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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-201446(P2019-201446A)
(43)【公開日】2019年11月21日
(54)【発明の名称】積層体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 15/02 20060101AFI20191025BHJP
   H01F 41/02 20060101ALI20191025BHJP
【FI】
   H02K15/02 F
   H01F41/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2018-93054(P2018-93054)
(22)【出願日】2018年5月14日
(71)【出願人】
【識別番号】000144038
【氏名又は名称】株式会社三井ハイテック
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(74)【代理人】
【識別番号】100171099
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】永杉 茂
(72)【発明者】
【氏名】福本 崇
(72)【発明者】
【氏名】小田 仁
【テーマコード(参考)】
5E062
5H615
【Fターム(参考)】
5E062AC01
5E062AC15
5E062AC19
5H615AA01
5H615BB01
5H615BB05
5H615BB14
5H615PP07
5H615SS03
5H615SS06
5H615SS10
5H615SS25
(57)【要約】
【課題】電磁鋼板の積層体の焼鈍後における厚さの不良率低減に有効な積層体の製造方法を提供する。
【解決手段】積層体1Aの製造方法は、電磁鋼板4を積層して積層体1Aを形成することと、積層体1Aに焼鈍処理を行うことと、積層体1Aに焼鈍処理を行う前に、当該積層体1Aの厚さに関する焼鈍前積厚情報を取得することと、焼鈍前積厚情報が予め設定された焼鈍前基準を満たさない場合に、焼鈍前積厚情報が焼鈍前基準を満たすように電磁鋼板4の積層条件を調節することと、を含む。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁鋼板を積層して積層体を形成することと、
前記積層体に焼鈍処理を行うことと、
前記積層体に焼鈍処理を行う前に、当該積層体の厚さに関する焼鈍前積厚情報を取得することと、
前記焼鈍前積厚情報が予め設定された焼鈍前基準を満たさない場合に、前記焼鈍前積厚情報が前記焼鈍前基準を満たすように前記電磁鋼板の積層条件を調節することと、を含む積層体の製造方法。
【請求項2】
前記焼鈍前積厚情報は、前記電磁鋼板の積層方向に前記積層体を加圧した状態における当該積層体の厚さを示す焼鈍前の加圧時情報と、前記積層体を加圧しない状態における当該積層体の厚さを示す焼鈍前の無負荷時情報とを含み、
前記焼鈍前基準は、予め設定された焼鈍前の加圧時基準及び焼鈍前の無負荷時基準を含み、
前記焼鈍前の加圧時情報が前記焼鈍前の加圧時基準を満たさない場合、及び前記焼鈍前の無負荷時情報が前記焼鈍前の無負荷時基準を満たさない場合の少なくとも一方に該当する場合に、前記焼鈍前の加圧時情報及び前記焼鈍前の無負荷時情報が前記焼鈍前の加圧時基準及び前記焼鈍前の無負荷時基準をそれぞれ満たすように前記積層条件を調節する、請求項1記載の積層体の製造方法。
【請求項3】
前記焼鈍前の加圧時基準は、予め設定された焼鈍前の加圧時下限値を含み、前記焼鈍前の無負荷時基準は、予め設定された焼鈍前の無負荷時上限値を含み、
前記焼鈍前の加圧時情報が前記焼鈍前の加圧時下限値を下回る場合に前記積層体の厚さを大きくするように前記積層条件を調節し、
前記焼鈍前の無負荷時情報が前記焼鈍前の無負荷時上限値を上回る場合に前記積層体の厚さを小さくするように前記積層条件を調節する、請求項2記載の積層体の製造方法。
【請求項4】
前記焼鈍前の加圧時基準は、予め設定された焼鈍前の加圧時上限値を更に含み、
前記焼鈍前の加圧時情報が前記焼鈍前の加圧時上限値を上回る場合にも前記積層体の厚さを小さくするように前記積層条件を調節する、請求項3記載の積層体の製造方法。
【請求項5】
前記積層体に焼鈍処理を行った後に、当該積層体の厚さに関する焼鈍後積厚情報を取得することと、
前記焼鈍後積厚情報が予め設定された焼鈍後基準を満たさない場合に、前記焼鈍後積厚情報が前記焼鈍後基準を満たすように前記焼鈍前基準を調節することと、を更に含み、
前記焼鈍後積厚情報は、前記積層体を加圧しない状態における当該積層体の厚さを示す焼鈍後の無負荷時情報を含み、
前記焼鈍後基準は、予め設定された焼鈍後の無負荷時上限値を含み、
前記焼鈍後の無負荷時情報が前記焼鈍後の無負荷時上限値を上回る場合に、前記焼鈍前の無負荷時上限値を小さくする、請求項4記載の積層体の製造方法。
【請求項6】
前記積層体の前記焼鈍前の無負荷時情報が前記焼鈍前の無負荷時上限値以下であり、当該積層体の前記焼鈍後の無負荷時情報が前記焼鈍後の無負荷時上限値を上回っている場合に、前記積層体の厚さを小さくするように前記積層条件を調節することを更に含む、請求項5記載の積層体の製造方法。
【請求項7】
前記積層体に焼鈍処理を行った後に、当該積層体の厚さに関する焼鈍後積厚情報を取得することと、
前記焼鈍後積厚情報が予め設定された焼鈍後基準を満たさない場合に、前記焼鈍後積厚情報が前記焼鈍後基準を満たすように前記焼鈍前基準を調節することと、を更に含む、請求項1又は2記載の積層体の製造方法。
【請求項8】
前記積層体の前記焼鈍前積厚情報が前記焼鈍前基準を満たしており、当該積層体の前記焼鈍後積厚情報が前記焼鈍後基準を満たしていない場合に、前記焼鈍後積厚情報が前記焼鈍後基準を満たすように前記積層条件を調節することを更に含む、請求項7記載の積層体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、積層体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、焼鈍した積層鉄心の積層厚さが焼鈍前より大きくならないように、積層鉄心を成形焼鈍する焼鈍積層鉄心の製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−338825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、電磁鋼板の積層体の焼鈍後における厚さの不良率低減に有効な積層体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面に係る積層体の製造方法は、電磁鋼板を積層して積層体を形成することと、積層体に焼鈍処理を行うことと、積層体に焼鈍処理を行う前に、当該積層体の厚さに関する焼鈍前積厚情報を取得することと、焼鈍前積厚情報が予め設定された焼鈍前基準を満たさない場合に、焼鈍前積厚情報が焼鈍前基準を満たすように電磁鋼板の積層条件を調節することと、を含む。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、電磁鋼板の積層体の焼鈍後における厚さの不良率低減に有効な積層体の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】積層鉄心を例示する斜視図である。
図2】電磁鋼板同士の接続部を示す断面図である。
図3】積層体の製造装置の構成を例示する模式図である。
図4】積厚測定装置の構成を例示する模式図である。
図5】除外装置の模式図である。
図6】コントローラの機能的な構成を例示するブロック図である。
図7】コントローラのハードウェア構成を例示するブロック図である。
図8】積層手順を例示するフローチャートである。
図9】焼鈍前の積厚確認手順を例示するフローチャートである。
図10】焼鈍及び焼鈍後の積厚確認手順を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0009】
〔積層体〕
本実施形態に係る積層体1Aは、モータ用の積層鉄心1又はその製造過程における中間生成物である。図1に示すように、積層鉄心1は、例えばモータのステータ用のコアであり、環状のヨーク2と、複数のティース3とを有する。複数のティース3は、ヨーク2に沿って等間隔に並び、それぞれヨーク2の内周面からヨーク2の中心側に突出している。積層鉄心1は、ヨーク2の中心軸線に垂直な複数の電磁鋼板4の積層体1Aにより構成される。
【0010】
図2に示すように、積層体1Aは、ヨーク2の中心軸線に沿って重なった複数の積層ブロック5を有する。それぞれの積層ブロック5は、複数の電磁鋼板4の積層体である。積層ブロック5の複数の電磁鋼板4は、互いに積層された複数の第一電磁鋼板6と、複数の第一電磁鋼板6に更に積層された第二電磁鋼板7とを含む。第二電磁鋼板7は、積層ブロック5の最外層(例えば図示の最下層)に位置している。
【0011】
第一電磁鋼板6は、カシメ部6aを有する。カシメ部6aは、第一電磁鋼板6の主面6bに形成された凹部6dと、第一電磁鋼板6の主面6cに形成された凸部6eとを含む。第一電磁鋼板6同士は、主面6b,6cが対向するように積層されている。第一電磁鋼板6同士の境界においては一方の第一電磁鋼板6の凸部6eが他方の第一電磁鋼板6の凹部6dに嵌まり込んでいる。これにより、第一電磁鋼板6同士が接続されている。
【0012】
第二電磁鋼板7は、第一電磁鋼板6のカシメ部6aを貫通孔7aに変更したものである。第二電磁鋼板7は、第一電磁鋼板6に対して主面6c側に積層されている。第一電磁鋼板6と第二電磁鋼板7との境界においては、第一電磁鋼板6の凸部6eが第二電磁鋼板7の貫通孔7aに嵌まり込んでいる。これにより、第一電磁鋼板6と第二電磁鋼板7とが接続されている。
【0013】
第二電磁鋼板7は、カシメ部6aによる積層ブロック5同士の接続を防止する。具体的に、第二電磁鋼板7は、積層ブロック5同士の境界において、一方の積層ブロック5の凸部6eと他方の積層ブロック5の凹部6dとの嵌合を防止する。複数の積層ブロック5は、溶接又は接着等により互いに固定される。なお、積層鉄心1は、必ずしもステータ用のコアでなくてもよく、ロータ用のコアであってもよい。
【0014】
〔積層体製造装置〕
続いて、積層体1Aの製造装置10について説明する。図3に示すように、製造装置10は、帯状の電磁鋼板である帯状鋼板W1から積層体1Aを製造するための装置である。製造装置10は、アンコイラー20と、送出装置30と、打抜装置40と、焼鈍装置50と、積厚測定装置60A,60Bと、コンベヤ70A,70B,70C,70Dと、コントローラ100とを備える。
【0015】
アンコイラー20は、帯状鋼板W1の巻重体が装着された状態で、巻重体を回転自在に保持する。巻重体を構成する帯状鋼板W1の長さは例えば500〜10000mであってもよい。巻重体を構成する帯状鋼板W1の厚さは0.1〜0.5mm程度であってもよく、積層鉄心1のより優れた磁気的特性を達成する観点から、0.1〜0.3mm程度であってもよい。巻重体を構成する帯状鋼板W1の幅は50〜500mm程度であってもよい。
【0016】
送出装置30は、巻重体から引き出された帯状鋼板W1を、打抜装置40に向けて送り出す。打抜装置40(積層装置)は、順送り金型41及びプレス部42を有する。順送り金型41は、プレス部42により駆動され、帯状鋼板W1に対して打抜き加工を行う。具体的に、順送り金型41は、打抜き加工によって得た複数の電磁鋼板4を積層して積層ブロック5を形成し、これを繰り返して複数の積層ブロック5を形成し、電磁鋼板4の積層方向に沿って複数の積層ブロック5を重ねて積層体1Aを形成する。
【0017】
焼鈍装置50は、打抜装置40により形成された積層体1Aの焼鈍処理を行う装置である。例えば焼鈍装置50は、焼鈍用の温度に調節された加熱炉内に積層体1Aを入れて焼鈍処理を行う。焼鈍装置50は、所定数の積層体1Aをまとめて処理するバッチ方式にて焼鈍処理を行うように構成されていてもよい。例えば焼鈍装置50は、所定数の積層体1Aをまとめて加熱炉内に搬入するように構成されている。
【0018】
積厚測定装置60Aは、焼鈍装置50による焼鈍処理前の積層体1Aの積厚を測定する。積厚測定装置60Bは、焼鈍装置50による焼鈍処理後の積層体1Aの積厚を測定する。
【0019】
図4に示すように、積厚測定装置60A,60Bは、加圧プレート620と、圧下駆動部610と、複数(例えば三つ以上)の高さセンサ630とを有する。加圧プレート620は、測定対象の積層体1Aの上に配置される。圧下駆動部610は、加圧プレート620を下降させて積層体1Aに押し付ける。例えば圧下駆動部610は、例えば油圧式又は空圧式等の流体式シリンダであり、下方に突出した圧下ロッド611を有する。圧下ロッド611の先端部は可動ジョイント621を介して加圧プレート620に接続されている。可動ジョイント621は、例えばボールジョイントであり、全方位への加圧プレート620の傾動を可能にする。圧下駆動部610は、油圧又は空圧等の流体圧により圧下ロッド611を下降させて加圧プレート620を積層体1Aに押し付ける。
【0020】
積厚測定装置60A,60Bは、圧下駆動部610により加圧プレート620を加圧する状態(以下、「加圧状態」という。)と、圧下駆動部610により加圧プレート620を加圧しない状態(以下、「無負荷状態」という。)とを切り替えられるように構成されている。このため、積厚測定装置60A,60Bによれば、加圧状態における積層体1Aの厚さ(以下、「加圧時厚さ」という。)に関する情報と、無負荷状態における積層体1Aの厚さ(以下、「無負荷時厚さ」という。)に関する情報との両方を取得可能である。加圧状態における加圧力は、焼鈍処理前後での加圧時厚さの差が、焼鈍処理前後での無負荷時厚さの差よりも小さくなるように設定されている。加圧状態における加圧力は、焼鈍処理前後で加圧時厚さが実質的に同等になるように設定されていてもよい。
【0021】
複数の高さセンサ630は、例えば圧下ロッド611の中心軸線を囲むように配置されている。各高さセンサ630は、例えば接触ロッド631を下方に突出させて加圧プレート620に接触させ、接触ロッド631の突出長さに基づいて加圧プレート620の上面の高さを検出する。各高さセンサ630において、加圧プレート620の上面の高さを検出することによって、各高さセンサ630の配置箇所における積層体1Aの厚さを導出することが可能となる。
【0022】
図3に戻り、コンベヤ70Aは、積層体1Aを打抜装置40から積厚測定装置60Aに搬送する。コンベヤ70Bは、積層体1Aを積厚測定装置60Aから焼鈍装置50に搬送する。コンベヤ70Cは、積層体1Aを焼鈍装置50から積厚測定装置60Bに搬送する。コンベヤ70Dは、積層体1Aを積厚測定装置60Bから更に後段の装置に搬送する。コンベヤ70A,70B,70C,70Dの具体例としては、ベルトコンベヤ等が挙げられる。
【0023】
コンベヤ70Bは、「通常モード」及び「除外モード」の二種類の搬送モードでの搬送を実行するように構成されていてもよい。通常モードの場合、コンベヤ70Bは、積層体1Aを積厚測定装置60Aから焼鈍装置50に搬送する。除外モードの場合、コンベヤ70Bは、積層体1Aを焼鈍装置50への搬送対象から除外する。コンベヤ70Dも同様に、「通常モード」及び「除外モード」の二種類の搬送モードでの搬送を実行するように構成されていてもよい。通常モードの場合、コンベヤ70Dは、積層体1Aを積厚測定装置60Bから後段の装置に搬送する。除外モードの場合、コンベヤ70Dは、積層体1Aを後段の装置への搬送対象から除外する。
【0024】
例えば図5に示すように、コンベヤ70B,70Dは、除外装置710を有する。除外装置710は、除外対象とされた積層体1Aをコンベヤ70B,70Dから除外する。例えば除外装置710は、電動式のリニアアクチュエータ又はエアシリンダ等を動力源として、積層体1Aをコンベヤ70B,70Dの周囲の回収部713に押し出す。
【0025】
続いて、図6を参照してコントローラ100の構成を説明する。コントローラ100は、電磁鋼板4を積層して積層体1Aを形成するように打抜装置40を制御することと、積層体1Aに焼鈍処理を行うように焼鈍装置50を制御することと、積層体1Aに焼鈍処理を行う前に、当該積層体1Aの厚さに関する焼鈍前積厚情報を積厚測定装置60Aから取得することと、焼鈍前積厚情報が予め設定された焼鈍前基準を満たさない場合に、焼鈍前積厚情報が焼鈍前基準を満たすように電磁鋼板4の積層条件を調節することと、を実行するように構成されている。なお、積層体1Aの厚さに関する情報は、積層体1Aの厚さを直接的に示す情報と、関数又はテーブル等によって積層体1Aの厚さとの関係が特定されている情報とのいずれも含む。
【0026】
コントローラ100は、焼鈍処理が行われた積層体1Aの厚さに関する焼鈍後積厚情報を積厚測定装置60Bから取得することと、焼鈍後積厚情報が予め設定された焼鈍後基準を満たさない場合に、焼鈍後積厚情報が焼鈍後基準を満たすように焼鈍前基準を調節することと、を更に実行するように構成されていてもよい。
【0027】
コントローラ100は、積層体1Aの焼鈍前積厚情報が焼鈍前基準を満たしており、当該積層体1Aの焼鈍後積厚情報が焼鈍後基準を満たしていない場合に、焼鈍後積厚情報が焼鈍後基準を満たすように積層条件を調節することを更に実行するように構成されていてもよい。
【0028】
例えばコントローラ100は、機能上の構成(以下、「機能モジュール」という。)として、積層条件保持部111と、モード保持部112と、積層制御部113と、搬送制御部114と、積厚情報取得部115と、積層条件調節部116と、搬送制御部117と、焼鈍制御部118と、搬送制御部119と、積厚情報取得部121と、積層条件調節部122と、焼鈍前基準調節部123と、搬送制御部124とを有する。
【0029】
積層条件保持部111は、積層ブロック5を形成するための第一電磁鋼板6及び第二電磁鋼板7の積層条件を記憶する。この積層条件は、電磁鋼板4の積層枚数(第一電磁鋼板6の積層枚数)、電磁鋼板4の積層時の加圧力、及びカシメ部6aの形成条件等、積層体1Aの積厚に影響を及ぼす情報を含む。モード保持部112は、コンベヤ70Bによる上記搬送モードを記憶する。
【0030】
積層制御部113は、複数の電磁鋼板4を積層して積層ブロック5を形成し、電磁鋼板4の積層方向に沿って複数の積層ブロック5を重ねて一つの積層体1Aを形成するように打抜装置40を制御する。積層ブロック5の形成に際し、積層制御部113は、積層条件保持部111の積層条件に従った積層条件にて電磁鋼板4を積層する。より具体的に、積層制御部113は、一枚の第二電磁鋼板7に対し、積層条件保持部111の積層条件に従った積層条件にて第一電磁鋼板6を積層して積層ブロック5を形成する。搬送制御部114は、打抜装置40から積厚測定装置60Aに積層体1Aを搬送するようにコンベヤ70Aを制御する。
【0031】
積厚情報取得部115は、積層体1Aの上記焼鈍前積厚情報を積厚測定装置60Aから取得する。焼鈍前積厚情報は、電磁鋼板4の積層方向に積層体1Aを加圧した状態における当該積層体1Aの厚さを示す焼鈍前の加圧時情報と、積層体1Aを加圧しない状態における当該積層体1Aの厚さを示す焼鈍前の無負荷時情報とを含んでもよい。すなわち積厚情報取得部115は、上記加圧時厚さに関する情報と、上記無負荷時厚さに関する情報とを積厚測定装置60Aから取得してもよい。加圧時厚さに関する情報は、圧下駆動部610が加圧プレート620を加圧した状態にて複数の高さセンサ630により検出される高さ情報である。無負荷時厚さに関する情報は、圧下駆動部610が加圧プレート620を加圧していない状態にて複数の高さセンサ630により検出される高さ情報である。
【0032】
積層条件調節部116は、積厚情報取得部115が取得した焼鈍前積厚情報が予め設定された焼鈍前基準を満たさない場合に、モード保持部112が記憶する搬送モードを通常モードから除外モードに変更することと、焼鈍前積厚情報が焼鈍前基準を満たすように電磁鋼板4の積層条件を調節することとを実行する。焼鈍前基準は、例えば過去に取得された焼鈍前積厚情報及び焼鈍後積厚情報の関係に基づいて予め設定されている。例えば、焼鈍前基準は、当該基準を満たす積層体1A群の焼鈍後積厚情報の不良率が、当該基準を満たさない積層体1A群の焼鈍後積厚情報の不良率に対して有意に低減されるように設定されている。焼鈍前基準は、予め設定された焼鈍前の加圧時基準及び焼鈍前の無負荷時基準を含んでもよい。
【0033】
積層条件調節部116は、焼鈍前の加圧時情報が焼鈍前の加圧時基準を満たさない場合、及び焼鈍前の無負荷時情報が焼鈍前の無負荷時基準を満たさない場合の少なくとも一方に該当する場合に、焼鈍前の加圧時情報及び焼鈍前の無負荷時情報が焼鈍前の加圧時基準及び焼鈍前の無負荷時基準をそれぞれ満たすように積層条件を調節してもよい。焼鈍前の加圧時基準は、予め設定された焼鈍前の加圧時下限値を含み、焼鈍前の無負荷時基準は、予め設定された焼鈍前の無負荷時上限値を含んでもよい。積層条件調節部116は、焼鈍前の加圧時情報が焼鈍前の加圧時下限値を下回る場合に積層体1Aの厚さを大きくするように積層条件を調節し、焼鈍前の無負荷時情報が焼鈍前の無負荷時上限値を上回る場合に積層体1Aの厚さを小さくするように積層条件を調節してもよい。
【0034】
焼鈍前の加圧時基準は、予め設定された焼鈍前の加圧時上限値を更に含んでもよい。積層条件調節部116は、焼鈍前の加圧時情報が焼鈍前の加圧時上限値を上回る場合にも積層体1Aの厚さを小さくするように積層条件を調節してもよい。なお、積層条件調節部116は、焼鈍前の加圧時情報が焼鈍前の加圧時上限値を上回るか否かに応じた積層条件の調節を必ずしも行わなくてよい。また、積層条件調節部116は、焼鈍前の無負荷時情報が所定の下限値を下回るか否かに応じた積層条件の調節を行わなくてもよい。
【0035】
積層条件を調節した後、積層条件調節部116は、当該調節後の積層体1Aが積厚測定装置60Aに搬入されるまで、更なる積層条件の調節を行わずにコンベヤ70Bの搬送モードを除外モードに維持する。積層条件の調節後の積層体1Aが積厚測定装置60Aに搬入され、当該積層体1Aの焼鈍前積厚情報が焼鈍前基準を満たしている場合、積層条件調節部116は、コンベヤ70Bの搬送モードを除外モードから通常モードに戻す。当該積層体1Aの焼鈍前積厚情報が焼鈍前基準を満たしていない場合、積層条件調節部116は、コンベヤ70Bの搬送モードを除外モードに維持しつつ、再度積層条件を調節する。このため、焼鈍前積厚情報が焼鈍前基準を満たさないと判定された後のコンベヤ70Bの搬送モードは、焼鈍前積厚情報が焼鈍前基準を満たすまで除外モードに保たれる。
【0036】
搬送制御部117は、積厚測定装置60Aから焼鈍装置50に積層体1Aを搬送するようにコンベヤ70Bを制御する(以下、これを「通常搬送制御」という。)。また、搬送制御部117は、積層体1Aの焼鈍前積厚情報が焼鈍前基準を満たさない場合に、当該積層体1A以降に形成される積層体1Aを、焼鈍前積厚情報が焼鈍前基準を満たすまで除外装置710により除外するようにコンベヤ70Bを制御する(以下、これを「除外制御」という。)。例えば搬送制御部117は、コンベヤ70Bの搬送モードが通常モードである場合に通常制御を実行し、コンベヤ70Bの搬送モードが除外モードである場合に除外制御を実行する。上述のとおり、焼鈍前積厚情報が焼鈍前基準を満たさないと判定された後のコンベヤ70Bの搬送モードは、焼鈍前積厚情報が焼鈍前基準を満たすまで除外モードに保たれる。このため、コンベヤ70Bの搬送モードが除外モードである場合に除外制御を実行すれば、焼鈍前積厚情報が焼鈍前基準を満たすまで除外制御が継続される。
【0037】
焼鈍制御部118は、積層体1Aに焼鈍処理を行うように焼鈍装置50を制御する。例えば焼鈍制御部118は、所定数の積層体1Aが積厚測定装置60Aから焼鈍装置50に搬送されたタイミングで、これらをまとめて焼鈍炉に搬入し、所定時間の経過後にこれらを焼鈍炉から搬出するように焼鈍装置50を制御する。搬送制御部119は、焼鈍装置50から積厚測定装置60Bに積層体1Aを搬送するようにコンベヤ70Cを制御する。
【0038】
積厚情報取得部121は、積層体1Aの上記焼鈍後積厚情報を積厚測定装置60Bから取得する。焼鈍後積厚情報は、電磁鋼板4の積層方向に積層体1Aを加圧した状態における当該積層体1Aの厚さを示す焼鈍後の加圧時情報と、積層体1Aを加圧しない状態における当該積層体1Aの厚さを示す焼鈍後の無負荷時情報とを含んでもよい。すなわち積厚情報取得部121は、上記加圧時厚さに関する情報と、上記無負荷時厚さに関する情報とを積厚測定装置60Bから取得してもよい。
【0039】
積層条件調節部122は、積層体1Aの焼鈍前積厚情報が焼鈍前基準を満たしており、当該積層体1Aの焼鈍後積厚情報が焼鈍後基準を満たしていない場合に、焼鈍後積厚情報が焼鈍後基準を満たすように積層条件を調節する。上述のように、積層体1Aの焼鈍前積厚情報が焼鈍前基準を満たしていない場合、コンベヤ70Bの搬送モードは除外モードに保たれ、当該積層体1Aは除外装置710により除外される。このため、当該積層体1Aについては、積厚情報取得部121及び積層条件調節部122による処理が実行されない。換言すると、積層体1Aの焼鈍後積厚情報の取得と、これに応じた電磁鋼板4の積層枚数の調節は、焼鈍前積厚情報が焼鈍前基準を満たしている場合に実行される。
【0040】
積層条件調節部122は、焼鈍後の加圧時情報が所定の基準を満たすか否かに応じた積層条件の調節を行わずに、焼鈍後の無負荷時情報が所定の基準を満たすか否かに応じた積層条件の調節を行ってもよい。積層条件調節部122は、積層体1Aの焼鈍後の無負荷時情報が所定の下限値を下回っているか否かに応じた積層条件の調節を行わずに、積層体1Aの焼鈍後の無負荷時情報が所定の上限値を上回っているか否かに応じた積層条件の調節を行ってもよい。例えば、焼鈍後基準は、予め設定された焼鈍後の無負荷時上限値を含む。積層条件調節部122は、積層体1Aの焼鈍前の無負荷時情報が焼鈍前の無負荷時上限値以下であり、当該積層体1Aの焼鈍後の無負荷時情報が焼鈍後の無負荷時上限値を上回っている場合に、積層体1Aの厚さを小さくするように積層条件を調節する。焼鈍後の無負荷時上限値は、焼鈍前の無負荷時上限値に比較して小さい値に設定されていてもよい。
【0041】
積層条件調節部122は、焼鈍装置50においてまとめて焼鈍処理された複数の積層体1Aにおける焼鈍後積厚情報の不良率が所定の閾値を超えている場合に積層条件を調節してもよい。ここでの不良率は、焼鈍後積厚情報が焼鈍後基準を満たしていない積層体1Aの数が、焼鈍装置50においてまとめて焼鈍処理された積層体1Aの全数に占める割合である。
【0042】
焼鈍前基準調節部123は、焼鈍後積厚情報が焼鈍後基準を満たさない場合に、焼鈍後積厚情報が焼鈍後基準を満たすように焼鈍前基準を調節する。焼鈍前基準調節部123は、焼鈍後の無負荷時情報が焼鈍後の無負荷時上限値を上回る場合に、焼鈍前の無負荷時上限値を小さくしてもよい。
【0043】
搬送制御部124は、積層体1Aの焼鈍後積厚情報が焼鈍後基準を満たす場合には、当該積層体1Aを積厚測定装置60Bから後段の装置に搬送するようにコンベヤ70Dを制御する。一方、搬送制御部124は、積層体1Aの焼鈍後積厚情報が焼鈍後基準を満たさない場合に、当該積層体1Aを除外装置710により除外するようにコンベヤ70Dを制御する。
【0044】
コントローラ100は、一つ又は複数の制御用コンピュータにより構成される。例えばコントローラ100は、図7に示す回路190を有する。回路190は、一つ又は複数のプロセッサ191と、メモリ192と、ストレージ193と、入出力ポート194とを有する。ストレージ193は、例えばハードディスク等、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を有する。記憶媒体は、後述の積層体1Aの製造手順を製造装置10に実行させるためのプログラムを記憶している。記憶媒体は、不揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク及び光ディスク等の取り出し可能な媒体であってもよい。メモリ192は、ストレージ193の記憶媒体からロードしたプログラム及びプロセッサ191による演算結果を一時的に記憶する。プロセッサ191は、メモリ192と協働して上記プログラムを実行することで、上述した各機能モジュールを構成する。入出力ポート194は、プロセッサ191からの指令に従って、打抜装置40、焼鈍装置50、積厚測定装置60A,60B及びコンベヤ70A,70B,70C,70Dとの間で電気信号の入出力を行う。なお、コントローラ100のハードウェア構成は、必ずしもプログラムにより各機能モジュールを構成するものに限られない。例えばコントローラ100の各機能モジュールは、専用の論理回路又はこれを集積したASIC(Application Specific Integrated Circuit)により構成されていてもよい。
【0045】
〔積層体製造手順〕
続いて、積層体の製造方法の一例として、製造装置10が実行する積層体1Aの製造手順を説明する。この製造手順は、電磁鋼板4を積層して積層体1Aを形成することと、積層体1Aに焼鈍処理を行うことと、積層体1Aに焼鈍処理を行う前に、当該積層体1Aの厚さに関する焼鈍前積厚情報を取得することと、焼鈍前積厚情報が予め設定された焼鈍前基準を満たさない場合に、焼鈍前積厚情報が焼鈍前基準を満たすように電磁鋼板4の積層条件を調節することと、を含む。
【0046】
この製造手順は、積層体1Aに焼鈍処理を行った後に、当該積層体1Aの厚さに関する焼鈍後積厚情報を取得することと、焼鈍後積厚情報が予め設定された焼鈍後基準を満たさない場合に、焼鈍後積厚情報が焼鈍後基準を満たすように焼鈍前基準を調節することと、を更に含んでもよい。この製造手順は、積層体1Aの焼鈍前積厚情報が焼鈍前基準を満たしており、当該積層体1Aの焼鈍後積厚情報が焼鈍後基準を満たしていない場合に、焼鈍後積厚情報が焼鈍後基準を満たすように積層条件を調節することを更に含んでもよい。以下、積層体1Aの製造手順を、積層手順と、焼鈍前の積厚確認手順と、焼鈍及び焼鈍後の積厚確認手順とに分け、各手順を詳細に例示する。
【0047】
(積層手順)
積層手順は、複数の電磁鋼板4を積層して積層ブロック5を形成し、電磁鋼板4の積層方向に沿って複数の積層ブロック5を重ねて一つの積層体1Aを形成する手順である。
【0048】
例えば図8に示すように、コントローラ100は、ステップS01を実行する。ステップS01では、打抜装置40が帯状鋼板W1から打ち抜く電磁鋼板4(以下、「打ち抜き対象の電磁鋼板4」という。)が、積層ブロック5の最下層であるか否かを積層制御部113が確認する。
【0049】
ステップS01において、打ち抜き対象の電磁鋼板4が積層ブロック5の最下層であると判定した場合、コントローラ100はステップS02を実行する。ステップS02では、積層制御部113が、帯状鋼板W1から第二電磁鋼板7を打ち抜くように打抜装置40を制御する。
【0050】
ステップS01において、打ち抜き対象の電磁鋼板4が積層ブロック5の最下層でないと判定した場合、コントローラ100はステップS03を実行する。ステップS03では、積層制御部113が、帯状鋼板W1から第一電磁鋼板6を打ち抜いて、先に打ち抜いた電磁鋼板4に当該第一電磁鋼板6を積層するように打抜装置40を制御する。
【0051】
ステップS02又はステップS03を実行した後、コントローラ100はステップS04を実行する。ステップS04では、積層制御部113が、積層条件保持部111に記憶された積層条件に含まれる積層枚数(以下、「設定枚数」という。)の電磁鋼板4の積層が完了したか否かを確認する。ステップS04において、設定枚数の電磁鋼板4の積層が完了していないと判定した場合、コントローラ100は、処理をステップS01に戻す。以後、コントローラ100は、設定枚数の電磁鋼板4の積層が完了するまで、ステップS01〜S04の手順を繰り返す。
【0052】
ステップS04において設定枚数の電磁鋼板4の積層が完了したと判定した場合、コントローラ100はステップS05を実行する。ステップS05では、積層制御部113が、全ての積層ブロック5の積層が完了したか否かを確認する。ステップS05において、全ての積層ブロック5の積層が完了していないと判定した場合、コントローラ100は処理をステップS01に戻す。以後、コントローラ100は、全ての積層ブロック5の積層が完了するまで、ステップS01〜S05の手順を繰り返す。
【0053】
ステップS05において全ての積層ブロック5の積層が完了したと判定した場合、コントローラ100はステップS06,S07を実行する。ステップS06では、積層制御部113が、積層ブロック5の積層により形成された積層体1Aをコンベヤ70Aに送出するように打抜装置40を制御する。ステップS07では、搬送制御部114が、打抜装置40から積厚測定装置60Aに積層体1Aを搬送するようにコンベヤ70Aを制御する。以上で積層手順が完了する。コントローラ100は、以上の処理を繰り返し実行する。
【0054】
(焼鈍前の積厚確認手順)
焼鈍前の積厚確認手順は、積層体1Aに焼鈍処理を行う前に、当該積層体1Aの厚さに関する焼鈍前積厚情報を取得し、焼鈍前積厚情報が焼鈍前基準を満たすか否かを確認し、焼鈍前積厚情報が焼鈍前基準を満たす場合に当該積層体1Aを焼鈍装置50へ搬送する手順である。この手順は、焼鈍前積厚情報が焼鈍前基準を満たさない場合に、焼鈍前積厚情報が焼鈍前基準を満たすように電磁鋼板4の積層条件を調節することを含む。
【0055】
例えば図9に示すように、コントローラ100は、ステップS11,S12を実行する。ステップS11では、積厚情報取得部115が、積層体1Aの上記焼鈍前積厚情報を積厚測定装置60Aから取得する。焼鈍前積厚情報は、上記焼鈍前の加圧時情報と、上記焼鈍前の無負荷時情報とを含んでもよい。ステップS12では、モード保持部112が記憶する搬送モードが通常モードであるか否かを搬送制御部117が、判定する。
【0056】
ステップS12において搬送モードが通常モードであると判定した場合、コントローラ100は、ステップS13を実行する。ステップS13では、積層条件調節部116が、上記焼鈍前積厚情報が上記焼鈍前基準を満たすか否かを確認する。例えば積層条件調節部116は、上記焼鈍前の加圧時情報が上記焼鈍前の加圧時基準を満たすか否か、及び上記焼鈍前の無負荷時情報が上記焼鈍前の無負荷時基準を満たすか否かを確認する。より具体的に、積層条件調節部116は、焼鈍前の加圧時情報が焼鈍前の加圧時下限値を下回るか否か、及び焼鈍前の無負荷時情報が焼鈍前の無負荷時上限値を上回るか否かを確認する。積層条件調節部116は、上記焼鈍前の加圧時情報が上記焼鈍前の加圧時上限値を上回るか否かを更に確認してもよい。
【0057】
ステップS13において焼鈍前積厚情報が焼鈍前基準を満たさないと判定した場合、コントローラ100はステップS14,S15を実行する。ステップS14では、積層条件調節部116が、モード保持部112が記憶する搬送モードを、通常モードから除外モードに変更する。ステップS15では、積層条件調節部116が、焼鈍前積厚情報が焼鈍前基準を満たすように電磁鋼板4の積層条件を調節する。例えば積層条件調節部116は、焼鈍前の加圧時情報及び焼鈍前の無負荷時情報が焼鈍前の加圧時基準及び焼鈍前の無負荷時基準をそれぞれ満たすように積層条件を調節する。より具体的に、積層条件調節部116は、焼鈍前の加圧時情報が焼鈍前の加圧時下限値を下回る場合に積層体1Aの厚さを大きくするように積層条件を調節し、焼鈍前の無負荷時情報が焼鈍前の無負荷時上限値を上回る場合に積層体1Aの厚さを小さくするように積層条件を調節する。積層条件調節部116は、焼鈍前の加圧時情報が焼鈍前の加圧時上限値を上回る場合にも積層体1Aの厚さを小さくするように積層条件を調節してもよい。
【0058】
ステップS12において搬送モードが通常モードでないと判定した場合、コントローラ100は、ステップS16を実行する。ステップS16では、焼鈍前積厚情報の測定対象の積層体1Aが積層条件の調節後の積層体1Aであるか否かを積層条件調節部116が判定する。
【0059】
ステップS16において焼鈍前積厚情報の測定対象の積層体1Aが積層条件の調節後の積層体1Aであると判定した場合、コントローラ100はステップS17を実行する。ステップS17では、ステップS11で積厚情報取得部115が取得した焼鈍前積厚情報が焼鈍後基準を満たしているか否かを積層条件調節部116が判定する。
【0060】
ステップS17において焼鈍前積厚情報が焼鈍後基準を満たしていると判定した場合、コントローラ100はステップS18を実行する。ステップS18では、積層条件調節部116が、モード保持部112が記憶する搬送モードを、除外モードから通常モードに変更する。
【0061】
ステップS17において焼鈍前積厚情報が焼鈍後基準を満たしていないと判定した場合、コントローラ100は処理をステップS15に移行させる。この場合、積層条件調節部116は、モード保持部112が記憶する搬送モードを除外モードに維持しながら、ステップS15の積層条件の調節を再び実行する。
【0062】
ステップS15又はステップS18を実行した後、コントローラ100はステップS19を実行する。ステップS13において焼鈍前積厚情報が焼鈍前基準を満たすと判定した場合、コントローラ100はステップS14,S15を省略してステップS19を実行する。ステップS16において焼鈍前積厚情報の測定対象の積層体1Aが積層条件の調節後の積層体1Aであると判定した場合、コントローラ100はステップS17,S18を省略してステップS19を実行する。ステップS19では、モード保持部112が記憶する搬送モードが通常モードであるか否かを搬送制御部117が判定する。
【0063】
ステップS19において搬送モードが通常モードであると判定した場合、コントローラ100はステップS21を実行する。ステップS21では、搬送制御部117が、積厚測定装置60Aから焼鈍装置50に積層体1Aを搬送するようにコンベヤ70Bを制御する。
【0064】
ステップS19において搬送モードが通常モードでないと判定した場合、コントローラ100はステップS22を実行する。ステップS22では、搬送制御部117が、積層体1Aを除外装置710により除外するようにコンベヤ70Bを制御する。以上で焼鈍前の積厚確認手順が終了する。コントローラ100は、以上の処理を繰り返し実行する。
【0065】
(焼鈍及び焼鈍後の積厚確認手順)
焼鈍及び焼鈍後の積厚確認手順は、積層体1Aに焼鈍処理を行い、焼鈍処理後の当該積層体1Aの厚さに関する焼鈍後積厚情報を取得し、焼鈍後積厚情報が焼鈍後基準を満たすか否かを確認する手順である。この手順は、焼鈍後積厚情報が焼鈍後基準を満たさない場合に、焼鈍後積厚情報が焼鈍後基準を満たすように焼鈍前基準を調節することを含んでいてもよい。
【0066】
例えば図10に示すように、コントローラ100はステップS31,S32を実行する。ステップS31では、焼鈍制御部118が、所定数の積層体1Aが積厚測定装置60Aから焼鈍装置50に搬送されるのを待機する。ステップS32では、焼鈍制御部118が、所定数の積層体1Aをまとめて焼鈍炉に搬入し、所定時間の経過後にこれらを焼鈍炉から搬出するように焼鈍装置50を制御する。
【0067】
次に、コントローラ100はステップS33,S34,S35を実行する。ステップS33では、搬送制御部119が、焼鈍装置50から積厚測定装置60Bに積層体1Aを搬送するようにコンベヤ70Cを制御する。ステップS34では、積厚情報取得部121が、積層体1Aの上記焼鈍後積厚情報を積厚測定装置60Bから取得する。焼鈍後積厚情報は、上記焼鈍後の加圧時情報と、上記焼鈍後の無負荷時情報とを含んでもよい。ステップS35では、焼鈍前基準調節部123が、焼鈍後積厚情報が焼鈍後基準を満たすか否かを確認する。例えば焼鈍前基準調節部123は、焼鈍後の無負荷時情報が焼鈍後の無負荷時上限値を上回るか否かを確認する。
【0068】
ステップS35において焼鈍後積厚情報が焼鈍後基準を満たすと判定した場合、コントローラ100はステップS36を実行する。ステップS36では、搬送制御部124が、当該積層体1Aを積厚測定装置60Bから後段の装置に搬送するようにコンベヤ70Dを制御する。
【0069】
ステップS35において焼鈍後積厚情報が焼鈍後基準を満たさないと判定した場合、コントローラ100はステップS37を実行する。ステップS37では、搬送制御部124が、当該積層体1Aを除外装置710により除外するようにコンベヤ70Dを制御する。
【0070】
ステップS36又はステップS37を実行した後、コントローラ100はステップS38を実行する。ステップS38では、焼鈍前基準調節部123が、焼鈍装置50においてまとめて焼鈍処理された積層体1Aの全数について、焼鈍後積厚情報の取得が完了したか否かを確認する。ステップS38において積層体1Aの全数について焼鈍後積厚情報の取得が完了していないと判定した場合、コントローラ100は処理をステップS33に戻す。以後、焼鈍装置50においてまとめて焼鈍処理された積層体1Aの全数について焼鈍後積厚情報の取得が完了するまでは、コントローラ100はステップS33〜S38の処理を繰り返す。
【0071】
ステップS38において積層体1Aの全数について焼鈍後積厚情報の取得が完了したと判定した場合、コントローラ100はステップS39を実行する。ステップS39では、焼鈍前基準調節部123が、上記不良率が許容値以下であるか否かを確認する。
【0072】
ステップS39において不良率が許容値を超えていると判定した場合、コントローラ100はステップS41,S42を実行する。ステップS41では、焼鈍前基準調節部123が、焼鈍後積厚情報が焼鈍後基準を満たすように焼鈍前基準を調節する。例えば焼鈍前基準調節部123は、焼鈍後の無負荷時情報が焼鈍後の無負荷時上限値を上回る場合に、焼鈍前の無負荷時上限値を小さくする。焼鈍前基準調節部123は、不良率を許容値以下にするように焼鈍前基準を調節してもよい。ステップS42では、積層条件調節部122が、焼鈍後積厚情報が焼鈍後基準を満たすように積層条件を調節する。例えば積層条件調節部122は、焼鈍後の無負荷時情報が焼鈍後の無負荷時上限値を上回る場合に、積層体1Aの厚さを小さくするように積層条件を調節する。ステップS39において不良率が許容値以下であると判定した場合、コントローラ100は、ステップS41,S42を省略する。以上で焼鈍及び焼鈍後の積厚確認手順が終了する。コントローラ100は、以上の処理を繰り返し実行する。
【0073】
〔本実施形態の効果〕
以上に説明したように、積層体1Aの製造方法は、電磁鋼板4を積層して積層体1Aを形成することと、積層体1Aに焼鈍処理を行うことと、積層体1Aに焼鈍処理を行う前に、当該積層体1Aの厚さに関する焼鈍前積厚情報を取得することと、焼鈍前積厚情報が予め設定された焼鈍前基準を満たさない場合に、焼鈍前積厚情報が焼鈍前基準を満たすように電磁鋼板4の積層条件を調節することと、を含む。
【0074】
積層体1Aの焼鈍前における厚さと、焼鈍後の厚さとの間には、ある程度の相関がある。このため、焼鈍前における厚さを調節することにより、焼鈍後における厚さの不良率を低減することが可能である。したがって、焼鈍前積厚情報が焼鈍前基準を満たすように電磁鋼板4の積層条件を調節することを含む製造方法は、電磁鋼板4の積層体1Aの焼鈍後における厚さの不良率低減に有効である。
【0075】
積層体1Aの焼鈍後における厚さの不良が発生し、当該積層体1Aを除外する場合、当該積層体1Aの材料が無駄になるばかりでなく、当該積層体1Aを焼鈍するのに要した熱エネルギーも無駄になる。焼鈍処理が、複数の積層体1Aを一まとめにしたバッチ処理にて行われる場合、上述した無駄はより大きくなる。これに対し、積層体1Aの焼鈍後における厚さの不良率を低減することによって、積層体1Aの製造効率を向上させることができる。
【0076】
焼鈍前積厚情報は、電磁鋼板4の積層方向に積層体1Aを加圧した状態における当該積層体1Aの厚さを示す焼鈍前の加圧時情報と、積層体1Aを加圧しない状態における当該積層体1Aの厚さを示す焼鈍前の無負荷時情報とを含み、焼鈍前基準は、予め設定された焼鈍前の加圧時基準及び焼鈍前の無負荷時基準を含み、焼鈍前の加圧時情報が焼鈍前の加圧時基準を満たさない場合、及び焼鈍前の無負荷時情報が焼鈍前の無負荷時基準を満たさない場合の少なくとも一方に該当する場合に、焼鈍前の加圧時情報及び焼鈍前の無負荷時情報が焼鈍前の加圧時基準及び焼鈍前の無負荷時基準をそれぞれ満たすように積層条件を調節してもよい。
【0077】
電磁鋼板4の積層体1Aにおいては、積層体1Aの加圧時の厚さと、積層体1Aの無負荷時の厚さとの両方を所望の状態にすることが求められる場合がある。例えば、電動機用の電磁コアとしての性能を安定化させるために、積層体1Aの加圧時の厚さを所望の範囲内とすることが求められ、電動機への組み込み易さを向上させるために積層体1Aの無負荷時の厚さを所望の範囲内とすることが求められる場合がある。これに対し、焼鈍前の加圧時情報及び焼鈍前の無負荷時情報が焼鈍前の加圧時基準及び焼鈍前の無負荷時基準をそれぞれ満たすように積層条件を調節することにより、焼鈍後の積層体1Aの加圧時の厚さと、焼鈍後の積層体1Aの無負荷時の厚さとの両方の不良率を低減することができる。
【0078】
焼鈍前の加圧時基準は、予め設定された焼鈍前の加圧時下限値を含み、焼鈍前の無負荷時基準は、予め設定された焼鈍前の無負荷時上限値を含み、焼鈍前の加圧時情報が焼鈍前の加圧時下限値を下回る場合に積層体1Aの厚さを大きくするように積層条件を調節し、焼鈍前の無負荷時情報が焼鈍前の無負荷時上限値を上回る場合に積層体1Aの厚さを小さくするように積層条件を調節してもよい。この場合、焼鈍後における積層体1Aの加圧時の厚さが過小となることが抑制される。これにより、電動機用の電磁コアとしての性能を向上させることができる。また、焼鈍後における積層体1Aの無負荷時の厚さが過大となることが抑制される。これにより、電動機への組み込み易さを向上させることができる。
【0079】
焼鈍前の加圧時基準は、予め設定された焼鈍前の加圧時上限値を更に含み、焼鈍前の加圧時情報が焼鈍前の加圧時上限値を上回る場合にも積層体1Aの厚さを小さくするように積層条件を調節してもよい。この場合、電動機用の電磁コアとしての性能をより安定化させることができる。
【0080】
積層体1Aの製造方法は、積層体1Aに焼鈍処理を行った後に、当該積層体1Aの厚さに関する焼鈍後積厚情報を取得することと、焼鈍後積厚情報が予め設定された焼鈍後基準を満たさない場合に、焼鈍後積厚情報が焼鈍後基準を満たすように焼鈍前基準を調節することと、を更に含み、焼鈍後積厚情報は、積層体1Aを加圧しない状態における当該積層体1Aの厚さを示す焼鈍後の無負荷時情報を含み、焼鈍後基準は、予め設定された焼鈍後の無負荷時上限値を含み、焼鈍後の無負荷時情報が焼鈍後の無負荷時上限値を上回る場合に、焼鈍前の無負荷時上限値を小さくしてもよい。この場合、焼鈍後の無負荷時情報の実績に従って焼鈍前の無負荷時上限値を調整することにより、積層体1Aの焼鈍後における厚さの不良率を更に低減することができる。
【0081】
積層体1Aの製造方法は、積層体1Aの焼鈍前の無負荷時情報が焼鈍前の無負荷時上限値以下であり、当該積層体1Aの焼鈍後の無負荷時情報が焼鈍後の無負荷時上限値を上回っている場合に、積層体1Aの厚さを小さくするように積層条件を調節することを更に含んでいてもよい。この場合、焼鈍後の無負荷時情報を焼鈍前の無負荷時情報に優先して積層条件に反映させることにより、積層体1Aの焼鈍後における厚さの不良率を更に低減することができる。
【0082】
積層体1Aの製造方法は、積層体1Aに焼鈍処理を行った後に、当該積層体1Aの厚さに関する焼鈍後積厚情報を取得することと、焼鈍後積厚情報が予め設定された焼鈍後基準を満たさない場合に、焼鈍後積厚情報が焼鈍後基準を満たすように焼鈍前基準を調節することと、を更に含んでいてもよい。この場合、焼鈍後の無負荷時情報の実績に従って焼鈍前基準を調整することにより、積層体1Aの焼鈍後における厚さの不良率を更に低減することができる。
【0083】
積層体1Aの製造方法は、積層体1Aの焼鈍前積厚情報が焼鈍前基準を満たしており、当該積層体1Aの焼鈍後積厚情報が焼鈍後基準を満たしていない場合に、焼鈍後積厚情報が焼鈍後基準を満たすように積層条件を調節することを更に含んでいてもよい。この場合、焼鈍後の無負荷時情報を焼鈍前の無負荷時情報に優先して積層条件に反映させることにより、積層体1Aの焼鈍後における厚さの不良率を更に低減することができる。
【0084】
以上、実施形態について説明したが、本発明は必ずしも上述した形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【符号の説明】
【0085】
1A…積層体、4…電磁鋼板。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2019年4月15日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
〔積層体製造装置〕
続いて、積層体1Aの製造装置10について説明する。図3に示すように、製造装置10は、帯状の電磁鋼板である帯状鋼板W1から積層体1Aを製造するための装置である。製造装置10は、アンコイラー20と、送出装置30と、打抜装置40と、焼鈍装置50と、積厚測定装置60A,60Bと、コンベ70A,70B,70C,70Dと、コントローラ100とを備える。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
図3に戻り、コンベ70Aは、積層体1Aを打抜装置40から積厚測定装置60Aに搬送する。コンベ70Bは、積層体1Aを積厚測定装置60Aから焼鈍装置50に搬送する。コンベ70Cは、積層体1Aを焼鈍装置50から積厚測定装置60Bに搬送する。コンベ70Dは、積層体1Aを積厚測定装置60Bから更に後段の装置に搬送する。コンベ70A,70B,70C,70Dの具体例としては、ベルトコンベ等が挙げられる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
コンベ70Bは、「通常モード」及び「除外モード」の二種類の搬送モードでの搬送を実行するように構成されていてもよい。通常モードの場合、コンベ70Bは、積層体1Aを積厚測定装置60Aから焼鈍装置50に搬送する。除外モードの場合、コンベ70Bは、積層体1Aを焼鈍装置50への搬送対象から除外する。コンベ70Dも同様に、「通常モード」及び「除外モード」の二種類の搬送モードでの搬送を実行するように構成されていてもよい。通常モードの場合、コンベ70Dは、積層体1Aを積厚測定装置60Bから後段の装置に搬送する。除外モードの場合、コンベ70Dは、積層体1Aを後段の装置への搬送対象から除外する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
例えば図5に示すように、コンベ70B,70Dは、除外装置710を有する。除外装置710は、除外対象とされた積層体1Aをコンベ70B,70Dから除外する。例えば除外装置710は、電動式のリニアアクチュエータ又はエアシリンダ等を動力源として、積層体1Aをコンベ70B,70Dの周囲の回収部713に押し出す。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
積層条件保持部111は、積層ブロック5を形成するための第一電磁鋼板6及び第二電磁鋼板7の積層条件を記憶する。この積層条件は、電磁鋼板4の積層枚数(第一電磁鋼板6の積層枚数)、電磁鋼板4の積層時の加圧力、及びカシメ部6aの形成条件等、積層体1Aの積厚に影響を及ぼす情報を含む。モード保持部112は、コンベ70Bによる上記搬送モードを記憶する。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
積層制御部113は、複数の電磁鋼板4を積層して積層ブロック5を形成し、電磁鋼板4の積層方向に沿って複数の積層ブロック5を重ねて一つの積層体1Aを形成するように打抜装置40を制御する。積層ブロック5の形成に際し、積層制御部113は、積層条件保持部111の積層条件に従った積層条件にて電磁鋼板4を積層する。より具体的に、積層制御部113は、一枚の第二電磁鋼板7に対し、積層条件保持部111の積層条件に従った積層条件にて第一電磁鋼板6を積層して積層ブロック5を形成する。搬送制御部114は、打抜装置40から積厚測定装置60Aに積層体1Aを搬送するようにコンベ70Aを制御する。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0035】
積層条件を調節した後、積層条件調節部116は、当該調節後の積層体1Aが積厚測定装置60Aに搬入されるまで、更なる積層条件の調節を行わずにコンベ70Bの搬送モードを除外モードに維持する。積層条件の調節後の積層体1Aが積厚測定装置60Aに搬入され、当該積層体1Aの焼鈍前積厚情報が焼鈍前基準を満たしている場合、積層条件調節部116は、コンベ70Bの搬送モードを除外モードから通常モードに戻す。当該積層体1Aの焼鈍前積厚情報が焼鈍前基準を満たしていない場合、積層条件調節部116は、コンベ70Bの搬送モードを除外モードに維持しつつ、再度積層条件を調節する。このため、焼鈍前積厚情報が焼鈍前基準を満たさないと判定された後のコンベ70Bの搬送モードは、焼鈍前積厚情報が焼鈍前基準を満たすまで除外モードに保たれる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0036】
搬送制御部117は、積厚測定装置60Aから焼鈍装置50に積層体1Aを搬送するようにコンベ70Bを制御する(以下、これを「通常搬送制御」という。)。また、搬送制御部117は、積層体1Aの焼鈍前積厚情報が焼鈍前基準を満たさない場合に、当該積層体1A以降に形成される積層体1Aを、焼鈍前積厚情報が焼鈍前基準を満たすまで除外装置710により除外するようにコンベ70Bを制御する(以下、これを「除外制御」という。)。例えば搬送制御部117は、コンベ70Bの搬送モードが通常モードである場合に通常制御を実行し、コンベ70Bの搬送モードが除外モードである場合に除外制御を実行する。上述のとおり、焼鈍前積厚情報が焼鈍前基準を満たさないと判定された後のコンベ70Bの搬送モードは、焼鈍前積厚情報が焼鈍前基準を満たすまで除外モードに保たれる。このため、コンベ70Bの搬送モードが除外モードである場合に除外制御を実行すれば、焼鈍前積厚情報が焼鈍前基準を満たすまで除外制御が継続される。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0037】
焼鈍制御部118は、積層体1Aに焼鈍処理を行うように焼鈍装置50を制御する。例えば焼鈍制御部118は、所定数の積層体1Aが積厚測定装置60Aから焼鈍装置50に搬送されたタイミングで、これらをまとめて焼鈍炉に搬入し、所定時間の経過後にこれらを焼鈍炉から搬出するように焼鈍装置50を制御する。搬送制御部119は、焼鈍装置50から積厚測定装置60Bに積層体1Aを搬送するようにコンベ70Cを制御する。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0039】
積層条件調節部122は、積層体1Aの焼鈍前積厚情報が焼鈍前基準を満たしており、当該積層体1Aの焼鈍後積厚情報が焼鈍後基準を満たしていない場合に、焼鈍後積厚情報が焼鈍後基準を満たすように積層条件を調節する。上述のように、積層体1Aの焼鈍前積厚情報が焼鈍前基準を満たしていない場合、コンベ70Bの搬送モードは除外モードに保たれ、当該積層体1Aは除外装置710により除外される。このため、当該積層体1Aについては、積厚情報取得部121及び積層条件調節部122による処理が実行されない。換言すると、積層体1Aの焼鈍後積厚情報の取得と、これに応じた電磁鋼板4の積層枚数の調節は、焼鈍前積厚情報が焼鈍前基準を満たしている場合に実行される。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0043】
搬送制御部124は、積層体1Aの焼鈍後積厚情報が焼鈍後基準を満たす場合には、当該積層体1Aを積厚測定装置60Bから後段の装置に搬送するようにコンベ70Dを制御する。一方、搬送制御部124は、積層体1Aの焼鈍後積厚情報が焼鈍後基準を満たさない場合に、当該積層体1Aを除外装置710により除外するようにコンベ70Dを制御する。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0044】
コントローラ100は、一つ又は複数の制御用コンピュータにより構成される。例えばコントローラ100は、図7に示す回路190を有する。回路190は、一つ又は複数のプロセッサ191と、メモリ192と、ストレージ193と、入出力ポート194とを有する。ストレージ193は、例えばハードディスク等、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を有する。記憶媒体は、後述の積層体1Aの製造手順を製造装置10に実行させるためのプログラムを記憶している。記憶媒体は、不揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク及び光ディスク等の取り出し可能な媒体であってもよい。メモリ192は、ストレージ193の記憶媒体からロードしたプログラム及びプロセッサ191による演算結果を一時的に記憶する。プロセッサ191は、メモリ192と協働して上記プログラムを実行することで、上述した各機能モジュールを構成する。入出力ポート194は、プロセッサ191からの指令に従って、打抜装置40、焼鈍装置50、積厚測定装置60A,60B及びコンベ70A,70B,70C,70Dとの間で電気信号の入出力を行う。なお、コントローラ100のハードウェア構成は、必ずしもプログラムにより各機能モジュールを構成するものに限られない。例えばコントローラ100の各機能モジュールは、専用の論理回路又はこれを集積したASIC(Application Specific Integrated Circuit)により構成されていてもよい。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0053】
ステップS05において全ての積層ブロック5の積層が完了したと判定した場合、コントローラ100はステップS06,S07を実行する。ステップS06では、積層制御部113が、積層ブロック5の積層により形成された積層体1Aをコンベ70Aに送出するように打抜装置40を制御する。ステップS07では、搬送制御部114が、打抜装置40から積厚測定装置60Aに積層体1Aを搬送するようにコンベ70Aを制御する。以上で積層手順が完了する。コントローラ100は、以上の処理を繰り返し実行する。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0059
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0059】
ステップS16において焼鈍前積厚情報の測定対象の積層体1Aが積層条件の調節後の積層体1Aであると判定した場合、コントローラ100はステップS17を実行する。ステップS17では、ステップS11で積厚情報取得部115が取得した焼鈍前積厚情報が焼鈍基準を満たしているか否かを積層条件調節部116が判定する。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0060
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0060】
ステップS17において焼鈍前積厚情報が焼鈍基準を満たしていると判定した場合、コントローラ100はステップS18を実行する。ステップS18では、積層条件調節部116が、モード保持部112が記憶する搬送モードを、除外モードから通常モードに変更する。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0061
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0061】
ステップS17において焼鈍前積厚情報が焼鈍基準を満たしていないと判定した場合、コントローラ100は処理をステップS15に移行させる。この場合、積層条件調節部116は、モード保持部112が記憶する搬送モードを除外モードに維持しながら、ステップS15の積層条件の調節を再び実行する。
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0062
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0062】
ステップS15又はステップS18を実行した後、コントローラ100はステップS19を実行する。ステップS13において焼鈍前積厚情報が焼鈍前基準を満たすと判定した場合、コントローラ100はステップS14,S15を省略してステップS19を実行する。ステップS16において焼鈍前積厚情報の測定対象の積層体1Aが積層条件の調節後の積層体1Aではないと判定した場合、コントローラ100はステップS17,S18を省略してステップS19を実行する。ステップS19では、モード保持部112が記憶する搬送モードが通常モードであるか否かを搬送制御部117が判定する。
【手続補正18】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0063
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0063】
ステップS19において搬送モードが通常モードであると判定した場合、コントローラ100はステップS21を実行する。ステップS21では、搬送制御部117が、積厚測定装置60Aから焼鈍装置50に積層体1Aを搬送するようにコンベ70Bを制御する。
【手続補正19】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0064
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0064】
ステップS19において搬送モードが通常モードでないと判定した場合、コントローラ100はステップS22を実行する。ステップS22では、搬送制御部117が、積層体1Aを除外装置710により除外するようにコンベ70Bを制御する。以上で焼鈍前の積厚確認手順が終了する。コントローラ100は、以上の処理を繰り返し実行する。
【手続補正20】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0067
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0067】
次に、コントローラ100はステップS33,S34,S35を実行する。ステップS33では、搬送制御部119が、焼鈍装置50から積厚測定装置60Bに積層体1Aを搬送するようにコンベ70Cを制御する。ステップS34では、積厚情報取得部121が、積層体1Aの上記焼鈍後積厚情報を積厚測定装置60Bから取得する。焼鈍後積厚情報は、上記焼鈍後の加圧時情報と、上記焼鈍後の無負荷時情報とを含んでもよい。ステップS35では、焼鈍前基準調節部123が、焼鈍後積厚情報が焼鈍後基準を満たすか否かを確認する。例えば焼鈍前基準調節部123は、焼鈍後の無負荷時情報が焼鈍後の無負荷時上限値を上回るか否かを確認する。
【手続補正21】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0068
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0068】
ステップS35において焼鈍後積厚情報が焼鈍後基準を満たすと判定した場合、コントローラ100はステップS36を実行する。ステップS36では、搬送制御部124が、当該積層体1Aを積厚測定装置60Bから後段の装置に搬送するようにコンベ70Dを制御する。
【手続補正22】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0069
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0069】
ステップS35において焼鈍後積厚情報が焼鈍後基準を満たさないと判定した場合、コントローラ100はステップS37を実行する。ステップS37では、搬送制御部124が、当該積層体1Aを除外装置710により除外するようにコンベ70Dを制御する。