(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-203469(P2019-203469A)
(43)【公開日】2019年11月28日
(54)【発明の名称】エンジン作業機
(51)【国際特許分類】
F02M 35/16 20060101AFI20191101BHJP
【FI】
F02M35/16 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2018-100184(P2018-100184)
(22)【出願日】2018年5月25日
(71)【出願人】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 良彦
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦
(72)【発明者】
【氏名】櫻木 勇人
(57)【要約】
【課題】ケーシングの上下二段にダクトを設け、冷却効率の向上を図るとともに、吸気孔からの雨水の浸入を良好に防止する。
【解決手段】ケーシング12の上方に、第1の吸気孔14aと、開口部を上方に向けた第1のダクト本体14cとを備えた第1吸気ダクト14を、第1吸気ダクト14の下方に、第2の吸気孔15aと第2のダクト本体15bとを備えた第2吸気ダクト15をそれぞれ設ける。ケーシング12の第1の吸気孔14aの幅方向両端部の下方に一対の排水孔14b,14bを形成し、第1のダクト本体14cを、第1の吸気孔14aと排水孔14bとを囲んで取り付ける。第1のダクト本体14cの底壁14fをケーシング12の内側からケーシング側に向けて漸次下方に傾斜する傾斜面で形成するとともに、底壁14fと一対の排水孔14b,14bとをそれぞれ接続する。一対の排水孔14b,14bの幅方向内側の下方に、第2の吸気孔15aを形成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機と、該作業機を駆動するエンジンとを収納するケーシングに、該ケーシングに貫通形成した吸気孔と、前記ケーシングの内側に、前記吸気孔を囲んで取り付けられるダクト本体とを備えた吸気ダクトを設けたエンジン作業機において、前記ケーシングの上方に、第1の吸気孔と、開口部を上方に向けた第1のダクト本体とを備えた第1吸気ダクトを、該第1吸気ダクトの下方に、第2の吸気孔と第2のダクト本体とを備えた第2吸気ダクトをそれぞれ設け、前記ケーシングの前記第1の吸気孔の幅方向両端部の下方に一対の排水孔を形成し、前記第1のダクト本体を、前記第1の吸気孔と前記排水孔とを囲んで取り付け、前記第1のダクト本体の底壁を、ケーシングの内側からケーシング側に向けて漸次下方に傾斜する傾斜面で形成するとともに、該底壁と前記一対の排水孔とをそれぞれ接続し、前記一対の排水孔の幅方向内側に前記第2の吸気孔を形成したことを特徴とするエンジン作業機。
【請求項2】
前記第2のダクト本体は、開口部を水平方向に向けた横向きダクト、又は、開口部を下方に向けた下向きダクトであることを特徴とする請求項1記載のエンジン作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジン作業機に関し、詳しくは、作業機と、該作業機を駆動するエンジンとを収納したケーシングに、吸気ダクトを設けたエンジン作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジン作業機では、作業機と、該作業機を駆動するエンジンとを収容するケーシングに、ケーシング内に外気を導入するための吸気孔と、該吸気孔に連接するダクト本体とを備えた吸気ダクトを設けていた。また、この吸気ダクトとして、下向きのダクト本体をケーシングの外側に設け、ダクト本体から雨水がケーシング内に浸入することを防止するために、ダクトの開口部よりも上方に金網を取り付けたものがあった(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平7−30565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述の特許文献1のように、吸気ダクトをケーシングの外側に設けると、輸送時や搬入時にエンジン作業機をクレーンで吊り上げる際に、吸気ダクトが邪魔になる虞があることから、ケーシングの内側に、ケーシングに貫通形成した吸気孔を囲むダクトを設けたものがある。この場合、吸気孔からの雨水の浸入をケーシング内に落下させないために、上向きダクトが用いられることが望まれるが、エンジン作業機内の冷却効率を向上させるために、ダクトを上下二段に設けた際には、雨水の浸入を良好に防止するためにダクトの構造に工夫が必要となっていた。
【0005】
そこで本発明は、ケーシングの上下二段にダクトを設け、冷却効率の向上を図るとともに、吸気孔からの雨水の浸入を良好に防止することができるエンジン作業機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明のエンジン作業機は、作業機と、該作業機を駆動するエンジンとを収納するケーシングに、該ケーシングに貫通形成した吸気孔と、前記ケーシングの内側に、前記吸気孔を囲んで取り付けられるダクト本体とを備えた吸気ダクトを設けたエンジン作業機において、前記ケーシングの上方に、第1の吸気孔と、開口部を上方に向けた第1のダクト本体とを備えた第1吸気ダクトを、該第1吸気ダクトの下方に、第2の吸気孔と第2のダクト本体とを備えた第2吸気ダクトをそれぞれ設け、前記ケーシングの前記第1の吸気孔の幅方向両端部の下方に一対の排水孔を形成し、前記第1のダクト本体を、前記第1の吸気孔と前記排水孔とを囲んで取り付け、前記第1のダクト本体の底壁を、ケーシングの内側からケーシング側に向けて漸次下方に傾斜する傾斜面で形成するとともに、該底壁と前記一対の排水孔とをそれぞれ接続し、前記一対の排水孔の幅方向内側に、前記第2の吸気孔を形成したことを特徴としている。
【0007】
また、前記第2のダクト本体は、開口部を水平方向に向けた横向きダクト、又は、開口部を下方に向けた下向きダクトであると好適である。
【発明の効果】
【0008】
本発明のエンジン作業機によれば、作業機とエンジンとを収容するケーシングに、第1吸気ダクトと第2吸気ダクトとを設けたことにより、ケーシング内の冷却効率を向上させることができる。また、雨天時には、ケーシングの天井側からケーシングの外面に沿って流下する雨水が、外気とともに第1の吸気孔からダクト本体内に浸入するが、浸入した雨水は、ダクト本体の底壁に落下するとともに、底壁の傾斜によってケーシング側に集まり、一対の排水孔から外部に排出される。また、天井側からケーシングの外面に沿って流下する雨水は、上述のように第1の吸気ダクトの吸気孔に浸入して排出されることから、一対の排水孔の幅方向内側に設けられた第2の吸気孔から雨水が浸入することが抑制される。
【0009】
また、第2のダクト本体を、開口部を水平方向に向けた横向きダクト、又は、開口部を下方に向けた下向きダクトとしたことにより、第1吸気ダクトの下方に近接して第2吸気ダクトを設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一形態例を示すエンジン発電機の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1乃至
図5は、本発明のエンジン作業機の一形態例を示す図である。エンジン発電機11は、防音構造を有する直方体形状のケーシング12の内部に、作業機や、該作業機を駆動するディーゼルエンジンをはじめとした各種機器が収納されている。ケーシング12は、前面のパネル12aに、点検扉13が設けられると共に、該点検扉13の一側方に、ケーシング12内に外気を導入するための第1吸気ダクト14と第2吸気ダクト15とが上下に配置されている。
【0012】
第1吸気ダクト14は、ケーシング12の上方に設けられ、パネル12aに貫通形成された第1の吸気孔14aと、該第1の吸気孔14aよりも下方に形成された一対の排水孔14b,14bと、パネル12aの内側に、第1の吸気孔14aと排水孔14b,14bとを囲んで取り付けられる第1のダクト本体14cとを備えている。第1の吸気孔14aは、正方形状に貫通形成された複数の通孔14eを縦横に整列して長方形上に形成したもので、一対の排水孔14bは、幅方向両端に配列された通孔14eの下部に連続してそれぞれ形成されている。
【0013】
第1のダクト本体14cは、開口部14dを上方に向けた上向きダクトで、パネル12aの内側に、第1の吸気孔14aと一対の排水孔14b,14bとを囲んで取り付けられる。第1のダクト本体14cの底壁14fは、ケーシング12の内側からケーシング側に向けて漸次下方に傾斜する傾斜面で形成され、底壁14fの幅方向両端部に前記一対の排水孔14b,14bがそれぞれ接続されている。
【0014】
第2吸気ダクト15は、第1吸気ダクト14よりも下方に設けられ、パネル12aに貫通形成された第2の吸気孔15aと、パネル12aの内側に、第2の吸気孔15aを囲んで取り付けられる第2のダクト本体15bとを備え、第2のダクト本体15bは、開口部15cを下に向けた下向きダクトで形成されている。第2の吸気孔15aは、第1の吸気孔14aと同様に、正方形状に貫通形成された複数の通孔15dを縦横に整列して長方形状に形成され、一対の排水孔14b,14bの幅方向内側に配置される。
【0015】
上述のように形成されたエンジン発電機11は、雨天時に使用する際には、ケーシング12の天井側からケーシング12のパネル12aの外面に沿って流下する雨水R1が、外気とともに第1の吸気孔14aから第1のダクト本体14c内に浸入するが、浸入した雨水R1は、第1のダクト本体14cの底壁14fに落下し、底壁14fの傾斜によってパネル12a側に集まり、一対の排水孔14b,14bから、雨水R2として外部に排出される。また、天井側からパネル12aの外面に沿って流下する雨水R1は、上述のように排水孔14b,14bから排出されることから、排水孔14b,14bの幅方向内側に設けられた第2の吸気孔15aから雨水R2が浸入することを抑制することができる。
【0016】
本形態例は上述のように、ケーシング12に第1吸気ダクト14と第2吸気ダクト15とを上下2段に設けたことにより、吸気量が増加し、ケーシング12内の冷却効率を向上させることができる。また、第2吸気ダクト15の第2の吸気孔15aから雨水が浸入することを抑制できることから、第2のダクト本体15bを下向きダクトで形成することができ、第1吸気ダクト14と第2吸気ダクト15とを近接して設けることができるとともに、ケーシング内に導入する外気の流れを任意に設定することができる。
【0017】
なお、本発明は、上述の形態例に限るものではなく、第2のダクト本体を、開口を横に向けた横向きダクトで形成してもよく、また、上向きダクトで形成することもできる。
【符号の説明】
【0018】
11…エンジン発電機、12…ケーシング、12a…パネル、13…点検扉、14…第1吸気ダクト、14a…第1の吸気孔、14b…排水孔、14c…第1のダクト本体、14d…開口部、14e…通孔、14f…底壁、15…第2吸気ダクト、15a…第2の吸気孔、15b…第2のダクト本体、15c…開口部、15d…通孔