアーム25を更に係合方向Kに沿って移動させると、
図3に示す如く、ロックアーム25の曲面49(突出先端面45と被案内面46との間の曲面49)がロック突起23の突出先端面29を摺動する。また、
図4に示す如く、ロックアーム25の突出先端面45が、ロック突起23のエッジ(係合面30と突出先端面29との連続部分であるエッジ)を摺動する。尚、
図3及び
図4から分かるように、アーム先端42の内面52が他の物品24の壁面に近づくようにロックアーム25が撓む。そのため、アーム先端42の長さを従来よりも長くすることは困難であることが分かる。
【0047】
ロックアーム25を更に係合方向Kに沿って移動させると、
図4及び
図5に示す如く、ロックアーム25はロック突起23を乗り越えて元の状態に弾性復帰する。これにより、ロックアーム25はロック突起23に対し係合する。ロック突起23及びロックアーム25の係合状態(
図5参照)が形成されると、他の物品24の下方への移動が規制される。
【0048】
<係合状態の解除について>
図6において、何らかの要因で係合状態を解除しようとする場合は、ロックアーム25を撓み方向に動かすようにすれば、係合状態を解除することができる。具体的には、アーム先端42と、治具用溝27の開口部分(突出先端面29に開口する部分)との間に空間56が生じることから、治具用溝27に専用の治具57(又はマイナスドライバー等)を差し込んでアーム先端42を押し、そして、ロックアーム25を撓み方向に動かすようにすれば、係合状態を解除することができる。
【0049】
<ロック構造21の効果について>
以上、
図1ないし
図6を参照しながら説明してきたように、本発明の一実施形態であるロック構造21によれば、ロック突起23の突起本体26が従来と比べ肉増しの構造であることから、肉増しの分だけ従来よりも耐久性を向上させることができる。また、突起本体26には治具用溝27が形成されることから、治具57を用いて係合状態を解除することができ、上記肉増しがなされていても容易に係合解除をすることができる。すなわち、係合解除の容易性を従来と変わらず維持することができる。
【0050】
また、治具用溝27には、治具57をアーム先端42に向けて誘導するためのテーパ(第二溝底36)が形成されることから、治具57をスムーズに誘導することができる。これにより、係合解除時の作業性を向上させることができる。
【0051】
また、治具用溝27は、ロック突起23の突起本体26の幅方向中央位置に配置形成されることから、物品22及び他の物品24に振動が加わり仮に突起本体26が削れていったとしても、突起本体26はこの幅方向の両端部位置で確実にロックアーム25の係合凸部40と係合し、結果、安定した係合状態の維持に寄与することができる。
【実施例2】
【0052】
以下、図面を参照しながら実施例2を説明する。
図7は本発明のロック構造を採用する電気接続箱の一実施形態を示す斜視図である。また、
図8は電子部品ブロックの上方から見た電気接続箱の状態を示す斜視図、
図9は電子部品ブロックの下方から見た電気接続箱の状態を示す斜視図、
図10は
図9の円Sの拡大図である。尚、上記実施例1と基本的に同じ構成部材には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。図中の矢印Pは上下方向、矢印Qは左右方向、矢印Rは前後方向を示すものとする。
【0053】
<電気接続箱1の構成について>
図7において、電気接続箱61は、外部に露出した状態でトラックに搭載される(一例であるものとする)。具体的には、トラックにおけるキャビンと荷台との間に搭載される(一例であるものとする)。このような電気接続箱61は、電子部品ブロック62(特許請求の範囲の他の物品に相当。
図8及び
図9参照)と、この電子部品ブロック62を収容するための筐体63とを備えて構成される。また、電気接続箱61は、筐体63の内部にワイヤハーネス64の端末が配設され、下部からワイヤハーネス64が引き出されるように構成される。尚、ワイヤハーネス64は、この端末等の所定位置に電気接続箱61を備えて自動車に配索されるものである。
【0054】
電気接続箱61は、以下の説明で分かるようになるが、実施例1のロック構造21を有し、このロック構造21により実施例1と同様の効果を奏する。
【0055】
<電子部品ブロック62について>
図8及び
図9において、電子部品ブロック62は、複数の電子部品が組み付けられる部材として備えられる。また、電子部品ブロック62は、上記電子部品が所定回路に接続される部材として備えられる。具体的には、リレーが樹脂製のリレー組み付け部(符号省略)に組み付けられるとともに、ヒューズが樹脂製のヒューズ組み付け部(符号省略)に組み付けられるような部材として備えられる(電子部品ブロック62の構成は一例であるものとする)。
【0056】
以上のような電子部品ブロック62は、カセット式のものであり、後述するフレーム65に対してロック構造21により着脱自在に組み付けられる。電子部品ブロック62に関しては、この名称をカセットブロック62と読み替えてもよいものとする。
【0057】
<筐体63の構成について>
図7ないし
図9において、筐体63は、絶縁性を有する樹脂製の部材の組み合わせであって、具体的には、電気ブロック62の組み付け先になるフレーム65(特許請求の範囲の物品に相当)と、このフレーム65の上部開口部66(
図8参照)を覆うアッパーカバー67と、フレーム65の下部開口部68(
図9参照)を覆うロアカバー69とを備えて構成される。筐体63には、一対の固定脚部70と、単独の固定脚部70とが設けられる。また、筐体63には、ワイヤハーネス64が引き出される導出部71が設けられる。
【0058】
<ロック構造21について>
図10において、実施例2におけるロック構造21は、フレーム65に対し電子部品ブロック62を着脱自在に組み付けるための部分であって、フレーム65側のロック突起23と、電子部品ブロック62側のロックアーム25とを備えて構成される。ロック突起23は従来に比べ肉増しの部分に形成される。ロック突起23には、治具57(
図6参照)をアーム先端42に向けて誘導するための治具用溝27が形成される。
【0059】
この他、本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。