【解決手段】ロータ12が、シャフト121と、シャフト121から径方向外側に延出するようにティース122aが8個設けられたロータコア122と、3個のティース122aを内側に収めて電線123aが巻き回されて4個形成されたコイル123と、4個の整流子片124aがシャフト121の軸121a回りに配置された整流子124と、を備え、コイル123は、2つのティース122aの相互間に形成される電線スロット122bに1コイル分の電線123aが収まるように形成されるとともに、コイル123の両端が整流子124における何れか一対の整流子片124aに接続されていることを特徴とする。
前記第2ティースにおける前記本体部は、前記軸回りの厚みが前記第2幅に応じ、前記第1ティースにおける前記本体部の前記軸回りの厚みよりも厚く形成されていることを特徴とする請求項3に記載のロータ。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態について説明する。まず、第1実施形態について説明する。
【0013】
図1は、本発明の第1実施形態にかかるモータの外観斜視図であり、
図2は、
図1中のV11−V11線に沿ったモータの断面図である。
図2には、V11−V11線に沿った断面図の隣に、この断面図におけるV12−V12線に沿った断面図も示されている。
【0014】
本実施形態のモータ1は直流モータであり、ハウジング11、ロータ12、一対の永久磁石13、一対のブラシ14、一対のブラシアーム15、一対の電源端子16、及びエンドキャップ17、を備えている。
【0015】
ハウジング11が、金属で有底円筒形状に形成された部材である。ハウジング11における円形の底壁111の中央には、ロータ12のシャフト121が貫通する貫通孔111aと、このシャフト121に対する軸受111bと、が設けられている。
【0016】
ロータ12は、シャフト121を回転軸として、その軸121a回りに回転する、このモータ1における回転子であって、ロータコア122にコイル123が収められ、整流子124を介してコイル123に供給される直流電流に応じて回転するものである。このロータ12については、後で詳細に説明する。
【0017】
一対の永久磁石13は、このモータ1における固定子であって、シャフト121に沿って各々が延在する円弧板状の磁石である。これら一対の永久磁石13は、ロータ12におけるロータコア122を相互間に挟んでシャフト121の軸121a回りに対面配置されるように、ハウジングの周壁112の内面に貼付されている。また、一対の永久磁石13は、互いに異極性どうしが向かい合うように配置されており、一方の永久磁石13を発した磁束が、ロータコア122を通って他方の永久磁石13へと至るようになっている。このとき、その他方の永久磁石13へと至った磁束は、金属製のハウジング11の周壁112を磁路として通過し、上記の一方の永久磁石13へと帰還する。ロータ12は、このような磁束とロータ12のコイルを流れる電流によって回転する。
【0018】
一対のブラシ14は、カーボンで形成されたブラシであり、ロータ12における整流子124に各々が接するように配置されている。
【0019】
一対のブラシアーム15は、各々がブラシ14と電源端子16とを電気的に繋ぐ金属アームであり、一方の端部にブラシ14が固定され、他方の端部が電源端子16に固定されている。また、各ブラシアーム15は、弾性を持った板バネとなっており、端部のブラシ14を所定の押付け力で整流子124に押し付けている。ブラシ14の部分は銀や銅、それらを含む合金の薄膜をブラシアーム15に張り付けて用いる場合もある。
【0020】
一対の電源端子16は、端部をモータ1の外部に露出させた状態でエンドキャップ17に固定された金属端子である。外部に露出させた端部に、例えば直流電源からの電線等が接続されて直流電流が供給される。また、モータ1の内部側の端部が上記のようにブラシアーム15に固定されている。電源端子16の外部側の端部に供給された直流電流は、内部側の端部からブラシアーム15へ、ブラシアーム15からブラシ14へ、ブラシ14から整流子124へ、整流子124からコイル123へと供給される。
【0021】
エンドキャップ17は、ハウジング11の開口11aを塞ぐ円形の部材であり、その中央に、ロータ12のシャフト121が貫通する貫通孔171と、このシャフト121に対する軸受172と、が設けられている。シャフト121は、ハウジング11の底壁111側の軸受111bと、このエンドキャップ17側の軸受172と、で回転自在に軸支されている。
【0022】
次に、ロータ12について詳細に説明する。
【0023】
図3は、
図1及び
図2に示されているロータの外観図である。この
図3には、ロータ12の側面図及び、ロータ12を整流子124側から見た平面図が示されている。
【0024】
ロータ12は、シャフト121、ロータコア122、コイル123、及び整流子124を備える。
【0025】
シャフト121は、ロータ12の回転軸となる金属棒であり、上述したように一対の軸受111b,172によって回転自在に軸支される。
【0026】
ロータコア122は、シャフト121に中央を貫通された積層コアであり、シャフト121から径方向外側に延出するようにティース122aが偶数設けられている。詳細には、ティース122aは、8n個(nは自然数)設けられており、本実施形態では、n=1とした8個のティース122aが設けられている。
【0027】
コイル123は、2つのティース122aの相互間に形成される電線スロット122bに電線が収まるように巻き回されて偶数形成されている。具体的には4n個(本実施形態では、n=1とした4個)のコイル123が形成されている。このコイル123については、後で別図を用いて詳細に説明する。
【0028】
整流子124は、コイル123の数に応じた数、本実施形態では同数となる4個の整流子片124aがシャフト121の軸121a回りに、相互間に微小間隙を空けつつ円筒形をなすように配置されたものである。上記のコイル123は、後述するように整流子124に接続され、この整流子124を介して各コイル123に直流電流が流される。
【0029】
図4は、
図2及び
図3に示されているロータにおけるコイルの配置を示す模式図である。
【0030】
本実施形態のモータ1のロータ12では、ロータコア122が1番から8番までの8個のティース122aを有し、これらのティース122aに電線123aが巻き回されてA11,B11,C11,D11の4個のコイル123が形成されている。各コイル123は、2つ以上のティース122a、詳細には、3個のティース122aを内側に収めて電線123aが巻き回されて形成されている。コイル123は、これら3個のティース122aにおいて、軸121a回りの配列端に位置する一対のティース122aに架け渡されて巻き回されている。
【0031】
ここで、各ティース122aは、シャフト121から径方向外側に延出した本体部122a−1と、当該本体部122a−1の先端から軸121a回りに沿って両側に張り出した張出し部122a−2と、を有している。上記の一対のティース122aがなす角度θ11は、一方のティース122aにおける張出し部122a−2の端部と、他方のティース122aにおける張出し部122a−2の端部と、の相互間の角度である。
【0032】
更に言えば、本実施形態では、モータ1は、N極とS極とが向き合って配置された一対の永久磁石13が、軸121a回りに互いに同等な角度幅θ12を有するように設けられている。この角度幅θ12は、凡そ135°に設定されている。そして、各コイル123が、永久磁石13の角度幅θ12に応じた数(本実施形態では3個)のティース122aを内側に収めて電線123aが巻き回されたものとなっている。
【0033】
各コイル123は、このような3個のティース122aを内側に収めて電線123aが巻き回されて形成されている。また、上述したように、何れのコイル123も、2つのティース122aの相互間に形成される電線スロット122bに1コイル分の電線123aが収まるように形成されている。そして、このように形成されたコイル123の両端が、整流子124における何れか一対の整流子片124aに接続されている。
【0034】
図5は、
図4に示されているコイルの接続状態を示す模式図である。図中のS1、S2はそれぞれ巻き回し開始位置である。
【0035】
まず、電線123aは4番の整流子片124aに接続され、2番及び3番のティース122aの相互間の電線スロット122bを通って、7番及び8番のティース122aの相互間の電線スロット122bへと向かう。ここで、
図5では、図示が簡略化されているが、電線123aがこれら2つの電線スロット122bを繰り返し通過するように巻き回されてA11のコイル123が形成される。このA11のコイル123の巻終わりは、7番及び8番のティース122aの相互間の電線スロット122bとなる。A11のコイル123を巻き終わった電線123aは、1番の整流子片124aに接続される。
【0036】
以上の巻き回しにより、1番、2番、及び8番の3個のティース122aを内側に収めるA11のコイル123が形成される。A11のコイル123の両端は、4番及び1番の2つの整流子片124aそれぞれにおける接続点に接続される。
【0037】
1番の整流子片124aに接続された電線は、4番及び5番のティース122a、1番及び2番のティース122a、の各相互間の電線スロット122bを経由して巻き回される。この巻き回しにより、2番から4番のティース122aを内側に収めるC11のコイル123が形成される。C11のコイル123を巻き終わった電線123aは、2番の整流子片124aに接続される。C11のコイル123の両端は、1番及び2番の整流子片124aそれぞれにおける接続点に接続される。
【0038】
A11のコイル123と同時に対称位置にあるD11のコイル123が巻き回される。電線123aは2番の整流子片124aに接続され、6番及び7番のティース122a、3番及び4番のティース122a、の各相互間の電線スロット122bを経由して巻き回される。この巻き回しにより、4番から6番のティース122aを内側に収めるD11のコイル123が形成される。D11のコイル123を巻き終わった電線123aは、3番の整流子片124aに接続される。D11のコイル123の両端は、2番及び3番の整流子片124aそれぞれにおける接続点に接続される。
【0039】
3番の整流子片124aに接続された電線123aは、1番及び8番のティース122a、5番及び6番のティース122a、の各相互間の電線スロット122bを経由して巻き回される。この巻き回しにより、6番から8番のティース122aを内側に収めるB11のコイル123が形成される。B11のコイル123を巻き終わった電線123aは、4番の整流子片124aに接続される。B11のコイル123の両端は、3番及び4番の整流子片124aそれぞれにおける接続点に接続される。
【0040】
ここで、各整流子片124aにおける接続点は、整流子片124aの外周面に立設されたフック端子である。電線123aは、まず、4番の整流子片124aのフック端子に掛けられた状態からスタートし、A11のコイル123が巻き回されると、1番の整流子片124aのフック端子に掛けられる。引き続き、電線123aは、C11のコイル123の巻き回しに供され、この巻き回しが終わると、2番の整流子片124aのフック端子に掛けられる。同時に電線123aは、2番の整流子片124aのフック端子にかけられた状態からスタートし、A11のコイル123の巻き回しとほぼ同時に電線123aは、D11のコイル123の巻き回しに供され、この巻き回しが終わると、3番の整流子片124aのフック端子に掛けられる。電線123aは、B11のコイル123の巻き回しに供され、この巻き回しが終わると、4番の整流子片124aのフック端子に掛けられる。このようにA11〜D11のコイル123の巻き回しが終了すると、電線123aが掛けられた状態の各フック端子に対してスポット溶接が行われる。このスポット溶接により、電線123a、即ち各コイル123の、各整流子片124aに対する機械的及び電気的な接続が行われる。
【0041】
次に、以上に説明した第1実施形態のロータ12及びモータ1に対する比較例について説明する。
【0042】
図6は、
図1〜
図5に示されている第1実施形態のロータ及びモータに対する比較例を、
図4と同様の模式図で示す図である。尚、この
図6では、
図4に示されている構成要素と同等な構成要素については、
図4と同じ符号が付されており、以下では、それら同等な構成要素についての重複説明を省略する。
【0043】
この比較例のモータ5は、第1実施形態と同様の一対の永久磁石13の相互間に、第1実施形態とは異なるロータ52が配置されている。比較例のロータ52は、まず、第1実施形態と同様のロータコア122を備えている。そして、このロータコア122に対し、第1実施形態とは異なる手法で電線523aが巻き回されて、A51,B51,C51,D51,E51,F51,G51,H51の8個のコイル523が形成されている。
【0044】
A51のコイル523は1番、2番、8番のティース122aを内側に収めて形成され、B51のコイル523は1番から3番のティース122aを内側に収めて形成され、C51のコイル523は2番から4番のティース122aを内側に収めて形成される。また、D51のコイル523は3番から5番のティース122aを内側に収めて形成され、E51のコイル523は4番から6番のティース122aを内側に収めて形成され、F51のコイル523は5番から7番のティース122aを内側に収めて形成される。また、G51のコイル523は6番から8番のティース122aを内側に収めて形成され、H51のコイル523は7番、8番、1番のティース122aを内側に収めて形成される。
【0045】
これらのコイル523は、2つのティース122aの相互間の電線スロット122bに2コイル分の電線523aが収まるように形成される。そして、各コイル523の両端が、整流子524における1番から8番の整流子片524aのうちの何れか一対の整流子片524aに接続される。また、一対のブラシ54は、8つの整流子片524aそれぞれがシャフト121の軸121a回りに45°弱の角度幅で形成されていることに合せて、各々軸121a回りに45°弱の角度幅の円弧状に形成されている。
【0046】
以上に説明した比較例のロータ52及びモータ5では、整流子片524aの数が多く、ロータ52の製造時におけるコイル接続作業の作業性の点で改善の余地が見られる。
【0047】
これに対し、上述した第1実施形態のロータ12及びモータ1によれば、2つのティース122aの相互間に形成される電線スロット122bに1コイル分の電線123aが収まるようにコイル123が形成される。その結果、コイル123の形成数はティース122aの数の1/2となる。そして、コイル123の端部が接続される整流子片124aが、コイル123の数に応じ、その同数だけ設けられることとなっている。上記のようにティース122aの数に対してコイル123の形成数が抑えられるので、整流子片124aの数も、上述した比較例に比べて抑えられることとなる。このように、第1実施形態のロータ12及びモータ1によれば、整流子片124aの数を低減させることができる。
【0048】
上述したようにコイル123の形成は、途中で整流子片124aに接続しつつ電線123aを巻き回して行われるが、この作業に当たって整流子片124aの数は少ない方が望ましい。第1実施形態では、この整流子片124aの数が、コイル123の半数まで抑えられているので、良好な作業性の下で、コイル123の形成及び整流子片124aへの接続作業を行うことができる。
【0049】
また、本実施形態によれば、上記のように整流子片124aの数を低減させることができるので、この整流子片124aに対するコイル123の接続作業の回数を低減させてロータ12、つまりはモータ1の生産工数を削減させることができる。
【0050】
また、本実施形態によれば、整流子片124aの数を低減させることで、整流子124における各整流子片124aのサイズを大きくすることができる。上述した比較例では、整流子片524aの数は8個となっており、軸121a回りの角度幅は45°弱となっている。これに対し、本実施形態では、整流子片124aの数は半数の4個であり、軸121a回りの角度幅は略2倍の90°弱となっている。そして、この整流子片124aのサイズを受けて、本実施形態では、整流子124に接するブラシ14のサイズも、軸121a回りの角度幅で、比較例におけるブラシ54の略2倍の90°弱となっている。つまり、本実施形態のモータ1では、比較例のモータ5と比べて略2倍の接触面積でブラシ14が整流子124に接することから、両者間の電気的な接触抵抗が略半分まで低減している。ブラシ14と整流子124との接触抵抗の低減は、モータ1の長寿命化に繋がるので好適である。
【0051】
また、本実施形態によれば、1つの電線スロット122bに収められる電線123aは1コイル分となる。このため、比較例のように1つの電線スロット122bに2コイル分の電線523aを収める場合等と比較して、電線スロット122bにおける巻線占積を向上させることができる。
【0052】
また、本実施形態では、ロータコア122は、ティース122aが8個設けられたものであり、整流子124は、ティース122aの数の半数となる4個の整流子片124aが設けられたものとなっている。このロータ12は、コイル123が受ける鎖交磁束の増加と整流子片124aの数の低減とを好適に両立させた一態様である。尚、ティースが8の整数倍の個数設けられ、整流子がその半数設けられたロータについても、本実施形態と同様の好適な態様となる。
【0053】
また、本実施形態では、一対の永久磁石13は、軸121a回りに互いに同等な角度幅θ12を有しており、コイル123は、この角度幅θ12に応じた3個のティース122aを内側に収めて電線123aが巻き回されたものとなっている。これにより、永久磁石13が発する磁束のうち、ロータ12の回転に有効な鎖交磁束を良好に増加させることができる。
【0054】
また、本実施形態では、ブラシ14は、軸121a回りに90°弱の角度幅で整流子124に接する。ブラシ14におけるこの角度幅は、4個の整流子片124aのうちの一対の整流子片124aに短絡を避けて接触し得る最大幅となる。つまり、本実施形態によれば、ブラシ14のサイズが最大化されており、これにより、ブラシ14と整流子124との電気的な接触抵抗が低減されており、モータ1の長寿命化が図られている。
【0055】
次に、第2実施形態について説明する。
【0056】
図7は、本発明の第2実施形態にかかるロータ及びモータを、
図4と同様の模式図で示す図である。尚、この
図7では、
図4に示されている構成要素と同等な構成要素については、
図4と同じ符号が付されており、以下では、それら同等な構成要素についての重複説明を省略する。
【0057】
第2実施形態のモータ2は、第1実施形態と同様の一対の永久磁石13の相互間に、第1実施形態とはロータコア222の形状が異なるロータ22が配置されている。第2実施形態のロータコア222は、互いに形状が異なる第1ティース222aと第2ティース222bとを有するものとなっている。
【0058】
第1ティース222aは、張出し部222a−2におけるシャフト121の軸121a回りの角度幅が所定の第1幅w21に形成され、本体部222a−1の軸121a回りの厚みが所定の第1厚みt21に形成されたものである。
【0059】
他方、第2ティース222bは、張出し部222b−2の軸121a回りの角度幅が第1幅w21よりも広い第2幅w22に形成され、本体部222b−1の軸121a回りの厚みが第1厚みt21よりも厚い第2厚みt22に形成されたものである。また、本体部222b−1における第2厚みt22は、張出し部222b−2における第2幅w22に応じた厚みとなっている。
【0060】
本実施形態のロータコア222は、1つの第1ティース222aを間に挟んで2つの第2ティース222bが軸121a回りに配列されたものである。具体的には、ロータコア222は、4個の第1ティース222aと4個の第2ティース222bとが軸121a回りに交互に配列されたものとなっている。本実施形態では、1番、3番、5番、7番が第1ティース222aであり、2番、4番、6番、8番が第2ティース222bである。
【0061】
このようなロータコア222に、第1実施形態と同様の巻き方で電線123aが巻き回されてA11、B11、C11、D11の4個のコイル123が形成されている。この結果、各コイル123は、一対の第2ティース222bの相互間に電線123aが巻き回されたものとなっている。A11のコイル123は、2番及び8番の第2ティース222bに巻き回されたものであり、B11のコイル123は、6番及び8番の第2ティース222bに巻き回されたものである。また、C11のコイル123は、2番及び4番の第2ティース222bに巻き回されたものであり、D11のコイル123は、4番及び6番の第2ティース222bに巻き回されたものである。
【0062】
整流子124においては、第1実施形態と同様に、A11のコイル123の両端が4番及び1番の整流子片124aに接続され、C11のコイル123の両端が1番及び2番の整流子片124aに接続される。また、D11のコイル123の両端が2番及び3番の整流子片124aに接続され、B11のコイル123の両端が3番及び4番の整流子片124aに接続される。
【0063】
以上に説明した第2実施形態のロータ22及びモータ2でも、上述の第1実施形態と同様に、整流子片124aの数を低減させることができることは言うまでもない。
【0064】
また、本実施形態によれば、1つのコイル123に対する鎖交磁束は、このコイル123が巻き回された一対の第2ティース222bが軸121a回りに成す角度範囲θ21を通る磁束となる。一方の第2ティース222bの張出し部222b−2における他方の第2ティース222bとは反対側の端部から、もう一方の第2ティース222bの張出し部222b−2における他方の第2ティース222bとは反対側の端部までが上記の角度範囲θ21となる。本実施形態によれば、第2ティース222bの張出し部222b−2が、相対的に広い第2幅w22に形成されていることから、鎖交磁束が通過可能な角度範囲θ21も広くなり、これにより鎖交磁束の増加を図ることができる。本実施形態では、
図7に示されているように、この角度範囲θ21が、一対の永久磁石13の、軸121a回りの角度幅θ12と略同等に設定されている。これにより、永久磁石13が発する磁束の殆どが、コイル123に対する鎖交磁束となってロータ22の回転に寄与することとなっている。
【0065】
また、本実施形態では、第2ティース222bにおける幅広の張出し部222b−2で受けられた磁束が、この張出し部222b−2の第2幅w22に応じた厚い本体部222b−1を通過することとなる。これにより、幅広の張出し部222b−2で受けられた磁束が本体部222b−1を、磁束密度が抑えられた状態で通過することができるので、この本体部222b−1における磁気飽和の発生が抑えられる。このように、本実施形態によれば、ロータ22における良好な磁気特性を得ることができる。
【0066】
次に、第3実施形態について説明する。
【0067】
図8は、本発明の第3実施形態にかかるロータ及びモータを、
図4と同様の模式図で示す図である。
【0068】
第3実施形態のモータ3は、
図1〜
図5に示されている第1実施形態のモータ1の別例である。以下、第3実施形態のモータ3について、第1実施形態のモータ1との相違点について説明する。
【0069】
本実施形態のモータ3では、ロータ32が備えるロータコア322におけるティース322aの数等を規定する自然数nが2に設定されている。即ち、本実施形態では、ティース322aは、n=2とした、1番から16番までの16個のティース322aが設けられている。コイル323は、各電線スロット322bに1コイル分の電線323aが収まるようにA21,B21,C21,D21,E21,F21,G21,H21の8個が形成されている。
【0070】
整流子324は、コイル323の数に応じて1番から8番までの8個の整流子片324aを備えている。
【0071】
また、本実施形態では、二対のブラシ341,342が設けられ、二対の永久磁石331,332が、異極性どうしが隣り合うように配置されている。なお、180度(=360/n)角度がずれた位置の整流子片間を短絡することによってブラシの数を4(=2n)から2に低減することも可能である。
【0072】
以上に説明した第3実施形態のモータ3は、上述した第1実施形態のモータ1が、
図4に示されているように2極モータであるのに対し、4極モータとなっている。第3実施形態のモータ3は、コイル323を形成するための電線323aを巻き回すティース間の角度が第1実施形態より小さいことを除けば、間に3つのティースを挟む巻き回し方等は第1実施形態のモータ1と同等である。
【0073】
この第3実施形態のロータ32及びモータ3でも、上述の第1実施形態と同様に、整流子片324aの数を低減させることができることは言うまでもない。
【0074】
尚、以上に説明した第1〜第3実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明のロータやモータの構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【0075】
例えば、第1及び第2実施形態では、本発明にいうロータの一例として、n=1としたときの8n=8個のティース122aが設けられたロータ12や、第1ティース222aと第2ティース222bとで8個のティースが設けられたロータ22が例示されている。第1実施形態のロータ12では、3個のティース122aを内側に収める4n=4個のコイル123が形成されている。同様に、第2実施形態のロータ22でも、第1ティース222aと第2ティース222bとで3個のティースを内側に収める4n=4個のコイル123が形成されている。また、これらのロータ12,22には、コイル123と同数の4個の整流子片124aを有する整流子124が設けられている。また、第3実施形態では、n=2とした16個のティース322aと、3個のティース322aを内側に収める8個のコイル323と、を有するロータ32が例示されている。本発明にいうロータは、これらに限るものではなく、1以上の整数であれば上記のnを他の整数に設定したものであってもよい。
【0076】
また、第1及び第2実施形態では、本発明にいうモータの一例として、一対の永久磁石13の間にロータ12,22が配置されたモータ1,2が例示されている。また、第3実施形態では、二対の永久磁石331,332の間にロータ32が配置されたモータ3が例示されている。しかしながら、本発明にいうモータは、これらに限るものではなく、複数対の磁石の間にロータが配置されたものであってもよい。この場合、コイルについては、1つの電線スロットに1コイル分の電線が収まるように複数形成すればよく、整流子片については、コイルの数に応じた数に設ければよい。
【0077】
また、第1及び第2実施形態では、本発明にいうモータの一例として、一対のブラシ14を備えたモータ1,2が例示され、第3実施形態では、二対のブラシ341,342を備えたモータ3が例示されている。しかしながら、本発明にいうモータは、これらに限るものではなく、他の数のブラシを備えたものであってもよい。