【解決手段】第1端子20は、端子保持孔35aに上下方向で挿入される被保持部22を有している。被保持部22の外面と第1ハウジング30に形成されている端子保持孔35aの内面は、互いに接している接触領域R1と、被保持部22の外面と端子保持孔35aの内面との間に溜めスペースS2が形成されている隙間領域R2とを有している。接触領域R1は、露出部23の側に位置している部分領域R1aを有している。
前記接触領域は、前記隙間領域に対して、前記第1の方向に対して直交し且つ前記被保持部の外面に沿った方向である第2の方向に、位置している第2部分領域をさらに有している
ことを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
前記接触領域は、前記第2部分領域として、前記第2の方向において前記隙間領域の一方側にある領域と、前記隙間領域を挟んで前記一方側とは反対側にある領域とを含んでいる
ことを特徴とする請求項2に記載のコネクタ。
前記被保持部の外面は、前記第1の方向に直交し且つ前記被保持部の外面に沿った方向である第2の方向に向いている第1の外面と、前記第1の方向と前記第2の方向とに直交する第3の方向に向いている第2の外面と、を有し、
前記端子保持孔の内面は、前記第1の外面と向き合っている第1の内面と、前記第2の外面と向き合っている第2の内面と、を有し、
前記第1の外面に前記第1の内面に引っかかる係合部が形成され、
前記第2の外面と前記第2の内面は、前記隙間領域と前記接触領域の前記第1部分領域とを有している
ことを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本開示で提案するコネクタ、コネクタ組立体、及び回路装置の実施形態の例について説明する。本開示で提案するコネクタは、その使用時において、回路基板に実装される。コネクタは、回路基板と電線との接続のために利用されてもよいし、2枚の回路基板の接続のために利用されてもよい。本開示では、一例として、コネクタ10、コネクタ組立体1、及びコネクタ10を含む回路装置について説明する。この回路装置は、コネクタ10、回路基板M(
図7参照)、及びポッティング材N(
図7参照)を含んでいる。コネクタ10とコネクタ組立体1は、回路基板Mとケーブル91との接続に用いられる。
【0008】
以下の説明では、
図1のZ1、Z2で示す方向をそれぞれ上方、下方と称し、Y1、Y2で示す方向をそれぞれ前方、後方と称し、X1、X2で示す方向をそれぞれ右方、左方と称する。これらの方向は、コネクタを構成する部材や部位の相対的な位置関係を説明するために使用され、コネクタ及びコネクタ組立体の使用時におけるコネクタ及びコネクタ組立体の姿勢を限定するものではない。
【0009】
[全体概要]
図1に示されるように、コネクタ組立体1は、第1コネクタ10と、第1コネクタ10に嵌合可能な第2コネクタ90とを有している。第1コネクタ10は、その使用時に、例えば回路基板M(
図7参照)に実装される。第1コネクタ10と第2コネクタ90は、例えば上下方向、すなわち第1コネクタ10が実装される回路基板Mに対して直交する方向において、嵌合可能となっている。本開示で提案するコネクタの嵌合方向は上下方向に限られない。例えば、本開示の構造は、水平方向で嵌合可能なコネクタ、すなわち回路基板と平行な方向において嵌合可能なコネクタに適用されてもよい。他の例として、本開示の構造は、フレキシブルプリント基板(Flexble Printed Circuit、FPC)やフレキシブルフラットケーブル(Flexible Flat Cable、FFC)等平板状導電路が接続可能なコネクタに適用されてもよい。
【0010】
[第2コネクタの概要]
図2に示すように、第2コネクタ90は、例えば、複数のケーブル91の端部にそれぞれ取り付けられている複数の端子92と、端子92を保持するハウジング93とを有している。なお、本開示ではケーブル91と端子92は圧着されているが、互いに電気的に接続されていればよく、圧接やはんだ等他の接続方法を選択してもよい。以下では、端子92を「第2端子」と称し、ハウジング93を「第2ハウジング」と称する。第2ハウジング93には、例えば、複数の第2端子92がそれぞれ挿入される複数の端子孔93aが形成される。複数の端子孔93aは1列で左右方向において並んでいる。第2ハウジング93は樹脂で成形されている。第2コネクタ90の構造は、
図2で示す例に限らない。例えば、複数の第2端子92は複数の列(例えば、2列や3列)で左右方向および前後方向において並んでもよい。第2端子92の数は1つでもよい。
【0011】
[第1コネクタの概要]
第1コネクタ10は、複数の端子20(
図6A参照)と、端子20を保持しているハウジング30とを有している。以下では、端子20を「第1端子」と称し、ハウジング30を「第1ハウジング」と称する。第1コネクタ10の例では、第1端子20は、第2端子92と同様に、1列で左右方向に並んでいる。複数の第1端子20は、複数の列(例えば、2列や3列)で左右方向および前後方向に並んでもよい。第1端子20の数は1つでもよい。少なくとも、第1コネクタの複数の第1端子20が、第2コネクタの複数の第2端子92に接続されるような数および配置に設定してよい。第1ハウジング30は、第2ハウジング93と同様に、樹脂で成形されている。
【0012】
第1端子20は、例えば金属板(例えば、銅板)から打抜き曲げ加工によって形成される。また、後述するポッティング材が第1ハウジング30の内側に浸入することを防止するために、第1ハウジング30の表面は、例えばフッ素系のコーティング剤で、コーティングされてもよい。
【0013】
第1ハウジング30には、左右方向で並んでおり且つ第1ハウジング30を貫通している複数の端子保持孔35a(
図5A参照)が形成されている。
図6A及び
図4Aに示すように、第1端子20は、端子保持孔35aに挿入され端子保持孔35aの内側で保持される被保持部22を有している。被保持部22には、端子保持孔35aの内面に引っかかる係合部(アンカー)22a、22bが形成されている。また、第1端子20は、端子保持孔35aから出ている嵌合部21と、嵌合部21とは反対側で端子保持孔35aから出ている露出部23とを有している。嵌合部21は、第2端子92の接点92a(
図2参照)と接触する接点21aを右側面と左側面とに有している。
図2や
図7等に示されるように、第1コネクタ10と第2コネクタ90の例において、接点92aは対向する平板状の2つの接点を備え、右側面と左側面とに接点21aを有している嵌合部21は平板状の形状を備え、2つの接点92aの間に挟み込まれて電気的に接続する構造のものとして説明する。露出部23は、回路基板Mに取り付けられる被取付部23aを有している。第1コネクタ10の例において、嵌合部21は第1端子20の上部に位置し、露出部23は第1端子20の下部に位置している。
【0014】
図5A及び
図6Aに示すように、第1ハウジング30は、第2コネクタ90に向かって開口している嵌合スペースS1を有している。第1端子20の嵌合部21は嵌合スペースS1に位置している。第1コネクタ10の例では、1つの嵌合スペースS1に複数の第1端子20の嵌合部21が位置している。第1コネクタ10の例とは異なり、複数の嵌合部21のそれぞれについて1つの嵌合スペースが形成されてもよい。
図2に示すように、第1コネクタ10の例において、第1ハウジング30は後壁31と前壁32と右壁33と左壁34とを有し、嵌合スペースS1は壁31、32、33、34によって規定されている。また、第1ハウジング30は、嵌合スペースS1の底となる底部35(
図6A参照)を有している。嵌合スペースS1を規定する壁部31、32、33、34の構造は、
図2等で示される例に限られない。
【0015】
底部35に、第1端子20が挿入される上述した複数の端子保持孔35a(
図5A及び
図5B参照)が形成されており、嵌合部21は底部35から上方に伸びている。底部35は請求項の「端子保持部」に対応している。
図7に示すようにコネクタ10、90が嵌合すると、第2コネクタ90の第2端子92は、嵌合スペースS1(
図2参照)に入り、嵌合部21の接点21aに接触する。
図4A及び
図4Bに示すように、第1コネクタ10の例においては、接点21aは嵌合部21の右側面と左側面とに形成され、上下方向に沿って形成されている凸部である。コネクタ10、90が嵌合すると、嵌合部21は第2コネクタ90の第2端子92の接点92aによって挟まれ、接点21aは端子92aに接触する。嵌合部21や接点21aの形状は、第1コネクタ10の例に限られない。
【0016】
[第1端子の被保持部]
図5A及び
図6Aに示すように、端子保持孔35aは、第1コネクタ10の例においては、底部35を上下方向において貫通している。複数の第1端子20はそれぞれ複数の端子保持孔35aに挿入され、被保持部22は端子保持孔35aの内側で保持されている。すなわち、被保持部22は端子保持孔35aに圧入され、被保持部22の係合部22a、22bは端子保持孔35aの内面に引っかかっている。これによって、被保持部22は端子保持孔35aの内側に固定されている。第1端子20が第1ハウジング30に取り付けられる方向は、第1コネクタ10の例に限られない。第1端子20は、第1ハウジング30に、例えば前後方向で取り付けられてもよい。この場合、第1ハウジング30の壁(前壁或いは後壁)を前後方向に貫通する端子保持孔が形成されてもよい。
【0017】
なお、本明細書において、被保持部22は、
図8に示すように、端子保持孔35aの深さD1に対応する部分である。言い換えると、被保持部22は、底部35の上面35mから下面35nに対応する部分である。上述した嵌合部21は、端子保持孔35aから上方に露出している部分である。言い換えると、嵌合部21は底部35の上面35mよりも高い位置にある部分である。上述した露出部23は、端子保持孔35aから下方に露出している部分である。言い換えると、露出部23は底部35の下面35nよりも低い位置にある部分である。第1コネクタ10の例では、露出部23は、後側の下端に回路基板Mに取り付けられる被取付部23aを有している。
【0018】
図4A及び
図4Bに示すように、被保持部22の外面は、前方、後方、右方、及び左方にそれぞれ向いている前面22A、後面22B、右側面22C、及び左側面22Dを有している。端子保持孔35aの内面は、被保持部22の前面22A、後面22B、右側面22C、及び左側面22Dと、それぞれ向き合う前内面35A(
図8参照)、後内面35B(
図8参照)、右内面35C(
図6B参照)、及び左内面35D(
図6B参照)を含んでいる。
【0019】
[被保持部の前面と後面]
図4A、
図4B、及び
図8に示すように、第1コネクタ10の例では、前面22Aに、端子保持孔35aの内面(具体的には、前内面35A)に引っかかる係合部22aが形成されている。また、後面22Bに、端子保持孔35aの内面(具体的には、後内面35B)に引っかかる係合部22bが形成されている。係合部22a、22bは、前面22Aの前方及び後面22Bの後方にそれぞれ突出して形成される。係合部22a、22bは端子保持孔35aの内面に引っかかる角を有している。係合部22a、22bの前後方向での距離W1(
図4B参照)は、端子保持孔35aの前後方向での幅よりも少し大きい。そのため、被保持部22が端子保持孔35aに挿入されると、係合部22a、22bの角が端子保持孔35aの内面に引っかかり、被保持部22の抜け方向への動きを規制する。係合部22a、22bの形状は、第1端子20の抜け方向への動きが規制される形状であれば、
図4A及び
図4Bで示すものに限られない。
【0020】
図4A及び
図4Bに示すように、被保持部22の前面22Aは接触部22cを有している。接触部22cは係合部22aから下方に離れて位置している。すなわち、接触部22cは係合部22aに対して露出部23の側に位置し、係合部22aと接触部22cとの間に凹部が形成されている。接触部22cは前方に突出し、その前面は端子保持孔35aの内面に接触している(
図8参照)。
【0021】
図7に示すように、第1コネクタ10が実装される回路基板Mの表面には、樹脂のポッティング材Nが塗布される。第1コネクタ10の下部は、回路基板Mを有する電子機器の製造工程では、液体のポッティング材Nに浸る。上述したように、前面22Aには、係合部22aと接触部22cとが形成されている。このことによって、ポッティング材Nが被保持部22の前面22Aと端子保持孔35aの内面との間を通過してしまい嵌合スペースS1に入ることを、効果的に防ぐことができる。例えばポッティング材Nが接触部22cと端子保持孔35aとの間を通過してしまった場合であっても、そのポッティング材Nは接触部22cと係合部22aとの間の凹部に留まり、ポッティング材Nが嵌合スペースS1に入ることを抑えることができる。後述するように、接触部22cは、端子保持孔35aに圧入されて、端子保持孔35aの内面に密着もしくは当接していることが好ましい。
【0022】
図4A及び
図4Bに示すように、後面22Bは、前面22Aと同様に、係合部22bか下方に離れて位置している接触部22dを有している。すなわち、接触部22dは係合部22bに対して露出部23の側に位置し、係合部22bと接触部22dとの間に凹部が形成されている。接触部22dは後方に突出し、その後面は端子保持孔35aの内面に接触している(
図8参照)。このことによって、前述の効果と同様に、ポッティング材Nが被保持部22の後面22Bと端子保持孔35aの内面との間を通過してしまい嵌合スペースS1に入ることを、効果的に防ぐことができる。
【0023】
第1コネクタ10の例では、接触部22c、22dの突出量は、係合部22a、22bの突出量よりも大きい。言い換えれば、接触部22c、22dの表面の距離W2(
図4B参照)は、係合部22a、22bの端部の距離W1よりも大きい。これによって、接触部22c、22dの表面は端子保持孔35aの前内面35Aと後内面35Bとに接触する。接触部22c、22dの突出量は、係合部22a、22bの突出量と同じであってもよい。
【0024】
図4Aに示すように、第1端子20の後面22Bに形成されている係合部22bの左右方向での幅W4は、一定である(後方に向かって小さくなっていない)。同様に、接触部22dの左右方向での幅も、一定である(後方に向かって小さくなっていない)。このため、係合部22bの側面22k(右面及び左面)と、接触部22dの側面22m(右面及び左面)とに、端子保持孔35aの内面が密着し、ポッティング材Nが係合部22bと接触部22dの右側及び左側を通過することも、抑えられている。後側の係合部22bと接触部22dと同様に、前面22Aに形成されている係合部22aの左右方向での幅と、接触部22cの左右方向での幅も、一定である(前方に向かって小さくなっていない)。このため、ポッティング材Nが係合部22aと接触部22cの右側及び左側を通過することも、抑えられている。
【0025】
なお、第1コネクタ10の例とは異なり、被保持部22の前面22Aと後面22Bのうち一方に係合部と接触部とが形成され、他方にはこれらは形成されていなくてもよい。この場合、係合部と接触部とが形成されていない面は、端子保持孔35aの内面に接する平らな面であってもよい。また、前面22Aと後面22Bとには係合部22a、22bが形成され、接触部22c、22dは形成されていなくてもよい。また、前面22Aに形成される係合部22aの数は2つ以上であってもよい。同様に、後面22Bに形成される係合部22bの数も2つ以上であってもよい。さらに、前面22Aに形成される接触部22cの数は2つ以上であってもよい。同様に、後面22Bに形成される接触部22dの数も2つ以上であってもよい。
【0026】
[被保持部の右側面と左側面]
第1コネクタ10の例では、被保持部22の右側面22Cと左側面22Dは、端子保持孔35aの内面に接している。第1端子20を端子保持孔35aに圧入する前において、右側面22Cと左側面22Dとの距離(すなわち、被保持部22の厚さ)は、例えば、端子保持孔35aの右内面35Cと左内面35Dとの距離(端子保持孔35aの左右方向での幅)よりも僅かに大きい。こうすることによって、被保持部22の右側面22Cと左側面22Dを端子保持孔35aの内面に密着させることができる。
【0027】
図6Bに示すように、端子保持孔35aの右内面35Cの一部と被保持部22の右側面22Cの一部との間にはスペースS2が形成されている。すなわち、右側面22Cと右内面35Cは、互いに離れている領域R2(
図8参照)を有している。そして、領域R2においてスペースS2が形成されている。以下では、領域R2を「隙間領域」と称する。また、スペースS2を「溜めスペース」と称する。第1コネクタ10の例では、端子保持孔35aの右内面35Cに凹部が形成されており、この凹部によって溜めスペースS2が確保されている。また、第1コネクタ10の例では、第1端子20の被保持部22の外面にも後述する凹部22g(
図6B参照)が形成されており、この凹部22gも溜めスペースS2を構成している。
【0028】
図6Bに示すように、端子保持孔35aの右内面35Cは、溜め面35bを有している。溜め面35bは、溜めスペースS2に対して下側(露出部23側)に位置し溜めスペースS2の底となる部分を含んでいる。言い換えると、右側面22Cと右内面35Cは、互いに接している領域R1(
図8参照)を有し、隙間領域R2と領域R1との間に溜め面35bが形成されている。第1コネクタ10の例において、溜め面35bは、上方に向いた面と、前方に向いた面と、後方に向いた面とを含んでいる。溜め面35bは傾斜面であってもよいし、水平な面であってもよい。
【0029】
以下では、領域R1を「接触領域」と称する。なお、成形された絶縁樹脂の表面と金属板の表面が完全に平らな面ではなく、それらの表面にうねりや微小な凹凸などが生じている場合がある。そのため、コネクタに使用される樹脂の表面と金属の表面は、それらが接触すべき領域においても、実際には、それらのうねりや凹凸に起因する隙間を生じていることがある。したがって、右側面22Cと右内面35Cが互いに接している状態とは、右側面22Cと右内面35Cが非常にわずかな隙間や部分的な隙間を備える状態を含む。すなわち、本明細書の「接触領域」とは、そのようなうねりや凹凸に起因する隙間が生じている領域をも含む。このような隙間が生じている場合でも、接触領域における右側面22Cと右内面35Cの間の隙間は、隙間領域における右側面22Cと右内面35Cの間の隙間に比べて小さい。
【0030】
仮にポッティング材Nが右内面35Cと右側面22Cとの間を通過した場合、そのポッティング材Nは溜めスペースS2に留まる。そのため、ポッティング材Nが嵌合スペースS1に入ることを抑えることができる。また、溜めスペースS2は第1ハウジング30の右内面35Cに形成される凹部によって確保されるので、例えば第1端子20の右側面22Cに形成される凹部22g(
図6B参照)だけで溜めスペースS2を確保する構造に比して、溜めスペースS2の容量を増すことが容易となる。
【0031】
第1コネクタ10の使用の一例では、溜めスペースS2の溜め面35bの底部(
図6B参照)の位置は、ポッティング材N(
図7参照)の液面高さよりも低い。また、溜めスペースS2の全体がポッティング材Nの液面高さよりも低い。溜めスペースS2の最上部(言い換えると、隙間領域R2の上縁)は、ポッティング材Nの液面高さよりも高くてもよい。
【0032】
図6Bに示すように、第1コネクタ10の例において、溜めスペースS2は上方に向かって開口している。すなわち、溜めスペースS2は、嵌合部21の側に向かって開口している。さらに言い換えると、溜めスペースS2の上側には接触領域R1が形成されていない。この構造によると、溜めスペースS2の容量を大きくできる。また、例えば前面22Aと端子保持孔35aの内面との間や後面22Bと端子保持孔35aの内面との間を通過して、嵌合スペースS1にポッティング材Nが達した場合でも、そのポッティング材Nを溜めスペースS2で溜めることができる。
【0033】
めっきされた端子の表面に端子保持孔の内面が密着している状態が続くと、めっき材料である金属の結晶が成長し、針状となることがある。この成長した結晶(ウィスカ)は接触領域R1の面積の増加にともなって発生し易くなる。第1コネクタ10の例では、溜めスペースS2の上側に接触領域R1が存在しないので、接触領域R1の面積が小さくなり、ウィスカの発生を低減できる。
【0034】
第1コネクタ10の例において、接触領域R1は略U字形状となっている。すなわち、
図8に示すように、接触領域R1は、隙間領域R2より下側に位置している部分領域R1aと、隙間領域R2の前側に位置している部分領域R1bと、隙間領域R2の後側に位置している部分領域R1cとを有している(部分領域R1aは請求項の「第1部分領域」に対応し、部分領域R1b、R1cは請求項の「第2部分領域」に対応している。)。つまり、隙間領域R2(言い換えれば、溜めスペースS2)は、接触領域R1によって囲まれている。このことによって、嵌合スペースS1にポッティング材Nが入ることを、効果的に抑えることができる。なお、前後の部分領域R1b、R1cと隙間領域R2との間に、上述した溜め面35bの前側部分と後側部分とがそれぞれ形成され、下側の部分領域R1aと隙間領域R2との間に溜め面35bの底部が形成されている。すなわち、溜めスペースS2の外周は溜め面35bによって規定されている。
【0035】
第1コネクタ10の例において、隙間領域R2の上下方向での幅は、接触領域R1の下側の部分領域R1aの上下方向での幅と概ね同じである。また、隙間領域R2の前後方向での幅は、接触領域R1の前側の部分領域R1bと後側の部分領域R1cの前後方向での幅のそれぞれと概ね同じである。隙間領域R2のサイズは、第1コネクタ10の例に限られない。すなわち、隙間領域R2の上下方向での幅は、接触領域R1の下側の部分領域R1aの幅よりも小さくてもよいし、大きくてもよい。また、隙間領域R2の前後方向での幅は、接触領域R1の部分領域R1b、R1cの幅よりも小さくてもよいし、大きくてもよい。
【0036】
図8に示すように、被保持部22の前面22Aと後面22Bとに形成されている接触部22cは、部分領域R1aの高さに位置している。被保持部22の前面22Aと後面22Bとに形成されている係合部22aは、部分領域R1b、R1c及び隙間領域R2の高さに位置している。
【0037】
端子保持孔35aの右内面35Cと被保持部22の右側面22Cの構造は、以下のようであってもよい。
(i)例えば、溜めスペースS2(言い換えれば、隙間領域R2)の上側にも接触領域R1が形成されていてもよい。すなわち、溜めスペースS2は全周に亘って接触領域R1によって囲まれてもよい。
(ii)他の例として、接触領域R1は、前側の部分領域R1bと後側の部分領域R1cのうち少なくとも一方を有していなくてもよい。例えば、接触領域R1は、前側の部分領域R1bを有し、後側の部分領域R1cを有していなくてもよい。反対に、接触領域R1は、後側の部分領域R1cを有し、前側の部分領域R1bを有していなくてもよい。さらに他の例として、接触領域R1は、部分領域R1b、R1cの双方を有していなくてもよい。言い換えると、隙間領域R2(言い換えれば、溜めスペースS2)は被保持部22の右側面22Cの前端から後端まで続いていてもよい。これらの場合において、接触領域R1は、溜めスペースS2(言い換えれば、隙間領域R2)の上側に位置する部分を有してもよい。
(iii)
図4A及び
図8に示すように、第1端子20の右側面22Cは、溜めスペースS2を確保するための凹部として、隙間領域R2に位置する凹部22gを有してもよい。この場合、第1コネクタ10の例とは異なり、溜めスペースS2を構成するための端子保持孔35aの右内面35Cの凹部は、形成されなくてもよい。第1コネクタ10の例では、凹部22gによって溜めスペースの容量を増すことができている。また、第1端子20を端子保持孔35aに挿入するときに、第1端子20の表面(特に、凹部22gの内面)のめっき剥がれを凹部22gによって抑えることができる。なお、第1コネクタ10の例とは異なり、端子保持部22の右側面22Cはこのような凹部22gを有していなくてもよい。
【0038】
図6Bに示すように、凹部22gは、端子保持孔35aの内面35Cに向いている側面22hと、側面22hに対して下側(すなわち、露出部23側)に位置している底面22iとを有している。一方、端子保持孔35aの内面35Cには、上述したように、スペースS2を規定する凹部が形成されている。この凹部は、被保持部22の外面に向いている面35dと、この面35dの下側(すなわち、露出部23側)に位置している面(溜め面35bの底部)を有している。凹部22gの底面22iと溜め面35bの底部(溜め面において最も低い部分)は、上下方向における高さにおいて相違している。第1コネクタ10の例では、凹部22gの底面22iは、溜め面35bの底部よりも高い位置に位置している。すなわち、凹部22gの底面22iは、溜め面35bの底部よりも、嵌合部21側に位置している。凹部22gのこのような構造によると、仮に第1端子20が端子保持孔35aに十分に差し込まれていない場合でも、すなわち、第1端子20の位置が正規の位置よりも低い場合でも、接触領域R1の面積を確保できる。また、第1端子20の右側面22Cに沿ってポッティング材が上がっていくことを、底面22iの角(底面22iと右側面22Cとの境界)で抑えることができる。第1コネクタ10の例とは異なり、凹部22gの底面22iは、溜め面35bの底部と同じ高さか、或いは、溜め面35bの底部よりも低くてもよい。凹部22gの底面22iが溜め面35bの底部よりも低い場合には、溜め面35bの底部よりも高い場合に比して、溜めスペースS2の容積をさらに増すことができる。さらに他の例では、第1コネクタ10の例では、底面22iは斜面となっているが、水平面であってもよい。
【0039】
第1コネクタ10の例では、
図4Aに示すように、凹部22gは、側面22hの前側と後側とに位置している面と、右側面22C(より詳細には、右側面22Cのうち凹部22gを取り囲む部分)との間に、境界22jを有している。境界22jは、端子保持孔35aに形成された凹部(溜めスペースS2を確保する凹部)の前側と後側の内面35c(
図5A参照)の位置に一致している。第1コネクタ10の例とは異なり、境界22jは、溜めスペースS2を確保する凹部の前側と後側の内面35cよりも、内側に位置していてもよい。なお、第1コネクタ10の例では、側面22hの前側と後側とに位置している面は斜面となっているが、水平面であってもよい。
【0040】
第1コネクタ10の例では、端子保持孔35aの左内面35Dと被保持部22の左側面22Dは、上述した右内面35C及び右側面22Cと、それぞれ同じ構造を有している。すなわち、端子保持孔35aの左内面35Dと被保持部22の左側面22Dには、溜めスペースS2、接触領域R1、隙間領域R2、及び溜め面35bが形成されている。
【0041】
第1コネクタ10の例とは異なり、端子保持孔35aの左内面35Dと被保持部22の左側面22Dは、端子保持孔35aの右内面35Cと被保持部22の右側面22Cとは異なる構造を有してもよい。例えば、左内面35Dと左側面22Dは、隙間領域R2(言い換えれば、溜めスペースS2)を有していなくてもよい。すなわち、左内面35Dと左側面22Dは、その全域において接していてもよい。
【0042】
[ハウジングの底部]
図5A及び
図6Bに示すように、底部35の上面35mは、隣り合う2つの端子保持孔35aの間に位置する面35m1を有している。以下では、この面35m1を「基準面」と称する。上面35mは、端子保持孔35aの上縁に面35m2を有している。以下において、この面35m2を「孔縁面」と称する。底部35の上面35mは、端子保持孔35aの上縁で低くなっている。上面35mは、請求項にある「端子保持部の面」に対応している。第1コネクタ10の例では、孔縁面35m2は、基準面35m1よりも低い位置に位置している。
【0043】
詳細には、孔縁面35m2は被保持部22に向かって低くなるように傾斜している。また、孔縁面35m2は、端子20の被保持部22を取り囲むように形成されている。孔縁面35m2は、被保持部22の全周に形成されてもよいし、被保持部22の周方向の一部(例えば、被保持部22の右側面22Cや左側面22Dに沿った部分)にだけ形成されてもよい。
【0044】
孔縁面35m2によると、仮に被保持部22の外面と端子保持孔35aの内面との間をポッティング材Nが通過した場合でも、孔縁面35m2の上側にポッティング材Nを溜めることができる。
図8に示すように、第2端子92が嵌合スペースS1に挿入されたとき、第2端子92の端部の位置は基準面35m1によって規制される。そのため、第2コネクタ90の第2端子92が嵌合スペースS1に配置されている場合でも、孔縁面35m2と第2端子92の下端との間に隙間が確保される。したがって、孔縁面35m2の上側に溜まるポッティング材Nが第2端子92の下端と干渉することを、防ぐことができる。なお、底部35の上面35mの構造は、第1コネクタ10の例に限られない。例えば、底部35の上面35mは、端子保持孔35aの上縁に向かって下がるように、湾曲していてもよい。この場合、基準面35m1と孔縁面35m2との間に明確な境がなくてもよい。また、孔縁面35m2のサイズも
図6B等に示すものに限られない。
【0045】
上述したように、被保持部22の右側と左側とに形成される溜めスペースS2は上方に開口している。第1コネクタ10の例では、孔縁面35m2はスペースS2を規定する溜め面35bに繋がっている。そのため、孔縁面35m2に流れ出たポッティング材は、スペースS2に向かって流れたり、スペースS2に戻ることができる。また、ポッティング材がスペースS2からあふれた場合でも、そのポッティング材を孔縁面35m2で受けることができる。なお、
図8に示すように、上下方向における溜め面35bの底部の位置は、上下方向における係合部22a、22bの位置よりも低い。そのため、溜めスペースS2の容量を十分に確保することができる。また、左右方向での溜めスペースS2の幅W3(
図6B参照)は、端子20の被保持部22の左右方向での厚さの4分の1よりも大きい。すなわち、端子20の右側と左側とに形成される2つの溜めスペースS2の幅W3の合計は、被保持部22の左右方向での厚さの半分よりも大きい。
【0046】
なお、底部35の構造は、第1コネクタ10の例に限られない。例えば、孔縁面35m2は水平面であってもよい。すなわち、孔縁面35m2は、基準面35m1よりも低く且つ回路基板Mと平行となる面であってもよい。さらに他の例では、底部35は、孔縁面35m2を有していなくてもよい。
【0047】
図6Bに示すように、端子保持孔35aの下縁にも、被保持部22を取り囲む斜面35pが形成されている。この斜面35pは、端子保持孔35aに第1端子20を挿入するときに、端子保持孔35aの内側に第1端子20を案内する。
【0048】
[端子の肩に形成されている斜面]
図4Aに示すように、第1端子20の嵌合部21の幅(厚さ)は被保持部22の幅(厚さ)よりも小さい。第1コネクタ10の例では、前後方向での嵌合部21の幅は、前後方向での被保持部22の幅よりも小さい。また、左右方向での嵌合部21の幅(厚さ)は、左右方向での被保持部22の幅(厚さ)よりも小さい。このため、
図4A及び
図8に示すように、第1端子20は、被保持部22の外面と嵌合部21の外面との境に、斜面24a、24cを有している。斜面24a、24cは、底部35の上面35mの基準面35m1よりも低い位置に形成されている。斜面24a、24cの一部だけが、第1ハウジング30の底部35の基準面35m1よりも低くてもよい(
図6B参照)。
【0049】
斜面24a、24cの構造によると、仮に被保持部22の外面と端子保持孔35aの内面との間をポッティング材Nが通過した場合でも、斜面24a、24cの上側にポッティング材Nを溜めることができる。斜面24a、24cは、第1ハウジング30の底部35の上面35m(基準面35m1)よりも低いので、
図7に示すように第2コネクタ90の第2端子92が嵌合スペースS1に配置されている場合でも、斜面24a、24cと第2端子92の下端との間に隙間が確保される。したがって、斜面24a、24cの上側に溜まるポッティング材Nが第2端子92の下端と干渉することを、防ぐことができる。
【0050】
第1コネクタ10の例では、嵌合部21の前面と被保持部22の前面22Aとの間に斜面24aが形成され、嵌合部21の後面と被保持部22の後面22Bとの間にも斜面24aが形成されている。また、嵌合部21の右側面と被保持部22の右側面22Cとの間に斜面24cが形成され、嵌合部21の左側面と被保持部22の左側面22Dとの間にも斜面24cが形成されている。これら斜面24a、24cは、上述した孔縁面35m2と概ね同じ高さに位置している。すなわち、孔縁面35m2の少なくとも一部は、上下方向において斜面24a、24cと同じ高さに位置している。このような斜面24a、24cによれば、孔縁面35m2と斜面24a、24cとによって、ポッティング材Nと第2端子92との干渉を発生させることなく、ポッティング材Nを溜めることが可能となる。
【0051】
なお、第1端子20の構造は、第1コネクタ10の例に限られない。例えば、第1端子20の外周面の一部にだけ、斜面24a、24cが形成されてもよい。例えば、第1端子20の前面と後面とに斜面24aが形成される一方で、第1端子20の右側面と左側面とには斜面24cは形成されなくてもよい。反対に、第1端子20の右側面と左側面とに斜面24cが形成される一方で、第1端子20の前面と後面とには斜面24aは形成されなくてもよい。さらに他の例として、第1端子20は斜面24a、24cの双方を有していなくてもよい。
【0052】
上述したように、被保持部22の前面22Aと後面22Bとには係合部22a、22bがそれぞれ形成されている。
図4Aに示すように、係合部22aの上側には斜面22eが形成されている。同様に、係合部22bの上側には斜面22fが形成されている。被保持部22が端子保持孔35aの内側にあるとき、斜面22e、22fと端子保持孔35aの内面との間に隙間が確保される。そのため、この隙間もポッティング材Nを溜めることができる。
【0053】
[嵌合部と第1ハウジングの壁部との位置関係]
図7に示すように、嵌合スペースS1は、第1端子20の嵌合部21の前側に、第2端子92が進入するスペースを有している。第1端子20は、第2端子92が進入するスペースとは反対側、すなわち嵌合部21の後側に、嵌合スペースS1の内面(第1ハウジング30の後壁31の内面)に当たる部分を有している。詳細には、嵌合部21の後側に凸部21bを有している。凸部21bは後方に突出し、嵌合スペースS1の内面に当たっている。このことによって、第2端子92が嵌合スペースS1に挿入されるとき、第1端子20が後方に移動することを防ぐことができる。第1ハウジング30の後壁31は、凸部21bの上方に位置する凸部31bを有している。この凸部31bによって、第2端子92の第1コネクタ10への挿入時に第2端子92と第1端子10との衝突を、防ぐことができる。
【0054】
図4Aに示すように、嵌合部21は、凸部21bの下側に、嵌合スペースS1の内面(第1ハウジング30の後壁31の内面)から前方に離れている面21cを有している。言い換えれば、凸部21bの下側には凹部が形成されている。このような嵌合部21の形状により、ポッティング材Nの浸入をさらに効果的に抑えることができる。例えば嵌合部21の後面と嵌合スペースS1の内面とが接していたり、それらの間に小さな隙間しか形成されていない場合には、嵌合部21の後面の角と、嵌合部21が配置される溝31a(
図5A及び
図5B参照)の角との間に、毛細管現象に起因してポッティング材Nが浸入する可能性がある。第1コネクタ10の上述した面21cによると、そのようなポッティング材Nの浸入を抑えることができる。
【0055】
[ロック部]
図7に示すように、第1ハウジング30は、その前壁32の前面に、ロック部32aを有している。第2ハウジング93は、ロック部32aに引っかかるロック爪部94aを有している可動部94を有している。可動部94は、ロック爪部94aが前後に動くように形成されている。ロック爪部94aがロック部32aに引っかかることによって、第2コネクタ90と第1コネクタ10の分離が規制される。
【0056】
第1ハウジング30は、前壁32の前側に、ロック部32aを収容し且つ第2コネクタ90の可動部94を挿入可能なロックカバー36を有している。ロックカバー36は、上方に開口するとともに、ロック部32a及び可動部94の前側、下側、右側、及び左側を覆っている。このロックカバー36の存在によって、ロック爪部94aとロック部32aがポッティング材Nに浸ることを、防ぐことができる(
図7参照)。
【0057】
[補強金具]
図1に示すように、第1コネクタ10は補強金具41を有している。補強金具41は、例えば、第1ハウジング30の右側面と左側面とに取り付けられる。第1ハウジング30の右側面と左側面とには、補強金具41を覆う補強金具取付部37を有している。補強金具41の下端(回路基板Mへの被取付部)は、補強金具取付部37から下方に露出している。補強金具取付部37は、補強金具41の左右方向での外側、前側、及び後側を覆っている。この構造によると、補強金具41の下端はポッティング材Nに浸るものの、補強金具41のその他の部分がポッティング材Nに浸ることを抑えることができる。第1コネクタ10の使用時、補強金具41は、例えば回路基板Mに半田付けされる。
【0058】
[まとめ]
以上説明したように、第1ハウジング30の底部(端子保持部)35には、上下方向においてこれを貫通する端子保持孔35aが形成されている。第1端子20は、端子保持孔35aに上下方向で挿入される被保持部22と、端子保持孔35aから出ており且つ第2端子92と接する接点21aを有している嵌合部21と、嵌合部21とは反対側において端子保持孔35aから出ており、回路基板Mに取り付けられる被取付部23aを有している露出部23と、を有している。被保持部22の外面と端子保持孔35aの内面は、互いに接している接触領域R1と、被保持部22の外面と端子保持孔35aの内面との間に溜めスペースS2が形成されている隙間領域R2とを有している。接触領域R1は、隙間領域R2よりも、上下方向において露出部23の側に位置している部分領域R1aを有している。この構造によって、第1ハウジング30の内側にポッティング材が浸入することを抑えることができる。
【0059】
本開示で提案するコネクタ及びコネクタ組立体は、上述した第1コネクタ10及びコネクタ組立体1に限られず、種々の変更が可能である。
【0060】
例えば、上述したように、第1コネクタ10と第2コネクタ90は回路基板Mに対して平行な方向において嵌合可能であってもよい。
【0061】
他の例では、第1端子10は、インサート成形によって第1ハウジング30に固定されてもよい。すなわち、第1ハウジング30の成形時に、型の内部に第1端子10が配置され、その後に、型の内部に第1ハウジング30の材料が供給されてもよい。この場合、第1端子10は、上述した係合部22a、22bを有していなくてもよい。
【0062】
また、第1端子10は、金属板から打抜き加工によって形成される端子に限られない。例えば、第1端子10は円柱状の端子でもよい。この場合、第1端子10は鋳造によって形成されてもよい。
【0063】
また、第1端子10や第1ハウジング30の公差に起因して、接触領域R1の一部又は全部において第1端子10の外面と端子保持孔35aの内面との間に隙間を有する製品も、本開示で提案するコネクタの範囲である。例えば、複数の第1端子10のうち、一部の第1端子10の接触領域R1では、第1ハウジング30等の公差に起因して、第1端子10の外面と端子保持孔35aの内面との間に隙間が生じていてもよい。