特開2019-203495(P2019-203495A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-203495(P2019-203495A)
(43)【公開日】2019年11月28日
(54)【発明の名称】液体の位置エネルギー増加装置
(51)【国際特許分類】
   F03G 3/00 20060101AFI20191101BHJP
【FI】
   F03G3/00 A
   F03G3/00 E
   F03G3/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-22167(P2019-22167)
(22)【出願日】2019年2月9日
(31)【優先権主張番号】107117171
(32)【優先日】2018年5月21日
(33)【優先権主張国】TW
(71)【出願人】
【識別番号】519047967
【氏名又は名称】王 源輝
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】王 源輝
(57)【要約】      (修正有)
【課題】再生可能エネルギー源である太陽または風力発電は、屋内環境では実施することが不可能であり、気象条件および地理的状況によって影響される。これを克服した再生可能エネルギーの形で電力を生成する液体位置エネルギー増加装置を提供する。
【解決手段】液体位置エネルギー増加装置は、第1の受入トラフ100と、第2の受入トラフ200と、液体吸収構造体400と、第1の磁気部材500と、第2の磁気部材600とを含む。前記液体吸収構造体は、本体部410と延在部420とを有する。前記延在部は、前記第1の受入トラフ内の液体を前記本体部内に供給する。前記本体部の重量と前記本体部内の液体の重量との合計が磁気吸引力よりも大きい時、前記本体部が重力によって前記第2の受入トラフに衝突するため、前記本体部内の液体の少なくとも一部が前記第2の受入トラフに放出されて、液体の位置エネルギーを増加させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの位置エネルギー増加ユニットを有する液体位置エネルギー増加装置であって、
前記少なくとも1つの位置エネルギー増加ユニットは、
液体を受け入れるように構成されている第1の受入トラフと、
前記第1の受入トラフの上方に配置されている、第2の受入トラフと、
液体吸収構造であって、本体部と延在部とを含み、前記本体部は前記第2の受入トラフ内に位置し、前記延在部が前記本体部に接続されて前記第1の受入トラフまで延びる液体吸収構造体と、
前記第2の受入トラフと前記本体部の上にそれぞれ配置される第1の磁性部材及び第2の磁性部材であって、前記本体部は、前記第1の磁気部材と第2の磁気部材の間の磁気吸引力によって前記第2の受入トラフ上の第1位置に配置され、前記延在部は、前記第1の受入トラフ内の液体を前記本体部に供給するように構成されている、第1の磁性部材及び第2の磁性部材と、を有し、
前記本体部の重量と本体部内に供給された液体の重量の合計が前記磁気吸引力よりも大きい時に、前記本体部は重力によって前記第2の受入トラフ上の前記第1位置から第2位置へ移動して前記第2の受入トラフに衝突し、これにより、前記本体部内の液体の少なくとも一部が前記第2の受入トラフ内に放出されるものである、液体位置エネルギー増加装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体位置エネルギー増加装置において、前記本体部内の液体の少なくとも一部が前記第2の受入トラフ内に放出され、そのため前記本体部の重量と前記本体部内の液体の重量との合計が前記磁気吸引力より小さくなる時、前記本体部は前記磁気吸引力によって前記第1の位置に戻るものである、液体位置エネルギー増加装置。
【請求項3】
請求項1に記載の液体位置エネルギー増加装置において、前記少なくとも1つの位置エネルギー増加ユニットの数は複数であり、前記位置エネルギー増加ユニットのうち少なくとも1つの前記第2の受入トラフと前記位置エネルギー増加ユニットのうち他の1つの前記第1の受入トラフは、同じ高さに互いに連通して配置されるものである、液体位置エネルギー増加装置。
【請求項4】
請求項3に記載の液体位置エネルギー増加装置は、
支持構造をさらに有し、前記支持構造と前記位置エネルギー増加ユニットのうちの1つの前記第1の受入トラフとが同じ高さに配置され、前記位置エネルギー増加ユニットのうちの他の1つの前記第1の受入トラフは前記支持構造体上に支持され、前記少なくとも1つの位置エネルギー増加ユニットの延在部および前記他の1つの位置エネルギー増加ユニットの延在部は、前記液体位置エネルギー増加装置の対向する側にそれぞれ配置されるものである、液体位置エネルギー増加装置。
【請求項5】
請求項1に記載の液体位置エネルギー増加装置において、
前記少なくとも1つの位置エネルギー増加ユニットは複数であり、前記複数の位置エネルギー増加ユニットは水平方向に互いに接続され、前記複数の位置エネルギー増加ユニットのそれぞれの第1の受入トラフともう1つの前記複数の位置エネルギー増加ユニットのうちの他の1つの第1の受入トラフは同じ高さで互いに連通して配置され、前記複数の位置エネルギー増加ユニットのぞれぞれの前記第2の受入トラフと前記複数の位置エネルギー増加ユニットのうちの他の1つの第2の受入トラフとは、同じ高さで互いに連通して配置されているものである、液体位置エネルギー増加装置。
【請求項6】
請求項1に記載の液体位置エネルギー増加装置において、前記第2の受入トラフは、トラフ本体とラック本体とを有し、前記トラフ本体は液体を受け入れるように構成され、前記ラック本体は前記トラフ本体上に配置され、上壁を有し、前記第1の磁気部材は前記上壁上に配置されるものである、液体位置エネルギー増加装置。
【請求項7】
請求項1に記載の液体位置エネルギー増加装置において、前記本体部は、吸液部材と、プレートと、フレームとを有し、前記延在部は、前記吸液部材に接続されており、前記吸液部材の周囲は、前記プレートとフレームの間に挟持され、前記吸液部材は前記フレームから突出し、前記第2の磁性部材は前記プレート上に配置されるものである、液体位置エネルギー増加装置。
【請求項8】
請求項1に記載の液体位置エネルギー増加装置において、前記第2の受入トラフは、トラフ本体とインパクトプレートを有し、前記インパクトプレートは前記トラフ本体内に配置され、前記第2の位置に位置し、前記本体部は前記インパクトプレートに衝突するように構成され、前記インパクトプレート上の液体は前記トラフ本体に放出されるように構成されるものである、液体位置エネルギー増加装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は液体エネルギー増加装置に関し、より詳細には、液体の位置エネルギーを増加可能な装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のエネルギー生成方法は、環境コストの甚だしい消費を伴う。主要なエネルギー生成方法は石炭燃焼であるが、そのようなエネルギー生成方法はしばしば深刻な大気汚染につながる。核汚染や大量の核廃棄物、さらには放射能漏れによる公衆の安全危機さえも引き起こす原子力等の他の方法により、エネルギーが生成される。したがって、再生可能エネルギー源による発電は必然的な傾向である。自然に依存する太陽または風力発電の場合、太陽からの放射光のエネルギーの捕捉または風波のエネルギーの捕捉によって電力を生成するため、屋内環境では実施することが不可能であり、気象条件および地理的状況によって影響される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、再生可能エネルギーの形で電力を生成する液体位置エネルギー増加装置を提供するものである。
【0004】
本発明の一実施形態では、液体位置エネルギー増加装置は、少なくとも1つの位置エネルギー増加ユニットを含み、前記少なくとも1つの位置エネルギー増加ユニットは、第1の受入トラフ、第2の受入トラフ、液体吸収構造体、第1の磁性部材および第2の磁性部材を含む。前記第1の受入トラフは液体を受け入れることができる。前記第2の受入トラフは、前記第1の受入トラフの上方に配置される。前記液体吸収構造体は、本体部と延在部とを有する。前記本体部は前記第2の受入トラフ内に配置され、前記延在部は前記本体部に接続され、且つ前記第1の受入トラフまで延びる。前記第1の磁性部材および前記第2の磁性部材は、それぞれ前記第2の受入トラフおよび前記本体部上に配置される。前記本体部分は、前記第1の磁性部材と第2の磁性部材の間の磁気引力によって前記第2の受入トラフ上の第1の位置に配置される。前記延在部は、前記第1の受入トラフ内の液体を前記本体部内に搬送するように構成される。前記本体部の重量と前記本体部に搬送された液体の重量の合計が磁気吸引力よりも大きいとき、前記本体部は重力により前記第2の受入トラフ上で前記第1の位置から第2の位置へ移動し、前記第2の受入トラフに衝突し、これにより、前記本体部内の液体の少なくとも一部が前記第2の受入トラフ内に放出される。
【0005】
本発明の一実施形態では、前記本体部内の液体の少なくとも一部が前記第2の受入トラフ内に放出され、それによって前記本体部内の重量と前記本体部内の液体の重量の合計が磁気吸引力よりも小さくなると、前記本体部は磁気吸引力によって前記第1の位置に戻る。
【0006】
本発明の一実施形態では、前記液体位置エネルギー増加装置の前記少なくとも1つの位置エネルギー増加ユニットの数は、複数である。前記位置エネルギー増加ユニットのうちの少なくとも1つの前記第2の受入トラフと前記位置エネルギー増加ユニットのうちの他の1つの前記第1の受入トラフは、同じ高さに互いに連通して配置される。
【0007】
本発明の一実施形態では、前記液体位置エネルギー増加装置は支持構造を含む。前記位置エネルギー増加ユニットのうちの1つの支持構造と前記第1の受入トラフは同じ高さに配置され、前記位置エネルギー増加ユニットのうちの他の1つの前記第1の受入トラフは前記支持構造上に支持される。
【0008】
本発明の一実施形態では、前記少なくとも1つの位置エネルギー増加ユニットの延在部および前記位置エネルギー増加ユニットのうちの他の1つの延在部は、それぞれ前記液体位置エネルギー増加装置の対向する側に配置される。
【0009】
本発明の一実施形態では、前記液体位置エネルギー増加装置の前記少なくとも1つの位置エネルギー増加ユニットの数は複数である。前記位置エネルギー増加ユニットは、水平方向に互いに接続されている。前記位置エネルギー増加ユニットのそれぞれの第1の受入トラフと前記位置エネルギー増加ユニットのうちの他の1つの第1の受入トラフとは、同じ高さで互いに連通して配置される。前記位置エネルギー増加ユニットのそれぞれの第2の受入トラフと前記位置エネルギー増加ユニットのうちの他の1つの第2の受入トラフとは、同じ高さに互いに連通して配置される。
【0010】
本発明の一実施の形態では、前記液体位置エネルギー増加装置の第2の受入トラフはトラフ本体とラック本体とを含む。前記トラフ本体は液体を受け入れ可能である。前記ラック本体は、前記トラフ本体上に配置され、上壁を有し、前記第1の磁性部材は、前記上壁の上に配置される。
【0011】
本発明の一実施形態では、前記液体位置エネルギー増加装置の本体部は、吸液部材、プレート、およびフレームを含む。前記延在部は前記吸液部材に接続されている。前記吸液部材の周囲は、前記プレートと前記フレームの間に挟持される。前記吸液部材は前記フレームから突出し、前記第2の磁性部材は前記プレート上に配置される。
【0012】
本発明の一実施の形態では、前記液体位置エネルギー増加装置の延在部の部分セグメントが前記プレートと前記吸液部材との間に挟持される。
【0013】
本発明の一実施形態では、前記液体位置エネルギー増加装置の前記延在部および前記吸液部材はスポンジである。
【0014】
本発明の一実施形態では、前記液体位置エネルギー増加装置の前記延在部と前記吸液部材とは一体的に形成される。
【0015】
本発明の一実施の形態では、前記液体位置エネルギー増加装置の前記第1の磁性部材および前記第2の磁性部材は磁石である。
【0016】
本発明の一実施の形態では、前記液体位置エネルギー増加装置の前記第2の受入トラフは、トラフ本体とインパクトプレートとを含む。前記インパクトプレートは前記トラフ本体の内側に配置されて前記第2の位置に配置され、前記本体部分は前記インパクトプレートに衝突するようになっており、前記インパクトプレート上の液体は前記トラフ本体内に放出されるようになっている。
【0017】
本発明の一実施形態では、前記液体位置エネルギー増加装置のインパクトプレートは、少なくとも1つの開口部を有し、前記インパクトプレート上の液体は前記開口部を通ってトラフ本体内に放出されるようになっている。
【0018】
本発明の一実施形態では、前記液体位置エネルギー増加装置の前記本体部分と前記インパクトプレートのうちの一方は、少なくとも1つの窪み部を有する。前記本体部とインパクトプレートの他方は、少なくとも一つの突出部を有する。前記窪み部と突出部とは衝突するようになっている。
【0019】
本発明の一実施形態では、前記液体位置エネルギー増加装置のインパクトプレートは複数のキャピラリーを含む。
【0020】
本発明の一実施形態では、前記液体位置エネルギー増加装置はフロートを含む。前記フロートは、前記第1の受入トラフの内側に配置され、部分的に前記第1の受入トラフの外側に延びる。
【0021】
本発明の一実施の形態では、前記液位エネルギー増加装置の第1の受入トラフはトラフ本体を含む。前記トラフ本体は液体を受け入れるようになっている。前記液体吸収構造の延在部は前記トラフ本体の第1の領域に配置され、前記第1の受入トラフは前記トラフ本体の第2の領域に配置された少なくとも1つの突出部を有する。
【0022】
要約すると、本発明の実施形態によって提供される液体位置エネルギー増加装置では、前記第1の受入トラフ内に位置する液体は、前記吸液部材の延在部を通って前記第2の受入トラフ内の本体部へと上方に供給される。このようにして、前記本体部が液体を吸収した後、前記本体部は磁性部材の磁気吸引力に抗して重力で移動するのに十分なほど重くなり前記第2の受入トラフに衝突し、これにより前記本体部内の液体の一部が前記2の受入トラフに放出される。次に、前記本体部はこれから液体が放出されることにより軽量になるので、前記本体部は磁性部材の磁気吸引力によって戻される。上述したように、外部資源から提供される力やエネルギーを使用せずに、前記液体吸収構造体の毛細管現象、前記磁気部材による磁力及び前記本体部の重さと本体部内の液体自体の重さによって生じる重力によって、前記第1の受入トラフ内の液体を相対的に高い位置に位置する第2の受入トラフに連続的に供給することができ、これにより、位置エネルギーを大きくすることができる。さらに、前記液体位置エネルギー増加装置は、上述のように外部から加える力またはエネルギー源を使用することなく位置エネルギーの増加を達成することができる。したがって、太陽または風などのエネルギー源を使用し、屋外で実施する必要がある再生可能エネルギー装置とは異なり、本発明の実施形態によって提供される液体位置エネルギー増加装置は屋内環境で実施することができ、天候および地理的条件に影響されない。
【0023】
上記の特徴をより分かりやすくするために、図面と一緒にいくつかの実施形態を以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
添付の図面は、本開示のさらなる理解のために提供されるものであり、本明細書に組み込まれてその一部を構成している。図面は、本開示の例示的な実施形態を示しており、その説明と共に、本開示の原理を説明するのに役立つ。
図1図1は、本発明の一実施形態による液体位置エネルギー増加装置の斜視図である。
図2図2は、図1に示す液体位置エネルギー増加装置の分解図である。
図3A図3Aは、図1に示す液体位置エネルギー増加装置の動作の模式図である。
図3B図3Bは、図1に示す液体位置エネルギー増加装置の動作の模式図である。
図4図4は、図1に示す液体吸収構造体の分解図である。
図5図5は、図1に示す第2の受入トラフのトラフ本体の斜視図である。
図6図6は、図1に示すインパクトプレートの斜視図である。
図7図7は、本発明の他の実施形態による第1の受入トラフの斜視図である。
図8図8は、本発明の他の実施形態に係る吸液部材およびインパクトプレートの斜視図である。
図9図9は、図8に示すインパクトプレートの底面図である。
図10図10は、本発明の他の実施形態に係る吸液部材およびインパクトプレートの斜視図である。
図11図11は、本発明の他の実施形態に係るインパクトプレートの斜視図である。
図12図12は、本発明の他の実施形態による液体位置エネルギー増加装置の斜視図である。
図13図13は、本発明の他の実施形態による液体位置エネルギー増加装置の斜視図である。
図14図14は、図12に示すガイド板の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本発明の一実施形態による液体位置エネルギー増加装置の斜視図である。図2は、図1に示す液体位置エネルギー増加装置の分解図である。図1図2を参照すると、本実施形態の液体位置エネルギー増加装置1は、少なくとも1つの位置エネルギー増加ユニット10を含む。前記少なくとも1つの液体位置エネルギー増加ユニット10は、第1の受入トラフ100、第2の受入トラフ200、液体吸収構造体400、第1の磁性部材500、及び第2の磁性部材600を含む。前記第1の収入トラフ100は、液体(例えば、水)を受け入れることができる。前記第1の受入トラフ100は、内部に排水孔140を有し、前記排水孔140の上部は、前記第1の受入トラフ100から余分な液体を排出するために一定の高さを有する。前記第2の受入トラフ200は、前記第1の受入トラフ100の上方に配置される。
【0026】
前記液体吸収構造体400は、本体部410と延在部420とを含む。前記本体部410は、前記第2の受入トラフ200内に配置されており、前記延在部420は、前記本体部410に接続され、前記第1の受入トラフ100まで延びている。前記第1の磁性部材500および第2の磁性部材600は、それぞれ前記第2の受入トラフ200および前記本体部410の上に配置されている。前記本体部410は、前記第1の磁性部材500と第2の磁性部材600との間の磁気引力によって、前記第2の受入トラフ200上の第1の位置に位置づけられる。
【0027】
図3A及び図3Aは、図1に示す液体位置エネルギー増加装置の動作を説明するための模式図である。本実施形態の延在部420は、第1の受入トラフ100内の液体を本体部410内に供給するように構成される。前記本体部410の重量と本体部に供給された液体の重量の合計が磁気吸引力よりも大きいと、磁気吸引力は、本体部410を第1の位置に位置づけることができなくなる。したがって、本体部410は、図1図3Aに示す第1位置か、図3Bに示されているように、第2の受入トラフ200上の第2の位置に移動し、前記第2の受入トラフ200に衝突するので、これにより、前記本体部410内の液体の少なくとも一部が前記第2の受入トラフ200内に放出される。これにより、本体部410は、液体の一部が放出されたことにより重量が軽くなったので、磁性引力により前記第1の位置に戻る。本実施形態では、前記本体部410は、図1及び図3Aに示す第1位置から、図3Bに示された第2の受入トラフ200上の第2位置へ重力により降下するが、本発明はこれに限定されるものではない。他の実施形態では、本体部410は、重力によって振り子式に第2の受入トラフ200に衝突するようにしてもよく、または重力による他の適切な動きを使って第2の受容トラフ200に衝突するようにしてもよい。
【0028】
上述したように、外部から適用される力またはエネルギー源を使用せずに、液体吸収構造体400の毛細管現象、磁性部材の磁力と、本体部410の重量と本体部410内の液体自体の重量とによる重力とによって、第1の受入トラフ100内の液体を比較的高い位置にある第2の受入200に連続的に供給することができ、これにより位置エネルギーを増加させることができる。さらに、液体位置エネルギー増加装置1は、上述したように外部から加えられる力またはエネルギー源を使用することなく位置エネルギーの増加を達成することができる。したがって、太陽や風などのエネルギー源を使用し、屋外で実施する必要がある再生可能エネルギー装置とは異なり、本実施形態の液体位置エネルギー増加装置1は屋内環境で実施することができ、天候および地理的条件による悪影響を受けない。
【0029】
本実施形態では、第1位置(図1および図3Aに示す)と第2位置(図3Bに示す)との間の距離が離れるほど、本体部410が第2の受入トラフ200を打ち付ける力が強くなる。このように、より多くの液体が本体部410から第2の受入トラフ200へ放出されるようになる。一方、第1の位置と第2の位置の間の距離が拡大するにつれて、第1の磁気部材500と第2の磁気部材600との間の磁気吸引力は減少する。したがって、第1の位置と第2の位置との間の距離は設計要件に従って適切に調整することができる。なお、上記移動中に本体部410が第1位置から第2位置に移動すると位置エネルギーが失われるが、第2位置は第1の受入トラフよりも依然として高いため、やがて液体位置エネルギーは増加する。
【0030】
なお、本実施形態の液体位置エネルギー増加装置1は、上述したように、位置エネルギーを増加させる手段であり本発明に従って実施可能である、磁気吸引力、毛細管現象、及び重力により、液体の位置エネルギーの増加を達成可能である。
【0031】
以下、本実施形態の液体吸収構造体400の構成について詳細に説明する。図4は、図1に示す液体吸収構造体の分解図である。図1図2、及び図4に示すように、液体吸収構造体400は、本体部410と延在部420を含む。本体部410は、吸液部材411と、プレート412と、フレーム413を含む。延在部420は、前記吸液部材411に接続される。吸液部材411の周囲は、プレート412とフレーム413との間に挟持される。吸液部材411は、フレーム413から突出しており、第2の磁性部材600は、プレート412上に配置されている。さらに、本実施形態の延在部420は、その一部がプレート412と吸液部材411との間に挟まれている。延在部420と吸液部材411とはスポンジであってもよく、一体成形された構造であってもよい。第1の磁性部品500および第2の磁性部品600は磁石であってよい。本実施形態の液体吸収構造体400は、装置の裏側から交換することができる。したがって、メンテナンスが必要な場合には、液体吸収構造体400のみを交換すればよく、交換やメンテナンス作業が容易になる。
【0032】
本実施形態の第二の受入トラフ200の構造について詳細に説明する。図5は、図1に示す第2の受入トラフのトラフ本体の斜視図である。図6は、図1に示すインパクトプレートの斜視図である。図2図5図6に示すように、本実施形態の第2の受入トラフ200は、トラフ本体210と、ラック本体220と、インパクトプレート230とを含む。トラフ本体210は、液体を受け入れるようになっている。ラック本体220は、トラフ本体210の上に配置され、上壁221を有し、第1の磁性部品500は、上壁221の上に配置されている。インパクトプレート230は、トラフ本体210の内側に配置され、第2の位置の位置する。インパクトプレート230は、少なくとも1つの開口部231と複数の位置決め孔234とを有する。本体部410がインパクトプレート230に衝突して、本体部410内の液体の一部がインパクトプレート230上に放出されると、インパクトプレート230上の液体は、開口部231を介してトラフ本体210内に放出されるようになっている。
【0033】
さらに、トラフ本体210は、複数の係合部材213をさらに含み、この係合部材213はラック本体220と係合するように構成されている。第2の受入トラフ200はさらに複数の位置決めポール214とバッフル215を含む。位置決めポール214は、インパクトプレート230の位置決め孔234に挿入可能で、これにより、インパクトプレート230は、位置決めポール214によって支持及び位置決めされる。インパクトプレート230は、バッフル215が配置されるように固定位置に配置できる。第1の受入トラフ100および第2の受入トラフ200は、係合部材を介してまたは他の適切な構造を介して係合することができる。本実施形態のインパクトプレート230は、装置の裏側から交換することができる。したがって、メンテナンスが必要な場合には、インパクトプレート230のみを交換すればよく、それにより便利な交換および保守作業が可能になる。
【0034】
図7は、本発明の他の実施形態による第1の受入トラフの斜視図である。図7に示すように、本実施形態の第1の受入トラフ100はフロート130を含む。フロート130は第1の受入トラフ100の内側に配置され、部分的に第1の受入トラフ100の外側に延びる。ユーザーは、誤動作に関する液体位置エネルギー増加装置1の異常状態を確認するために、フロート130の高さによって前記第1の受入トラフ100の液体の量が正常であるかどうかを判断してもよい。さらに、第1の受入トラフ100のトラフ本体110は液体を受け入れるようになっている。液体吸収構造体400の延在部420はトラフ本体110の第1の領域111に配置され、第1の受入トラフ100はトラフ本体110の第2の領域112に配置された少なくとも1つの突出部120を有する。突出部120の設定により、延在部420が位置する第1の領域111に液体を集中させ、これによりより少ない液量で液体位置エネルギー増加装置1を円滑に作動させることができ、その結果、省液効果を得ることができる。
【0035】
図8は本発明の他の実施形態に係る吸液部材およびインパクトプレートの斜視図である。図9は、図8に示すインパクトプレートの底面図である。図8及び図9を参照すると、本実施形態と前述の実施形態との相違点は、本実施形態の吸液部材411’が複数の突起411aを有し、インパクトプレート230’が複数の窪み部230aを有することである。突出部411aと窪み部230aとを構成することにより、吸液部材411’とインパクトプレート230’が衝突可能な衝突面積を拡大し、これにより吸液部材411’が衝突した後に放出される液体量を増加させることができる。図9に示すように、インパクトプレート230の開口部231’は、窪み部230aの構造設計に合うように窪み部230aの構造に沿って設計してもよい。
【0036】
図10は、本発明の他の実施形態に係る吸液部材およびインパクトプレートの斜視図である。図10を参照すると、本実施形態と上述した実施形態との相違点は、本実施形態における吸液部材411’’の突出部411bの数とインパクトプレート230’’の窪み部230bの数が図8に示すものより多いという点であり、これにより、吸液部材411’’とインパクトプレート230’’の衝突面積がさらに大きくなり、吸液部材411’’が衝突した後に放出される液体量が増加する。さらに、本実施形態のインパクトプレート230’’は、2つの構成要素2301および2302を含むが、本発明はこれに限定されるものではない。本実施形態では、本体部分410’’の材料、寸法、構造、形状(インパクトプレートと一致する)、および弾性率を調整し、同時にインパクトプレート230の前述のパラメータを修正して、衝突効果を改善することができる。
【0037】
図11は、本発明の他の実施形態に係るインパクトプレートの斜視図である。図11を参照すると、本実施形態と前述の実施形態との相違点は、本実施形態のインパクトプレート230’’’を複数のキャピラリー232で構成することができ、それによってより良い排水効率を可能にすることである。
【0038】
図12は、本発明の他の実施形態による液体位置エネルギー増加装置の斜視図である。図12を参照すると、本実施形態の液体位置エネルギー増加装置1’は、複数の位置エネルギー増加ユニット10(3つのユニットとして図示)を有し、さらに支持構造体300を含む。図12の左下側に図示の位置エネルギー増加ユニット10の支持構造300と第1の受入トラフ100は同じ高さに配置されている。図12の右側に図示の位置エネルギー増加ユニット10の第1の受入トラフ100は、支持構造300上に支持され、図12の右側に図示の位置エネルギー増加ユニット10の第1の受入トラフ100と、図12の左下側に図示の位置エネルギー増加ユニット10の第2の受入トラフ200は、同じ高さに互いに連通して配置されている。同様に、図12の左上に図示の位置エネルギー増加ユニット10の第1の受入トラフ100および図12の右側に図示の位置エネルギー増加ユニット10の第2の受入トラフ200は、同じ高さに互いに連通して配置されている。このようにして、位置エネルギー増加ユニット10は、高さ方向に交互に積層される。そのために、液体はより高い位置に供給され、それによってより大きな位置エネルギーを得ることができる。他の実施形態では、他の適切な数の位置エネルギー増加ユニット10が適用されてもよく、それに限定されるものでもない。
【0039】
本実施形態では、図12の左下側に図示の位置エネルギー増加ユニット10の延在部420と図12の右側に図示の位置エネルギー増加ユニット10の延在部420はそれぞれ、液体位置エネルギー増加装置1’の対向する側に配置されている。同様に、図12の左上に図示の位置エネルギー増加ユニット10の延在部420と図12の右側に図示の位置エネルギー増加ユニット10の延在部420とはそれぞれ液体位置エネルギー増加装置1’の対向する側に配置されている。
【0040】
図13は、本発明の他の実施形態による液体位置エネルギー増加装置の斜視図である。図13に示すように、本実施形態の液位エネルギー増加装置1’’の位置エネルギー増加ユニット10は、さらに水平方向に別のものに接続されている。具体的には、各位置エネルギー増加ユニット10の第1の受入トラフ100と他の1つの位置エネルギー増加ユニット10の第1の受入トラフ100は同じ高さに配置され、互いに連通している。各位置エネルギー増加ユニット10の第2の受入トラフ200と位置エネルギー増加ユニット10の他の1つの第2の受入トラフ200は同じ高さに位置し、互いに連通している。複数の位置エネルギー増加ユニット10を水平に接続することによって、より高い位置で液体位置エネルギー増加装置1’’によって蓄積される液体の量を増加させることができる。
【0041】
図14は、図12及び図13に示すガイド板の斜視図である。図12、13、14に示すように、本実施形態では、装置の上部にある第2の受入トラフ200は、トラフ本体210とガイド板240とを含む。トラフ本体210は液体を受け取るようになっており、前記トラフ本体210の側壁211は液体を切欠き212を有する。ガイド板240は、切欠き212に隣接しており、トラフ本体210の外側に位置している。トラフ本体210の内側の液体は、ガイド板240に沿って切欠き212を通って排出され、最も高い位置から放出されるようになっている。例えば、本実施形態のガイド板240は、その組み立て部215によってトラフ本体210に組み立てられているが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0042】
上述したように、本発明による液体位置エネルギー増加装置では、第1の受入トラフ内の液体は、液体吸収構造体の延在部を通って第2の受入トラフ内の本体部へと上方へ運ばれる。このように、本体部が液体を吸収した後、本体部は、磁性部品の磁気吸引力に抗して重力により移動するのに十分なほど重くなり、第2の受入トラフに衝突するので、これにより本体部内の液体が部分的に第2の受入トラフに放出される。次に、本体部から液体が放出されたことにより本体部が軽くなるので、本体部は磁気吸引力によって元に戻る。上述したように、外部資源によって提供される力またはエネルギーを使用せずに、液体吸収構造体の毛細管現象、磁気部材の磁力、本体部の重量及び本体部内の液体の重量によって生じた重力によって、第1の受入トラフ内の液体を相対的に高い位置に位置する第2の受入トラフに連続的に運搬することができ、これにより位置エネルギーを増加させることができる。液体の位置エネルギーを増加させる本発明の実施形態を使用することによって、そのような位置エネルギーは、水力発電などの他のエネルギー変換にさらに使用することができる。さらに、本発明の実施形態によって提供される液体位置エネルギー増加装置は、従来のエネルギー生成システムの様々な欠点を改善する。例えば、本発明の実施形態によって提供される液体位置エネルギー増加装置は、大気汚染を起こさず、核廃棄物を生成しないので、石炭火力および原子力発電施設に対して利点を有する。さらに、液体位置エネルギー増加装置は、上述のように外部から加えられる力またはエネルギー源を使用することなく位置エネルギーの増加を達成することができる。したがって、太陽または風などのエネルギー源を使用し、屋外で実施する必要がある再生可能エネルギー装置とは異なり、本発明の実施形態によって提供される液体位置エネルギー増加装置は屋内プラントで実施することができ、天候および地理的条件に耐えることができる。メンテナンスが必要な場合は、本発明の実施形態に従って液体吸収構造体またはインパクトプレートなどの対応する装置のみを交換すればよく、それによって便利な交換および保守作業が可能になる。
【0043】
本開示の範囲または精神から逸脱することなく、開示された実施形態に対して様々な修正および変形をなし得ることが当業者には明らかであろう。上記を考慮して、本開示は、それらが以下の特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲内に含まれるという条件で、変更および変形を網羅することが意図されている。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【外国語明細書】
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2019203495000002.pdf
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