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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-201058(P2019-201058A)
(43)【公開日】2019年11月21日
(54)【発明の名称】リアクトル装置
(51)【国際特許分類】
   H01F 37/00 20060101AFI20191025BHJP
   H01F 27/24 20060101ALI20191025BHJP
【FI】
   H01F37/00 A
   H01F37/00 M
   H01F37/00 C
   H01F27/24 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-93368(P2018-93368)
(22)【出願日】2018年5月14日
(71)【出願人】
【識別番号】000107804
【氏名又は名称】スミダコーポレーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097984
【弁理士】
【氏名又は名称】川野 宏
(72)【発明者】
【氏名】山口 喬之
(57)【要約】
【課題】従来技術と比べて、磁路長を短縮することができ、コイルの巻回数を大きくせずとも、インダクタンスを大きくし得るリアクトル装置を提供する。
【解決手段】1対のEコア101A、Bを、対応する脚部コア部101A1〜A3、101B1〜B3が互いに突き合せられるように配設するとともに、対応する脚部コア部101A1〜A3、101B1〜B3の突き合せ部分のうち、一方の外脚コア部101A1、B1の突き合せ部分と他方の外脚コア部101A2、B2にIコア102A、Bを挟み、このIコア102A、Bが、中脚コア部101A3、B3の突き合せ部分の近傍まで延びるように配設してなり、2つの中脚コア部101A3、B3に、互いに逆方向に流れる磁束を発生させるコイル部103、104を巻回してなる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースコア部分と、このベースコア部分から同一方向に突出する3つ以上の脚部コア部分とを備えた多脚コア部材を少なくとも1対有し、
これら少なくとも1対の多脚コア部材を、対応する該脚部コア部分が互いに突き合せられるように配設するとともに、対応する該脚部コア部分の突き合せ部分のうち、前記脚部コア部分の配列方向の端部から数えて、第n番目の突き合せ部分と第n+2番目の突き合せ部分に、各々サブコア部材を挟み、これらサブコア部材の各々が、前記端部から第n+1番目の突き合せ部分の近傍まで延びるように配設してなり、
前記第n+1番目の突き合せ部分を構成する2つの前記脚部コア部分の長さは前記第n番目および前記第n+2番目の突き合せ部分を構成する各々2つの前記脚部コア部分の長さに比べて大きく、互いに逆方向に流れる磁束を発生させるコイル部を巻回してなる、ことを特徴とするリアクトル装置。
【請求項2】
前記第n番目の突き合せ部分を構成する2つの前記脚部コア部分および前記第n+2番目の突き合せ部分を構成する2つの前記脚部コア部分の少なくとも一方に、前記第n+1番目の突き合せ部分を構成する2つの前記脚部コア部分に替えてまたは追加して、互いに逆方向に流れる磁束を発生させるコイル部を巻回してなる、ことを特徴とする請求項1に記載のリアクトル装置。
【請求項3】
前記脚部コア部分の数が3となるEコアとされた前記多脚コア部材を1対有し、nが1とされて、全体として田字形状とされていることを特徴とする請求項1または2に記載のリアクトル装置。
【請求項4】
前記第n+1番目の突き合せ部分を構成する2つの前記脚部コア部分が2つの中脚コア部分であることを特徴とする請求項3に記載のリアクトル装置。
【請求項5】
前記Eコアの3つの脚部コア部分のいずれにもコイル部が巻回されており、前記中脚コア部分に巻回されたコイル部は、途中で第1コイル部と第2コイル部に切り離され、該中脚コア部分の両外側の外脚コア部分の一方に巻回されたコイル部と前記第1コイル部とが直列に接続されてなる第1連続コイル部、および前記外脚コア部分の他方に巻回されたコイル部と前記第2コイル部とが直列に接続されてなる第2連続コイル部、を備えていることを特徴とする請求項4に記載のリアクトル装置。
【請求項6】
前記第1連続コイル部と前記第2連続コイル部とが互いに裏返しの関係とされていることを特徴とする請求項5に記載のリアクトル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、電気自動車やハイブリッド車に搭載されるリアクトル装置に関し、詳しくは、コイル内に磁路を構成するコアの一部が挿通されてなるリアクトル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車載の磁気結合型リアクトルとして、1対のUコアを、両脚部の先端部を互いに突き合せることにより環状のコア部とするとともにUの脚部に各々コイル部を巻回するようにして、合計4つのコイル部を有するように構成されたリアクトル装置が知られている。磁気結合型リアクトルは、2つのコイルについて、互いに相殺される方向の磁束を発生させることでコアの磁気飽和がされにくいようにし、さらに、相互インダクタンスを利用してリップルを抑制することで小型化を達成することができる。
【0003】
その中でも、例えば、下記特許文献1に示すように、1対のUコアにおいて、2つのIコアを間に挟むように両脚部の先端部を突き合わせ、全体として日字形状に構成したものが知られている。また、下記特許文献2に示すように、上記Iコアの替わりにTコアを用い、全体としてθ形に構成したものも知られている。このような中脚(上記Iコア部分またはTコア部分)を有するコア形状では、漏れ磁束と銅損の低減を図る効果を奏する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−66720号公報
【特許文献2】特許第6106646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述したような、Uコアを用いたリアクトルにおいては、磁路長が長く、コイルの巻回数を大きくしなければインダクタンスを確保することができず、リアクトル装置の小型化の要請に対応することが難しかった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、従来技術と比べて、磁路長を短縮することができ、コイルの巻回数を大きくしなくとも、インダクタンスを大きくし得るリアクトル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係るリアクトル装置は、
ベースコア部分と、このベースコア部分から同一方向に突出する3つ以上の脚部コア部分とを備えた多脚コア部材を少なくとも1対有し、
これら少なくとも1対の多脚コア部材を、対応する該脚部コア部分が互いに突き合せられるように配設するとともに、対応する該脚部コア部分の突き合せ部分のうち、前記脚部コア部分の配列方向の端部から数えて、第n番目の突き合せ部分と第n+2番目の突き合せ部分に、各々サブコア部材を挟み、これらサブコア部材の各々が、前記端部から第n+1番目の突き合せ部分の近傍まで延びるように配設してなり、
前記第n+1番目の突き合せ部分を構成する2つの前記脚部コア部分の長さは前記第n番目および前記第n+2番目の突き合せ部分を構成する各々2つの前記脚部コア部分の長さに比べて大きく、互いに逆方向に流れる磁束を発生させるコイル部を巻回してなる、ことを特徴とするものである。
【0008】
また、前記第n番目の突き合せ部分を構成する2つの前記脚部コア部分および前記第n+2番目の突き合せ部分を構成する2つの前記脚部コア部分の少なくとも一方に、前記第n+1番目の突き合せ部分を構成する2つの前記脚部コア部分に替えてまたは追加して、互いに逆方向に流れる磁束を発生させるコイル部を巻回してなる、ことが好ましい。
【0009】
前記脚部コア部分の数が3となるEコアとされた前記多脚コア部材を1対有し、nが1とされて、全体として田字形状とされていることが好ましい。
また、前記第n+1番目の突き合せ部分を構成する2つの前記脚部コア部分が2つの中脚コア部分であることが好ましい。
【0010】
また、前記Eコアの3つの脚部コア部分のいずれにもコイル部が巻回されており、前記中脚コア部分に巻回されたコイル部は、途中で第1コイル部と第2コイル部に切り離され、該中脚コア部分の両外側の外脚コア部分の一方に巻回されたコイル部と前記第1コイル部とが直列に接続されてなる第1連続コイル部、および前記外脚コア部分の他方に巻回されたコイル部と前記第2コイル部とが直列に接続されてなる第2連続コイル部、を備えていることが好ましい。
【0011】
この場合、前記第1連続コイル部と前記第2連続コイル部とが互いに裏返しの関係とされていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の磁気結合型のリアクトル装置においては、ベースコア部分から直交する方向に延びる3つ以上の脚部コア部分を備えた多脚コア部材を少なくとも1対組み合わせるようにしており、Uコアを用いた従来技術に比べると、脚部に巻回するコイル部の数を増やすことができる。また、磁路長を短縮したものとすることができる。これにより、従来技術と比べて、各コイル部の巻回数を大きくしなくとも、大きなインダクタンスを確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態1に係る、Eコアの中脚コア部のみにコイル部を巻回したリアクトル装置を示す斜視図である。
図2図1に示すリアクトル装置の平面図である。
図3】本発明の実施形態2に係る、Eコアのすべての脚部コア部にコイル部を巻回したリアクトル装置を示す斜視図である。
図4図3に示すリアクトル装置の平面図である。
図5図3に示すリアクトル装置の一方のコイル部のみを示す斜視図である。
図6図3に示すリアクトル装置の一方のコイル部のみを示す分解斜視図である。
図7】従来例(A)と本発明の実施例(B)の磁路長の違いを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施形態1>
以下、本発明の実施形態1に係るリアクトル装置について、図1、2を参照しながら説明する。以下においては、ベースコア部に対して直角に突き出すように配された脚部が特に3本の場合について説明する(実施形態2も同様)。
【0015】
〈リアクトル装置の主要構成〉
本発明の実施形態1に係るリアクトル装置100の主要部は、斜視図である図1および平面図である図2に示すように、Eコア101A、Bを、各脚部(両外脚コア部、中脚コア部(101A1〜101A3)および両外脚コア部、中脚コア部(101B1〜101B3))の先端が互いに対向するように配置され、合わせて日字状のコア部が形成される。
【0016】
また、これら対向する脚部のうち両外脚コア部101A1,101B1、101A2,101B2間に、板状のIコア102A、Bが一端側において、それぞれ厚み方向に挟持されてなる。これら1対の板状のIコア102A、Bの他端側は、日字状のコア部の中心位置近傍において、各々Eコア101A、Bの中脚コア部101A3、101B3の側面にギャップを介して近接配置される。
これにより、コア部は、Eコア101A、BとIコア102A、Bが組み合わされて、全体として田字状に形成される。
【0017】
また、各Eコア101A、Bの中脚コア部101A3、101B3の周囲には、平角線をエッジワイズ巻きとすることにより形成したコイル部103、104が配設される。すなわち、コイル部103はEコア101Aの中脚コア部101A3を取り巻くように配置され、一方、コイル部104はEコア101Bの中脚コア部101B3を取り巻くように配置される。
【0018】
また、これら2つのコイル部103、104は、電流が流されたときに、磁束が反対方向に流れるような向きに平角線が巻回されている。すなわち、コイル部103の一方の端部103Aから他方の端部103Bへ電流が流れたとき、図2に破線で示すように、中脚コア部101A3を流れる磁束と、中脚コア部101B3を流れる磁束とが、互いに逆方向となり、2つの中脚コア部101A3、101B3の当接位置(対向位置)でぶつかり、磁束は左右に分かれてIコア102A、Bを、外側に向かって流れる。この後、磁束はEコア101A、Bの外脚コア部101A1、101A2、101B1、101B2から各ベースコア部101A4、101B4を通って各中脚コア部101A3、101B3に戻ることになる。このようにして磁束線が田字状のコアを周回する磁束ループが形成される。
【0019】
このとき、2つのコイル部103、104により2相のリアクトル装置が構成されるので、1相のリアクトル装置を2つ設けるよりも装置のコンパクト化を図ることができる。
また、Eコア101A、Bの中脚コア部101A3、101B3に各々コイル部103、104を設けることにより、装置全体として対称形状となり、磁気結合が効率的となる。
また、本実施形態のリアクトル装置では、上記Eコア101A、Bを日字状に組み合わせたものに、Iコア102A、Bを組み合わせて、全体として田字状に形成して磁路長を短縮するとともに、コイル部103、104が巻回されていないIコア102A、Bの作用により、他方のコイルに影響しない漏れ磁束の磁路を確保することができ、コイル部103、104の巻回数にかかわらず、鉄損を低く抑えることができる。
【0020】
また、上述したように、Iコア102A、Bは、Eコア101A、Bの中脚コア部101A3、101B3の当接部分に対して、当接せず、若干のギャップ105A、Bを介して対向している。
このように、Iコア102A、Bと中脚コア部101A3、101B3の間にギャップ105A、Bを設ける構成とする。
なお、このギャップ105A、Bはエアギャップとされていてもよいし、スペーサーを用いたギャップとされていてもよい。
【0021】
また、Eコア101A、Bの中脚コア部101A3、101B3には、両外脚コア部101A1、101A2, 101B1、101B2からの磁束が合流するので、中脚コア部101A3、101B3の断面積は両外脚コア部101A1、101A2, 101B1、101B2の断面積と比べて大きくなるように形成されている。
【0022】
なお、各Eコア101A、Bおよび各Iコア102A、Bの、肩部101C1、C2,101D1、D2,102C、Dの角は磁束が流れにくいので、この肩部101C1、C2,101D1、D2,102C、Dの角を除去してコア全体をコンパクト化するように面取りが施されている。
【0023】
<コア部の構成材料>
本実施形態においては、Eコア101A、BおよびIコア102A、Bの構成材料としてダストコアを圧粉したものを用いているが、フェライトやケイ素鋼を積層した積層コアを用いることもできる。
Eコア101A、BとIコア102A、Bは、互いに同一材料により構成してもよいし、異なる材料により構成してもよい。
【0024】
<コイル部>
また、上記コイル部103、104は平角線をエッジワイズ巻きにより巻回することにより形成されている。平角線は、図1等に示すように帯状の扁平な導線であって、例えば、厚みが0.5〜6.0mm、幅が1.0〜16.0mm等とされたものが一般的に用いられる。もちろん、丸線等の他の断面形状のものを用いることが可能である。
コイル部103の両端部は、一端部103Aがコア部全体の内部側に位置し、他端部103Bがコア部全体の外部側に位置する。コイル部104においても、その両端部は、一端部104Aがコア部全体の内部側に位置し、他端部104Bがコア部全体の外部側に位置する。
【0025】
2つのコイル部103、104は、前述したように、発生する直流の磁束が互いに打ち消しあうような方向に巻回することになるので、前述したように平角線を逆向きに巻回して、両コイル部103、104に通電される電流の向きを同じとしてもよいし、平角線を同じ向きに巻回して、両コイル部103、104に通電される電流の向きを逆向きとしてもよい。
【0026】
Eコア101A、Bとコイル部103、104の組立においては、Eコア101A、BとIコア102A、Bの接着を行う前工程において、筒状に形成しておいたコイル部103、104に、Eコア101A、Bを挿通し、これにより、コイル部103、104がEコア101A、Bの周囲に巻回された状態を形成する。
【0027】
また、図7に示すように、1対のUコアを組み合わせた従来例のもの(A)と、1対のEコアを組み合わせた本実施例のもの(B)との磁路長の違いを表したものである。図7(A)、(B)において、磁路は破線で表されている。
この従来例および実施例は、互いに透磁率μおよび磁路の断面積Aが等しい値となるように設定されている。なお、両者のコア部は、計算の便宜を考慮して、Iコアやギャップについて省略された構成とされている。
上記のような前提のもと、両者の磁路長lについて計算を行ったところ、(A)の従来例においては317mmであったものに対し、(B)の実施例においては122mmとすることができた。
【0028】
ところで、インダクタンスLは、下式(1)で表される。
L=μ・A・N/磁路長l (1)
ただし、μは透磁率、Aは磁路の断面積、Nはコイルの巻回数、を表す。
したがって、インダクタンスLは磁路長lに反比例するので、磁路長の相違により、実施例のものでは従来例のものに比べて、インダクタンスLが317/122(≒2.60)倍となる。
実施例のものを従来例のものと同様のインダクタンスLとするのであれば、コイルの巻回数において、実施例のものを従来例のものの(122/317)1/2、すなわち、約62%まで低減することができる。
【0029】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2に係るリアクトル装置について、図3〜6を参照しながら説明する。なお、実施形態2に係るリアクトル装置200は、上記実施形態1に係るリアクトル装置100とコア部(Eコア201A、BおよびIコア202A、B)については同じとされ、磁束線の流れについても同様とされており(図4を参照)、コイル部203A〜D、204A〜Dのみが異なった構成とされている。したがって、コア部については詳しい説明は省略し、コア部の各部材については、上記実施形態における部材の付番に100を加えた付番を本実施形態の部材の付番とする。
【0030】
図3、4に示すように、各Eコア201A、Bの、両外脚コア部201A1、A2,201B1、B2および中脚コア部201A3、201B3の周囲には、平角線をエッジワイズ巻きとすることにより形成したコイル部203A〜D、204A〜Dが配設される。
このうち、コイル部203AはEコア201Aの一方の外脚コア部201A1を取り巻くように配置され、コイル部203DはEコア201Aの他方の外脚コア部201A2を取り巻くように配置される。
【0031】
また、コイル部203Bはコイル部203Aから延びた平角線がEコア201Aの中脚コア部201A3の先端部側に巻回されて形成される。このとき、コイル部203Aの端部203A1からコイル部203Bの端部203B1に電流が流れるとすると、コイル部203Aでは、Iコア202Aから外脚コア部201A1の根本部側に流れる磁束が発生するように平角線が巻回され、一方、コイル部203Bでは、中脚コア部201A3の根元部側から先端部側に流れる磁束が発生するように平角線が巻回される。
【0032】
一方、コイル部203Cは、Eコア201Aの中脚コア部201A3の根本部側に巻回されて形成され、このコイル部203Cに巻回された平角線が延びて、前述したコイル部203Dを形成することになる。このとき、コイル部203Cの端部203A2からコイル部203Dの端部203B2に電流が流れるとすると、コイル部203Cでは、中脚コア部201A3の根本部側から先端部側に流れる磁束が発生するように平角線が巻回され、一方、コイル部203Dでは、Iコア202Bから外脚コア部201A2の根本部側に流れる磁束が発生するように平角線が巻回される。
【0033】
また、上記のコイル部のうち、コイル部204AはEコア201Bの一方の外脚コア部201B1を取り巻くように配置され、コイル部204DはEコア201Bの他方の外脚コア部201B2を取り巻くように配置される。
【0034】
また、コイル部204Bはコイル部204Aから延びた平角線がEコア201Bの中脚コア部201B3の先端部側に巻回されて形成される。このとき、コイル部204Aの端部204A1からコイル部204Bの端部204B1に電流が流れるとすると、コイル部204Aでは、Iコア202Aから外脚コア部201B1の根本部側に流れる磁束が発生するように平角線が巻回され、一方、コイル部204Bでは、中脚コア部201B3の根元部側から先端部側に流れる磁束が発生するように平角線が巻回される。
【0035】
一方、コイル部204Cは、Eコア201Bの中脚コア部201B3の根本部側に巻回されて形成され、このコイル部204Cに巻回された平角線が延びて、前述したコイル部204Dを形成することになる。このとき、コイル部204Cの端部204A2からコイル部204Dの端部204B2に電流が流れるとすると、コイル部204Cでは、中脚コア部201B3の根本部側から先端部側に流れる磁束が発生するように平角線が巻回され、一方、コイル部204Dでは、Iコア202Bから外脚コア部201B2の根本部側に流れる磁束が発生するように平角線が巻回される。
【0036】
上述したように、本実施形態2のリアクトル装置においては、Eコア201A、Bの中脚コア部201A3、B3に巻回するコイル部を各々2つのコイル部203B、C,204B、Cにより構成している。すなわち、コイル部203Bとコイル部203Cの各々には、これら両者の間の位置に端部203B1、203A2が形成されてタップがとられている。これにより、コイル部203Bとコイル部203Cの間にスイッチング素子等の外部素子を介するようにして、互いに接続することができ、回路を調整しリアクトルを更に小型化することができる。このことは、コイル部204Bとコイル部204Cとの関係においても同様である。
【0037】
また、コイル部のみを取り出して表す図5、およびこれを分解した状態を表す図6に示すように、Eコア201Aの、3つの脚部201A1、A2、A3に巻回されるコイル部203A〜Dは、1本の平角線により形成されたコイル部203Aとコイル部203Bよりなる第1連続コイル部、および他の1本の平角線により形成されたコイル部203Cとコイル部203Dよりなる第2連続コイル部、とに分離されている。
【0038】
特に、本実施形態の場合には、コイル部203Bとコイル部203Cとが同じ巻回数とされており、また、コイル部203Aとコイル部203Dとが同じ巻回数とされており、一方の連続コイル部を表裏逆にすると、他方の連続コイル部と互いに同一の構成となるように形成されている。なお、コイル部203Bの巻回数とコイル部203Cの巻回数を加えたものは、コイル部203Aおよびコイル部203Dの各々と略同じ巻回数となるように形成されている。
コイルを製造する現場において、隣接する3つのコイル部よりなる連続コイル部を製造する設備は通常設けられていないが、隣接する2つのコイル部よりなる連続コイル部を製造する設備であれば設けられていることも多いので、上記連続コイル部は既存の設備を用いて製造し、組み立て時に一方の連続コイル部を表裏反転させて図5に示すように形成することができるので、製造を簡易かつ低コストのものとすることができる。
【0039】
上述したEコア201Aの、3つの脚部201A1、A2、A3に巻回されるコイル部203A〜Dの内容は、Eコア201Bの、3つの脚部201B1、B2、B3に巻回されるコイル部204A〜Dについても同様である。
なお、各Eコア部201A、Bの3つの脚部201A1、A2、A3、201B1、B2、B3に、各々独立した平角線を巻回して3つの脚部201A1、A2,A3に巻回されるコイルと、他方の3つの脚部201B1、B2、B3に巻回されるコイルの各々において、磁束が一方向に流れるように直列結線し、全体として2相のコイルとすることも可能である。ただし、この場合には、Eコア部201A、B全体として12個の端部を有するものとなることから、装置のコンパクト化を図る上では不利となる。また、この場合において、磁束の流れが一方向となるように、電流の向き、コイル巻回の向きおよび、結線する端部204A1、B1、A2、B2の組み合わせに十分な配慮をする必要がある。このことは、両外側脚部201A1、A3にのみ巻回されるコイルと、他方の両外側脚部201B1、B3にのみ巻回されるコイルの各々において、磁束が一方向に流れるようにする場合も、同様である。
【0040】
本発明のリアクトル装置としては上記実施形態のものに限られるものではなく、その他の種々の態様の変更が可能である。
例えば、上述した実施形態のリアクトル装置においては、ベースコア部から3つの脚部コア部が突出したEコアを2つ組み合わせて形成されているが、本発明のリアクトル装置としてはこれに限られるものではなく、ベースコア部から4つ以上の任意の数の脚部コア部が突出した多脚コア部材を2つ以上の任意の数だけ設けるように構成することができる。
【0041】
脚部コア部の数と、多脚コア部材の数との積が6より大きい値となるようにすることにより、上述した実施形態のものよりも大電流化が可能となる。
また、コイル部は、任意の脚部コア部に巻回可能である。また、各多脚コア部材には2相以上の任意の多相のものとすることが可能である。
また、この多脚コア部材の断面形状は矩形でなくてもよく円などの他の形状とすることも可能である。
【0042】
Iコアの形状としても上記実施形態のものに限られるものではなく、その他の種々の
形状に変更が可能である。
上記では、各Eコアの脚部コア部に設けられたコイル部は、1つまたは2つとされているが、1つの脚部コア部に、任意の数のコイル部を設けるようにしてもよい。ただし、全体として対称形の形態をなすように構成することが好ましい。
【0043】
また、上記実施形態においては、Eコアの中脚コア部にのみ、またはすべての脚部コア部にコイル部が巻回されているが、任意の脚部コア部にコイル部を巻回することができる。
また、上記実施形態2のものにおいて、中脚コア部に巻回されるコイル部は、タップをとる位置を中央とするのではなく、任意の途中位置とすることができ、また、タップをとらずに、各中脚コア部に1つのコイル部を形成してもよい。この場合、すべての脚部コア部に形成されるコイル部を1つの平角線により直列に形成することができる。
また、ギャップは、状況に応じて上述した位置とは異なる位置に形成することができる。
【符号の説明】
【0044】
100、200 リアクトル装置
101A、B,201A、B Eコア
101A1、A2、B1、B2,201A1、A2、B1、B2 外脚コア部
101A3、B3,201A3、B3 中脚コア部
102A、B,202A、B Iコア
101C1、C2、D1、D2、102C、D,201C1、C2、D1、D2、202C、D 肩部
103、104、203A〜D、204A〜D コイル部
103A、B、104A、B、203A1、A2、B1、B2、204A1、A2、B1、B2 端部(一端部、他端部)
105A、B、205A、B ギャップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7