【解決手段】本発明は、一方向に延びるランプ、ランプを収容可能に形成されるハウジング、ハウジングの一方の面に取り付けられ、ランプを収容可能なように凹部を備える収納部及びランプと収納部との間の空間にガスの流れを生成可能なように収納部に配設される防汚部を備えるヒータブロック及びこれを備える熱処理装置と、同装置に適用される熱処理方法であって、ガスの流れを用いて、異物による収納部の汚れを極力抑えることができるヒータブロック、熱処理装置及びその熱処理方法が開示される。
前記案内部材は、前記ランプの外側を包むように形成され、前記ランプの外周面に沿って一方向に延び、前記外周面から離間して前記外周面との間に前記ガスを通過させ得る流路を形成する請求項2に記載のヒータブロック。
前記噴射孔は、前記凹面の中心部に対向するか、又は前記案内部材上において複数の配列を形成するように一方向に交差する他方向に離間し、案内部材の一方向の中心軸に対称となり、前記案内部材の背面側に位置する請求項15に記載の熱処理装置。
前記噴射孔は、一方向に等間隔で離間して互いに異なる直径に形成されるか、又は互いに同一の直径に形成され、一方向に相互間の間隔が異なる請求項15に記載の熱処理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ガスを用いて、異物による反射鏡の汚れを極力抑えることができるヒータブロック、熱処理装置及びその熱処理方法を提供する。
【0007】
本発明は、ガスを用いて、異物が反射鏡とランプとの間に流入することを防ぐことができるヒータブロック、熱処理装置及びその熱処理方法を提供する。
【0008】
本発明は、ガスがランプ及び基板に直接的に噴射されることを防ぐことができるヒータブロック、熱処理装置及びその熱処理方法を提供する。
【0009】
本発明は、反射鏡と基板との間のガスの流れ及び伝熱の流れを均一に形成することができるヒータブロック、熱処理装置及びその熱処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施の形態に係るヒータブロックは、一方向に延びるランプと、ランプを収容可能に形成されるハウジングと、ハウジングの一方の面に取り付けられ、ランプを収容可能なように凹部を備える収納部と、ランプと収納部との間の空間にガスの流れを生成可能なように収納部に配設される防汚部とを備える。
【0011】
防汚部は、少なくとも一部がランプと収納部との間に位置し、一方向にガスを移動可能に形成される案内部材と、ランプと対向する凹部にガスを噴射可能なように案内部材に連結される噴射手段と、案内部材に連結されるガス供給源とを備えていてもよい。
【0012】
案内部材は、一方向に延び、ガスを通過させ得る流路が内部に形成されてもよい。
【0013】
案内部材は、ランプの外側を包むように形成され、ランプの外周面に沿って一方向に延び、外周面から離間して外周面との間にガスを通過させ得る流路を形成してもよい。
【0014】
案内部材は、光を透過させ得る材料により形成されてもよい。
【0015】
噴射手段は、案内部材を貫通し、流路と連通され、一方向に配列する噴射孔を備えていてもよい。
【0016】
噴射孔は、凹部の中心部に対向してもよい。
【0017】
噴射孔は、複数の配列を形成するように一方向に交差する他方向に離間し、複数の配列は、ランプの一方向の中心軸の両側に等距離で離間してもよい。
【0018】
案内部材の横断面上において、案内部材の中心点と噴射孔とをそれぞれ結ぶ連結線同士の内角は、180°以内であってもよい。
【0019】
噴射孔は、一方向に等間隔で離間し、流路の上流からの距離に応じて直径が異なっていてもよい。
【0020】
噴射孔は、互いに同一の直径に形成され、流路の上流からの距離に応じて相互間の間隔が異なっていてもよい。
【0021】
ランプは、複数配備され、他方向に配列されて板状の熱源を形成し、収納部は、複数配備されてそれぞれのランプを収容し、案内部材は、複数配備されてそれぞれの収納部に対向し、噴射手段は、それぞれの案内部材に配備されてもよい。
【0022】
本発明の実施の形態に係る熱処理装置は、基板を処理し得る空間が内部に形成されるチャンバと、該チャンバの内部に配置される基板支持部と、基板支持部と対向し、チャンバの一方の側に取り付けられるヒータブロックとを備え、ヒータブロックは、基板支持部と対向する一方の面に、一方向に延びるランプ、該ランプを収容する収納部、及び収納部のランプと対向する面の汚れを防ぐ防汚部を備える。
【0023】
収納部は、ランプを収容可能なように凹部を備え、凹部は、チャンバの内部に露出され、防汚部は、ランプと、該ランプと対向する凹部の凹面との間の空間にガスの流れを生成可能に形成されてもよい。
【0024】
防汚部は、一方向に延び、内部にランプを収容し、内周面がランプの外周面から離間する中空管構造の案内部材と、凹面にガスを噴射可能に案内部材を貫通し、案内部材の上に一方向に配列する噴射孔と、案内部材に連結されるガス供給源とを備え、案内部材は、光を透過させ得る材料により形成されてもよい。
【0025】
噴射孔は、凹面の中心部に対向するか、又は案内部材上において複数の配列を形成するように一方向に交差する他方向に離間し、案内部材の一方向の中心軸に対称となり案内部材の背面側に位置してもよい。
【0026】
噴射孔は、一方向に等間隔で離間して、互いに異なる直径に形成されるか、又は互いに同一の直径に形成され、一方向に相互間の間隔が異なっていてもよい。
【0027】
本発明の実施の形態に係る熱処理方法は、基板と対向するように配置されたランプを用いて基板を熱処理する方法であって、ランプを用いて光を生成する過程と、ランプの背面に配置された凹面を用いて、基板に光を集束させる過程と、ランプと凹面との間の空間にガスの流れを生成して、凹面の汚れを防ぐ過程とを含む。
【0028】
凹面の汚れを防ぐ過程は、ランプの外側に配置された案内部材を介して、ランプの外周面に沿ってランプが延びる方向にガスを移動させる過程と、ランプが延びる方向に案内部材の上に配列された噴射孔を用いて、凹面にガスを噴射する過程と、ガスで凹面を保護する過程とを含む。
【0029】
凹面の汚れを防ぐ過程は、凹面を用いて、ガスの流れを基板に向かって屈折させ、基板にガスを供給する過程を含んでいてもよい。
【0030】
光は、案内部材を透過して基板及び凹面に発せられ、噴射孔は、凹面に均一にガスを噴射し、ガスは、不活性ガスを含み、ランプが延びる方向に移動する間にランプと接触し且つ熱交換をして昇温してもよい。
【発明の効果】
【0031】
本発明の実施の形態によれば、ランプの外周面に沿ってランプが延びる方向にガスを移動させながら、ランプの外周面の複数の位置から反射鏡へとガスを噴射してランプと反射鏡との間の空間にガスの保護膜層を形成することができる。これにより、異物が反射鏡とランプとの間に流入することを防ぎ、異物による反射鏡の汚れを極力抑えることができる。
【0032】
また、本発明の実施の形態によれば、ガスを移動させる間にランプに接触させてガスを昇温させた後、反射鏡にガスを噴射して保護膜層を形成し且つ保持しながら、反射鏡を用いてガスの流れを基板に向かって屈折させて基板にガスを供給することができる。これにより、ガスがランプ及び基板に直接的に噴射されることを防ぎ、反射鏡と基板との間にガスの流れを均一に形成し、ガスを介した伝熱の流れを均一に形成することができる。
【0033】
従って、基板の熱処理工程に際して、熱効率が落ちることを防ぎ、温度の制御を正確に行うことができる。これにより、熱処理の施された基板の不良を低減させることができ、品質を向上させることができるので、基板の熱処理工程の信頼性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施の形態について詳しく説明する。しかしながら、本発明は以下に開示される実施形態に何ら限定されるものではなく、異なる様々な形態に具体化され、単にこれらの実施形態は本発明の開示を完全たるものにし、通常の知識を有する者に発明の範囲を完全に知らせるために提供されるものである。なお、本発明の実施の形態を説明するために図面は誇張されてもよく、図中、同じ符号は、同じ構成要素を指し示す。
【0036】
図1は本発明の実施の形態に係る熱処理装置の概略図であり、
図2は本発明の実施の形態に係るヒータブロックの模式図である。
図1及び
図2に基づいて、本発明の実施の形態に係る熱処理装置について詳しく説明する。
【0037】
本発明の実施の形態に係る熱処理装置は、基板Sを処理し得る空間が内部に形成されるチャンバ200と、チャンバ200の内部に配置される基板支持部300と、基板支持部300と対向し、チャンバ200の一方の側に取り付けられるヒータブロック100とを備える。
【0038】
基板Sとしては、例えば、ディスプレイ装置の製造に使用可能な大面積のガラス基板が挙げられ、平面四角形状であってもよい。いうまでもなく、基板Sとしては、大面積のガラス基板の他にも、半導体チップと太陽電池等の各種の電子装置を製造する工程に適用される基板をはじめとして種々のものが挙げられ、その形状もまた、四角い形状の他に種々に変形可能である。
【0039】
チャンバ200は、四角筒状に形成されてもよく、基板Sを処理し得る空間が内部に形成されてもよい。いうまでもなく、チャンバ200の形状は、基板Sの形状に応じて種々に変形可能である。例えば、チャンバ200は、円筒状であってもよい。チャンバ200は、上部に開口が形成されてもよい。開口は、基板Sの形状に応じて、例えば、四角い形状であってもよい。チャンバ200は、ゲート(図示せず)及び真空ポンプ(図示せず)等を更に備えていてもよい。
【0040】
基板支持部300は、基板Sを支持可能に形成され、チャンバ200の内部の底面に配置されてもよい。例えば、チャンバ200の下部に基板支持部300が位置してもよい。基板支持部300は、上面にリフトピンが配備されてもよい。リフトピンに基板Sが載置されてもよい。基板支持部300は、エッジリング(図示せず)を備えていてもよく、ここに基板Sを載置してもよい。
【0041】
ヒータブロック100は、チャンバ200の開口を密封して配設されてもよい。これにより、基板支持部300とヒータブロック300とは、上下方向Zに対向配置されてもよい。このとき、向かい合って配置されることを対向配置と呼ぶ。
【0042】
ヒータブロック100は、光を生成してこれを基板Sに与えてもよく、光を用いて基板Sを熱処理してもよい。例えば、ヒータブロック100は、基板Sを熱処理する工程を行うための急速熱処理装置の熱供給源として使用可能である。
【0043】
ヒータブロック100は、一方の面が基板支持部300と対向してもよい。ここで、ヒータブロック100の一方の面は、例えば、下面であってもよい。ヒータブロック100は、一方の面に、一方向Xに延びるランプLと、ランプLを収容する収納部120と、収納部120のランプLと対向する面の汚れを防ぐ防汚部とを備えていてもよい。
【0044】
一方向Xを前後方向と呼び、上下方向Zを高さ方向と呼び、一方向Xと上下方向Zの両方に交差する方向である他方向Yを左右方向と呼ぶ。
【0045】
収納部120は、ランプLを収容可能なように凹部を備えていてもよい。凹部は、ランプLを収容可能なようにヒータブロック100の一方の面を基準として凹状に形成されてもよい。凹部は、凹溝121と凹面122とを備えていてもよい。凹溝121は、収納部120の下部に形成され、上側に凹状に形成されてもよい。凹溝121にランプLが位置してもよい。凹部の内面である凹面122がランプLと対向してもよい。
【0046】
ランプLは、少なくとも一つ配備されてもよい。ランプLが複数である場合、ランプLは、他方向Yに配列されてもよく、板状の熱源を形成してもよい。なお、ランプLが複数である場合、収納部120もまた複数配備され、それぞれのランプLはそれぞれの収納部120に収容されてもよい。
【0047】
いうまでもなく、ランプLの数と収納部120の数とは、特に限定されない。ランプLの数と収納部120の数は、様々であってもよい。例えば、ヒータブロック100は、一つのランプLと一つの収納部120とを備えていてもよい。
【0048】
ヒータブロック100は、一方の面がチャンバ200の内部に露出し、凹溝121及び凹面122もまたチャンバ200の内部に露出し、ランプLもまたチャンバ200の内部に露出してもよい。
【0049】
従って、ヒータブロック100は、凹溝121の内周面である凹面122が異物により汚れることを防ぐために、ランプLと収納部120との間の空間にガスの流れを生成するように収納部120に配設される防汚部を備えていてもよい。
【0050】
すなわち、防汚部は、ランプLと凹面122との間の空間にガスの流れを生成することができ、これを用いて、凹面122の汚れを防ぐことができる。
【0051】
防汚部は、一方向Xに延び、内部にランプLを収容し、内周面がランプLの外周面から離間し、透光性材質により形成された中空管構造の案内部材130と、凹面122にガスを噴射可能なように案内部材130を貫通し、案内部材130の上に一方向Xに配列する噴射孔、及び案内部材130に連結されるガス供給源160を備えていてもよい。
【0052】
図3は本発明の実施の形態に係るヒータブロックの正断面図であり、
図4は本発明の実施の形態に係るヒータブロックの側断面図である。
図5は本発明の実施の形態に係る防汚部の部分拡大図であり、
図6は本発明の変形例に係る防汚部の部分拡大図である。
図7は本発明の実施の形態に係る熱処理装置の工程手順図である。
【0053】
以下、
図1から
図7に基づいて、本発明の実施の形態に係るヒータブロック100を説明する。本発明の実施の形態に係るヒータブロック100は、一方向Xに延びるランプLと、ランプLを収容可能に形成されるハウジング110と、ハウジング110の一方の面に取り付けられ、ランプLを収容可能なように凹部を備える収納部120と、ランプLと収納部120との間の空間にガスの流れを生成可能なように収納部120に配設される防汚部とを備える。
【0054】
ランプLは、チューブ状に形成されたリニアランプを備えていてもよい。ランプLは、クォーツ(quartz)材により形成されてもよい。ランプLは、内部に発光体が配置され、両端部が電極により密封されてもよい。発光体は、様々な波長の電磁波を生成するための各種の構成要素を備え、例えば、フィラメントを備えていてもよい。発光体は、電極と接続され、光を赤外線、可視光及び紫外線のうちの少なくとも一つで発して基板Sに輻射熱を与えてもよい。ランプLは、収納部120に収容されてもよく、一方向Xに配置されてもよく、ハウジング110の一方の面の外側、例えば、下側に露出してもよい。
【0055】
ハウジング110は、ランプLを収容し得る面積に形成される。ハウジング110は、本体111とリッド112とを備えていてもよい。本体111は、例えば、四角筒状に形成されてもよく、上部に開口が配備されてもよく、開口を介して内部が開放されてもよい。リッド112は、例えば、四角板状に形成されてもよく、本体111の開口に取り付けられてもよく、本体111の開口を密封してもよい。本体111とリッド112との形状は、チャンバ200の形状による。
【0056】
ランプLを支持可能なように、本体111を一方向Xに貫通してランプソケット140が取り付けられてもよい。ランプソケット140は、ランプLの両端部にそれぞれ位置し、それぞれの位置においてランプLの両端部の電極にそれぞれ接続されてもよく、ランプLを支持してもよい。外部電源150は、ランプソケット140を介してランプLの両端部の電極に電気的に接続されてもよい。
【0057】
収納部120は、ハウジング110の内部に配置されてもよく、ハウジング110の一方の面に取り付けられてもよい。収納部120は、ランプLを収容可能に一方向Xに延びてもよい。また、収納部120は、ランプLを収容可能なようにハウジング110の一方の面を基準として上側、例えば、ハウジング110の内側に凹状に形成されてもよく、その横断面がアーチ状を呈してもよい。すなわち、収納部120は、下部にランプLを収容するために上側に窪んだ凹溝121が形成されてもよい。凹溝121は、ランプLを収容してもよく、凹溝121の内周面である凹面122がランプLの背面と対向してもよい。ここで、ランプLの外周面の全領域において基板支持部300を向く外周面の下部領域をランプLの正面と呼び、これを除く外周面の残りである上部領域をランプLの背面と呼ぶ。
【0058】
凹面122は、反射鏡を備えていてもよい。反射鏡は、光を基板支持台300に向かって屈折させてもよく、基板支持台300に載置された基板Sに光を集束させてもよい。反射鏡は、凹面122と一体形に形成されるか、又は別途の部材として配備され、凹面122に着脱されてもよい。光の屈折及び集束のための反射鏡の具体的な曲面の形状及び材料は、特に限定されない。
【0059】
収納部120は、上部に上側に突き出た突起が形成されてもよく、突起は、一方向Xに延びてもよい。突起は、リッド112に支持されてもよい。
【0060】
一方、本体111、リッド112及び収納部120の間の空間に冷媒路が形成されてもよい。冷媒路は、冷媒配管(図示せず)と連結されてもよい。冷媒配管は、冷媒路に冷媒を供給し、冷媒路から冷媒を回収してもよい。冷媒は、冷媒路に沿って流れ、収納部120と接触し、収納部120の温度を収納部120の耐熱特性未満の温度に冷却させてもよい。冷媒としては、例えば、水が挙げられる。
【0061】
防汚部は、ランプLと収納部120との間の空間にガスの流れを生成可能なように収納部120に配設されてもよい。防汚部は、少なくとも一部がランプLと収納部120との間に位置し、一方向Xにガスを移動可能に形成される案内部材130と、ランプLと対向する収納部120の凹面122にガスを噴射可能なように案内部材130に連結される噴射手段、及び案内部材130に連結されるガス供給源160を備えていてもよい。
【0062】
案内部材130は、その少なくとも一部がランプLと凹面122のとの間に位置してもよく、一方向Xにガスを移動可能に形成されてもよい。案内部材130は、凹溝121に配置され、一方向Xに延び、ガスを通過可能なように流路が内部に形成されてもよい。なお、案内部材130は、光を透過させ得る材料により形成されてもよい。例えば、案内部材130は、クォーツ(quartz)材により形成されてもよい。
【0063】
案内部材130は、ランプLの形状に対応し、例えば、チューブ状に形成されたリニア部材を備えていてもよい。案内部材130は、クォーツ材のガスチューブとも呼ばれる。
【0064】
特に、案内部材130は、ランプLの外側を包むように形成され、ランプLの外周面に沿って一方向Xに延び、ランプLの外周面から離間し、ランプLの外周面との間にガスを通過させ得る流路を形成してもよい。
【0065】
このように、案内部材130は、中空管構造であってもよく、内部にランプLを収容してもよい。案内部材130の内周面は、ランプLの外周面から離間してもよい。これにより、収納部120内に案内部材130の配設のためのさらなる空間を確保する必要がなく、収納部120とランプLの構造的な変更なしに収納部120内において与えられた空間を活用して案内部材130を円滑に形成することができる。従って、光集積度及び粗さの分布度の低下を防ぐことができる。いうまでもなく、案内部材130は、ランプLと凹面122との間の空間に別設されてもよく、この場合、ランプLは、案内部材130の外側に配置されてもよい。
【0066】
噴射手段は、凹面122にガスを噴射可能に案内部材130と連結されてもよい。例えば、噴射手段は、案内部材130を貫通し、流路と連通され、一方向Xに配列する噴射孔hを備えていてもよい。いうまでもなく、噴射手段は、別途のノズルや噴射管の形状に倣って形成され、案内部材130に取り付けられて流路に連結されてもよい。すなわち、噴射手段は、案内部材130内のガスを凹面122に直接的に噴射可能である限り、その形状を問わない。
【0067】
図5を参照すると、噴射孔hは、複数の配列を形成するように他方向Yに離間してもよく、噴射孔hの複数の配列は、ランプLの一方向の中心軸(図示せず)の両側に等距離で離間してもよい。すなわち、噴射孔hは、案内部材130の背面に一方向Xへの配列を複数形成してもよく、各配列は、案内部材130の背面の中心部、例えば、背面の頂上領域から左右に等間隔で離間する。このとき、噴射孔hからなる配列は、偶数に形成されてもよい。一方、例えば、配列が奇数である場合、一つの配列は、案内部材130の背面の頂上領域に一方向Xに一列に形成されてもよい。このとき、案内部材130の横断面上において、案内部材130の中心点と他方向Yへの最外郭配列を形成する噴射孔hをそれぞれ結んだ連結線同士の内角θは、180°以内であってもよい。すなわち、噴射孔hは、案内部材130の前面から離間し、背面の上に配列されてもよい。
【0068】
また、
図6を参照すると、噴射孔hは、一つの一方向の配列を形成し、凹面122の中心部に該凹面122と対向するように配列されてもよい。すなわち、噴射孔hは、凹面122の中心部と対向するように、案内部材130の背面の中心部である頂上領域に、一方向Xに一列に配列されてもよい。
【0069】
これらの噴射孔hの配列により、凹面122において屈折されて、基板支持台300の方向を向くガスの流れが、他方向Yに均一に形成可能となる。すなわち、噴射孔hの上述した配列により、凹溝121内において、凹面122の下方に向かって基板支持台300に流れるガスの流れが他方向Yに均一となる。
【0070】
また、これらの噴射孔hの配列によれば、ガスが直接的に基板支持台300に向かって流れることなく、ガスが凹面122に向かって先に噴射された後、凹面122において屈折されて基板支持台300に向かって導かれる。従って、ガスの噴射圧によってランプLと基板Sとが損なわれることを防ぐことができ、その結果、凹面122をガスで包んで異物から保護できる程度の十分な噴射圧により、ガスを円滑に噴射することができる。
【0071】
噴射孔hは、凹面122に向かって噴射されるガスの流れを形成し、凹面122に噴射されるガスは、凹面122にガス保護膜層を形成して、該凹面122を清浄に保護することができる。次いで、ガスは、下方に下降しながらランプLと凹面122との間の狭い隙間を封止して、異物が凹面122の中心部に向かって流入することを、根源的に遮断することができる。特に、ガスの流れがランプLの下側に形成されるので、異物の流入を源泉的に遮断することができる。
【0072】
案内部材130と噴射孔hとをまとめて、シャワーチューブと呼ぶ。
【0073】
本発明の実施の形態によれば、凹溝121内にガスの流れを形成する構成要素としてシャワーチューブを採択するので、例えば、凹面122に噴射孔hを別設しなくても済む。従って、凹面122、例えば、反射鏡の放物面の形状をそのまま保つことができ、光の輻射、反射及び屈折のロス(loss)なく、基板支持台300に向かって光を均一に屈折させることができる。すなわち、シャワーチューブを用いて、反射鏡の構造的な変形及び損傷を発生することなく、凹溝121内にガスの流れを形成することができる。
【0074】
一方、本発明の実施の形態に係るヒータブロックは、基板の熱処理に用いられるので、一方向Xへのガスの分布もまた肝要である。
【0075】
図8は本発明の実施の形態に係る基板の熱処理工程時のランプと反射鏡との間のガスの流れを説明するためのグラフであり、
図9は本発明の変形例に係る防汚部のガス供給流量別にガスの噴射流速を示すグラフであり、
図10は本発明の実施の形態に係る防汚部のガス供給流量別にガスの噴射流速を示すグラフである。
【0076】
図8から
図10に基づいて、噴射孔hの一方向Xの位置別の直径について説明する。
【0077】
流体の流れをシミュレーションできる商用プログラムを用いて、本発明の実施の形態に係るヒータブロックをモデリングし、噴射孔の直径、配列及び数を異ならせて、案内部材130にガスを種々の流量で注入し、噴射孔から噴射されるガスの流速をコンピュータによって解析した。
【0078】
以下に示す数値は、本発明の実施の形態を説明するための単なる例示に過ぎず、本発明の実施の形態を限定するためのものではない。
【0079】
図8は、案内部材130の一方向の長さを118.55cmとしてモデリングし、噴射孔hの一方向の数を17個としてモデリングして、案内部材130の一方向の位置別の流速を解析した結果である。
図8の解析結果は、噴射孔の一方向の位置別の流速が均一になるように直径の変化が考慮されていない場合の結果である。
【0080】
次いで、
図9(a)の解析結果を参照すると、噴射孔hを一つの配列として形成し、噴射孔hの数を17個とし、噴射孔同士の間隔を70mmとしてモデリングし、案内部材130に供給されるガスの流量をそれぞれ3l/min、5l/min、10l/min、20l/min、30l/min、40l/min、50l/min、60l/min、70l/min、80l/min、90l/min、及び100l/minに変えていきながら、噴射孔hにおいて測定された流速値をそれぞれA線〜L線で示す。このとき、噴射孔の直径は、1.1mmとしている。
【0081】
図9(b)は、
図9(a)の解析条件において、噴射孔の直径を1.0mmに変更し、噴射孔の個数を20個に変更し、ピッチ、すなわち、噴射孔同士の間隔を60mmに変更した後に、解析を行った結果である。
【0082】
図10(a)及び(b)は、
図9(a)及び(b)の解析条件において、噴射孔hの配列を二列に変更した後、残りの条件を保持した状態でそれぞれ解析した結果である。このとき、二列分の配列のうち、一つの配列を形成する左側の噴射孔と、他の配列を形成する右側の噴射孔とを一方向Xへの位置ごとに、各流速を同様に解析した。
【0083】
図9及び
図10の解析結果から明らかなように、噴射孔hにおいて流速が均一に形成される。すなわち、案内部材130の長さと噴射孔hの直径との関係を上述した解析条件のように適宜調節すると、噴射孔hにおいて均一な速度でガスを噴射できるということが分かる。
【0084】
いうまでもなく、上述した方式の他に、別の方式により噴射孔hから噴射されるガスの流速を一方向の位置別に均一に制御することができる。
【0085】
以下、引き続き、
図1から
図7に基づいて、本発明の実施の形態に係るヒータブロック100について説明する。
【0086】
例えば、噴射孔hは、一方向Xに等間隔で離間し、流路の上流からのその距離に応じて直径を異ならせて、各噴射孔hから噴射されるガスの流速を一方向Xに均一に制御することができる。また、噴射孔hを互いに同一の直径に形成し、流路の上流からの距離に応じて各噴射孔hの相互間の間隔を異ならせて形成することにより、当該噴射孔hから噴射されるガスの流速を一方向Xに均一に制御することができる。これらに加えて、噴射孔hから噴射されるガスの流速を、一方向の位置別に均一に制御する方式は多岐に亘る。
【0087】
ここで、流路の上流とは、ガスが先に通過する部分であり、その下流とは、ガスが後で通過する部分である。
【0088】
ガス供給源160は、ランプソケット140を介して、案内部材130に連結されてもよい。ガス供給源160は、案内部材130の両端部に連結されてもよく、不活性ガス、例えば、アルゴンガス又は窒素ガスを案内部材130の一方の端部に供給し、案内部材130の他方の端部において不活性ガスを回収してもよい。これにより、ガスは、案内部材130の内部を一方向Xに流れることができる。各噴射孔hを介して凹面122に向かって噴射可能である。
【0089】
以上、一つのランプLを基準として、ヒータブロック100の構造について説明したが、ランプLは複数配備され、他方向Yに配列されて板状の熱源を形成してもよい。すなわち、ランプLの数は多種多様であってもよい。例えば、ランプLの数は少なくとも一つであってもよく、ヒータブロック100の一方の面の上にリニア状に配列されてもよい。
【0090】
ヒータブロック100に複数のランプLが配備されれば、収納部120は複数配備されてそれぞれのランプLを収容し、且つ、案内部材130は複数配備されてそれぞれの収納部120と対向し、内部にそれぞれのランプLを収容し、それぞれの内周面がそれぞれのランプLの外周面から離間してもよい。ガス供給源160は、案内部材130と並列に連結されてもよい。いうまでもなく、複数のガス供給源160が配備されて、それぞれの案内部材130と直列に連結されてもよい。
【0091】
また、噴射手段は、それぞれの案内部材130に配備されてもよい。すなわち、噴射孔hは、ランプLと対向する凹面122にガスを噴射可能なようにそれぞれの案内部材130を貫通し、それぞれの案内部材130の上に一方向Xに配列されてもよい。このとき、噴射孔hは、凹面122の中心部に対向するか、又は案内部材130の上において複数の配列を形成するように、他方向Yに離間して案内部材130の一方向の中心軸(図示せず)に対称となり、案内部材130の背面に位置してもよい。
【0092】
更に、噴射孔hは、一方向Xに等間隔で離間して、それぞれ異なる直径に形成されるか、又は同一の直径に形成されて、一方向に相互間の間隔が異なっていてもよい。
【0093】
以下、本発明の実施の形態に係る熱処理方法について説明する。このとき、上述した内容と重複する説明は省略する。本発明の実施の形態に係る熱処理方法は、基板と対向するように配置されたランプを用いて、基板を熱処理する方法であって、ランプLを用いて光を生成する過程と、ランプLの背面に配置された凹面122を用いて、基板Sに光を集束させる過程と、ランプLと凹面122との間の空間にガスの流れを生成して、凹面122の汚れを防ぐ過程とを含む。
【0094】
ランプLにおいて光を生成し、凹面122を用いて基板Sに光を集束させて該基板Sを熱処理する間に、凹面122が異物により汚れると、該凹面122の熱効率が落ちる虞がある。
【0095】
従って、基板Sを熱処理する間に、防汚部を用いて、ランプLと凹面122との間の空間にガスの流れを生成して凹面122の汚れを防ぐ。
【0096】
詳しくは、ランプLの外側に配置された案内部材130を介し、ランプLの外周面に沿って該ランプLが延びる方向にガスを移動させる。このとき、ガスは、不活性ガスを含んでいてもよい。なお、ガスは、ランプLが延びる方向に移動する間に、該ランプLと接触し且つ熱交換をして昇温してもよい。
【0097】
次いで、ランプLが延びる方向に案内部材130の上に配列された噴射孔hによって凹面122にガスを噴射し、噴射されたガスによって凹面122を保護する。このとき、一方向及び他方向に、凹面122に均一にガスを噴射する。なお、凹面122を用いて、ガスの流れを基板Sに向かって屈折させて、該基板Sに昇温したガスを供給する。
【0098】
これらの過程は、同時に又は一緒に行われてもよく、また、任意の順序に従って順次に行われてもよい。一方、ガスを用いて凹面122の汚れを防ぐ間に、光は案内部材130を透過してもよく、基板Sと凹面122とに円滑に発せられてもよい。次いで、基板Sの熱処理が終わると、ガスの供給を中断し、基板Sを取り替えた後、次回の基板の熱処理を行う。
【0099】
本発明の実施の形態によれば、凹面、すなわち、反射鏡の汚れを防ぐことができ、工程の熱効率を保つことができる。なお、ガスを用いて、基板Sの温度を更に均一に制御することができる。すなわち、防汚部は、ガスを反射鏡の防汚及び基板Sの温度の制御という二つの目的のために種々に活用することができる。
【0100】
上述した本発明の実施の形態は、その説明のためのものであり、その制限のためのものではない。上述した本発明の実施の形態に開示された構成と方式とは、組み合わせたり交差したりして種々の形態に変形される筈であり、このような変形例もまた、本発明の範囲内であると見なされるということに留意すべきである。すなわち、本発明は、特許請求の範囲及びこれと均等な技術的思想の範囲内において異なる種々の形態に具体化され、本発明が属する技術分野における当業者であれば、本発明の技術的思想の範囲内において種々の実施の形態が採用可能であるということが理解できる筈である。