【解決手段】飲食環境情報提供システム200は、食品周囲環境情報記憶部210と食品周囲環境情報提供部240とを有しており、食品周囲環境情報に基づいて温度及び/又湿度を含む食品周囲環境目標値を出力する。また、飲食環境変更装置300は、飲食環境情報提供システム200の食品周囲環境情報提供部240から出力された食品周囲環境目標値を取得し、その食品周囲環境目標値に基づいて飲食環境を制御する。
前記空気調和機は、前記食品の位置及び/又は食事するユーザーの位置を検知する位置検知部(161)を有し、前記食品の位置及び/又は前記ユーザーの位置に基づいて風向及び風量の制御を行う、
請求項2に記載の飲食環境制御システム。
提供される複数の食品の順番の情報を取得する順番情報取得部(116)、又は、提供される複数の食品の順番の情報を予め記憶する順番情報記憶部(115)をさらに有し、
前記環境制御部が、前記提供される食品の順番及び前記食品周囲環境情報に基づいて前記飲食環境の制御を行う、
請求項1から9のいずれか1項に記載の飲食環境制御システム。
提供される複数の食品の順番の情報を取得する順番情報取得部(216,216T)、又は、提供される複数の食品の順番の情報を予め記憶する順番情報記憶部(215,215T)、をさらに有し、
前記食品周囲環境情報提供部は、前記提供される食品の順番及び前記食品周囲環境情報に基づいて、前記食品周囲環境目標値を出力する、
請求項12に記載の飲食環境情報提供システム。
請求項12から17のいずれか1項に記載の飲食環境情報提供システムの前記食品周囲環境情報提供部から出力された食品周囲環境目標値、を取得する目標値取得部(310,310T)と、
前記食品周囲環境目標値に基づいて飲食環境を変更する環境変更部(355,355T)と、
を有する、飲食環境変更装置(300,300T)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、食品が美味しく味わえる固有の温度について考慮したものではなく、食事中の長い期間にわたって食事をおいしく提供できないことがある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1観点の飲食環境制御システムは、食品周囲環境情報記憶部と環境制御部とを有する。食品周囲環境情報記憶部は、食品ごとに少なくとも温度及び/又湿度を含む食品周囲環境情報を関連づけて記憶する。環境制御部は、食品周囲環境情報に基づいて飲食環境を制御する。このような構成により、食品毎に関連付けられた食品周囲環境情報に基づいて飲食環境を制御するので、食事の満足度を向上させることができる。
【0005】
なお、本開示において、「食品」とは、全ての飲食物を意味するものである。
【0006】
第2観点の飲食環境制御システムは、第1観点の飲食環境制御システムであって、環境制御部が空気調和機を含むものである。このような構成により、食品ごとに関連付けられた食品周囲環境情報に基づいて飲食環境の調和空気を制御できる。
【0007】
第3観点の飲食環境制御システムは、第2観点の飲食環境制御システムであって、空気調和機が、食品の位置及び/又は食事するユーザーの位置を検知する位置検知部を有する。そして、空気調和機が、食品の位置及び/又はユーザーの位置に基づいて風向及び風量の制御を行う。このような構成により、飲食環境の調和空気の風向及び風量を食品及び又はユーザーの位置に応じて制御できる。
【0008】
第4観点の飲食環境制御システムは、第1観点から第3観点の飲食環境制御システムであって、環境制御部が温度調整可能な表面部を有する食事提供台を含むものである。このような構成により、食事提供台を用いて食品の周囲温度を最適化できる。
【0009】
第5観点の飲食環境制御システムは、第4観点の飲食環境制御システムであって、食事提供台の表面部の温度分布が調整可能なものである。このような構成により、表面部の位置に応じて異なる温度にすることができる。
【0010】
第6観点の飲食環境制御システムは、第1観点から第5観点の飲食環境制御システムであって、食品周囲環境情報記憶部が、さらに食品ごとに、所定の食品周囲環境に対応する食品の賞味時間を記憶する。そして、環境制御部が、所定の食品の賞味時間に基づいて飲食環境を制御する。このような構成により、所定の食品の賞味時間に合わせた飲食環境の調整が可能となる。 第7観点の飲食環境制御システムは、第1観点から第6観点の飲食環境制御システムであって、さらに、飲食環境に提供される食品の情報を取得する提供食品情報取得部を有する。そして、環境制御部が、提供食品情報取得部によって取得された食品の情報に基づいて飲食環境を制御する。このような構成により、提供される食品に合わせて飲食環境を制御できる。
【0011】
第8観点の飲食環境制御システムは、第7観点の飲食環境制御システムであって、提供食品情報取得部が、食事するユーザーに提供された食品の画像を取得する画像データ取得部を有する。このような構成により、提供される食品の画像に基づいて飲食環境を制御できる。
【0012】
第9観点の飲食環境制御システムは、第7観点又は第8観点の飲食環境制御システムであって、提供食品情報取得部が、所定の食品を示す情報の入力を受け付ける食品受付部を有する。このような構成により、提供される食品に基づいて飲食環境を制御できる。
【0013】
第10観点の飲食環境制御システムは、第1観点から第9観点のいずれかの飲食環境制御システムであって、提供される複数の食品の順番の情報を取得する順番情報取得部、又は、提供される複数の食品の順番の情報を予め記憶する順番情報記憶部をさらに有する。そして、環境制御部が、提供される食品の順番及び食品周囲環境情報に基づいて飲食環境の制御を行う。このような構成により、複数の食品の組み合わせに適した飲食環境の調整が可能となる。
【0014】
第11観点の飲食環境制御システムは、第1観点から第10観点のいずれかの飲食環境制御システムであって、環境制御部が、飲食環境を制御するための設定値の変更を受け付ける設定値変更部をさらに有する。このような構成により、システム利用者の意向を反映させた飲食環境を提供できる。
【0015】
第12観点の飲食環境情報提供システムは、食品周囲環境情報記憶部と食品周囲環境情報提供部とを有する。食品周囲環境情報記憶部は、食品ごとに少なくとも温度及び/又は湿度を含む食品周囲環境情報を関連づけて記憶する。食品周囲環境情報提供部は、食品周囲環境情報に基づいて、少なくとも温度及び/又は湿度に対応する食品周囲環境目標値を出力する。このような構成により、食事の満足度を向上し得る食品周囲環境目標値を外部装置等に出力できる。
【0016】
第13観点の飲食環境情報提供システムは、第12観点の飲食環境情報提供システムであって、提供される複数の食品の順番の情報を取得する順番情報取得部、又は、提供される複数の食品の順番の情報を予め記憶する順番情報記憶部をさらに有する。そして、食品周囲環境情報提供部が、提供される食品の順番及び食品周囲環境情報に基づいて、食品周囲環境目標値を出力する。このような構成により、複数の食品の組み合わせに適した食品周囲環境目標値を出力できる。
【0017】
第14観点の飲食環境情報提供システムは、第12観点または第13観点の飲食環境情報提供システムであって、食品周囲環境情報記憶部が、さらに食品ごとに、所定の食品周囲環境に対応する食品の賞味時間を記憶する。そして、食品周囲環境情報提供部が、所定の食品の賞味時間に基づいて、食品周囲環境目標値を出力する。このような構成により、所定の食品の賞味時間に合わせた食品周囲環境目標値を出力できる。
【0018】
第15観点の飲食環境情報提供システムは、第12観点から第14観点のいずれかの飲食環境情報提供システムであって、さらに、飲食環境に提供される食品の情報を取得する提供食品情報取得部を有する。そして、食品周囲環境情報提供部が、さらに提供食品情報取得部によって取得された食品の情報に基づいて、食品周囲環境目標値を出力する。このような構成により、飲食環境に提供される食品に適した食品周囲環境目標値を出力できる。
【0019】
第16観点の飲食環境情報提供システムは、第15観点の飲食環境情報提供システムであって、提供食品情報取得部が、食事するユーザーに提供された食品の画像を取得する画像データ取得部を有する。このような構成により、飲食環境に提供される食品の画像に基づいて食品周囲環境目標値を出力できる。
【0020】
第17観点の飲食環境情報提供システムは、第15観点または第16観点の飲食環境情報提供システムであって、提供食品情報取得部が、所定の食品を示す情報の入力を受け付ける食品受付部を有する。このような構成により、飲食環境に提供される食品に適した食品周囲環境目標値を出力できる。
【0021】
第18観点の飲食環境変更装置は、目標値取得部と環境変更部とを有する。目標値取得部は、第12観点から第17観点のいずれかの飲食環境情報提供システムの食品周囲環境情報提供部から出力された食品周囲環境目標値を取得する。環境変更部は、食品周囲環境目標値に基づいて飲食環境を変更する。このような構成により、食品毎に関連付けられた食品周囲環境目標値に基づいて飲食環境を制御できる。
【0022】
第19観点の飲食環境変更装置は、第18観点の飲食環境変更装置であって、食品の位置及び/又は食事するユーザーの位置を検知する位置検知部をさらに有する。そして、食品周囲環境情報提供部が、食品の位置及び/又は食事するユーザーの位置に基づいて、少なくとも温度及び/又は湿度に対応する食品周囲環境目標値を出力する。このような構成により、食品及び/又はユーザーの位置に合わせて飲食環境を変更できる。
【0023】
第20観点の飲食環境変更装置は、第18観点または第19観点の飲食環境変更装置であって、飲食環境を制御するための設定値の変更を受け付ける設定値変更部をさらに有する。このような構成により、システム利用者に意向を反映させた飲食環境に変更できる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
<第1実施形態>
(1−1)
図1は第1実施形態に係る飲食環境制御システム100の構成を説明するための模式図である。
【0026】
飲食環境制御システム100は、少なくとも、食品周囲環境情報記憶部110と環境制御部150とを有する。ここでは、さらに、飲食環境制御システム100は、提供食品情報取得部120と、順番情報記憶部115及び/又は順番情報取得部116とを有する。なお、飲食環境制御システム100は、任意の電子制御機器が処理部として機能することで情報処理を実行する。また、飲食環境制御システム100は、各種情報を記憶する任意の記憶装置を有する。
【0027】
食品周囲環境情報記憶部110は、食品ごとに少なくとも温度及び/又は湿度を含む食品周囲環境情報を関連づけて記憶するものである。「食品周囲環境情報」は、その食品に影響を与える周囲環境の温度、湿度、風量、風向などの各項目の最適値で定義される。ただし、これに限らず、食品周囲環境情報は、食品自体の温度及び/又は湿度等で定義されるものでもよい。また、食品周囲環境情報は、食品に関連付けられているが、食品の違いだけではなく、人の状態に応じて異なる値が用いられてもよいし、個人毎に異なる値が用いられてもよいものである。例えば、走った後の人に対しては、そうでない人とは異なる値を採用することができる。なお、食品周囲環境情報は、システム利用者による入力作業により更新したり、顧客満足度等の外部データに基づいて自動的に更新したりすることが可能である。
【0028】
また、食品周囲環境情報記憶部110は、食品ごとに、所定の食品周囲環境に対応する食品の賞味時間を記憶する。なお、ここでいう「食品ごと」とは、システム利用者が任意に設定できる食品の区分であり、例えば、温かいうどんと冷たいうどんとは同じ食品でも区分けして設定できる。また、「賞味時間」は、食品の安全性の意味するものではなく、食品を美味しく味わうことができる時間を意味する。例えば、ワインの賞味時間は、飲食環境の温度が16℃のときに1時間後に生じる味の劣化度合いを基準として決定される。そのため、一般的なワインに関しては、飲食環境の温度が20℃のときには、賞味時間が1時間より短くなる。ただし、これは単なる例示であり、賞味時間の基準はシステム利用者により任意に決定することができる。
【0029】
順番情報記憶部115は、提供される複数の食品の順番の情報を予め記憶するものである。
【0030】
順番情報取得部116は、提供される複数の食品の順番の情報を取得するものである。ここでは、順番情報取得部116は、取得した食品の順番の情報を環境制御部150に送出する。
【0031】
提供食品情報取得部120は、任意の入力装置を介して、飲食環境に提供される食品の情報を取得するものである。また、提供食品情報取得部120は、取得した食品の情報を環境制御部150に送出する。具体的には、提供食品情報取得部120は、食事するユーザーに提供された食品の画像を取得する画像データ取得部121により実現することができる。また、提供食品情報取得部120は、所定の食品を示す情報の入力を受け付ける食品受付部122により実現することもできる。なお、食品受付部122は、有線又は無線で通信可能な情報端末を介して食品の情報を受け付けるものでもよい。さらに、食品受付部122は、音声により食品の情報を受け付けるものでもよい。その他、食品受付部122は、注文メニューを受け付けるタブレット、スマートデバイス、空気調和機のリモコン等を介して食品の情報を受け付けるものでもよいし、食品容器などに付された識別子(バーコード等)の読み取りで食品の情報を取得するものでもよい。
【0032】
環境制御部150は、食品周囲環境情報に基づいて飲食環境を制御するものである。具体的に、環境制御部150は、提供食品情報取得部120によって取得された食品の情報を用いて、食品周囲環境情報記憶部110から食品周囲環境情報を抽出し、抽出した食品周囲環境情報に基づいて飲食環境を制御する。また、環境制御部150は、所定の食品の賞味時間に基づいて飲食環境を制御する機能を有する。また、環境制御部150は、提供される食品の順番及び食品周囲環境情報に基づいて飲食環境の制御を行う機能を有する。また、環境制御部150は、飲食環境を制御するための設定値の変更を受け付ける設定値変更部151を有する。
【0033】
このような環境制御部150は、例えば、空気調和機160により実現できる。環境制御部150としての空気調和機160は、
図2に示すように、位置検知部161、調和空気制御部162をさらに有する。位置検知部161は、食品の位置及び/又は食事するユーザーの位置を検知するものである。調和空気制御部162は、調和空気の温度、湿度、風量及び風向等を制御するものである。ここでは、位置検知部161により検知された食品の位置及び/又は食事するユーザーの位置に基づいて、調和空気制御部162が風向及び風量等の制御を行なう。なお、位置検知部161は、食品自体ではなく、食品の容器を検知することで食品の位置を検知するものでもよい。また、位置検知部161は、食品の設置される位置が予め記憶装置に記憶されている場合、この記憶装置に記憶された情報から食品の位置を取得するものでもよい。なお、位置検知部161及び画像データ取得部121は同一の撮像装置を利用することが可能である。
【0034】
また、環境制御部150は、食事提供台170により実現することも可能である。環境制御部150を構成する食事提供台170は、
図3に示すように、温度分布調整部171を有し、温度分布の調整が可能な表面部を有する。例えば、温度分布調整部171はペルチェ素子を用いて構成される。
【0035】
(1−2)
以上説明したように、第1実施形態に係る飲食環境制御システム100は、食品周囲環境情報記憶部110と環境制御部150とを有し、食品毎に関連付けられた食品周囲環境情報に基づいて飲食環境を制御するので、食事の満足度を向上させることができる。
【0036】
また、飲食環境制御システム100は、環境制御部150として空気調和機160を有するので、食品ごとに関連付けられた食品周囲環境情報に基づいて飲食環境の調和空気を制御できる。また、空気調和機160は位置検知部161を有するので、飲食環境の調和空気の風向及び風量を食品及び/又は食事するユーザーの位置に応じて制御できる。具体的に、空気調和機160は、食品を避けて調和空気を吹き出すことができるし、食事するユーザーを避けて調和空気を吹き出すこともできる。逆に、空気調和機160は、食品をめがけて調和空気を吹き出すことができるし、食事するユーザーに向けて調和空気を吹き出すこともできる。
【0037】
また、飲食環境制御システム100が、環境制御部150として、表面部の温度分布が調整可能な食事提供台170を有している場合、表面部の位置に応じて食品の周囲温度を細かく調整することができる。例えば、食事提供台170は、什器が載置された表面部の温度を制御することで、食品の周囲温度を調整できる。
【0038】
また、飲食環境制御システム100は、食品周囲環境情報記憶部110が、食品ごとに、所定の食品周囲環境に対応する食品の賞味時間を記憶しているので、所定の食品の賞味時間に合わせて飲食環境を制御できる。換言すると、食品の質(賞味時間)の変化速度に応じて、飲食環境を最適な温度等に調整できる。例えば、温度が15度の飲食環境で賞味時間が1時間のワインを提供している状況で、ワインを提供してから30分経過後に温度を10℃に変更することで、ワインの賞味時間を2時間に延ばすような調整が可能である。
【0039】
また、飲食環境制御システム100は、飲食環境に提供される食品の情報を取得する提供食品情報取得部120を有しているので、飲食環境に提供される食品に合わせて飲食環境を制御できる。具体的には、提供食品情報取得部120が、画像データ取得部121を有する場合、飲食環境に提供される食品の画像に基づいて飲食環境を制御できる。また、提供食品情報取得部120が、所定の食品を示す情報の入力を受け付ける食品受付部122を有する場合、受け付けた食品の情報に基づいて飲食環境を制御できる。
【0040】
また、飲食環境制御システム100は、順番情報記憶部115及び/又は順番情報取得部116を有しているので、提供される食品の順番及び食品周囲環境情報に基づいて飲食環境の制御を行うことができる。これにより、複数の食品の組み合わせに適した飲食環境を実現できる。具体的には、コース料理などを提供する際に食事進行に合わせて飲食環境を調整できる。例えば、サラダの後にハンバーグを提供する状況において、ハンバーグをより美味しく味わえるように、ハンバーグの賞味時間が長くなるように飲食環境の温度等を調整できる。
【0041】
また、飲食環境制御システム100は、環境制御部150が、飲食環境を制御するための設定値の変更を受け付ける設定値変更部151を有するので、システム利用者の意向を反映させた飲食環境を提供できる。例えば、室温より冷たい食品(ワイン等)が提供され、その食品の品質を維持するために空気調和機160から冷風が吹き出される場合でも、食事するユーザー等が設定値変更部151を介して空気調和機160の設定値を変更できるので、ユーザーが寒すぎるなどの不満を抱かないようにすることができる。換言すると、設定値変更部151を有することで、例えば寒すぎ対策を実現することができ、ユーザーの快適性を損なわないようにすることができる。
【0042】
なお、飲食環境制御システム100は、食品の温度を検知して環境制御部150にフィードバックする構成を有していてもよい。この構成により、環境制御部150では、検知した食品の温度と食品周囲環境情報とに基づいて、飲食環境を最適な状態に調整することができる。
【0043】
<第2実施形態>
(2−1)
図4は第2実施形態に係る飲食環境制御システム100Sの構成を説明するための模式図である。第2実施形態に係る飲食環境制御システム100Sは、飲食環境情報提供システム200と飲食環境変更装置300とを備える。
【0044】
飲食環境情報提供システム200は、
図5に示すように、少なくとも、食品周囲環境情報記憶部210と、食品周囲環境情報提供部240とを有する。ここでは、さらに、飲食環境情報提供システム200は、提供食品情報取得部220と、順番情報記憶部215及び/又は順番情報取得部216とを有する。なお、飲食環境情報提供システム200は、任意の電子制御機器が処理部205として機能することで情報処理を実行する。また、飲食環境制御システム100は、各種情報を記憶する任意の記憶装置を有する。
【0045】
食品周囲環境情報記憶部210は、食品ごとに少なくとも温度及び/又は湿度を含む食品周囲環境情報を関連づけて記憶するものである。「食品周囲環境情報」は、その食品に影響を与える周囲環境の温度、湿度、風量、風向などの各項目の最適値で定義される。ただし、これに限らず、食品周囲環境情報は、食品自体の温度及び/又は湿度等で定義されるものでもよい。また、食品周囲環境情報は、食品に関連付けられているが、食品の違いだけではなく、人の状態に応じて異なる値が用いられてもよいし、個人毎に異なる値が用いられてもよいものである。例えば、走った後の人に対しては、そうでない人とは異なる値を採用することができる。なお、食品周囲環境情報は、システム利用者による入力作業により更新したり、顧客満足度等の外部データに基づいて自動的に更新したりすることが可能である。
【0046】
また、食品周囲環境情報記憶部210は、食品ごとに、所定の食品周囲環境に対応する食品の賞味時間を記憶する。なお、ここでいう「食品ごと」とは、システム利用者が任意に設定できる食品の区分であり、例えば、温かいうどんと冷たいうどんとは同じ食品でも区分けして設定できる。また、「賞味時間」は、食品の安全性の意味するものではなく、食品を美味しく味わうことができる時間を意味する。例えば、ワインの賞味時間は、飲食環境の温度が16℃のときに1時間後に生じる味の劣化度合いを基準として決定される。そのため、一般的なワインに関しては、飲食環境の温度が20℃のときには、賞味時間が1時間より短くなる。ただし、これは単なる例示であり、賞味時間の基準はシステム利用者により任意に決定することができる。
【0047】
順番情報記憶部215は、提供される複数の食品の順番の情報を予め記憶するものである。
【0048】
順番情報取得部216は、提供される複数の食品の順番の情報を取得するものである。ここでは、順番情報取得部216は、取得した食品の順番の情報を食品周囲環境情報提供部240に送出する。
【0049】
提供食品情報取得部220は、任意の入力装置を介して、飲食環境に提供される食品の情報を取得するものである。また、提供食品情報取得部220は、取得した食品の情報を食品周囲環境情報提供部240に送出する。具体的には、提供食品情報取得部220は、食事するユーザーに提供された食品の画像を取得する画像データ取得部221により実現することができる。また、提供食品情報取得部220は、所定の食品を示す情報の入力を受け付ける食品受付部222により実現することもできる。なお、食品受付部222は、有線又は無線で通信可能な情報端末を介して食品の情報を受け付けるものでもよい。さらに、食品受付部222は、音声により食品の情報を受け付けるものでもよい。その他、食品受付部222は、注文メニューを受け付けるタブレット、スマートデバイス、空気調和機のリモコン等を介して食品の情報を受け付けるものでもよいし、食品容器などに付された識別子(バーコード等)の読み取りで食品の情報を取得するものでもよい。
【0050】
食品周囲環境情報提供部240は、食品周囲環境情報に基づいて、少なくとも温度及び/又は湿度に対応する食品周囲環境目標値を外部装置に出力するものである。ここでは、食品周囲環境情報提供部240は、飲食環境変更装置300に食品周囲環境目標値を出力する。なお、ここでは「食品周囲環境目標値」は、飲食環境変更装置300を構成する構成機器(アクチュエータ等)を制御するための制御値であって、少なくとも所定の温度及び/又は湿度を有する飲食環境を実現するための制御値で定義される。
【0051】
具体的には、食品周囲環境情報提供部240は、提供食品情報取得部120によって取得された食品の情報を用いて、食品周囲環境情報記憶部110から食品周囲環境情報を抽出する。また、食品周囲環境情報提供部240は、抽出した食品周囲環境情報に基づいて食品周囲環境目標値を算出する。また、食品周囲環境情報提供部240は、所定の食品の賞味時間に基づいて食品周囲環境目標値を出力する機能を有する。また、食品周囲環境情報提供部240は、提供される食品の順番及び食品周囲環境情報に基づいて、食品周囲環境目標値を出力する機能を有する。また、食品周囲環境情報提供部240は、食品の位置及び/又は食事するユーザーの位置に基づいて、温度及び/又は湿度を含む食品周囲環境目標値を出力する機能を有する。
【0052】
飲食環境変更装置300は、
図6に示すように、少なくとも、目標値取得部310及び環境変更部355を有する。また、飲食環境変更装置300は、設定値変更部356及び位置検知部361をさらに有するものでもよい。このような飲食環境変更装置300は、空気調和機360及び/又は表面部の温度調整が可能な食事提供台370により実現できる。なお、飲食環境変更装置300は、任意の電子制御機器が処理部305として機能することで情報処理を実行する。また、飲食環境制御システム100は、各種情報を記憶する任意の記憶装置を有する。なお、飲食環境変更装置300の各機能は、飲食環境変更装置300により単独で実現されてもよいし、飲食環境情報提供システム200と飲食環境変更装置300とが協働することにより実現されてもよいものである。
【0053】
目標値取得部310は、飲食環境情報提供システム200の食品周囲環境情報提供部240から出力された食品周囲環境目標値を取得するものである。
【0054】
環境変更部355は、食品周囲環境目標値に基づいて飲食環境を変更するものである。ここでは、環境変更部355は、提供食品情報取得部220によって取得された食品の情報に基づいて飲食環境の状態を変更する。例えば、環境変更部355は、空気調和機360のアクチュエータを制御することで飲食環境の状態を変更する。
【0055】
設定値変更部356は、飲食環境を制御するための設定値の変更を受け付けるものである。
【0056】
位置検知部361は、食品の位置及び/又は食事するユーザーの位置を検知するものである。なお、位置検知部361は、食品自体ではなく、食品の容器を検知し、食品の容器の位置を食品の位置とみなすことで食品の位置を検知するものでもよい。また、位置検知部361は、食品の設置される位置が予め記憶装置に記憶されている場合、この記憶装置に記憶された情報から食品の位置を取得するものでもよい。なお、位置検知部361及び画像データ取得部221は同一の撮像装置を利用することが可能である。
【0057】
上記説明においては、飲食環境情報提供システム200が、飲食環境変更装置300に食品周囲環境目標値を出力するとしたが、本実施形態に係る飲食環境情報提供システム200の構成はこれに限定されるものではない。例えば、
図7に示すように、飲食環境情報提供システム200は、飲食環境変更装置300ではなく、任意の出力装置380の表示部381に飲食周囲環境目標値に関連する情報を出力するものでもよい。これにより、任意の出力装置380において、飲食環境に提供されている食品に応じた最適な温度及び/又は湿度等の情報及びその関連情報を表示できる。
【0058】
(2−2)
以上説明したように、第2実施形態に係る飲食環境情報提供システム200は、食品周囲環境情報記憶部210と食品周囲環境情報提供部240とを有しており、食品周囲環境情報に基づいて温度及び/又湿度を含む食品周囲環境目標値を出力する。このような構成により、飲食環境情報提供システム200は、食事の満足度を向上し得る食品周囲環境目標値を外部装置(飲食環境変更装置300等)に出力できる。
【0059】
また、飲食環境情報提供システム200は、食品周囲環境情報提供部240が、提供される食品の順番及び食品周囲環境情報に基づいて食品周囲環境目標値を出力する機能を有しているので、複数の食品の組み合わせが考慮された食品周囲環境目標値を出力できる。また、これにより、飲食環境変更装置300が、提供される食品の順番及び食品周囲環境情報に基づいて飲食環境の制御を行うので、複数の食品の組み合わせに適した飲食環境を実現できる。具体的には、コース料理などを提供する際に食事進行に合わせて飲食環境の状態を調整できる。例えば、サラダの後にハンバーグを提供する状況において、ハンバーグをより美味しく味わえるように、ハンバーグの賞味時間が長くなるように飲食環境の温度等を調整できる。
【0060】
また、飲食環境情報提供システム200は、食品周囲環境情報記憶部210が、食品ごとに、所定の食品周囲環境に対応する食品の賞味時間を記憶するので、所定の食品の賞味時間に合わせた飲食環境目標値を出力できる。また、これにより、飲食環境変更装置300が、この食品周囲環境目標値に基づいて、所定の食品の賞味時間に合わせて飲食環境を制御できる。換言すると、食費の質(賞味時間)の変化速度に応じて、飲食環境を最適な温度等に調整できる。例えば、温度が15度の飲食環境で賞味時間が1時間のワインを提供している状況で、ワインを提供してから30分経過後に温度を10℃に変更することで、ワインの賞味時間を2時間に延ばすような調整が可能である。
【0061】
また、飲食環境情報提供システム200は、飲食環境に提供される食品の情報を取得する提供食品情報取得部220を有しているので、飲食環境に提供される食品に応じた食品周囲環境目標値を出力できる。また、これにより、飲食環境変更装置300が、この食品周囲環境目標値に基づいて、飲食環境に提供される食品に合わせて飲食環境を制御できる。
【0062】
具体的には、提供食品情報取得部220が、画像データ取得部221を有する場合、飲食環境に提供される食品の画像に基づいて食品周囲環境目標値を出力できる。また、これにより、飲食環境変更装置300が、この食品周囲環境目標値に基づいて飲食環境を制御できる。
【0063】
また、提供食品情報取得部220が、食品受付部222を有する場合、飲食環境に提供される食品に基づいて食品周囲環境目標値を出力できる。また、これにより、飲食環境変更装置300が、この食品周囲環境目標値に基づいて飲食環境を制御できる。
【0064】
また、第2実施形態に係る飲食環境変更装置300は、飲食環境情報提供システム200の食品周囲環境情報提供部240から出力された食品周囲環境目標値を取得し、その食品周囲環境目標値に基づいて飲食環境を制御するので、食事の満足度を向上することができる。
【0065】
また、飲食環境変更装置300は、空気調和機360及び/又は食事提供台370を含むものである。食事提供台370は、表面部の温度分布が調整可能であり、表面部の位置に応じて食品の周囲温度を細かく調整することができる。例えば、食事提供台370は、什器が載値された表面部の温度を制御することで、食品の周囲温度を調整できる。
【0066】
また、飲食環境変更装置300が空気調和機360により実現される場合、食品の位置及び/又は食事するユーザーの位置を検知する位置検知部361を有しているので、食品及び/又はユーザーの位置に合わせて飲食環境を変更できる。具体的に、空気調和機360は、食品を避けて調和空気を吹き出すことができるし、食事するユーザーを避けて調和空気を吹き出すこともできる。逆に、空気調和機360は、食品をめがけて調和空気を吹き出すことができるし、食事するユーザーに向けて調和空気を吹き出すこともできる。
【0067】
また、飲食環境変更装置300は、飲食環境を変更するための設定値を変える設定値変更部356を有するので、システム利用者の意向を反映させた飲食環境に変更できる。例えば、室温より冷たい食品(ワイン等)が提供され、その食品の品質を維持するために空気調和機360から冷風が吹き出される場合でも、食事するユーザー等が設定値変更部356を介して空気調和機360の設定値を変更できるので、ユーザーが寒すぎるなどの不満を抱かないようにすることができる。換言すると、設定値変更部356を有することで、例えば寒すぎ対策を実現することができ、ユーザーの快適性を損なわないようにすることができる。
【0068】
なお、飲食環境制御システム100Sは、食品の温度を検知して飲食環境変更装置300にフィードバックする構成を有していてもよい。この構成により、飲食環境変更装置300では、検知した食品の温度と食品周囲環境情報とに基づいて、飲食環境を最適な状態に調整することができる。
【0069】
<応用例>
以下、上述した飲食環境制御システムの応用例を示す。なお、以下の説明において既に説明した内容については同一符号を付して説明を省略する。また、新規な構成及び既に説明した構成に追加の説明等をする場合には添え字Tを付して説明する。
【0070】
(3−1)飲食環境制御システム100Tの構成
図8は本応用例に係る飲食環境制御システム100Tの構成を示す模式図である。飲食環境制御システム100Tは、飲食環境情報提供システム200Tと飲食環境変更装置300Tとを有する。
【0071】
飲食環境情報提供システム200Tは、食品周囲環境情報記憶部210T、順番情報記憶部215T、順番情報取得部216T、提供食品情報取得部220T、位置情報取得部230T、及び食品周囲環境情報提供部240Tを有する。なお、飲食環境情報提供システム200Tは、任意の電子制御機器が処理部として機能することで情報処理を実行する。また、飲食環境情報提供システム200Tは、各種情報を記憶する任意の記憶装置を有する。ここでは、コンピュータのCPU(Central Processing Unit)等に記憶装置(ROM,RAM等)に記憶されたプログラムが読み込まれることで、上記各機能が実現される。ただし、これに限らず、電子制御機器は、LSI(Large Scale Integration),ASIC(Application Specific Integrated Circuit),FPGA(Field-Programmable Gate Array)などを用いてハードウェアとして実現されるものでもよい。
【0072】
食品周囲環境情報記憶部210Tは、食品ごとに少なくとも温度及び/又は湿度を含む最適な食品周囲環境情報を関連づけて記憶するものである。具体的には、食品周囲環境情報記憶部210Tは、
図9に示すようなデータベースを有しており、食品を一意に識別する食品IDに関連付けて、食品名、温度、湿度、賞味時間等を記憶する。ただし、
図9に示す情報は説明のための例示であり、食品周囲環境情報記憶部210Tに記憶される情報は、ここで示すものに限定されるものではない。
【0073】
順番情報記憶部215Tは、提供される複数の食品の順番の情報を予め記憶するものである。具体的には、順番情報記憶部215Tは、
図10に示すようなデータベースを有しており、複数の食品の組み合わせを一意に識別する組み合わせ番号に関連付けて、1番目からi番目までの食品(iは1より大きい自然数)を識別する食品IDを記憶する。
【0074】
順番情報取得部216Tは、提供される複数の食品の順番の情報を取得するものである。
【0075】
提供食品情報取得部220Tは、任意の入力装置を介して、飲食環境Eに提供される食品3の情報を取得するものである。また、提供食品情報取得部220は、取得した食品3の情報を食品周囲環境情報提供部240Tに送出する。具体的には、提供食品情報取得部220Tは、画像データ取得部221T及び/又は食品受付部222Tにより実現することができる。
【0076】
位置情報取得部230Tは、食品3の位置及び/又は食事するユーザー5の位置を示す位置情報を取得するものである。ここで、位置情報取得部230Tは、後述する位置検知部361Tから送出される情報に基づいて位置情報を取得する。若しくは、位置情報取得部230Tは、設置位置が予め決められた情報端末400Tから送出される情報に基づいて位置情報を取得する。また、位置情報取得部230Tは、取得した位置情報を食品周囲環境情報提供部240Tに送出する。
【0077】
食品周囲環境情報提供部240Tは、食品周囲環境情報に基づいて食品周囲環境目標値を外部装置に出力するものである。ここでは、食品周囲環境情報提供部240Tは、飲食環境変更装置300Tに食品周囲環境目標値を出力する。また、食品周囲環境情報提供部240Tは、位置情報取得部230Tから送出された位置情報に基づいて、食品周囲環境目標値を算出する機能を有する。
【0078】
飲食環境変更装置300Tは、少なくとも、目標値取得部310Tと、環境変更部355Tと、設定値変更部356Tとを有する。なお、飲食環境変更装置300Tは、任意の電子制御機器が処理部として機能することで情報処理を実行する。また、飲食環境変更装置300Tは、各種情報を記憶する任意の記憶装置を有する。電子制御機器は、LSI(Large Scale Integration),ASIC(Application Specific Integrated Circuit),FPGA(Field-Programmable Gate Array)などを用いてハードウェアとして実現されるものでもよいし、コンピュータのCPU(Central Processing Unit)等に、記憶装置(ROM,RAM等)に記憶されたプログラムが読み込まれることで実現されるものでもよい。
【0079】
目標値取得部310Tは、飲食環境情報提供システム200Tの食品周囲環境情報提供部240Tから出力された食品周囲環境目標値を取得するものである。
【0080】
環境変更部355Tは、食品周囲環境目標値に基づいて飲食環境の状態を変更するものである。
【0081】
設定値変更部356Tは、飲食環境Eを制御するための設定値の変更を受け付けるものである。ここでは、情報の入出力が可能な情報端末400Tをユーザー5等が利用することが可能であり、この情報端末400Tを介して、上記設定値の変更が受け付けられる。
【0082】
具体的に、飲食環境変更装置300Tは、空気調和機360Tにより実現される。ここで、空気調和機360Tは、任意の撮像装置から構成される位置検知部361Tを有する。また、環境変更部355Tが調和空気制御部362Tとして機能する。ここでは、位置検知部361Tにより検知された食品3の位置及び/又はユーザー5の位置を示す位置情報に基づいて、調和空気制御部362Tが風向及び風量等の制御を行なう。なお、調和空気制御部362Tは、位置検知部361Tにより検知された位置情報に基づいて直接制御されるものでもよいし、位置情報が飲食環境情報提供システム200Tに送信され、その送信情報に応じて受信した情報に基づいて制御されるものでもよい。
【0083】
また、飲食環境変更装置300Tは、食事提供台370Tにより構成することも可能である。ここでは、食事提供台370Tは、温度分布が調整可能な表面部を有する。食事提供台370の表面部の温度を調整することで、室温より温かい食品及び/又は室温より冷たい食品等の賞味時間を長くすることが可能となる。
【0084】
(3−2)飲食環境制御システム100Tの動作
図11は本実施形態に係る飲食環境制御システム100Tの動作を説明するためのフローチャートである。
【0085】
まず、飲食環境情報提供システム200Tのコンピュータが、所定の食事提供台370Tに食品3が提供されたか否かを判定する(T1,T2)。ここでは、食品提供者により、飲食環境情報提供システム200Tのコンピュータに、食品3の提供を開始したことを示す開始情報が入力される。ただし、これに限らず、位置検知部361Tが食品3を検知することにより食品3の提供が開始された否かが判定されてもよい。
【0086】
飲食環境情報提供システム200Tのコンピュータは、食事提供台370Tに食品3が提供されたと判定した場合、1番目(i=1)の食品3の食品IDを順番情報記憶部215Tから読み出す(T2−yes,T3)。続いて、飲食環境情報提供システム200Tのコンピュータは、1番目(i=1)の食品3の食品IDに対応する食品周囲環境情報を食品周囲環境情報記憶部210Tから読み出す(T4)。
【0087】
次に、飲食環境情報提供システム200Tのコンピュータは、食品周囲環境情報提供部240Tの機能により、食品周囲環境情報に基づいて、飲食環境変更装置300Tを制御するための食品周囲環境目標値を算出する(T5)。そして、飲食環境情報提供システム200Tのコンピュータは、飲食環境変更装置300Tに食品周囲環境目標値を出力する(T6)。
【0088】
飲食環境変更装置300Tは、飲食環境情報提供システム200Tのコンピュータから食品周囲環境目標値を受け取ると、その食品周囲環境目標値に応じて飲食環境Eの状態を変化させる。例えば、食品3として冷たい飲み物が提供された場合には、空気調和機360Tの調和空気の温度を下げたり、食事提供台370Tの表面部の温度を下げたりする。
【0089】
この後、飲食環境情報提供システム200Tのコンピュータは、全ての食品3の提供が終了するまで、上記ステップT2〜T8の動作を繰り返す(T7―No)。
【0090】
なお、ここでは、食品事提供者により、飲食環境情報提供システム200Tのコンピュータにi番目の食品3の提供を終了したことを示す終了情報が入力されるまで、i番目の食品3に対応する食品環境目標値に基づいて飲食環境変更装置300Tが制御される。この際、i+1番目の食品3の提供を開始したことを示す開始情報の入力がされたときに、i番目の食品3の提供を終了したことを示す終了情報が入力されたとみなしてもよい。また、食事提供者が終了情報を入力することに代えて、位置検知部361Tが所定時間以上食品3を検知しなかったことにより食品3の提供が終了したか否かが判定されてもよい。
【0091】
なお、複数の食品3の組み合わせが連続して提供される場合、2番目以後の食品3の提供は、賞味時間に基づいて行なわれてもよい。これにより、2番目以後の食品3におけるステップT2,7の処理を省略することができる。
【0092】
(3−3)飲食環境制御システム100Tの特徴
(3−3−1)
以上説明したように、本応用例に係る飲食環境制御システム100Tは、飲食環境情報提供システム200Tと飲食環境変更装置300Tとを備える。飲食環境情報提供システム200Tは、食品3を飲食環境Eに提供する際、食品3の種類毎に設定された温度又は湿度の少なくとも一方を含む食品周囲環境情報に基づいて、飲食環境Eの状態(温度、湿度、風向、風速等)の設定値(例えば温度20℃)を決定する。そして、飲食環境変更装置300Tが、その設定値を維持するように飲食環境の状態を調整する。これにより、食事するユーザー5の満足度を向上させることができる。
【0093】
ここで、飲食環境変更装置300は、空気調和機360を有するものである。したがって、飲食環境制御システム100Tは、食品3ごとに関連付けられた食品周囲環境情報に基づいて飲食環境Eにおける調和空気を制御できる。
【0094】
また、本応用例では、空気調和機360T(飲食環境変更装置300T)が、食品の位置及び/又は食事するユーザーの位置を検知する位置検知部361を有している。したがって、空気調和機360Tは、食品3の位置及び/又はユーザー5の位置に応じて、飲食環境Eの調和空気の風向及び/又は風量を制御できる。
【0095】
例えば、本応用例に係る飲食環境制御システム100Tであれば、室温より冷たい食品3(ワイン等)が提供される場合に、食品3には冷風が当たるようにするとともに、ユーザー5には冷風が当たらないように空気調和機360Tの風向を制御できる。これにより、食品3の賞味時間を延ばすとともにユーザー5の快適性を低下させないようにすることができる。
【0096】
なお、ここでは、空気調和機360Tの位置検知部361Tが検知した位置情報が、飲食環境情報提供システム200Tに送信される。これを受けて、飲食環境情報提供システム200Tの食品周囲環境情報提供部240Tが、食品3の位置及び/又はユーザー5の位置を示す位置情報に基づいて、温度及び/又は湿度を含む食品周囲環境目標値を空気調和機360Tに返信する。このようにして空気調和機360Tが位置情報に基づいて飲食環境Eの状態を変更する。
【0097】
(3−3−2)
また、本応用例に係る飲食環境変更装置300Tは、表面部の温度分布が調整可能な食事提供台370Tを有するものである。このような構成により、表面部の位置に応じて食品3の周囲温度を細かく調整することができる。結果として、食品3の種類に応じて細かく食品周囲温度を調整できる。
【0098】
例えば、本応用例に係る飲食環境制御システム100Tであれば、室温より温かい食品3(鍋等)が食事提供台370Tに提供される場合に、食品3が提供される表面部を高温にし、食事するユーザー5には冷風が当たるように空気調和機360Tの風向を制御することができる。これにより、食品3の賞味時間を延ばすとともにユーザー5の快適性を低下させないようにすることができる。
【0099】
(3−4)飲食環境制御システム100Tの変形例
(3−4−1)
本応用例に係る飲食環境情報提供システム200Tは、食品3の提供開始時からの経過時間と、食品3の提供開始時の初期温度とに基づいて、賞味時間の残時間を計算する残時間計算部を有するものでもよい。このような構成により、食品3を飲食環境Eに提供する際、賞味時間が長くなるように飲食環境Eを調整できる。換言すると、賞味時間を長くすることで、食品3の味をなるべく損なわないようにすることができる。
【0100】
(3−4−2)
また、飲食環境情報提供システム200Tにおいて、情報端末400Tが、賞味時間の残時間と食品周囲環境情報とを出力するものでもよい。さらに、情報端末400Tは、現在の飲食環境Eの温度等を検知し、検知した温度等と食品周囲環境情報との比較に基づく情報を出力するものでもよい。このような情報端末400Tを利用することで、賞味時間の残時間及び食品周囲環境情報を、食事するユーザー5及び食品提供者等に認識させることができる。例えば、情報端末400Tは、賞味時間をそのまま提示したり、残時間を提示したり、経過時間に伴う美味しさレベルを提示したりする。また、情報端末400Tは、残時間に基づいて、食品3が美味しく食べられる状態になっているか否か等を提示することもできる。
【0101】
(3−4−3)
また、上記情報端末400Tは、飲食環境変更装置300Tの飲食環境目標値の変更を受け付ける設定値変更部が組み込まれていてもよい。さらに、設定値変更部により飲食環境目標値の変更が受け付けられたときに、飲食環境情報提供システム200Tが賞味時間の残時間を計算し、情報端末400Tが賞味時間の残時間と飲食環境Eの状態値とを出力するものでもよい。このような構成によれば、飲食環境Eにおける飲食環境目標値の変更のよる残時間の変化を、食事するユーザー5及び食品提供者等に認識させることができる。
【0102】
さらに、情報端末400Tは、賞味時間の出力に加え、飲食環境変更装置300Tに要する電気料金に関連する情報を出力するものでもよい。このような構成によれば、食品提供者等に電気料金に関する情報を認識させることができる。
【0103】
(3−4−4)
また、飲食環境情報提供システム200Tは、情報端末400Tにより賞味時間の残時間と飲食環境Eの設定値とが出力されるときに、情報端末400Tを介して飲食環境変更装置300Tの制御値の変更の許可を問い合わせるものでもよい。このような構成により、食事するユーザー5等の意向に応じた飲食環境Eを提供できる。具体的には、賞味時間の残時間を延ばすために、飲食環境Eの快適性が下がる方向に、飲食環境変更装置300Tの制御値を調整することができる。例えば、ワインの賞味時間の残時間を延ばすために、飲食環境Eの温度を快適度が高い20℃から快適度が低い16℃になるように空気調和機360Tの制御値を調整することができる。
【0104】
(3−4−5)
また、飲食環境制御システム100Tにおいて、空気調和機360Tが、食事提供台370Tの結露を抑制するように、調和空気の湿度を調整する機能を有していてもよい。これにより、食事提供台370Tの表面が冷やされた場合でも、その食事提供台370に結露が生じるのを防ぐことができる。結果として、飲食環境Eの快適性を高めることができる。
【0105】
(3−4−6)
上述した食事提供台370Tは、
図12に示すように、少なくとも加温領域370aと冷却領域370bとが表面に形成されるものでもよい。また、加温領域370a及び冷却領域370bは、一つの部材の吸熱部と発熱部とを利用して形成されるものでもよい。ここでいう、一つの部材は、任意のヒートポンプ機器、ペルチェ素子を意味する。このような構成であれば、吸熱部の排熱を発熱部に利用することで、エネルギー効率を高いシステムを提供できる。
【0106】
(3−4−7)
また、飲食環境情報提供システム200Tは、複数の食品3の優先度を記憶する優先度記憶部を備えていてもよい。この場合、飲食環境Eに食品3が複数存在する場合、それらの食品3の優先度に基づいて、食品周囲環境情報提供部240Tが飲食環境Eにおける食品環境目標値を決定する。このような構成により、飲食環境Eを、複数の食品3の組み合わせに適した状態に調整できる。
【0107】
(3−4−8)
また、飲食環境情報提供システム200Tは、複数の食品3の組み合わせと、有用情報とを関連付けて記憶する有用情報記憶部を備えていてもよい。この場合、食品周囲環境情報提供部240Tが、複数の食品3の組み合わせに関する有用情報を出力する。このような構成により、複数の食品3の組み合わせに応じた有用情報をユーザー5及び食品提供者等に認識させることができる。例えば、食品周囲環境情報提供部240Tは、火鍋とワインが同時に注文された場合、「火鍋とワインの食事環境を同時に満足する可能性は低いので、注文を再検討した方が好ましいです」等の情報を情報端末400に出力する。
【0108】
<他の実施形態>
以上、実施形態を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【0109】
すなわち、本開示は、上記各実施形態そのままに限定されるものではない。本開示は、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できるものである。また、本開示は、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の開示を形成できるものである。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素は削除してもよいものである。さらに、異なる実施形態に構成要素を適宜組み合わせてもよいものである。