【課題を解決するための手段】
【0005】
ASDの診断は、典型的には、精神障害の診断と統計の手引きに詳述される基準を使用した子供の慎重な査定の後にのみ、発達小児科医および他の専門家によってなされる。信頼できる診断はしばしば、発達小児科医、神経病学者、精神科医、心理学者、発話と聴力の専門家および作業療法士などの複数の専門家による対象の集中的な査定を要する。さらに、親がASDを疑う平均年齢が20ヶ月もの早期であるという事実にもかかわらず、ASD診断の年齢中央値は54ヶ月である。CDC(疾病管理センター)によれば、ASD診断と判断された子供のうち18%しか36ヶ月齢までに同定されないことが観察されている。残念なことに、診断未確定のASDに罹っている若年の子供は、小児期の発達の重要な期間中に早期の治療的介入から利益を得る機会を失う。ASDリスクを確実に決定するための、特に、治療的介入がより有効になる可能性が高い場合により早期により若年の子供を同定するための医療診断試験が必要である。
【0006】
本発明の実施形態は、集団内および集団全体にわたり測定された代謝産物などの分析物の分布曲線の分析は、ASDなどの状態または障害のリスクを予測するための分類器を構築または改善するのに利用できる情報を提供するという発見から生じたものである。特に、血液中の代謝産物レベルの集団分布曲線の分析は、対象における自閉症スペクトラム障害(ASD)のリスクの予測を容易にする。例えば、血液中の代謝産物レベルの集団分布曲線の分析は、対象において自閉症スペクトラム障害(ASD)と、自閉症スペクトラム障害に起因しない発達遅延(DD)などの非ASD発達障害とを識別するのに使用することができる。
【0007】
2つの群を識別するバイオマーカーの統計学的分析は通常、2つの集団は、それらの平均バイオマーカーレベルの点で異なっており、この平均周辺の変動は、ガウス分布によって最もよく特徴付けられる実験上および/または集団の変動に起因すると仮定する。このベースラインモデルに反して、本明細書では、一部の分析物について、ただしそれ以外のものには当てはまらないが、ASD、または時にはDDにおける分布は、複数の下位分布、すなわち本質的に他の健康状態と識別されていないある下位分布(例えば、ASD分布とDD分布とが識別されていない場合)、および対象の少数派において平均からかけ離れている別の下位分布、例えばその集団について組み合わされた分布の「テール」でそれ自身構成されていることを最大の特徴とすることが観察されている。この見識は、ベースラインとは著しく異なる分析の枠組みをもたらすものであり、ある特定の分析物について、集団分布の上位または下位部分に基づいて閾値を定義することによって、例えば、基準となるガウス分布モデルを必要としないランキングを確立することによって、より優れた結果が達成されることが見出されている。
【0008】
したがって、本明細書において、ある代謝産物に関する代謝産物レベルの分布曲線の遠位部分において特定の集団(例えば、ASDまたはDDのいずれか)からの試料の濃縮がみられる場合、その代謝産物は、「テール濃縮」または「テール」効果を表すと説明される。代謝産物の分布曲線におけるテール効果の存在、非存在、および/または方向(より高いまたはより低い)の査定からの情報は、ASDのリスクを予測するために利用することができる。特定の代謝産物に関して、分布曲線の上位または下位部分(例えば、十分位数)に対応する、すなわち分布曲線の「テール」内(「右テール」中または「左テール」中かどうかにかかわらず)の代謝産物レベルは、ASDの存在または非存在について高い情報的価値があることが発見された。
【0009】
さらに、オーバーラップする相互情報量の程度が低い複数の代謝産物が取り入れられるため、リスク予測は改善されることが見出されている。例えば、ASDの査定のために、相補的な診断/リスク査定情報を提供する代謝産物の特定の群が存在する。すなわち、第1の代謝産物のレベルの分析によって同定可能なASD陽性個体(例えば、第1の代謝産物の同定されたテール内の個体)は、第2の代謝産物の分析によって同定可能なASD陽性個体と同じではない(または低いがゼロではない程度のオーバーラップが存在する可能性がある)。特定の理論に縛られることは望まないが、この発見は、ASDそれ自身の多面的な性質を反映している可能性がある。
【0010】
したがって、ある特定の実施形態において、リスク査定方法は、対象が複数の代謝産物を含む多数の同定された代謝産物テールのいずれかに当てはまるかどうかを同定するステップ、例えば、異なる代謝産物テールの予測変数が少なくとも部分的に排反する場合、例えば、複数の代謝産物が低い相互情報量で取り入れられることによってリスク予測が改善されるように、それらが低い相互情報量を有する場合を同定するステップを包含する。分類器は、予め決定されたレベルの予測可能性を、例えばAUC、すなわち、その分類器についての真陽性率(感度)に対して偽陽性率(1−特異度)をプロットしたROC曲線下の面積の形態で有しており、テール効果を表す分類器に代謝産物が低い相互情報量で追加されるとAUCは増加する。
【0011】
一部の実施形態において、本発明は、血液中の代謝産物レベルのある特定の閾値の値は、対象における自閉症スペクトラム障害(ASD)のリスク予測を容易にするのに使用できるという発見から生じたものである。ある特定の態様において、代謝産物の分布曲線におけるテール効果の存在、非存在、および/または方向(より高いまたはより低い)の査定から推測された代謝産物のこれらの閾値の値は、ASDのリスクを予測するのに利用される。ある特定の態様において、これらの閾値の値は、集団における代謝産物レベルの分布における上端または下端のいずれかに存在し得る。特定の代謝産物に関して、上の閾値の値を超えるおよび/または下の閾値の値を下回る代謝産物レベルは、ASDの存在または非存在について高い情報的価値があることが発見された。
【0012】
一部の実施形態において、これらの代謝産物のレベルは、ASDを他の形態の発達遅延(例えば、自閉症スペクトラム障害に起因しない発達遅延(DD))と区別することにおいて有用である。
【0013】
一態様において、本発明は、対象において自閉症スペクトラム障害(ASD)と非ASD発達遅延(DD)とを識別する方法であって、(i)対象から得られた試料に由来する複数の代謝産物の第1の代謝産物のレベルを測定するステップであって、第1の代謝産物の集団分布が、ASDを有する対象の第1の集団および非ASD発達遅延(DD)を有する対象の第2の集団において前もって特徴付けられ、ここで第1の代謝産物は、ASDテール効果および/またはDDテール効果を表すことが予め決定されており、各テール効果は、対応する(ASDまたはDD)集団のメンバーで濃縮された関連する右テールまたは左テールを含み、ここで第1の代謝産物は、右テールを有するASDテール効果を表し、試料中の第1の代謝産物のレベルが第1の(ASD)集団のメンバーで濃縮された右テールを定義する予め決定された上の(最小の)閾値より大きい場合、試料中の第1の代謝産物のレベルはASDテール内であり、ここで第1の代謝産物は、左テールを有するASDテール効果を表し、試料中の第1の代謝産物のレベルが第1の(ASD)集団のメンバーで濃縮された左テールを定義する予め決定された下の(最大の)閾値未満である場合、試料中の第1の代謝産物のレベルはASDテール内であり、ここで第1の代謝産物は、右テールを有するDDテール効果を表し、試料中の第1の代謝産物のレベルが第2の(DD)集団のメンバーで濃縮された右テールを定義する予め決定された上の(最小の)閾値より大きい場合、試料中の第1の代謝産物のレベルはDDテール内であり、ここで第1の代謝産物は、左テールを有するDDテール効果を表し、試料中の第1の代謝産物のレベルが第2の(DD)集団のメンバーで濃縮された左テールを定義する予め決定された下の(最大の)閾値未満である場合、試料中の第1の代謝産物のレベルはDDテール内である、ステップ;(ii)試料に由来する複数の代謝産物の少なくとも1種の追加の代謝産物のレベルを測定するステップであって、少なくとも1種の追加の代謝産物のそれぞれの集団分布が、第1の集団および第2の集団において前もって特徴付けられ、ASDテール効果およびDDテール効果の少なくとも1つを表すことが予め決定されており、少なくとも1種の追加の代謝産物のそれぞれについて、ステップ(i)に従って試料中の前記代謝産物のレベルが対応するASDテールおよび/またはDDテール内であるかどうかを同定するステップ;ならびに(iii)ステップ(i)およびステップ(ii)で分析された代謝産物に関して試料がその範囲内にある同定されたASDテールおよび/または同定されたDDテールに基づいて、予め決定されたレベルの予測可能性を用いて、(a)対象がASDを有しDDを有さないこと、または(b)対象がDDを有しASDを有さないことを決定するステップを含む方法を対象とする。
【0014】
ある特定の実施形態において、第1の代謝産物は、関連する上の(最小の)または下の(最大の)閾値を有するASDテール効果を表すことが予め決定されており、前記閾値は、この基準を満たす未知の分類の試料(前もって特徴付けられていない試料)がDDに対してASDであるというオッズがp≦0.3で1.6:1以上になるように予め決定されている。ある特定の実施形態において、オッズは、2:1以上、または2.5:1以上、または2.75:1以上、または3:1以上、または3.25:1以上、または3.5:1以上、または3.75:1以上、または4:1以上である。前述のもののいずれかにおいて、p値(統計学的有意性の値)は、p≦0.3、またはp≦0.25、またはp≦0.2、またはp≦0.15、またはp≦0.1、またはp≦0.05を満たす。
【0015】
ある特定の実施形態において、第1の代謝産物は、関連する上の(最小の)または下の(最大の)閾値を有するDDテール効果を表すことが予め決定されており、前記閾値は、この基準を満たす未知の分類の試料(前もって特徴付けられていない試料)がASDに対してDDであるというオッズがp≦0.3で1.6:1以上になるように予め決定されている。ある特定の実施形態において、オッズは、2:1以上、または2.5:1以上、または2.75:1以上、または3:1以上、または3.25:1以上、または3.5:1以上、または3.75:1以上、または4:1以上である。前述のもののいずれかにおいて、p値(統計学的有意性の値)は、p≦0.3、またはp≦0.25、またはp≦0.2、またはp≦0.15、またはp≦0.1、またはp≦0.05を満たす。
【0016】
ある特定の実施形態において、予め決定されたレベルの予測可能性は、少なくとも0.70のAUC(曲線下面積)を有する真陽性率(感度)に対して偽陽性率(1−特異度)をプロットした受信者動作特性(ROC)曲線に相当する。
【0017】
ある特定の実施形態において、代謝産物の1種または複数に関する予め決定された上の(最小の)閾値は、85から95パーセンタイル(例えば、小数点以下のパーセンタイルを切り捨てて、約90パーセンタイル、または約85、86、87、88、89、91、92、93、94、もしくは95パーセンタイル)のパーセンタイルであり、代謝産物の1種または複数に関する予め決定された下の(最大の)閾値は、10から20パーセンタイル(例えば、小数点以下のパーセンタイルを切り捨てて、約15パーセンタイル、または約10、11、12、13、14、16、17、18、19、もしくは20パーセンタイル)のパーセンタイルである。
【0018】
ある特定の実施形態において、複数の代謝産物は、5−ヒドロキシインドールアセテート(5−HIAA)、1,5−アンヒドログルシトール(1,5−AG)、3−(3−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3−カルボキシ−4−メチル−5−プロピル−2−フランプロパノエート(CMPF)、3−インドキシルスルフェート、4−エチルフェニルスルフェート、8−ヒドロキシオクタノエート、ガンマ−CEHC、ヒドロキシイソバレロイルカルニチン(hydroxyisovaleroylcarnitine)(C5)、インドールアセテート、イソバレリルグリシン、ラクテート、N1−メチル−2−ピリドン−5−カルボキサミド、p−クレゾールスルフェート、パントテネート(ビタミンB5)、フェニルアセチルグルタミン、ピペコレート、キサンチン、ヒドロキシ−クロロタロニル、オクテノイルカルニチン(octenoylcarnitine)、および3−ヒドロキシヒプレートからなる群から選択される少なくとも2種の代謝産物を含む。
【0019】
ある特定の実施形態において、複数の代謝産物は、フェニルアセチルグルタミン、キサンチン、オクテノイルカルニチン、p−クレゾールスルフェート、イソバレリルグリシン、ガンマ−CEHC、インドールアセテート、ピペコレート、1,5−アンヒドログルシトール(1,5−AG)、ラクテート、3−(3−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3−インドキシルスルフェート、パントテネート(ビタミンB5)、およびヒドロキシ−クロロタロニルからなる群から選択される少なくとも2種の代謝産物を含む。
【0020】
ある特定の実施形態において、複数の代謝産物は、フェニルアセチルグルタミン、キサンチン、オクテノイルカルニチン、p−クレゾールスルフェート、イソバレリルグリシン、ガンマ−CEHC、インドールアセテート、ピペコレート、1,5−アンヒドログルシトール(1,5−AG)、ラクテート、3−(3−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3−インドキシルスルフェート、パントテネート(ビタミンB5)、およびヒドロキシ−クロロタロニルからなる群から選択される少なくとも3種の代謝産物を含む。
【0021】
ある特定の実施形態において、複数の代謝産物は、表6に列挙した対から選択される少なくとも1つの代謝産物の対を含む。
【0022】
ある特定の実施形態において、複数の代謝産物は、表7で列挙した3つ組から選択される少なくとも1つの代謝産物の3つ組を含む。
【0023】
ある特定の実施形態において、複数の代謝産物は、2種の代謝産物のセットとして一緒に組み合わされて、少なくとも0.62(例えば、少なくとも約0.63、0.64、または0.65)のAUCを提供する少なくとも1つの代謝産物の対を含み、ここでAUCは、その2種の代謝産物のセットにのみ基づく分類器についての真陽性率(感度)に対して偽陽性率(1−特異度)をプロットしたROC曲線下の面積である。
【0024】
ある特定の実施形態において、複数の代謝産物は、3種の代謝産物のセットとして一緒に組み合わされて、少なくとも0.66(例えば、少なくとも約0.67または0.68)のAUCを提供する少なくとも1つの代謝産物の3つ組を含み、ここでAUCは、その3種の代謝産物のセットにのみ基づく分類器についての真陽性率(感度)に対して偽陽性率(1−特異度)をプロットしたROC曲線下の面積である。
【0025】
別の態様において、本発明は、対象における自閉症スペクトラム障害(ASD)のリスクを決定する方法であって、(i)対象から得られた試料に由来する複数の代謝産物の第1の代謝産物のレベルを分析するステップであって、第1の代謝産物の集団分布が、公知の分類を有する対象の参照集団において前もって特徴付けられ、ここで第1の代謝産物は、ASDメンバーで濃縮された関連する右テールまたは左テールを含むASDテール効果を表すことが予め決定されており、ここで第1の代謝産物は、右テールを有するASDテール効果を表し、試料中の第1の代謝産物のレベルがASD集団のメンバーで濃縮された右テールを定義する予め決定された上の(最小の)閾値より大きい場合、試料中の第1の代謝産物のレベルはASDテール内であり、ここで第1の代謝産物は、左テールを有するASDテール効果を表し、試料中の第1の代謝産物のレベルがASD集団のメンバーで濃縮された左テールを定義する予め決定された下の(最大の)閾値未満である場合、試料中の第1の代謝産物のレベルはASDテール内である、ステップ;(ii)試料に由来する複数の代謝産物の少なくとも1種の追加の代謝産物のレベルを測定するステップであって、少なくとも1種の追加の代謝産物のそれぞれの集団分布が、参照集団において前もって特徴付けられ、ASDテール効果を表すことが予め決定されており、少なくとも1種の追加の代謝産物のそれぞれについて、ステップ(i)に従って試料中の前記代謝産物のレベルが対応するASDテール内であるかどうかを同定するステップ;ならびに(iii)ステップ(i)およびステップ(ii)で分析された代謝産物に関して試料がその範囲内にある同定されたASDテールに基づいて、予め決定されたレベルの予測可能性を用いて、ASDを有する対象のリスクを決定するステップを含む方法を対象とする。
【0026】
ある特定の実施形態において、第1の代謝産物は、関連する上の(最小の)または下の(最大の)閾値を有するASDテール効果を表すことが予め決定されており、前記閾値は、この基準を満たす未知の分類の試料(前もって特徴付けられていない試料)がDDに対してASDであるというオッズがp≦0.3で1.6:1以上になるように予め決定されている。ある特定の実施形態において、オッズは、2:1以上、または2.5:1以上、または2.75:1以上、または3:1以上、または3.25:1以上、または3.5:1以上、または3.75:1以上、または4:1以上である。前述のもののいずれかにおいて、p値(統計学的有意性の値)は、p≦0.3、またはp≦0.25、またはp≦0.2、またはp≦0.15、またはp≦0.1、またはp≦0.05を満たす。
【0027】
ある特定の実施形態において、予め決定されたレベルの予測可能性は、少なくとも0.70のAUC(曲線下面積)を有する真陽性率(感度)に対して偽陽性率(1−特異度)をプロットした受信者動作特性(ROC)曲線に相当する。
【0028】
ある特定の実施形態において、複数の代謝産物は、5−ヒドロキシインドールアセテート(5−HIAA)、1,5−アンヒドログルシトール(1,5−AG)、3−(3−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3−カルボキシ−4−メチル−5−プロピル−2−フランプロパノエート(CMPF)、3−インドキシルスルフェート、4−エチルフェニルスルフェート、8−ヒドロキシオクタノエート、ガンマ−CEHC、ヒドロキシイソバレロイルカルニチン(C5)、インドールアセテート、イソバレリルグリシン、ラクテート、N1−メチル−2−ピリドン−5−カルボキサミド、p−クレゾールスルフェート、パントテネート(ビタミンB5)、フェニルアセチルグルタミン、ピペコレート、キサンチン、ヒドロキシ−クロロタロニル、オクテノイルカルニチン、および3−ヒドロキシヒプレートからなる群から選択される少なくとも2種の代謝産物を含む。
【0029】
別の態様において、本発明は、対象における自閉症スペクトラム障害(ASD)のリスクを決定する方法であって、(i)対象から得られた試料中の複数の代謝産物のレベルを分析するステップであって、複数の代謝産物が、5−ヒドロキシインドールアセテート(5−HIAA)、1,5−アンヒドログルシトール(1,5−AG)、3−(3−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3−カルボキシ−4−メチル−5−プロピル−2−フランプロパノエート(CMPF)、3−インドキシルスルフェート、4−エチルフェニルスルフェート、8−ヒドロキシオクタノエート、ガンマ−CEHC、ヒドロキシイソバレロイルカルニチン(C5)、インドールアセテート、イソバレリルグリシン、ラクテート、N1−メチル−2−ピリドン−5−カルボキサミド、p−クレゾールスルフェート、パントテネート(ビタミンB5)、フェニルアセチルグルタミン、ピペコレート、キサンチン、ヒドロキシ−クロロタロニル、オクテノイルカルニチン、および3−ヒドロキシヒプレートからなる群から選択される少なくとも2種の代謝産物を含む、ステップ;ならびに(ii)複数の代謝産物の定量化されたレベルに基づいて、対象がASDを有するリスクを決定するステップを含む方法を対象とする。
【0030】
ある特定の実施形態において、対象は、約54ヶ月齢以下である。ある特定の実施形態において、対象は、約36ヶ月齢以下である。
【0031】
ある特定の実施形態において、複数の代謝産物は、フェニルアセチルグルタミン、キサンチン、オクテノイルカルニチン、p−クレゾールスルフェート、イソバレリルグリシン、ガンマ−CEHC、インドールアセテート、ピペコレート、1,5−アンヒドログルシトール(1,5−AG)、ラクテート、3−(3−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3−インドキシルスルフェート、パントテネート(ビタミンB5)、およびヒドロキシ−クロロタロニルからなる群から選択される少なくとも2種の代謝産物を含む。
【0032】
ある特定の実施形態において、複数の代謝産物は、フェニルアセチルグルタミン、キサンチン、オクテノイルカルニチン、p−クレゾールスルフェート、イソバレリルグリシン、ガンマ−CEHC、インドールアセテート、ピペコレート、1,5−アンヒドログルシトール(1,5−AG)、ラクテート、3−(3−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3−インドキシルスルフェート、パントテネート(ビタミンB5)、およびヒドロキシ−クロロタロニルからなる群から選択される少なくとも3種の代謝産物を含む。
【0033】
ある特定の実施形態において、複数の代謝産物は、表6に列挙した対から選択される少なくとも1つの代謝産物の対を含む。
【0034】
ある特定の実施形態において、複数の代謝産物は、表7で列挙した3つ組から選択される少なくとも1つの代謝産物の3つ組を含む。
【0035】
ある特定の実施形態において、複数の代謝産物は、2種の代謝産物のセットとして一緒に組み合わされて、少なくとも0.62(例えば、少なくとも約0.63、0.64、または0.65)のAUCを提供する少なくとも1つの代謝産物の対を含み、ここでAUCは、その2種の代謝産物のセットにのみ基づく分類器についての真陽性率(感度)に対して偽陽性率(1−特異度)をプロットしたROC曲線下の面積である。
【0036】
ある特定の実施形態において、複数の代謝産物は、3種の代謝産物のセットとして一緒に組み合わされて、少なくとも0.66(例えば、少なくとも約0.67または0.68)のAUCを提供する少なくとも1つの代謝産物の3つ組を含み、ここでAUCは、その3種の代謝産物のセットにのみ基づく分類器についての真陽性率(感度)に対して偽陽性率(1−特異度)をプロットしたROC曲線下の面積である。
【0037】
ある特定の実施形態において、試料は、血漿試料である。
【0038】
ある特定の実施形態において、代謝産物のレベルを測定するステップは、質量分析を行うことを含む。ある特定の実施形態において、質量分析を行うことは、熱分解質量分析、フーリエ変換赤外分光分析、ラマン分光分析、ガスクロマトグラフ質量分析、高圧液体クロマトグラフィー/質量分析(HPLC/MS)、液体クロマトグラフィー(LC)−エレクトロスプレー質量分析、cap−LC−タンデムエレクトロスプレー質量分析、および超高速液体クロマトグラフィー/エレクトロスプレーイオン化タンデム質量分析からなる群から選択される1つまたは複数のメンバーを行うことを含む。
【0039】
別の態様において、本発明は、対象において自閉症スペクトラム障害(ASD)と非ASD発達遅延(DD)とを識別する方法であって、(i)対象から得られた試料中の複数の代謝産物のレベルを分析するステップであって、複数の代謝産物が、5−ヒドロキシインドールアセテート(5−HIAA)、1,5−アンヒドログルシトール(1,5−AG)、3−(3−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3−カルボキシ−4−メチル−5−プロピル−2−フランプロパノエート(CMPF)、3−インドキシルスルフェート、4−エチルフェニルスルフェート、8−ヒドロキシオクタノエート、ガンマ−CEHC、ヒドロキシイソバレロイルカルニチン(C5)、インドールアセテート、イソバレリルグリシン、ラクテート、N1−メチル−2−ピリドン−5−カルボキサミド、p−クレゾールスルフェート、パントテネート(ビタミンB5)、フェニルアセチルグルタミン、ピペコレート、キサンチン、ヒドロキシ−クロロタロニル、オクテノイルカルニチン、および3−ヒドロキシヒプレートからなる群から選択される少なくとも2種の代謝産物を含み、複数の代謝産物のレベルおよび/または集団分布が、参照集団において前もって特徴付けられる、ステップ;ならびに(ii)予め決定されたレベルの予測可能性を用いて、予め決定された閾値(例えば、公知の分類を有する試料の参照集団から決定された閾値)を有する対象からの試料に由来する複数の代謝産物のレベルを比較することによって、(a)対象がASDを有しDDを有さないこと、または(b)対象がDDを有しASDを有さないことを決定するステップを含む方法を対象とする。
【0040】
ある特定の実施形態において、本発明は、異なる代謝産物に重みを割り当てて、リスク予測においてそれらのそれぞれの機能を反映することによって、代謝産物を分析するための方法を提供する。一部の実施形態において、重みの割り当ては、代謝産物の生物学的機能(例えば、それらが属する経路)、それらの臨床的有用性、または統計もしくは疫学的分析に基づくそれらの重要性から推測することができる。
【0041】
ある特定の実施形態において、本発明は、これらに限定されないが、クロマトグラフィーアッセイ、質量分析アッセイ、蛍光測定法アッセイ、電気泳動アッセイ、免疫親和性アッセイ、および免疫化学アッセイなどの様々な技術を使用して代謝産物を測定するための方法を提供する。
【0042】
ある特定の実施形態において、本発明は、対象における自閉症スペクトラム障害(ASD)のリスクを決定するための方法であって、対象からの試料に由来する複数の代謝産物のレベルを分析するステップ;および予め決定されたレベルの予測可能性を用いて、複数の代謝産物の定量化されたレベルに基づいて、対象が非ASD発達障害ではなくASDを有するかどうかを決定するステップを含む方法を提供する。
【0043】
ある特定の実施形態において、複数の代謝産物は、5−ヒドロキシインドールアセテート(5−HIAA)、1,5−アンヒドログルシトール(1,5−AG)、3−(3−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3−カルボキシ−4−メチル−5−プロピル−2−フランプロパノエート(CMPF)、3−インドキシルスルフェート、4−エチルフェニルスルフェート、8−ヒドロキシオクタノエート、ガンマ−CEHC、ヒドロキシイソバレロイルカルニチン(C5)、インドールアセテート、イソバレリルグリシン、ラクテート、N1−メチル−2−ピリドン−5−カルボキサミド、p−クレゾールスルフェート、パントテネート(ビタミンB5)、フェニルアセチルグルタミン、ピペコレート、キサンチン、ヒドロキシ−クロロタロニル、オクテノイルカルニチン、3−ヒドロキシヒプレート、およびそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種の代謝産物を包含する。
【0044】
ある特定の実施形態において、複数の代謝産物は、5−ヒドロキシインドールアセテート(5−HIAA)、1,5−アンヒドログルシトール(1,5−AG)、3−(3−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3−カルボキシ−4−メチル−5−プロピル−2−フランプロパノエート(CMPF)、3−インドキシルスルフェート、4−エチルフェニルスルフェート、8−ヒドロキシオクタノエート、ガンマ−CEHC、ヒドロキシイソバレロイルカルニチン(C5)、インドールアセテート、イソバレリルグリシン、ラクテート、N1−メチル−2−ピリドン−5−カルボキサミド、p−クレゾールスルフェート、パントテネート(ビタミンB5)、フェニルアセチルグルタミン、ピペコレート、キサンチン、ヒドロキシ−クロロタロニル、オクテノイルカルニチン、3−ヒドロキシヒプレート、およびそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも2種の代謝産物を包含する。
【0045】
ある特定の実施形態において、複数の代謝産物は、5−ヒドロキシインドールアセテート(5−HIAA)、1,5−アンヒドログルシトール(1,5−AG)、3−(3−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3−カルボキシ−4−メチル−5−プロピル−2−フランプロパノエート(CMPF)、3−インドキシルスルフェート、4−エチルフェニルスルフェート、8−ヒドロキシオクタノエート、ガンマ−CEHC、ヒドロキシイソバレロイルカルニチン(C5)、インドールアセテート、イソバレリルグリシン、ラクテート、N1−メチル−2−ピリドン−5−カルボキサミド、p−クレゾールスルフェート、パントテネート(ビタミンB5)、フェニルアセチルグルタミン、ピペコレート、キサンチン、ヒドロキシ−クロロタロニル、オクテノイルカルニチン、3−ヒドロキシヒプレート、およびそれらの組合せからなる群から選択される、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、または少なくとも10種の代謝産物を包含する。
【0046】
ある特定の実施形態において、複数の代謝産物は、追加の代謝産物を包含する。一部の実施形態において、複数の代謝産物は、21種より多くの代謝産物を包含する。
【0047】
ある特定の実施形態において、本発明は、対象において自閉症スペクトラム障害(ASD)と非ASD発達障害とを識別するための方法であって、対象からの試料に由来する複数の代謝産物のレベルを分析するステップ、代謝産物のレベルを、1つの参照集団におけるそれらのそれぞれの集団分布と比較するステップ、および予め決定されたレベルの予測可能性を用いて、対象からの試料に由来する複数の代謝産物のレベルを、参照集団における複数の代謝産物の前もって特徴付けられたレベルおよび/または集団分布と比較することによって、対象が非ASD発達障害ではなくASDを有するかどうかを決定するステップを含む方法を提供する。
【0048】
例えば、ある特定の実施形態において、本発明は、対象におけるASDのリスクを予測することができる少なくとも1種の代謝産物を包含する診断基準であって、ROC曲線が、少なくとも0.60、少なくとも0.65、少なくとも0.70、少なくとも0.75、少なくとも0.80、少なくとも0.85または少なくとも0.90のAUCを有する、診断基準を提供する。AUCは、分類器について真陽性率(感度)に対して偽陽性率(1−特異度)をプロットしたROC曲線下の面積である。
【0049】
ある特定の実施形態において、分析のための少なくとも1種の代謝産物は、5−ヒドロキシインドールアセテート(5−HIAA)、1,5−アンヒドログルシトール(1,5−AG)、3−(3−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3−カルボキシ−4−メチル−5−プロピル−2−フランプロパノエート(CMPF)、3−インドキシルスルフェート、4−エチルフェニルスルフェート、8−ヒドロキシオクタノエート、ガンマ−CEHC、ヒドロキシイソバレロイルカルニチン(C5)、インドールアセテート、イソバレリルグリシン、ラクテート、N1−メチル−2−ピリドン−5−カルボキサミド、p−クレゾールスルフェート、パントテネート(ビタミンB5)、フェニルアセチルグルタミン、ピペコレート、キサンチン、ヒドロキシ−クロロタロニル、オクテノイルカルニチン、3−ヒドロキシヒプレート、およびそれらの組合せからなる群から選択される。
【0050】
ある特定の実施形態において、分析のための少なくとも1種の代謝産物は、5−ヒドロキシインドールアセテート(5−HIAA)、1,5−アンヒドログルシトール(1,5−AG)、3−(3−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3−カルボキシ−4−メチル−5−プロピル−2−フランプロパノエート(CMPF)、3−インドキシルスルフェート、4−エチルフェニルスルフェート、8−ヒドロキシオクタノエート、ガンマ−CEHC、ヒドロキシイソバレロイルカルニチン(C5)、インドールアセテート、イソバレリルグリシン、ラクテート、N1−メチル−2−ピリドン−5−カルボキサミド、p−クレゾールスルフェート、パントテネート(ビタミンB5)、フェニルアセチルグルタミン、ピペコレート、キサンチン、ヒドロキシ−クロロタロニル、オクテノイルカルニチン、および3−ヒドロキシヒプレートからなる群から選択される少なくとも2種またはそれより多く(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21種)のメンバーを含み、非ASD集団分布曲線およびASD集団分布曲線は、代謝産物のそれぞれ(例えば、テール効果を実証する前記代謝産物のそれぞれ)について確立される。
【0051】
ある特定の実施形態において、分析のための代謝産物は、ガンマ−CEHC、キサンチン、p−クレゾールスルフェート、オクテノイルカルニチン、フェニルアセチルグルタミン、およびそれらの組合せからなる群から選択される。
【0052】
ある特定の実施形態において、分析のための代謝産物は、ガンマ−CEHCである。
【0053】
ある特定の実施形態において、分析のための代謝産物は、キサンチンである。
【0054】
ある特定の実施形態において、分析のための代謝産物は、p−クレゾールスルフェートである。
【0055】
ある特定の実施形態において、分析のための代謝産物は、オクテノイルカルニチンである。
【0056】
ある特定の実施形態において、分析のための代謝産物は、フェニルアセチルグルタミンである。
【0057】
ある特定の実施形態において、分析のための代謝産物は、イソバレリルグリシンである。
【0058】
ある特定の実施形態において、分析のための代謝産物は、ピペコレートである。
【0059】
ある特定の実施形態において、分析のための代謝産物は、インドールアセテートである。
【0060】
ある特定の実施形態において、分析のための代謝産物は、オクテノイルカルニチンである。
【0061】
ある特定の実施形態において、分析のための代謝産物は、ヒドロキシ−クロロタロニルである。
【0062】
ある特定の実施形態において、複数の代謝産物は、相補的である少なくとも第1の代謝産物および第2の代謝産物を含む(例えば、代謝産物によって提供される予測変数が部分的に排反して低い相互情報量を有するように、第1および第2の代謝産物のためのASDテール試料は実質的にオーバーラップしない。ある特定の実施形態において、複数の代謝産物が低い相互情報量で取り入れられることによってリスク予測は改善される。
【0063】
ある特定の実施形態において、複数の代謝産物は、2種の代謝産物を含み、ここで2種の代謝産物は、2種の代謝産物のセットとして一緒に組み合わされて、少なくとも0.62、0.63、0.64、または0.65のAUCを提供する。
【0064】
ある特定の実施形態において、複数の代謝産物は、3種の代謝産物を含み、ここで3種の代謝産物は、3種の代謝産物のセットとして一緒に組み合わされて、少なくとも0.66、0.67、または0.68のAUCを提供する。
【0065】
ある特定の実施形態において、本発明は、前もって定義された代謝産物の2つの群のレベルを分析することによって、対象において自閉症スペクトラム障害(ASD)と非ASD発達障害とを識別する方法を提供する。ある特定の実施形態において、代謝産物の第1の群は、ASDと密接に関連する代謝産物を表し、一方で代謝産物の第2の群は、対照状態(例えば、DD)と関連する代謝産物を表す。対象からの試料に由来する代謝産物の両方の群を分析することによって、対照状態ではなくASDを有する対象のリスクを、本開示で説明される様々な方法によって決定することができる。例えば、これは、代謝産物の第1の群について集約されたASDテール効果を、代謝産物の第2の群について集約された非ASDテール効果と比較することによって達成できる。
【0066】
ある特定の実施形態において、本発明は、対象において自閉症スペクトラム障害(ASD)と非ASD発達遅延(DD)とを識別するための方法であって、(i)対象から得られた試料中の複数の代謝産物のレベルを測定するステップであって、複数の代謝産物が、キサンチン、ガンマ−CEHC、ヒドロキシ−クロロタロニル、5−ヒドロキシインドールアセテート(5−HIAA)、インドールアセテート、p−クレゾールスルフェート、1,5−アンヒドログルシトール(1,5−AG)、3−(3−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3−カルボキシ−4−メチル−5−プロピル−2−フランプロパノエート(CMPF)、3−インドキシルスルフェート、4−エチルフェニルスルフェート、ヒドロキシイソバレロイルカルニチン(C5)、イソバレリルグリシン、ラクテート、N1−メチル−2−ピリドン−5−カルボキサミド、パントテネート(ビタミンB5)、フェニルアセチルグルタミン、ピペコレート、3−ヒドロキシヒプレート、およびそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも2種の代謝産物を含む、ステップ;ならびに(ii)(a)表9Aで定義されるASD(ASD左テール効果)の指標であるか、もしくは(b)表9Bで定義されるDD(DD左テール効果)の指標である、予め決定された閾値濃度もしくはそれ未満のレベルを有する試料中の代謝産物の数を計算するステップ;ならびに/または(iii)(a)表9Aで定義されるASD(ASD右テール効果)の指標であるか、もしくは(b)表9Bで定義されるDD(DD右テール効果)の指標である、予め決定された閾値濃度もしくはそれを超えるレベルを有する試料中の代謝産物の数を計算するステップ;ならびに(iv)ステップ(ii)および/または(iii)で得られた数に基づいて、対象がASDまたはDDを有すると決定するステップを含む方法を提供する。
【0067】
ある特定の実施形態において、本発明は、対象がASDを有するかまたはそのリスクがあることを決定するための方法であって、(i)対象から得られた試料中の複数の代謝産物のレベルを測定するステップであって、複数の代謝産物が、キサンチン、ガンマ−CEHC、ヒドロキシ−クロロタロニル、5−ヒドロキシインドールアセテート(5−HIAA)、インドールアセテート、p−クレゾールスルフェート、1,5−アンヒドログルシトール(1,5−AG)、3−カルボキシ−4−メチル−5−プロピル−2−フランプロパノエート(CMPF)、3−インドキシルスルフェート、4−エチルフェニルスルフェート、ヒドロキシイソバレロイルカルニチン(C5)、イソバレリルグリシン、ラクテート、N1−メチル−2−ピリドン−5−カルボキサミド、パントテネート(ビタミンB5)、フェニルアセチルグルタミン、ピペコレート、3−ヒドロキシヒプレート、およびそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも2種の代謝産物を含む、ステップ;ならびに(ii)(a)182.7ng/mlまたはそれを超えるレベルのキサンチン;(b)20.3ng/mlまたはそれを超えるレベルのヒドロキシル−クロロタロニル;(c)28.5ng/mlまたはそれを超えるレベルの5−ヒドロキシインドールアセテート;(d)686600ng/mlまたはそれを超えるレベルのラクテート;(e)63.3ng/mlまたはそれを超えるレベルのパントテネート;(f)303.6ng/mlまたはそれを超えるレベルのピペコレート;(g)32.0ng/mlまたはそれ未満のレベルのガンマ−CEHC;(h)141.4ng/mlまたはそれ未満のレベルのインドールアセテート;(i)182.7ng/mlまたはそれ未満のレベルのp−クレゾールスルフェート;(j)11910.3ng/mlまたはそれ未満のレベルの1,5−アンヒドログルシトール(1,5−AG);(k)7.98ng/mlまたはそれ未満のレベルの3−カルボキシ−4−メチル−5−プロピル−2−フランプロパノエート(CMPF);(l)256.7ng/mlまたはそれ未満のレベルの3−インドキシルスルフェート;(m)3.0ng/mlまたはそれ未満のレベルの4−エチルフェニルスルフェート;(n)12.9ng/mlまたはそれ未満のレベルのヒドロキシイソバレロイルカルニチン(C5);(o)124.82ng/mlまたはそれ未満のレベルのN1−メチル−2−ピリドン−5−カルボキサミド;および(p)166.4ng/mlまたはそれ未満のレベルのフェニルアセチルグルタミン(phenacetylglutamine)の2種またはそれより多くを検出するステップ;ならびに(iii)ステップ(ii)で検出された代謝産物レベルに基づいて対象がASDを有するかまたはそのリスクがあると決定するステップを含む方法を提供する。
【0068】
一部の実施形態において、ステップ(ii)で検出される代謝産物レベルは、およそのレベルである。
【0069】
一部の実施形態において、本発明は、自閉症スペクトラム障害(ASD)を有するかまたはそれを有するリスクがあると対象を診断する方法であって、(i)前記対象から得られた試料中の1つまたは複数の代謝産物のレベルを決定するステップ;(ii)1つまたは複数の代謝産物の決定されたレベルを、前記1つまたは複数の代謝産物の予め決定されたレベルと比較するステップであって、前記予め決定されたレベルが、ASDを有するかまたはASDを有するリスクがある対象の指標である、ステップ;および(iii)前記1つまたは複数の代謝産物の決定されたレベルと予め決定されたレベルとの差に基づいて、前記対象をASDを有するかまたはASDを有するリスクがあると診断するステップを含み、ここで前記1つまたは複数の代謝産物は、5−ヒドロキシインドールアセテート(5−HIAA)、1,5−アンヒドログルシトール(1,5−AG)、3−(3−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3−カルボキシ−4−メチル−5−プロピル−2−フランプロパノエート(CMPF)、3−インドキシルスルフェート、4−エチルフェニルスルフェート、8−ヒドロキシオクタノエート、ガンマ−CEHC、ヒドロキシイソバレロイルカルニチン(C5)、インドールアセテート、イソバレリルグリシン、ラクテート、N1−メチル−2−ピリドン−5−カルボキサミド、p−クレゾールスルフェート、パントテネート(ビタミンB5)、フェニルアセチルグルタミン、ピペコレート、キサンチン、ヒドロキシ−クロロタロニル、オクテノイルカルニチン、および3−ヒドロキシヒプレートからなる群から選択される、方法を提供する。
【0070】
一部の実施形態において、本発明は、自閉症スペクトラム障害(ASD)を有するかまたはそれを有するリスクがあると対象を診断する方法であって、(i)前記対象から得られた試料中の1つまたは複数の代謝産物のレベルを決定するステップ;(ii)1つまたは複数の代謝産物の決定されたレベルを、前記1つまたは複数の代謝産物の予め決定されたレベルと比較するステップであって、前記予め決定されたレベルが、ASDを有するかまたはASDを有するリスクがある対象の指標である、ステップ;および(iii)前記1つまたは複数の代謝産物の決定されたレベルと予め決定されたレベルとの差に基づいて、前記対象をASDを有するかまたはASDを有するリスクがあると診断するステップを含み、ここで前記1つまたは複数の代謝産物は、5−ヒドロキシインドールアセテート(5−HIAA)、1,5−アンヒドログルシトール(1,5−AG)、3−(3−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3−カルボキシ−4−メチル−5−プロピル−2−フランプロパノエート(CMPF)、3−インドキシルスルフェート、4−エチルフェニルスルフェート、8−ヒドロキシオクタノエート、ガンマ−CEHC、ヒドロキシイソバレロイルカルニチン(C5)、インドールアセテート、イソバレリルグリシン、ラクテート、N1−メチル−2−ピリドン−5−カルボキサミド、p−クレゾールスルフェート、パントテネート(ビタミンB5)、フェニルアセチルグルタミン、ピペコレート、キサンチン、ヒドロキシ−クロロタロニル、オクテノイルカルニチン、および3−ヒドロキシヒプレートからなる群から選択され、ただし代謝産物は、5−ヒドロキシインドールアセテート(5−HIAA)、1,5−アンヒドログルシトール(1,5−AG)、3−(3−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3−カルボキシ−4−メチル−5−プロピル−2−フランプロパノエート(CMPF)、3−インドキシルスルフェート、4−エチルフェニルスルフェート、8−ヒドロキシオクタノエート、ガンマ−CEHC、ヒドロキシイソバレロイルカルニチン(C5)、インドールアセテート、イソバレリルグリシン、ラクテート、N1−メチル−2−ピリドン−5−カルボキサミド、p−クレゾールスルフェート、パントテネート(ビタミンB5)、フェニルアセチルグルタミン、ピペコレート、キサンチン、ヒドロキシ−クロロタロニル、オクテノイルカルニチン、または3−ヒドロキシヒプレートではない、方法を提供する。
【0071】
ある特定の実施形態において、本発明は、対象からのある特定の代謝産物および遺伝情報の両方のレベルを測定することによって、対象においてASDリスクを決定するための方法を提供する。一部の実施形態において、遺伝情報は、コピー数多型(CNV)および/または脆弱X(FXS)検査を包含する。
【0072】
追加の実施形態において、本発明のある特定の態様に関して説明された限定は、本発明の他の態様に適用することができる。例えば、1つの独立請求項に従属する請求項の限定は、一部の実施形態において、別の独立請求項に適用され得る。
例えば、本発明の実施形態において、以下の項目が提供される。
(項目1)
対象において自閉症スペクトラム障害(ASD)と非ASD発達遅延(DD)とを識別する方法であって、
(i)前記対象から得られた試料中の複数の代謝産物のレベルを測定するステップであって、
前記複数の代謝産物が、キサンチン、ガンマ−CEHC、ヒドロキシ−クロロタロニル、5−ヒドロキシインドールアセテート(5−HIAA)、インドールアセテート、p−クレゾールスルフェート、1,5−アンヒドログルシトール(1,5−AG)、3−(3−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3−カルボキシ−4−メチル−5−プロピル−2−フランプロパノエート(CMPF)、3−インドキシルスルフェート、4−エチルフェニルスルフェート、ヒドロキシイソバレロイルカルニチン(C5)、イソバレリルグリシン、ラクテート、N1−メチル−2−ピリドン−5−カルボキサミド、パントテネート(ビタミンB5)、フェニルアセチルグルタミン、ピペコレート、3−ヒドロキシヒプレート、およびそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも2種の代謝産物を含む、ステップ;ならびに
(ii)
(a)表9Aで定義されるASD(ASD左テール効果)の指標であるか、もしくは
(b)表9Bで定義されるDD(DD左テール効果)の指標である、
予め決定された閾値濃度もしくはそれ未満のレベルを有する前記試料中の代謝産物の数を計算するステップ;ならびに/または
(iii)
(a)表9Aで定義されるASD(ASD右テール効果)の指標であるか、もしくは
(b)表9Bで定義されるDD(DD右テール効果)の指標である、
予め決定された閾値濃度もしくはそれを超えるレベルを有する前記試料中の代謝産物の数を計算するステップ;ならびに
(iv)ステップ(ii)および/または(iii)で得られた数に基づいて、前記対象がASDまたはDDを有すると決定するステップ
を含む方法。
(項目2)
前記複数の代謝産物が、キサンチンおよびガンマ−CEHCを含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記試料が、血漿試料である、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記代謝産物のレベルが、質量分析によって測定される、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記対象が、約54ヶ月齢以下である、項目1に記載の方法。
(項目6)
前記対象が、約36ヶ月齢以下である、項目1に記載の方法。
(項目7)
対象がASDを有するかまたはそのリスクがあることを決定するための方法であって、(i)前記対象から得られた試料中の複数の代謝産物のレベルを測定するステップであって、
前記複数の代謝産物が、キサンチン、ガンマ−CEHC、ヒドロキシ−クロロタロニル、5−ヒドロキシインドールアセテート(5−HIAA)、インドールアセテート、p−クレゾールスルフェート、1,5−アンヒドログルシトール(1,5−AG)、3−カルボキシ−4−メチル−5−プロピル−2−フランプロパノエート(CMPF)、3−インドキシルスルフェート、4−エチルフェニルスルフェート、ヒドロキシイソバレロイルカルニチン(C5)、イソバレリルグリシン、ラクテート、N1−メチル−2−ピリドン−5−カルボキサミド、パントテネート(ビタミンB5)、フェニルアセチルグルタミン、ピペコレート、3−ヒドロキシヒプレート、およびそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも2種の代謝産物を含む、ステップ;ならびに
(ii)
(a)182.7ng/mlまたはそれを超えるレベルのキサンチン;
(b)20.3ng/mlまたはそれを超えるレベルのヒドロキシル−クロロタロニル;(c)28.5ng/mlまたはそれを超えるレベルの5−ヒドロキシインドールアセテート;
(d)686600.0ng/mlまたはそれを超えるレベルのラクテート;
(e)63.3ng/mlまたはそれを超えるレベルのパントテネート;
(f)303.6ng/mlまたはそれを超えるレベルのピペコレート;
(g)32.0ng/mlまたはそれ未満のレベルのガンマ−CEHC;
(h)141.4ng/mlまたはそれ未満のレベルのインドールアセテート;
(i)182.7ng/mlまたはそれ未満のレベルのp−クレゾールスルフェート;
(j)11910.3ng/mlまたはそれ未満のレベルの1,5−アンヒドログルシトール(1,5−AG);
(k)7.98ng/mlまたはそれ未満のレベルの3−カルボキシ−4−メチル−5−プロピル−2−フランプロパノエート(CMPF);
(l)256.7ng/mlまたはそれ未満のレベルの3−インドキシルスルフェート;(m)3.0ng/mlまたはそれ未満のレベルの4−エチルフェニルスルフェート;
(n)12.9ng/mlまたはそれ未満のレベルのヒドロキシイソバレロイルカルニチン(C5);
(o)124.82ng/mlまたはそれ未満のレベルのN1−メチル−2−ピリドン−5−カルボキサミド;および
(p)166.4ng/mlまたはそれ未満のレベルのフェニルアセチルグルタミン
の2種またはそれより多くを検出するステップ;ならびに
(iii)ステップ(ii)で検出された前記代謝産物レベルに基づいて前記対象がASDを有するかまたはそのリスクがあると決定するステップ
を含む方法。
(項目8)
前記複数の代謝産物が、キサンチンおよびガンマ−CEHCを含む、項目7に記載の方法。
(項目9)
前記試料が、血漿試料である、項目7に記載の方法。
(項目10)
前記代謝産物のレベルが、質量分析によって測定される、項目7に記載の方法。
(項目11)
前記対象が、約54ヶ月齢以下である、項目7に記載の方法。
(項目12)
前記対象が、約36ヶ月齢以下である、項目7に記載の方法。