【解決手段】一実施形態に係る高さ測定装置は、寝具を含む測定対象物の基準面に対する高さを測定する高さ測定装置1であって、基準面から高さ方向D1に延びる第1支持部3と、第1支持部3に高さ方向D1に移動可能に支持されると共に、第1支持部3から高さ方向D1に交差する交差方向D2に延びる第2支持部4と、第2支持部4に交差方向D2に移動可能に支持されると共に、第2支持部4の測定対象物への下降に伴って測定対象物に接触する接触部5と、基準面に対する接触部5の高さを表示する高さ表示部10と、を備える。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、図面を参照しながら本発明に係る高さ測定装置及び高さ測定方法の実施形態について説明する。図面の説明において同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、図面は、理解の容易のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法等は図面に記載のものに限定されない。
【0016】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る高さ測定装置1を示す斜視図である。寝心地の良い寝具を提供するためには寝具の高さを精度よく且つ容易に測定できることが重要であり、しかも簡便な構成で容易に高さを測定できることが望まれている。寝具の高さは、寝具の形状、大きさ、材料、寝具を使用する使用者の体形、使用者の重さ、寝具の下に位置する敷き寝具の形状、及び敷き寝具の材料等、種々の条件によって変動する。従って、寝具の高さの測定を行うときには、実際の寝具の高さ、及び実際の使用者(被検者)の高さを測定することが望ましい。本実施形態に係る高さ測定装置1は、実際の寝具、及び実際の被検者の高さを測定することよって測定精度の確からしさを高めている。
【0017】
高さ測定装置1は、基準面に対する測定対象物の高さを測定する。本明細書において「基準面」とは、測定する高さの基準となる面であり、「高さ」はこの基準面に対する高さとして測定される。また、「測定対象物」は、測定する対象となるものであり、例えば、寝具、及び被検者の身体を含んでいる。「寝具」は、寝具の使用者が身体を休めたり睡眠をとったりするときに使用者の身体が当てられるものであり、典型的には、枕、布団、マットレス、座布団又はクッションである。「敷き寝具」とは、寝具のうち使用者の身体が載せられるものを示しており、例えば、マットレス、敷き布団、カーペット又は絨毯を含む。「被検者」は、身体の高さが測定される測定対象者であり、例えば、寝具の購入又は研究開発等において寝具を試すときに高さが測定される被測定者を含む。
【0018】
図1に示されるように、高さ測定装置1は、高さ測定装置1のベースとなる板状部材2と、板状部材2から高さ方向D1に延びる第1支持部3と、第1支持部3から高さ方向D1に交差する交差方向D2に延びる第2支持部4と、第2支持部4に取り付けられる接触部5と、接触部5の高さを表示する高さ表示手段である高さ表示部10とを備える。例えば、高さ方向D1は鉛直方向であり、交差方向D2は水平方向である。板状部材2、第1支持部3、第2支持部4及び接触部5は、例えば、木製とされている。このように、高さ測定装置1の各部品が木製であることによって、高さ測定装置1を手で容易に運べる程度に軽量化することが可能である。
【0019】
板状部材2は、交差方向D2に沿って延びる平板状とされている。板状部材2は、測定する高さの基準を示す基準面S1を構成する。基準面S1は、例えば、板状部材2の上面である。但し、高さを測定するときの基準面は、基準面S1に限られず、例えば後述する敷き寝具E(
図7参照)の上面である基準面S2等、適宜変更される。板状部材2は、交差方向D2に延在すると共に、高さ方向D1及び交差方向D2の双方に交差する方向D3に延在している。高さ方向D1、交差方向D2及び方向D3は、例えば、互いに直交している。
【0020】
板状部材2の厚さ(高さ方向D1の長さ)は、例えば、2mm以上且つ10mm以下である。一例として、板状部材2は、交差方向D2に長く延びる長方形状とされており、交差方向D2に延びる一対の長辺2aと、方向D3に延びる一対の短辺2bとを有する。例えば、長辺2aの長さは50cm以上且つ200cm以下であり、短辺2bの長さは30cm以上且つ150cm以下である。しかしながら、これらの各値及び板状部材2の形状は適宜変更可能である。
【0021】
図2は、高さ測定装置1の第1支持部3、第2支持部4、接触部5及び高さ表示部10を拡大させた斜視図である。
図1及び
図2に示されるように、第1支持部3は、例えば、板状部材2の交差方向D2の端部に位置する短辺2bから高さ方向D1に延び出している。一例として、第1支持部3は板状部材2から鉛直上方に延びている。第1支持部3は、高さ方向D1に延びる柱状部3Aと、柱状部3Aの下端に位置する支持板部3Bとを有する。
【0022】
支持板部3Bは、柱状部3Aの方向D3を向く側面3aと板状部材2の基準面S1とに固定(例えば接着固定)されている。支持板部3Bは、柱状部3Aの方向D3の両側に一対に設けられており、方向D3の両側から柱状部3Aを支持している。支持板部3Bは、高さ方向D1及び方向D3に延在する平面3dと、高さ方向D1及び方向D3の双方に対して傾斜する上面3bと、上面3bの下端から基準面S1に高さ方向D1に延びる側面3cとを有する。この支持板部3Bが柱状部3Aに一対に設けられることにより、板状部材2に対する第1支持部3の支持構造を補強することができる。
【0023】
柱状部3Aは、例えば、角柱状を成しており、一例として高さ方向D1に延びる四角柱状(直方体状)を呈する。柱状部3A(第1支持部3)の高さ(高さ方向D1の長さ)は、例えば、50cm以上且つ100cm以下である。柱状部3Aは、方向D3を向く一対の側面3aと、交差方向D2を向く一対の側面3eと、上端面3fとを有する。一対の側面3e及び上端面3fは、例えば、平坦状とされている。側面3aは、高さ表示部10の後述するスケール11が貼り付けられる凹部3gを有する。凹部3gは、柱状部3Aの高さ方向D1の一端から他端まで(上端面3fから下端まで)延びている。
【0024】
図3は、接触部5及び高さ表示部10を拡大した側面図である。接触部5は、第2支持部4に着脱自在とされている。高さ表示部10は、第1支持部3に設けられたスケール11と、スケール11上の接触部5の高さH1の値を示す指標部12と、指標部12を第1支持部3に支持する支持部材13とを備える。
【0025】
スケール11は、例えば、基準面S1からの高さを数値として示すメジャーである。すなわち、スケール11は、基準面S1の高さを0として基準面S1からの高さH1を数値で示している。指標部12は、支持部材13からスケール11に延び出しており、接触部5の高さH1に相当するスケール11の位置を示している。指標部12は、例えば、支持部材13から交差方向D2に延び出すシート状(又はフィルム状)の部材である。
【0026】
図3及び
図4に示されるように、支持部材13は、指標部12を保持する保持部13aと、保持部13aを第1支持部3に脱着自在に取り付ける被取付部13bとを備える。保持部13aは、例えば、スケール11の隣接位置において被取付部13bから下方に延び出す棒状とされている。一例として、保持部13aは、四角柱状(直方体状)とされており、保持部13aの底部から指標部12がスケール11に延び出している。
【0027】
被取付部13bは、保持部13aが脱着自在に取り付けられる被取付面13dと、被取付面13dの交差方向D2の両側のそれぞれに位置するレール部13cとを有する。被取付面13d及びレール部13cは、共に、第2支持部4に固定されている。被取付面13dは、交差方向D2に沿って一対に設けられるレール部13cの間において高さ方向D1に延びている。一例として、被取付面13dは、面ファスナーである。しかしながら、被取付面13dは、保持部13aを脱着自在に取り付け可能な部位であればよく、面ファスナーに限定されない。
【0028】
被取付面13dが面ファスナーである場合、保持部13aの1つの側面にも面ファスナー13eが設けられており、被取付面13dを構成する面ファスナーに保持部13aの面ファスナー13eが取り付けられることによって被取付面13dに保持部13aが脱着自在に取り付けられる。また、保持部13aに設けられる面ファスナー13eの長さは、被取付面13dを構成する面ファスナーの長さLよりも長いので、被取付部13bに対する保持部13aの高さ方向D1の位置を変更することが可能である。
【0029】
一対のレール部13cのそれぞれは高さ方向D1に沿って直線状に延びている。レール部13cは、被取付部13bに取り付けられる保持部13aの長手方向の向きを高さ方向D1に一致させるために設けられる。一対のレール部13cの間の間隔F1は、保持部13aの幅F2と同一、又は保持部13aの幅F2よりも若干広くなっている。よって、高さ方向D1に延びる一対のレール部13cの間に保持部13aが取り付けられることにより、保持部13aの長手方向の向きを高さ方向D1に一致させることが可能となる。
【0030】
図3、
図4及び
図5に示されるように、第2支持部4は、第1支持部3に対して高さ方向D1に移動可能とされる基部4Aと、基部4Aから交差方向D2に延び出す延在部4Bとを備える。基部4Aには、前述した被取付部13bのレール部13cが固定されている。基部4Aは、第1支持部3の柱状部3Aが挿通される孔部4aと、第1支持部3に対する第2支持部4の高さ方向D1の位置を固定する固定手段4bとを備える。
【0031】
孔部4aは、柱状部3Aを挿通可能な形状及び大きさを有し、孔部4aの形状は、一例として、四角柱状(直方体状)である。固定手段4bは、例えば、柱状部3Aの交差方向D2を向く側面3eを押圧する押圧部4cと、押圧部4cから交差方向D2に延び出す雄螺子4dと、雄螺子4dの押圧部4cとの反対側の端部に位置する把持部4eとを備える。
【0032】
押圧部4cは、基部4Aの孔部4aの内側に位置している。押圧部4cは、例えば、板状を成しており、柱状部3Aの側面3eに押し付けられる環状の押し当て面4fを有する。一例として、押圧部4cの形状は円盤状である。雄螺子4dは、基部4Aの壁部4gを貫通しており、この壁部4gの貫通孔には雄螺子4dが螺合する雌螺子が形成されている。従って、雄螺子4dの回転に伴って当該雌螺子と雄螺子4dとの螺合作用が働き、この螺合作用によって押圧部4cが交差方向D2に移動する。
【0033】
把持部4eは、基部4Aの孔部4aの外側に位置しており、把持部4e及び雄螺子4dの一部は壁部4gから基部4Aの外方に突出している。把持部4eは雄螺子4dを回転させるために設けられた部位である。把持部4eを手で持って雄螺子4dを一方向(例えば時計回り)に回転させることによって押圧部4cで柱状部3Aを押圧して第2支持部4を第1支持部3に固定することが可能である。
【0034】
また、把持部4eを手で持って雄螺子4dを一方向の反対方向(例えば反時計回り)に回転させることによって柱状部3Aに対する押圧部4cの押圧を解除し、第1支持部3に対して第2支持部4を上方に持ち上げて基部4Aを第1支持部3から外すことにより第1支持部3から第2支持部4を取り外すことが可能である。把持部4eは、雄螺子4dの端部から拡径された形状とされているため、持ちやすい形状とされている。
【0035】
図3に示されるように、基部4Aからは延在部4Bが交差方向D2に延び出しており、延在部4Bには、接触部5の交差方向D2の位置を表示する交差方向位置表示部6が設けられる。交差方向位置表示部6は、延在部4Bに貼り付けられて交差方向D2に延びるスケール6aを備える。スケール6aは、例えば、第1支持部3からの距離を数値として示すメジャーである。すなわち、スケール6aは、第2支持部4の第1支持部3との交差部分Xの位置を0として交差部分Xからの距離を数値として示している。
【0036】
図3及び
図6(a)に示されるように、延在部4Bは、例えば、交差方向D2に延びると共に接触部5が取り付けられる第1板状部4hと、第1板状部4hの上部において交差方向D2に延在する第2板状部4jとを備える。第1板状部4h及び第2板状部4jの交差方向D2の長さ(第2支持部4の交差方向D2の長さ)は、例えば、15cm以上且つ60cm以下である。
【0037】
第1板状部4h及び第2板状部4jは、共に、平板状とされている。第1板状部4hの高さ方向D1の長さは第1板状部4hの方向D3の長さよりも短く、第2板状部4jの方向D3の長さは第2板状部4jの高さ方向D1の長さよりも短い。第1板状部4h及び第2板状部4jを交差方向D2に直交する平面で切断したときの断面形状は、逆T字状とされている。このように第1板状部4h及び第2板状部4j(第2支持部4)を長手方向(交差方向D2)に直交する平面で切断したときの断面が逆T字状であることにより、第2支持部4の強度が高められている。
【0038】
前述した交差方向位置表示部6のスケール6aは、第1板状部4hの方向D3を向く端面に貼り付けられている。また、第1板状部4hの下面4k(基準面S1側に向けられる面)には、接触部5が脱着自在に取り付けられる。例えば、下面4kには、接触部5が取り付けられる被取付面4mが交差方向D2に沿って設けられており、被取付面4mの任意の位置に接触部5が取り付けられる。
【0039】
図3、
図6(a)及び
図6(b)に示されるように、接触部5は、被取付面4mに取り付けられる取付面5aを備える。被取付面4m及び取付面5aは、例えば、面ファスナーである。しかしながら、被取付面4m及び取付面5aは、面ファスナーでなくてもよく、被取付面4mに対して取付面5aを交差方向D2に移動自在に保持する構造であれば、面ファスナー以外の構成を採用可能である。
【0040】
接触部5は、取付面5aを有する板状部5bと、板状部5bから板状部5bの面外方向に延びる棒状部5cと、棒状部5cの板状部5bとの反対側に位置する端部5dとを備える。板状部5bは、例えば、交差方向D2及び方向D3に沿って延びる矩形板状とされており、取付面5aは板状部5bの上面5eに設けられる。取付面5aは、上面5eにおいて交差方向D2に延在する。
【0041】
板状部5bの方向D3に向けられる端面5fには交差方向位置表示部6の目印6bが設けられており、目印6bを交差方向位置表示部6(第2支持部4)のスケール6aに合わせることによって接触部5(端部5d)の交差方向D2における位置を把握することが可能である。一例として、目印6bは高さ方向D1に延びており、棒状部5c及び端部5dは、目印6bから下方(高さ方向D1)に延び出すように設けられる。棒状部5c及び端部5dの交差方向D2の位置は目印6bの交差方向D2の位置と一致しているため、目印6bが示すスケール6aの位置を視認することによって接触部5の交差方向D2の位置を把握することが可能である。
【0042】
棒状部5c及び端部5dは、例えば、板状部5bの方向D3の中央から下方に延び出している。一例として、棒状部5cは丸棒状(円柱状)とされており、端部5dは球状とされている。端部5dは、第2支持部4及び接触部5の下降に伴って、高さが測定される寝具、又は高さが測定される被検者に接触する部位である。端部5dの材料は、例えば、木、又はゴム等の弾性材料であり、端部5dの材料が弾性材料である場合には被検者への端部5dの接触時に被検者に加わる衝撃を緩和することが可能である。前述したように、接触部5(端部5d)の高さH1は、指標部12によって示される。しかしながら、指標部12及び支持部材13が脱着されることにより、指標部12が示す高さを端部5dの高さH1から変更することも可能である。
【0043】
次に、本実施形態に係る寝具及び被検者の基準面に対する高さを測定する高さ測定方法について説明する。
図7に示されるように、以下では、前述した高さ測定装置1を用いて寝具及び被検者を測定する例について説明する。一例として、ベッドTの上に板状部材2を載せると共に敷き寝具Eの下に板状部材2を挟み込んで高さ測定装置1の位置を固定する。なお、敷き寝具EはベッドTではなく畳又はフローリングの上に置かれたものであってもよい。敷き寝具Eは、例えばマットレスであるが、敷き布団等であってもよく適宜変更される。
【0044】
第2支持部4に接触部5を取り付けて端部5dが基準面S2に接触するように第2支持部4を降ろした後、指標部12が基準面S1に接触する位置で保持部13aを被取付部13bに取り付ける。このように、指標部12を基準面S1に接触させると共に端部5dを基準面S2に接触させることにより、端部5dの高さと指標部12の高さとの差H3は、基準面S1に載せられた敷き寝具Eの高さH2と一致する。そして、基準面S2に対する端部5dの高さが指標部12が示す高さ(基準面S1に対する指標部12の高さ)と一致する。
【0045】
続いて、第2支持部4及び接触部5を上方に移動させると共に、
図8(a)に示されるように、敷き寝具Eの上に被検者Mを横たわらせる。そして、第2支持部4及び接触部5を第1支持部3に沿って降ろして接触部5の端部5dを被検者Mに接触させて被検者Mの身体の高さAを測定する。このとき、例えば端部5dが被検者Mの頭部に接触したときに指標部12が指すスケール11の値を見ることによって被検者Mの高さAを測定する(身体の高さを測定する工程)。
【0046】
次に、一旦第2支持部4及び接触部5を上方に移動させて敷き寝具Eの上に寝具Yを置き、寝具Yの上に被検者Mの身体を載せる。そして、第2支持部4及び接触部5を第1支持部3に沿って降ろして接触部5の端部5dを被検者Mに接触させて寝具Yに載せられた被検者Mの高さBを測定する。このとき、前述と同様に指標部12が指すスケール11の値を見ることによって、例えば枕である寝具Yに被検者Mの後頭部が載せられたときの被検者Mの頭部の高さBを測定する(寝具に載せられた身体の高さを測定する工程)。
【0047】
続いて、
図9に示されるように、第2支持部4及び接触部5を上方に移動させて敷き寝具Eの上に寝具Yを置き、第2支持部4及び接触部5を第1支持部3に沿って降ろして寝具Yの高さCを測定する。このとき、被検者Mが載せられていない寝具Yの高さCを測定する。具体例として、前述と同様に指標部12が指すスケール11の値を見ることによって、接触部5の端部5dを枕である寝具Yに接触させて寝具Yの高さCを測定する(寝具の高さを測定する工程)。
【0048】
以上のように、身体の高さを測定する工程、寝具に載せられた身体の高さを測定する工程、及び寝具の高さを測定する工程を実行した後に、高さBと高さAとの差を算出することによって沈み込んだ寝具Yの高さVを算出する(沈み込んだ寝具の高さを算出する工程)。そして、高さCと高さVとの差から寝具Yの沈み込み量を算出する(寝具の沈み込み量を算出する工程)。以上の各工程を経て高さ測定方法の一連の工程が完了する。なお、身体の高さを測定する工程、寝具に載せられた身体の高さを測定する工程、及び寝具の高さを測定する工程、の順序は適宜変更可能である。
【0049】
次に、本実施形態に係る高さ測定装置1の作用効果について詳細に説明する。
図3に示されるように、高さ測定装置1では、高さ方向D1に延びる第1支持部3が交差方向D2に延びる第2支持部4を高さ方向D1に移動可能に支持し、第2支持部4は寝具Y及び被検者Mに接触する接触部5を交差方向D2に移動可能に支持する。よって、寝具Y又は被検者Mに接触する接触部5は、高さ方向D1に交差する交差方向D2に移動可能に支持されるため、交差方向D2が異なる複数の箇所の寝具Y又は被検者Mに接触する。また、高さ測定装置1は、接触部5の高さを表示する高さ表示部10を備える。よって、寝具Y又は被検者Mに接触した接触部5の高さH1を高さ表示部10が表示することにより、寝具Y及び被検者Mの高さを容易に測定することができる。
【0050】
また、接触部5を交差方向D2に沿って移動させながら接触部5の高さを高さ表示部10が表示することにより、交差方向D2ごとの寝具Y及び被検者Mの高さを測定することができる。従って、寝具Y及び被検者Mの高さを精度よく測定することができる。また、高さ測定装置1では、寝具Y又は被検者Mに接触部5を接触させて高さ表示部10が接触部5の高さを表示することにより、基準面S2に対する寝具Y及び被検者Mの高さを測定することができる。
【0051】
よって、
図8(a)、
図8(b)及び
図9に示されるように、寝具Yに接触部5を接触させて高さ表示部10が寝具Yの高さCを測定することができると共に、被検者Mの身体に接触部5を接触させて高さ表示部10が身体の高さA,Bをそれぞれ表示することにより、基準面S2に対する寝具Yの高さC、基準面S2に対する身体の高さA、及び寝具Yに載せられた身体の基準面S2に対する高さBを正確に測定することができる。
【0052】
よって、被検者Mの実際の身体の重さ及び形状を加味した寝具Yの高さを正確に測定することができるので、実際の睡眠状態を加味した高さA,B,Cの測定を行うことができる。更に、高さ測定装置1では、従来のように寝具に載せる重り等を用意する必要はなく、実際の被検者Mの身体の高さA,Bを測定するので、被検者Mの個人差を加味した測定を行うことができる。また、
図8(a)及び
図8(b)の例では、仰向けとされた被検者Mの高さA,Bが測定されているが、横向きとされた被検者の高さ、及びうつ伏せとされた被検者の高さを測定することも可能である。
【0053】
また、高さ測定装置1は、第1支持部3の下方で交差方向D2に延在する板状部材2を備える。すなわち、板状部材2が高さ方向D1に延びる第1支持部3を支持する。よって、板状部材2を置いて寝具Y及び被検者Mの高さA,B,Cの測定を行うことができるので、高さA,B,Cの測定を容易に行うことができる。また、板状部材2を寝具Y等が置かれる敷き寝具Eの下に挟み込んだ状態で高さA,B,Cの測定を行うことができるので、高さA,B,Cの測定を一層容易に行うことができる。
【0054】
更に、高さ測定装置1は、実際の敷き寝具Eを用いて高さA,B,Cの測定を行うため、被検者Mの個人差、及び寝具Yの差と共に、敷き寝具Eの差を加味した高さの測定を行うことができる。従って、測定した高さA,B,Cに応じて寝具Y及び敷き寝具Eの内容物(綿又はパイプ材等)の量、形状、大きさ又は材料等を調整することにより、被検者Mに合う最適な寝具Y及び敷き寝具Eを提供することが可能となる。具体例として、高さCと高さVとの差から得た寝具Yの沈み込み量が3.0cmとなることが好ましいと考えられているため、寝具Yの沈み込み量が3.0cmとなるように内容物の量の変更等を行うことにより、被検者Mにとって最適な寝具Yを提供することができる。
【0055】
本実施形態に係る高さ測定方法は、被検者Mの身体に接触部5を接触させることによって身体の高さAを測定し、寝具Yに接触部5を接触させることによって寝具Yの高さCを測定し、更に、寝具Yに載せられた身体の高さBを測定する。従って、接触部5を身体又は寝具Yに接触させることによって、高さA,B,Cの測定を容易に行うことができると共に、実際の睡眠環境を加味した高さA,B,Cの測定を行うことができる。また、寝具Yに載せられた身体の高さBと身体のみの高さAとの差分である高さVを算出し、寝具のみの高さCと高さVとの差の値を算出することにより、身体が載せられたときの寝具Yの凹み具合(沈み込み量)を精度よく且つ容易に算出することができる。
【0056】
また、接触部5は第2支持部4に面ファスナーを介して脱着自在とされている。従って、第2支持部4及び接触部5のそれぞれに面ファスナーを貼り付けることによって第2支持部4に接触部5を脱着する構造を作成できるので、第2支持部4に接触部5を脱着する構成を簡易にすることができる。
【0057】
また、第2支持部4は、第1支持部3の柱状部3Aが挿通される孔部4aを有し、 柱状部3Aからを孔部4aを外すことによって第1支持部3から分解可能とされている。従って、高さ測定装置1を使用しないときに第1支持部3から第2支持部4を分解できるので高さ測定装置1をコンパクトにすることができる。また、接触部5は第2支持部4に脱着自在とされており、更に保持部13aは被取付面13dに脱着自在とされているので、更なるコンパクト化が可能である。
【0058】
また、高さ測定装置1は、接触部5の交差方向D2の位置を表示する交差方向位置表示部6を備える。よって、複数の交差方向D2の位置のそれぞれにおける寝具Y及び被検者Mの高さを高さ表示部10が表示する。従って、寝具Y及び被検者Mの様々な箇所(例えば、枕の最も窪む箇所、枕の最も高い箇所、被検者の鼻の部分、被検者の頬の部分、又は被検者の額の部分等)の高さを効率よく且つ正確に測定することができるので、更なる測定精度の向上に寄与する。更に、高さ表示部10は、スケール11と、接触部5の高さを示す指標部12とを備える。従って、高さ表示部10の構成を簡易にすることができる。交差方向位置表示部6についても同様である。
【0059】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る高さ測定装置21について
図10を参照しながら説明する。高さ測定装置21は、高さ表示部10とは異なる態様の高さ表示部30を備える点が第1実施形態と相違する。高さ表示部30は、前述した指標部12及び支持部材13に代えて、基準面S1からの接触部5(端部5d)の高さを表示する第2のスケール31を備える。以下では、第1実施形態と重複する説明を適宜省略する。
【0060】
高さ表示部30は、前述したスケール11と第2のスケール31とを備えており、スケール31はスケール11の隣接位置において高さ方向D1に延在している。例えば、スケール31は、基準面S1に対する端部5dの高さを数値として示すメジャーである。一例として、端部5dが基準面S1に接触するときに、第2支持部4の基部4Aの下端がスケール31の0の位置に一致している。よって、第2支持部4及び接触部5を高さ方向D1に沿って移動させるときに、第2支持部4の基部4Aの下端に位置するスケール31の値を視認することによって基準面S1に対する端部5dの高さを把握することができる。
【0061】
以上、第2実施形態に係る高さ測定装置21は、接触部5の高さを表示する高さ表示部30を備える。よって、寝具又は被検者等の測定対象物に接触した接触部5の高さを高さ表示部30が表示することにより、測定対象物の高さを容易に測定することができるので第1実施形態と同様の効果が得られる。また、第2実施形態では、2本のメジャーによって高さ表示部30が構成されるので、高さ表示部の構成を簡易にすることができる。
【0062】
以上、本発明に係る高さ測定装置及び高さ測定方法の実施形態について説明したが、本発明は、前述した各実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲において適宜変更可能である。すなわち、高さ測定装置の各部の形状、大きさ、数、材料及び配置態様は、上記の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0063】
例えば、前述の実施形態では、スケール11、指標部12及び支持部材13を備えた高さ表示部10、並びに、スケール11及びスケール31を備えた高さ表示部30について説明した。しかしながら、高さ表示部の構成は、高さ表示部10又は高さ表示部30の構成に限られず適宜変更可能である。例えば、高さ表示部10及び高さ表示部30に代えて、接触部5の高さをデジタル表示するデジタル高さ表示器を備えていてもよい。
【0064】
また、前述した実施形態では、棒状に延びる第1支持部3及び第2支持部4について説明した。しかしながら、第1支持部及び第2支持部の形状は棒状に限られず適宜変更可能である。また、第1支持部3及び第2支持部4の少なくともいずれかは折り曲げ自在とされたヒンジ機構を有していてもよい。この場合、第1支持部3及び第2支持部4の少なくともいずれかを折り畳むことが可能となるので、更なるコンパクト化が可能となる。
【0065】
また、前述した実施形態では、第2支持部4が、第1支持部3に対する固定手段として、押圧部4c、雄螺子4d及び把持部4eを有する固定手段4bを備える例について説明した。しかしながら、固定手段の構成は適宜変更可能である。例えば、固定手段4bに代えて、孔部4aの内面にゴム等から成るブレーキ構造が設けられた固定手段であってもよい。この場合、第1支持部3に対する第2支持部4の高さ方向D1への移動を自動的に停止させることが可能となる。また、第1支持部3及び第2支持部4のそれぞれに高さ方向D1に延びるスライドレールが設けられており、当該スライドレールに沿って第2支持部4が第1支持部3に対して上下移動してもよい。
【0066】
また、前述した実施形態では、接触部5が第2支持部4に面ファスナーを介して交差方向D2に移動自在に脱着される例について説明した。しかしながら、接触部は第2支持部に脱着自在とされていなくてもよい。また、第2支持部及び接触部のそれぞれに交差方向D2に延びるスライドレールが設けられており、当該スライドレールに沿って接触部が第2支持部に対して交差方向D2に移動してもよい。更に、前述した実施形態では、板状部5b、棒状部5c、及び球状の端部5dを備える接触部5について説明した。しかしながら、接触部の形状、大きさ、数、材料及び配置態様についても適宜変更可能である。
【0067】
また、前述した実施形態では、第1支持部3を支持する板状部材2について説明した。しかしながら、板状部材2を省略することも可能である。また、板状部材2に代えて板状部材2とは異なる形状の台を備えていてもよい。更に、前述した実施形態では、材料が木製である高さ測定装置1について説明した。しかしながら、高さ測定装置の材料は、例えば、樹脂であってもよく、適宜変更可能である。
【0068】
(実施例)
続いて、本発明に係る高さ測定装置及び高さ測定方法の実施例について説明する。本発明は、以下の実施例に限定されない。実施例に係る測定では、
図7に示される高さ測定装置1を用いて被検者Mの後頭部が枕である寝具Yに載せられたときの寝具Yの凹み具合を測定した。実施例では、敷き寝具Eの下に板状部材2を挟んで高さ測定装置1をベッドTの上に置いて高さの測定を行った。
【0069】
まず、第2支持部4に接触部5を取り付けて端部5dを基準面S2に接触させた状態で指標部12が基準面S1に接触するように保持部13aを被取付部13bに取り付けた。そして、第2支持部4及び接触部5を上方に移動させた状態で
図8(a)に示されるように被検者Mを敷き寝具Eに横たわらせて被検者Mの額に接触部5を接触させて高さAを測定した。このときの高さAは26.4cmであった。
【0070】
次に、
図8(b)に示されるように、第2支持部4及び接触部5を上げて枕である寝具Yを敷き寝具Eの上に置き、寝具Yの上に被検者Mの後頭部が載るように被検者Mを横たわらせて被検者Mの額に接触部5を接触させて高さBを測定した。このときの高さBは29.2cmであった。その後、
図9に示されるように、再度第2支持部4及び接触部5を上げて寝具Yのみを敷き寝具Eの上に置き寝具Yに接触部5を接触させて高さCを測定した。高さCの値は4.3cmであった。その後、高さBから高さAを引いて凹んだ寝具Yの高さVを算出し、高さCから高さVを引いて被検者Mの後頭部が載せられたときの寝具Yの沈み込み量を測定した。高さVは2.8cmであり寝具Yの沈み込み量は1.5cmであった。
【0071】
以上、高さ測定装置1の設置、被取付部13bへの保持部13aの取り付け、高さA,B,C,Vの測定、及び寝具Yの沈み込み量の測定にかかる時間は数分であった。従って、高さ測定装置1を用いた各高さの測定を短時間で効率よく行うことが可能であり、高さの測定の効率が大幅に良好となることが分かった。