(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-200097(P2019-200097A)
(43)【公開日】2019年11月21日
(54)【発明の名称】管材自動検査装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/952 20060101AFI20191025BHJP
【FI】
G01N21/952
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-94061(P2018-94061)
(22)【出願日】2018年5月15日
(71)【出願人】
【識別番号】308031197
【氏名又は名称】株式会社アセット・ウィッツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】南部 修太郎
(72)【発明者】
【氏名】曽根 賢朗
(72)【発明者】
【氏名】山田 真友
(72)【発明者】
【氏名】小丸山 裕子
(72)【発明者】
【氏名】森田 義則
(72)【発明者】
【氏名】吉高 淳夫
(72)【発明者】
【氏名】宮岸 喜幸
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA44
2G051AB02
2G051BA01
2G051BB01
2G051CA04
2G051CA07
2G051CB01
2G051DA01
2G051DA06
(57)【要約】
【課題】管材自動検査装置の構成の簡略化と小占有面積化を図る。
【解決手段】管材112の一方の開口端部側に配置された光源109と、管材の他方の開口端部側に配置され、可動焦点型ズームレンズを有する撮像手段108とを備え、管材を搬送する管材搬送部は、未検査の管材を載せる管材投入ユニット101、管材の内面画像を取得するために、管材を検査位置に搬送・固定する管材検査ユニット102、及び検査済みの管材を集める管材ストッカーユニット103を備え、管材搬送部は、管材投入ユニットから管材ストッカーユニットに向けて、重力方向に傾斜が設けられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管材の一方の開口端部側に配置された光源と、
前記管材の他方の開口端部側に配置され、可動焦点型ズームレンズを有する撮像手段と
を備えた管材自動検査装置であって、
前記管材を搬送する管材搬送部は、
未検査の管材を載せる管材投入ユニットと、
前記管材の内面画像を取得するために、前記管材を検査位置に搬送・固定する管材検査ユニットと、
検査済みの管材を集める管材ストッカーユニットと
を備え、
前記管材搬送部は、前記管材投入ユニットから前記管材ストッカーユニットに向けて、重力方向に傾斜が設けられていることを特徴とする、管材自動検査装置。
【請求項2】
前記管材投入ユニット及び前記管材検査ユニットに、それぞれ、昇降可能な管材ストッパが配置されており、
前段管材投入ユニットに配置された前記管材ストッパの昇降動作により、前記管材が、前記管材検査ユニットに搬送されるとともに、前記管材検査ユニットに配置された管材ストッパの昇降動作により、前記管材が、前記管材ストッパで停止されることを特徴とする、請求項1に記載の管材自動検査装置。
【請求項3】
前記管材検査ユニットに、昇降可能な管材固定アームが配置されており、
前記管材固定アームの昇降動作により、前記管材が固定されることを特徴とする、請求項2に記載の管材自動検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管材の内面検査に用いる管材自動検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な用途に多様な管材が使われているが、特に、その内面傷が管材の信頼性に大きく影響する管材では、依然として目視検査が行われている。しかし、グローバル化の進展に伴い、生産性の向上が急務となっており、様々な多様な管材において、この目視検査の自動化に対するニーズは極めて大きい。
【0003】
本願発明者等は、上記ニーズに対応した管材自動検査装置を、特許文献1〜3に開示している。
【0004】
図1(a)、(b)は、特許文献1〜3に開示した管材自動検査装置の構成を示した図で、(a)は上面図、(b)は側面図である。
【0005】
図1(a)、(b)に示した管材自動検査装置において、被検査管材112は、管材投入ユニット101から管材検査ユニット102へ搬送される。管材112の一方に、カメラと可動焦点型ズームレンズ108が取り付けられ、その反対側に、光源ユニット109が設置されている。管材112の正面から管材112の内面画像をズームし、ピントを変えながら複数枚撮影して画像取得すると共に、画像解析して良否判定する。
【0006】
良否判定後は、管材ストッカーユニット103へ送られ、良否判定に基づき、良品ストッカー104、不良品ストッカー105へ振り分けられる。
【0007】
これら、管材投入ユニット101、管材検査ユニット102、管材ストッカーユニット103からなる管材搬送部120は、水平な同一平面上に配置される。
【0008】
すなわち、特許文献1〜3に開示した管材自動検査装置は、各ユニット101、102、103が、水平な同一平面上に配置されているため、管材112は、管材投入ユニット101から、押す等の形の管材搬送機構119を用いて、管材検査ユニット102、管材ストッカーユニット103へ順次搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2011−69616号公報
【特許文献2】特開2016−090293号公報
【特許文献3】特願2016−186098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1〜3に開示した管材自動検査装置では、管材投入ユニット101、管材検査ユニット102、管材ストッカーユニット103からなる管材搬送部120が水平に保たれているため、何らかの管材搬送機構を設置する必要がある。
【0011】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたもので、その主な目的は、管材自動検査装置の構成の簡略化及び小占有面積化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の係る管材自動検査装置は、管材の一方の開口端部側に配置された光源と、管材の他方の開口端部側に配置され、可動焦点型ズームレンズを有する撮像手段とを備え、管材を搬送する管材搬送部は、未検査の管材を載せる管材投入ユニット、管材の内面画像を取得するために、管材を検査位置に搬送・固定する管材検査ユニット、及び検査済みの管材を集める管材ストッカーユニットを備え、管材搬送部は、管材投入ユニットから管材ストッカーユニットに向けて、重力方向に傾斜が設けられていることを特徴とする。
【0013】
ある好適な実施形態において、管材投入ユニット及び管材検査ユニットに、それぞれ、昇降可能な管材ストッパが配置されており、管材ユニットに配置された管材ストッパの昇降動作により、管材が管材検査ユニットに搬送されるとともに、管材検査ユニットに配置された管材ストッパの昇降動作により、管材が管材ストッパで停止される。
【0014】
ある好適な実施形態において、管材検査ユニットに、昇降可能な管材固定アームが配置されており、管材固定アームの昇降動作により、管材が固定される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、管材搬送部に重力方向に傾斜を設けることにより、管材を搬送するための機構を省略でき、管材自動検査装置の省スペース化を図ることができる。
【0016】
また、管材を検査する際、管材ストッパと管材固定アームにより、管材を停止・固定することにより、管材の平行度を精度良く保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】(a)、(b)は、従来の管材自動検査装置の構成を示した図である。
【
図2】(a)、(b)は、本発明の管材自動検査装置の構成を模式的に示した図である。
【
図3】本発明の管材ストッパ及び管材固定アームの構成を示した図である。
【
図4】本発明の管材自動検査装置の具体的な構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。また、本発明の効果を奏する範囲を逸脱しない範囲で、適宜変更は可能である。
【0019】
図2は、本発明の一実施形態における管材自動検査装置の構成を模式的に示した図で、(a)は上面図、(b)は側面図である。また、
図3は、本実施形態における管材自動検査装置の要部を示した側面図である。
【0020】
図2(a)、(b)に示すように、本実施形態における管材自動検査装置は、未検査の管材112を載せる管材投入ユニット101、管材112の内面画像取得のために、管材を検査位置に固定する検査ユニット102、及び、検査済みの管材112を集める管材ストッカーユニット103を備えている。また、管材112の内面を撮影するためのカメラ、レンズ等からなるカメラ・レンズユニット(撮像手段)108、管材112の内面を照射する光源ユニット(光源)109を備えている。また、これらの各ユニットを制御する制御盤110及びコンピュータ(画像処理&制御装置)111を備えている。
【0021】
また、カメラ・レンズユニット108の端に、LEDリング照明203を装着し、被検査管材112の管端を照射して鮮明な管端画像が取得できるように構成されている。また、光源ユニット109の端に、集光手段(フレネルレンズ)205が配置されている。
【0022】
また、
図2(b)に示すように、カメラ・レンズユニット108の下方に、カメラ・レンズユニット108を支える支持台204が配置されており、支持台204は、X、Y、Z、及び角度の光軸調整手段を備え、かつ電動で上下左右、前後に移動するように制御される。
【0023】
また、本実施形態では、
図2(a)に示すように、管材112の内面傷自動検査を、管材112の一方の端(A端)から中央部までを撮像する検査ステージAと、他方の端(B端)から中央部までを撮像する検査ステージBの2回に分けて行う構成例を示す。
【0024】
また、
図2(b)及び
図3に示すように、管材投入ユニット101、管材検査ユニット102、及び管材ストッカーユニット103には、それぞれ、昇降可能な管材ストッパ121、122、123が配置されている。また、
図3に示すように、管材検査ユニット102には、昇降可能な管材固定アーム130が配置されている。
【0025】
本実施形態における管材自動検査装置では、まず、被検査管材112の品種名(口径)とロット番号を入力する。次に、被検査管材112を投入し、管材112が検査ユニット102に配置されると、まず、管材112の管端画像が取得される。次に、その管端画像から被検査管材112の直径値を計測し、その直径値が予め管材112の品種毎に設定された規定値になるように、カメラ・レンズユニット108を前後に微移動し、カメラ・ズームレンズと被検査管材112の管端との距離が規定値になるように調整する。
【0026】
次に、管材112の管端画像を画像解析し、管材112の中央座標を計測する。予め、管材自動検査装置には、被検査管材112の品種毎に、複数の必要な管材112の内面画像取得位置と焦点が合う画像範囲が設定されているため、入力した品種名(口径)より、自動的に被検査管材112の取得画像の、焦点の合った範囲を切り出し、画像処理して合否判定される。
【0027】
本実施形態における管材自動検査装置によれば、
図2(b)、
図3に示したように、管材投入ユニット101、管材検査ユニット102、及び管材ストッカーユニット103からなる管材搬送部120に、重力方向に傾斜(傾斜角度=α)を設けることにより、管材112を搬送するための機構を省略でき、管材自動検査装置の省スペース化を図ることができる。
【0028】
また、管材投入ユニット101に配置された管材ストッパ121の昇降動作により、管材112が、管材検査ユニット102に搬送されるとともに、管材検査ユニット102に配置された管材ストッパ122の昇降動作により、管材112を管材ストッパ122で停止させることができる。さらに、管材検査ユニット102に配置された管材固定アーム130の昇降動作により、管材112を固定させることができる。これにより、管材112を検査する際、管材112の平行度を精度良く保つことができる。
【0029】
次に、本実施形態における管材自動検査装置を用いて、クリーン鋼管(管材)の内面傷を自動検査する実施例について説明する。なお、本実施形態における管材自動検査装置が対象とする被検査管材は、鋼管以外に、ポリ塩化ビニル、プラスチック、樹脂、ゴム等の円筒形であれば全て可能である。なお、
図4は、管材自動検査装置の具体的な構成を示した図である。
【0030】
管材112は、長さ4.0〜4.1m,外径6.35〜12.7mm,肉厚は、1.00mm〜1.24mmのクリーン鋼管で、材質はステンレスで、内面の特殊加工は電解研磨による鏡面仕上げ(EPグレード)か、光輝焼鈍による表面仕上げ(BAグレード)がされている。外径や肉厚、長さに関しては、検査対象の管材112に合わせた光学系(拡散光源やカメラ、レンズなど)と自動検査装置を用意すれば、外径5.00〜450.0mm,肉厚1.00〜12.7mm,長さ3.5〜4.5mまで対応することができる。
【0031】
本実施例では、鋼管を保持しておくストッカーとして、未検査鋼管用の管材投入ユニット101、検査済鋼管用の管材ストッカーユニット103を備える。管材ストッカーユニット103は、良品鋼管用の良品ストッカー104と、不良鋼管用の不良品ストッカー105とを備え、良品ストッカーと不良品ストッカーは設置高さを異なるようにしている。
【0032】
本実施例で使用した管材自動検査装置の各機材は次の通りである。カメラ・レンズユニット108のズームレンズは、焦点距離8〜136mm,最大口径比1:1.6,ズーム比17倍,包括角度43.6°×33.4°から2.7°×2.2°,絞りF1.6〜Closeのものを用いた。また、接写リングは、厚さ1.5mm,カメラ・レンズユニット108のカメラはCMOSカメラで、最大解像度648×488〜2592×1944のものを用いた。また、拡散光源には白色LED面光源を使用した。集光手段205には、焦点距離35mm,φ175mm,ピッチ0.25mmのフレネルレンズを用いた。拡散光源(白色LED面光源)と集光手段205(フレネルレンズ)との間は焦点距離の35mmに設定した。
【0033】
検査ユニット102は、一方の管端(A端)から検査する第1検査ユニット(検査ステージA)と、もう一方の管端(B端)から検査する第2検査ユニット(検査ステージB)を備える。第1検査ユニットは、A端側にカメラ・レンズユニット108とリング照明203,B端側に光源ユニット109として白色LEDとフレネルレンズ205が配置される。また、管材112,カメラ・レンズユニット108,光源ユニット109がそれぞれ平行になるように設置する。
【0034】
第2検査ユニットは、第1検査ユニットと逆の配置にする。管材自動検査装置は、コンピュータと連携して空気圧によって制御し搬送動作を行う。それに連動してカメラ、ズームレンズ、拡散光源もコンピュータから同時に制御している。
【0035】
管材自動検査装置の開始ボタンが押されると、第1管材ストッパ121が下降する。管材搬送部120は、傾斜角度(α=10度)を設定しているため、管材112は、管材投入ユニット101から第1検査ユニットへ搬送される。管材112が移動後、次の管材112が続いて搬送されないように、第1管材ストッパ121を上昇させる。
【0036】
検査ユニット102では、管材112の固定のために、
図3に示すように、斜め上方から管材固定アーム130を下降させる。
【0037】
管材112を搬送後、A端の管端画像を撮影し、管端設置位置を調整する。位置調整が完了後、管材自動検査装置は、コンピュータへ、A端検査開始の指令を送信し検査する。A端側の検査が終了すれば、その指令を管材自動検査装置へ伝える。
【0038】
次に、第2管材ストッパ122を下降させ、第1検査ユニットの鋼管を、第2検査ユニットへ搬送すると同時に、第1管材ストッパ121を下降させ、管材投入ユニット101の鋼管を、第1検査ユニットへ搬送する。搬送後、上記動作を繰り返す。
【0039】
両端の検査が終われば、コンピュータは検査終了の指令を、管材自動検査装置へ伝え、管材自動検査装置は、第1管材ストッパ121を下降させて、管材投入ユニット101の鋼管を第1検査ユニットへ、第2管材ストッパ122を下降させて、第1検査ユニットの鋼管を第2検査ユニットへ、また、第3管材ストッパ123を下降させ、第2の検査ユニットから、良品ならば良品ストッカーへ、それ以外は不良品ストッカーへ、それぞれ同時並行して搬送する。
【0040】
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、もちろん、種々の改変が可能である。
【符号の説明】
【0041】
101 管材投入ユニット
102 管材検査ユニット
103 管材ストッカーユニット
104 良品ストッカー
105 不良品ストッカー
108 カメラ・レンズユニット(撮像手段)
109 光源ユニット(光源)
110 制御盤
111 コンピュータ(画像処理&制御装置)
112 管材
119 管材搬送機構
120 管材搬送部
121、122、123 管材ストッパ
130 管材固定アーム
203 リング照明
204 支持台
205 集光手段(フレネルレンズ)
α 傾斜角度