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特開2019-204566磁気ディスク装置及びリード/ライト処理方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-204566(P2019-204566A)
(43)【公開日】2019年11月28日
(54)【発明の名称】磁気ディスク装置及びリード/ライト処理方法
(51)【国際特許分類】
   G11B 5/596 20060101AFI20191101BHJP
   G11B 21/10 20060101ALI20191101BHJP
   G11B 20/10 20060101ALI20191101BHJP
   G11B 5/09 20060101ALI20191101BHJP
【FI】
   G11B5/596
   G11B21/10 A
   G11B20/10 301Z
   G11B5/09
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2018-97935(P2018-97935)
(22)【出願日】2018年5月22日
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河辺 享之
【テーマコード(参考)】
5D031
5D042
5D044
5D096
【Fターム(参考)】
5D031AA04
5D031EE08
5D031HH07
5D042MA02
5D044BC01
5D044CC05
5D044DE45
5D044FG21
5D096AA02
5D096BB01
5D096DD01
5D096DD02
5D096UU01
(57)【要約】
【課題】 リード処理性能を向上することが可能な磁気ディスク装置及びリード/ライト処理方法を提供することである。
【解決手段】 本実施形態に係る磁気ディスク装置は、ディスクと、前記ディスクに対してデータをライトし、前記ディスクからデータをリードするヘッドと、前記ディスクの第1トラックと前記第1トラックと一部が重なっている第2トラックとをライトした際の前記ヘッドの位置情報を前記第1トラックでリード処理を開始する前記第1トラックの第1領域にライトするコントローラと、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクと、
前記ディスクに対してデータをライトし、前記ディスクからデータをリードするヘッドと、
前記ディスクの第1トラックと前記第1トラックと一部が重なっている第2トラックとをライトした際の前記ヘッドの位置情報を前記第1トラックでリード処理を開始する前記第1トラックの第1領域にライトするコントローラと、を備える磁気ディスク装置。
【請求項2】
前記コントローラは、前記第1トラックに前記第2トラックを重ね書きし、前記第1領域に前記位置情報をライトする、請求項1に記載の磁気ディスク装置。
【請求項3】
前記コントローラは、前記位置情報を前記第2トラックと反対方向にずらしてライトする、請求項2に記載の磁気ディスク装置。
【請求項4】
前記コントローラは、前記第1領域の前記ディスクの半径方向に隣接する前記第2トラックの第2領域以外の前記第2トラックの第3領域にデータをライトする、請求項2に記載の磁気ディスク装置。
【請求項5】
前記コントローラは、前記第1領域の前記ディスクの半径方向に隣接する前記第2トラックの第2領域において前記第1トラックと反対方向にずらしてデータをライトする、請求項2に記載の磁気ディスク装置。
【請求項6】
前記コントローラは、前記第2トラックと反対方向への前記ヘッドのずれを許容する第1閾値よりも小さい前記第2トラックの方向への前記ヘッドのずれを許容する第2閾値で前記ヘッドを制御してデータをライトする、請求項2乃至5のいずれか1項に記載の磁気ディスク装置。
【請求項7】
前記コントローラは、前記第2トラックに前記第1トラックを重ね書きし、前記第1領域に前記位置情報をライトする、請求項1に記載の磁気ディスク装置。
【請求項8】
前記コントローラは、前記位置情報の内の前記第1トラックをライトした際の第1位置情報に基づいて前記第2トラックをライトする、請求項2乃至6のいずれか1項に記載の磁気ディスク装置。
【請求項9】
前記コントローラは、前記第1領域で前記位置情報をリードし、前記位置情報の内の前記第1トラックをライトした際の第1位置情報に基づいて前記第2トラックをライトし、前記第1位置情報と前記位置情報の内の前記第2トラックをライトした際の第2位置情報に基づいて前記第1トラックをリードする、請求項2乃至7のいずれか1項に記載の磁気ディスク装置。
【請求項10】
前記コントローラは、前記第1トラックの前記第1領域を除く第4領域をリードする際に、前記第4領域にデータをライトした際の前記ヘッド15の第1位置と前記第4領域の半径方向に隣接する前記第2トラックの第5領域をライトした際の第2位置との平均値に基づいて前記第4領域をリードする、請求項9に記載の磁気ディスク装置。
【請求項11】
ディスクと、前記ディスクに対してデータをライトし、前記ディスクからデータをリードするヘッドとを備える磁気ディスク装置に適用されるリード/ライト処理方法であって、
前記ディスクの第1トラックと前記第1トラックと一部が重なっている第2トラックとをライトした際の前記ヘッドの位置情報を前記第1トラックでリード処理を開始する前記第1トラックの第1領域にライトする、リード/ライト処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、磁気ディスク装置及びリード/ライト処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、磁気ディスク装置の高記録容量化を実現するための様々な技術が開発されている。これら技術の一つとして瓦記録方式(Shingled write Magnetic Recording(SMR)、またはShingled Write Recording(SWR))と称される記録技術がある。瓦記録方式の磁気ディスク装置は、磁気ディスクへデータをライトする際に、隣接するトラック(以下、隣接トラックと称する)の一部に重ねて次の記録トラックを書き込みする。瓦記録方式の磁気ディスク装置では、重ね書きされたトラックの幅が重ね書きされていないトラックの幅と比較して狭くなり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第8885284号明細書
【特許文献2】米国特許第9412403号明細書
【特許文献3】米国特許第9437232号明細書
【特許文献4】米国特許第9378763号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、リード処理性能を向上することが可能な磁気ディスク装置及びリード/ライト処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態に係る磁気ディスク装置は、ディスクと、前記ディスクに対してデータをライトし、前記ディスクからデータをリードするヘッドと、前記ディスクの第1トラックと前記第1トラックと一部が重なっている第2トラックとをライトした際の前記ヘッドの位置情報を前記第1トラックでリード処理を開始する前記第1トラックの第1領域にライトするコントローラと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、第1実施形態に係る磁気ディスク装置の構成を示すブロック図である。
図2図2は、データがライトされた瓦記録領域の一例を示す模式図である。
図3図3は、第1実施形態に係るライト処理の一例を示す模式図である。
図4図4は、第1実施形態に係るバンド領域においてバンド情報をライトする位置の一例を示す図である。
図5図5は、リードATC制御の一例を示す模式図である。
図6図6は、第1実施形態に係るライト処理時のヘッドの位置決め制御系の一例を示すブロック図である。
図7図7は、第1実施形態に係るリード処理時のヘッドの位置決め制御系の一例を示すブロック図である。
図8図8は、第1実施形態に係るライト処理方法の一例を示すフローチャートである。
図9図9は、第1実施形態に係るリード処理方法の一例を示すフローチャートである。
図10図10は、リード処理時のヘッドの位置決め制御の一例を示すフローチャートである。
図11図11は、ライトATC制御の一例を示す模式図である。
図12図12は、ライトATC制御の一例を示す模式図である。
図13図13は、第2実施形態に係るライト処理時のヘッドの位置決め制御系SY1の一例を示すブロック図である。
図14図14は、第2実施形態に係るライト処理方法の一例を示すフローチャートである。
図15図15は、ライト処理時のヘッドの位置決め制御の一例を示すフローチャートである。
図16図16は、変形例1に係るリード処理時のヘッドの位置決め制御系SY2の一例を示すブロック図である。
図17図17は、変形例2に係るバンド情報のライト方法の一例を示す図である。
図18図18は、変形例2に係るバンド情報のライト方法の一例を示す図である。
図19図19は、変形例3に係るバンド領域の各トラックのライト方法の一例を示す図である。
図20図20は、変形例3に係るバンド領域のトラックのライト方法の一例を示す図である。
図21図21は、変形例4に係るバンド領域の各トラックのライト方法の一例を示す図である。
図22図22は、変形例5に係るバンド領域の各トラックのライト方法の一例を示す図である。
図23図23は、変形例5に係るライト処理方法の一例を示すフローチャートである。
図24図24は、変形例5に係るリード処理方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。なお、図面は、一例であって、発明の範囲を限定するものではない。
(第1実施形態)
図1は、実施形態に係る磁気ディスク装置1の構成を示すブロック図である。
磁気ディスク装置1は、後述するヘッドディスクアセンブリ(HDA)と、ドライバIC20と、ヘッドアンプ集積回路(以下、ヘッドアンプIC、又はプリアンプ)30と、揮発性メモリ70と、バッファメモリ(バッファ)80と、不揮発性メモリ90と、1チップの集積回路であるシステムコントローラ130とを備える。また、磁気ディスク装置1は、ホストシステム(以下、単に、ホストと称する)100と接続される。
【0008】
HDAは、磁気ディスク(以下、ディスクと称する)10と、スピンドルモータ(以下、SPMと称する)12と、ヘッド15を搭載しているアーム13と、ボイスコイルモータ(以下、VCMと称する)14とを有する。ディスク10は、SPM12に取り付けられ、SPM12の駆動により回転する。アーム13及びVCM14は、アクチュエータACを構成している。アクチュエータACは、VCM14の駆動により、アーム13に搭載されているヘッド15をディスク10上の所定の位置まで移動制御する。ディスク10およびヘッド15は、2つ以上の数が設けられてもよい。
ディスク10は、データ領域に、瓦記録(Shingled Magnetic Recording:SMR)領域10aと、メディアキャッシュ(media cache)領域10bと、が割り当てられている。以下、ディスク10の半径方向に直交する方向を円周方向と称する。ディスク10は、サーボデータ等をそれぞれ含む複数のサーボ領域SVを有している。複数のサーボ領域SVは、ディスク10の半径方向に放射状に延出して円周方向に所定の間隔を空けて離散的に配置されている。つまり、複数のサーボ領域SVは、ディスク10にライトされる各トラックに亘って配置されている。以下、各トラックにおけるサーボ領域SVをサーボセクタと称する場合もある。
【0009】
瓦記録領域10aは、ホスト100からライト要求されたユーザデータ等が記録される。メディアキャッシュ領域10bは、瓦記録領域10aのキャッシュとして利用され得る。瓦記録領域10aでは、トラックの一部に次にライトするトラックが重ね書きされる。そのため、瓦記録領域10aのトラック密度(Track Per Inch:TPI)は、重ね書きされていない記録領域のトラック密度よりも高くなる。瓦記録領域10aでは、重ね書きされた複数のトラックをそれぞれ含む複数のトラック群が互いに間隔(ギャップ)を空けて配置される。以下で、重ね書きされた複数のトラックを含むトラック群をバンド領域と称する。バンド領域は、一部に半径方向に隣接するトラック(以下、隣接トラックと称する)が重ね書きされた少なくとも1つのトラックと、最後に重ね書きされたトラック(最終トラック)とを含む。最終トラックは、一部に他のトラックが重ね書きされていないため、一部に重ね書きされているトラックよりもトラック幅が広い。以下で、ディスク10にライトされたトラックをライトトラックと称する。隣接トラックが重ね書きされた領域を除いた残りのライトトラックの領域をリードトラックと称する。また、ライトトラックを単にトラックと称する場合もあるし、リードトラックを単にトラックと称する場合もあるし、ライトトラック及びリードトラックをまとめて単にトラックと称する場合もある。トラックは、複数のセクタを含んでいる。なお、”トラック”は、ディスク10の円周方向に延長するデータ、ディスク10の円周方向に延長する領域、ヘッド15の軌跡又は経路(動作経路)や、その他の種々の意味で用いる。”セクタ”は、トラックの所定の領域、例えば、セクタにライトされたデータ、トラックの所定の領域や、その他の種々の意味で用いる。また、ライトトラックの半径方向の幅をライトトラック幅と称し、リードトラックの半径方向の幅をリードトラック幅と称する場合もある。ライトトラック幅及びリードトラック幅をまとめてトラック幅と称する場合もある。
【0010】
図2は、データがライトされた瓦記録領域10aの一例を示す模式図である。図2において、縦軸は、ディスク10の半径方向を示し、横軸は、ディスク10の円周方向を示している。半径方向において、ディスク10の中心に向かう方向を内方向と称し、内方向と反対方向を外方向と称する。半径方向において、ディスク10の内周から外周へ向かう方向を外方向(外側)ODとし、外方向ODと反対方向を内方向(内側)IDとする。また、半径方向において、データをライト及びリードする方向を順方向と称する。図2に示した例では、順方向は、内方向IDと同じ方向である。なお、順方向は、外方向ODと同じ方向であってもよい。円周方向において、一方向を右方向とし、右方向と反対方向を左方向とする。また、円周方向において、データをライト及びリードする方向を進行方向と称する。例えば、進行方向は、ディスク10の回転方向と反対方向である。図2に示した例では、進行方向は、右方向と同じ方向である。なお、進行方向は、左方向と同じ方向であってもよい。
【0011】
図2に示した例では、瓦記録領域10aは、バンド領域TG1と、バンド領域TG2とを含む。図2では、バンド領域TG1及びTG2における各トラックは、説明の便宜上、一方向に延長する帯状に示している。実際には、バンド領域TG1及びTG2における各トラックは、ディスク10の形状に沿って湾曲している同心円状である。つまり、実際には、バンド領域TG1及びTG2における各トラックの左方向の端部と右方向の端部とは、一致している。また、図2に示した例では、各トラックは、外乱やその他の構造等の影響によるずれが生じている。なお、瓦記録領域10aは、2つより多くの数のバンド領域を含んでいてもよいし、2つよりも少ない数のバンド領域を含んでいてもよい。
【0012】
バンド領域TG1及びバンド領域TG2は、半径方向で互いにギャップ(又は、ガード領域と称する場合もある)GPを空けて並んでいる。以下で、バンド領域TG1を用いてバンド領域の構成について説明するが、バンド領域TG2の構成もバンド領域TG1と同等である。そのため、バンド領域TG2の構成について詳細な説明を省略する。
【0013】
図2に示した例では、バンド領域TG1は、ライトトラックWT11、WT12、WT13、WT14、及びWT15を含む。ライトトラックWT11及びWT12は、互いに一部が重なっている。ライトトラックWT12及びWT13は、互いに一部が重なっている。ライトトラックWT13及びWT14は、互いに一部が重なっている。ライトトラックWT14及びWT15は、互いに一部が重なっている。バンド領域TG1では、ライトトラックWT11乃至WT15が半径方向にこの順番で重ね書きされている。図示していないが、ライトトラックWT11、WT12、WT13、WT14、及びWT15は、それぞれ、複数のサーボセクタ及び複数のセクタを含む。なお、バンド領域TG1は、5つのトラックを含むとしたが、5つよりも少ない数のトラックを含んでいてもよいし、5つよりも多い数のトラックを含んでいてもよい。
【0014】
ライトトラックWT11は、トラックエッジE11AとトラックエッジE11Bとを有している。図2に示した例では、トラックエッジE11Aは、ライトトラックWT11の外側ODの端部であり、トラックエッジE11Bは、ライトトラックWT11の内側ID(順方向)の端部である。ライトトラックWT12は、トラックエッジE12AとトラックエッジE12Bとを有している。図2に示した例では、トラックエッジE12Aは、ライトトラックWT12の外側ODの端部であり、トラックエッジE12Bは、ライトトラックWT12の内側ID(順方向)の端部である。ライトトラックWT13は、トラックエッジE13AとトラックエッジE13Bとを有している。図2に示した例では、トラックエッジE13Aは、ライトトラックWT13の外側ODの端部であり、トラックエッジE13Bは、ライトトラックWT13の内側ID(順方向)の端部である。ライトトラックWT14は、トラックエッジE14AとトラックエッジE14Bとを有している。図2に示した例では、トラックエッジE14Aは、ライトトラックWT14の外側ODの端部であり、トラックエッジE14Bは、ライトトラックWT14の内側ID(順方向)の端部である。ライトトラック(最終トラック)WT15は、トラックエッジE15AとトラックエッジE15Bとを有している。図2に示した例では、トラックエッジE15Aは、ライトトラックWT15の外側ODの端部であり、トラックエッジE15Bは、ライトトラックWT15の内側ID(順方向)の端部である。
【0015】
ライトトラックWT11のライトトラック幅WW11は、トラックエッジE11A及びE11Bの間の半径方向の長さである。ライトトラックWT12のライトトラック幅WW12は、トラックエッジE12A及びE12Bの間の半径方向の長さである。ライトトラックWT13のライトトラック幅WW13は、トラックエッジE13A及びE13Bの間の半径方向の長さである。ライトトラックWT14のライトトラック幅WW14は、トラックエッジE14A及びE14Bの間の半径方向の長さである。ライトトラックWT15のライトトラック幅WW15は、トラックエッジE15A及びE15Bの間の半径方向の長さである。ライトトラック幅WW11乃至WW15は、例えば、同等である。なお、ライトトラック幅WW11乃至WW15は、異なっていてもよい。
【0016】
リードトラックRT11は、ライトトラックWT12が重ね書きされたライトトラックWT11の一部を除いた残りの領域である。リードトラックRT12は、ライトトラックWT13が重ね書きされたライトトラックWT12の一部を除いた残りの領域である。リードトラックRT13は、ライトトラックWT14が重ね書きされたライトトラックWT13の一部を除いた残りの領域である。リードトラックRT14は、ライトトラックWT15が重ね書きされたライトトラックWT14の一部を除いた残りの領域である。リードトラックRT15は、ライトトラックWT15に対応している。リードトラックRT15は、バンド領域TG1における最終トラックに相当する。
【0017】
リードトラックRT11のリードトラック幅RW11は、トラックエッジE11A及びE12Aの間の半径方向の長さである。リードトラックRT12のリードトラック幅RW12は、トラックエッジE12A及びE13Aの間の半径方向の長さである。リードトラックRT13のリードトラック幅RW13は、トラックエッジE13A及びE14Aの間の半径方向の長さである。リードトラックRT14のリードトラック幅RW14は、トラックエッジE14A及びE15Aの間の半径方向の長さである。リードトラックRT15のリードトラック幅RW15は、トラックエッジE15A及びE15Bの間の半径方向の長さである。つまり、リードトラック幅RW15は、ライトトラック幅WW15と同等である。
【0018】
図2に示した例では、バンド領域TG2は、ライトトラックWT21、WT22、WT23、WT24、及びWT25を含む。バンド領域TG2では、ライトトラックWT21乃至WT25が、半径方向にこの順番で重ね書きされている。ライトトラックWT21乃至WT25は、それぞれ、ライトトラックWT11乃至WT15に対応している。
【0019】
ライトトラックWT21のライトトラック幅WW21は、トラックエッジ21A及びE21Bの間の半径方向の長さである。ライトトラックWT22のライトトラック幅WW22は、トラックエッジE22A及びE22Bの間の半径方向の長さである。ライトトラックWT23のライトトラック幅WW23は、トラックエッジE23A及びE23Bの間の半径方向の長さである。ライトトラックWT24のライトトラック幅WW24は、トラックエッジE24A及びE24Bの間の半径方向の長さである。ライトトラックWT25のライトトラック幅WW25は、トラックエッジE25A及びE25Bの間の半径方向の長さである。
【0020】
リードトラックRT21は、ライトトラックWT22が重ね書きされたライトトラックWT21の一部を除いた残りの領域である。リードトラックRT22は、ライトトラックWT23が重ね書きされたライトトラックWT22の一部を除いた残りの領域である。リードトラックRT23は、ライトトラックWT24が重ね書きされたライトトラックWT23の一部を除いた残りの領域である。リードトラックRT24は、ライトトラックWT25が重ね書きされたライトトラックWT24の一部を除いた残りの領域である。リードトラックRT25は、ライトトラックWT25に対応している。リードトラックRT21乃至RT25は、それぞれ、リードトラックRT11乃至RT15に対応している。
【0021】
リードトラックRT21のリードトラック幅RW21は、トラックエッジE11A及びE12Aの間の半径方向の長さである。リードトラックRT22のリードトラック幅RW22は、トラックエッジE22A及びE23Aの間の半径方向の長さである。リードトラックRT23のリードトラック幅RW23は、トラックエッジE23A及びE24Aの間の半径方向の長さである。リードトラックRT24のリードトラック幅RW24は、トラックエッジE24A及びE25Aの間の半径方向の長さである。リードトラックRT25のリードトラック幅RW25は、トラックエッジE25A及びE25Bの間の半径方向の長さである。
【0022】
ヘッド15は、スライダを本体として、当該スライダに実装されているライトヘッド15Wとリードヘッド15Rとを備える。ライトヘッド15Wは、ディスク10上にデータをライトする。リードヘッド15Rは、ディスク10に記録されているデータをリードする。なお、ライトヘッド15Wを単にヘッド15と称する場合もあるし、リードヘッド15Rを単にヘッド15と称する場合もあるし、ライトヘッド15W及びリードヘッド15Rをまとめてヘッド15と称する場合もある。
ドライバIC20は、システムコントローラ130(詳細には、後述するMPU60)の制御に従って、SPM12およびVCM14の駆動を制御する。
ヘッドアンプIC(プリアンプ)30は、リードアンプ及びライトドライバを備えている。リードアンプは、ディスク10からリードされたリード信号を増幅して、システムコントローラ130(詳細には、後述するリード/ライト(R/W)チャネル40)に出力する。ライトドライバは、R/Wチャネル40から出力される信号に応じたライト電流をヘッド15に出力する。
【0023】
揮発性メモリ70は、電力供給が断たれると保存しているデータが失われる半導体メモリである。揮発性メモリ70は、磁気ディスク装置1の各部での処理に必要なデータ等を格納する。揮発性メモリ70は、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、又はSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)である。
バッファメモリ80は、磁気ディスク装置1とホスト100との間で送受信されるデータ等を一時的に記録する半導体メモリである。なお、バッファメモリ80は、揮発性メモリ70と一体に構成されていてもよい。バッファメモリ80は、例えば、DRAM、SRAM(Static Random Access Memory)、SDRAM、FeRAM(Ferroelectric Random Access memory)、又はMRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)等である。
不揮発性メモリ90は、電力供給が断たれても保存しているデータを記録する半導体メモリである。不揮発性メモリ90は、例えば、NOR型またはNAND型のフラッシュROM(Flash Read Only Memory :FROM)である。
【0024】
システムコントローラ(コントローラ)130は、例えば、複数の素子が単一チップに集積されたSystem-on-a-Chip(SoC)と称される大規模集積回路(LSI)を用いて実現される。システムコントローラ130は、リード/ライト(R/W)チャネル40、ハードディスクコントローラ(HDC)50、及びマイクロプロセッサ(MPU)60等を含む。システムコントローラ130は、例えば、ドライバIC20、ヘッドアンプIC30、揮発性メモリ70、バッファメモリ80、不揮発性メモリ90、及びホストシステム100等に電気的に接続されている。
R/Wチャネル40は、後述するMPU60からの指示に応じて、ディスク10からホスト100に転送されるリードデータ及びホスト100から転送されるライトデータの信号処理を実行する。R/Wチャネル40は、リードデータの信号品質を測定する回路、又は機能を有している。R/Wチャネル40は、例えば、ヘッドアンプIC30、HDC50、及びMPU60等に電気的に接続されている。
HDC50は、後述するMPU60からの指示に応じて、ホスト100とR/Wチャネル40との間のデータ転送を制御する。HDC50は、例えば、R/Wチャネル40、MPU60、揮発性メモリ70、バッファメモリ80、及び不揮発性メモリ90等に電気的に接続されている。
【0025】
MPU60は、磁気ディスク装置1の各部を制御するメインコントローラである。MPU60は、ドライバIC20を介してVCM14を制御し、ヘッド15の位置決めを行なうサーボ制御を実行する。MPU60は、ディスク10へのデータのライト動作を制御すると共に、ライトデータの保存先を選択する。また、MPU60は、ディスク10からのデータのリード動作を制御すると共に、リードデータの処理を制御する。MPU60は、磁気ディスク装置1の各部に接続されている。MPU60は、例えば、ドライバIC20、R/Wチャネル40、及びHDC50等に電気的に接続されている。
MPU60は、リード/ライト制御部61を備えている。MPU60は、各部、例えば、リード/ライト制御部61等の処理をファームウェア上で実行する。なお、MPU60は、各部を回路として備えていてもよい。
【0026】
リード/ライト制御部61は、ホスト100からのコマンドに従って、データのリード処理及びライト処理を制御する。リード/ライト制御部61は、ドライバIC20を介してVCM14を制御し、ヘッド15をディスク10上の所定の位置に位置決めし、データをリード又はライトする。例えば、瓦記録を実行する場合、リード/ライト制御部61は、所定のバンド領域においてシーケンシャルにデータをライトする。例えば、所定のバンド領域をリードする場合、リード/ライト制御部61は、シーケンシャルにデータをリードする。リード/ライト制御部61は、シーク制御部611と、位置決め制御部612とを備えている。以下、”ヘッド15(ライトヘッド15W又はリードヘッド15R)の中心部を所定の位置に位置決め、又は配置する”ことを単に”ヘッド15(ライトヘッド15W又はリードヘッド15R)を所定の位置に位置決め、又は配置する”と表現する場合もある。
【0027】
シーク制御部611は、ディスク10上の所定の位置、例えば、所定の円周方向の位置(以下、円周位置と称する)の所定の半径方向の位置(以下、半径位置と称する)にヘッド15をシークする。一例では、シーク制御部611は、ディスク10上の所定のトラックの所定のセクタにヘッド15をシークする。
【0028】
位置決め制御部612は、各トラックにおいて、リード処理及びライト処理時に目標とする半径位置(以下、目標位置と称する)にヘッド15を位置決め制御する。位置決め制御部612は、サーボセクタ単位でサンプリング割り込み制御によりヘッド15の位置決め制御を実行する。位置決め制御部612は、例えば、各トラックにおいて、リード処理及びライト処理時に目標とする経路(以下、目標経路と称する)を追従するようにヘッド15を制御する。ここで、ヘッド15の経路は、例えば、所定のトラックの各円周位置におけるヘッド15の半径位置に相当する。以下、ライト処理時のヘッド15、例えば、ライトヘッド15W又はリードヘッド15Rの半径位置をライト位置と称し、リード処理時のヘッド15、例えば、リードヘッド15Rの半径位置をリード位置と称する。ライト処理時のヘッド15の経路をライト経路と称し、リード処理時のヘッド15の経路をリード経路と称する。ライト処理時のヘッド15の目標位置を目標ライト位置と称し、リード処理時のヘッド15の目標位置を目標リード位置と称する。また、ライト処理時のヘッド15の目標経路を目標ライト経路と称し、リード処理時のヘッド15の目標経路を目標リード経路と称する。
【0029】
一例では、位置決め制御部612は、ライト処理時に、ディスク10と同心円状にライトされたライトトラック(以下、初期ライトトラックと称する)の中心部の半径位置に対応する目標ライト位置(以下、初期ライト位置と称する)にヘッド15、例えば、ライトヘッド15Wを位置決めする。換言すると、位置決め制御部612は、ライト処理時に、初期ライトトラックの半径方向の中心部を通る目標ライト経路(以下、初期ライト経路と称する)を追従するようにヘッド15、例えば、ライトヘッド15Wを制御する。
【0030】
また、位置決め制御部612は、例えば、リード処理時に、初期ライト位置(初期ライト経路)にライトされた順方向に隣接するライトトラックが重ね書きされた一部除いた初期ライト位置(初期ライト経路)にライトされたライトトラックの残りのリードトラック(以下、初期リードトラックと称する)の中心部の半径位置に対応する通常の目標リード位置(以下、初期リード位置と称する)にヘッド15、例えば、リードヘッド15Rを位置決めする。換言すると、位置決め制御部612は、リード処理時に、初期リードトラックの半径方向の中心部を通る目標リード経路(以下、初期リード経路と称する)を追従するようにヘッド15、例えば、リードヘッド15Rを制御する。
【0031】
位置決め制御部612は、ライト処理時にヘッド15、例えば、ライトヘッド15W(又はリードヘッド15R)の位置に関連する情報(以下、単に、位置情報と称する)を取得する。以下、ライト処理時のヘッド15の位置情報をライト位置情報と称する。ライト位置情報は、ライト処理時の各円周位置におけるヘッド15の半径位置に関連する情報、つまり、ライト処理時のヘッド15の経路に関連する情報(以下、ライト経路情報と称する)、各円周位置における初期ライト位置と現在の(又は実際の)ライト位置(以下、実ライト位置と称する)との差分値(以下、オフセット値と称する場合もある)や、各円周位置における目標ライト位置と実ライト位置との差分値(以下、ライト誤差と称する場合もある)等を含む。以下、目標リード位置と現在のリード位置(以下、実リード位置と称する)との差分値をリード誤差と称する場合もある。位置決め制御部612は、取得したライト位置情報をメモリ、例えば、ディスク10、揮発性メモリ70、バッファメモリ80や、不揮発性メモリ90等に記録する。
【0032】
所定のバンド領域の複数のトラックにそれぞれ対応する複数のライト位置情報(以下、バンド情報と称する)を取得した場合、位置決め制御部612は、取得したバンド情報をこのバンド情報に対応するバンド領域の所定の領域にライトする。例えば、位置決め制御部612は、所定のバンド領域において、リード処理時に最初にリードするトラック(以下、開始トラックと称する)にこのバンド領域に対応するバンド情報をライトする。開始トラックは、ホスト100から送られた所定のバンド領域にライトするデータでリード処理時に最初にリードするデータ、例えば、ホスト100から送られた所定のバンド領域にライトするデータの論理アドレス内で最も小さい番号の論理アドレスに対応するデータ(以下、最前データと称する)がライトされる。一例では、位置決め制御部612は、所定のバンド領域の開始トラックにおいて、リード処理時に最初にリードする領域、つまり、リード処理を開始する領域(以下、開始領域と称する)にこのバンド領域に対応するバンド情報をライトする。開始領域は、少なくとも1つのセクタを含む。開始領域は、最前データがライトされた領域の進行方向と反対方向に位置している。開始領域は、最前データがライトされていてもよい。また、一例では、位置決め制御部612は、所定のバンド領域の開始領域において、リード処理時に最初にリードするセクタ(以下、開始セクタと称する)にこのバンド領域に対応するバンド情報をライトする。開始セクタは、最前データがライトされたセクタの進行方向と反対方向、例えば、進行方向と反対方向の1つ前に位置している。
【0033】
バンド情報をこのバンド情報に対応するバンド領域の開始トラックにライトする場合、位置決め制御部612は、順方向におけるライト動作を禁止する初期ライト位置に対するヘッド15の半径方向へのずれを許容するずれ量の閾値(以下、ライト禁止閾値と称する)を順方向と反対方向におけるライト禁止閾値よりも小さくしてもよい。このようにライト禁止閾値を設定することで、バンド情報をライトした開始トラックの所定の領域の順方向に隣接する領域にライトされたデータへのバンド情報の上書きすることが抑制される。
【0034】
位置決め制御部612は、位置情報に基づいて、位置決め制御を実行できる。以下、位置情報に基づいて生成した現在の目標位置及び現在の目標経路を追従するようにヘッド15を制御することをATC(Adaptive Track Center、又はAutomatic Track width Control)制御と称する場合もある。例えば、位置決め制御部612は、現在ライトするライトトラック(以下、現在のライトトラック又は現在のトラックと称する)の1つ前にライトしたライトトラック(以下、前のライトトラック又は前のトラックと称する)に対応するライト位置情報(以下、前のライト位置情報と称する)に基づいて、現在のライトトラックにおける目標ライト位置(以下、現在の目標ライト位置と称する)及び目標ライト経路(以下、現在の目標ライト経路と称する)を生成し、生成した現在の目標ライト位置及び現在の目標ライト経路に基づいてライトヘッド15Wを制御する。以下、前のライト位置情報に基づいて生成した現在の目標ライト位置及び現在の目標ライト経路に基づいてヘッド15、例えば、ライトヘッド15Wを制御することをライトATC制御と称する場合もある。また、位置決め制御部612は、バンド情報、例えば、現在リードするリードトラック(以下、現在のリードトラック又は現在のトラックと称する)の順方向で1つ先に位置する(隣接する)リードトラック(以下、次のリードトラックと称する)又はライトトラック(以下、次のライトトラックと称する)に対応するライト位置情報(以下、次のライト位置情報と称する)と現在のリードトラック(現在のライトトラック)に対応するライト位置情報(以下、現在のライト位置情報と称する)とに基づいて、現在のリードトラックにおける目標リード位置(以下、現在の目標リード位置と称する)及び目標リード経路(以下、現在の目標リード経路)を生成し、生成した現在の目標リード位置及び現在の目標リード経路に基づいてリードヘッド15Rを制御する。以下、バンド情報、例えば、次のライト位置情報及び現在のライト位置情報に基づいて生成した現在の目標リード位置及び現在の目標リード経路に基づいてヘッド15、例えば、リードヘッド15Rを制御することをリードATC制御と称する。以下、現在ライト又はリードするセクタを現在のセクタと称し、現在のセクタの進行方向に位置する、例えば、1つ先に位置するセクタを次のセクタと称する。
【0035】
図3は、第1実施形態に係るライト処理の一例を示す模式図である。図3に示した例では、ライトヘッド15Wと、ライトヘッド15Wの中心部WCと、バンド領域TGnにおけるライトトラックWTnと、を示している。図3に示した例では、ライトヘッド15Wは、バンド領域TGnにおいて、ライトトラックWTnのセクタSC(n,k)にデータをライトしている。図3には、ライトトラックWTnの初期ライト位置WTCnと、初期ライト位置WTCnに対応するセクタSC(n,k)における初期ライト位置X1w(n,k)と、セクタSC(n,k)における実ライト位置Yw(n,k)と、セクタSC(n,k)における初期ライト位置X1w(n,k)に対する補正値(以下、ライト補正値と称する)X2w(n,k)とを示している。ライト補正値は、例えば、所定のバンド領域の所定のセクタの順方向と反対方向に隣接するセクタの実ライト位置に基づいて算出される。図3に示した例では、初期ライト位置WTCnは、セクタSC(n,k)における目標ライト位置TWP(n,k)に相当する。初期ライト位置X1w(n,k)は、セクタSC(n,k)における目標ライト位置TWP(n,k)に対応する目標ライト位置Xw(n,k)に相当する。また、ライト補正値X2w(n,k)は、目標ライト位置Xw(n,k)及び実ライト位置Yw(n,k)の差分値であるライト誤差ew(n,k)と、初期ライト位置X1w(n,k)及び実ライト位置Yw(n,k)の差分値であるオフセット値X3w(n,k)とに相当する。初期ライト位置X1w(n,k)は、例えば、基準とする半径位置(以下、基準位置と称する)から初期ライト位置WTCn(目標ライト位置TWP(n,k))までの半径方向の距離に相当し、実ライト位置Yw(n,k)は、例えば、基準位置からセクタSC(n,k)における現在のライトヘッド15Wの中心部WCまでの半径方向の距離に相当する。
【0036】
図3に示した例では、位置決め制御部612は、例えば、サーボサンプリング割り込みが開始した場合、セクタSC(n,k)における初期ライト位置X1w(n,k)(目標ライト位置Xw(n,k))を取得する。位置決め制御部612は、実ライト位置Yw(n,k)を取得する。位置決め制御部612は、初期ライト位置X1w(n,k)と実ライト位置Yw(n,k)とに基づいてオフセット値X3w(n,k)を取得する。位置決め制御部612は、トラックWTn、セクタSC(n,k)及びヘッド15等に関連づけたオフセット値X3w(n,k)を含むライト位置情報をテーブルとしてメモリ、例えば、揮発性メモリ70、バッファメモリ80、又は不揮発性メモリ90等に記録する。位置決め制御部612は、目標ライト位置Xw(n,k)と実ライト位置Yw(n,k)とに基づいてライト誤差ew(n,k)を算出し、ライト誤差ew(n,k)に基づいて目標ライト位置Xw(n,k)に位置するようにライトヘッド15Wを制御する。
【0037】
位置決め制御部612は、バンド領域TGnの各トラックにおいて、初期ライト位置と実ライト位置とを取得し、初期ライト位置と実ライト位置とに基づいて、オフセット値を取得する。位置決め制御部612は、バンド領域TGnの各トラックにおけるオフセット値を含むライト位置情報をテーブルとして、メモリ、例えば、揮発性メモリ70、バッファメモリ80、又は不揮発性メモリ90等に記録する。位置決め制御部612は、メモリに記録したバンド領域TGnの複数のトラックにそれぞれ対応する複数のライト位置情報をバンド情報としてバンド領域TGn、例えば、バンド領域TGnの開始セクタにライトする。
【0038】
図4は、第1実施形態に係るバンド領域においてバンド情報をライトする位置の一例を示す図である。
位置決め制御部612は、例えば、バンド領域TG1のライトトラックWT11のライト処理時に、進行方向に沿ってライトトラックWT11の各セクタでライト位置情報を取得する。ライトトラックWT11と同様に、位置決め制御部612は、ライトトラックWT12からライトトラック(最終トラック)WT15までの各トラックの各セクタでライト位置情報を取得する。位置決め制御部612は、ライトトラックWT15のライト位置情報を取得した後に、ライトトラックWT11乃至WT15の各ライト位置情報を含むバンド情報PD1をバンド領域TG1において最初にライトしたライトトラックWT11の開始セクタSS11にライトする。
【0039】
また、位置決め制御部612は、例えば、バンド領域TG2のライトトラックWT21のライト処理時に、進行方向に沿ってライトトラックWT21の各セクタでライト位置情報を取得する。ライトトラックWT21と同様に、位置決め制御部612は、ライトトラックWT21からライトトラック(最終トラック)WT25までの各トラックの各セクタでライト位置情報を取得する。位置決め制御部612は、ライトトラック(最終トラック)WT25のライト位置情報を取得した後に、ライトトラックWT21乃至WT25の各ライト位置情報を含むバンド情報PD2をバンド領域TG2において最初にライトしたライトトラックWT11の開始セクタSS21にライトする。
【0040】
図5は、リードATC制御の一例を示す模式図である。図5に示した例では、リードヘッド15Rと、リードヘッド15Rの中心部RCと、バンド領域TGnにおけるライトトラックWTnと、ライトトラックWTnの順方向の一部に重ね書きされたライトトラックWTn+1と、ライトトラックTn+1が重ね書きされた一部以外の残りのライトトラックWTnに対応するリードトラックRTnと、ライトトラックWTn及びリードトラックRTnのセクタSC(n,m)と、セクタSC(n,m)の進行方向に位置する(又は、隣接する)ライトトラックWTn及びリードトラックRTnの次のセクタSC(n,m+1)と、ライトトラックWTn+1のセクタSC(n+1,m)と、セクタSC(n+1,m)の進行方向に位置する(又は、隣接する)ライトトラックWTn+1の次のセクタSC(n+1,m+1)とを示している。セクタSC(n+1,m)は、セクタSC(n、m)の順方向に隣接し、セクタSC(n+1,m+1)は、セクタSC(n,m+1)の順方向に隣接している。また、図5には、ライトトラックWTnの初期ライト位置WTCnにライトヘッド15Wを位置決めしてライトされたセクタISCn(のデータ)と、ライトトラックWTn+1の初期ライト位置WTCn+1にライトヘッド15Wを位置決めしてライトされたセクタISCn+1(のデータ)と、リードトラックRTnのセクタISCnの初期リード位置ITRPnとを示している。初期リード位置ITRPnは、例えば、セクタISCn+1(のデータ)が重ね書きされた一部以外の残りのセクタISCn(のデータ)の半径方向の幅の中間部の半径位置に相当する。
【0041】
図5に示した例では、リードヘッド15Rは、バンド領域TGnにおいて、次のライト位置情報及び現在のライト位置情報に基づいて、リードトラックRTnのセクタSC(n,m)のデータをリードしている。図5には、初期リード位置ITRPnに対応する初期リード位置X1rと、セクタSC(n,m)における初期リード位置X1r(n,m)(リード位置ITRPn)に対する補正値(以下、リード補正値と称する)X2r(n,m)と、セクタSC(n,m)における目標リード位置TRP(n,m)と、目標リード位置TRP(n,m)に対応するセクタSC(n,m)の目標リード位置Xr(n,m)と、セクタSC(n,m)における実リード位置Yr(n,m)と、目標リード位置Xr(n,m)と実リード位置Yr(n,m)との差分値であるリード誤差er(n,m)と、ライトトラックWTnの初期ライト位置WTCnとセクタSC(n,m+1)(のデータ)の中心部SCC(n,m+1)の半径位置との差分値であるオフセット値X3w(n,m+1)と、ライトトラックWTn+1の初期ライト位置WTCn+1とセクタSC(n+1,m+1)(のデータ)の中心部SCC(n+1,m+1)の半径位置との差分値であるオフセット値X3w(n+1,m+1)と、セクタSC(n,m+1)における目標リード位置TRP(n,m+1)と、セクタSC(n,m+1)における初期リード位置ITRPnのリード補正値X2r(n,m+1)と、を示している。リード補正値は、例えば、所定のバンド領域の所定のセクタの順方向に隣接するセクタの実ライト位置に基づいて算出される。目標リード位置TRP(n,m)は、例えば、セクタSC(n+1,m)(のデータ)が重ね書きされた一部以外の残りのセクタSC(n,m)(のデータ)の半径方向の幅の中間部の半径位置に相当する。目標リード位置TRP(n,m+1)は、例えば、セクタSC(n+1,m+1)(のデータ)が重ね書きされた一部以外の残りのセクタSC(n,m+1)(のデータ)の半径方向の幅の中間部の半径位置に相当する。図5に示した例では、初期リード位置X1r(n,m)は、例えば、基準位置から初期リード位置ITRPnまでの半径方向の距離に相当し、目標リード位置Xr(n,m)は、基準位置から目標リード位置TRP(n,m)までの半径方向の距離に相当し、実リード位置Yr(n,m)は、例えば、基準位置からセクタSC(n,m)における現在のリードヘッド15Rの中心部RCまでの半径方向の距離に相当する。
【0042】
図5に示した例では、位置決め制御部612は、例えば、サーボサンプリング割り込みが開始した場合、セクタSC(n,m)における初期リード位置X1r(n,m)を取得する。位置決め制御部612は、リードATC制御の実行を示すフラグ、例えば、リードATC制御の実行を示すビットがアサートされていた場合、リードATC制御を実行していると判定する。リードATC制御を実行している判定した場合、位置決め制御部612は、テーブルのバンド情報からセクタSC(n,m)に対応するリード補正値X2r(n,m)を取得し、初期リード位置X1r(n,m)にリード補正値X2r(n,m)を加算して目標リード位置Xr(n,m)を取得する。例えば、リードATC制御を実行していると判定した場合、位置決め制御部612は、バンド情報の内の現在のリードトラックに位置決め制御部612は、実リード位置Yr(n,m)を取得する。位置決め制御部612は、目標リード位置Xr(n,m)と実リード位置Yr(n,m)とに基づいてリード誤差er(n,m)を算出し、リード誤差er(n,m)に基づいて、目標リード位置Xr(n,m)に位置するようにリードヘッド15Rを制御する。
【0043】
位置決め制御部612は、次のサーボサンプリング割り込みのために、バンド情報を含むテーブルからセクタSC(n,m)の進行方向に位置する次のセクタSC(n,m+1)(のデータ)のオフセット値X3w(n,m+1)と、セクタSC(n,m+1)の順方向に隣接するセクタSC(n+1,m+1)(のデータ)のオフセット値X3w(n+1,m+1)とを取得する。位置決め制御部612は、オフセット値X3w(n,m+1)及びX3w(n+1,m+1)に基づいて、セクタSC(n,m+1)に対応するリード補正値X2r(n,m+1)を算出し、リード補正値X2r(n,m)をメモリ、例えば、揮発性メモリ70、バッファメモリ80、又は不揮発性メモリ90等に記録する。
【0044】
図6は、第1実施形態に係るライト処理時のヘッド15の位置決め制御系SY1の一例を示すブロック図である。
磁気ディスク装置1は、ライト処理時のヘッド15の位置決め制御系(以下、ライト制御系と称する)SY1を有している。ライト制御系SY1は、変換器S1と、制御器S2と、アクチュエータS3と、メモリS4と、保存領域S5と、演算部C61、C62とを有している。変換器S1、制御器S2、演算部C61、及び演算部C62は、例えば、システムコントローラ130に含まれている。アクチュエータS3は、例えば、アクチュエータACに含まれている。メモリS4は、例えば、揮発性メモリ70、バッファメモリ80、又は不揮発性メモリ90に含まれている。保存領域S5は、例えば、ディスク10に含まれている。
【0045】
変換器S1は、上位装置、例えば、ホスト100から指定されたディスク10の論理な位置(以下、論理位置と称する)をディスク10の物理的な位置(以下、物理位置と称する)に変換する。論理位置は、例えば、論理アドレスであってもよいし、物理位置は、例えば、物理アドレスであってもよい。
制御器S2は、アクチュエータS3を制御する。制御器S2は、例えば、ライト誤差ewに基づいて、アクチュエータS3のライト処理時のヘッド15の駆動量(以下、ライト駆動量と称する)Uwを生成する。なお、制御器S2は、ライト誤差ew以外の値に基づいて、ライト駆動量Uwを生成してもよい。
アクチュエータS3は、制御器S2の出力に応じて駆動する。アクチュエータS3は、例えば、ライト駆動量Uwに基づいて駆動し、ヘッド15を実ライト位置Ywに移動する。
メモリS4は、テーブルTBを有している。テーブルTBは、ライト位置情報やバンド情報を含む。
【0046】
所定のバンドにおいてデータをライトする論理位置、例えば、位置(C:トラック又はシリンダ、H:ヘッド、S:セクタ)が指定された場合、変換器S1は、位置(C、H)が入力される。変換器S1は、位置(C,H)を物理位置である初期ライト位置X1w(目標ライト位置Xw)に変換し、演算部C61及びC62に出力する。演算部C61は、実ライト位置Ywと初期ライト位置X1w(目標ライト位置Xw)との差分値であるライト誤差ewを制御器S2に出力する。制御器S2は、ライト誤差ewが入力される。制御器S2は、ライト駆動量UwをアクチュエータS3に出力する。アクチュエータS3は、ライト駆動量Uwが入力される。アクチュエータS3は、ライト駆動量Uwに応じて駆動し、駆動量Uwに対応する実ライト位置Ywにヘッド15、例えば、ライトヘッド15Wを移動する。アクチュエータS3は、実ライト位置Ywを演算部C61及びC62に出力する。演算部C62は、実ライト位置Yw及び初期ライト位置X1wの差分値であるオフセット値X3wをメモリS4に出力する。メモリS4は、論理位置(C,S)及びオフセット値X3wが入力される。メモリS4では、論理位置(C,S)と関連付けられたオフセット値X3wを含むライト位置情報がテーブルとして記録される。メモリS4は、所定のバンド領域の全てのライト位置情報が記録された場合、所定のバンド領域の全てのライト位置情報をバンド情報として保存領域S5にライトする。
【0047】
図7は、第1実施形態に係るリード処理時のヘッド15の位置決め制御系SY2の一例を示すブロック図である。
磁気ディスク装置1は、リード処理時のヘッド15の位置決め制御系(以下、リード制御系と称する)SY2を有している。リード制御系SY2は、変換器S1と、制御器S2と、アクチュエータS3と、メモリS4と、保存領域S5と、増幅器A1と、遅延器S6と、演算部C71、C72とを有している。増幅器A1、遅延器S6、演算部C71、及び演算部C72は、例えば、システムコントローラ130に含まれている。
【0048】
制御器S2は、例えば、リード誤差erに基づいて、アクチュエータS3のリード処理時のヘッド15の駆動量(以下、リード駆動量)Urを生成する。なお、制御器S2は、リード誤差er以外の値に基づいて、リード駆動量Urを生成してもよい。
アクチュエータS3は、例えば、リード駆動量Urに基づいて駆動し、ヘッド15を実リード位置Yrに移動する。
増幅器A1は、所定の値を乗じる。増幅器A1は、例えば、上位装置から指定された位置(C,H,S)に対応するセクタ(C,S)の次のセクタ(C,S+1)のオフセット値X3w(C,S+1)に次のセクタ(C,S+1)の順方向に隣接するセクタ(C+1,S+1)のオフセット値X3w(C+1,S+1)を加算した値に1/2を乗じる。
遅延器S6は、1サンプリング周期分を遅延させる。遅延器S6は、例えば、次のセクタ(C,S+1)に対応するリード補正値X2r(C,S+1)を1サンプリング周期分遅延させる。
【0049】
所定のバンド領域において、データをリードする位置(C,H,S)が指定された場合、変換器S1は、位置(C,H,S)が入力される。変換器S1は、位置(C,H)を物理位置である初期リード位置X1rに変換し、演算部C71に出力する。演算部C71は、初期リード位置X1rにリード補正値X2r(C,S)を加算した目標リード位置Xrを生成し、生成した目標リード位置Xrを演算部C72に出力する。演算部C72は、目標リード位置Xr及び実リード位置Yrが入力される。演算部C72は、目標リード位置Xr及び実リード位置Yrの差分値であるリード誤差erを制御器S2に出力する。制御器S2は、リード誤差erが入力される。制御器S2は、リード駆動量UrをアクチュエータS3に出力する。アクチュエータS3は、リード駆動量Urが入力される。アクチュエータS3は、リード駆動量Urに応じて駆動し、リード駆動量Urに対応する実リード位置Yrにヘッド15、例えば、リードヘッド15Rを移動する。アクチュエータS3は、実リード位置Yrを演算部C72に出力する。メモリS4は、位置(C,S)が入力され、保存領域S5から所定のバンド領域のバンド情報を含むテーブルが入力される。メモリS4は、位置(C,S)に対応するセクタ(C,S)の次のセクタ(C,S+1)に対応するオフセット値X3w(C,S+1)と、セクタ(C,S+1)の順方向に隣接するセクタ(C+1,S+1)に対応するオフセット値X3w(C+1,S+1)とを増幅器A1に出力する。増幅器A1は、オフセット値X3w(C,S+1)及びX3w(C+1,S+1)が入力される。増幅器A1は、オフセット値X3w(C,S+1)にオフセット値X3w(C+1,S+1)を加算した値に1/2を乗じたセクタ(C,S+1)に対応するリード補正値X2r(C,S+1)を遅延器S6に出力する。遅延器S6は、リード補正値X2r(C,S+1)を1サンプリング周期分遅延させた補正値X2r(C,S)を演算部C71に出力する。
【0050】
図8は、第1実施形態に係るライト処理方法の一例を示すフローチャートである。
システムコントローラ130は、ホスト100からライトコマンドを受ける(B801)。システムコントローラ130は、指定された所定のバンド領域の所定のセクタにヘッド15を移動する(B802)。例えば、システムコントローラ130は、指定された所定のバンド領域の開始セクタ又は開始セクタの進行方向に位置する次のセクタにヘッド15を移動する。システムコントローラ130は、データをライトする(B803)。例えば、システムコントローラは、開始セクタ又は開始セクタの進行方向に位置する次のセクタから進行方向にデータのライト処理を開始し、順方向にシーケンシャルにデータをライトする。システムコントローラ130は、ライト処理時にライト位置情報を取得する(B804)。例えば、システムコントローラ130は、所定のバンド領域の複数のトラックにそれぞれ対応する複数のライト位置情報(バンド情報)を取得する。所定のバンド領域の複数のトラックにそれぞれ対応する複数の位置情報(バンド情報)を取得した場合、システムコントローラ130は、所定のセクタにヘッド15を移動する(B805)。例えば、所定のバンド領域においてバンド情報を取得した場合、システムコントローラ130は、所定のバンド領域において最初にライトしたライトトラックの開始セクタにヘッド15を移動する。システムコントローラ130は、所定のセクタにバンド情報をライトし(B806)、処理を終了する。システムコントローラ130は、例えば、所定のバンド領域の開始セクタにバンド情報をライトし、処理を終了する。
【0051】
図9は、第1実施形態に係るリード処理方法の一例を示すフローチャートである。
システムコントローラ130は、ホスト100からリードコマンドを受ける(B901)。システムコントローラ130は、指定された所定のバンド領域の所定のセクタにヘッド15を移動する(B902)。例えば、システムコントローラ130は、指定された所定のバンド領域の開始セクタにヘッド15を移動する。システムコントローラ130は、所定のセクタにライトされたバンド情報をリードする(B903)。例えば、システムコントローラ130は、所定のバンド領域の開始セクタにライトされたバンド情報をリードする。システムコントローラは130、リードATC制御を実行する(B904)。例えば、システムコントローラ130は、リードATC制御の実行を示すフラグ、例えば、ビットをアサートする。システムコントローラ130は、バンド情報に基づいてリードATC制御によりデータをリードし(B905)、処理を終了する。例えば、システムコントローラ130は、現在のリード対象セクタのライト位置情報(現在のライト位置情報)及び隣接トラックのライト位置情報(次のライト位置情報)に基づいて、リードATC制御により所定のバンド領域の開始トラックから最終トラックまでシーケンシャルに順方向にリードし、処理を終了する。
【0052】
図10は、リード処理時のヘッド15の位置決め制御の一例を示すフローチャートである。
システムコントローラ130は、サーボサンプリング割り込みが開始した場合、現在のセクタの初期リード位置を取得する(B1001)。システムコントローラ130は、リードATC制御が実行されているか実行されていないかを判定する(B1002)。例えば、システムコントローラ130は、リードATC制御の実行を示すビットがアサートされているかアサートされていないかを判定する。リードATC制御が実行されていると判定した場合(B1002のYES)、システムコントローラ130は、現在のセクタにおける初期リード位置に対するリード補正値を取得する(B1003)。例えば、リードATC制御の実行を示すビットがアサートされていると判定した場合、システムコントローラ130は、テーブルTBから現在のセクタにおける初期リード位置に対するリード補正値を取得する。リードATC制御が実行されていないと判定した場合(B1002のNO)、システムコントローラ130は、現在のセクタにおける初期リード位置に対するリード補正値を0とする(B1004)。例えば、リードATC制御の実行を示すビットがアサートされていると判定した場合、システムコントローラ130は、現在のセクタにおける初期リード位置に対するリード補正値を0とする。
【0053】
システムコントローラ130は、初期リード位置及びリード補正値に基づいて目標リード位置を取得する(B1005)。システムコントローラ130は、目標リード位置及び実リード位置に基づいてアクチュエータACを駆動する(B1006)。例えば、システムコントローラ130は、目標リード位置及び実リード位置に基づいてリード誤差を算出し、リード誤差に基づいてヘッド15が目標リード位置に位置するようにアクチュエータACを駆動する。
【0054】
システムコントローラ130は、リードATC制御が実行されているか実行されていないかを判定する(B1007)。リードATC制御が実行されていると判定した場合(B1007のYES)、システムコントローラ130は、現在のセクタの進行方向に位置する次のセクタのための準備を実行する(B1008)。次のセクタの準備(B1008)として、システムコントローラ130は、次のセクタのオフセット値を取得し(B811)、次のセクタの順方向に隣接するセクタのオフセット値を取得する(B812)。システムコントローラ130は、次のセクタのオフセット値と次のセクタの順方向に隣接するセクタのオフセット値とに基づいて、次のセクタに対応するリード補正値を取得し(B813)、次のセクタの準備(B1008)を終了する。例えば、システムコントローラ130は、次のセクタのオフセット値と次のセクタの順方向に隣接するセクタのオフセット値との平均値を次のセクタに対応するリード補正値として取得し、次のセクタに対応するリード補正値をメモリ、例えば、揮発性メモリ70、バッファメモリ80、又は不揮発性メモリ90に記録する。リードATC制御が実行されていないと判定した場合(B1007のNO)、システムコントローラ130は、次のセクタにヘッド15を移動し(B1009)、処理を終了する。
【0055】
本実施形態によれば、磁気ディスク装置1は、所定のバンド領域にデータをシーケンシャルにライトした際に、所定のバンド領域の各トラックでライト位置情報を取得する。所定のバンド領域のバンド情報を取得した場合、磁気ディスク装置1は、所定のバンド領域の開始セクタにバンド情報をライトする。所定のバンド領域をリードする場合、磁気ディスク装置1は、開始セクタのバンド情報をリードし、バンド情報に基づいてリードATC制御により所定のバンド領域の各トラックをシーケンシャルにリードする。磁気ディスク装置1は、現在のライト位置情報と次のライト位置情報とに基づいて、各円周位置で現在のリードトラックを精度良くリードすることができる。そのため、磁気ディスク装置1は、リード処理性能を向上することができる。
【0056】
次に、他の実施形態及び変形例に係る磁気ディスク装置について説明する。他の実施形態及び変形例において、前述の実施形態と同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
(第2実施形態)
第2実施形態の磁気ディスク装置1は、ライトATC制御を実行する点が第1実施形態と異なる。
図11は、ライトATC制御の一例を示す模式図である。
図11に示した例では、バンド領域TGjは、ライトトラックWTj−1、WTj、及びWTj+1を含む。バンド領域TGjでは、ライトトラックWTj−1乃至WTj+1が順方向にこの順番で重ね書きされている。ライトトラックWTj−1は、トラックエッジEj−1Aを有している。図11に示した例では、トラックエッジEj−1Aは、ライトトラックWTj−1の外方向ODの端部である。図11には、ライトトラックWTj−1に対応する初期ライト経路WTTj−1を示している。ライトトラックWTjは、トラックエッジEjを有している。図11に示した例では、トラックエッジEjAは、ライトトラックWTjの外方向ODの端部である。図11には、ライトトラックWTjに対応する初期ライト経路WTTjを示している。ライトトラックWTj+1は、トラックエッジEj+1Aを有している。図11に示した例では、トラックエッジEj+1Aは、ライトトラックWTj+1の外方向ODの端部である。図11には、ライトトラックWTj+1に対応する初期ライト経路WTTj+1を示している。
【0057】
位置決め制御部612は、ライトトラックWTj−1をライトする際の目標ライト経路TWTj−1を追従するようにライトヘッド15Wを位置決め制御する。目標ライト経路TWTj−1は、初期ライト経路WTTj−1に相当する。実際には、ライトトラックWTj−1をライトする場合、ライトヘッド15Wは、ライト誤差を含む実際のライト経路(以下、実ライト経路と称する)SWTj−1上を走行する。位置決め制御部612は、実ライト経路SWTj−1に対応するライト処理時のヘッド15、例えば、ライトヘッド15Wのライト経路情報を取得し、取得したライト経路情報をメモリ、例えば、ディスク10、揮発性メモリ70、バッファメモリ80や、不揮発性メモリ90等に記録する。
【0058】
位置決め制御部612は、実ライト経路SWTj−1に対応するライト経路情報に基づいて、ライトトラックWTjをライトする際の目標ライト経路TWTjを生成し、目標ライト経路TWTjを追従するようにライトヘッド15Wを位置決め制御する。実際には、ライトトラックWTjをライトする場合、ライトヘッド15Wは、実ライト経路SWTj上を走行する。位置決め制御部612は、実ライト経路SWTjに対応するライト経路情報を取得し、取得したライト経路情報をメモリ、例えば、ディスク10、揮発性メモリ70、バッファメモリ80や、不揮発性メモリ90等に記録する。
【0059】
位置決め制御部612は、実ライト経路SWTjに対応するライト経路情報に基づいて、ライトトラックWTj+1をライトする際の目標ライト経路TWTj+1を生成し、目標ライト経路TWTj+1を追従するようにライトヘッド15Wを位置決め制御する。実際には、ライトトラックWTj+1をライトする場合、ライトヘッド15Wは、実ライト経路SWTj+1上を走行する。位置決め制御部612は、実ライト経路SWTj+1に対応するライト経路情報を取得し、取得したライト経路情報をメモリ、例えば、ディスク10、揮発性メモリ70、バッファメモリ80や、不揮発性メモリ90等に記録する。
【0060】
図12は、ライトATC制御の一例を示す模式図である。図12に示した例では、ライトヘッド15Wと、ライトヘッド15Wの中心部WCと、バンド領域TGnにおけるライトトラックWTn−1と、ライトトラックWTn−1の順方向の一部に重ね書きされたライトトラックWTnと、ライトトラックWTn−1のセクタSC(n−1,k)と、セクタSC(n−1,k)の進行方向に位置する(又は、隣接する)ライトトラックWTn−1の次のセクタSC(n−1,k+1)と、ライトトラックWTnのセクタSC(n,k)と、セクタSC(n,k)の進行方向に位置する(又は、隣接する)ライトトラックWTnの次のセクタSC(n,k+1)と、を示している。セクタSC(n,k)は、セクタSC(n−1,k)の順方向に隣接し、セクタSC(n,k+1)は、セクタSC(n−1,k+1)の順方向に隣接している。
【0061】
図12に示した例では、ライトヘッド15Wは、バンド領域TGnにおいて、ライトトラックWTnのセクタSC(n,k)にデータをライトしている。ライトヘッド15Wは、セクタSC(n,k)にデータをライトした後にセクタSC(n,k+1)にデータをライトする。図12には、ライトトラックWTn−1の初期ライト位置WTCn−1と、セクタSC(n,k)における目標ライト位置TWP(n,k)と、目標ライト位置TWP(n,k)に対応するセクタSC(n,k)における目標ライト位置Xw(n,k)と、目標ライト位置Xw(n,k)と実ライト位置Yw(n,k)との差分値であるライト誤差ew(n,k)と、初期ライト位置X1w(n,k)と実ライト位置Yw(n,k)との差分値であるオフセット値X3w(n,k)と、ライトトラックWTn−1の初期ライト位置WTCn−1とセクタSC(n−1,k+1)(のデータ)の半径方向の中心部SCC(n−1,k+1)の半径位置との差分値であるオフセット値X3w(n−1,k+1)と、ライトトラックWTnの初期ライト位置WTCnに対するセクタSC(n,k+1)に対応するライト補正値X2w(n,k+1)と、を示している。目標ライト位置TWP(n,k)は、例えば、セクタSC(n,k)(のデータ)の半径方向の幅の中間部の半径位置に相当する。目標ライト位置Xw(n,k)は、例えば、基準位置から目標ライト位置TWP(n,k)までの半径方向の距離に相当する。ライト補正値X2w(n,k+1)は、初期ライト位置WTCnとセクタSC(n,k+1)(のデータ)の半径方向の中心部SCC(n,k+1)の半径位置との差分値に相当する。
【0062】
図12に示した例では、位置決め制御部612は、例えば、サーボサンプリング割り込みが開始した場合、セクタSC(n、k)における初期ライト位置X1w(n,k)を取得する。位置決め制御部612は、ライトATC制御の実行を示すフラグ、例えば、ライトATCの実行を示すビットがアサートされていた場合、ライトATC制御を実行していると判定する。ライトATC制御を実行していると判定した場合、位置決め制御部612は、セクタSC(n−1,k)(のデータ)のオフセット値に基づいてセクタSC(n,k)に対応するライト補正値X2w(n,k)を生成し、初期ライト位置X1w(n,k)にライト補正値X2w(n,k)を加算して目標ライト位置Xw(n,k)を取得する。位置決め制御部612は、実ライト位置Yw(n,k)を取得する。位置決め制御部612は、初期ライト位置X1w(n,k)と実ライト位置Yw(n,k)とに基づいてオフセット値X3w(n,k)を取得し、メモリ、例えば、揮発性メモリ70、バッファメモリ80、又は不揮発性メモリ90にオフセット値X3wをテーブルTBとして記録する。位置決め制御部612は、目標ライト位置Xw(n,k)と実ライト位置Yw(n,k)とに基づいてライト誤差ew(n,k)を算出し、ライト誤差ew(n,k)に基づいて目標ライト位置Xw(n,k)に位置するようにライトヘッド15Wを制御する。
【0063】
位置決め制御部612は、次のサーボサンプリング割り込みのために、セクタ(n,k+1)の順方向と反対方向に隣接するセクタ(n−1,k+1)のオフセット値X3w(n−1,k+1)を取得する。位置決め制御部612は、オフセット値X3w(n−1,k+1)をセクタSC(n,k)の進行方向に位置する次のセクタ(n,k+1)に対応するライト補正値X2w(n,k+1)としてメモリ、例えば、揮発性メモリ70、バッファメモリ80、又は不揮発性メモリ90等に記録する。
【0064】
図13は、第2実施形態に係るライト処理時のヘッド15の位置決め制御系SY1の一例を示すブロック図である。
ライト制御系SY1は、遅延器S6、補償器S7、演算部C131、及び演算部C132をさらに有している。遅延器S6、補償器S7、演算部C131、及び演算部C132は、例えば、システムコントローラ130に含まれている。
【0065】
遅延器S6は、例えば、現在のセクタ(C,S)の進行方向に位置する次のセクタ(C,S+1)(のデータ)のオフセット値X3w(C,S+1)を1サンプリング周期分遅延させ、オフセット値X3wをライト補正値X2wとして出力する。
補償器S7は、ゲインや位相を調整する。補償器S7は、例えば、ローパスフィルタやアッテネータを含む。補償器S7は、例えば、次のセクタ(C,S+1)の順方向と反対方向に隣接するセクタ(C−1,S+1)(のデータ)のオフセット値X3w(C−1,S+1)のゲインや位相を調整する。
【0066】
所定のバンド領域において、データをライトする位置(C,H,S)が指定された場合、変換器S1は、位置(C,H,S)が入力される。変換器S1は、位置(C,H)を物理位置である初期ライト位置X1wに変換し、演算部C131に出力する。演算部C131は、初期ライト位置X1wにライト補正値X2w(C,S)を加算した目標ライト位置Xwを生成し、生成した目標ライト位置Xwを演算部C131に出力する。演算部C132は、目標ライト位置Xw及び実ライト位置Ywの差分値であるライト誤差ewを制御器S2に出力する。制御器S2は、ライト誤差ewが入力される。制御器S2は、ライト駆動量UwをアクチュエータS3に出力する。アクチュエータS3は、ライト駆動量Uwに応じて駆動し、ライト駆動量Uwに対応する実ライト位置Ywにヘッド15、例えば、ライトヘッド15Wを移動する。アクチュエータS3は、実ライト位置Ywを演算部C132及びC62に出力する。メモリS4は、位置(C,S)に対応するセクタ(C,S)の進行方向に位置する次のセクタ(C,S+1)の順方向と反対方向に隣接するセクタ(C−1,S+1)のオフセット値X3w(C−1,S+1)を補償器S7に出力する。補償器S7は、オフセット値X3w(C−1,S+1)が入力される。補償器S7は、ゲインや位相を調整したオフセット値X3w(C−1,S+1)を遅延器S6に出力する。遅延器S6は、調整したオフセット値X3w(C−1,S+1)を1サンプリング周期分遅延させたライト補正値X2w(C,S)を演算器C131に出力する。
【0067】
図14は、第2実施形態に係るライト処理方法の一例を示すフローチャートである。
システムコントローラ130は、ホスト100からライトコマンドを受け(B801)、指定された所定のセクタにヘッド15を移動する(B802)。システムコントローラは130、ライトATC制御を実行する(B1401)。例えば、システムコントローラ130は、ライトATC制御の実行を示すフラグ、例えば、ビットをアサートする。システムコントローラ130は、前のライト位置情報に基づいてライトATC制御によりデータをライトする(B803)。例えば、システムコントローラ130は、前のライト位置情報に基づいて、ライトATC制御により所定のバンド領域の開始トラックから最終トラックまでシーケンシャルにライトする。システムコントローラ130は、ライト処理時にライト位置情報を取得し(B804)、所定のセクタにヘッド15を移動し(B805)、所定のセクタにバンド情報をライトし(B806)、処理を終了する。
【0068】
図15は、ライト処理時のヘッド15の位置決め制御の一例を示すフローチャートである。
システムコントローラ130は、サーボサンプリング割り込みが開始した場合、現在のセクタの初期ライト位置を取得する(B1501)。システムコントローラ130は、ライトATC制御が実行されているか実行されていないかを判定する(B1502)。例えば、システムコントローラ130は、ライトATC制御の実行を示すビットがアサートされているかアサートされていないかを判定する。ライトATC制御が実行されていると判定した場合(B1502のYES)、システムコントローラ130は、現在のセクタにおける初期ライト位置に対するライト補正値を取得する(B1503)。例えば、ライトATC制御の実行を示すビットがアサートされていると判定した場合、システムコントローラ130は、テーブルTBから現在のセクタにおける初期ライト位置に対するライト補正値を取得する。ライトATC制御が実行されていないと判定した場合(B1502のNO)、システムコントローラ130は、現在のセクタにおける初期ライト位置に対するライト補正値を0とする(B1504)。例えば、ライトATC制御の実行を示すビットがアサートされていると判定した場合、システムコントローラ130は、現在のセクタにおける初期ライト位置に対するライト補正値を0とする。
【0069】
システムコントローラ130は、初期ライト位置及びライト補正値に基づいて目標ライト位置を取得する(B1505)。システムコントローラ130は、目標ライト位置及び実ライト位置に基づいてアクチュエータACを駆動する(B1506)。例えば、システムコントローラ130は、目標ライト位置及び実ライト位置に基づいてライト誤差を算出し、ライト誤差に基づいてヘッド15が目標ライト位置に位置するようにアクチュエータACを駆動する。
【0070】
システムコントローラ130は、ライトATC制御が実行されているか実行されていないかを判定する(B1507)。ライトATC制御が実行されていると判定した場合(B1507のYES)、システムコントローラ130は、現在のセクタの進行方向に位置する次のセクタのための準備を実行する(B1508)。次のセクタの準備(B1508)として、システムコントローラ130は、次のセクタの順方向と反対方向に隣接するセクタのオフセット値を取得する(B821)。システムコントローラ130は、次のセクタの順方向と反対方向に隣接するセクタのオフセット値に基づいて、次のセクタに対応するライト補正値を取得し(B822)、次のセクタの準備(B1508)を終了する。例えば、システムコントローラ130は、次のセクタの順方向と反対方向に隣接するセクタのオフセット値を次のセクタに対応するライト補正値として取得し、次のセクタに対応するライト補正値をメモリ、例えば、揮発性メモリ70、バッファメモリ80、又は不揮発性メモリ90に記録する。ライトATC制御が実行されていないと判定した場合(B1507のNO)、システムコントローラ130は、現在のセクタ(のデータ)のオフセット値を取得する(B1509)。例えば、ライトATC制御が実行されていないと判定した場合、システムコントローラ130は、初期ライト位置と実ライト位置とに基づいて現在のセクタ(のデータ)オフセット値を取得し、オフセット値をメモリ、例えば、揮発性メモリ70、バッファメモリ80、又は不揮発性メモリ90にテーブルとして記録する。システムコントローラ130は、次のセクタにヘッド15を移動し(B1510)、処理を終了する。
第2実施形態によれば、磁気ディスク装置1は、ライトATC制御を実行する。磁気ディスク装置1は、前のライト位置情報に基づいて、各円周位置において現在のライトトラックを精度良くライトすることができる。そのため、磁気ディスク装置1は、データの信頼性を向上することができる。
【0071】
(変形例1)
変形例1の磁気ディスク装置1は、リード制御系SY2の構成が前述した実施形態と異なる。
図16は、変形例1に係るリード処理時のヘッド15の位置決め制御系SY2の一例を示すブロック図である。
リード制御系SY2は、補償器S7をさらに有している。補償器S7は、例えば、システムコントローラ130に含まれている。
補償器S7は、例えば、次のセクタ(C,S+1)のリード補正値X2r(C,S+1)のゲインや位相を調整する。
増幅器A1は、オフセット値X3w(C,S+1)及びX3w(C+1,S+1)が入力される。増幅器A1は、オフセット値X3w(C,S+1)にオフセット値X3w(C+1,S+1)を加算した値に1/2を乗じたセクタ(C,S+1)に対応するリード補正値X2r(C,S+1)を補償器S7に出力する。補償器S7は、調整したリード補正値X2r(C,S+1)を遅延器S6に出力する。遅延器S6は、調整したリード補正値X2r(C,S+1)が入力される。遅延器S6は、リード補正値X2r(C,S+1)を1サンプリング周期分遅延させた補正値X2r(C,S)を演算部C71に出力する。
変形例1によれば、磁気ディスク装置1は、現在のセクタの進行方向に位置する次のセクタに対応するリード補正値を調整する。そのため、磁気ディスク装置1は、リード性能を向上することができる。
【0072】
(変形例2)
変形例2の磁気ディスク装置1は、バンド情報のライト方法が前述した実施形態や変形例と異なる。
リード/ライト制御部61は、所定のバンド領域に対応するバンド情報をこのバンド領域の開始トラックの所定の領域に順方向と反対方向にずらしてライトする。例えば、リード/ライト制御部61は、所定のバンド領域のバンド情報に対応する目標ライト位置を順方向と反対方向にずらした半径位置に変更し、変更した目標ライト位置に基づいてこのバンド情報を開始領域にライトする。
【0073】
また、バンド情報をずらしてライトした場合、リード/ライト制御部61は、バンド情報をライトした所定のバンド領域の所定の領域においてリードヘッド15Rをずらしてバンド情報をリードする。例えば、順方向と反対方向にずらしてバンド情報をライトした場合、リード/ライト制御部61は、所定のバンド領域のバンド情報に対応する目標リード位置を順方向と反対方向にずらした半径位置に変更し、変更した目標リード位置に基づいてこのバンド情報をリードする。
【0074】
図17は、変形例2に係るバンド情報PD1及びPD2のライト方法の一例を示す図である。
リード/ライト制御部61は、例えば、ライト処理時に、バンド領域TG1において、ライトトラックWT11の開始セクタSS11の進行方向の次のセクタS111からライト位置情報の取得を開始し、セクタS111から進行方向に沿ってライトトラックWT11の各セクタにおいてライト位置情報を取得する。つまり、リード/ライト制御部61は、開始セクタSS11をライトせずに、セクタS111からライトする。また、リード/ライト制御部61は、ライトトラックWT11乃至WT15においてライト位置情報を取得する。リード/ライト制御部61は、ライトトラックWT15のライト位置情報を取得した後に、ライトトラックWT11乃至WT15の各ライト位置情報を含むバンド情報PD1を順方向と反対方向にずらして開始セクタSS11にライトする。
【0075】
また、リード/ライト制御部61は、バンド領域TG1と同様にバンド領域TG2において、ライトトラックWT21の開始セクタSS21の進行方向の次のセクタS211からライト位置情報の取得を開始し、セクタS211から進行方向に沿ってライトトラックWT21の各セクタにおいてライト位置情報を取得する。リード/ライト制御部61は、ライトトラックWT25のライト位置情報を取得した後に、ライトトラックWT21乃至WT25の各ライト位置情報を含むバンド情報PD2を順方向と反対方向、つまり、バンド領域TG1側にずらして開始セクタSS21にライトする。バンド領域TG1及びTG2の間にはギャップGPが配置されているため、順方向と反対方向にずらしてライトしたとしてもバンド情報が他のデータに上書きされる可能性が低い。また、順方向と反対方向にずらしてバンド情報をライトするため、バンド情報をライトした開始トラックの所定の領域の順方向に隣接する領域にライトされたデータへのバンド情報の上書きすることが抑制される。
【0076】
図18は、変形例2に係るバンド情報PD1のライト方法の一例を示す図である。図18には、ライトトラックWT11乃至WT13が重ね書きされたバンド領域TG1の一部を示している。図18において、ライトトラックWT11の開始セクタSS11以外の領域は、初期ライト位置WTC11にライトヘッド15Wを位置決めしてライトされ、ライトトラックWT12は、初期ライト位置WTC12にライトヘッド15Wを位置決めしてライトされ、ライトトラックWT13は、初期ライト位置WTC13にライトヘッド15Wを位置決めしてライトされている。図18において、初期ライト位置WTC11は、ライトトラックWTC11の開始セクタSS11以外の各セクタにおける目標ライト位置に相当する。初期ライト位置WTC12は、ライトトラックWTC12の各セクタにおける目標ライト位置に相当する。初期ライト位置WTC13は、ライトトラックWTC13の各セクタにおける目標ライト位置に相当する。図18において、リードトラック幅RW12mは、バンド情報PD1が上書きされたセクタSS12(のデータ)の半径方向の幅を示している。例えば、リードトラック幅RW12mは、リードヘッド15Rでリード可能な半径方向の幅の閾値に相当する。
【0077】
図18に示した例では、リード/ライト制御部61は、バンド情報PD1を開始セクタSS11に対応する目標ライト位置、例えば、初期ライト位置WTC11に対して順方向と反対方向にずれ量Xcでずらして開始セクタSS11にライトしている。ずれ量Xcは、例えば、Xc>RW12m−(RW11+RW12−W11)の範囲に設定される。ここで、Xcは、開始セクタSS11におけるバンド情報PD1の半径方向のずれ量であり、RW12mは、開始セクタSS11の順方向に隣接するセクタSS12でデータをリード可能な半径方向の幅の閾値であり、RW11は、通常通りに開始セクタSS11に対応する目標ライト位置に応じてセクタSS11をライトした場合にセクタSS12が重ね書きされた一部以外のセクタSS11の残りの領域の半径方向の幅であり、RW12は、通常通りに開始セクタSS11に対応する目標ライト位置に応じて開始セクタSS11をライトした場合にセクタSS12の順方向に隣接するセクタSS13(のデータ)が重ね書きされた一部以外のセクタSS12(のデータ)の残りの領域の半径方向の幅である。リード/ライト制御部61は、バンド情報をずれ量Xcで順方向と反対方向にずらして開始セクタSS11にライトした後に、セクタSS111からセクタSS111に対応する目標ライト位置、例えば、初期ライト位置WTC12にライトヘッド15Wを位置決めしてライトする。
変形例2によれば、磁気ディスク装置1は、所定のバンド領域に対応するバンド情報を順方向と反対方向にずらして開始領域にライトする。磁気ディスク装置1は、開始領域の順方向に隣接する領域にライトされたデータの半径方向の幅の狭窄を抑制することができる。そのため、磁気ディスク装置1は、リード性能を向上することができる。
【0078】
(変形例3)
変形例3の磁気ディスク装置1は、バンド領域の各トラックのライト方法が前述した実施形態や変形例と異なる。
リード/ライト制御部61は、所定のバンド領域に対応するバンド情報をライトする開始トラックの所定の領域の順方向に並んでいるこのバンド領域の各トラックの各領域においてデータを順方向にずらしてライトする。例えば、リード/ライト制御部61は、所定のバンド領域に対応するバンド情報をライトする開始セクタの順方向に位置するこのバンド領域の所定のトラックのセクタ(以下、調整セクタと称する)における目標ライト位置を順方向にずらした半径位置に変更し、変更した目標ライト位置に基づいて調整セクタのデータをライトする。なお、リード/ライト制御部61は、所定のバンド領域の複数の調整セクタにそれぞれ対応する複数のデータを順方向に同じずれ量でそれぞれずらしてライトしてもよいし、順方向に異なるずれ量でそれぞれずらしてライトしてもよい。
【0079】
また、調整セクタのデータをずらしてライトした場合、リード/ライト制御部61は、調整セクタにおいてリードヘッド15Rをずらして調整セクタのデータをリードする。例えば、順方向にずらして調整セクタのデータをライトした場合、リード/ライト制御部61は、この調整セクタのデータの目標リード位置を順方向にずらした半径位置に変更し、変更した目標リード位置に基づいてこの調整セクタのデータをリードする。
【0080】
図19は、変形例3に係るバンド領域TG1及びTG2の各トラックのライト方法の一例を示す図である。
図19において、ライトトラックWT11及びリードトラックRT11は、開始セクタSS11と、開始セクタSS11の進行方向に位置する次のセクタS111とを含む。ライトトラックWT12及びリードトラックRT12は、開始セクタSS11の順方向に隣接する調整セクタSS12aと、調整セクタSS12aの進行方向に位置する次のセクタS121とを含む。ライトトラックWT13及びリードトラックRT13は、調整セクタSS12aの順方向に隣接する調整セクタSS13aと、調整セクタSS13aの進行方向に位置する次のセクタS131とを含む。ライトトラックWT14及びリードトラックRT14は、調整セクタSS13aの順方向に隣接する調整セクタSS14aと、調整セクタSS14aの進行方向に位置する次のセクタS141とを含む。ライトトラックWT15及びリードトラックRT15は、調整セクタSS14aの順方向に隣接する調整セクタSS15aと、調整セクタSS15aの進行方向に位置する次のセクタS151とを含む。
【0081】
図19において、ライトトラックWT21及びリードトラックRT21は、開始セクタSS21と、開始セクタSS21の進行方向に位置する次のセクタS211とを含む。ライトトラックWT22及びリードトラックRT22は、開始セクタSS21の順方向に隣接する調整セクタSS22aと、調整セクタSS22aの進行方向に位置する次のセクタS221とを含む。ライトトラックWT23及びリードトラックRT23は、調整セクタSS22aの順方向に隣接する調整セクタSS23aと、調整セクタSS23aの進行方向に位置する次のセクタS131とを含む。ライトトラックWT24及びリードトラックRT24は、調整セクタSS23aの順方向に隣接する調整セクタSS24aと、調整セクタSS24aの進行方向に位置する次のセクタS241とを含む。ライトトラックWT25及びリードトラックRT25は、調整セクタSS24aの順方向に隣接する調整セクタSS25aと、調整セクタSS25aの進行方向に位置する次のセクタS251とを含む。
【0082】
リード/ライト制御部61は、例えば、バンド領域TG1において、ライトトラックWT11において、セクタS111から進行方向に沿って各セクタにデータをライトする。ライトトラックWT11にデータをライトしている際に、リード/ライト制御部61は、ライトトラックWT11において、セクタS111から進行方向に沿って各セクタでライト位置情報の取得を開始する。リード/ライト制御部61は、ライトトラックWT12において、調整セクタSS12aを調整セクタSS12aにおける目標ライト位置に対して順方向にずらしてライトし、セクタS121から目標ライト位置に基づいてライトする。リード/ライト制御部61は、ライトトラックWT13において、調整セクタSS13aを調整セクタSS13aにおける目標ライト位置に対して順方向にずらしてライトし、セクタS131から目標ライト位置に基づいてライトする。リード/ライト制御部61は、ライトトラックWT14において、調整セクタSS14aを調整セクタSS14aにおける目標ライト位置に対して順方向にずらしてライトし、セクタS141から目標ライト位置に基づいてライトする。リード/ライト制御部61は、ライトトラックWT15において、調整セクタSS15aを調整セクタSS15aにおける目標ライト位置に対して順方向にずらしてライトし、セクタS151から目標ライト位置に基づいてライトする。リード/ライト制御部61は、ライトトラックWT12乃至WT15においてライト位置情報を取得する。リード/ライト制御部61は、ライトトラック(最終トラック)WT15のライト位置情報を取得した後に、ライトトラックWT11乃至WT15の各ライト位置情報を含むバンド情報PD1を開始セクタSS11にライトする。
【0083】
リード/ライト制御部61は、バンド領域TG1と同様にバンド領域TG2のライトトラックWT21乃至WT25にデータをそれぞれライトし、バンド領域TG2のライトトラックWT21乃至WT25からそれぞれライト位置情報を取得する。リード/ライト制御部61は、ライトトラック(最終トラック)WT25のライト位置情報を取得した後に、ライトトラックWT21乃至WT25の各ライト位置情報を含むバンド情報PD2を開始セクタSS21にライトする。
【0084】
図20は、変形例3に係るバンド領域TG1のトラックのライト方法の一例を示す図である。図20には、ライトトラックWT11乃至WT13が重ね書きされたバンド領域TG1の一部を示している。図20において、ライトトラックWT12の調整セクタSS12a以外の領域は、初期ライト位置WTC12にライトヘッド15Wを位置決めしてライトされ、ライトトラックWT13の調整セクタSS13a以外の領域は、初期ライト位置WTC13にライトヘッド15Wを位置決めしてライトされている。図20において、初期ライト位置WTC11は、ライトトラックWT11の目標ライト位置に相当し、初期ライト位置WTC12は、ライトトラックWT12の目標ライト位置に相当し、初期ライト位置WTC13は、ライトトラックWTC13の目標ライト位置に相当する。
【0085】
図20に示した例では、リード/ライト制御部61は、データを調整セクタSC12aに対応する目標ライト位置、例えば、初期ライト位置WTC12に対して順方向にずれ量Xdをずらして調整セクタSS12aにライトしている。ずれ量Xdは、例えば、Xd>WW12−RW12aの範囲に設定される。ここで、Xdは、バンド情報PD1がライトされた開始セクタSS11の順方向に隣接する調整セクタSS12aのデータの半径方向のずれ量であり、WW12は、目標ライト位置に対してずらさずに調整セクタSS12aにライトした場合のライトトラックWT12の調整セクタSS12aのデータの半径方向の幅であり、RW12aは、リードトラックRT12の調整セクタSS12aのデータの半径方向の幅である。リード/ライト制御部61は、データをずれ量Xdで順方向にずらして調整セクタSS12aにライトした後に、セクタSS121からセクタSS121に対応する目標ライト位置、例えば、初期ライト位置WTC12にライトヘッド15Wを位置決めしてライトする。リード/ライト制御部61は、ライトトラックWT12と同様にライトトラックWT12の順方向に位置する他のライトトラックをライトする。
【0086】
変形例3によれば、磁気ディスク装置1は、所定のバンド領域に対応するバンド情報をライトする開始領域の順方向に並んでいる所定のバンド領域の各領域をそれぞれ順方向にずらしてライトする。磁気ディスク装置1は、バンド情報を半径方向にずらすことなく開始領域にライトすることができる。そのため、磁気ディスク装置1は、リード性能を向上することができる。
【0087】
(変形例4)
変形例4の磁気ディスク装置1は、バンド領域に対応するバンド情報をライトする領域に隣接する領域にデータをライトしない点が前述した実施形態や変形例と異なる。
リード/ライト制御部61は、所定のバンド領域に対応するバンド情報をライトする開始トラックの所定の領域の順方向に隣接する所定の領域(以下、未ライト領域と称する)、例えば、セクタ(以下、未ライトセクタと称する)にデータをライトしない。換言すると、リード/ライト制御部61は、開始トラックの順方向に隣接するトラックにおいて、未ライト領域以外の領域にデータをライトする。リード/ライト制御部61は、例えば、開始トラックの順方向に隣接するトラックにおいて、未ライト領域以外の領域でデータをリードする。
【0088】
図21は、変形例4に係るバンド領域TG1及びTG2の各トラックのライト方法の一例を示す図である。図21において、ライトトラックWT12及びリードトラックRT12は、未ライトセクタBA12を含む。ライトトラックWT22及びリードトラックRT22は、未ライトセクタBA22を含む。
【0089】
リード/ライト制御部61は、バンド領域TG1のライトトラックWT12において、開始セクタSS11の順方向に隣接する未ライトセクタBA12以外のライトトラックWT12の領域にデータをライトする。
リード/ライト制御部61は、バンド領域TG1と同様にバンド領域TG2のライトトラックWT22において、開始セクタSS21の順方向に隣接するライトトラックWT22の未ライトセクタBA22以外の領域にデータをライトする。
【0090】
変形例4によれば、磁気ディスク装置1は、所定のバンド領域に対応するバンド情報を開始領域にライトする。磁気ディスク装置1は、開始領域の順方向に隣接する未ライト領域にデータをライトしない。磁気ディスク装置1は、バンド情報を半径方向にずらすことなくライトすることができる。そのため、磁気ディスク装置1は、リード性能を向上することができる。
【0091】
(変形例5)
変形例5の磁気ディスク装置1は、ライト処理時とリード処理時とで順方向が異なる点が前述した実施形態や変形例と異なる。
リード/ライト制御部61は、ライト処理時の順方向とリード処理時とで順方向が異なる。リード/ライト制御部61は、ホスト100から送られた所定のバンド領域にライトするデータでリード処理時に最後にリードするデータ、例えば、ホスト100から送られた所定のバンド領域にライトするデータの論理アドレス内で最も大きい番号の論理アドレスに対応するデータ(以下、最後データと称する)から最前データの順にメモリ、例えば、バッファ80等でホスト100から送られた所定のバンド領域にライトするデータを並び替える。リード/ライト制御部61は、ライト処理時には、内方向IDから外方向ODを順方向として所定のバンド領域の各トラックにデータをライトする。一例では、リード/ライト制御部61は、ライト処理時には、最後データから最前データの順にホスト100から送られるデータを内方向IDから外方向ODを順方向として所定のバンド領域の各トラックにライトする。リード/ライト制御部61は、内方向から外方向を順方向として、所定のバンド領域の各トラックの各ライト位置情報を取得する。リード/ライト制御部61は、所定のバンド領域において最終トラックにこのバンド領域に対応するバンド情報をライトする。変形例5では、最終トラックは、前述した開始トラックに相当する。そのため、最終トラックは、例えば、所定のバンド領域をリードする際に最初にリードされる。このように、データをライトすることで、バンド情報をライトした開始トラックの所定の領域の順方向に隣接する領域にライトされたデータにバンド情報を上書きすることが抑制される。
【0092】
リード/ライト制御部61は、リード処理時には、外方向ODから内方向IDを順方向として所定のバンド領域の各トラックにライトされたデータをリードする。一例では、リード/ライト制御部61は、リード処理時には、最初にバンド情報をリードし、バンド情報に基づいて最前データから最後データの順に外方向ODから内方向IDを順方向として所定のバンド領域の各トラックからリードする。
【0093】
図22は、変形例5に係るバンド領域TG1及びTG2の各トラックのライト方法の一例を示す図である。
リード/ライト制御部61は、例えば、バンド領域TG1において、内方向から外方向にライトトラックWT11からライトトラックWT15までの各トラックに最後データから最前データの順にライトし、各トラックにおいてライト位置情報を取得する。リード/ライト制御部61は、ライトトラック(最終トラック)WT15のライト位置情報を取得した後に、ライトトラックWT11乃至WT15の各ライト位置情報を含むバンド情報PD1をライトトラックWT15の開始セクタSS15にライトする。リード/ライト制御部61は、例えば、開始セクタSS15でバンド情報PD1をリードし、外方向から内方向にバンド情報PD1に基づいてリードトラックRT15、RT14、RT13、RT12、及びRT11の順にリードする。
【0094】
また、リード/ライト制御部61は、例えば、バンド領域TG1と同様にバンド領域TG2において、内方向から外方向にライトトラックWT21からライトトラックWT25までの各トラックに最後データから最前データの順にライトし、各トラックにおいてライト位置情報を取得する。リード/ライト制御部61は、ライトトラック(最終トラック)WT25のライト位置情報を取得した後に、ライトトラックWT21乃至WT25の各ライト位置情報を含むバンド情報PD2をライトトラックWT25の開始セクタSS25にライトする。リード/ライト制御部61は、例えば、開始セクタSS25でバンド情報PD2をリードし、外方向から内方向にバンド情報PD2に基づいてリードトラックRT25をリードし、外方向から内方向にリードトラックRT25、RT24、RT23、RT22、及びRT21の順にリードする。
【0095】
図23は、変形例5に係るライト処理方法の一例を示すフローチャートである。
システムコントローラ130は、ホスト100からライトコマンドを受け(B801)、指定された所定のセクタにヘッド15を移動する(B802)。システムコントローラは130、半径方向においてリード処理時と反対方向にデータをライトする(B2301)。例えば、システムコントローラ130は、ホスト100から送られた所定のバンド領域にライトするデータを最後データから最前データの順に並び替えて、半径方向においてリード処理時と反対方向に向かってこのバンド領域の各トラックに最後データから最前データの順にシーケンシャルにライトする。システムコントローラ130は、データをライトし(B803)、ライト処理時にライト位置情報を取得し(B804)、所定のセクタにヘッド15を移動し(B805)、所定のセクタにバンド情報をライトし(B806)、処理を終了する。
【0096】
図24は、変形例5に係るリード処理方法の一例を示すフローチャートである。
システムコントローラ130は、ホスト100からリードコマンドを受ける(B901)。指定された所定のバンド領域の所定のセクタにヘッド15を移動し(B902)、所定のセクタにライトされたバンド情報をリードし(B903)、リードATC制御を実行する(B904)。システムコントローラ130は、半径方向においてライト処理時と反対方向にデータをリードし(B2401)、処理を終了する。例えば、システムコントローラ130は、半径方向においてライト処理時と反対方向に向かってこのバンド領域の各トラックから最前データから最後データの順にシーケンシャルにリードする。
【0097】
変形例5によれば、磁気ディスク装置1は、ライト処理時及びリード処理時で順方向が異なる。磁気ディスク装置1は、バンド情報を開始領域にライトする。磁気ディスク装置1は、開始領域の順方向に隣接する領域にライトしたデータに上書きすることをなく、バンド情報を開始領域にライトすることができる。磁気ディスク装置1は、所定のバンド領域において、最終トラックのライト位置情報を取得した後に、他のトラックにヘッド15をシークすることなく、このバンド領域に対応するバンド情報を開始セクタにライトすることができる。また、磁気ディスク装置1は、所定のバンド領域のバンド情報をライトした後に、他のトラックにヘッド15をシークすることなく、このバンド領域に対応するバンド情報をリードしてこのバンド情報に基づいてこのバンド領域のリード処理を実行できる。そのため、磁気ディスク装置1は、リード性能を向上することができる。
【0098】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0099】
1…磁気ディスク装置、10…磁気ディスク、10a…瓦記録領域、10b…メディアキャッシュ、12…スピンドルモータ(SPM)、13…アーム、14…ボイスコイルモータ(VCM)、15…ヘッド、15W…ライトヘッド、15R…リードヘッド、20…ドライバIC、30…ヘッドアンプIC、40…リード/ライト(R/W)チャネル、50…ハードディスクコントローラ(HDC)、60…マイクロプロセッサ(MPU)、70…揮発性メモリ、80…バッファメモリ、90…不揮発性メモリ、100…ホストシステム(ホスト)、130…システムコントローラ。
図1
図2
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図5
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図10
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