特開2019-203632(P2019-203632A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2019203632-冷水製造システム 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-203632(P2019-203632A)
(43)【公開日】2019年11月28日
(54)【発明の名称】冷水製造システム
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/00 20060101AFI20191101BHJP
【FI】
   F25B1/00 399Y
   F25B1/00 397Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-98523(P2018-98523)
(22)【出願日】2018年5月23日
(71)【出願人】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110685
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 方宜
(72)【発明者】
【氏名】堀川 伸二
(72)【発明者】
【氏名】松矢 久美
(72)【発明者】
【氏名】木寺 宏彰
(57)【要約】
【課題】ブラインを用いた冷水製造システムにおいて、運転効率を向上して、消費電力を削減する。
【解決手段】冷凍機を含んで構成されるチラー3と、このチラー3において冷凍機の冷媒との熱交換により水またはブラインからなる循環液を冷却可能な循環路2と、この循環路2の循環液との熱交換により水を冷却可能な熱交換器4と、を有するユニット5を複数備える。各ユニット5の循環路2の循環液として、水とブラインとが用いられるか、および/または、濃度の異なるブラインが用いられる。チラー3による循環液の冷却目標温度は、ブライン濃度の低い循環液よりブライン濃度の高い循環液において低く設定され、この設定温度が高い側から低くなる順に、各ユニット5の熱交換器4に水が通される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍機を含んで構成されるチラーと、このチラーにおいて前記冷凍機の冷媒との熱交換により水またはブラインからなる循環液を冷却可能な循環路と、この循環路の循環液との熱交換により水を冷却可能な熱交換器と、を有するユニットを複数備え、
前記各ユニットの循環路の循環液として、水とブラインとが用いられるか、および/または、濃度の異なるブラインが用いられ、
前記チラーによる循環液の冷却目標温度は、ブライン濃度の低い循環液よりブライン濃度の高い循環液において低く設定され、この設定温度が高い側から低くなる順に、前記各ユニットの熱交換器に水が通される
ことを特徴とする冷水製造システム。
【請求項2】
前記各ユニットの循環路は、水またはブラインを貯留する熱媒貯留部を備え、この熱媒貯留部内の液体が、前記チラーおよび前記熱交換器との間で循環され、
前記チラーの出口側の循環液温度を設定温度に維持するように、前記チラーの出力が制御され、
前記各ユニットの内、前記設定温度が最も低いユニットでは、前記熱交換器の出口側の水温を目標温度に維持するように、前記熱交換器に通される循環液の流量が制御される
ことを特徴とする請求項1に記載の冷水製造システム。
【請求項3】
給水可能な第一貯留部と、冷水が貯留される第二貯留部とが、一部で連通して設けられ、
前記第二貯留部内の冷水は、送水路を介して送水ポンプにより送出可能とされ、
前記第一貯留部内の貯留水が、前記各ユニットの熱交換器を順に介して、前記第二貯留部に供給されるか、前記送水ポンプより上流側の前記送水路に供給される
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の冷水製造システム。
【請求項4】
給水可能な第一貯留部と、冷水が貯留される第二貯留部とが、一部で連通して設けられ、
前記第二貯留部内の冷水は、送水路を介して送水ポンプにより送出可能とされ、
前記ユニットとして、前記設定温度が高い側から低くなる順に、第一ユニット、第二ユニットおよび第三ユニットを備え、
前記第一貯留部への給水が、前記第一ユニットの熱交換器に通され、
前記第一貯留部内の貯留水が、前記第二ユニットの熱交換器との間で循環され、
前記第二貯留部内の貯留水が、前記第三ユニットの熱交換器を介して、前記第二貯留部に戻されるか、前記送水ポンプより上流側の前記送水路に供給される
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の冷水製造システム。
【請求項5】
前記第一貯留部と前記第二貯留部とは、一または複数の追加貯留部を介して連通され、
前記第一ユニット、前記第二ユニットおよび前記第三ユニット以外に、前記各追加貯留部に対応して、前記第二ユニットの設定温度よりも低いが前記第三ユニットの設定温度よりも高い設定温度の追加ユニットを備え、
前記各追加貯留部内の貯留水が、前記対応する追加ユニットの熱交換器との間で循環され、
前記第一貯留部から前記各追加貯留部を介して前記第二貯留部へ行くに従って、前記各貯留部の水温低下が図られる
ことを特徴とする請求項4に記載の冷水製造システム。
【請求項6】
前記各ユニットの内、前記設定温度が最も高いユニットでは、前記循環路の循環液として水が用いられる
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の冷水製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍機を有するチラーと熱交換器との間で、水またはブラインからなる循環液を循環させ、前記熱交換器において、循環液と水とを熱交換して冷水を製造する冷水製造システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に開示されるように、冷凍機を用いて水を冷却する冷水製造システムが知られている。当該文献の図3に基づき説明すると、冷水製造システムは、二重管構造の熱交換器(32)を備え、この熱交換器(32)は、冷媒循環路(33)を介して冷凍機(31)と接続される一方、冷水循環路(36,37)を介して冷水タンク(34)と接続されている。熱交換器(32)において、冷凍機(31)の冷媒と冷水タンク(34)からの水とを熱交換して、水を冷却することができる。
【0003】
この種の冷水製造システムでは、熱交換器において冷媒と水とを熱交換するので、熱交換器が万一破損すると、冷水中に冷凍機の冷媒や油が混入するおそれがある。そのため、冷水の用途によっては(たとえば冷水を食品冷却に用いる場合には)、安全性向上のために、冷媒と水との熱交換を、ブラインを介して行うことも考えられる。すなわち、冷凍機によりブラインを冷却し、そのブラインにより水を冷却するのである。
【0004】
ところが、ブラインを用いて、比較的低温(たとえば1〜2℃)の冷水を得ようとする場合、次のような課題が残る。すなわち、目標温度の冷水を得るには、ブラインの温度を前記目標温度よりも所定以上低くする必要があるが、ブラインを低温にするためには、ブラインの濃度を高くする必要がある。そして、ブラインの濃度を高くするとブラインの粘性が上がり、チラー(冷凍機)や熱交換器の効率の低下や、ブラインの循環ポンプの動力が大きくなる不都合がある。
【0005】
また、チラーは、冷凍機の冷媒の蒸発温度と凝縮温度との温度差が小さいほど、圧縮機の消費電力が少なくなりCOP(成績係数)が向上するので、ブラインの冷却目標温度を低くするほど(つまり蒸発温度を下げるほど)、チラーのCOPは低下する。そのため、ブラインの冷却目標温度を高めに設定できれば、その分だけ圧縮機の消費電力を下げて、COPを向上できることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−166339号公報(段落0002、図3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、ブラインを用いた冷水製造システムにおいて、ブラインの濃度との関係で、チラーや熱交換器の効率を向上したり、ブラインの循環ポンプの動力を下げたりすることができ、またチラーの設定温度との関係で、チラーのCOPを向上して、効率のよい運転を可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、冷凍機を含んで構成されるチラーと、このチラーにおいて前記冷凍機の冷媒との熱交換により水またはブラインからなる循環液を冷却可能な循環路と、この循環路の循環液との熱交換により水を冷却可能な熱交換器と、を有するユニットを複数備え、前記各ユニットの循環路の循環液として、水とブラインとが用いられるか、および/または、濃度の異なるブラインが用いられ、前記チラーによる循環液の冷却目標温度は、ブライン濃度の低い循環液よりブライン濃度の高い循環液において低く設定され、この設定温度が高い側から低くなる順に、前記各ユニットの熱交換器に水が通されることを特徴とする冷水製造システムである。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、循環路を介してチラーと熱交換器とが接続されたユニットを複数備え、各ユニットの循環路の循環液として、水とブラインとが用いられるか、および/または、濃度の異なるブラインが用いられる。そして、循環液の濃度の異なるユニット同士(このユニットにはブライン濃度0%の水のユニットが含まれてもよい)を比較した場合、ブラインの濃度が高いユニットほど、チラーによる循環液の冷却目標温度が低く設定され、この設定温度が高い側から低くなる順に、各ユニットの熱交換器に水が通される。複数のユニットを用いて、段階的に水を冷却していくことで、設定温度が高い側のユニットでは、ブラインの濃度を下げることができ、その分だけ、チラーや熱交換器の効率を向上したり、循環路の循環ポンプの動力を下げたりすることができる。また、設定温度が高い側のユニットでは、チラーのCOPを向上して、効率のよい運転が可能となる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記各ユニットの循環路は、水またはブラインを貯留する熱媒貯留部を備え、この熱媒貯留部内の液体が、前記チラーおよび前記熱交換器との間で循環され、前記チラーの出口側の循環液温度を設定温度に維持するように、前記チラーの出力が制御され、前記各ユニットの内、前記設定温度が最も低いユニットでは、前記熱交換器の出口側の水温を目標温度に維持するように、前記熱交換器に通される循環液の流量が制御されることを特徴とする請求項1に記載の冷水製造システムである。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、水またはブラインからなる循環液の循環路には、循環液の貯留部が設けられるので、循環液の循環を安定して図ることができる。また、熱交換器へ供給される循環液温度を設定温度に維持することで、熱交換器において所望に水を冷却することができる。さらに、設定温度が最も低いユニットでは、熱交換器の出口側の水温を目標温度に維持することができ、所望温度の冷水を製造することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、給水可能な第一貯留部と、冷水が貯留される第二貯留部とが、一部で連通して設けられ、前記第二貯留部内の冷水は、送水路を介して送水ポンプにより送出可能とされ、前記第一貯留部内の貯留水が、前記各ユニットの熱交換器を順に介して、前記第二貯留部に供給されるか、前記送水ポンプより上流側の前記送水路に供給されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の冷水製造システムである。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、第一貯留部の水を、各ユニットの熱交換器に順に通して冷却した後、第二貯留部へ供給したり、冷水需要箇所へ供給したりすることができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、給水可能な第一貯留部と、冷水が貯留される第二貯留部とが、一部で連通して設けられ、前記第二貯留部内の冷水は、送水路を介して送水ポンプにより送出可能とされ、前記ユニットとして、前記設定温度が高い側から低くなる順に、第一ユニット、第二ユニットおよび第三ユニットを備え、前記第一貯留部への給水が、前記第一ユニットの熱交換器に通され、前記第一貯留部内の貯留水が、前記第二ユニットの熱交換器との間で循環され、前記第二貯留部内の貯留水が、前記第三ユニットの熱交換器を介して、前記第二貯留部に戻されるか、前記送水ポンプより上流側の前記送水路に供給されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の冷水製造システムである。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、第一貯留部には、第一ユニットの熱交換器を介して冷却された水が供給されると共に、その貯留水は、第二ユニットの熱交換器との間で循環して冷却可能とされる。そして、第一貯留部と連通した第二貯留部内の貯留水を、第三ユニットの熱交換器を介して冷却した後、第二貯留部へ戻したり、冷水需要箇所へ供給したりすることができる。結果として、給水源からの給水は、第一ユニット、第二ユニットおよび第三ユニットで順に冷却されて、所望温度の冷水として利用可能とされる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、前記第一貯留部と前記第二貯留部とは、一または複数の追加貯留部を介して連通され、前記第一ユニット、前記第二ユニットおよび前記第三ユニット以外に、前記各追加貯留部に対応して、前記第二ユニットの設定温度よりも低いが前記第三ユニットの設定温度よりも高い設定温度の追加ユニットを備え、前記各追加貯留部内の貯留水が、前記対応する追加ユニットの熱交換器との間で循環され、前記第一貯留部から前記各追加貯留部を介して前記第二貯留部へ行くに従って、前記各貯留部の水温低下が図られることを特徴とする請求項4に記載の冷水製造システムである。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、第一貯留部と第二貯留部との間に追加貯留部を設けると共に、その追加貯留部の貯留水を追加ユニットにて冷却可能とすることで、より多段階で水を冷却していくことができる。
【0018】
さらに、請求項6に記載の発明は、前記各ユニットの内、前記設定温度が最も高いユニットでは、前記循環路の循環液として水が用いられることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の冷水製造システムである。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、設定温度が最も高いユニットでは、循環路の循環液として水を用いることで、安価で、管理が容易である。また、ブラインと比較して粘性が低いので、チラーや熱交換器の効率を向上したり、循環路の循環ポンプの動力を下げたりすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ブラインを用いた冷水製造システムにおいて、ブラインの濃度との関係で、チラーや熱交換器の効率を向上したり、ブラインの循環ポンプの動力を下げたりすることができ、またチラーの設定温度との関係で、チラーのCOPを向上して、効率のよい運転を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施例1の冷水製造システムを示す概略図である。
図2】本発明の実施例2の冷水製造システムを示す概略図である。
図3】冷水製造システムの比較例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0023】
図1は、本発明の実施例1の冷水製造システム1を示す概略図である。
本実施例の冷水製造システム1は、循環路2を介してチラー3と熱交換器4とが接続されたユニット5を複数備える。このユニット5として、本実施例では、第一ユニット5A、第二ユニット5Bおよび第三ユニット5Cを備える。
【0024】
各ユニット5は、基本的には同一の構成であり、冷凍機を含んで構成されるチラー3と、このチラー3において冷凍機の冷媒との熱交換により水またはブラインからなる循環液を冷却可能な循環路2と、この循環路2の循環液との熱交換により水を冷却可能な熱交換器4とを備える。
【0025】
なお、図面において、各ユニット5やその構成要素の参照符号には、第一ユニット5A、第二ユニット5Bおよび第三ユニット5Cに対応して、それぞれ添え字A,B,Cを付している。従って、第一ユニット5Aは、チラー3A、循環路2Aおよび熱交換器4Aを備えて構成され、第二ユニット5Bは、チラー3B、循環路2Bおよび熱交換器4Bを備えて構成され、第三ユニット5Cは、チラー3C、循環路2Cおよび熱交換器4Cを備えて構成される。
【0026】
各ユニット5のチラー3は、典型的には同一の構成とされ、最大冷却能力が同一とされる。各チラー3は、蒸気圧縮式の冷凍機(図示省略)を備える。この場合、冷凍機は、圧縮機、凝縮器、膨張弁および蒸発器が、順次環状に接続されて構成される。圧縮機は、冷媒を圧縮して高温高圧の気体にする。凝縮器は、圧縮機からの冷媒を凝縮液化する。膨張弁は、凝縮器からの冷媒を通過させることで、冷媒の圧力と温度とを低下させる。そして、蒸発器は、膨張弁からの冷媒を蒸発させる。この蒸発時の気化熱により、循環路2の循環液の冷却を図ることができる。つまり、蒸発器は、冷凍機の冷媒と循環路2の循環液とを混ぜることなく熱交換する間接熱交換器とされる。
【0027】
各ユニット5の循環路2は、チラー3(より具体的には冷凍機の蒸発器)と熱交換器4との間で、液体を循環させる。図示例では、循環路2は、水またはブラインの貯留部として貯留タンク6(6A,6B,6C)を備え、この貯留タンク6内の液体が循環ポンプ7(7A,7B,7C)を介してチラー3へ送られ、チラー3で冷却後の液体が熱交供給路8(8A,8B,8C)を介して熱交換器4へ送られ、熱交排出路9(9A,9B,9C)を介して貯留タンク6へ戻される。従って、循環ポンプ7を作動させることで、貯留タンク6と、チラー3および熱交換器4との間で、液体を循環させることができる。
【0028】
なお、図示例では、各貯留タンク6は、所定液位まで液体が貯留されると共に、大気圧下に開放されている。また、各循環ポンプ7は、キャビテーション防止の観点から、図示例のように、貯留タンク6からチラー3へのチラー供給路10(10A,10B,10C)に設けられるのが好ましいが、場合により、熱交供給路8または熱交排出路9に設けられてもよい。
【0029】
各ユニット5の熱交換器4は、循環液と水とを混ぜることなく熱交換可能に、循環液側の流路と水側の流路とを備える。熱交換器4は、その構成を特に問わないが、たとえばプレート式熱交換器とされる。
【0030】
冷水製造システム1は、さらに、各熱交換器4に対する給排水系統を備える。具体的には、本実施例では、給水可能な第一貯留部11と、冷水が貯留される第二貯留部12とが、一部で連通して設けられる。図示例では、下方に連通穴13を備えた仕切板14でタンク15が仕切られることで、第一貯留部11と第二貯留部12とが形成されている。第一貯留部11は、ボールタップ16などを介して適宜、水(典型的には水道水または井水などの常温水)が供給可能とされ、設定水位に維持される。第一貯留部11と第二貯留部12とは一部で連通されているので、第二貯留部12内の水位も所望に維持される。なお、図示例では、各貯留部11,12を備えたタンク15は、大気圧下に開放されている。
【0031】
第一貯留部11からは冷水循環路17が導出されており、この冷水循環路17は、冷水ポンプ18の他、各ユニット5の熱交換器4を順に介して、第二貯留部12へ開口される。第一貯留部11と第二貯留部12とは連通されているので、冷水ポンプ18を作動させると、タンク15内の水が各熱交換器4との間で循環され、その際、各熱交換器4へは第一貯留部11から供給され、各熱交換器4からは第二貯留部12へ排出されることになる。
【0032】
なお、後述するように、各ユニット5の循環路2の循環液はブラインの濃度が変更されるが、そのブラインの濃度が低い(0%でもよい)側から高くなる順に、各ユニット5の熱交換器4に冷水循環路17の水が通される。ここでは、第一ユニット5A、第二ユニット5Bおよび第三ユニット5Cの順に、各ユニット5の熱交換器4に、冷水循環路17の水が通される。
【0033】
第二貯留部12内の水は、送水路19を介して、各種の冷水需要箇所(図示省略)へ供給可能とされる。具体的には、送水路19には送水ポンプ20が設けられており、送水ポンプ20を作動させることで、冷水を冷水需要箇所(たとえば食品機械)へ供給可能とされる。
【0034】
図示例では、冷水循環路17を介して各熱交換器4で冷却された水は、第二貯留部12へ供給されているが、送水ポンプ20より上流側の送水路19に供給されてもよい。その場合、冷水ポンプ18の作動中、冷水需要箇所での冷水要求により送水ポンプ20が作動すると、第二貯留部12の貯留水ではなく、冷水循環路17の水(つまり各熱交換器4での冷却直後の水)が優先して送水路から冷水需要箇所へ送られることになる。そのため、冷水需要箇所への冷水温度を所望に維持することができる。
【0035】
前述したとおり、各ユニット5は、基本的には同一の構成とされる。但し、第三ユニット5Cの循環路(循環液の濃度が最も高い循環路)2Cでは、熱交換器4Cに通される循環液の流量を調整可能とされるのが好ましい。そのために、本実施例では、第三ユニット5Cにおいて、熱交供給路8Cには貯留タンク6C(または熱交排出路9C)への還流路21が分岐して設けられ、その還流路21と熱交供給路8Cとの分岐部に三方弁22が設けられている。この三方弁22を制御することで、チラー3Cで冷却された循環液を、熱交換器4Cを介して熱交排出路9Cにより貯留タンク6Cへ戻すか、熱交換器4Cを介さずに還流路21により貯留タンク6Cへ戻すかの分配割合を調整可能とされる。
【0036】
また、各ユニット5は、循環路2の循環液が異なる。すなわち、各ユニット5の循環路2の循環液として、水とブラインとが用いられるか、および/または、濃度の異なるブラインが用いられる。この際、第一ユニット5A、第二ユニット5B、第三ユニット5Cの順に、ブラインの濃度が高くなるように構成される。
【0037】
たとえば、第一ユニット5Aの第一循環液は水(清水)とされ、第二ユニット5Bの第二循環液はブライン(たとえばブライン35%の水溶液)とされ、第三ユニット5Cの第三循環液は第二循環液よりも高濃度のブライン(たとえばブライン50%の水溶液)とされる。あるいは、第一ユニット5Aの第一循環液はブラインとされ、第二ユニット5Bの第二循環液は第一循環液よりも高濃度のブラインとされ、第三ユニット5Cの第三循環液は第二循環液よりも高濃度のブラインとされる。
【0038】
各熱交換器4において、冷水循環路17の水を冷却して冷水とするが、その冷水を食品冷却に用いる場合(特に食品と直接に接触させる場合)、万一の熱交換器4の破損によるブラインの漏れにも安全なように、食品添加物としても許容されるブライン(たとえばプロピレングリコール)を用いるのが好ましい。
【0039】
各ユニット5では、チラー3の出口側の循環液温度を検出可能に、温度センサ23が設けられる。具体的には、第一ユニット5Aの熱交供給路8Aには、第一温度センサ23Aが設けられ、第二ユニット5Bの熱交供給路8Bには、第二温度センサ23Bが設けられ、第三ユニット5Cの熱交供給路8Cには、三方弁22よりも上流側(チラー3C側)に第三温度センサ23Cが設けられる。
【0040】
さらに、冷水循環路17には、各熱交換器4を通過後の水温を検出可能に、水温センサ24が設けられる。具体的には、冷水循環路17の内、第三熱交換器4Cの出口側には、水温センサ24が設けられる。
【0041】
次に、本実施例の冷水製造システム1の運転例について説明する。以下に説明する運転は、図示しない制御器により自動でなされる。つまり、制御器は、各ユニット5のチラー3、循環ポンプ7、第三ユニット5Cの三方弁22、冷水ポンプ18、送水ポンプ20の他、各温度センサ23および水温センサ24などに接続されており、これらセンサ23,24の検出信号などに基づき、チラー3や三方弁22や各ポンプ7,18,20などを制御する。
【0042】
スタートボタンが押されるなど、運転開始が指示されると、制御器は、冷水製造システム1の運転を開始する。一方、ストップボタンが押されるなど、運転停止が指示されると、制御器は、冷水製造システム1の運転を停止する。
【0043】
冷水製造システム1の運転中、各ユニット5の循環ポンプ7は、作動を継続する。従って、各ユニット5では、貯留タンク6内の液体が、チラー3と熱交換器4との間で循環する。また、冷水製造システム1の運転中、冷水ポンプ18も、作動を継続する。従って、第一貯留部11からの水が、各熱交換器4に通されて、第二貯留部12へ戻される循環がなされる。
【0044】
各ユニット5では、チラー3の出口側の循環液温度を設定温度に維持するように、チラー3の出力が制御される。具体的には、第一ユニット5Aでは、第一温度センサ23Aの検出温度を第一設定温度に維持するように、チラー3Aが制御(たとえば冷凍機の圧縮機のモータがインバータ制御)される。同様に、第二ユニット5Bでは、第二温度センサ23Bの検出温度を第二設定温度に維持するように、チラー3Bが制御され、第三ユニット5Cでは、第三温度センサ23Cの検出温度を第三設定温度に維持するように、チラー3Cが制御される。
【0045】
循環液の濃度の異なるユニット5同士を比較した場合、ブラインの濃度が高いユニット5ほど、前記設定温度が低くなるように設定される。本実施例では、前述したとおり、第一ユニット5A、第二ユニット5B、第三ユニット5Cの順に、ブラインの濃度が高くなるように構成されているので、これに合わせて、第一設定温度>第二設定温度>第三設定温度、の関係となるように、各チラー3による循環液の冷却目標温度が設定される。そして、設定温度が高い側から低くなる順に、各ユニット5の熱交換器4に水が通されることになる。これにより、冷水循環路17による水は、各ユニット5の熱交換器4を介するごとに、段階的に(たとえば数℃ずつ)冷却される。なお、各ユニット5では、チラー3の設定温度が、熱交換器4における水の冷却目標温度よりも所定温度(たとえば2〜5℃)低い温度に設定されると共に、その設定温度の実現に必要な濃度のブラインまたは水が用いられる(当該濃度でのブライン凍結温度+α≦設定温度)。
【0046】
さらに、各ユニット5の内、設定温度が最も低いユニット(第三ユニット5C)では、熱交換器4Cの出口側の水温を目標温度に維持するように、熱交換器4Cに通される循環液の流量を制御するのが好ましい。本実施例では、第三ユニット5Cにおいて、水温センサ24の検出温度を目標温度に維持するように、三方弁22の開度を調整する。これにより、所望温度の冷水を製造することができる。
【0047】
なお、設定温度が最も高い第一ユニット5Aでは、循環路2Aの循環液として水を用いるのが好ましい。循環液としてブラインではなく水を用いることで、安価で、管理が容易である。また、ブラインと比較して粘性が低いので、チラー3Aや熱交換器4Aの効率を向上したり、循環路2Aの循環ポンプ7Aの動力を下げたりすることができる。
【0048】
図3は、冷水製造システム1の比較例を示す概略図である。
この比較例では、ブラインタンク101内のブラインが、複数台のチラー102との間で循環されて冷却可能とされる。具体的には、ブラインタンク101内のブラインは、循環ポンプ103を介してチラー102へ供給され、設定温度に冷却されてブラインタンク101へ戻される。また、ブラインタンク101内のブラインは、熱交供給路104を介して熱交換器105へ送られ、熱交排出路106を介してブラインタンク101へ戻される。熱交供給路104と熱交排出路106とはバイパス路107で接続されており、熱交供給路104とバイパス路107との分岐部に設けた三方弁108を制御することで、循環ポンプ109からのブラインを熱交換器105に通す流量を調整することができる。一方、熱交換器105に対する給排水系統は、前記実施例と同一のため、同じ箇所には同一の符号を付して、説明を省略する。
【0049】
仮に、比較例のように構成した場合、熱交換器105出口側の冷水温度を目標温度にするためには、その目標温度よりも所定以上低くなるように、ブラインを冷却する必要がある。そして、ブラインを低温にするために、ブラインの濃度を高くする必要もあり、ブラインの粘性が上がる。そのため、全てのチラー102に粘度の高いブラインが通されることになり、チラー102(冷凍機)や熱交換器105の効率の低下や、ブラインの循環ポンプ103,109の動力が大きくなる。また、すべてのチラー102の設定温度を下げる必要があるので、全てのチラー102のCOPが低下する。さらに、熱交換器105は、前記実施例と比較して、大型に形成する必要もある。
【0050】
ところが、前記実施例の冷水製造システム1によれば、複数のユニット5を用いて、段階的に水を冷却していくことで、設定温度(チラー3による循環液の冷却目標温度)が高い側のユニット3A,3Bでは、ブラインの濃度を下げることができる。つまり、比較例のように、複数台のチラー102が共通のブラインタンク101を使用する場合と比較して、本実施例では、設定温度の最も低いユニット(第三ユニット)5C以外のユニット5A,5Bでは、ブラインの濃度を下げることができる。
【0051】
たとえば、最終的に2℃の冷水を得るために、ブラインを−2℃まで冷却する必要がある場合、比較例では、−2℃に合わせてブラインの濃度が比較的高く設定され、全てのチラー102が−2℃を目標に運転される必要があるが、本実施例では、設定温度が高い側のユニット(第一ユニット5Aおよび第二ユニット5B)では、ブラインの濃度を下げることができると共に、チラー3A,3Bの設定温度も上げることができる。
【0052】
このように、本実施例によれば、第三ユニット5C以外では、ブラインの濃度を下げたり、チラー3A,3Bの設定温度を上げることができ、チラー3A,3Bや熱交換器4A,4Bの効率を向上したり、循環路2A,2Bの循環ポンプ7A,7Bの動力を下げたりすることができる。また、設定温度が高い側のユニット5A,5Bでは、チラー3A,3BのCOPを向上して、消費電力を削減して、効率のよい運転が可能となる。
【実施例2】
【0053】
図2は、本発明の実施例2の冷水製造システム1を示す概略図である。
本実施例2の冷水製造システム1も、基本的には前記実施例1と同様である。そこで、以下においては、両者の異なる点を中心に説明し、対応する箇所には同一の符号を付して説明する。
【0054】
本実施例2でも、冷水製造システム1は、第一ユニット5A、第二ユニット5Bおよび第三ユニット5Cを備える。また、各ユニット5は、循環路2の循環液の濃度が異なると共に、チラー3の設定温度(チラー3による循環液の冷却目標温度)も異なる。その際、前記実施例1と同様、循環液の濃度の異なるユニット5同士を比較した場合、ブラインの濃度が高いユニット5ほど、チラー3の設定温度が低くなるよう構成されている。ここでは、前記実施例1と同様、第一ユニット5A、第二ユニット5Bおよび第三ユニット5Cの順に、設定温度が低くなるよう構成されている。
【0055】
本実施例2でも、給水可能な第一貯留部11と、冷水が貯留される第二貯留部12とを備え、第二貯留部12に冷水需要箇所への送水路19が接続されている点は、前記実施例1と同様である。但し、各熱交換器4に対する給排水系統が異なる。
【0056】
すなわち、本実施例2では、第一貯留部11への給水は、第一ユニット5Aの熱交換器4Aに通されて冷却される。第一貯留部11では、たとえばボールタップ16を用いて、設定水位に維持されるように給水制御されるが、その給水路に第一ユニット5Aの熱交換器4Aが設けられており、この熱交換器4Aを介して冷却された水が第一貯留部11へ供給される。
【0057】
また、第一貯留部11内の貯留水は、第二ユニット5Bの熱交換器4Bとの間で循環される。具体的には、タンク15の第一貯留部11と第二ユニット5Bの熱交換器4Bとは、冷水循環路17Bを介して接続されている。冷水製造システム1の運転中、冷水ポンプ18Bを作動させることで、第一貯留部11内の水を第二ユニット5Bの熱交換器4Bに循環供給して、第一貯留部11内の貯留水の冷却を図ることができる。
【0058】
さらに、第二貯留部12内の貯留水は、第三ユニット5Cの熱交換器4Cを介して、第二貯留部12に戻されるか、送水ポンプ20より上流側の送水路19に供給される。図示例では、タンク15の第二貯留部12から導出される冷水循環路17Cは、冷水ポンプ18Cと、第三ユニット5Cの熱交換器4Cとを順に介した後、送水ポンプ20より上流側の送水路19に接続されている。そして、第三ユニット5Cでは、熱交換器4Cの出口側に設けた水温センサ24の検出温度を目標温度に維持するように、三方弁22の開度を調整する。これにより、第三熱交換器4Cにおいて冷水温度を目標温度とすることができ、送水ポンプ20を作動させると、目標温度の冷水を冷水需要箇所へ送ることができる。
【0059】
本実施例でも、結果として、給水源からの給水は、第一ユニット5A、第二ユニット5Bおよび第三ユニット5Cで順に冷却されて、所望温度の冷水として利用可能とされる。その他の構成および制御は、前記実施例1と同様のため、説明を省略する。
【0060】
本発明の冷水製造システム1は、前記各実施例の構成(制御を含む)に限らず、適宜変更可能である。特に、(a)冷凍機を含んで構成されるチラー3と、このチラー3において冷凍機の冷媒との熱交換により水またはブラインからなる循環液を冷却可能な循環路2と、この循環路2の循環液との熱交換により水を冷却可能な熱交換器4と、を有するユニット5を複数備え、(b)各ユニット5の循環路2の循環液として、水とブラインとが用いられるか、および/または、濃度の異なるブラインが用いられ、(c)チラー3による循環液の冷却目標温度は、ブライン濃度の低い循環液よりブライン濃度の高い循環液において低く設定され、この設定温度が高い側から低くなる順に、前記各ユニット5の熱交換器4に水が通されるのであれば、その他の構成は適宜に変更可能である。
【0061】
たとえば、前記各実施例では、第一貯留部11と第二貯留部12とは、一つのタンク15内を、連通穴13を有する仕切板14で仕切って形成されたが、二つのタンクを連通路で連通して形成されてもよい。すなわち、第一貯留部11を形成するタンクと、第二貯留部12を形成するタンクとを、連通路で接続して形成してもよい。
【0062】
また、前記各実施例では、第三ユニット5Cの循環路2Cに三方弁22を設けて、熱交換器4Cに通す循環液の流量を調整したが、熱交換器4Cに通す循環液の流量調整方法は、これに限定されない。たとえば、還流路21との分岐部よりも下流側の熱交供給路8Cと、還流路21との内、一方または双方に弁を設けて、この弁の開度を調整してもよい。
【0063】
また、ユニット5の数は、適宜に変更可能である。すなわち、前記各実施例では、冷水製造システム1は、第一ユニット5A、第二ユニット5Bおよび第三ユニット5Cの三つのユニットを備えたが、ユニット5の数は二つとしてもよいし、四つ以上としてもよい。
【0064】
たとえば、前記実施例1において、第二ユニット5B(チラー3B、循環路2B、熱交換器4B)の設置を省略して、第一ユニット5Aと第三ユニット5Cとから構成してもよい。また、前記実施例2において、第一ユニット5A(チラー3A、循環路2A、熱交換器4A)の設置を省略して、第二ユニット5Bと第三ユニット5Cとから構成したり、あるいは、第二ユニット5B(チラー3B、循環路2B、熱交換器4B)を省略して、第一ユニット5Aと第三ユニット5Cとから構成したりしてもよい。
【0065】
また、前記実施例1において、第一ユニット5A、第二ユニット5Bおよび第三ユニット5C以外に、一または複数の追加ユニットを設けてもよい。たとえば、第二ユニット5Bと第三ユニット5Cとの間に、第二ユニット5Bと同様の構成の追加ユニットを設ける。この追加ユニットの設定温度(チラー3による循環液の冷却目標温度)は、第二ユニット5Bの設定温度よりも低いが第三ユニット5Cの設定温度よりも高くする。また、追加ユニットのブラインの濃度は、典型的には、第二ユニット5Bの濃度よりも高いが、第三ユニット5Cの濃度よりも低くする。そして、冷水循環路17の循環水は、第一熱交換器4A、第二熱交換器4B、追加熱交換器(追加ユニットの熱交換器)および第三熱交換器4Cの順に通される。ユニット5の数をさらに増加する場合も同様に、ブラインの濃度を段階的に変えると共に、循環液の濃度の異なるユニット5同士を比較した場合、ブラインの濃度が高いユニット5ほど、チラー3の設定温度を低くして、この設定温度が高い側から低くなる順に、各ユニット5の熱交換器4に水を通せばよい。
【0066】
同様に、前記実施例2において、第一ユニット5A、第二ユニット5Bおよび第三ユニット5C以外に、一または複数の追加ユニットを設けてもよい。たとえば、第二ユニット5Bと第三ユニット5Cとの間に、第二ユニット5Bと同様の構成の追加ユニットを設ける。この追加ユニットの設定温度(チラー3による循環液の冷却目標温度)は、第二ユニット5Bの設定温度よりも低いが第三ユニット5Cの設定温度よりも高くする。また、追加ユニットのブラインの濃度は、典型的には、第二ユニット5Bの濃度よりも高いが、第三ユニット5Cの濃度よりも低くする。さらに、第一貯留部11と第二貯留部12とは、追加貯留部を介して連通される。そして、追加貯留部内の貯留水が、追加ユニットの熱交換器4との間で循環して冷却される。
【0067】
ユニット5の数をさらに増加する場合も同様に、追加ユニットの数に合わせて追加貯留部を設け、それら追加貯留部を順に介して、第一貯留部11と第二貯留部12とを連通させる。そして、各追加貯留部内の貯留水が、対応する追加ユニットの熱交換器4との間で循環されて冷却可能とされる。第一貯留部11から各追加貯留部を介して第二貯留部12へ行くに従って、各貯留部の水温低下が図られるように、各追加ユニットの循環液の濃度が段階的に高くされると共に、各追加ユニットの設定温度が低く設定される。
【0068】
なお、前記各実施例および変形例において、ユニット5の数が三つ以上の場合、それらユニット5の内の一部において、循環液の濃度が同一のユニット5が存在してもよい。たとえば、ブライン濃度0%(水)の第一ユニット5Aと、ブライン濃度が35%の第二ユニット5Bと、同じくブライン濃度35%の第三ユニット5Cとを備えてもよい。その場合も、設定温度(水の冷却目標温度)は順次に下げていくことが好ましく、たとえば、第一ユニット5Aの設定温度を10℃、第二ユニット5Bの設定温度を0℃、第三ユニット5Cの設定温度を−5℃とすることができる。そして、設定温度が高い側から低くなる順に、各ユニット5の熱交換器4に水が通される。
【0069】
その他、前記各実施例および変形例では、第三ユニット5Cの熱交換器4Cを通過後の冷水のみを利用可能としたが、たとえば、第一ユニット5Aの熱交換器4Aを通過後の冷水を取り出したり、第二ユニット5Bの熱交換器4Bを通過後の冷水を取り出したりして、異なる温度の冷水を利用可能としてもよい。この場合において、実施例1では、冷水循環路17の中途(たとえば、第一ユニット5Aの熱交換器4Aと第二ユニット5Bの熱交換器4Bとの間、および/または、第二ユニット5Bの熱交換器4Bと第三ユニット5Cの熱交換器4Cとの間)から冷水取出路を分岐して設ければよいし、実施例2では、第二貯留部12だけでなく、第一貯留部11からの冷水を取り出し可能とすればよい。
【符号の説明】
【0070】
1 冷水製造システム
2 循環路
3 チラー
4 熱交換器(4A:第一熱交換器、4B:第二熱交換器、4C:第三熱交換器)
5 ユニット(5A:第一ユニット、5B:第二ユニット、5C:第三ユニット)
6 貯留タンク(熱媒貯留部)
7 循環ポンプ
8 熱交供給路
9 熱交排出路
10 チラー供給路
11 第一貯留部
12 第二貯留部
13 連通穴
14 仕切板
15 タンク
16 ボールタップ
17 冷水循環路
18 冷水ポンプ
19 送水路
20 送水ポンプ
21 還流路
22 三方弁
23 温度センサ(23A:第一温度センサ、23B:第二温度センサ、23C:第三温度センサ)
24 水温センサ
図1
図2
図3