【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの実施形態では、標準化された穴付きプレートの群から選択された穴付きプレートを上に載置可能であり、液体の蒸発特性を決定するための標準化された試験を実施するために穴付きプレートの上に載置された液体を含む容器を加熱するように構成された加熱部と、加熱部を(たとえば垂直に上方に向かって)移動させ、加熱部の上に載置された穴付きプレートの容器に対する圧着力が閾値に達したときに、加熱システムのそれ以上の移動を中断するように構成された特に電気式の移動システムとを有する、液体の蒸留測定を準備する装置が提供される。
【0008】
本発明は、さまざまな規格(たとえばASTMD86)に基づいて液体の、特に石油製品や溶剤などの沸騰挙動を決定することができる自動(または大気)蒸留ユニット(ADU)の分野に属する。その場合、規格化された試料容器が、いわゆるフラスコが下方から加熱され、その際に発生する蒸留物が液化器または凝縮器を介して受容容器に運び出される。液体の蒸留挙動は、特に、温度測定によって特徴づけられる。
【0009】
蒸留測定は、たとえばASTM規格やISO規格などの規格に基づく標準化された試験を含むことができる。
【0010】
適用可能な標準試験の厳密に事前規定された指針に基づき、本発明の実施形態では、試料の所定の容積が試料容器(たとえばフラスコ)の中に充填され、閉止をする装置によって試料容器が閉止される。そして試料が定義された条件のもとで加熱され、それにより試料の一部が蒸発する。蒸気が凝縮器ラインで冷却され、凝縮物がシリンダに集められる。試験の実施中、温度測定システムによって蒸気の温度と時間が記録される。標準化された自動蒸留試験の結果として、たとえば次のようなパラメータを得ることができる。
−初期沸点、すなわち蒸留物の最初の液滴が受容シリンダに滴下する温度
−最終沸点、すなわち蒸留中の最高温度
−受容シリンダに受容された蒸留物の容積全体
−蒸留容器に残った試料の残留物
−乾点、すなわち蒸留物の最後の液滴が容器の底面から蒸発した温度
−蒸留曲線
【0011】
蒸留曲線は、受容シリンダの中の相対的な回収容積に対して温度がプロットされることによって得ることができる。蒸留曲線から、たとえば最高温度と最低温度の間の差異として、試料の沸騰範囲を導き出すことができる。
【0012】
特に本発明の実施形態は、それぞれ出願日付で有効な版におけるASTMD86(グループ0から4)、ISO3405、IP123、BS2000−123などの石油製品の蒸留についての標準試験の実施に好適である。
【0013】
さらに本発明の実施形態は、ASTMD1078、IP95、BS2000−195、ASTMD850などの溶剤の蒸留についての標準試験を実施するのに好適である。試験の実施の結果として、検査された試料のそれぞれの蒸留曲線、ならびにたとえば乾点を得ることができる。上に挙げた試験は、少なくとも、それぞれ出願日付で有効な版の標準試験のために実施可能である。
【0014】
たとえば本発明の実施形態は、たとえば20℃から400℃の間の沸騰範囲を有する試料の標準化された試験をサポートすることができる。特にASTMD86、ASTMD850、ASTMD1078などの標準をサポートすることができ、ならびにISO3405、IP123、IP195をすべてそれぞれ出願日付で有効な版においてサポートすることができる。これらの標準試験についての仕様はASTM(たとえばwww.ASTM.org)で入手することができる。本発明の実施形態では、0℃から450℃の蒸気温度範囲と、0℃から80℃の凝縮器温度範囲と、0℃から50℃のチャンバ温度範囲とをサポートすることができる。さらに大気圧センサが、標準圧力に合わせて結果を自動的に修正することを可能にする実施形態で含まれていてよい。
【0015】
特に、本発明の実施形態は石油製品を特徴づけるために設計され、特に、海水の脱塩設備、飲料水前処理のための設備、排水の浄化設備、炭化水素の処理のための化学設備、回転気化器、生体物質を処理するための蒸留設備などとは相違する。特に本発明の実施形態は標準化された蒸留器具、特に大気圧のもとでの自動蒸留器具を液体試料ために、特に鉱物油製品の試料のために提供し、蒸留パラメータの測定は、上にいくつかの例を掲げた複数の可能な標準から選択される事前定義された試験標準に基づいて実施される。
【0016】
代替的な実施形態では、低減された圧力のもとで、または真空のもとで、蒸留パラメータを測定するための標準化された蒸留器具が提供されていてよい。
【0017】
穴付きプレートは絶縁性材料から製作されていてよく、円形である中央の穴または中央の切欠きを有することができる。穴付きプレートにある円形の切欠きの直径は、容器の、特に丸底フラスコの直径より小さくなっていてよい。穴付きプレートは、1つまたは複数のクリップ、ねじ機構、磁性部材などによって、加熱部と可逆的に結合可能であってよい。容器は、特にガラス丸底フラスコは、特に加熱部の上に穴付きプレートが載置された後に、円形の切欠きの縁部が球表面の外側表面に、特に帯状部に接触して、穴付きプレートの平面よりも下方にある丸底フラスコの事前設定された部分が加熱部の加熱部材に対して相対的に事前設定された位置にあることを実現するように、穴付きプレートの上に載置することができる。このように、容器の内部にある液体の加熱を、1つまたは複数の定義された規格または標準に基づいて実現することができる。加熱部は電気式の加熱部材を含むことができる。
【0018】
液体は、特に鉱物油製品または鉱物油製品の混合物もしくはたとえば原油であってよい。液体のその他の例は、たとえばインキ産業で顔料を分散させるために使用される溶剤である。
【0019】
移動システムは、加熱部を移動させるための駆動部として利用される、特に電気式のコンポーネント、たとえば電気モータ、特にステッピングモータを含むことができる。スイッチの操作後、円形の開口部を区切っている穴付きプレートの縁部が丸底フラスコに下方から円形に接触し、圧着力が閾値に達するまで、電気式の移動システムが加熱部を自動的に上方に向かって移動させる。(電気式の)駆動システムの始動後の利用者による手動での介入が不可欠である必要はない。このように本装置は、加熱部の上に穴付きプレートが載置された後、加熱システムをフラスコに向かって移動させ、引き続いて利用者のその他の手動での介入なしに、液体の蒸発特性を決定するための少なくとも1つの標準に基づく試験を準備し、次いで実施することができるように構成されていてよい。
【0020】
移動システムは、特に加熱部を(上方に向かって)移動させるために、すなわち上方に向かって動かすために、利用者の手動での介入を必要としない。各コンポーネントの損傷を回避する適切な速度で、たとえば一定の速度で加熱部を動かす、(特に電気式の)移動システムが構成されていてもよい。移動システムは、たとえば穴付きプレートとフラスコの間の距離が比較的大きい場合、まず比較的高い移動速度を意図し、穴付きプレートとフラスコの間の距離の減少に伴ってこの移動速度が連続的または段階的に低下していくように構成されていてもよい。それに伴い、損傷のリスクを包含することなく、迅速な準備を実現することができる。
【0021】
何らかの使用されるコンポーネントが、特に穴付きプレートおよび/または容器が、(特に事前に選択された)標準試験と適合的ではない場合、本装置はこのような不適合性を音響式および/または光学式に表示することができる。さらにそのようなケースでは、通常動作では当該試験をサポートするコンポーネントを、たとえば加熱部自体、温度測定システム、評価システム、表示システムなどを相応に制御することで、標準化された試験の実施を妨げることができる。
【0022】
それに伴い、標準化された試験の迅速な準備を実現することができ、不適当なコンポーネントが使用されているときには警告を表示することができ、それにより操作エラー、特に不適当な仕方での以後の試験ステップの実施を防止することができる。
【0023】
本発明の実施形態では、移動システムは、加熱部が保持される移動可能な支持体システムを含んでいる。このとき本装置は、支持体システムの移動経路に沿った長さおよび/または位置についての指標量を、特にステッピングモータのステップの数を、監視および/または決定するように構成されていてよい。
【0024】
支持体システムは移動可能であり、特に電気式に移動可能であり、特に垂直に上方に向かって可動であり、特に電気モータによって運動するように駆動される。支持体システムは、たとえば加熱部を担持し、支持し、または保持するために、たとえばアーム、ロッド、テーブル、またはこれらの組み合わせを含むことができる。支持体システムは複数のコンポーネントを含むことができ、たとえば駆動モータと(たとえばスピンドルを介して間接的に)係合するコンポーネントと、加熱部を保持または支持する第2のコンポーネントとを含む。第1のコンポーネントと第2のコンポーネントは固定的な結合によって機械的に結合されていなくてよく、力測定のために援用することができる、たとえば特に渦巻ばねなどのばねのような弾性的な結合部を介して結合されていてよい。圧着力は、たとえば渦巻ばねなどのばねの変形に基づいて、またはたとえば圧電素子を通じて測定することができる。閾値は、固有の用途または標準化された試験に準じて、たとえば使用する容器および/または使用する穴付きプレートに依存して設定することができ、または、複数の異なる標準化された穴付きプレートについて、および複数の異なる標準化された容器について適用可能であってよい。特に閾値は、事前設定された試験標準に準ずる所定の圧着力に相当または一致していてよい。
【0025】
支持体システムの移動中、支持体システムの移動経路に沿って位置が変化していく。この移動経路は、たとえば線形すなわち直線状の移動経路であってよく、たとえば厳密に垂直に上方に向かっていてよい。移動経路は1つまたは複数のレールによって、および/またはモータで駆動されるスピンドルによって定義されていてよい。圧着力は、穴付きプレートとフラスコまたは容器との間の垂直方向の力であってよい。
【0026】
支持体システムが加熱部および穴付きプレートとともに容器(の下側の端部)に向かって移動する前に、容器は、下側の容器領域を、特にガラス丸底フラスコを保持することなしに、上側端部のところで1つまたは複数の保持部材によって(固定的な位置で)保持されていてよい。このように容器の下側部分は、その他の保持部材なしであってよい。特に容器の下方のスペースが空いていてよく、それにより、加熱部が穴付きプレートとともに危険なしに下方から容器に接近することができる。容器の上側領域での保持は、閾値に準ずる圧着力に耐えられる程度の強さであってよい。
【0027】
支持体システムの移動経路の位置についての指標量は、たとえば長さ単位で与えられていてよく、またはステッピングモータの回転の数で、または電圧などによって表すことができる。位置はたとえば初期位置などの基準位置に対して相対的に、ミリメートルなどの長さ単位の長さ表示によって、またはステッピングモータもしくはその他の電気モータが完全に行ったステップまたは回転の数の表示によって定義されていてよい。支持体システムの移動経路に沿った長さについての指標量は、たとえば基準位置と支持体システムの現在の位置との差異によって規定されていてよい。支持体システムの位置は、たとえば特定のコンポーネントの位置、または支持体システムの特定のディテールの位置を基準とすることができる。特に支持体システムの位置は、モータによって、特に電気モータによって一次的に移動する第1のコンポーネントの位置、または、たとえば弾性部材によって支持体システムの第1のコンポーネントと弾性的に結合された第2のコンポーネントの位置を基準とすることができる。
【0028】
本発明の実施形態では、本装置は、支持体システムを初期位置を起点として、特に事前設定された初期位置を起点として、圧着力が閾値に達する支持体システムの最終位置まで移動させるように構成され、初期位置に割り当てられる、移動経路に沿った位置についての指標量は第1の値を有し、最終位置に割り当てられる、移動経路に沿った位置についての指標量は第2の値を有し、本装置は、第1の値と第2の値の差異をその際に進んだ移動経路長について指標となる差異値として計算するように構成される。
【0029】
支持体システムの最終位置は、穴付きプレートが容器に完全に接近移動しており、それにより穴付きプレートの穴の縁部が容器を部分的に包囲するとともに、外壁が特に円形に接触している状態に相当することができる。穴の縁部と容器の外側表面との間の接触を通じて、閾値に準ずる圧着力が最終位置で伝えられる。初期位置は、以前に進んだ移動経路全体の途中の何らかの位置であってよく、特に事前定義された初期位置であってよい。初期位置は最終位置よりも低く位置する。相応の準備方法を実施するために、(電気式の)移動システムは少なくとも、加熱部を(穴付きプレートとともに)上方に向かって移動させるように構成される。
【0030】
たとえば標準化された試験が成功裡に実施された後に、穴付きプレートおよび/または容器を交換できるようにするために、移動システムは、加熱部を(穴付きプレートとともに)再び下方に向かって移動させ、特に初期位置へ、特に初期位置へ戻すように構成されていてもよい。復帰移動の速度は、穴付きプレートを容器からゆっくりと離すために、最初は比較的低くてよく、このことは容器の損傷を回避する。引き続いて、他のコンポーネントを損傷させることなく、復帰移動の速度を上昇させることができる。別の実施形態では、復帰移動中の速度は実質的に一定である。しかしながらこの速度は、たとえば上昇移動中の速度よりも高速であってよい。
【0031】
このように差異値は、初期位置と最終位置の間の移動経路長について指標となる。特に差異値は、異なる穴付きプレートが使用される場合に相違していてよく、および/または異なる容器が使用される場合にも相違していてよく、特に、容器と穴付きプレートの異なる組み合わせが適用される場合にそれぞれの組ごとに相違していてよい。このように特定の差異値に基づき、穴付きプレートと容器の適用される組み合わせを曖昧さなしに規定可能であってよい。このように本装置は、穴付きプレートと容器の適用される組み合わせと、事前に選択された標準試験との適合性の存在または非存在を決定し、適合性が存在しない場合にはたとえば警告を出力するように構成されていてよい。このように、特定の標準化された試験を誤ったコンポーネントで実施するのを回避することができる。
【0032】
本発明の実施形態では、さらに本装置は、差異値に基づいて、さらには特に容器の型式および/またはサイズおよび/または識別名に基づいて、穴付きプレートの型式および/またはサイズおよび/または識別名を推定し、および/または音響式および/または光学式の表示システムを通じて表示し、および/または差異値に基づいて穴付きプレートの型式および/またはサイズおよび/または識別名を推定し、および/または音響式および/または光学式の表示システムを通じて表示し、および/または容器の型式および/またはサイズおよび/または識別名を推定し、および/または音響式および/または光学式の表示システムを通じて表示するように構成される。
【0033】
容器の型式は、たとえば製造者やモデルなどの型式名称によって定義されていてよい。サイズは、たとえば球形の丸底フラスコの直径によって、または容器の容積若しくは収容能力によって定義されていてよい。容器の識別名は、容器の一義的な識別表示を含むことができる。これらの量が穴付きプレートについても定義されていてよい。穴付きプレートのサイズは、たとえば穴付きプレートの内部の円形の切欠きのサイズ、たとえば直径によって定義されていてよい。このように本装置は少なくとも、特定の移動経路から、または特に移動経路についての少なくとも1つの指標量から、特に差異値に基づいて、穴付きプレートが加熱部の上に配置されたか否か、複数の標準化された試験のうちのいずれと適合的であるか、いずれの試験を事前に選択することができるかを決定するように構成されていてよい。
【0034】
本発明の実施形態では、さらに本装置は、標準化された試験の選択肢の中から実施されるべき所望の試験を利用者に選択させ、および/または選択された穴付きプレートを加熱部の上に載置することを利用者に許可し、および/または特定の穴付きプレートおよび/または進んだ移動経路長が選択された試験と適合的でない場合には、加熱システムの移動後に中断がなされるまで警告を出力するように構成される。このようにして、選択された所望の標準化された試験が、実際に当該試験に割り当てられているコンポーネントによって実施されることを保証することができる。
【0035】
本発明の実施形態では、移動システムは電気式のステッピングモータと、ステッピングモータによって駆動される、または駆動可能である、特にレールに沿って(またはこれと平行に)配置された(またはこれと平行な)スピンドルとを有する。このように、従来から利用可能であるコンポーネントを本方法の具体化のために利用することができ、本装置の具体化のために適用することができる。ステッピングモータは定義された運動ステップを的確に実行できるように構成されていてよく、運動ステップは特定の角度範囲内での回転を含む。そしてステッピングモータの1つのステップは、特定の角度範囲を中心とするスピンドルの回転に相当し、この角度範囲は、1つのステップの運動時にモータによって実行された角度範囲と必ずしも同じでなくてもよい。任意選択として、ねじ山がステッピングモータとスピンドルの間に設けられていてよい。スピンドルと係合する歯付きレールなどのその他のコンポーネントが、スピンドルの回転時に移動経路に沿って、特に垂直に上方に向かって直線運動を行うことができる。このようにモータの1つのステップは、スピンドルに沿った定義された変位すなわち定義された変位経路または定義された変位経路長に相当することができる。このように、たとえば監視される電気モータのステップの数に基づいて、歯付きレールの変位経路長を推定することができる。歯付きレールは、たとえば支持体システムを移動させることができ、または支持体システムと結合されていてよい。
【0036】
特に支持体システムは、加熱部が支持される支持部材を有することができ、さらに、駆動をするためにスピンドルと係合し、特にレールによって案内される移動部材を有することができる。さらに支持体システムは力測定装置を有することができ、この力測定装置を介して支持部材が移動部材と連結される。特に移動部材は、スピンドルと係合してスピンドルの回転運動を直線運動に変換する歯付きレールを含むことができる。支持部材は移動部材と固定的な機械的結合をするのではなく、弾性部材(たとえば力測定装置の内部に含まれる)を介して結合される。移動経路の測定、または移動経路の位置および/または長さについての指標量の測定は、支持部材および/または移動部材のこれらのパラメータの測定を対象とすることができる。特に移動部材をそのために援用することができ、それは、移動部材がモータによって一次的に(すなわち固定的な機械要素を介して直接的に)移動するからである。支持部材は、力測定装置と移動部材の仲介のもとで間接的に移動するにすぎない。このように、支持部材は移動部材と弾性作用により結合されていてよい。支持部材がそのように構成される場合、加熱部の移動に加えて、穴付きプレートと容器との間の定義された圧着力を調整できるようにするために、あるいはそれと同時に各コンポーネントの損傷や破損を回避するために、力測定も可能となる。
【0037】
本発明の実施形態では、力測定装置は、一方の端部が移動部材に取り付けられるとともに他方の端部が支持部材に取り付けられたばねと、ステッピングモータと連結された光バリアとを有し、ばねは力が閾値にあるとき定義された区間だけ圧縮され、それによって光バリアが作動して、移動システムを停止させる。
【0038】
ばねは、たとえば渦巻ばねまたは板ばねまたはこれらの組み合わせを含むことができる。ばねは、移動部材を支持部材と結合する弾性部材となる。加熱部が容器に接近したときに、まず、穴付きプレートの切欠きの縁部が容器の下側部分の外側表面に接触することができる。そして本装置は、加熱部をこれに載置された穴付きプレートとともに引き続き上方に向かって移動させ、その結果、穴付きプレートの切欠きの縁部が常に大きくなっていく力をもって容器の外側縁部に圧着され、そのためにばねが次第に大きく変形し、特に圧縮される。ばねの圧縮が増すにつれて光バリアの切換板が近づいていき、十分に強い圧縮となったときに光バリアを遮断することができる。ばねの圧縮は、特に圧縮ストロークは、線形の関係(フックの法則)を通じて圧着力と結びつき、または組み合わされていてよい。このことは、ばねの特性曲線または事前のキャリブレーションによって決定することができる。光バリアが遮断されたとき、ステッピングモータへのエネルギー供給を遮断することができ、または任意選択としてブレーキを利用することができる。それに伴い、支持体システムの最終位置での目標位置または目標状態が達成されていてよい。磁石固定や機械的な固定など、さらに別の固定方策を講じることができ、それにより、こうして達成された要求される圧着力の状態を維持する。そして、システムが警告を出力していない場合には、必要な試験条件が整っているという確証をもって、標準化された試験を実施することができる。
【0039】
代替的な実施形態では、ばねに代えてエラストマーを弾性部材として使用することができる。
【0040】
本発明の実施形態では、穴付きプレートおよび/または容器は次の標準化された試験のうち少なくとも1つと適合的である。それぞれ少なくとも出願日付で有効な版における、ASTMD86、ASTMD850、ASTMD1078、またはISO1078。
【0041】
穴付きプレートおよび/または容器は、一般的な態様では、次の規格または標準化された試験と適合的であってよい。
燃料の蒸留について、規格ASTMD86、ISO3405、IP123、BS200−123、JISK2254、GOST2177
溶剤の蒸留について、規格ASTMD1078、IP195、BS2000−195、ASTMD850、ISO918、BS4591、JISK0066、ISO4626
コークス残滓を決定するための蒸留残滓の提供について、規格ASTMD524、IP14、BS2000−14、ISO4262、ASTMD4530、ISO10370
【0042】
本発明の実施形態では、少なくとも1つの標準化された試験に基づいて液体の蒸発特性を決定するための液体分析システム、特に自動蒸留ユニットが提供され、開口部を含む、特に凝縮器へと通じる分岐部を含む容器と、容器を閉止する装置とを有しており、この装置は、特に容器内部の液体の蒸気温度を測定するための、ロッドおよび温度測定プローブを含む少なくとも1つの温度測定システムと、温度測定プローブが容器の内部に配置されるようにロッドの一部が挿通される貫通孔を含む、容器を閉止するための閉止部分と、任意選択として、補助装置の対応部材と嵌め合い可能である、閉止部分の上方でロッドの長手方向に対して横向きに閉止部分から突出する担持部分とを有しており、先行請求項のうちいずれか1項に記載の液体の蒸留測定を準備する装置と、加熱部の上に載置可能である、特に複数の標準化された穴付きプレートとを有している。
【0043】
温度測定システムは、特に容器の内部の特定の位置で液体の気相の温度を決定するために構成された1つまたは複数の温度測定プローブ、たとえば温度測定プローブ、特にPt100測定プローブを有することができる。そのために、特にねじ機構によって、第1の温度測定プローブの垂直方向の位置を調整可能であってよい。さらに別の第2の測定プローブが、たとえば乾点を決定できるようにするために、容器の底面で温度を測定するために設けられていてよい。
【0044】
閉止部分は容器を蒸気密閉式に閉止することができるが、それと同時に温度測定をサポートすることができる。さらに、容器を閉止する装置は、たとえば1つまたは複数の温度測定プローブからのキャリブレーションデータを保存できるようにするために、および/またはデジタル信号への変換のような測定データの前処理を可能にするために、ハウジングによって区切られる内部空間の内部に、評価エレクトロニクスと電子式の記憶装置とを有することができる。さらに、特にデジタル形式の測定データを無線式または有線式に外部の評価ユニットへ伝送するために、閉止をする装置の内部空間の内部の電子回路の内部に通信インターフェースが設けられていてよい。
【0045】
任意選択の担持部分は、容器を閉止する装置が容器開口部の中へ押し込まれたとき、容器全体を保持して担持することができる。特に担持部分は、容器を閉止する装置が容器開口部の中へ完全に押し込まれたとき、容器を定義された(特に垂直方向の)位置で保持することができる。このような容器の定義された垂直方向の位置について、容器へと向かう穴付きプレートの移動の定義された移動経路または定義された事前に既知の移動経路長が、特定の組み合わせの穴付きプレートおよび/または容器について事前に既知であってよい。容器の下面に加熱部が完全に接近した後の実際の移動長が、この事前に既知の移動長に相当していないときは、適切でない穴付きプレートおよび/または適切でない容器が使用されているなど、誤装填が生じていると推定することができる。このことを利用者に表示することができ、これを受けて利用者は穴付きプレートおよび/または容器を正しいコンポーネントと取り替えることができる。
【0046】
液体の蒸留測定を準備する装置との関連で、または液体分析システムとの関連で、それぞれ何らかの組み合わせとして個別に記載、説明、または提示されている各構成要件は、本発明の各実施形態に基づき、同様に何らかの組み合わせとして個別に、液体の蒸留測定を準備する方法にも適用することができ、その逆も成り立つと理解されるべきである。
【0047】
本発明の実施形態では、液体の蒸留測定を準備する方法が提供され、標準化された穴付きプレートの群から穴付きプレートが選択されることと、液体の蒸発特性を決定するための標準化された試験を実施するために穴付きプレートの上に載置された液体を含んでいる容器を加熱するために構成された加熱部の上に穴付きプレートが載置されることと、加熱部が(たとえば上方に向かって)容器のほうへ移動することと、加熱部の上に載置された穴付きプレートの容器に対する圧着力が閾値に達したときに移動が中断されることとを有する。
【0048】
次に、本発明の実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。本発明は、図示または記載されている実施形態のみに限定されるものではない。