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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-204624(P2019-204624A)
(43)【公開日】2019年11月28日
(54)【発明の名称】カード用コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/73 20110101AFI20191101BHJP
   H01R 13/64 20060101ALI20191101BHJP
   G06K 7/00 20060101ALI20191101BHJP
   H01R 13/629 20060101ALN20191101BHJP
【FI】
   H01R12/73
   H01R13/64
   G06K7/00 026
   G06K7/00 052
   G06K7/00 069
   H01R13/629
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-97644(P2018-97644)
(22)【出願日】2018年5月22日
(71)【出願人】
【識別番号】390033318
【氏名又は名称】日本圧着端子製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(72)【発明者】
【氏名】中村 英央
(72)【発明者】
【氏名】槇山 弘毅
【テーマコード(参考)】
5E021
5E123
5E223
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FA11
5E021FB02
5E021FB18
5E021FC06
5E021HB05
5E021HB07
5E021HC12
5E021HC36
5E021HC37
5E021JA02
5E021JA05
5E021KA05
5E123AA17
5E123AB15
5E123AB21
5E123AB28
5E123AB33
5E123AB38
5E123AC35
5E123BA07
5E123BA09
5E123BB01
5E123CA04
5E123CA17
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5E123EC02
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5E123EC13
5E123EC26
5E123GB01
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5E123GB28
5E123GB31
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5E123GB47
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5E123GC29
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5E223BA09
5E223BB01
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5E223GC12
5E223GC24
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(57)【要約】
【課題】カードの先端縁が当接する係合爪の変形を抑制するカード用コネクタを提供する。
【解決手段】コネクタ10は、スロット5sの内部に第1接続端子5tを配列した第1カード5又は第1カード5より外形が小さく厚さも薄い第2カード6が挿入できる凹部11を有するハウジング1と、ハウジング1を覆うカバー板2と、ハウジング1の奥部に配置され、スロット5sに挿入可能なヘッダ12hに覆われた複数のコンタクト3と、挿入されたカードを排出可能なイジェクト機構4と、備える。イジェクト機構4は、L字状のスライド部材41を有し、スライド部材41は、カードの先端縁が当接する係合爪410を有する。係合爪410は、凹部11の底面に向かって突出した突出部41tを先端部に有し、凹部11は、突出部41tと嵌合し、突出部41tをスライド自在に案内する長穴111を開口している。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の端面に開口したスロットの内部に複数の第1接続端子を配列し、所定の外形と厚さを有する略矩形の第1カードと、露出した複数の第2接続端子を配列し、第1カードに比べて、外形が小さく厚さも薄く形成した略矩形の第2カードと、を挿入可能なカード用コネクタであって、
前記第1カード又は前記第2カードが挿抜される凹部を有する板状のハウジングと、
前記ハウジングの凹部を覆うカバー板と、
前記ハウジングの奥部に配置され、前記凹部の開口に向かって突出すると共に、前記第1カードのスロットに挿入可能なヘッダに覆われた複数のコンタクトと、
前記凹部の端部に配置され、前記凹部に挿入された前記第1カードを排出可能なプッシュ・プッシュ形のイジェクト機構と、を備え、
前記イジェクト機構は、前記ハウジングの側壁に沿って移動する帯板状のスライド部材を有し、
前記スライド部材は、前記凹部の端部側から当該凹部の中央部に向かって、前記スライド部材から片持ち状に突出し、前記第1カード又は前記第2カードの先端縁に当接する係合爪を有し、
前記係合爪は、
カード当接面に形成し、前記第2カードを前記凹部に挿入すると、当該第2カードが乗り上げる傾斜面と、
先端部に形成し、前記凹部の底面に向かって突出した突出部と、を有し、
前記ハウジングの凹部は、前記突出部と嵌合し、前記突出部を前記凹部の開口側から奥部に向かってスライド自在に案内する長穴を開口し、
前記第1カードを前記凹部に挿入すると、前記係合爪が複数の前記コンタクトの下方に移動して、前記第1接続端子が前記コンタクトに接続し、
前記第2カードを前記凹部に挿入すると、当該第2カードの先端縁が前記ヘッダの先端縁に当接して、当該第2カードの進入を阻止できる、カード用コネクタ。
【請求項2】
前記係合爪は、前記凹部の開口側に向かって突出し、鉤状に屈曲した鉤部を先端部に有し、
前記鉤部は、
前記傾斜面と連続し、前記凹部の底面と交差した延長斜面部と、
前部に形成し、前記凹部の底面と当接自在な底部と、を有している、請求項1記載のカード用コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード用コネクタに関する。特に、正規のカードとは外形と厚さが異なる異種類のカードをコネクタに誤挿入した場合に、異種類のカードによる不正確な接続を阻止するカード用コネクタの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
カード型の記憶装置であるメモリカードは、記憶媒体としてフラッシュメモリを採用している。メモリカードは、非常に小型であり、データの読み書きに殆んど電力を消費しないという利点がある。又、メモリカードは、データの読み書きにFDやMOなどのように駆動装置を必要としないというメリットがあるため、消費電力や携帯性が重要視される、例えば、デジタルカメラの記録メディアとして普及している。
【0003】
近年のデジタルカメラは、電子シャッターを用いた高速連写が可能となっている。このため、高速連写対応型のデジタルカメラは、通常の撮像用のSD(Secure Digital)カードと、高速連写用の書き込み速度の速いXQD(登録商標)カードとが別々に挿入可能な二つのカード用コネクタを備えている。例えば、これらのカード用コネクタは、プリント基板を間にして、プリント基板の両面に実装されている。
【0004】
SDカードとXQDカードとは、外形と厚さが異なっている。XQDカードに比べて、SDカードは外形が小さく、その厚さも薄く形成されている。このような外形と厚さが異なる多種類のカードを一つのカード用コネクタに装着可能なカード用コネクタが開発されている。
【0005】
一方、前述したように、XQDカードに比べて、SDカードは外形が小さく、その厚さも薄く形成されているので、XQDカード用のカード用コネクタにSDカードを誤挿入することが可能になっている。この場合、SDカードがカード用コネクタの奥部に配置されたコンタクトを損傷させる心配がある。正規のカードとは外形と厚さが異なる異種類のカードをコネクタに誤挿入した場合に、異種類のカードによる不正確な接続を阻止するカード用コネクタが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014−86320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図11は、従来技術によるカード用コネクタの構成を示す平面図である。なお、本願の図11は、特許文献の図6に相当している。
【0008】
図11を参照して、従来技術によるカード用コネクタ(以下、コネクタと略称する)9は、所定の外形と厚さを有する正規の略矩形の第1カードを挿入できる。一方、コネクタ9は、第1カードに比べて、外形が小さく厚さも薄く形成された非正規の略矩形の第2カードを挿入することもできる。
【0009】
図11を参照すると、コネクタ9は、板状のハウジング91と図示しないカバー板を備えている。ハウジング91は、第1カード又は第2カードが挿抜される凹部911を形成している。図示しないカバー板は、ハウジング91の凹部911を覆っている。
【0010】
図11を参照すると、コネクタ9は、ヘッダ92hに覆われた複数のコンタクト93とプッシュ・プッシュ形のイジェクト機構94を備えている。ヘッダ92hは、ハウジング91の奥部に配置され、凹部911の開口に向かって突出すると共に、第1カードに形成したスロットに挿入できる。イジェクト機構94は、凹部911の一方の端部に配置され、凹部911に挿入された第1カード又は第2カードを排出できる。
【0011】
図11を参照すると、イジェクト機構94は、帯板状のスライド部材941を有している。スライド部材941は、ハウジング91の一方の側壁913に沿って移動できる。スライド部材941は、係合爪940を有している。係合爪940は、凹部911の一方の端部側から凹部911の中央部に向かって突出している。又、係合爪940は、第1カード又は第2カードの先端縁に当接できる。
【0012】
図11を参照すると、係合爪940は、第2カードを凹部911に挿入すると、第2カードが乗り上げる傾斜面94sをカード当接面に有している。一方、第1カードを凹部911に挿入すると、係合爪940が複数のコンタクト93の下方に移動して、第1カードに備わる第1接続端子をコンタクト93に接続できる。
【0013】
図11を参照すると、スライド部材941は、片持ち状の板ばね942を備えている。板ばね942は、基端部がスライド部材941に固定されている。板ばね942は、スライド部材941と一体に移動できる。又、板ばね942は、第1カードの一方の側面に弾性をもって付勢すると共に、第1カードに形成した溝部に出入り可能なV字状に屈曲された屈曲部94aを有している。
【0014】
図11を参照して、第1カードを凹部911に挿入すると、板ばね942の屈曲部94aが変形された後に復帰して、屈曲部94aを第1カードの溝部に進入できる。第1カードが凹部911から排出される過程では、板ばね942の屈曲部94aが第1カードの溝部に係合して、第1カードの飛び出しを防止できる。
【0015】
図11を参照すると、スライド部材941は、ハート状のカム溝を一方の側面に形成している。又、イジェクト機構94は、圧縮コイルばね943と案内棒944を更に有している。
【0016】
図11を参照すると、圧縮コイルばね943は、ハウジング91に保持され、スライド部材941を第1カード又は第2カードが排出される方向に力を付勢している。案内棒944は、その一端部がハート状のカム溝に連結している。又、案内棒944は、その他端部がハウジング91に回動自在に支持されている。
【0017】
図11を参照すると、凹部911の一方の端部は、第1案内溝部91g、第2案内溝部92g、及び隔壁93gを含んでいる。第1案内溝部91gには、圧縮コイルばね943に付勢されて、スライド部材941が凹部911の開口側に停止される。又、第1案内溝部91gは、板ばね942の屈曲部94aの先端部が凹部911に僅かに突出するように、スライド部材941を傾斜状態で保持する。第2案内溝部92gは、第1案内溝部91gに連通している。又、第2案内溝部92gは、板ばね942の屈曲部94aが第1カードの溝部に係合した状態で、スライド部材941の直線運動を確保させる。
【0018】
図11を参照すると、実体として、第1案内溝部91g及び第2案内溝部92gと凹部911とは、四角柱状に延びるガイド94gによって、区画されている。そして、スライド部材941は、その側壁がガイド94gに案内されて、スライド部材941の直線運動が確保できる。なお、第2案内溝部92gの一部の領域内では、スライド部材941は傾動することもできる。
【0019】
図11を参照すると、隔壁93gは、第1案内溝部91gと凹部911とを隔てるように、凹部911の奥側に向かって僅かに突出している。スライド部材941が凹部911の奥側に移動すると、スライド部材941の端部が隔壁93gを乗り越えてスライド部材941の傾斜状態が矯正される。
【0020】
図11に示した状態から、第1カードを凹部911に挿入すると、第1カードの先端縁が板ばね942の屈曲部94aに当接する。第1カードの先端縁が板ばね942の屈曲部94aに当接した状態では、スライド部材941は、傾動した姿勢を維持している。
【0021】
次に、第1カードの先端縁が板ばね942の屈曲部94aに当接した状態から、第1カードを凹部911の奥側に更に挿入すると、板ばね942の屈曲部94aが変形された後に復帰して、板ばね942の屈曲部94aが第1カードの溝部に進入している。
【0022】
次に、圧縮コイルばね943に抗して、第1カードを凹部911の奥側に更に挿入すると、板ばね942の屈曲部94aが第1カードの溝部に係合しており、スライド部材941は、凹部911の奥側に進行している。
【0023】
第1カードが移行する過程では、第1カードは、凹部911の底面と図示しないカバー板の主面板で板厚方向の動きが規制されている。したがって、第1カードは、係合爪940の傾斜面94sを乗り上げることなく、係合爪940を移動できる。そして、係合爪940が複数のヘッダ92hの下方に移動して、第1カードの第1接続端子をコンタクト93に接続できる。
【0024】
一方、図11に示した状態から、第2カードを凹部911に挿入すると、第2カードの先端縁が係合爪940のカード当接面に当接する。次に、圧縮コイルばね943に抗して、第2カードを凹部911の奥側に更に挿入すると、第2カードは、係合爪940の傾斜面94sを乗り上げることになる。
【0025】
次に、第2カードを凹部911の奥側に更に挿入すると、第2カードは、係合爪940を乗り越えて移動する。これにより、第2カードの先端縁がヘッダ92hの先端縁に当接して、第2カードの進入を阻止できる。そして、第2カードの誤挿入による操作から、コンタクト93を保護できる。
【0026】
このように、従来技術によるコネクタ9は、第1カード又は第2カードの先端縁に当接する係合爪940を有し、係合爪940は、第2カードを凹部911に挿入すると、第2カードが乗り上げる傾斜面94sをカード当接面に有しているので、第2カードを凹部911に挿入すると、第2カードの先端縁がヘッダ92hの先端縁に当接して、第2カードの進入を阻止できる。そして、コンタクト93を保護できる。
【0027】
しかし、図11を参照すると、係合爪940は、スライド部材941に片持ち支持されている。第1カード又は第2カードが係合爪940を押圧すると、係合爪940には、反時計方向の曲げモーメントMが作用する。一方、係合爪940は、ヘッダ92hの下方に移動するので、係合爪940の厚さを大きくすることには限界がある。つまり、係合爪940の変形に抗する断面二次モーメントの値を大きくするのは限界がある。
【0028】
このように、従来技術によるカード用コネクタは、第1カード又は第2カードの押圧に対して、係合爪が変形し易く、係合爪が大きく変形した場合には、第2カードの先端縁をヘッダの先端縁に当接することが困難になるという問題があった。
【0029】
異種類のカードをコネクタに誤挿入した場合に、異種類のカードによる不正確な接続を確実に阻止するカード用コネクタであって、係合爪の変形を抑制するカード用コネクタが求められていた。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
【0030】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、正規のカード又は異種類のカードの先端縁が当接する係合爪の変形を抑制するカード用コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0031】
本発明者らは、端面に開口したスロットの内部に第1接続端子を配列した第1カードが挿入される凹部を有するハウジングと、ハウジングを覆うカバー板と、ハウジングの奥部に配置され、第1カードのスロットに挿入可能なヘッダに覆われた複数のコンタクトと、挿入されたカードを排出可能なプッシュ・プッシュ形のイジェクト機構とで、カード用コネクタを構成し、イジェクト機構を構成するスライド部材から片持ち状に突出した係合爪を設け、凹部の底面に向かって突出した突出部を係合爪の先端部に設けると共に、ハウジングの凹部には、係合爪の移動方向に沿って、突出部を案内する長穴を開口することで、係合爪の変形を抑制できると考え、これに基づいて、以下のような新たなカード用コネクタを発明するに至った。
【0032】
(1)本発明によるカード用コネクタは、一方の端面に開口したスロットの内部に複数の第1接続端子を配列し、所定の外形と厚さを有する略矩形の第1カードと、露出した複数の第2接続端子を配列し、第1カードに比べて、外形が小さく厚さも薄く形成した略矩形の第2カードと、を挿入可能なカード用コネクタであって、前記第1カード又は前記第2カードが挿抜される凹部を有する板状のハウジングと、前記ハウジングの凹部を覆うカバー板と、前記ハウジングの奥部に配置され、前記凹部の開口に向かって突出すると共に、前記第1カードのスロットに挿入可能なヘッダに覆われた複数のコンタクトと、前記凹部の端部に配置され、前記凹部に挿入された前記第1カードを排出可能なプッシュ・プッシュ形のイジェクト機構と、を備え、前記イジェクト機構は、前記ハウジングの側壁に沿って移動する帯板状のスライド部材を有し、前記スライド部材は、前記凹部の端部側から当該凹部の中央部に向かって、前記スライド部材から片持ち状に突出し、前記第1カード又は前記第2カードの先端縁に当接する係合爪を有し、前記係合爪は、カード当接面に形成し、前記第2カードを前記凹部に挿入すると、当該第2カードが乗り上げる傾斜面と、先端部に形成し、前記凹部の底面に向かって突出した突出部と、を有し、前記ハウジングの凹部は、前記突出部と嵌合し、前記突出部を前記凹部の開口側から奥部に向かってスライド自在に案内する長穴を開口し、前記第1カードを前記凹部に挿入すると、前記係合爪が複数の前記コンタクトの下方に移動して、前記第1接続端子が前記コンタクトに接続し、前記第2カードを前記凹部に挿入すると、当該第2カードの先端縁が前記ヘッダの先端縁に当接して、当該第2カードの進入を阻止できる。
【0033】
(2)前記係合爪は、前記凹部の開口側に向かって突出し、鉤状に屈曲した鉤部を先端部に有し、前記鉤部は、前記傾斜面と連続し、前記凹部の底面と交差した延長斜面部と、前部に形成し、前記凹部の底面と当接自在な底部と、を有していることが好ましい。
【発明の効果】
【0034】
本発明によるカード用コネクタは、異種類のカードをコネクタに誤挿入した場合に、異種類のカードによる不正確な接続を阻止するカード用コネクタであって、ハウジングの凹部に開口した長穴に嵌合する突出部を係合爪の先端部に設けることで、カード挿入時の係合爪の変形を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の一実施形態によるカード用コネクタの構成を示す斜視図であり、図1(A)は、第1カードを挿入する前の状態図、図1(B)は、第1カードを挿入した状態図である。
図2】前記実施形態によるカード用コネクタに適合する第1カードの構成を示す図であり、図2(A)は、第1カードの平面図、図2(B)は、第1カードの左側面図である。
図3】前記実施形態によるカード用コネクタの構成を示す図であり、図1(A)は、カード用コネクタの平面図、図1(B)は、カード用コネクタの正面図である。
図4】前記実施形態によるカード用コネクタの構成を示す下面図である。
図5】前記実施形態によるカード用コネクタの構成を示す平面図であり、カバー板を取り外した状態図である。
図6】前記実施形態によるカード用コネクタの構成を示す斜視図であり、カバー板を取り外した状態図である。
図7】前記実施形態によるカード用コネクタの構成を示す斜視分解組立図である。
図8】前記実施形態によるカード用コネクタの構成を示す斜視図であり、第2カードが係合爪に形成された傾斜面を乗り上げた直後の状態図である。
図9】前記実施形態によるカード用コネクタの縦断面図であり、図9(A)は、第1カードをカード用コネクタに挿入する直前の状態図、図9(B)は、第1カードをカード用コネクタに挿入して第1カードの先端縁が係合爪に近接した状態図、図9(C)は、図9(B)の状態から第1カードを更に挿入した状態図、図9(D)は、第1カードの第1接続端子がコンタクトに接続した状態図である。
図10】前記実施形態によるカード用コネクタの縦断面図であり、図10(A)は、第2カードをカード用コネクタに挿入する直前の状態図、図10(B)は、第2カードをカード用コネクタに挿入して第2カードの先端縁が係合爪に当接した状態図、図10(C)は、第2カードが係合爪に形成された傾斜面を乗り上げた直後の状態図、図10(D)は、第2カードが係合爪に形成された傾斜面を乗り上げた後に、第2カードの先端縁がヘッダの先端縁に当接した状態図である。
図11】従来技術によるカード用コネクタの構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
[カード用コネクタの構成]
最初に、本発明の一実施形態によるカード用コネクタの構成を説明する。
【0037】
(第1カード及び第2カードの構成)
図1を参照して、本発明の一実施形態によるカード用コネクタ(以下、コネクタと略称する)10は、所定の外形と厚さを有する正規の略矩形の第1カード5を挿入できる(図2参照)。一方、コネクタ10は、第1カード5に比べて、外形が小さく厚さも薄く形成された非正規の略矩形の第2カード6を挿入することもできる(図8参照)。
【0038】
図2を参照して、第1カード5は、例えば、XQD(登録商標)カードであり、一方の端面に開口したスロット5sの内部に複数の第1接続端子5tを配列している。又、第1カード5は、一方の側面51又は他方の側面51の途上に、方形の溝部51aを切り欠かいている。一方、図8を参照すると、第2カード6は、例えば、SDカードであり、露出した複数の第2接続端子6tを一方の端部に配列している。
【0039】
(カード用コネクタの概略構成)
次に、実施形態によるコネクタ10の概略構成を説明する。図1又は図3及び図4を参照すると、コネクタ10は、板状のハウジング1とカバー板2を備えている。ハウジング1は、第1カード5又は第2カード6が挿抜される凹部11を形成している。カバー板2は、ハウジング1の凹部11を覆っている。
【0040】
図1又は図3から図8を参照すると、コネクタ10は、ヘッダ12hに覆われた複数のコンタクト3とプッシュ・プッシュ形のイジェクト機構4を備えている。ヘッダ12hは、ハウジング1の奥部に配置され、凹部11の開口15k(図4参照)に向かって突出すると共に、第1カード5のスロット5sに挿入できる(図9(A)参照)。イジェクト機構4は、凹部11の他方の端部に配置され、凹部11に挿入された第1カード5又は第2カード6を排出できる。
【0041】
図5から図7を参照すると、イジェクト機構4は、帯板状のスライド部材41を有している。スライド部材41は、ハウジング1の他方の側壁14に沿って移動できる。スライド部材41は、係合爪410を有している。係合爪410は、凹部11の他方の端部側から凹部11の中央部に向かって突出している。又、係合爪410は、第1カード5又は第2カード6の先端縁に当接できる(図9(B)又は図11(B)参照)。
【0042】
図5から図7を参照すると、係合爪410は、第2カード6を凹部11に挿入すると、第2カード6が乗り上げる傾斜面41sをカード当接面に有している。一方、第1カード5を凹部11に挿入すると、係合爪410が複数のコンタクト3の下方に移動して、第1接続端子5tをコンタクト3に接続できる(図9(D)参照)。
【0043】
(イジェクト機構の構成)
次に、実施形態によるイジェクト機構4の構成を説明する。図5から図7を参照すると、スライド部材41は、片持ち状の板ばね42を備えている。板ばね42は、基端部がスライド部材41に固定されている。板ばね42は、スライド部材41と一体に移動できる。又、板ばね42は、第1カード5の他方の側面52に弾性をもって付勢すると共に、第1カード5の溝部51aに出入り可能なV字状に屈曲された屈曲部42aを有している(図2参照)。
【0044】
図1又は図5から図7を参照して、第1カード5を凹部11に挿入すると、板ばね42の屈曲部42aが変形された後に復帰して、屈曲部42aを第1カード5の溝部51aに進入できる。第1カード5が凹部11から排出される過程では、板ばね42の屈曲部42aが第1カード5の溝部51aに係合して、第1カード5の飛び出しを防止できる。
【0045】
図6又は図7を参照すると、スライド部材41は、ハート状のカム溝41aを一方の側面に形成している。又、イジェクト機構4は、圧縮コイルばね43と案内棒44を更に有している。
【0046】
図6又は図7を参照すると、圧縮コイルばね43は、ハウジング1に保持され、スライド部材41を第1カード5又は第2カード6が排出される方向に力を付勢している。案内棒44は、その一端部44aがハート状のカム溝41aに連結している。又、案内棒44は、その他端部44bがハウジング1に回動自在に支持されている。
【0047】
図7を参照すると、凹部11の他方の端部は、第1案内溝部11g、第2案内溝部12g、及び、隔壁13gを含んでいる。第1案内溝部11gには、圧縮コイルばね43に付勢されて、スライド部材41が凹部11の開口側に停止される。又、第1案内溝部11gは、板ばね42の屈曲部42aの先端部が凹部11に僅かに突出するように、スライド部材41を傾斜状態で保持する(図6参照)。第2案内溝部12gは、第1案内溝部11gに連通している。又、第2案内溝部12gは、板ばね42の屈曲部42aが第1カード5の溝部51aに係合した状態で、スライド部材41の直線運動を確保させる。
【0048】
図7を参照すると、実体として、第1案内溝部11g及び第2案内溝部12gと凹部11とは、四角柱状に延びるガイド14gによって、区画されている。そして、スライド部材41は、その側壁41wがガイド14gに案内されて、スライド部材41の直線運動が確保できる。なお、第2案内溝部12gの一部の領域内では、スライド部材41は傾動することもできる。
【0049】
図5又は図6を参照すると、隔壁13gは、第1案内溝部11gと凹部11とを隔てるように、凹部11の奥側に向かって僅かに突出している。スライド部材41が凹部11の奥側に移動すると、スライド部材41の端部が隔壁13gを乗り越えてスライド部材41の傾斜状態が矯正される。
【0050】
(コンタクトの構成)
次に、実施形態によるコンタクト3の構成を説明する。図3から図5を参照すると、ハウジング1の凹部11には、複数のコンタクト3を並設配置している。これらのコンタクト3は、コネクタ10が実装されるプリント基板1pと第1カード5とを電気的に接続できる(図1(B)参照)。
【0051】
図2又は図5を参照すると、第1カード5は、絶縁性のプラスチック筐体の内部にICチップ(図示せず)が収納されている。このICチップは、スロット5sの内部に貼り付けられた複数の金属箔に接続されている。そして、並設配置された複数の金属箔が第1カード5の第1接続端子5tとなっている。個別のコンタクト3は、個別の第1接続端子5tと一対一に接続されており、第1接続端子5tと機械的及び電気的に接続する。
【0052】
図3から図5及び図9を参照すると、コンタクト3は、ばねの働きが片持ち梁であるカンチレバーコンタクトを用いている。コンタクト3は、弾性アームと固定アームで構成され、弾性アームは、ヘッダ12hの底面に配置され、第1カード5に形成された第1接続端子5tに接触する接点を設けている。固定アームは、凹部11を構成する対向壁15に圧入して固定している。コンタクト3は、固定アームの端部にリード部3rを形成しており(図9参照)、リード部3rをプリント基板1pにはんだ接合することにより、実施形態によるコネクタ10を表面実装用コネクタとすることができる(図1参照)。
【0053】
(ハウジングの構成)
次に、実施形態によるハウジング1の構成を説明する。図6から図8を参照すると、ハウジング1は、絶縁性を有している。絶縁性のハウジングとは、非導電性の材料からなるハウジングのことであってよく、非導電性の合成樹脂を成形して、所望の形状のハウジング1を得ることができる。
【0054】
図6から図8を参照すると、ハウジング1は、一方の側壁13、他方の側壁14、及び、対向壁15を有している。対向壁15は、一方の側壁13及び他方の側壁14と直交している。又、対向壁15は、第1カード5の先端縁と対向している。カバー板2の一方の折り曲げ片22a及び他方の側壁14と、対向壁15で囲われた薄直方体状の空間を「第1カード5又は第2カード6が挿抜される凹部11」と規定できる。又、カード保持部とすることもできる。
【0055】
図3から図6を参照すると、ハウジング1の凹部11がカバー板2で覆われることにより、対向壁15と対向して第1カード5又は第2カード6が挿入される長方形の開口15kが形成される。対向する一方の折り曲げ片22aと他方の側壁14の距離は、第1カード5の幅よりも僅かに広く、対向する一方の折り曲げ片22aと他方の側壁14により第1カード5の姿勢が規制され、第1カード5の第1接続端子5tとコンタクト3とを正しく位置合わせできる。
【0056】
(カバー板の構成)
次に、実施形態によるカバー板2の構成を説明する。図1又は図3及び図4を参照すると、カバー板2は、金属薄板からなり、展開された金属薄板を成形加工することにより、所望の形状のカバー板2を得ることができる。カバー板2は、導電性の金属薄板からなることが好ましく、カバー板2がハウジング1を覆うことにより、シールド(電磁遮蔽)の効果を得ることができる。
【0057】
図1又は図3及び図4を参照すると、カバー板2は、主面板21の両端部を略直角に折り曲げ加工している。そして、カバー板2は、一対の折り曲げ片22・22に複数の略矩形穴22hを開口している。これらの略矩形穴22hは、ハウジング1の一方の側壁13及び他方の側壁14に突出する複数のランス1rに係止できる(図5から図7参照)。
【0058】
又、図1又は図3及び図4を参照すると、カバー板2は、プリント基板1pにはんだ接合される複数のリード片2rを設けている。これらのリード片2rがプリント基板1pにはんだ接合されることにより、プリント基板1pとの接合強度を補強でき、これらのリード片2rをプリント基板1pのグラウンドに接地することもできる。
【0059】
図1又は図3を参照すると、カバー板2は、一対の板ばね片2a・2aを主面板21に有している。板ばね片2aは、第1カード5がハウジング1の凹部11の底面に向かう力を付勢している。板ばね片2aは、第1カード5の表面を傷つけないように、比較的弱い力で第1カード5の表面を付勢している。
【0060】
又、図1又は図3を参照すると、カバー板2は、板ばね片2bを主面板21に有している。板ばね片2bは、案内棒44がスライド部材41に形成したカム溝41aの底面に向かう力を付勢している(図7参照)。
【0061】
(スライド部材の構成)
次に、実施形態によるスライド部材41の構成を説明する。図5から図7を参照すると、スライド部材41は、凹部11の他方の端部に配置されている。凹部11の他方の端部には、スライド部材41を移動可能に案内する第2案内溝部12gを設けている。そして、スライド部材41は、第2案内溝部12gに規制されて、第1カード5の挿抜方向と平行する方向に進退できる。スライド部材41は、第2案内溝部12gの領域内では、進退する直線運動のみが許容されている。
【0062】
図5から図7を参照すると、スライド部材41の側壁41wは、部分的には、第1カード5の姿勢(傾き)を規制する一方の側壁として機能でき、第1カード5の姿勢(傾き)を規制する他方の側壁は、第1カード5の他方の側面52を案内する、ガイド14gが代行している。
【0063】
図7を参照すると、スライド部材41は、圧縮コイルばね43の一部を保持する円筒穴4hを端部に穿設している。一方、ハウジング1には、円筒穴4hに対向し、圧縮コイルばね43の内部に入る棒状突起1tを形成している(図4又は図5参照)。
【0064】
図5から図7を参照すると、圧縮コイルばね43の両コイル端部を円筒穴4hと棒状突起1tとの間に装架することにより、スライド部材41を第1カード5又は第2カード6が排出される方向に力を付勢することができる。第1カード5又は第2カード6が凹部11に挿入されない状態では、スライド部材41は、圧縮コイルばね43に付勢されて、傾斜した状態で、凹部11の開口15k側(第1案内溝部11g)に停止している。
【0065】
図7を参照すると、案内棒44の両端部は、略直角に屈折されている。図6を参照すると、案内棒44の一端部44aは、スライド部材41の側面に穿設されたハート状のカム溝41aに連結している。一方、案内棒44の他端部44bは、他方の側壁14の前部に形成された穴11hに挿入され、回動自在に支持されている。そして、案内棒44の一端部44aは、ハート状のカム溝41aに従動できる。
【0066】
図5から図7を参照すると、ハート状のカム溝41aを有するスライド部材41を動節となるカムとし、案内棒44を従動節とすれば、スライド部材41と案内棒44とは、カムと従動節が相対変位するカム装置を構成している。又、ハート状のカム溝41aは、ハート状の軌跡を描く平面曲線のみならず、ハート状のカム溝41aの底面が段差又は斜面となる連続軌跡を含む空間曲線となっている。スライド部材41と案内棒44は、いわゆる立体カム装置を構成している。
【0067】
図6又は図7を参照すると、ハート状のカム溝41aは、始点4sからの行き行程の軌跡と始点4sに戻る帰り行程の軌跡とを描いている。ハート状のカム溝41aの軌跡は、案内棒44の一端部44aが部分的に逆行することはあっても、全行程において案内棒44の一端部44aが逆行しない不可逆の連続軌跡を描いている。
【0068】
図6又は図7を参照すると、ハート状のカム溝4aは、行き行程の軌跡と帰り行程の軌跡の分岐点に、V字状に陥没するV字溝を形成している。案内棒44の一端部44aがV字溝に係止することにより、圧縮コイルばね43に付勢されて、第1カード5の装着位置でスライド部材41をロックできる。ハート状のカム溝41aと案内棒44で構成するカム装置は、スライド部材41の一方の停止位置を規定している。
【0069】
図5から図7を参照すると、板ばね42は、基端部をスライド部材41に圧入して固定している。板ばね42は、V字状に屈曲された屈曲部42aが凹部11に向かって突出するようにスライド部材41に配置されている。板ばね42とスライド部材41は、一体となって進退する。板ばね42は、ばねの働きが片持ち梁であってよく、第1カード5が進退する方向と直交する方向に荷重が作用することによってのみ、弾性変形するように構成している。
【0070】
(係合爪の構成)
次に、実施形態による係合爪410の構成を説明する。図4又は図7を参照すると、係合爪410は、矩形の突出部41tを先端部に形成している。突出部41tは、凹部11の底面に向かって突出している。
【0071】
一方、図5から図7を参照すると、ハウジング1は、凹部11の開口15k側から奥部に向かって延びる長穴111を凹部11に開口している。長穴111には、突出部41tが嵌合している。長穴111は、凹部11の開口15k側から奥部に向かってスライド自在に案内できる。
【0072】
図4から図7を参照すると、コネクタ10は、ハウジング1の凹部11に開口した長穴111に嵌合する突出部41tを係合爪410の先端部に設けているので、第1カード5又は第2カード6を凹部11に挿入したときに、係合爪410の変形を抑制できる。
【0073】
図5から図7を参照すると、係合爪410は、鉤状に屈曲した鉤部41cを先端部に有している。鉤部41cは、凹部11の開口15k側に向かって突出している。又、鉤部41cは、延長斜面部411と底部412を有している。延長斜面部411は、係合爪410の傾斜面41sと連続し、かつ、凹部11の底面と交差している。底部412は、鉤部41cの前部に形成し、凹部11の底面と当接できる。
【0074】
図8を参照して、第2カード6を凹部11に挿入すると、第2カード6の端縁が延長斜面部411に当接するので、第2カード6の端縁が鉤部41cの延長斜面部411に確実に乗り上げることができる。
【0075】
[カード用コネクタの作用]
次に、実施形態によるコネクタ10の動作を説明しながら、コネクタ10の作用及び効果を説明する。先に、正規のカードである第1カード5の装着順序を説明する。
【0076】
図9(A)に示した状態から、第1カード5を凹部11に挿入すると、第1カード5の先端縁が板ばね42の屈曲部42aに当接する(図5参照)。第1カード5の先端縁が板ばね42の屈曲部42aに当接した状態では、スライド部材41は、傾動した姿勢を維持している(図5参照)。又、第1カード5の先端縁が板ばね42の屈曲部42aに当接した状態では、案内棒44の一端部44aは、ハート状のカム溝41aの始点4sに位置している(図5又は図7参照)。
【0077】
次に、第1カード5の先端縁が板ばね42の屈曲部42aに当接した状態から、第1カード5を凹部11の奥側に更に挿入すると、図9(B)に示された状態になる。図9(B)に示した状態では、第1カード5の先端縁が係合爪410及び鉤部41cのカード当接面に近接している。次に、図9(B)に示した状態から、第1カード5を凹部11の奥側に更に挿入すると、図9(C)に示した状態になる。
【0078】
図9(C)に示した状態では、板ばね42の屈曲部42aが変形された後に復帰して、板ばね42の屈曲部42aが第1カード5の他方の溝部51aに進入している(図2参照)。又、図9(C)に示した状態では、第1カード5の先端縁が係合爪410及び鉤部41cのカード当接面に当接している(図6参照)。
【0079】
図9(C)に示した状態では、板ばね42の屈曲部42aが第1カード5の溝部51aに係合しており、スライド部材41は、凹部11の奥側に進行できる。
【0080】
次に、図9(C)に示した状態から、圧縮コイルばね43に抗して、第1カード5を凹部11の奥側に更に挿入すると、図9(D)に示した状態になる。図9(C)に示した状態から、図9(D)に示した状態に移行する過程では、案内棒44の一端部44aは、ハート状のカム溝41aの始点4sから行き行程の軌跡に移動している(図5又は図7参照)。
【0081】
図9(C)に示した状態から、図9(D)に示した状態に移行する過程では、第1カード5は、凹部11の底面とカバー板2の主面板21で板厚方向の動きが規制されている。したがって、第1カード5は、係合爪410の傾斜面41sを乗り上げることなく、係合爪410を移動できる。
【0082】
又、図9(C)に示した状態から、図9(D)に示した状態に移行する過程では、ハウジング1の凹部11に開口した長穴111に嵌合する突出部41tを係合爪410の先端部に設けているので(図4から図7参照)、第1カード5を凹部11に挿入したときに、係合爪410の変形を抑制できる。
【0083】
図9(D)に示された状態では、スライド部材41は、第1案内溝部11gの領域から第2案内溝部12gの領域に移動しており、スライド部材41は、直進運動のみが許容されている。又、図9(D)に示された状態では、係合爪410が複数のコンタクト3の下方に移動して、第1接続端子5tがコンタクト3に接続できる。
【0084】
又、図7を参照して、スライド部材41の移動に相対して、案内棒44の一端部44aがハート状のカム溝41aの頂点に形成されたV字溝に係止することにより、スライド部材41が位置固定される。この場合、板ばね42の屈曲部42aが第1カード5の溝部51aに入り込んでいることにより、第1カード5の装着状態が維持される。このようにして、実施形態によるコネクタ10は、第1カード5をロックできる。なお、第1カード5の排出順序は、説明を省略する。
【0085】
次に、非正規のカードである第2カード6をコネクタ10に挿入した場合の状態変化を説明する。
【0086】
図10(A)に示された状態から、第2カード6を凹部11に挿入すると、第2カード6の先端縁が係合爪410及び鉤部41cのカード当接面に当接している(図10(B)参照)。図10(B)に示した状態から、圧縮コイルばね43に抗して、第2カード6を凹部11の奥側に更に挿入すると、図8又は図10(C)に示すように、第2カード6は、係合爪410の傾斜面41s及び鉤部41cの延長斜面部411を乗り上げることになる。
【0087】
図10(B)に示した状態から、図10(C)に示した状態に移行する過程では、ハウジング1の凹部11に開口した長穴111に嵌合する突出部41tを係合爪410の先端部に設けているので(図4から図7参照)、第2カード6を凹部11に挿入したときに、係合爪410の変形を抑制できる。
【0088】
図8又は図10(C)に示した状態から、第2カード6を凹部11の奥側に更に挿入すると、第2カード6は、係合爪410及び鉤部41cを乗り越えて移動する。次に、第2カード6の先端縁がヘッダ12hの先端縁に当接して、第2カード6の進入を阻止できる(図8又は図10(D)参照)。そして、第2カード6の誤挿入による操作から、コンタクト3を保護できる。
【0089】
このように、実施形態によるコネクタ10は、第1カード5又は第2カード6の先端縁に当接する係合爪410を有し、係合爪410は、第2カード6を凹部11に挿入すると、第2カード6が乗り上げる傾斜面41s及び鉤部41cをカード当接面に有しているので、第2カード6を凹部11に挿入すると、第2カード6の先端縁がヘッダ12hの先端縁に当接して、第2カード6の進入を阻止できる。そして、コンタクト3を保護できる。
【0090】
本発明によるカード用コネクタは、異種類のカードをコネクタに誤挿入した場合に、異種類のカードによる不正確な接続を阻止するカード用コネクタであって、ハウジングの凹部に開口した長穴に嵌合する突出部を係合爪の先端部に設けることで、カード挿入時の係合爪の変形を抑制できる。
【0091】
又、本発明によるカード用コネクタは、異種類のカードをコネクタに挿入すると、異種類のカードの端縁が延長斜面部に当接するので、異種類のカードの端縁が鉤部の延長斜面部に確実に乗り上げることができる。
【0092】
本発明によるカード用コネクタは、プッシュ・プッシュ形のイジェクト機構を備えた実施形態を開示したが、本発明によるカード用コネクタは、プッシュボタン形のイジェクト機構を備えたカード用コネクタにも適用できる。
【符号の説明】
【0093】
1 ハウジング
2 カバー板
3 コンタクト
4 イジェクト機構
5 第1カード
5s スロット
5t 第1接続端子
6 第2カード
6t 第2接続端子
10 コネクタ(カード用コネクタ)
11 凹部
12h ヘッダ
15k 開口(凹部の開口)
41 スライド部材
41s 傾斜面
41t 突出部
111 長穴
410 係合爪
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11