【解決手段】 工作機械20a〜20dの状態に関する工作機械情報を取得する工作機械監視部12と、工作機械情報に基づいて、事前動作を定め、工作機械20a〜20dに対して事前動作の指示を送る事前動作指示部14と、を備える工作機械監視装置10を提供する。
前記工作機械情報に、工作機械の稼働/休止判定、休止と判定された工作機械の休止時間が含まれることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の工作機械監視装置。
前記事前動作に、少なくとも1つのセンサによる工作機械の測定が含まれ、更に前記工作機械情報、前記ワーク情報、前記工作機械の測定結果が関連付けられて記憶されることを特徴とする請求項8に記載の工作機械監視装置。
前記事前動作に、少なくとも1つのセンサによる工作機械の測定が含まれ、更に前記工作機械の測定に、前記工作機械の回転軸の回転中心の位置の測定が含まれることを特徴とする請求項1から9の何れか1項に記載の工作機械監視装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本発明を以下のものに限定しない。
各図面中、同一の機能を有する部材には、同一符号を付している場合がある。要点の説明または理解の容易性を考慮して、便宜上実施形態を分けて示す場合があるが、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換または組み合わせは可能である。後述の実施形態では前述の実施形態と共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については、実施形態ごとには逐次言及しないものとする。各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張して示している場合もある。
【0010】
(1つの実施形態に係る測定装置)
始めに、
図1を参照しながら、本発明の1つの実施形態に係る工作機械監視装置及びこの工作機械監視装置を含むシステムの説明を行う。
図1は、本発明の1つの実施形態に係る工作機械監視装置を含むシステムの構成を示すブロック図である。
【0011】
工作機械監視システム2は、本発明の1つの実施形態に係る工作機械監視装置10と、複数の工作機械20a〜20dと、工場管理装置30とから主に構成される。工作機械監視装置10は、工作機械20a〜20dの制御装置と電気的に接続され、工場管理装置30とも電気的に接続されている。工場管理装置30では、工作機械20a〜20dや前工程で用いる装置を含む工場全体の管理を行っている。
【0012】
工作機械監視装置10は、工作機械20a〜20dの状態に関する工作機械情報を取得する工作機械監視部12と、工作機械情報に基づいて、事前動作を定め、工作機械に対して事前動作の指示を送る事前動作指示部14とを備える。更に詳細に述べれば、事前動作指示部14は、複数の工作機械20a〜20dの中から、事前動作を実施させる工作機械を選択し、選択した工作機械の制御装置に事前動作の指示を送る。
【0013】
工作機械監視装置10は、後述する工場管理装置30と電気的に繋がったワーク監視部16を備える。工作機械監視装置10には、ディスプレイ18が備えられ、工作機械20a〜20dにも、それぞれディスプレイ22a〜22dが備えられている。
本実施形態では、工作機械監視装置10が、工作機械20a〜20dとは個別の装置として存在するが、これに限られるものではなく、工作機械監視装置10が何れかの工作機械の制御装置の中に含まれる場合もあり得るし、工場管理装置30の中に含まれる場合もあり得る。
【0014】
本実施形態では、一例として4つの工作機械20a〜20dを有する場合を示しているが、これに限られるものではなく、その他の任意の数の工作機械を有する場合もあり得る。工作機械20a〜20dは、全て同じ工作機械の場合もあり得るし、全てが異なる工作機械の場合もあり得るし、一部が同じ工作機械で一部が異なる工作機械の場合もあり得る。
【0015】
<工作機械監視部/事前動作指示部>
工作機械監視部12が取得する工作機械情報については、工作機械20a〜20dが稼働しているかまたは休止しているかの情報が含まれ、休止と判定された工作機械については、その休止時間の情報が含まれる。稼働中の工作機械については、稼働終了予測時刻も含まれる。更に、工作機械情報には、工作機械20a〜20dに備えられている各センサの測定結果が含まれる。
一方、事前動作指示部14が定める事前動作には、工作機械20a〜20dの暖気運転や、少なくとも1つのセンサによる工作機械の測定が含まれる。
【0016】
以上のように、本実施形態に係る工作機械監視装置10では、工作機械情報に基づいて、それに応じた事前動作を工作機械に実施させることができるので、稼働前の時間を有効利用して、工作機械の効率的な稼働が実現できる。特に、工作機械情報に、工作機械の稼働/休止判定が含まれるので、休止中の工作機械において、ワークが到着する前に事前動作を行うことができる。よって、稼働前の時間を有効に使って工作機械の効率的な稼働が実現できる。更に、工作機械情報に、休止と判定された工作機械の休止時間が含まれるので、例えば、休止時間の長い工作機械を優先的に稼働させるようにして、各工作機械の稼働率の平準化を図ることができる。工作機械の休止期間において、スタンバイ状態や、完全に電源を落とした状態を含めた状態監視を行うことができる。
【0017】
特に、事前動作に工作機械の暖気運転が含まれるので、工作機械が予め所定の温度に達した状態で加工を開始することができ、加工中の温度変化による加工精度低下を抑制して、高精度の機械加工が期待できる。
【0018】
通常、加工開始前に工作機械の測定を行ってキャリブレーションする必要があるため、工作機械を稼働することができない。一方、本実施形態では、事前動作に工作機械の測定が含まれるので、加工開始前の時間を工作機械の測定のために有効利用することができ、測定のための時間ロスを抑制して、高精度なワークの加工を効率的に実現できる。
以上のように、本実施形態では、工作機械が稼働していない“空き時間”に補正ができるようにしたもので、工作機の稼働状況をモニタすることにより、工作機械の休止時間が長く続く場合には、工作機械の計測を行ったり、暖機のために稼働部を動かすことができるので、補正計測や暖機運転が工作機械の稼働時間を圧迫することを防ぐことができる。なお、稼働部とは、主軸、テーブル等の並進移動または回転移動する部材を意味する。
【0019】
工作機械情報には、工作機械20a〜20dに備えられているセンサの測定結果が含まれる。このセンサの測定結果には、例えば、温度センサによる工作機械の温度測定結果が含まれる。温度測定結果は、工作機械が稼働中の温度測定データに基づく場合も、工作機械が休止した後の温度測定データに基づく場合もあり得る。例えば、工作機械休止後、測定温度が低下している場合には、早めに暖気運転を開始するように制御することができる。また、直前の加工で、所定の稼働部の測定温度が高い場合には、事前動作で該当する稼働部材の測定を優先して行うことが考えられる。
【0020】
センサの測定結果には、更に、加速度センサによる工作機械の振動測定結果が含まれる。例えば、直前の加工で加速度センサの値が大きい場合には、事前動作で該当する稼働部の測定を行うことが考えられる。
以上のように、工作機械情報にセンサの測定結果が含まれるので、稼働させる工作機械の状況に応じた適確な事前動作を実行できる。
【0021】
上記のように、事前動作に工作機械の測定が含まれるが、更に、事前動作に工作機械の測定を実行するための準備作業が含まれる場合もある。準備作業として、工作機械の測定に当たり、測定プローブを工作機械の主軸に取り付ける作業や、測定用の基準球を設置する作業を例示することができる。この準備作業により、工作機械の正確な測定が実現できる。
【0022】
特に、本実施形態では、事前動作指示部14が、工作機械の測定を実行するための準備作業に関する情報を報知する制御を行う。例えば、準備作業に関する情報を、工作機械監視装置10のディスプレイ18に表示することもできるし、選択された工作機械のディスプレイに表示することもできる。更に、ディスプレイに表示するだけでなく、音声やランプ表示により報知することもできる。
以上のように、本実施形態では、準備作業に関する情報をオペレータに報知することができるので、速やかに、測定用のセンサ、基準球、治具等を設置して、速やかに計測を開始できる。
【0023】
<ワーク監視部>
工作機械監視装置10は、工場管理装置30から、加工予定のワークに関するワーク情報を取得するワーク監視部16を備える。ワーク情報は、工作機械20a〜20dが加工を行う予定のワークの情報である。具体的には、ワークの情報には、ワークの加工に関する情報、ワークの前工程に関する情報、及び工作機械への到着推定時刻の少なくとも1つが含まれている。
【0024】
ワークの加工に関する情報には、到着するワークの寸法が含まれる。このワークの寸法情報により、受け入れ可能な工作機械を選択することができる。また、選択された工作機械に、事前にワークの寸法に合わせて、治具等を移動させておく指示を送ることもできる。
更に、ワークの加工に関する情報には、ワークの加工内容が含まれる。ワークの加工内容に合わせて、受け入れ可能な工作機械を選択することができる。更に、選択された工作機械において、測定すべき稼働部を定めて、速やかに事前準備を開始することができる。
【0025】
ワークの前工程の情報には、ワークに何の工程が施されたかの情報が含まれる。更に詳細に述べれば、ワークの前工程の情報には、焼き入れ、焼鈍、侵炭、窒化、表面処理(サンドブラスト)の中の何れの工程が行われたかの情報が含まれる。例えば、ワークの前工程の情報により、前工程が焼き入れや焼鈍であれば、ワークが高温で到着することが予想できるので、ワーク温度を考慮した測定や暖気運転を実施することができる。
【0026】
ワーク情報にワークの到着推定時刻が含まれているので、ワークの到着時刻に合わせて、適確なタイミングで、工作機械の電源を起動したり、稼働部を動かして、ある程度暖機した状態でワークを受け入れることができる。更に、ワークの到着時刻に合わせて、適確なタイミングで、工作機械の測定を開始することもできる。
以上のように、ワーク情報に、ワークの加工に関する情報、ワークの前工程の情報、及びワークの到着推定時刻少なくとも1つが含まれるので、適切な事前動作を的確に効率的に行うことができる。
【0027】
上記のように、事前動作に少なくとも1つのセンサによる工作機械の測定が含まれるが、本実施形態では、工作機械情報、ワーク情報、工作機械の測定結果を関連付けて記憶するようになっている。例えば、工作機械の休止時間、温度、工作機械の測定結果等の履歴を時系列に示すことにより、休止時間及び温度降下の相関、休止時間及びオフセット量の相関等を把握することができる。
【0028】
次に、
図2A及び
図2Bを参照しながら、工作機械情報、ワーク情報、工作機械の測定結果を関連付けて記憶することにより得られたデータについて説明する。
図2Aは、工作機械の休止時間及び稼働部の温度の関係の一例を示すグラフである。
図2Bは、工作機械の休止時間及び稼働部のオフセット量の関係の一例を示すグラフである。
【0029】
図2Aに示すグラフは、工作機械が休止した後の経過時間と、工作機械の稼働部に取り付けられた温度センサの測定値とを関連させて記憶して履歴を時系列に示したグラフである。このグラフから、工作機械の休止時間及び稼働部の温度降下の相関が明らかなので、工作機械の休止時間から稼働部の温度が推定できる。よって、この相関データに基づいて、最適な暖気運転の開始時期を定めることができる。
【0030】
図2Bに示すグラフは、工作機械が休止した後、事前動作を開始するまでの経過時間と、事前動作において測定された稼働部のオフセット量とを関連させて記憶して履歴を時系列に示したグラフである。このグラフから、予め補正量を推測することができるので、必要な加工精度及び本グラフを参照して、キャリブレーションが必要であるか否か判断することができる。また、このグラフから、予め補正量を推測することができるので、測定項目を適確に定めたり、測定のための準備作業を適確に定めたりすることができる。
【0031】
以上のように、工作機械の休止時間、温度、工作機械の測定結果等の履歴を時系列に示すことにより、工作機械が稼働していないときの工作機械の変化を把握することができ、工作機械の休止時間に応じて、適切な事前動作を定めることができ、工作機械のパラメータを適確に予測、補正することができる。
【0032】
(工作機械監視処理の制御フロー)
次に、
図3を参照しながら、上記の実施形態に係る工作機械監視装置10で行われる工作機械監視処理の一例について説明する。
図3は、工作機械監視装置が行う工作機械監視処理の制御フローの一例を示すフローチャートである。
【0033】
図3において、まず、ワーク監視部16が工場管理装置30からワーク情報を取得したか否か判断する(ステップS10)。なお、工作機械監視部12は、一定のインターバルで工作機械20a〜20dから工作機械情報を取得している。ステップS10の判断で、もし、ワーク情報を取得していない(NO)と判別したときには、そのまま、ステップS10の制御処理を繰り返す。つまり、待機状態になっている。ステップS10の判断で、もし、ワーク情報を取得した(YES)と判別したときには、次に、ワーク情報に示されたワークに適合した休止中の工作機械があるか否か判断する(ステップS12)。更に詳細に述べれば、休止中の工作機械、またはワーク情報に基づくワークの到着推定時刻において稼働が終了する予定の工作機械があるか否か判断し、ある場合には、その工作機械がワークに適したものであるか否か判断する。
【0034】
ステップS12の判断で、もし、ワークに適合した休止中の工作機械がない(NO)と判別したときには、そのまま本制御フローを終了する。ステップS12の判断で、もし、ワークに適合した休止中の工作機械がある(YES)と判別したときには、該当する工作機械が複数ある場合には、休止時間が最小の工作機械を選択する(ステップS14)。
次に、上記の休止時間、温度、測定結果等の履歴データを読み出す(ステップS16)。そして、ワーク情報及び読み出した履歴データを参照して、キャリブレーションが必要か否か判断する(ステップS18)。この判断で、もし、キャリブレーションは不要である(NO)と判別したときには、キャリブレーションのための制御処理は行わずに、ステップS24へ進む。
【0035】
ステップS18の判断で、もし、キャリブレーションは必要である(YES)と判別したときには、次に、測定のための準備作業に関する情報をディスプレイ18に表示し(ステップS20)、工作機械の測定を含むキャリブレーション実施のための信号を、選択された工作機械に送信する(ステップS22)。これにより、オペレータは、工作機械の測定に必要な準備を行い、計測を行う。実際の工作機械の計測のやり方については、追って詳細に述べる。
次に、ワーク情報と休止時間及び温度の履歴データとを参照して、暖気運転が必要か否か判断する(ステップS24)。なお、休止時間及び温度の履歴データの代わりに、取得した最新の工作機械情報に含まれる工作機械の稼働部の温度測定値に基づいて判断することもできる。
【0036】
ステップS24の判断で、もし、暖気運転が不要である(NO)と判別したときには、本制御処理を終了する。ステップS24の判断で、もし、暖気運転が必要である(YES)と判別したときには、次に、ワーク情報に基づくワークの到着推定時刻、及び休止時間、温度の履歴データから、暖気運転の開始時刻を定める。なお、ここでも、休止時間及び温度の履歴データの代わりに、取得した最新の工作機械情報に含まれる温度測定値に基づいて、暖気運転の開始時刻を定めることもできる。
【0037】
そして、定められた暖気運転開始時刻に達したか否か判断する(ステップS28)。暖気運転開始時刻に達するまでは待機状態になっており、暖気運転開始時刻に達した(YES)と判別したときに、暖気運転開始の指示信号を選択された工作機械に送信して(ステップS30)、一連の制御処理を終了する。
【0038】
(回転軸の回転中心の位置の測定)
事前動作として行われる工作機械の測定について、
図4から
図6を参照しながら、テーブルの回転軸の回転中心の位置の測定を例にとって説明する。
図4から
図6A、Bには、稼働部が移動する向き(6自由度)が図示されている。何れの場合も、Z軸周りのC軸方向に回転するテーブル50の上に測定のための基準球60を設置して測定した場合を示す。
【0039】
<測定例1>
始めに、
図4を参照しながら、接触型の測定プローブを用いて、テーブルの回転軸の回転中心の位置を測定する測定例1を説明する。
図4は、接触型の測定プローブ70を用いて、テーブル50の回転軸の回転中心の位置を測定する一例を模式的に示す斜視図である。
測定例1では、接触型の測定プローブ70を主軸40に取り付けて測定する。基準球60が固定されたテーブル50をC軸方向に回転させて、平面における角度で、0度、120度、240度の角度でテーブル50を止めて、測定プローブ70を基準球60の面に接触させて三次元の位置を検出する。これにより基準球60の中心を求めることができ、これからテーブル50の回転軸の真の回転中心からのオフセット量を求めることができる。このオフセット量を補正することにより、キャリブレーションを行うことができる。
【0040】
接触型の測定プローブ70として、通常のタッチプローブだけでなく、例えば、2つの球を伸縮可能なバーで繋ぎ、その伸縮量を内蔵のエンコーダで測定するボールバー測定器を用いることもできる。この場合、2つの球のうちの一方の球が主軸40に接触しており、他方の球が基準球60に接する。
更に、テーブル50の回転にともなって、主軸40とテーブル50との間で相対変位が生じないように、主軸40も動かすTCP制御を行うことにより、所謂R−testを実施することもできる。
【0041】
<測定例2>
次に、
図5を参照しながら、画像プローブを用いて、テーブルの回転軸の回転中心の位置を測定する測定例2を説明する。
図5は、画像プローブを用いて、テーブルの回転軸の回転中心の位置を測定する一例を模式的に示す斜視図である。
測定例2では、画像プローブ80を主軸40に取り付けて測定する。画像プローブ80は、基準球60が固定されたテーブル50をC軸方向に回転させて、平面における角度で、0度、120度、240度の角度でテーブル50を止めて、画像プローブ80で二次元画像を取得する。取得した3枚の画像の解析により、テーブル50の回転軸の真の回転中心からのオフセット量を求めることができる。このオフセット量を補正することにより、キャリブレーションを行うことができる。
【0042】
例えば、画像プローブ80の視野を20mmとし、画素を1000×1000とすると、画像プローブ80の補間分解能は1μmを下回ることができるので、加工精度に対して十分な検出感度を有する。
【0043】
<測定例3>
次に、
図6A及び
図6Bを参照しながら、光学切断プローブを用いて、テーブルの回転軸の回転中心の位置を測定する測定例3を説明する。
図6Aは、光学切断プローブを用いて、テーブルの回転軸の回転中心の位置を測定する一例を模式的に示す斜視図である。
図6Bは、光学切断プローブにより取得された球状の点群を模式的に示す図である。
【0044】
測定例3では、光学切断プローブ90を主軸40に取り付けて測定する。上記の2つの測定例では、テーブル50を所定の角度で止めて計測を行っていたが、測定例3では、基準球60が固定されたテーブル50をC軸方向に回転させたまま、停止させることなく測定を行うことができる。
【0045】
3角測量方式を用いる光学切断プローブでは、光源からライン光を物体に照射し、その反射光を受光部で受光する。測定に当たり、テーブル50に基準球60を固定する。光学切断プローブ90を主軸40に取り付け、主軸をXY方向に移動させて、光学切断プローブ90のXY座標の位置決めを行う。そして、光学切断プローブ90で基準球60にライン光を照射しながら、テーブル50をC軸方向に回転させ、受光部で受光する。これにより、テーブル50の回転を止めることなく、
図6Bに模式的に示すように、C軸上の3点での球状の点群Pを得ることができる。これにより、テーブル50の回転軸の真の回転中心からのオフセット量を求めることができる。このオフセット量を補正することにより、キャリブレーションを行うことができる。
【0046】
3角測量方式を用いる光学切断プローブでは、被測定物による光の干渉を防ぐため、光学切断プローブを長くする必要がある(例えば400mm)。測定例3では、光学切断プローブをXY方向に移動させるのではなく、基準球60側(被測定物側)をC軸方向に移動させて測定するので、光学切断プローブの長さにより生じる不安定性を排除することができる。
【0047】
以上のように、事前動作に、加工精度に大きな影響を与える工作機械の回転軸の回転中心の位置の測定が含まれるので、工作機械の回転軸の中心軸の位置を事前に測定し、計測されたオフセット量だけ補正することにより、少ない作業量で効果的に工作機械の加工精度を高めることができる。
【0048】
本発明の実施の形態、実施の態様を説明したが、開示内容は構成の細部において変化してもよく、実施の形態、実施の態様における要素の組合せや順序の変化等は請求された本発明の範囲および思想を逸脱することなく実現し得るものである。