特開2019-203531(P2019-203531A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2019-203531ローリングボールボルトキット及びその使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-203531(P2019-203531A)
(43)【公開日】2019年11月28日
(54)【発明の名称】ローリングボールボルトキット及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   F16H 25/24 20060101AFI20191101BHJP
   F16H 25/22 20060101ALI20191101BHJP
【FI】
   F16H25/24 B
   F16H25/22 Z
   F16H25/24 H
   F16H25/24 A
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-97601(P2018-97601)
(22)【出願日】2018年5月22日
(11)【特許番号】特許第6514809号(P6514809)
(45)【特許公報発行日】2019年5月15日
(71)【出願人】
【識別番号】518162913
【氏名又は名称】陳 豐田
(74)【代理人】
【識別番号】110000198
【氏名又は名称】特許業務法人湘洋内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】陳 豐田
【テーマコード(参考)】
3J062
【Fターム(参考)】
3J062AB22
3J062AC07
3J062BA16
3J062CD04
3J062CD47
3J062CD54
3J062CD60
(57)【要約】      (修正有)
【課題】重複使用回数を効果的に拡大することができるローリングボールボルトキットを提供する。
【解決手段】ローリングボールボルトキットはボルト90に螺旋状ボルト溝槽91を有し、第一ナットセットは第一ナット及び一組の複数の第一ローリングボールを有し、第一ナットは第一穿孔を有し、第一穿孔の内表面には螺旋状第一ナット溝槽を有し、各第一ローリングボールと第一ナット溝槽内壁面の間は予定の接触角で接触し、第二ナットセットは第二ナット、一組の複数の第二ローリングボールを有し、第二ナットは第二穿孔を有し、第二穿孔の内表面に螺旋状第二ナット溝槽を有し、各第二ローリングボールと第二ナット溝槽内壁面の間は予定の接触角で接触し、第二ナットセットの接触角と第一ナットセットの接触角は異なり、第一ナットセットはボルトと組合わせて使用され、第一ナットセットがボルト上に第一磨損軌跡13を形成したなら第二ナットセットに交換する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローリングボールボルトキットであって、ボルト、第一ナットセット、第二ナットセット、第三ナットセットを有し、
前記ボルトの外表面上には、螺旋状を呈するボルト溝槽を有し、
前記第一ナットセットは、第一ナット及び一組の複数の第一ローリングボールを有し、前記第一ナットは、第一穿孔を有し、前記第一穿孔の内表面には、螺旋状を呈する第一ナット溝槽を有し、前記各第一ローリングボールは、前記第一ナット溝槽内に置かれ、前記各第一ローリングボールと前記第一ナット溝槽内壁面との間は、予定の接触角で接触し、前記第一ナット溝槽半分側のローリングボール接触角ともう半分側のローリングボール接触角は、反対方向を呈し、
前記第二ナットセットは、第二ナット及び一組の複数の第二ローリングボールを有し、前記第二ナットは、第二穿孔を有し、前記第二穿孔の内表面には、螺旋状を呈する第二ナット溝槽を有し、前記各第二ローリングボールは、前記第二ナット溝槽内に置かれ、前記各第二ローリングボールと前記第二ナット溝槽内壁面との間は、予定の接触角で接触し、前記第二ナット溝槽半分側のローリングボール接触角ともう半分側のローリングボール接触角は、反対方向を呈し、しかも第二ナットセットの接触角と第一ナットセットの接触角は異なり、
これにより、前記第一ナットセットと前記第二ナットセットは、交換方式で独自に前記ボルトと組み合わせて使用され、これにより前記第一ナットセットは、前記ボルトのボルトねじ溝内壁面の両側に、第一磨損軌跡をそれぞれ磨損して形成し、前記第二ナットセットは、前記ボルトのボルトねじ溝内壁面両側に、第二磨損軌跡をそれぞれ磨損して形成し、しかも前記第一磨損軌跡と第二磨損軌跡は相互に重ならない
ことを特徴とする、ローリングボールボルトキット。
【請求項2】
前記ローリングボールボルトキットはさらに、第三ナットセットを有し、
前記第三ナットセットは、第三ナット及び一組の複数の第三ローリングボールを有し、前記第三ナットは、第三穿孔を有し、前記第三穿孔の内表面には、螺旋状を呈する第三ナット溝槽を有し、前記各第三ローリングボールは、前記第三ナット溝槽内に置かれ、前記各第三ローリングボールと前記第三ナット溝槽内壁面との間は、予定の接触角で接触し、前記第三ナット溝槽半分側のローリングボール接触角ともう半分側のローリングボール接触角は、反対方向を呈し、しかも第三ナットセットの接触角と第一ナットセットの接触角及び第二ナットセットの接触角は異なり、
前記第三ナットセットは、交換方式で独自に前記ボルトと組み合わせて使用され、前記第三ナットセットは、前記ボルトのボルトねじ溝内壁面の両側に、第三磨損軌跡をそれぞれ磨損して形成し、しかも前記第一磨損軌跡、第二磨損軌跡及び第三磨損軌跡は相互に重ならない
ことを特徴とする、請求項1に記載のローリングボールボルトキット。
【請求項3】
ローリングボールボルトキットは、ボルト、第一ダブルナットセット、第二ダブルナットセットを有し、
前記ボルトの外表面上には、螺旋状を呈するボルト溝槽を有し、
前記第一ダブルナットセットは、2個の第一ナット及び2組の複数の第一ローリングボールを有し、2個の第一ナットは一体に連接され、前記各第一ナットは、第一穿孔を有し、前記各第一穿孔の内表面には、螺旋状を呈する第一ナット溝槽を有し、前記2組の複数の第一ローリングボールは、それが対応する前記第一ナット溝槽内に置かれ、前記各組の第一ローリングボールと対応する前記第一ナット溝槽内壁面との間は、予定の接触角で接触し、
前記第一ダブルナットセットの第一ナット及びその第一ローリングボール間の接触角と前記もう一つの第一ナット及びもう一つの第一ローリングボール間の接触角は、反対方向を呈し、
前記第二ダブルナットセットは、2個の第二ナット及び2組の複数の第二ローリングボールを有し、2個の第二ナットは一体に連接され、前記各第二ナットは、第二穿孔を有し、前記各第二穿孔の内表面には、螺旋状を呈する第二ナット溝槽を有し、前記2組の複数の第二ローリングボールは、それが対応する前記第二ナット溝槽内に置かれ、前記各組の第二ローリングボールと対応する前記第二ナット溝槽内壁面との間は、予定の接触角で接触し、
前記第二ダブルナットセットの第二ナット及びその第二ローリングボール間の接触角と前記もう一つの第二ナット及びもう一つの第二ローリングボール間の接触角は、反対方向を呈し、しかも第二ダブルナットセットの接触角と第一ダブルナットセットの接触角は異なり、
これにより、前記第一ダブルナットセットと前記第二ダブルナットセットは、交換方式で独自に前記ボルトと組み合わせて使用され、これにより前記第一ダブルナットセットは、前記ボルトのボルトねじ溝内壁面の両側に、第一磨損軌跡、第四磨損軌跡をそれぞれ磨損して形成し、前記第二ダブルナットセットは、前記ボルトのボルトねじ溝内壁面両側に、第二磨損軌跡、第五磨損軌跡をそれぞれ磨損して形成し、しかも前記第一磨損軌跡、第四磨損軌跡、第二磨損軌跡、第五磨損軌跡は相互に重ならない
ことを特徴とする、ローリングボールボルトキット。
【請求項4】
前記ローリングボールボルトキットはさらに、第三ダブルナットセットを有し、
前記第三ダブルナットセットは、2個の第三ナット及び2組の複数の第三ローリングボールを有し、2個の第三ナットは一体に連接され、前記各第三ナットは、第三穿孔を有し、前記各第三穿孔の内表面には、螺旋状を呈する第三ナット溝槽を有し、前記2組の複数の第三ローリングボールは、それが対応する前記第三ナット溝槽内に置かれ、前記各組の第三ローリングボールと対応する前記第三ナット溝槽内壁面との間は、予定の接触角で接触し、
前記第三ダブルナットセットの第三ナット及びその第三ローリングボール間の接触角と前記もう一つの第三ナット及びもう一つの第三ローリングボール間の接触角は、反対方向を呈し、しかも第三ダブルナットセットの接触角と第一ダブルナットセットの接触角及び第二ダブルナットセットの接触角は異なり、
前記第三ダブルナットセットは、交換方式で独自に前記ボルトと組み合わせて使用され、前記第三ダブルナットセットは、前記ボルトのボルトねじ溝内壁面の両側に、第三磨損軌跡、第六磨損軌跡を磨損により形成し、しかも前記第一磨損軌跡、第四磨損軌跡、第二磨損軌跡、第五磨損軌跡、第三磨損軌跡、第六磨損軌跡は相互に重ならない
ことを特徴とする、請求項3に記載のローリングボールボルトキット。
【請求項5】
ローリングボールボルトキットの使用方法は、以下のステップを含み、
前記ボルトの外表面上には、螺旋状を呈するボルト溝槽を有し、
前記第一ナットセットは、少なくとも第一ナット及び少なくとも一組の複数の第一ローリングボールを有し、前記第一ナットは、第一穿孔を有し、前記第一穿孔には、前記ボルトを通して設置し、前記第一穿孔の内表面には、螺旋状を呈する第一ナット溝槽を有し、前記各第一ローリングボールは、前記第一ナット溝槽内に置かれ、前記各第一ローリングボールと前記第一ナット溝槽内壁面との間は、予定の接触角で接触し、
第二ナットセットは予備で、前記第二ナットセットは、少なくとも第二ナット及び少なくとも一組の複数の第二ローリングボールを有し、前記第二ナットは、第二穿孔を有し、前記第二穿孔の内表面には、螺旋状を呈する第二ナット溝槽を有し、前記各第二ローリングボールは、前記第二ナット溝槽内に置かれ、前記各第二ローリングボールと前記第二ナット溝槽内壁面との間は、予定の接触角で接触し、しかも第二ナットセットの接触角と第一ナットセットの接触角は異なり、
前記第一ナットセットが、前記ボルト上に、第一磨損軌跡を磨損により形成したなら、前記第一ナットセットを、前記ボルト上から取り外し、前記第二ナットセットと前記ボルトキットに交換して使用し、前記第二ナットセットは、前記ボルト上に第二磨損軌跡を磨損により形成し、しかも前記第一磨損軌跡と第二磨損軌跡は相互に重ならない
ことを特徴とする、ローリングボールボルトキットの使用方法。
【請求項6】
前記ローリングボールボルトキットの使用方法はさらに、予備である第三ナットセットを用い、
前記第三ナットセットは、少なくとも第三ナット及び少なくとも一組の複数の第三ローリングボールを有し、前記第三ナットは、第三穿孔を有し、前記第三穿孔の内表面には、螺旋状を呈する第三ナット溝槽を有し、前記各第三ローリングボールは、前記第三ナット溝槽内に置かれ、前記各第三ローリングボールと前記第三ナット溝槽内壁面との間は、予定の接触角で接触し、しかも第三ナットセットの接触角と第一ナットセットの接触角及び第二ナットセットの接触角は異なり、
前記第二ナットセットが、前記ボルト上に、前記第二磨損軌跡を磨損により形成したなら、前記第二ナットセットを、前記ボルト上から取り外し、前記第三ナットセットと前記ボルトキットに交換して使用し、前記第三ナットセットは、前記ボルト上に第三磨損軌跡を磨損により形成し、しかも前記第一磨損軌跡、第二磨損軌跡及び第三磨損軌跡は相互に重ならない
ことを特徴とする、請求項5に記載のローリングボールボルトキットの使用方法。
【請求項7】
前記第三ナットセットは、第三ダブルナットセットで、前記第三ダブルナットセットは相互に連接する2個の第三ナット及び2組の複数の第三ローリングボールを有し、第三ナットセットの第三ナット及びその第三ローリングボール間の接触角と前記もう一つの第三ナット及びもう一つの第三ローリングボール間の接触角は、反対方向を呈する
ことを特徴とする、請求項6に記載のローリングボールボルトキットの使用方法。
【請求項8】
前記第一ナットセットは、第一ダブルナットセットで、前記第一ダブルナットセットは相互に連接する2個の第一ナット及び2組の複数の第二ローリングボールを有し、
第一ナットセットの第一ナット及びその第一ローリングボール間の接触角ともう一つの第一ナット及びもう一つの第一ローリングボール間の接触角は、反対方向を呈し、
前記第二ナットセットは、第二ダブルナットセットで、前記第二ダブルナットセットは相互に連接する2個の第二ナット及び2組の複数の第二ローリングボールを有し、第二ナットセットの第二ナット及びその第二ローリングボール間の接触角ともう一つの第二ナット及びもう一つの第二ローリングボール間の接触角は、反対方向を呈する
ことを特徴とする、請求項5に記載のローリングボールボルトキットの使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はローリングボールボルトキットに関し、特にローリングボールボルトキット及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ローリングボールボルトの主要構成部材は、ボルト、ナット及び多数のローリングボール(スチールボール)、その他のアクセサリーである。
それは、ボルトの回転を利用し、ローリングボールを連動し、ボルトとナットの間で循環ローリング接触を行わせ、これによりナットにより直線運動を行う機械伝動構成部材とするものである。
ローリングボールボルトは、定位精度が高く、寿命が長く、低汚染で、高速正逆方向伝動及び変換伝動が行えるなどの特性を備えるため、近来精密科学産業及び精密機械産業の定位及び測量システム上の重要なパーツの一つとなっている。
【0003】
ローリングボールボルトの精度を高めるため、ローリングボールボルトの組み立て時には、一定のプレ圧力を加える。
これにより、ローリングボールは、ボルトとナットの間で、プレ設置の接触角により緊密接触を行う。
そのため、ある程度の期間の使用後には、ローリングボール自身が磨損するばかりか、ボルト及びナットとローリングボール接触の位置(プレ設置接触角位置)にも磨損の軌跡を生じる。
こうして、定位精度の低下及び伝動スムーズ性不良の問題を生じる。
【0004】
これに対する一般的な対策は、ローリングボールボルト全体、即ちボルト、ナットとローリングボール及びその他アクセサリーを全て交換し、新しいローリングボールボルトに置換し、定位の精度及び伝動のスムーズ性を確保するものである。
しかしこれにより、設備のメンテナンスコストが高騰する。
また、ボルトは加工が最も難しいパーツであるため、そのコストも最も高く、もし頻繁に過ぎる交換を行ったなら、業者のコストは上昇し、しかも有効にボルトを利用することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記先行技術には、定位精度の低下及び伝動スムーズ性不良の問題を解決するため、ローリングボールボルト全体を交換するが、これによりメンテナンスコストを高騰させている欠点がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はボルトの重複使用回数を効果的に拡大し、こうしてボルトの使用寿命を延長し、コスト低下の効果を達成することができるローリングボールボルトキット及びその使用方法に関する。
【0007】
本発明によるローリングボールボルトキットは、ボルト、第一ナットセット、第二ナットセット、第三ナットセットを有する。
該ボルトの外表面上には、螺旋状を呈するボルト溝槽を有し、第一ナットセットは、第一ナット及び一組の複数の第一ローリングボールを有する。
該第一ナットは、第一穿孔を有し、該第一穿孔の内表面には、螺旋状を呈する第一ナット溝槽を有し、該各第一ローリングボールは、該第一ナット溝槽内に置かれ、該各第一ローリングボールと該第一ナット溝槽内壁面との間は、予定の接触角で接触し、該第一ナット溝槽半分側のローリングボール接触角ともう半分側のローリングボール接触角は、反対方向を呈する。
第二ナットセットは、第二ナット及び一組の複数の第二ローリングボールを有する。
該第二ナットは、第二穿孔を有し、該第二穿孔の内表面には、螺旋状を呈する第二ナット溝槽を有し、該各第二ローリングボールは、該第二ナット溝槽内に置かれ、該各第二ローリングボールと該第二ナット溝槽内壁面との間は、予定の接触角で接触し、該第二ナット溝槽半分側のローリングボール接触角ともう半分側のローリングボール接触角は、反対方向を呈し、しかも第二ナットセットの接触角と第一ナットセットの接触角は異なる。
これにより、該第一ナットセットと該第二ナットセットは、交換方式で独自に該ボルトと組み合わせて使用され、これにより該第一ナットセットは、該ボルトのボルト溝槽内壁面両側上に、第一磨損軌跡をそれぞれ磨損して形成し、該第二ナットセットは、該ボルトのボルト溝槽内壁面両側上に、第二磨損軌跡をそれぞれ磨損して形成し、しかも該第一磨損軌跡と第二磨損軌跡は相互に重ならない。
これにより、ボルトの使用寿命延長を達成し、メンテナンスコストの支出を減らすことができる。
【0008】
本発明がさらに提供するローリングボールボルトキットの使用方法は、以下のステップを含む。
ボルトの外表面上には、螺旋状を呈するボルト溝槽を有する。
第一ナットセットは、少なくとも第一ナット及び一組の複数の第一ローリングボールを有する。
該第一ナットは、第一穿孔を有し、該第一穿孔には、該ボルトを通して設置し、該第一穿孔の内表面には、螺旋状を呈する第一ナット溝槽を有し、該各第一ローリングボールは、該第一ナット溝槽及び該ボルト溝槽内に置かれる。
該各第一ローリングボールと該第一ナット溝槽内壁面及び該ボルト溝槽内壁面との間は、予定の接触角で接触し、該第一ナット溝槽半分側のローリングボール接触角ともう半分側のローリングボール接触角は、反対方向を呈する。
予備である第二ナットセットを用い、該第二ナットセットは、少なくとも第二ナット及び一組の複数の第二ローリングボールを有し、該第二ナットは、第二穿孔を有し、該第二穿孔の内表面には、螺旋状を呈する第二ナット溝槽を有し、該各第二ローリングボールは、該第二ナット溝槽内に置かれ、該各第二ローリングボールと該第二ナット溝槽内壁面との間は、予定の接触角で接触し、該第二ナット溝槽半分側のローリングボール接触角ともう半分側のローリングボール接触角は、反対方向を呈し、しかも第二ナットセットの接触角と第一ナットセットの接触角は異なる。
該第一ナットセットが、該ボルトのボルト溝槽内壁面両側上に、第一磨損軌跡を磨損によりそれぞれ形成したなら、該第一ナットセットを、該ボルト上から取り外し、該第二ナットセットと該ボルトキットに交換して使用し、該第二ナットセットは、該ボルトのボルト溝槽内壁面両側上に、第二磨損軌跡をそれぞれ磨損して形成し、しかも該第一磨損軌跡と第二磨損軌跡は相互に重ならない。
これにより、ボルトの使用寿命延長を達成し、メンテナンスコストの支出を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明第一実施形態のボルト、ナット、ローリングボールの配置模式図である。
図2図1に示す実施形態のボルト、ナット左半分側の断面模式図であり、ナットのローリングボール接触角を示す。
図3図1に示す実施形態中ボルトの磨損模式図である。
図4図1に示す実施形態のボルト、ナット左半分側の断面模式図であり、ナットのローリングボール接触角が40度であることを示す。
図5図1に示す実施形態のボルト、ナット左半分側の断面模式図であり、ナットのローリングボール接触角が50度であることを示す。
図6図1に示す実施形態のボルト、ナット左半分側の断面模式図であり、ナットのローリングボール接触角が60度であることを示す。
図7図1に示す実施形態中のボルトの磨損模式図である。
図8】本発明第二実施形態のボルト、ナット、ローリングボールの配置模式図である。
図9図8に示す実施形態のボルト、2個の第一ナットの断面模式図であり、2個の第一ナットのローリングボール接触角が反対向きの40度であることを示す。
図10図8に示す実施形態のボルト、2個の第二ナットの断面模式図であり、2個の第二ナットのローリングボール接触角が反対向きの50度であることを示す。
図11図8に示す実施形態のボルト、2個の第三ナットの断面模式図であり、2個の第三ナットのローリングボール接触角が反対向きの60度であることを示す。
図12図8に示す実施形態中のボルトの磨損模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(一実施形態)
図1図7に示す通り、本発明第一実施形態によるローリングボールボルトキット100は、ボルト90、第一ナットセット10、第二ナットセット20、第三ナットセット30を有する。
【0011】
図1及び図2に示す通り、ボルト90の外表面上には、螺旋状を呈するボルト溝槽91を有する。
【0012】
図1及び図4に示す通り、第一ナットセット10は、第一ナット11及び一組の複数の第一ローリングボール12を有する。
第一ナット11は、第一穿孔111を有する。
第一穿孔111の内表面には、螺旋状を呈する第一ナット溝槽112を有する。
各第一ローリングボール12は、多数のスチールボールである。
各第一ローリングボール12は、第一ナット11の第一ナット溝槽112内に置かれる。
各第一ローリングボール12と第一ナット溝槽112内壁面接触の接触角は、40度である。
ナット溝槽112半分側のローリングボール12接触角ともう半分側のローリングボール接触角は、反対方向を呈する(図1参照)。
【0013】
図5に示す通り、第二ナットセット20は、第二ナット21及び一組の複数の第二ローリングボール22を有する。
第二ナット21は、第二穿孔211を有する。
第二穿孔211の内表面には、螺旋状を呈する第二ナット溝槽212を有する。
各第二ローリングボール22は、多数のスチールボールである。
各第二ローリングボール22は、第二ナット21の第二ナット溝槽212内に置かれる。
各第二ローリングボール22と第二ナット溝槽212内壁面接触の接触角は、50度である。
ナット溝槽212半分側のローリングボール22接触角ともう半分側のローリングボール接触角は、反対方向を呈する。
【0014】
図6に示す通り、第三ナットセット30は、第三ナット31及び一組の複数の第三ローリングボール32を有する。
第三ナット31は、第三穿孔311を有する。
第三穿孔311の内表面には、螺旋状を呈する第三ナット溝槽312を有する。
各第二ローリングボール32は、多数のスチールボールである。
各第三ローリングボール32は、第三ナット31の第三ナット溝槽312内に置かれる。
各第三ローリングボール32と第三ナット溝槽312内壁面接触の接触角は、60度である。
ナット溝槽312半分側のローリングボール32接触角ともう半分側のローリングボール接触角は、反対方向を呈する。
【0015】
上記は本発明第一実施形態によるローリングボールボルトキット100の各部構成部材の紹介である。
続いては、その組み立て方式及びその使用の特徴について紹介する。
【0016】
先ず、ボルト90を、第一ナットセット10の第一穿孔111中に通して設置する。
これにより、第一ローリングボール12は、ボルト90のボルト溝槽91と第一ナット11の第一ナット溝槽112中に位置し、ボルト90と第一ナットセット10に対してプレ圧力を加える。
これにより、第一ローリングボール12とボルト90のボルト溝槽91内壁面及び第一ナット11の第一ナット溝槽112内壁面との間は緊密接触し(図4参照)、その接触角は40度である。
第二ナットセット20と第三ナットセット30は、予備である。
【0017】
ボルト90と第一ナットセット10のある程度の期間の使用後には、ボルト90のボルト溝槽91内壁面の両側には、第一ローリングボール12により磨損され第一磨損軌跡13を形成する(図2図3参照)。
第一ナット11の第一ナット溝槽112内壁面も同様に磨損され軌跡が形成され、これにより加工精度が低下した際には、第一ナットセット10を、ボルト90上から取り外す。
【0018】
続いて、ボルト90を、第二ナットセット20の第二穿孔211中に通して設置する。
これにより、第二ローリングボール22は、ボルト90のボルト溝槽91と第二ナット21の第二ナット溝槽212中に位置し、ボルト90と第二ナットセット20に対してプレ圧力を加える。
これにより、第二ローリングボール22とボルト90のボルト溝槽91内壁面及び第二ナット21の第二ナット溝槽212内壁面との間は緊密接触し(図5参照)、その接触角は50度である。
【0019】
ボルト90と第二ナットセット20のある程度の期間の使用後には、ボルト90のボルト溝槽91内壁面両側は、第二ローリングボール22にそれぞれ磨損され、第二磨損軌跡23を形成する(図7参照)。
第二ナット21の第二ナット溝槽212内壁面も同様に磨損され軌跡が形成され、これにより加工精度が低下した際には、第二ナットセット20を、ボルト90上から取り外し、しかもボルト90上の第二磨損軌跡23は、第一磨損軌跡13と重ならない。
【0020】
最後に、ボルト90を、第三ナットセット30の第三穿孔311中に通して設置する。
これにより、第三ローリングボール32は、ボルト90のボルト溝槽91と第三ナット31の第三ナット溝槽312中に位置し、ボルト90と第三ナットセット30に対してプレ圧力を加える。
これにより、第三ローリングボール32とボルト90のボルト溝槽91内壁面及び第三ナット31の第三ナット溝槽312内壁面との間は緊密接触し(図6参照)、その接触角は60度である。
【0021】
ボルト90と第三ナットセット30のある程度の期間の使用後には、ボルト90のボルト溝槽91内壁面両側は、第三ローリングボール32にそれぞれ磨損され、第三磨損軌跡33を形成する(図7参照)。
第三ナット31の第三ナット溝槽312内壁面も同様に磨損される。
これにより、加工精度が低下した際には、第一ナットセット10を、ボルト90上から取り外し、ボルト90上の第三磨損軌跡33は、第一磨損軌跡13及び第二磨損軌跡23と重ならない。
ボルト90及び第三ナットセット30から取り外し、ローリングボールボルトキット100を新しく交換する。
【0022】
本発明において、第一ナットセット10の接触角は、40度である。
第二ナットセット20の接触角は、50度である。
第三ナットセット30の接触角は、60度である。
ボルト90において、第一磨損軌跡13、第二磨損軌跡23、第三磨損軌跡33をそれぞれ形成し、しかも第一磨損軌跡13、第二磨損軌跡23、第三磨損軌跡33は、重ならない。
よって、本発明中のボルト90は、第一ナットセット10、第二ナットセット20、第三ナットセット30とそれぞれ対応して使用され、定位精度に影響を与えず、またボルト90の使用寿命を三倍に延長でき、ボルト90交換のメンテナンス経費を大幅に低下させられる。
【0023】
図8図12に示す通り、本発明第二実施形態によるローリングボールボルトキット200は、前記実施形態と相同で、ボルト90、第一ダブルナットセット40、第二ダブルナットセット50、第三ダブルナットセット60を有する。
【0024】
両者の主な差異は以下の通りである。
本実施形態中において、第一ダブルナットセット40は、ダブルナットの型式を採用する。
即ち、第一ダブルナットセット40は、相互に連接する2個の第一ナット41及び2組の複数の第一ローリングボール42を有する。
各第一ナット41は第一穿孔411を有し、各第一穿孔411の内表面には螺旋状の第一ナット溝槽412を有する。
各第一ナット41と各第一ローリングボール42の接触角は、40度で、しかも第一ナット41及び第一ローリングボール42の接触角ともう一つの第一ナット41及びもう一つの第一ローリングボール42の接触角は、反対方向を呈する(図9参照)。
【0025】
第二ダブルナットセット50は、ダブルナットの型式を採用する。
即ち、第二ダブルナットセット50は、相互に連接する2個の第二ナット51及び2組の複数の第二ローリングボール52を有する。
各第二ナット51は第二穿孔511を有し、各第二穿孔511の内表面には螺旋状の第二ナット溝槽512を有する。
各第二ナット51と各第二ローリングボール52の接触角は、50度である。
しかも、第二ナット51及び第二ローリングボール52の接触角ともう一つの第二ナット51及びもう一つの第二ローリングボール52の接触角は、反対方向を呈する(図10参照)。
【0026】
第三ダブルナットセット60は、ダブルナットの型式を採用する。
即ち、第三ダブルナットセット60は、相互に連接する2個の第三ナット61及び2組の複数の第三ローリングボール62を有する。
各第三ナット61は第三穿孔611を有し、各第三穿孔611の内表面には螺旋状の第二ナット溝槽612を有する。
各第三ナット61と各第三ローリングボール62の接触角は、60度である。
しかも、第三ナット61及び第三ローリングボール62の接触角ともう一つの第三ナット61及びもう一つの第三ローリングボール62の接触角は、反対方向を呈する(図10参照)。
【0027】
これにより、ボルト90と第一ダブルナットセット40を組み合わせてある程度の期間の使用後には、ボルト90上に、第一磨損軌跡43及び第四磨損軌跡44を磨損により形成する。
ボルト90と第二ダブルナットセット50を組み合わせてある程度の期間の使用後には、ボルト90上に、第二磨損軌跡53及び第五磨損軌跡54を磨損により形成する。
ボルト90と第三ダブルナットセット60を組み合わせてある程度の期間の使用後には、ボルト90のボルト溝槽91上に、第三磨損軌跡63及び第六磨損軌跡63を磨損により形成し、しかも第一磨損軌跡43、第四磨損軌跡44、第二磨損軌跡53、第五磨損軌跡54、第三磨損軌跡63及び第六磨損軌跡64間は、相互に重ならない(図12参照)。
【0028】
これにより、本発明によるローリングボールボルトキット及びその使用方法は、シングルナットの型式上に運用できるばかりか、ダブルナットの型式上にも運用でき、その使用範囲を広げることができ、ボルト90を何度も使用可能とでき、ボルト90の使用寿命を延長できる。
【0029】
前述した本発明の実施形態は本発明を限定するものではなく、よって、本発明により保護される範囲は後述される特許請求の範囲を基準とする。
【符号の説明】
【0030】
<本発明第一実施形態>
100 ローリングボールボルトキット
90 ボルト
91 ボルト溝槽
10 第一ナットセット
11 第一ナット
111 第一穿孔
112 第一ナット溝槽
12 第一ローリングボール
20 第二ナットセット
21 第二ナット
211 第二穿孔
212 第二ナット溝槽
22 第二ローリングボール
30 第三ナットセット
31 第三ナット
311 第三穿孔
312 第三ナット溝槽
32 第三ローリングボール
13 第一磨損軌跡
23 第二磨損軌跡
33 第三磨損軌跡
<本発明第二実施形態>
200 ローリングボールボルトキット
90 ボルト
91 ボルト溝槽
40 第一ダブルナットセット
41 第一ナット
411 第一穿孔
412 第一ナット溝槽
42 第一ローリングボール
50 第二ダブルナットセット
51 第二ナット
511 第二穿孔
512 第二ナット溝槽
52 第二ローリングボール
60 第三ダブルナットセット
61 第三ナット
611 第三穿孔
612 第三ナット溝槽
62 第三ローリングボール
43 第一磨損軌跡
44 第四磨損軌跡
53 第二磨損軌跡
54 第五磨損軌跡
63 第三磨損軌跡
64 第六磨損軌跡
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12