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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-200730(P2019-200730A)
(43)【公開日】2019年11月21日
(54)【発明の名称】オイル管理システム
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20191025BHJP
【FI】
   G05B23/02 302T
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-96505(P2018-96505)
(22)【出願日】2018年5月18日
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】村井 則通
(72)【発明者】
【氏名】徳田 有佑
【テーマコード(参考)】
3C223
【Fターム(参考)】
3C223AA21
3C223BA03
3C223CC02
3C223DD03
3C223EA04
3C223EB05
3C223EB07
(57)【要約】
【課題】オイル交換等の要否を正確に判定できるとともに、機器のオイル交換等が必要となる劣化限界予定時間を推定することができ、計画的に適切なメンテナンスを行うことができるオイル管理システムを提供する。
【解決手段】制御手段8は、オイルが特定温度である場合のこのオイルの電気抵抗であって、機器を所定の条件下において劣化限界時間運転したときの電気抵抗たる劣化限界電気抵抗が予め記憶された記憶部11と、複合センサー6の測定電気抵抗が、劣化限界電気抵抗以下であるか否かを判定する抵抗判定部13と、抵抗判定部13の判定結果を基に、オイル貯留部への対応としてオイルの交換又はオイルの補充のいずれかが必要であるか否かを判定する保守作業判定部14と、複合センサー6により測定される電気抵抗が劣化限界電気抵抗以下となる劣化限界予定時間を推定する劣化限界予定時間推定部15とを有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オイル貯留部内のオイルの温度を測定する温度測定手段と、
少なくとも前記温度測定手段の測定温度が特定温度である測定タイミングで、前記オイルの電気抵抗を測定する抵抗測定手段と、
動作を制御する制御手段とを備えたオイル管理システムであって、
前記制御手段は、
前記温度測定手段の測定温度と、前記抵抗測定手段の測定電気抵抗と、前記オイル貯留部が搭載された機器の実運転時間に関する時間情報とを入力可能な入力部と、
前記オイルが前記特定温度である場合の該オイルの電気抵抗であって、前記機器を所定の条件下において劣化限界時間運転したときの電気抵抗たる劣化限界電気抵抗が予め記憶された記憶部と、
前記抵抗測定手段により測定される電気抵抗が前記劣化限界電気抵抗以下となる劣化限界予定時間を推定する劣化限界予定時間推定部とを有するオイル管理システム。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記抵抗測定手段の測定電気抵抗が、前記劣化限界電気抵抗以下であるか否かを判定する抵抗判定部と、
前記抵抗判定部の判定結果を基に、前記オイル貯留部への対応として前記オイルの交換又は前記オイルの補充のいずれかが必要であるか否かを判定する保守作業判定部とを有する請求項1に記載のオイル管理システム。
【請求項3】
前記特定温度は、50℃以下である請求項2に記載のオイル管理システム。
【請求項4】
前記オイル貯留部内における残オイル量を検知する残オイル量検知手段を更に備え、
前記入力部には前記残オイル量検知手段の検知結果も入力可能であり、
前記保守作業判定部は、前記抵抗判定部の判定結果と、前記残オイル量検知手段により検知された残オイル量とを基に、前記オイル貯留部への対応として前記オイルの交換又は前記オイルの補充のいずれかが必要であるか否かを判定する請求項2又は3に記載のオイル管理システム。
【請求項5】
前記記憶部には、前記特定温度ごとに規定されている変化特性であって、前記機器を前記所定の条件下において前記劣化限界時間運転した際に、前記オイルの電気抵抗が前記劣化限界電気抵抗まで変化したときの電気抵抗と前記機器の運転時間との関係が予め規定されている変化特性が記憶されており、
前記劣化限界予定時間推定部は、
前記保守作業判定部において、前記オイルの交換又は前記オイルの補充が不要であると判定された場合に、前記変化特性を参照して前記抵抗測定手段の測定電気抵抗に対応する前記機器の運転時間を抽出し、
前記抽出した運転時間と、前記抵抗測定手段による抵抗測定時の前記時間情報に基づく実運転時間と、前記劣化限界時間とを基に、前記劣化限界予定時間を推定する請求項2〜4の何れか一項に記載のオイル管理システム。
【請求項6】
前記劣化限界予定時間推定部において、前記劣化限界予定時間の推定には、以下の数式1を用いる請求項5に記載のオイル管理システム。
=h(h/h) (1)
は劣化限界予定時間、hは劣化限界時間、hは実運転時間、hは抽出した運転時間である。
【請求項7】
前記劣化限界予定時間推定部は、
前記保守作業判定部において、前記オイルの交換及び前記オイルの補充が不要であると連続して少なくとも2回以上判定された場合に、これらの判定に対応する2以上の前記測定タイミングでの前記抵抗測定手段の各測定電気抵抗と、前記抵抗測定手段による電気抵抗測定時の前記時間情報に基づく各実運転時間と、前記劣化限界電気抵抗とを基に、前記劣化限界予定時間を推定する請求項2〜4の何れか一項に記載のオイル管理システム。
【請求項8】
前記劣化限界予定時間推定部は、前記劣化限界予定時間を推定するのに先立ち、前記測定タイミングで測定された電気抵抗が、該測定タイミングよりも一つ前の前記測定タイミングで測定された電気抵抗よりも低いか否かを判定する処理を行う請求項7に記載のオイル管理システム。
【請求項9】
前記劣化限界予定時間推定部は、前記劣化限界予定時間を推定するのに先立ち、前記測定タイミングにおける前記時間情報に基づく実運転時間が、前記抵抗測定手段の測定電気抵抗が極大となる運転時間を超えているか否かを判定する処理を行う請求項7に記載のオイル管理システム。
【請求項10】
前記劣化限界予定時間推定部は、
前記保守作業判定部において、前記オイルの交換及び前記オイルの補充が不要であると連続して2回判定された場合に、これらの判定のうちの先の判定に対応する第1測定タイミングでの第1測定電気抵抗及び第1実運転時間と、後の判定に対応する第2測定タイミングでの第2測定電気抵抗及び第2実運転時間と、前記劣化限界電気抵抗とを基に、前記劣化限界予定時間を推定する請求項7〜9の何れか一項に記載のオイル管理システム。
【請求項11】
前記劣化限界予定時間推定部において、前記劣化限界予定時間の推定には、以下の数式2〜4を用いる請求項10に記載のオイル管理システム。
=(R−R)/(h−h)(2)
Δh=(R−R)/R (3)
=h+Δh (4)
は劣化限界予定時間、Rは第1測定電気抵抗、Rは第2測定電気抵抗、hは第1実運転時間、hは第2実運転時間、Rは劣化限界電気抵抗である。
【請求項12】
前記劣化限界予定時間推定部は、
前記保守作業判定部において、前記オイルの交換及び前記オイルの補充が不要であると連続して2回以上判定された場合に、これらの判定に対応する2以上の前記測定タイミングでの前記各測定電気抵抗及び各実運転時間を基に近似式を導出し、該導出した近似式と前記劣化限界電気抵抗とを基に、前記劣化限界予定時間を推定する請求項7〜9の何れか一項に記載のオイル管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オイル貯留部に設けられたオイルを管理するためのオイル管理システムであって、特に、オイル貯留部内のオイルの温度を測定する温度測定手段と、オイルの電気抵抗を測定する抵抗測定手段と、制御手段とを備えたオイル管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のオイル管理システムとして、例えば、特許文献1には、ガスエンジンに備えられたオイルパンに劣化センサーを設けて、劣化センサーの検知する劣化レベルが所定値を超えたときにオイルパン内のオイルを廃棄し、新油タンクから新たにオイルを補給するものが記載されている。
【0003】
ところで、業務用の空調システム等に用いられるガスエンジンなどのように、新油を蓄えておくタンクを備えさせることが現実的でないものについては、自動的なオイルの交換・補充を行うことは難しく、管理者が現地に訪問してオイル貯留部に対してオイルの補充・交換を行う必要があり、管理者の負担を軽減するために計画的なメンテナンスを行う必要がある。
【0004】
そこで、本願出願人は、計画的なメンテナンスを行うことができるものとして、特許文献2に記載したオイル管理システムを提案している。当該オイル管理システムは、オイル貯留部に設けられたオイルの劣化度を検知する劣化センサーと管理装置とを用いたオイル管理システムであり、機器の積算運転時間が所定のメンテナンス時間になった時点において、劣化センサーの検知結果に基づいて、オイル貯留部への対応としてオイルの交換、オイルの補充及びオイルの無交換・無補充のいずれを選択すべきかを判定し、その判定結果に基づき、オイル貯留部への対応に関する保守情報を生成するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−107182号公報
【特許文献2】特開2017−172439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献2記載のオイル管理システムによれば、劣化センサーを用いるのみで、オイル貯留部に対する対応として上記いずれの対応を選択すべきかを判定することができるため、劣化センサーを用いるのみで計画的に適切なメンテナンスを行うことができる。
【0007】
ところで、環境面からみた廃油量の削減や、経済面からみたメンテナンスコストの低減を図る上では、可能な限り無駄なオイル交換・補充を行うことなく、計画的に適切なメンテナンスを行うことが重要であり、そのためにオイルの劣化を正確に把握することは極めて肝要である。加えて、オイル交換・補充が必要となるまでの大凡の残り運転時間を管理者が知ることができれば、計画的にメンテナンスを行うという観点からみて極めて有益である。しかしながら、上記特許文献2記載のオイル管理システムでは、オイルの劣化を把握してオイル貯留部に対する対応として上記いずれの対応を選択すべきかを判定することはできるが、オイルの交換やオイルの補充が必要となるまでの残り運転時間、言い換えれば、オイルの交換等が必要となる劣化限界予定時間を管理者に認識させることはできない。
【0008】
本発明は以上の実情に鑑みなされたものであり、オイルの交換やオイルの補充が必要であるか否かを正確に判定できるとともに、オイルの交換やオイルの補充が必要となる劣化限界予定時間を推定することができ、計画的に適切なメンテナンスを行うことができるオイル管理システムの提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係るオイル管理システムの特徴構成は、オイル貯留部内のオイルの温度を測定する温度測定手段と、
少なくとも前記温度測定手段の測定温度が特定温度である測定タイミングで、前記オイルの電気抵抗を測定する抵抗測定手段と、
動作を制御する制御手段とを備えたオイル管理システムであって、
前記制御手段は、
前記温度測定手段の測定温度と、前記抵抗測定手段の測定電気抵抗と、前記オイル貯留部が搭載された機器の実運転時間に関する時間情報とを入力可能な入力部と、
前記オイルが前記特定温度である場合の該オイルの電気抵抗であって、前記機器を所定の条件下において劣化限界時間運転したときの電気抵抗たる劣化限界電気抵抗が予め記憶された記憶部と、
前記抵抗測定手段により測定される電気抵抗が前記劣化限界電気抵抗以下となる劣化限界予定時間を推定する劣化限界予定時間推定部とを有する点にある。
【0010】
上記特徴構成では、オイルが劣化すると電気抵抗が低下するという点を利用し、劣化限界予定時間推定部は、抵抗測定手段により測定される電気抵抗が劣化限界電気抵抗以下となる時間、即ち、オイルの交換又はオイルの補充が必要となる劣化限界予定時間を推定する。
【0011】
このように、上記特徴構成によれば、オイルの交換やオイルの補充が必要となる劣化限界予定時間を推定することができ、計画的に適切なメンテナンスを行うことができるようになる。
【0012】
また、本発明に係るオイル管理システムの更なる特徴構成は、前記制御手段は、
前記抵抗測定手段の測定電気抵抗が、前記劣化限界電気抵抗以下であるか否かを判定する抵抗判定部と、
前記抵抗判定部の判定結果を基に、前記オイル貯留部への対応として前記オイルの交換又は前記オイルの補充のいずれかが必要であるか否かを判定する保守作業判定部とを有する点にある。
【0013】
上記特徴構成においては、まず、抵抗測定手段により所定の測定タイミングでオイルの電気抵抗を測定する。ついで、抵抗判定部において、所定の測定タイミングで測定されたオイルの電気抵抗が劣化限界電気抵抗以下であるか否かを判定する。そして、保守作業判定部は、測定電気抵抗が劣化限界電気抵抗以下であれば、オイルの劣化度が高く、オイルの交換又は劣化度を下げるためのオイルの補充が必要であるため、オイルの交換又はオイルの補充が必要であると判定する。一方、測定電気抵抗が劣化限界電気抵抗よりも大きければ、保守作業判定部は、オイルの交換又はオイルの補充が不要であると判定する。したがって、上記特徴構成によれば、オイルの交換やオイルの補充が必要であるか否かを正確に判定できる。
【0014】
ここで、オイルは、その温度が高いほど運転時間の経過に伴う電気抵抗の変化(劣化による電気抵抗の変化)が小さくなり、電気抵抗の変化が小さい場合、測定電気抵抗が劣化限界電気抵抗以下であるか否かを判定する際に、誤判定が生じ易くなる。そこで、判定の精度を高めるという観点からすると、特定温度は、運転時間の経過に伴う電気抵抗の変化が比較的大きくなるように低温であることが好ましい。
【0015】
即ち、本発明に係るオイル管理システムの更なる特徴構成は、前記特定温度は、50℃以下である点にある。
【0016】
また、本発明に係るオイル管理システムの更なる特徴構成は、前記オイル貯留部内における残オイル量を検知する残オイル量検知手段を更に備え、
前記入力部には前記残オイル量検知手段の検知結果も入力可能であり、
前記保守作業判定部は、前記抵抗判定部の判定結果と、前記残オイル量検知手段により検知された残オイル量とを基に、前記オイル貯留部への対応として前記オイルの交換又は前記オイルの補充のいずれかが必要であるか否かを判定する点にある。
【0017】
測定電気抵抗が劣化限界電気抵抗よりも大きく、オイルの交換及びオイルの補充が不要であると判定されるような場合であっても、オイル貯留部内のオイルが消費され、残オイル量が所定量未満となっている場合、実際にはオイルの補充が必要である。
【0018】
上記特徴構成によれば、オイル貯留部内における残オイル量を検知するようにしているため、抵抗判定部の判定結果に加え、残オイル量も踏まえた上で、オイルの交換又はオイルの補充の要否を正確に判定することができる。
【0019】
更に、本発明に係るオイル管理システムの更なる特徴構成は、前記記憶部には、前記特定温度ごとに規定されている変化特性であって、前記機器を前記所定の条件下において前記劣化限界時間運転した際に、前記オイルの電気抵抗が前記劣化限界電気抵抗まで変化したときの電気抵抗と前記機器の運転時間との関係が予め規定されている変化特性が記憶されており、
前記劣化限界予定時間推定部は、
前記保守作業判定部において、前記オイルの交換又は前記オイルの補充が不要であると判定された場合に、前記変化特性を参照して前記抵抗測定手段の測定電気抵抗に対応する前記機器の運転時間を抽出し、
前記抽出した運転時間と、前記抵抗測定手段による抵抗測定時の前記時間情報に基づく実運転時間と、前記劣化限界時間とを基に、前記劣化限界予定時間を推定する点にある。
【0020】
上記特徴構成では、劣化限界電気抵抗を含む変化特性が記憶部に予め記憶されており、この変化特性は、実験データ等を基にして、特定温度ごとに電気抵抗と機器の運転時間との関係を規定したものである。そして、本特徴構成では、保守作業判定部がオイルの交換又はオイルの補充が不要であると判定した場合、変化特性を参照して、測定電気抵抗に対応する機器の運転時間を抽出する。そして、この抽出した運転時間と、電気抵抗測定時の時間情報に基づく実運転時間と、劣化限界時間とを基に劣化限界予定時間を推定する。このように、本特徴構成によれば、上記と同様に、オイルの交換やオイルの補充が必要となる劣化限界予定時間を推定することができる。
【0021】
尚、上記特徴構成では、前記劣化限界予定時間推定部において、前記劣化限界予定時間の推定には、以下の数式1を用いる。
=h(h/h) (1)
は劣化限界予定時間、hは劣化限界時間、hは実運転時間、hは抽出した運転時間である。
【0022】
また、本発明に係るオイル管理システムの更なる特徴構成は、前記劣化限界予定時間推定部は、
前記保守作業判定部において、前記オイルの交換及び前記オイルの補充が不要であると連続して少なくとも2回以上判定された場合に、これらの判定に対応する2以上の測定タイミングでの前記抵抗測定手段の各測定電気抵抗と、前記抵抗測定手段による電気抵抗測定時の前記時間情報に基づく各実運転時間と、前記劣化限界電気抵抗とを基に、前記抵抗測定手段により測定される電気抵抗が前記劣化限界電気抵抗以下となる劣化限界予定時間を推定する点にある。
【0023】
上記特徴構成によれば、保守作業判定部がオイルの交換及びオイルの補充が不要であると連続して少なくとも2回以上判定した場合、これら各判定に対応する2以上の測定タイミングでの各測定電気抵抗と、電気抵抗測定時の時間情報に基づく各実運転時間と、劣化限界電気抵抗とを基に劣化限界予定時間を推定する。このように、本特徴構成によれば、上記と同様に、オイルの交換やオイルの補充が必要となる劣化限界予定時間を推定することができる。
【0024】
更に、本発明に係るオイル管理システムの更なる特徴構成は、前記劣化限界予定時間推定部は、前記劣化限界予定時間を推定するのに先立ち、前記測定タイミングで測定された電気抵抗が、該測定タイミングよりも一つ前の前記測定タイミングで測定された電気抵抗よりも高いか否かを判定する処理を行う点、或いは、前記劣化限界予定時間推定部は、前記劣化限界予定時間を推定するのに先立ち、前記測定タイミングにおける前記時間情報に基づく実運転時間が、前記抵抗測定手段の測定電気抵抗が極大となる運転時間を超えているか否かを判定する処理を行う点にある。
【0025】
ここで、管理対象たるオイルには、種々の添加剤が含まれており、この添加剤の影響によって、機器の運転開始から一定時間は、抵抗測定手段により測定される電気抵抗が初期抵抗よりも徐々に上昇し、一定時間経過後から測定電気抵抗が徐々に低下する場合がある。そして、測定電気抵抗が極大となる運転時間が経過する前の測定タイミング(言い換えれば、測定電気抵抗が徐々に上昇している最中の測定タイミング)で測定された電気抵抗を用いると、劣化限界予定時間を精度良く推定することができなくなる。
【0026】
しかしながら、劣化限界予定時間を推定するのに先立ち、所定の測定タイミングで測定された電気抵抗が、この測定タイミングよりも一つ前の測定タイミングで測定された電気抵抗よりも低いか否かを判定するように構成することで、一つ前の測定タイミングで測定された電気抵抗よりも高ければ、測定電気抵抗が上昇している最中の測定タイミングであり、低ければ、測定電気抵抗が上昇している最中の測定タイミングでないと判断することができるため、不適切な測定タイミングで測定された電気抵抗を用いて、劣化限界予定時間を推定する処理が行われるのを防ぎ、適切な測定タイミングで測定された電気抵抗を用いて劣化限界予定時間を推定することができる。
【0027】
また、劣化限界予定時間を推定するのに先立ち、所定の測定タイミングにおける時間情報に基づく実運転時間が抵抗測定手段の測定電気抵抗が極大となる運転時間を超えているか否かを判定するように構成することで、測定電気抵抗が極大となる運転時間を超えていなければ、不適切な測定タイミングであり、運転時間を超えていれば、適当な測定タイミングであると判断することができるため、上記と同様に、不適切な測定タイミングで測定された電気抵抗を用いて、劣化限界予定時間を推定する処理が行われるのを防ぎ、適切な測定タイミングで測定された電気抵抗を用いて劣化限界予定時間を推定することができる。
【0028】
また、本発明に係るオイル管理システムの更なる特徴構成は、前記劣化限界予定時間推定部は、
前記保守作業判定部において、前記オイルの交換及び前記オイルの補充が不要であると連続して2回判定された場合に、これらの判定のうちの先の判定に対応する第1測定タイミングでの第1測定電気抵抗及び第1実運転時間と、後の判定に対応する第2測定タイミングでの第2測定電気抵抗及び第2実運転時間と、前記劣化限界電気抵抗とを基に、前記劣化限界予定時間を推定する点にある。
【0029】
上記特徴構成では、オイルの交換及びオイルの補充が不要であると連続して2回判定された場合、これら2つの判定のうち、先の判定に対応する第1測定タイミングでの第1測定電気抵抗及び第1実運転時間と、後の判定に対応する第2測定タイミングでの第2測定電気抵抗及び第2実運転時間と、劣化限界電気抵抗とを基に、劣化限界予定時間を推定する。このように、本特徴構成によれば、上記と同様に、オイルの交換やオイルの補充が必要となる劣化限界予定時間を推定することができる。
【0030】
尚、上記特徴構成では、前記劣化限界予定時間推定部において、前記劣化限界予定時間の推定には、以下の数式2〜4を用いる。
=(R−R)/(h−h)(2)
Δh=(R−R)/R (3)
=h+Δh (4)
は劣化限界予定時間、Rは第1測定電気抵抗、Rは第2測定電気抵抗、hは第1実運転時間、hは第2実運転時間、Rは劣化限界電気抵抗である。
【0031】
更に、本発明に係るオイル管理システムの更なる特徴構成は、前記劣化限界予定時間推定部は、
前記保守作業判定部において、前記オイルの交換及び前記オイルの補充が不要であると連続して2回以上判定された場合に、これらの判定に対応する2以上の測定タイミングでの前記各測定電気抵抗及び各実運転時間を基に近似式を導出し、該導出した近似式と前記劣化限界電気抵抗とを基に、前記劣化限界予定時間を推定する点にある。
【0032】
上記特徴構成では、オイルの交換及びオイルの補充が不要であると連続して2回以上連続して判定された場合、これらの判定に対応する2以上の測定タイミングでの各測定電気抵抗及び各実運転時間を基に近似式を導出する。そして、導出した近似式と劣化限界電気抵抗とを基に、劣化限界予定時間を推定する。このように、本特徴構成によれば、上記と同様に、オイルの交換やオイルの補充が必要となる劣化限界予定時間を推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】オイル管理システムの概略的な構成図である。
図2】制御装置の構成を示す機能ブロック図である。
図3】変化特性を説明するための図である。
図4】第1実施形態に係るオイル管理システムのオイル管理の過程を説明するフローチャートである。
図5】第2実施形態に係るオイル管理システムのオイル管理の過程を説明するフローチャートである。
図6】第2実施形態に係るオイル管理システムのオイル管理における劣化限界予定時間を推定する処理を説明するための図である。
図7】第3実施形態に係るオイル管理システムのオイル管理の過程を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
〔第1実施形態〕
以下、図面を参照して第1実施形態に係るオイル管理システムについて説明する。尚、第1実施形態に係るオイル管理システムは、ガスエンジンを用いてヒートポンプ運転を行う空調システムについて、ガスエンジンに用いるエンジンオイルを管理するためのシステムに本発明に係るオイル管理システムを適用したものである。図1は、この空調システムの一部と本実施形態に係るオイル管理システムを示し、空調システムの一部として、ガスエンジン1とガスエンジン1の下部でエンジンオイル2を貯留しておくオイルパン3と、オイル管4によりオイルパン3と接続されたオイルタンク5を示してある。尚、空調システムでは、オイルパン3とオイルタンク5との両者でエンジンオイル2を貯留しており、オイルパン3からエンジンオイル2が消費されるに伴い、オイルパン3とオイルタンク5との両者でエンジンオイル2の液面の位置が同じになる状態を保って、オイルパン3とオイルタンク5とにおけるエンジンオイル2の液面の位置が徐々に下がっていくようになっている。
【0035】
図1に示すように、第1実施形態に係るオイル管理システムは、エンジンオイル2の温度、電気抵抗及び残オイル量を測定する複合センサー6と、複合センサー6に接続されて複合センサー6からの信号(測定結果等を含む)を基に所定の処理を行う制御装置8とを備えている。
【0036】
複合センサー6は、微小な間隔を隔てて対向した2つの電極部が配置されたセンサー基板6aと、センサー基板6aに接続されたセンサー検出回路(図示せず)とを備えており、センサー基板6aからの信号を基に、エンジンオイル2の温度、電気抵抗及び液面の位置を測定することができるセンサーである。そして、複合センサー6は、オイル貯留部としてのオイルタンク5に設けられており、本実施形態では、複合センサー6は、エンジンオイル2が基準量にあるときのオイルタンク5内でのオイル液面の高さ位置にセンサー基板6aの下端部が位置し、且つオイルタンク5の上部に形成された補給口に挿通された状態で、キャップとしての機能を兼ね備えたセンサーガイド7によって支持されている。この複合センサー6によれば、センサー基板6aがエンジンオイル2に浸かると、電極間に電気が流れ、当該エンジンオイル2の電気抵抗を測定することができる。また、エンジンオイル2に浸かる電極部が増えるごとに静電容量が増加するため、静電容量を基にエンジンオイル2の液面の位置を検知することができ、検知された液面の位置を基に残オイル量を測定することができる。本実施形態においては、この複合センサー6が温度測定手段、抵抗測定手段及び残オイル量検知手段として機能する。
【0037】
制御装置8は、図2に示すように、オイル管理システムによる管理開始時等からのガスエンジン1の積算運転時間を計測するタイマー9と、有線又は無線でデータを送受信可能な通信器等からなる通信部10と、例えばハードディスクからなり各種データを記憶する記憶部11と、CPUからなり各種のデータ処理を行う演算部12とを備えている。ここで、通信部10は、複合センサー6からの信号(測定結果等を含む)やガスエンジン1の積算運転時間(時間情報に基づく実運転時間の一例)とを入力可能な入力部として機能する。尚、本実施形態では、制御装置8としてのマイコンを空調システムに用いられている室外機に組み込んだ形態で用いられており、空調システムの運転制御も併せて行うものとしてある。
【0038】
記憶部11は、連続的又は間欠的にエンジンオイル2の温度、エンジンオイル2の電気抵抗及びエンジンオイル2の液面の位置に関する情報を取得し、当該記憶部11には、エンジンオイル2の温度が予め定めた特定温度である場合の当該エンジンオイル2の電気抵抗が、この電気抵抗が測定されたときのガスエンジン1の積算運転時間と紐づけられた状態で一時的に又は蓄積して保存される。また、記憶部11には、エンジンオイル2の液面の位置に関する情報が一時的に又は蓄積して保存される。
【0039】
また、記憶部11には、ガスエンジン1を所定の条件下において劣化限界時間運転したときの電気抵抗たる劣化限界電気抵抗が予め記憶されるとともに、上記特定温度に関する変化特性であって、ガスエンジン1を所定の条件下において劣化限界時間運転した際に、エンジンオイル2の電気抵抗が劣化限界電気抵抗まで変化したときの電気抵抗とガスエンジン1の運転時間との関係が予め規定されている変化特性が記憶されている。具体的に、図3に示すように、本実施形態における変化特性は、ガスエンジン1を高負荷で1万時間(劣化限界時間)運転した際の、ガスエンジン1の運転時間とエンジンオイル2の電気抵抗との関係を、エンジンオイル2の温度が25℃、30℃、35℃(特定温度の一例)の場合についてそれぞれ規定したものである。
【0040】
演算部12は、複合センサー6により測定されたエンジンオイル2の電気抵抗(測定電気抵抗)が、劣化限界電気抵抗以下であるか否かを判定する抵抗判定部13と、抵抗判定部13での判定結果及び複合センサー6により測定されたエンジンオイル2の残オイル量を基に、保守作業の要否を判定する保守作業判定部14と、複合センサー6により測定されるエンジンオイル2の電気抵抗が劣化限界電気抵抗以下となる劣化限界予定時間を推定する劣化限界予定時間推定部15とを有している。
【0041】
具体的には、抵抗判定部13は、測定電気抵抗が劣化限界電気抵抗以下であるか否かを判定する。そして、保守作業判定部14は、複合センサー6により測定された残オイル量が所定量未満である場合には、エンジンオイル2の補充が必要であると判定する。残オイル量が所定量以上であり、測定電気抵抗が劣化限界電気抵抗以下である場合、エンジンオイル2の劣化度が高く、エンジンオイル2の交換又は劣化度を下げるためのエンジンオイル2の補充が必要であるため、保守作業判定部14は、エンジンオイル2の交換又はエンジンオイル2の補充が必要であると判定する。一方、残オイル量が所定量以上であり、且つ、測定電気抵抗が劣化限界電気抵抗より大きいと判定されている場合、保守作業判定部14は、エンジンオイル2の交換及びエンジンオイル2の補充が不要であると判定する。
【0042】
また、劣化限界予定時間推定部15は、保守作業判定部14からエンジンオイル2の交換及びエンジンオイル2の補充が不要であるとの判定結果を受けて、劣化限界予定時間を推定する。具体的に、劣化限界予定時間推定部15は、記憶部11に予め記憶された変化特性を参照して、複合センサー6により測定された電気抵抗に対応するガスエンジン1の運転時間を抽出し、この抽出した運転時間と、ガスエンジン1の積算運転時間と、劣化限界時間とを基に、以下の数式1により、複合センサー6により測定される電気抵抗が劣化限界電気抵抗以下となる劣化限界予定時間を推定する。尚、数式1において、hは劣化限界予定時間、hは劣化限界時間、hは積算運転時間、hは抽出した運転時間である。
(数式1)
=h(h/h
【0043】
次に、以上の構成を備えたオイル管理システムにより、エンジンオイル2の交換又はエンジンオイル2の補充の要否を判定するとともに、エンジンオイル2の交換又はエンジンオイル2の補充が不要である場合には、エンジンオイル2の交換又はエンジンオイル2の補充が必要になる劣化限界予定時間を推定するオイル管理の態様について、図4を参照して以下説明する。尚、図4は、オイル管理の過程を説明するためのフローチャートである。
【0044】
このオイル管理システムでは、新たにオイルタンク5内にエンジンオイル2を供給したときから管理を開始し、ガスエンジン1の積算運転時間のカウントを開始する(工程#1)。ついで、複合センサー6により測定されるエンジンオイル2の温度が上記特定温度である測定タイミングであるか否かを判定し(工程#2)、測定タイミングである場合には、当該複合センサー6の測定電気抵抗を電気抵抗測定時のガスエンジン1の積算運転時間と紐づけた状態で記憶部11に保存するとともに、エンジンオイル2の液面の位置に関する情報も記憶部11に保存し(工程#3)、工程#4に移行する。一方、測定タイミングでない場合にはリターンする。
【0045】
工程#4では、エンジンオイル2の液面の位置を基に、残オイル量が所定量以上であるか否かを判定し、所定量未満である場合にはエンジンオイル2の補充が必要であると判定し、判定結果を適宜外部機器に送信して、エンジンオイル2の補充が必要である旨を管理者に報知し(工程#5)、管理を終了(中断)する。一方、所定量以上である場合には残オイル量の観点からはエンジンオイル2の交換及び補充が不要であると判定した場合には工程#6に移行する。
【0046】
工程#6では、抵抗判定部13において、測定電気抵抗が所定の特定温度における劣化限界電気抵抗以下であるか否かを判定し、工程#7に移行する。
【0047】
工程#7では、抵抗判定部13において測定電気抵抗が劣化限界電気抵抗以下であると判定されている場合、エンジンオイル2の交換又は補充が必要であると判定し、判定結果を適宜外部機器に送信して、エンジンオイル2の交換又はエンジンオイル2の補充が必要である旨を管理者に報知し(工程#8)、管理を終了(中断)する。一方、劣化限界電気抵抗以下でないと判定されている場合、エンジンオイル2の交換又はエンジンオイル2の補充が不要であると判定し、工程#9に移行する。
【0048】
工程#9では、変化特性を参照して、複合センサー6の測定電気抵抗に対応するガスエンジン1の運転時間を抽出する。例えば、図3に示すように、測定電気抵抗Rが25℃で測定されたものである場合には、特定温度が25℃である場合の変化特性を参照して、ガスエンジン1の運転時間hを抽出する。そして、抽出した運転時間と、ガスエンジン1の積算運転時間と、劣化限界時間とを基に、上記数式1により、複合センサー6により測定される電気抵抗が、特定温度が25℃である場合の劣化限界電気抵抗以下となる劣化限界予定時間を推定し、工程#2に移行する。尚、推定された劣化限界予定時間は、適宜外部機器により、管理者に知らされる。
【0049】
尚、第1実施形態に係るオイル管理システムにおいては、管理者がエンジンオイル2の補充を行った場合、補充したエンジンオイル2の添加剤の影響により、複合センサー6により測定される電気抵抗が補充前よりも低下する場合がある。そのため、補充直後の測定電気抵抗が劣化限界電気抵抗以下となり、エンジンオイル2を補充したにもかかわらず、エンジンオイル2の交換やエンジンオイル2の補充が必要であると判定される可能性がある。そこで、エンジンオイル2を補充した場合には、少なくとも測定電気抵抗が補充前に測定された電気抵抗よりも高くなった時点から抵抗判定部13での判定処理を行うことが好ましい。
【0050】
以上のように、第1実施形態に係るオイル管理システムでは、特定温度での劣化限界電気抵抗及び変化特性を予め記憶部11に記憶させておき、特定温度でのエンジンオイル2の電気抵抗を測定し、これを利用するようにしているため、測定電気抵抗に温度補正などの処理を行うことなく、エンジンオイル2の交換及びエンジンオイル2の補充の要否の判定や劣化限界予定時間の推定を簡単且つ正確に行うことができる。したがって、計画的に適切なメンテナンスを行うことができる。
【0051】
〔第2実施形態〕
第2実施形態に係るオイル管理システムは、記憶部11に予め記憶される情報、劣化限界予定時間推定部15における処理の内容及びオイル管理の過程が上記第1実施形態と異なっている。以下、第2実施形態のオイル管理システムについて説明するが、上記第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0052】
また、劣化限界予定時間推定部15は、保守作業判定部14からエンジンオイル2の交換及びエンジンオイル2の補充が不要であるとの判定結果を受けて、劣化限界予定時間を推定する。具体的に、劣化限界予定時間推定部15は、保守作業判定部14において、エンジンオイル2の交換及びエンジンオイル2の補充が不要であると連続して2回判定された場合に、これらの判定のうち、先の判定に対応する第1測定タイミングで測定された第1測定電気抵抗及び電気抵抗測定時の第1積算運転時間(第1実運転時間)と、後の判定に対応する第2測定タイミングで測定された第2測定電気抵抗及び電気抵抗測定時の第2積算運転時間(第2実運転時間)と、記憶部11に予め記憶された劣化限界電気抵抗とを基に、以下の数式2〜4により、複合センサー6により測定される電気抵抗が劣化限界電気抵抗以下となる劣化限界予定時間を推定する。尚、数式2〜4において、hは劣化限界予定時間、Rは第1測定電気抵抗、Rは第2測定電気抵抗、hは第1積算運転時間、hは第2積算運転時間、Rは劣化限界電気抵抗である。
(数式2)
=(R−R)/(h−h
(数式3)
Δh=(R−R)/R
(数式4)
=h+Δh
【0053】
また、劣化限界予定時間推定部15は、上記劣化限界予定時間の推定処理に先立ち、所定の測定タイミングで測定された電気抵抗が、この測定タイミングよりも一つ前の測定タイミングで測定された電気抵抗よりも低いか否かを判定する処理を行う。
【0054】
次に、以上の構成を備えた第2実施形態に係るオイル管理システムにより、エンジンオイル2の交換又はエンジンオイル2の補充の要否を判定するとともに、エンジンオイル2の交換又はエンジンオイル2の補充が必要になる劣化限界予定時間を推定するオイル管理の態様について、図5を参照して以下説明する。尚、図5は、第2実施形態に係るオイル管理システムによるオイル管理の過程を説明するためのフローチャートであり、工程#11〜工程#18までは、第1実施形態の工程#1〜工程#8と同様であるため説明は省略する。
【0055】
ここで、管理対象たるエンジンオイル2には、種々の添加剤が含まれており、この添加剤の影響により、ガスエンジン1の運転開始から一定時間は、温度の大小にかかわらず、複合センサー6により測定される電気抵抗が初期抵抗よりも徐々に上昇し、一定時間経過後から測定電気抵抗が徐々に低下する場合がある(図3参照)。そのため、上記劣化限界予定時間を推定する際に用いる第1及び第2測定電気抵抗が、測定電気抵抗が極大となる運転時間が経過する前の測定タイミング(言い換えれば、測定電気抵抗が徐々に上昇している最中の測定タイミング)で測定されたものであると、劣化限界予定時間を精度よく推定することができなくなる。
【0056】
そこで、本実施形態においては、劣化限界予定時間を推定する処理に先立ち、測定電気抵抗が一つ前の測定タイミングで測定された電気抵抗よりも低いか否かを判定し、一つ前の測定タイミングで測定された電気抵抗よりも低い場合には工程#19に移行し、高い場合には工程#12に移行する。これにより、不適切な測定タイミングで測定された電気抵抗を第1及び第2測定電気抵抗として用いて、劣化限界予定時間を推定する処理が行われるのを防止することができる。
【0057】
工程#19では、同一特定温度での測定電気抵抗が劣化限界電気抵抗より大きいとの判定結果に基づくエンジンオイル2の交換及びエンジンオイル2の補充が不要であるとの判定が2回連続しているか否かを判定して、2回連続していない場合には、工程#12へ戻り、2回連続している場合には、工程#20に移行する。上記エンジンオイル2の交換及びエンジンオイル2の補充が不要であるとの判定が2回連続している場合とは、例えば、図6に示すように、特定温度が25℃である場合の第1及び第2測定タイミングでの測定電気抵抗R,Rが2回連続して劣化限界電気抵抗より大きいと判定され、これらの判定結果を基にエンジンオイル2の交換及びエンジンオイル2の補充の要否を判定した場合である。尚、図6には、ガスエンジン1を所定の条件下において劣化限界時間運転した場合のエンジンオイル2の電気抵抗の変化を便宜上示した。
【0058】
工程#20では、例えば、図6に示すように、特定温度が25℃である場合の測定電気抵抗が劣化限界電気抵抗より大きいとの判定結果に基づいてエンジンオイル2の交換及びエンジンオイル2の補充が不要であると2回連続して判定された場合、これらの判定のうち、先の判定に対応する第1測定タイミングでの第1測定電気抵抗(図6におけるR)及び電気抵抗測定時の第1積算運転時間(図6におけるh)と、後の判定に対応する第2測定タイミングでの第2測定電気抵抗(図6におけるR)及び電気抵抗測定時の第2積算運転時間(図6におけるh)と、特定温度が25℃である場合の劣化限界電気抵抗とを基に、数式2〜4により、複合センサー6により測定される電気抵抗が、特定温度が25℃である場合の劣化限界電気抵抗以下となる劣化限界予定時間を推定し、工程#12に移行する。尚、推定された劣化限界予定時間は、適宜外部機器により、管理者に知らされる。
【0059】
以上のように、第2実施形態に係るオイル管理システムによれば、第1実施形態と同様に、特定温度での劣化限界電気抵抗及び変化特性を予め記憶部11に記憶させておき、特定温度でのエンジンオイル2の電気抵抗を測定し、これを利用するようにしているため、測定電気抵抗に温度補正などの処理を行うことなく、エンジンオイル2の交換及びエンジンオイル2の補充の要否の判定や劣化限界予定時間の推定を簡単且つ正確に行うことができ、計画的に適切なメンテナンスを行うことができる。
【0060】
〔第3実施形態〕
第3実施形態に係るオイル管理システムは、第2実施形態の変形例である。以下、第3実施形態のオイル管理システムについて説明するが、上記第1及び第2実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0061】
第3実施形態における劣化限界予定時間推定部15は、保守作業判定部14からエンジンオイル2の交換及びエンジンオイル2の補充が不要であるとの判定結果を受けて、劣化限界予定時間を推定する。具体的に、劣化限界予定時間推定部15は、保守作業判定部14において、エンジンオイル2の交換及びエンジンオイル2の補充が不要であると連続して2回以上判定された場合に、各判定に対応する2以上の測定タイミングでの各測定電気抵抗及び各電気抵抗測定時の積算運転時間を基に近似式を導出し、この導出した近似式と記憶部11に予め記憶された劣化限界電気抵抗とを基に、複合センサー6により測定される電気抵抗が劣化限界電気抵抗以下となる劣化限界予定時間を推定する。
【0062】
また、劣化限界予定時間推定部15は、第2実施形態と同じく、所定の測定タイミングで測定された電気抵抗が、この測定タイミングよりも一つ前の測定タイミングで測定された電気抵抗よりも低いか否かを判定する処理を行う。
【0063】
次に、以上の構成を備えた第3実施形態に係るオイル管理システムにより、エンジンオイル2の交換又はエンジンオイル2の補充の要否を判定するとともに、オイルの交換又はオイルの補充が必要になる劣化限界予定時間を推定するオイル管理の態様について、図7を参照して以下説明する。尚、図7は、第3実施形態にオイル管理システムによるオイル管理の過程を説明するためのフローチャートであり、工程#31〜工程#38までは、第1実施形態の工程#1〜工程#8と同様であるため説明は省略する。
【0064】
ここで、第3実施形態においては、近似式を導出する際に用いる各測定電気抵抗が、測定電気手孔が極大となる運転時間が経過する前の測定タイミング(言い換えれば、測定電気抵抗が徐々に上昇している最中の測定タイミング)で測定されたものであると、導出した近似式が不正確なものとなり、当該近似式を用いても劣化限界予定時間を精度良く推定することができない。
【0065】
そこで、第3実施形態においても、劣化限界予定時間を推定する処理に先立ち、測定電気抵抗が一つ前の測定タイミングで測定された電気抵抗よりも低いか否かを判定し、一つ前の測定タイミングで測定された電気抵抗よりも低い場合には工程#39に移行し、高い場合には工程#32に移行する。これにより、不適切な測定タイミングで測定された電気抵抗を基に導出した近似式を利用して劣化限界予定時間を推定する処理が行われるのを防止することができる。
【0066】
工程#39では、同一特定温度での測定電気抵抗が劣化限界電気抵抗より大きいとの判定結果に基づくエンジンオイル2の交換及びエンジンオイル2の補充が不要であるとの判定が2回以上連続しているか否かを判定して、2回以上連続していない場合には、工程#32へ戻り、2回以上連続している場合には、工程#40に移行する。同一特定温度での測定電気抵抗が劣化限界電気抵抗より大きいとの判定結果に基づくエンジンオイル2の交換及びエンジンオイル2の補充が不要であるとの判定が2回以上連続している場合とは、例えば、25℃での測定電気抵抗が3回連続して劣化限界電気抵抗より大きいと判定され、これらの判定結果を基にエンジンオイル2の交換及びエンジンオイル2の補充の要否を判定した場合である。
【0067】
工程#40では、例えば、特定温度が25℃である場合の測定電気抵抗が劣化限界電気抵抗より大きいとの判定結果に基づいてエンジンオイル2の交換及びエンジンオイル2の補充が不要であると2回以上連続して判定された場合、各判定に対応する測定タイミングでの測定電気抵抗及び電気抵抗測定時の積算運転時間を基に近似式を導出し、工程#41に移行する。
【0068】
ついで、工程#41では、導出した近似式と、特定温度が25℃である場合の劣化限界電気抵抗とを基に、複合センサー6により測定される電気抵抗が、特定温度が25℃である場合の劣化限界電気抵抗以下となる劣化限界予定時間を推定し、工程#32に移行する。尚、推定された劣化限界予定時間は、適宜外部機器により、管理者に知らされる。尚、本実施形態においては、劣化限界予定時間を推定した後、更に、エンジンオイル2の交換及びエンジンオイル2の補充が不要であるとの判定があった場合、当該判定に対応する測定タイミングでの測定電気抵抗及び電気抵抗測定時の積算運転時間を基に、導出した近似式に補正を加えた上で劣化限界予定時間を算出(推定)する。したがって、近似式の導出に使用されるデータ数が徐々に増加し、高精度の近似式が得られるようになる。
【0069】
以上のように、第3実施形態に係るオイル管理システムによれば、第1及び第2実施形態と同様に、特定温度での劣化限界電気抵抗及び変化特性を予め記憶部11に記憶させておき、特定温度でのエンジンオイル2の電気抵抗を測定し、これを利用するようにしているため、測定電気抵抗に温度補正などの処理を行うことなく、エンジンオイル2の交換及びエンジンオイル2の補充の要否の判定や劣化限界予定時間の推定を簡単且つ正確に行うことができ、計画的に適切なメンテナンスを行うことができる。
【0070】
〔別実施形態〕
〔1〕上記各実施形態では、オイル管理システムの構成について具体例を挙げて説明したが、その構成は適宜変更可能である。例えば、上記第1実施形態では、特定温度として25℃,30℃,35℃を例示したが、これに限られるものではない。尚、図3に示すように、エンジンオイル2は、温度が高いほど時間の経過に伴う電気抵抗の変化(劣化による電気抵抗の変化)が小さくなり、電気抵抗の変化が小さい場合、誤判定が起こり易くなる。そこで、判定の精度を高めるという観点からすると、特定温度は、時間の経過に伴う電気抵抗の変化が比較的大きくなる低温、具体的に50℃以下であることが好ましい。
【0071】
〔2〕上記各実施形態では、エンジンオイル2の温度、エンジンオイル2の電気抵抗及びエンジンオイル2の液面の位置を一つの複合センサー6によってまとめて検出するようにしているが、これに限られるものではなく、温度を検出するセンサー、電気抵抗を検出するセンサー、液面の位置を検出するセンサーをそれぞれ設けるようにしても良い。
【0072】
〔3〕上記各実施形態では、制御装置8としてのマイコンを空調システムに用いられている室外機に組み込んだ形態で用いられている態様を例にとって説明したが、これに限られるものではない。例えば、制御装置8が担う処理機能を複合センサー6のセンサー検出回路に組み込むようにしても良いし、制御装置8が担う処理機能を外部の処理センタに持たせ、複合センサー6により測定される各種測定結果を外部の処理センタに送信するようにしても良い。
【0073】
〔4〕上記第2実施形態及び第3実施形態では、劣化限界予定時間を推定する処理に先立ち、測定電気抵抗が一つ前の測定タイミングで測定された電気抵抗よりも低いか否かを判定するようにしているが、このような判定に代えて、所定の測定タイミングにおける積算運転時間が、複合センサー6の測定電気抵抗が極大となる運転時間を超えているか否かを判定するようにしても良い。尚、測定電気抵抗が極大となる運転時間は、予め記憶部11に記憶される。
【0074】
この場合、所定の測定タイミングにおける積算運転時間が、測定電気抵抗が極大となる運転時間を超えている場合には、第2実施形態では工程#19、第3実施形態では工程#39にそれぞれ移行し、超えていない場合には、第2実施形態では工程#12、第3実施形態では工程#32にそれぞれ移行する。これにより、第2実施形態においては、不適切な測定タイミングで測定された電気抵抗を第1及び第2測定電気抵抗として用いて、劣化限界予定時間を推定する処理が行われるのが防止される。また、第3実施形態においては、不適切な測定タイミングで測定された電気抵抗を基に導出した近似式を利用して劣化限界予定時間を推定する処理が行われるのを防止される。
【0075】
〔5〕上記第3実施形態では、エンジンオイル2の交換及びエンジンオイル2の補充が不要であると2回以上連続して判定された場合、この判定に対応する測定タイミングでの測定電気抵抗及び電気抵抗測定時の積算運転時間を利用して近似式を導出する態様を例にとって説明したが、このような態様に限られるものではない。例えば、一定間隔(例えば、500h、1000h間隔)ごとの測定タイミングにおける測定電気抵抗及び電気抵抗測定時の積算運転時間を取得し、測定電気抵抗が極大となる運転時間を経過してから一定時間が経過した段階、或いは、一定数の測定電気抵抗及び積算運転時間を取得した段階で、取得した測定電気抵抗及び積算運転時間を基に近似式を導出するようにしても良い。この場合、導出した近似式により劣化限界予定時間を推定した後、更に、エンジンオイル2の交換又はエンジンオイル2の補充が不要であるとの判定があった場合、当該判定に対応する測定タイミングでの測定電気抵抗及び電気抵抗測定時の積算運転時間を基に、導出した近似式に補正を加えた上で劣化限界予定時間を算出(推定)する。したがって、第3実施形態と同様に、近似式の導出に使用されるデータ数が徐々に増加し、高精度の近似式が得られるようになる。
【0076】
〔6〕上記各実施形態では、オイル管理システムにより、エンジンオイル2の電気抵抗やオイルタンク5内のエンジンオイル2の量に基づきエンジンオイル2の交換や補充の要否を判定する態様を説明したが、例えば、以下の数式5により、ガスエンジン1の運転負荷率を算出し、この運転負荷率を基に、点火プラグやオイルフィルタなどの部品の交換周期を決定することもできる。尚、数式5において、Fは運転負荷率、hは劣化限界時間、heは劣化限界予定時間である。
(数式5)
F=he/h
【0077】
尚、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、オイルの交換やオイルの補充が必要であるか否かを正確に判定できるとともに、オイルの交換やオイルの補充が必要となる劣化限界予定時間を推定することができ、計画的に適切なメンテナンスを行うことができるオイル管理システムに利用できる。
【符号の説明】
【0079】
1 ガスエンジン
5 オイルタンク
6 複合センサー
8 制御装置
10 通信部
11 記憶部
12 演算部
13 抵抗判定部
14 保守作業判定部
15 劣化限界予定時間推定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7