特開2019-205532(P2019-205532A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイコク電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特開2019205532-遊技場用システム 図000003
  • 特開2019205532-遊技場用システム 図000004
  • 特開2019205532-遊技場用システム 図000005
  • 特開2019205532-遊技場用システム 図000006
  • 特開2019205532-遊技場用システム 図000007
  • 特開2019205532-遊技場用システム 図000008
  • 特開2019205532-遊技場用システム 図000009
  • 特開2019205532-遊技場用システム 図000010
  • 特開2019205532-遊技場用システム 図000011
  • 特開2019205532-遊技場用システム 図000012
  • 特開2019205532-遊技場用システム 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-205532(P2019-205532A)
(43)【公開日】2019年12月5日
(54)【発明の名称】遊技場用システム
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20191108BHJP
   A63F 7/02 20060101ALI20191108BHJP
【FI】
   A63F5/04 512X
   A63F7/02 354
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-101455(P2018-101455)
(22)【出願日】2018年5月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000108937
【氏名又は名称】ダイコク電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神門 徹也
【テーマコード(参考)】
2C082
2C088
2C182
【Fターム(参考)】
2C082AB06
2C082AC14
2C082CA07
2C082EA04
2C082EA26
2C082EB12
2C088BB11
2C088BB32
2C088CA02
2C182CA10
2C182CD34
2C182EA03
2C182EA16
(57)【要約】
【課題】小数を含む値を交換対価とした景品の交換後に保留記録媒体を発行し、その保留記録媒体を受付けて景品交換する場合に不具合が生じる虞を低減する。
【解決手段】遊技場用システムにおいて、保留券(保留記録媒体)の発行対象となる玉数を補正する場合に、補正前の玉数を交換対価とすることで交換可能な景品が、補正後の玉数を対価としても交換が許容されるように補正を行うようにした。小数を含む値を交換対価とした景品の交換後に保留券を発行し、その保留券を受付けて景品交換する場合に不具合が生じる虞を低減することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技者が遊技により獲得した遊技価値である獲得価値を受付ける受付手段と、
獲得価値を対価とした景品の交換対価として小数を含む値を設定する設定手段と、
前記受付手段により受付けられた獲得価値と、交換対象となる景品の交換対価とを比較した上で、当該景品の交換を許容する交換処理を行う許容手段と、
前記受付手段により受付けられた獲得価値の内、交換対象となった景品の対価分を除いた除外獲得価値を特定可能な保留記録媒体を発行する発行処理を行う発行手段と、
発行処理の発行対象となる除外獲得価値が小数を含む場合に、当該除外獲得価値を整数に補正するための補正処理を行う補正手段と、を備え、
前記受付手段は、保留記録媒体を受付けることで獲得価値を受付可能であり、
前記補正手段は、補正処理前の除外獲得価値を交換対価とすることで交換が許容される景品が、補正された除外獲得価値を対価としても交換が許容されるように補正処理を行うことを特徴とする遊技場用システム。
【請求項2】
交換処理に関する情報を管理する管理手段を備え、
補正処理による補正対象となる除外獲得価値は、補正分の遊技価値である補正価値を加えることで補正され、
前記管理手段は、補正対象となった補正価値を管理することを特徴とする請求項1に記載した遊技場用システム。
【請求項3】
補正処理は、保留記録媒体の発行対象となる除外獲得価値における小数部分を切上げることで補正する第1補正処理、及び保留記録媒体の発行対象となる除外獲得価値における小数部分を切捨てることで補正すると共に当該保留記録媒体が受付けられた場合に補正分の遊技価値である補正価値を加えることで除外獲得価値を補正する第2補正処理の少なくとも一方であることを特徴とする請求項1又は2に記載した遊技場用システム。
【請求項4】
前記補正手段は、第1補正処理と、第2補正処理とを選択的に実行可能であることを特徴とする請求項3に記載した遊技場用システム。
【請求項5】
補正処理が行われる場合に、その旨を報知する報知手段を備えたことを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載した遊技場用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遊技場用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
遊技場では遊技者が獲得した遊技価値である獲得価値を対価とした景品交換を行っており、交換対象となる景品単位で対価となる獲得価値である交換対価を予め設定している。遊技場の中には消費税を考慮したいとの要望を持つ遊技場も少なくないことから、例えば特許文献1には、交換対価として小数を含む値を設定可能とすることが例示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−59579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような小数を含む交換対価を設定した場合、景品の交換処理を中断せずに終えれば何ら問題ないが、例えば何らかのエラーが生じ、一旦交換処理を中断した場合、以下のような問題が生じ得る。
【0005】
即ち、100玉の獲得価値を対価とすれば、80.2玉を交換対価とする景品Aと、19.7玉を交換対価とする景品Bとを交換可能であるが、景品Aのみを交換して一旦交換処理を中断し、その後、景品Bを交換する場合、中断時に未交換分の獲得価値に対応した所謂保留券と称される保留記録媒体を発行し、景品Bを交換する際に改めて保留記録媒体を受付けて景品交換することになる。しかしながら、保留記録媒体が整数にしか対応しておらず、小数部分を切捨てて発行するので、上記した場合であれば、未交換分の19.8玉の内、小数部分を切捨てた19玉が発行対象となる。したがって、この保留記録媒体を受付けても、19.7玉を交換対価とする景品Bを交換不能となるといった不具合が生じる虞がある。
【0006】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、その目的は、小数を含む値を交換対価とした景品の交換後に保留記録媒体を発行し、その保留記録媒体を受付けて景品交換する場合に不具合が生じる虞を低減することができる遊技場用システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の遊技場用システムによれば、補正処理前の除外獲得価値を交換対価とすることで交換が許容される景品が、補正された除外獲得価値を交換対価としても交換が許容されるように補正処理を行うようにしたので、小数を含む値を交換対価とした景品の交換後に保留記録媒体を発行し、その保留記録媒体を受付けて景品交換する場合に不具合が生じる虞を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態を示す全体構成図
図2】遊技機のリール配列を示す図
図3】遊技機の役設定を示す図
図4】遊技機の有効ラインを示す図
図5】遊技機の内部当選設定テーブルを示す図
図6】POSの正面図
図7】カードリーダの斜視図
図8】景品交換対価設定を示す図
図9】交換中画面を示す図
図10】返却報知例を示す図
図11】POS交換処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態について図面を参照して説明する。図1は、遊技場用システムの全体構成を概略的に示している。遊技場内には、複数の遊技機島が設けられており、各遊技機島には、多数の遊技機1(例えばスロットマシン)と、遊技機1毎に対応する多数の遊技装置2が設置されている。2台の遊技機1及び2台の遊技装置2は、1台の中継装置3と対応付けて接続されている。中継装置3は、LAN4を介して管理装置5(設定手段、管理手段)と接続されている。又、遊技場内には、POS6(受付手段、許容手段、発行手段、補正手段、管理手段、報知手段)が設置されており、POS6も、LAN4を介して管理装置5と接続されている。POS6には、景品を払出す景品払出機(以下、払出機と称する)7が接続されている。
【0010】
管理装置5は、遊技場内の例えば事務所等に設置されており、CPU、ROM、RAM、I/Oを有するマイクロコンピュータにより構成される制御部、記憶部、送受信部、モニタ8やプリンタ等の出力部、キーボード9やマウス10等の操作部を有する。管理装置5は、遊技場内における遊技機側(遊技機1、遊技装置2、中継装置3等)の各装置から送信された遊技信号を受信し、各種の遊技データを管理する。遊技場内には、所謂パチンコ機も含めて例えば数100台の遊技機1が設置されており、全ての遊技機1が管理装置5の管理対象となっている。
【0011】
遊技機1は、その正面に表示窓11が設けられており、遊技者は表示窓11を通じて内部に設けられたリール12の図柄を視認可能となっている。各図柄は、図2に示すように、左リール、中リール、右リールの円周面に描かれており、各リールが停止した状態では、表示窓11の上段、中段、下段に対応して表示される。即ち、表示窓11には、各リールの各々について3図柄ずつ合計9図柄分の図柄表示領域が形成されている。
【0012】
遊技機1には、図3に示すように、ボーナス役、小役、リプレイ役の3種類の役が設定されている。ボーナス役としてはBB(ビッグボーナス)役及びRB(レギュラーボーナス)役の2種類、小役としては15枚役、1枚役A、1枚役B及び2枚役の4種類が設定されている。遊技機1では、1回のゲームにおけるメダルの使用数(投入数であるBET数)は、通常状態では3枚(3BET)に設定されており、ボーナス状態では2枚(2BET)に設定されている。
【0013】
表示窓11には、図4に示すように、中段に対応した横方向の1本(同図の「1」で示す実線)、上段、中段、下段に対応した斜め方向の2本(同図の「2」、「3」で示す実線)、上段と下段に対応した横方向の2本(同図の「4」と「5」で示す実線)の合計5本の入賞ラインが設定されており、入賞図柄が何れかの入賞ライン上に揃ったときに対応する入賞が発生する。
【0014】
表示窓11の下方には、クレジットメダルの投入を行うMAXBETボタン13、クレジットメダルの精算を行うクレジット精算ボタン14、メダルを投入するメダル投入口15が設けられており、これらの下方にはスタートレバー16、3つのストップボタン17が設けられている。クレジット数が1以上の状態でクレジット精算ボタン14が操作されると、そのクレジット数分のメダルが払出される。遊技機1には、最下部に受皿18が設けられ、最上部にランプ部19が設けられている。尚、遊技機1では、例えば「1」〜「6」の6段階で役の内部当選確率を設定するための設定値が設けられており、その何れかの設定値を有効化する。設定値は、その値が高いほど遊技者にとって有利な設定であり、その値が低いほど遊技者にとって不利な設定である。設定値により遊技機1の出率等が調整される。
【0015】
遊技機1は以下のように動作する。
(1)メダルが投入された状態でのスタートレバー16の操作によりゲームが開始されると、例えば0〜65535の間で発生する乱数のうち1つを抽出し、その抽出した乱数と図示しない当選乱数テーブルと照合し、内部当選役を決定する。具体的には、例えば設定値1であれば、図5に示すように、通常状態では、単独BB役に11個の抽選用乱数が割振られており、その理論上の内部当選確率は、11/65536である。同様に、単独RB役に11個、1枚役Aに1301個、15枚役+1枚役Bに5384個、単独2枚役に128個、BB役+2枚役に5個、RB役+2枚役に5個、リプレイ役は8978個の抽選用乱数が割振られている。又、BB又はRB状態では、単独15枚役に65535個の抽選用乱数が割振られており、単独15枚役が内部当選役となる確率が高くなるように設定されている。
【0016】
(2)内部当選役を決定すると共にリール12を始動させた後、遊技者による各ストップボタン17の操作と内部当選役に応じて、所謂引込制御(すべり制御)を含む停止制御を実行する。引込制御は、各ストップボタン17の操作を検出した時点から予め規定された引込範囲(最大で4図柄まで)にある図柄を前記入賞ライン上に引込んで停止させることが可能な制御である。そして、役に対応した図柄が入賞ライン上に停止することで入賞が発生する。
【0017】
(3)通常状態において小役(15枚役、1枚役A、1枚役B、2枚役)が入賞した場合に、対応する数のメダルの払出しが行われる。又、リプレイ役が入賞した場合、新たにメダルを投入することなく再度ゲームを実行可能となる。ボーナス状態では、上記したようにBET数が2BETに削減されると共に、単独15枚役が内部当選役となる確率が高められ、多量のメダルの獲得が可能となる。ボーナス状態のうち、BB状態は例えば315枚を越えるメダルの払出しにより終了し、RB状態は例えば105枚を越えるメダルの払出しにより終了し、ボーナス状態の終了により通常状態に移行する。
【0018】
(4)所謂AT状態(AT)を発生可能であり、ATでは15枚役+1枚役B(以下、AT役)の内部当選時にストップボタン17の操作順をナビする。ナビ通り操作すれば15枚役が入賞する一方、ナビ通り操作しないと1枚役Bの引込制御を行い、1枚役Bが引込範囲内にあれば1枚役が入賞する一方、引込範囲内になければ非入賞となる。ATの発生条件等を上記した設定値により異なるようにしても勿論良いが、本実施形態では設定値による差をBB役等の内部当選率を異なる値とすることで調整している。
遊技機1からは遊技者による遊技の進行に従い、以下に示す遊技信号が送信される。
【0019】
アウト信号=遊技機1から送信される信号である。開始操作に応じベット状態のメダルを消費したとしてベット状態のメダル数(3枚)分がパルス出力されるので、アウト信号数×1がアウト(消費価値、使用媒体数、遊技に応じて消費した遊技価値の大きさを示す遊技情報)となる。尚、リプレイ時にも対応分が送信される。
【0020】
セーフ信号=遊技機1から送信される信号である。メダルが1枚付与(払出)される毎に1パルス出力されるので、セーフ信号数×1がセーフ(入賞付与価値、払出媒体数、遊技に応じて遊技者に付与された遊技価値の大きさを示す遊技情報)となる。尚、リプレイ役入賞時にも、そのゲームに使用されたメダル分が送信される。
【0021】
BB又はRB信号=遊技機1から送信される信号である。対応するボーナス状態(BB、RB)中にレベル出力されるので、信号受信期間をボーナス状態として特定する。
AT信号=遊技機1から送信される信号である。AT中にレベル出力されるので、信号受信期間をAT状態として特定する。
上記した構成は所謂AT機の一般的な構成の例示であり、どのようなスペックの遊技機であっても良い。
【0022】
遊技装置2は、遊技者が貨幣を入金するための貨幣挿入口20、遊技者が持玉券を挿入するためのカード挿入口21、メダルを払出すための貸出釦22、持玉券を発行するための返却釦23、各種情報を表示するタッチパネル式の液晶表示部24、遊技場の従業員が携帯するリモコン25から送信されたリモコン信号を受信する受信部26、メダルを遊技機1の受皿18に払出す払出ノズル27、投入口28等を有する。
【0023】
遊技装置2は以下のように動作する。
(1)貨幣が貨幣投入口20に入金されると、貨幣を受付け(貨幣受付処理)、その残高を液晶表示部24に表示し、貸出釦22が押下(貸出操作、付与操作)されると、貸出1単位(例えば1000円分)の貸出メダル(対価付与価値)を払出ノズル27から払出し(対価付与処理)、その対価分を残高から引落とす。この場合、貨幣は複数回分の貸出処理の対応分(例えば1万円まで)を受付け可能である。
【0024】
(2)所謂各台計数機能を備えており、投入口28へのメダルの投入により遊技者が獲得したメダルを受付け可能であり、投入口28に投入されたメダルを、自装置2に内蔵された計数部で計数し、その計数値を持玉(計数メダル数)として記憶部に記憶する。これにより、持玉を対価とした払戻処理(価値付与処理)も可能とし、払戻した場合には、その対価分(払戻したメダルと同数)を持玉より減算する。持玉や残高が残存する状態で返却釦23が押下(発行操作)されると、持玉や残高を特定可能な持玉券をカード挿入口21から発行する。尚、持玉券を受付けた場合は、その持玉や残高を引継ぐ。
【0025】
(3)中継装置3を介したシリアル通信による売上信号により管理装置5にて貨幣受付処理や対価付与処理、残高や持玉、貸出玉数、払戻玉数、入金額、計数玉数や貸出玉数や貸出玉の対価となる売上額及び持玉券の受付や発行処理等の各種情報を特定可能とするが、これらをパルス信号(例えば入金1000円毎に1パルス、売上100円毎に1パルス等)にて特定可能としても良い。
【0026】
POS6は、遊技場内の景品交換カウンタに設置されており、遊技場の従業員により操作される。POS6には、図7に示すように、POS6とデータ通信可能なカードリーダ29が接続されている。POS6は、図6に示すように、タッチパネル式の液晶表示部30、景品の入庫操作等を行うための入庫釦31、各種の操作釦32、特殊景品への交換操作を行うための交換釦33、景品交換表示を終了させるための終了釦34、景品の種類を選択するためのPLU釦35、各操作を取り消すためのキャンセル釦36、各景品の数量を入力するためのテンキー37等を有する。カードリーダ29は、図7に示すように、タッチパネル式の液晶表示部38、持玉券を非接触により(取込まずに)受付け可能な持玉券受付部39、会員カードを受付け可能な会員カード受付部40等を有する。
【0027】
POS6は以下のように動作する。
(1)遊技装置2から発行された持玉券や会員カード等の記録媒体をカードリーダ29により読取ると、その読取結果に対応する持玉や貯玉を特定し、交換対象となる景品を対応付ける。景品を対応付けるためにはPLU釦35や液晶表示部30に表示される対応する釦を操作することで景品を選択するが、スキャナ(図示せず)にて景品のバーコードや2次元コードを読取ることで選択することも可能とする。又、スキャナは景品を選択するために用いても良いが、記録媒体がカードではなく、バーコード等が印刷されるレシートや表示される携帯端末の場合に、そのバーコード等をスキャナにより読取ることで持玉等を特定しても良い。尚、カードリーダ29は、持玉券を持玉券受付部39にて非接触により受付けた場合には、交換対象として取込んだ種別(交換種別)の持玉を「0」へと書換え(更新し)、交換対象でない他の種別や残高等が対応付けられていれば、その他の種別や残高はそのまま対応付けておく(更新しない)。
【0028】
(2)持玉を受付けると、その持玉にて交換可能な特殊景品を表示し、景品を選択する景品選択操作の受付毎に交換可能な持玉数が減少するので、その都度、交換可能な特殊景品の表示を更新する。景品を選択し終えた後、交換釦33が操作されると、表示される特殊景品が選択されたとして液晶表示部30の表示を更新し、終了釦34が操作されると、交換対象となる持玉と景品とを対応付けるが、この場合、交換対象となる特殊景品を示す交換情報を払出機7に送信し、対応する特殊景品が払出機7から払出される。
【0029】
(3)終了釦34の操作前にキャンセル釦36が操作(キャンセル操作)されると、選択された景品をキャンセルする。即ち、交換釦33の操作も含み景品を選択すると、景品を仮特定し、その状態で終了釦34が操作されると、その仮特定した景品を本特定として持玉と対応付ける。
【0030】
(4)記録媒体にて特定可能な持玉や貯玉は合算して景品交換することも可能であり、合算する場合には合算対象となる記録媒体を交換釦33の操作前に受付ければ良いが、交換釦33の操作後であっても終了釦34の操作前であればキャンセル釦36が操作されて仮特定をキャンセルすることで受付可能となる。又、仮特定をキャンセルすることなく記録媒体を受付可能とし、その受付に応じて特殊景品、或いは全ての景品の仮特定をキャンセルするようにしても良い。
【0031】
管理装置5は、図8に示す景品交換対価設定を設定可能となっている。管理装置5は、遊技場の管理者が実行する情報送信操作により、設定された景品交換対価設定をPOS6に送信する。POS6は、管理装置5から送信された景品交換対価設定を受信すると、その受信した景品交換対価設定を設定し、その設定情報に基づいて動作する。
【0032】
景品交換対価設定では、景品単位(交換対価は同じだが異なる複数の景品を、1つの景品として登録することもある)で、交換対価をレートに応じて複数段階に区分して記憶すると共に対応金額(遊技場外の「替場」にて買取られる金額等の景品の金額)が設定されている。尚、「大」、「中」、「小」は特殊景品として設定され、図9に示すように優先的に交換数が表示される。
【0033】
交換対価は複数種別(複数のレート)が取引対象であり、交換対価**の「**」にて種別を示し、図8に示す場合、P4が貸単価4円のパチンコ、P1が貸単価1円のパチンコ、20が貸単価20円のパチスロ(スロットマシン)、G5が貸単価5円のパチスロに対応している。尚、以下、便宜上「玉」と表現する場合があるが、これはメダル等の他の遊技価値も含む概念とする。又、特に図示しないが、図9に示す交換可能(玉数)に対する設定値であって、交換可能がその設定値に達していないことを条件として終了操作を許容するための終了可能数(50玉)等の周知の設定値も設定される。
【0034】
図8に示すように交換対価として小数点以下を設定対象とすることについて補足する。尚、以下ではメダルを対象として説明するが、玉も同様である。本実施形態では消費税(8%)に対応するため、G20では1000円50枚(貸単価20円)ではなく、1000円47枚(貸単価21.28円)を想定している。即ち、メダルの貸単価が20円である場合に消費税分8%を加えた21.6円に最も近い貸単価(19.7(21.28/1.08)円+税分1.58)を想定している。
【0035】
一方で、「大」の対応金額は5000円であるので、交換率が100%であれば、1000円で貸出す47枚を5倍した235枚が交換対価となるが、本実施形態では交換率として90.9%(5枚分の貸単価を対応金額とする景品の交換対価を5.5枚とする所謂5.5枚交換に相当)を採用しているので、235÷90.9%=258.5が交換対価となる。そして、対応金額に基づき「中」は「大」の5分の1である51.7(258.5/5)枚に、「小」は「中」の更に5分の1である10.34(51.7/5)枚を交換対価としている。同様に他のレートの交換対価も設定されるが、特殊景品以外の景品Aのような一般景品については交換率を100%として設定しているが、一般景品についても、例えば50円相当の景品の交換対価が50円÷1000円×47枚=2.35であることから2.4にするといったように小数点以下を設定対象としている。尚、等価交換の原則があるので、正確には1000円÷47枚×258.5枚≒5500円の価値のある「大」の景品を古物商である「替場」が90.9%の5000円にて買取っていることになるので、この買取金額を対応金額として設定している。
【0036】
図9は、G20の持玉が対応付けられた記録媒体の受付後に「景品A」を選択して仮特定した状態を示す。交換可能は、総数(受付記録媒体の合計持玉数(図9ではメダル))から仮特定景品である「景品A」の交換対価を減算した値を示す一方、残数は、表示している特殊景品の交換対価と仮特定景品である「景品A」の交換対価との合計を総数から減算した値を示している。尚、「受付3回」は受付けた記録媒体が3枚のように記録媒体の受付回数を示す。
【0037】
ここで、特殊景品は交換可能により交換できる最大の対応金額、換言すると、特定した特殊景品の組み合わせの対価の合計値を交換可能から減算した残数(余り価値)が最小(0も含む)となるように、全特殊景品を交換対象として特殊景品の組み合わせを特定し、交換釦33の操作(交換操作)により仮特定した場合は特殊景品表示を白黒反転すること等により仮特定した旨が示される。
【0038】
上記した状態で交換操作した上で終了釦34を操作(終了操作)すると、特殊景品を払出す払出機7に対して交換対象となる特殊景品数を示す交換情報を送信し、払出機7により交換情報に対応する特殊景品を払出す払出処理が行わるが、例えば景品の不足や景品詰まりといったように払出処理中にエラーが生じた場合、払出可能な特殊景品を払出した上で、払出せなかった特殊景品分の玉数を示す情報がエラー情報としてPOS6に返信される。
【0039】
例えば図9の場合、図8より「中」の景品は単価が51.7枚と設定されるので、51.7枚×2個=103.4枚分の玉数や払出せなかった「中」の景品を特定可能なエラー情報が返信される。ここで、景品Aは遊技場の従業員が手渡すことで景品交換することができ、「大」や「小」の景品は払出されているので、図9の残数(0.34枚)と返信された103.4枚との合計(103.74枚(除外獲得価値))が保留券(保留記録媒体)の発行対象となるが、保留券では小数分を切捨てていたため、103枚が発行対象となる。しかしながら、「中」の景品を2個交換するためには103.4枚が必要であり、103枚の保留券分では2個を交換することができず、遊技者からクレームが生ずる虞がある。
【0040】
この場合、保留券を小数分に対応させれば良いとも考えられるが、遊技により獲得される玉やメダルは整数しか発生し得ないので、小数を含む玉数を受付けるのはこの場合に限られ、必要以上に処理を複雑化する虞、又はPOS6の仕様変更に係るコストが増大する虞が生じ得る。
【0041】
これらのことから、本実施形態では保留券を発行する際に小数分の端数がある場合には小数分を切上げて発行対象とするが、詳細には小数分を一旦切捨て、その後に1玉のサービス玉(補正価値)を加算して(第1補正処理)発行する。例えば上記の場合、103.74枚が発行対象となるので、小数分を補正して104枚の保留券を発行する。この場合、交換終了時に取込対象となる残数、図9であれば0.34枚を加算した玉数が保留券の対象となるので、この残数を加算してエラー情報に示される玉数を切上げた玉数に達した場合(上記の場合、残数が0.6枚に達している場合)には上記のように玉数を補正する補正処理を行わずに保留券を発行しても良い。
【0042】
管理装置5やPOS6では、上記したサービス玉についての営業開始時点からの累計値や、補正処理回数、又は補正処理を行った上での保留券の発行処理回数、更には保留券の発行処理に対応して上記のように条件付で補正処理を行う場合に、保留券の発行処理回数の内、補正処理の対象となった発行処理回数の割合である補正割合のような、どの程度、補正処理を行ったのかを把握可能な補正情報を管理対象としている。勿論、複数営業日のような期間(例えば1か月)を指定し、その期間においてどの程度の補正が行われたかも報知可能とする。
【0043】
又、以下も採用可能である。例えば保留券の発行時に小数分がある場合、切上フラグを保留券に対応付けておき、切上フラグが対応付けられた保留券を読取った場合に玉数を1加算する補正を行うように、発行時に切捨てる補正は行うが切上げる補正を行わず、受付時に切上げる補正を行っても良い(第2補正処理)。この場合も上記した場合と同様に、切上フラグを対応付けるかを残数に応じて区分しても良く、上記した第1補正処理と第2補正処理との何れの処理も可能とし、何れを採用するかを遊技場の管理者により選択可能な設定を設けても良い。
【0044】
図10は、景品交換を行い、景品の払出を払出機7に指示したものの、払出機7より景品を払出せなかった旨を示すエラー情報が送信された場合のPOS6の液晶表示部38における報知例である。ポップアップ形式にて注意表示を行い、その注意表示にて払出機7にてエラーが発生した旨、そのエラー内容、返却対象となった玉数、発行対象となる玉数、その後の対応の説明、及び保留券を発行するための発行釦(図10では「保留券発行釦」)が表示される。
【0045】
図10は一例であり、上記した内容の一部のみを報知対象としても良い。又、返却対象となった玉数を保留券の発行対象とすることを例示したが、他に景品交換対象とならなかった玉数(例えば残数や交換可能)がある場合には、その玉数を加えて保留券の発行対象となる玉数を報知しても良いし、払出せなかった景品の交換対価と、発行対象となる玉数との双方を比較可能に報知しても良い。図10は第1補正処理を採用する場合の例であるが、第2補正処理正を採用する場合には、保留券の発行時と受付時の双方、又は何れか一方にて行えば良い。又、このような報知を行わずに保留券を発行しても良いし、報知により保留券発行釦を表示しない場合にも対応できるように、POS6の拡大図に示すように操作部や液晶表示部38のタッチパネルに保留券発行釦を設けることが望ましい。
【0046】
図9にて補正処理を条件付で行うことを例示したが、補正処理を行う条件としては他に以下を例示することができる。保留券の発行対象玉数が基準値(例えば補正処理を行っても「小」の景品のような特定の景品の交換対価に達しないような発行対象玉数や、「1」のような整数に満たない発行対象玉数を補正対象にしないための基準値)に達しているといったように基準値と比較すること、払出機7のエラー情報があること、景品交換したこと、更には小数点以下の交換対価の景品を交換したこと等を例示することができる。勿論、上記した何らかの条件を設けず全ての保留券発行処理に対して補正処理を行っても良いし、上記した虞を考慮せず何れの補正処理も行わずに小数点以下を保留券の発行対象としても良い。
【0047】
次に、上記した構成の作用について図11を参照して説明する。
POS6は、POS交換処理を開始すると、待機フローとして記録媒体の受付を判定する(S1)。POS6は、記録媒体を受付けたと判定すると(S1:YES)、交換処理を開始し、交換可能を更新し、交換景品表示を更新する(S2)。POS6は、交換処理中の待機フローとして記録媒体の受付を判定し(S3)、景品選択操作の受付を判定し(S4)、交換操作の受付を判定し(S5)、キャンセル操作の受付を判定し(S6)、保留操作の受付を判定し(S7)、終了操作の受付を判定する(S8)。
【0048】
POS6は、記録媒体を受付けたと判定すると(S3:YES)、特殊景品を仮特定済であるか否かを判定する(S9)。POS6は、特殊景品を仮特定済でないと判定すると(S9:NO)、その持玉を受付ける一方、仮特定済であると判定すると(S9:YES)、例えばキャンセル操作を行う旨を報知するといったように受付けられない旨を報知して持玉を受付けない。
【0049】
POS6は、景品選択操作を受付けたと判定すると(S4:YES)、交換可能と選択景品対価玉数とを比較し(S10)、交換可能が選択景品対価玉数以上であると判定すると(S10:YES)、選択景品を仮特定し(S11)、交換可能を更新し、特殊景品を含む交換景品表示を更新する(S12)。同様に、POS6は、交換操作を受付けたと判定すると(S5:YES)、表示中の特殊景品を仮特定し(S13)、交換可能を更新し、特殊景品を含む交換景品表示を更新する(S12)。POS6は、キャンセル操作を受付けたと判定すると(S6:YES)、特殊景品を含む仮特定中の全交換景品をキャンセルし(S14)、交換可能を更新し、特殊景品を含む交換景品表示を更新する(S12)。
【0050】
POS6は、保留操作を受付けたと判定すると(S7:YES)、仮特定中の全交換景品をキャンセルし(S15)、交換可能を更新し(S16)、交換可能分の持玉を特定可能な保留券を発行し(S17)、交換処理(保留処理)を行った旨を示す終了情報を管理装置5に送信したり新たな交換処理のために交換可能や交換景品表示を初期化したりする交換終了処理を行い(S18)、POS交換処理を終了する。
【0051】
POS6は、終了操作を受付けたと判定すると(S8:YES)、交換可能と終了可能数とを比較し(S19)、交換可能が終了可能数に達していると判定すると(S19:NO)、交換処理中の待機フローに戻る。POS6は、交換可能が終了可能数に達していないと判定すると(S19:YES)、仮特定中の交換景品を確定(本特定)し(S20)、交換情報を払出機7に送信する(S21)。POS6は、例えば交換情報を払出機7に送信してから所定時間内に当該払出機7からエラー情報を受信したか否かを判定し(S22)、払出機7からエラー情報を受信したと判定すると(S22:YES)、その受信したエラー情報により特定可能な払出されなかった全ての交換景品をキャンセルし(S23)、交換可能を更新し(S16)、その交換可能分の持玉を特定可能な保留券を発行し(S17)、上記した交換終了処理を行い、POS交換処理を終了する。
【0052】
POS6は、例えば交換情報を払出機7に送信してから当該払出機7からエラー情報を受信せずに所定時間が経過したと判定すると(S22:NO)、上記した交換終了処理を行い、POS交換処理を終了する。尚、POS6は、払出機7からエラー情報を受信せずに所定時間が経過したと判定することに加え、払出機7から払出を正常に行った旨を示す払出完了信号を受信したか否かを判定し、払出完了信号を受信したと判定すると、上記した交換終了処理を行い、POS交換処理を終了しても良い。
【0053】
以上に説明した実施形態によれば、次のような作用効果を得ることができる。
遊技場用システムにおいて、保留券の発行対象となる玉数を補正する場合に、補正前の玉数を交換対価とすることで交換可能な景品が、補正後の玉数を対価としても交換が許容されるように補正を行うようにしたので、小数を含む値を交換対価とした景品の交換後に保留券を発行し、その保留券を受付けて景品交換する場合に不具合が生じる虞を低減することができる。
【0054】
サービス玉を加算することで保留券の発行対象となる玉数を補正し、そのサービス玉を管理するようにしたので、どの程度、補正が行われたのか、又はサービス玉を提供したのかを把握することができる。
【0055】
保留券の発行時に小数部分を切上げて補正する補正処理を行う、又は保留券の発行時は小数部分を切捨て、保留券の受付時にサービス玉を加算する補正処理を行うようにしたので、前者の場合には、処理を簡素化した上で不具合が生じる虞を低減することができる一方、後者の場合には、保留券を受付けない場合に無暗にサービス玉を提供しなくとも良くなる。
【0056】
余り玉の補正を保留券の発行時と受付時とで選択可能に実行するので、遊技場のニーズに応じて前者と後者との何れの処理とするかを選択的に実行することができる。
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、次のように変形又は拡張することができる。
【0057】
交換対価とならなかった残数等を加えた持玉を保留券の発行対象とすることを例示したが、交換分を除いた持玉であれば、残数等を加えず、交換できなかった景品の交換対価分だけを発行対象としても良い。
【0058】
保留券の発行対象となる持玉を補正する場合に、一旦小数分を切捨てた上でサービス玉を加算する補正を例示したが、小数分を切捨てることなくサービス玉を加算することで補正しても良く、更にサービス玉は整数であっても良いし小数であっても良い。尚、サービス玉が整数の場合はサービス玉を加算した後で小数分を切捨てて発行しても良い。
【0059】
保留券に切上フラグを対応付けることを例示したが、全ての保留券について切上を行う場合には保留券であることを特定可能であれば良いので、切上フラグは必ずしも対応付けなくとも良い。
【0060】
払出機7にてエラーが発生した場合を例示したが、景品を手渡しとする場合であっても、景品が不足することで保留券を発行するといった事態も想定し得るので、必ずしも払出機7を接続する必要はない。
【0061】
各設定値は管理者が任意に操作入力により設定しても、予め管理装置5の製造メーカにて設定しても、外部(例えばチェーン店本部等)のサーバから設定情報をダウンロードして設定しても良い。尚、この場合もサーバにて操作入力により入力された設定値となる。又、過去の遊技情報を基準値として設定しても勿論良い。
【0062】
例示した全ての遊技情報は入力した信号により直接的に特定しても演算式を利用して間接的に特定しても良い。又、遊技信号としてパルス信号を例示したがシリアル通信によるデータ信号のような他の信号入力としても良い。
【0063】
数値、桁数、項目等は例示であり、どのような数値を採用しても良い。又、出力としては印字、表示出力が少なくとも想定し得る。又、以上と超過についてはどちらを採用しても良く、「達した」等の表現は以上になった又は超過になったの何れにも対応する表現となる。以下と未満についても同様であり、「達していない」等の表現は以下になった又は未満になったの何れにも対応する表現となる。
【0064】
対象となる遊技機としては遊技媒体をデータのみで管理する所謂封入式といった例示したスロットマシン以外のスロットマシンや、パチンコ遊技機等にも採用することができる。尚、所謂封入式を考慮して遊技媒体は必要に応じて遊技価値と表現する。
POS6が行う処理の一部を管理装置5や遊技装置2等にて行うといったように対象となる装置はどのように構成しても良い。更に例示した構成は変形例も含め、どのように組み合わせても良いし、適宜、採用しない構成を設けても良い。
【符号の説明】
【0065】
図面中、1は遊技機、5は管理装置(設定手段、管理手段)、6はPOS(受付手段、許容手段、発行手段、補正手段、管理手段、報知手段)である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11