特開2019-202328(P2019-202328A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2019202328-溶湯吐出ノズル及び連続鋳造装置 図000003
  • 特開2019202328-溶湯吐出ノズル及び連続鋳造装置 図000004
  • 特開2019202328-溶湯吐出ノズル及び連続鋳造装置 図000005
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-202328(P2019-202328A)
(43)【公開日】2019年11月28日
(54)【発明の名称】溶湯吐出ノズル及び連続鋳造装置
(51)【国際特許分類】
   B22D 11/06 20060101AFI20191101BHJP
【FI】
   B22D11/06 330B
   B22D11/06 380A
   B22D11/06 380Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-98656(P2018-98656)
(22)【出願日】2018年5月23日
(71)【出願人】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】堀内 俊希
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 智道
(72)【発明者】
【氏名】百々 泰
【テーマコード(参考)】
4E004
【Fターム(参考)】
4E004DA13
4E004SA01
4E004SA02
(57)【要約】
【課題】溶湯をロール間に吐出する溶湯吐出ノズルあるいはこの溶湯吐出ノズルを備える連続鋳造装置において、溶湯吐出ノズルとロールとの間に凝固物が挟まることを防止する。
【解決手段】一対のロール間のギャップに挿し込まれると共に非鉄金属または当該非鉄金属の合金の溶湯を吐出する溶湯吐出ノズルであって、溶湯を吐出する吐出開口を有する吐出部と、吐出開口を挟んで配置されかつ各々が吐出部から溶湯の吐出方向に延出された一対の堰部とを備え、各々の堰部は、吐出開口側の縁部に設けられると共に堰部の先端縁まで到達する切欠領域を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のロール間のギャップに挿し込まれると共に非鉄金属または当該非鉄金属の合金の溶湯を吐出する溶湯吐出ノズルであって、
前記溶湯を吐出する吐出開口を有する吐出部と、
前記吐出開口を挟んで配置されかつ各々が前記吐出部から前記溶湯の吐出方向に延出された一対の堰部と
を備え、
各々の前記堰部は、前記吐出開口側の縁部に設けられると共に前記堰部の先端縁まで到達する切欠領域を有する
ことを特徴とする溶湯吐出ノズル。
【請求項2】
前記切欠領域は、前記堰部の先端縁に向かうに連れて水平方向に広がることを特徴とする請求項1記載の溶湯吐出ノズル。
【請求項3】
少なくとも前記堰部の表面に設けられ、前記堰部と前記ロールとの間に配置されるシール部を備えることを特徴とする請求項1または2記載の溶湯吐出ノズル。
【請求項4】
前記シール部は、耐火材によって形成されていることを特徴とする請求項3記載の溶湯吐出ノズル。
【請求項5】
非鉄金属または当該非鉄金属の合金の溶湯を凝固させかつ圧延する一対のロールと、
請求項1〜4いずれか一項に記載の溶湯吐出ノズルと、
前記溶湯吐出ノズルに前記溶湯を供給する溶湯供給部と
を備えることを特徴とする連続鋳造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶湯吐出ノズル及び連続鋳造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、マグネシウム等の非鉄金属あるいはマグネシウム合金等の非鉄金属の合金から薄板を製造する場合には、一対のロール間のギャップに非鉄金属あるいは非鉄金属の合金からなる溶湯を供給し、一対のロールによって溶湯を凝固させかつ圧延している(特許文献1参照)。さらに、特許文献2では、一対のロール間のギャップにノズルを挿し込み、ノズルを介してロール間のギャップに溶湯を供給している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−147298号公報
【特許文献2】特開2006−263784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ノズルから吐出された溶湯は、ロールの表面で冷却されることによって凝固する。そして、一方のロールの表面で溶湯が凝固されて形成された凝固層と他方のロールの表面で溶湯が凝固されて形成された凝固層とがロールの回転によって合流され、ロールのギャップで圧延されることによって、非鉄金属あるいは非鉄金属の合金からなる薄板が連続的に形成される。
【0005】
凝固層同士が合流して圧延されると、凝固層がロールの回転軸に沿った方向(幅方向)に拡がろうとする。このような凝固層の幅方向への拡がりを抑制するためには、ノズルに対して吐出開口を挟むような堰部を設けることが考えられる。しかしながら、堰部を設けた場合、堰部とロールとの間に凝固したマグネシウム等が噛みこまれ、ロールの回転が阻害される可能性がある。
【0006】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、溶湯をロール間に吐出する溶湯吐出ノズルあるいはこの溶湯吐出ノズルを備える連続鋳造装置において、溶湯吐出ノズルとロールとの間に凝固物が挟まることを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
【0008】
第1の発明は、一対のロール間のギャップに挿し込まれると共に非鉄金属または当該非鉄金属の合金の溶湯を吐出する溶湯吐出ノズルであって、上記溶湯を吐出する吐出開口を有する吐出部と、上記吐出開口を挟んで配置されかつ各々が上記吐出部から上記溶湯の吐出方向に延出された一対の堰部とを備え、各々の上記堰部が、上記吐出開口側の縁部に設けられると共に上記堰部の先端縁まで到達する切欠領域を有するという構成を採用する。
【0009】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記切欠領域が、上記堰部の先端縁に向かうに連れて水平方向に広がるという構成を採用する。
【0010】
第3の発明は、上記第1または第2の発明において、少なくとも上記堰部の表面に設けられ、上記堰部と上記ロールとの間に配置されるシール部を備えるという構成を採用する。
【0011】
第4の発明は、上記第3の発明において、上記シール部が、耐火材によって形成されているという構成を採用する。
【0012】
第5の発明は、連続鋳造装置であって、非鉄金属または当該非鉄金属の合金の溶湯を凝固させかつ圧延する一対のロールと、上記第1〜第4いずれかの発明である溶湯吐出ノズルと、上記溶湯吐出ノズルに上記溶湯を供給する溶湯供給部とを備えるという構成を採用する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、吐出部の吐出開口を挟んで配置される一対の堰部を備え、各々の堰部が、上記吐出開口側の縁部に上記堰部の先端縁まで到達して設けられた切欠領域を有している。つまり、本発明では、溶湯が凝固後に圧延されることによって拡がる領域に堰部の切欠領域が設けられている。このため、本発明によれば、溶湯吐出ノズルの堰部とロールとの間に凝固物が挟まることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態における連続鋳造装置の概略構成を示す模式図である。
図2】本発明の一実施形態における連続鋳造装置が備える溶湯吐出ノズルの斜視図である。
図3図2の矢印A方向から見た溶湯吐出ノズルの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明に係る溶湯吐出ノズル及び連続鋳造装置の一実施形態について説明する。
【0016】
本実施形態の連続鋳造装置1は、マグネシウムやマグネシウム合金等の溶湯Xを凝固させかつ圧延することによって薄板材Yを製造する装置である。図1は、本実施形態の連続鋳造装置1の概略構成を示す模式図である。この図に示すように、連続鋳造装置1は、一対のロール(第1ロール2及び第2ロール3)と、溶湯吐出ノズル4と、溶湯供給部5とを備えている。
【0017】
第1ロール2及び第2ロール3は、溶湯Xを冷却して凝固させると共に、溶湯Xが凝固された固体層を圧延することによって薄板材Yとする一対の双ロールである。これらの第1ロール2と第2ロール3とは、互いの周面同士の間に一定のギャップが形成されるように回転軸心が平行かつ水平方向に配列されるように隣り合って配置されている。なお、第1ロール2と第2ロール3とは、必ずしも水平に配列されている必要はなく、例えば上方に配列するようにしても良い。また、これらの第1ロール2及び第2ロール3は、不図示のフレーム及び軸受等によって回転軸心を中心として回転可能に支持されており、さらに不図示のモータの動力によって図1に示す矢印方向に回転される。
【0018】
これらの第1ロール2及び第2ロール3は、溶湯吐出ノズル4から周面上に吐出された溶湯Xを冷却することにより凝固させる。さらに、第1ロール2及び第2ロール3は、溶湯Xが凝固されて形成された固体層同士を衝突させると共に、互いのギャップ間で押圧することによって固定層を圧延して1枚の薄板材Yとする。
【0019】
溶湯吐出ノズル4は、第1ロール2と第2ロール3との溶湯供給部5から供給された溶湯Xを第1ロール2及び第2ロール3の周面に向けて吐出するノズルであり、図1に示すように、第1ロール2と第2ロール3とのギャップに上方から挿し込まれている。図2は、溶湯吐出ノズル4の分解斜視図である。また、図3は、図2の矢印A方向から見た正面図である。これらの図に示すように、溶湯吐出ノズル4は、ノズル本体部6と、耐火材シート7(シール部)とを備えている。
【0020】
ノズル本体部6は、溶湯Xの温度によって変質しない耐熱性金属材料によって一体的に形成されており、図2に示すように取付板6aと、胴部6bと、先端部6cとを有している。取付板6aは、溶湯供給部5に対してボルト等によって直接的に固定される板状の部位である。この取付板6aの中央部には、溶湯Xを通過させる開口部が設けられている。取付板6aは、溶湯Xが通過される開口を囲って設けられ、上方に向けて突出した土手部6a1を有している。胴部6bは、取付板6aと先端部6cとを接続する部位であり、上下方向において取付板6aと先端部6cとの間に配置されている。この胴部6bは、上下に貫通する内部流路6b1を有しており、内部流路6b1の上端が取付板6aの開口部に接続され、内部流路6b1の下端が先端部6cに接続されている。このような胴部6bは、上端側から供給された溶湯Xを先端部6cに向けて案内する。
【0021】
先端部6cは、溶湯Xをノズル本体部6の外部に吐出すると共に吐出した溶湯Xが側方(第1ロール2及び第2ロール3の回転軸心に沿った水平方向)に拡がることを抑止するための部位である。この先端部6cは、図3に示すように、溶湯Xを吐出する吐出部6c1と、吐出部6c1の水平方向の両端部から各々下方に向けて突出した一対の堰部(第1堰部6c2及び第2堰部6c3)とを有した略逆U字型の形状とされている。なお、吐出部6c1と堰部とは、一体的に設けられており明確な境界部を有していない。ただし、説明の便宜上、図3に示す一点鎖線を境界部Kとし、境界部Kよりも上方を吐出部6c1とし、境界部Kよりも下方を堰部とする。
【0022】
吐出部6c1は、胴部6bと接続されており、胴部6bによって案内された溶湯Xをノズル本体部6の外部に吐出する吐出開口6c4を有している。この吐出開口6c4は、下方に向けて開口されており、水平方向において吐出部6c1の両端部を除いた中央部に設けられている。
【0023】
第1堰部6c2と第2堰部6c3とは、水平方向に離間して設けられており、吐出部6c1の吐出開口6c4を挟んで配置されている。第1堰部6c2は、吐出部6c1の水平方向の一方側の端部から下方に延出して設けられている。本実施形態において溶湯Xは吐出部6c1から下方に向けて吐出される。つまり、第1堰部6c2は、吐出部6c1の端部から溶湯Xの吐出方向に向けて延出して設けられている。
【0024】
図3に示すように、第1堰部6c2は、吐出開口6c4側の縁部(第2堰部6c3側の縁部)に対して切欠領域R1を有している。この切欠領域R1は、本来であれば鉛直方向に平行な縁を有する第1堰部6c2の一部を切欠くことによって形成された領域である。本実施形態において、切欠領域R1は、第1堰部6c2の先端縁まで到達して設けられており、先端縁に向かうに連れて吐出開口6c4から遠ざかる水平方向に広がるように略三角形状に設けられている。
【0025】
第2堰部6c3は、吐出部6c1の水平方向の他方側の端部から下方に延出して設けられている。つまり、第2堰部6c3は、吐出部6c1の端部から溶湯Xの吐出方向に向けて延出して設けられている。
【0026】
図3に示すように、第2堰部6c3は、吐出開口6c4側の縁部(第1堰部6c2側の縁部)に対して切欠領域R2を有している。この切欠領域R2は、本来であれば鉛直方向に平行な縁を有する第2堰部6c3の一部を切欠くことによって形成された領域である。本実施形態において、切欠領域R2は、第2堰部6c3の先端縁まで到達して設けられており、先端縁に向かうに連れて吐出開口6c4から遠ざかる水平方向に広がるように略三角形状に設けられている。
【0027】
これらの一対の堰部(第1堰部6c2及び第2堰部6c3)は、吐出部6c1から吐出された溶湯X(あるいは固体層)が水平方向に広がり過ぎることを抑止し、薄板材Yが所定の幅とする。
【0028】
耐火材シート7(シール部)は、ノズル本体部6の先端部6cの第1ロール2に対向する表面の略全面と第2ロール3に対向する表面の略全面との各々に設けられている。より詳細には、第1ロール2側の表面に設けられた耐火材シート7は、第1堰部6c2の第1ロール2に対向する表面の全面を覆い、第2堰部6c3の第1ロール2に対向する表面の全面を覆い、かつ、吐出部6c1の第1ロール2に対向する表面の略全面を覆うように設けられている。また、第2ロール3側の表面に設けられた耐火材シート7は、第1堰部6c2の第2ロール3に対向する表面の全面を覆い、第2堰部6c3の第2ロール3に対向する表面の全面を覆い、かつ、吐出部6c1の第2ロール3に対向する表面の略全面を覆うように設けられている。
【0029】
これらの耐火材シート7は、ノズル本体部6と第1ロール2との隙間あるいはノズル本体部6と第2ロールとの隙間とを埋めており、ノズル本体部6と第1ロール2との隙間あるいはノズル本体部6と第2ロールとの隙間に溶湯あるいは固体層が侵入することを抑止する。
【0030】
図1に戻り、溶湯供給部5は、溶湯吐出ノズル4と接続されており、金属材を溶融させて溶湯Xを生成すると共に、生成した溶湯Xを溶湯吐出ノズル4に対して供給する。この溶湯供給部5は、溶湯吐出ノズル4のノズル本体部6に対して設けられた取付板6aの開口部に対して溶湯Xを供給する。
【0031】
このような構成の連続鋳造装置1では、溶湯供給部5から溶湯吐出ノズル4に供給された溶湯Xは、溶湯吐出ノズル4の吐出開口6c4から下方に向けて吐出される。溶湯吐出ノズル4から吐出された溶湯Xは、第1ロール2あるいは第2ロール3の周面と接触することによって凝固される。溶湯Xが凝固されることで生成された固体層は、第1ロール2及び第2ロール3の回転によって移動される。第1ロール2の表面の固体層と第2ロール3の表面の固体層とは、第1ロール2及び第2ロール3の回転によって衝突され、第1ロール2と第2ロール3とのギャップ間において圧延されて薄板材Yとされる。
【0032】
以上のような本実施形態の連続鋳造装置1において溶湯吐出ノズル4は、溶湯Xを吐出する吐出開口6c4を有する吐出部6c1と、吐出開口6c4を挟んで配置されかつ各々が吐出部6c1から溶湯Xの吐出方向に延出された一対の堰部(第1堰部6c2と第2堰部6c3)とを備え、各々の堰部は、吐出開口6c4側の縁部に設けられると共に堰部の先端縁まで到達する切欠領域(切欠領域R1と切欠領域R2)を有している。このような溶湯吐出ノズル4によれば、溶湯Xが凝固後に圧延されることによって広がる領域に堰部の切欠領域が設けられている。このため、本実施形態の溶湯吐出ノズル4によれば、第1堰部6c2及び第2堰部6c3と第1ロール2との間と、第1堰部6c2及び第2堰部6c3と第2ロール3との間に凝固物が挟まることを防止することができる。
【0033】
また、本実施形態の溶湯吐出ノズル4においては、切欠領域R1は第1堰部6c2の先端縁に向かうに連れて水平方向に広がるように設けられており、切欠領域R2は第2堰部6c3の先端縁に向かうに連れて水平方向に広がるように設けられている。溶湯Xが凝固されて生成された固体層は、第1堰部6c2及び第2堰部6c3の先端縁に向かうに連れて圧延が進むことにより幅が広がる。このため、切欠領域R1及び切欠領域R2を上記先端縁に向かうに連れて水平方向に広げることによって、固体層の幅の増加が応じて第1堰部6c2及び第2堰部6c3の逃げ量が多くすることで、第1堰部6c2及び第2堰部6c3と第1ロール2との間と、第1堰部6c2及び第2堰部6c3と第2ロール3との間に凝固物が挟まることをより確実に防止することができる。
【0034】
また、本実施形態の溶湯吐出ノズル4においては、少なくとも第1堰部6c2及び第2堰部6c3の表面に耐火材シート7が設けられている。溶湯Xあるいは固体層は、圧延に伴って第1堰部6c2と第2堰部6c3に近づくように広がる。このため、少なくとも第1堰部6c2及び第2堰部6c3の表面に耐火材シート7を設けることで、効率的に溶湯Xや固体層が第1堰部6c2及び第2堰部6c3と第1ロール2との間と、第1堰部6c2及び第2堰部6c3と第2ロール3との間に侵入することを防止できる。
【0035】
また、本実施形態の溶湯吐出ノズル4においては、吐出部6c1の表面にも耐火材シート7が設けられている。このため、溶湯吐出ノズル4から吐出された溶湯Xが逆流して吐出部6c1と第1ロール2との間及び吐出部6c1と第2ロール3との間に侵入することを防止できる。
【0036】
また、本実施形態の溶湯吐出ノズル4においては、耐火材シート7が耐火材によって形成されている。例えば、溶湯Xがマグネシウムを含む場合には、溶湯吐出ノズル4から吐出された溶湯Xが空気に触れることによって発火する場合がある。このような場合であっても、耐火材シート7が損傷することを防止することができる。
【0037】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0038】
例えば、上記実施形態においては、切欠領域R1及び切欠領域R2が略三角形状である構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば第1堰部6c2と第2堰部6c3の縁が階段状に屈曲した形状とし、切欠領域R1及び切欠領域R2を先端縁に向かうに連れて段階的に拡大させるような構成を採用することも可能である。
【0039】
また、上記実施形態においては、マグネシウムやマグネシウム合金等の溶湯Xを凝固させかつ圧延することによって薄板材Yを製造する構成に本発明を適用した例について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、非鉄金属またはこの非鉄金属の合金の溶湯を吐出する溶湯吐出ノズル及び連続鋳造装置の全般に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0040】
1……連続鋳造装置
2……第1ロール
3……第2ロール
4……溶湯吐出ノズル
5……溶湯供給部
6……ノズル本体部
6a……取付板
6a1……土手部
6b……胴部
6b1……内部流路
6c……先端部
6c1……吐出部
6c2……第1堰部
6c3……第2堰部
6c4……吐出開口
7……耐火材シート(シール部)
R1……切欠領域
R2……切欠領域
X……溶湯
Y……薄板材
図1
図2
図3