【課題】喘鳴の有無を判定できるだけの十分な量の肺音の信号を確保しながら、場合によっては装置の使用終了までの時間を短縮することのできる喘鳴検出装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】喘鳴検出装置1は、喘鳴の検出処理を開始する指示がなされてから第一の音測定器M1によって測定された肺音の信号に基づいて、被測定者の肺音に喘鳴が含まれるか否かを判定する処理を行う喘鳴判定部41と、上記指示がなされてから第一の音測定器M1によって最初に測定された信号の測定開始時点からの経過時間が所定時間T1に達した場合、及び喘鳴判定部41により肺音に喘鳴が含まれると判定された場合のいずれかの場合において、第一の音測定器M1による肺音の測定を終了させ、且つ上記処理の結果を報知する制御部42と、を備える。
被測定者の肺音を測定するための音測定部により、喘鳴の検出処理を開始する指示がなされてから測定された肺音の信号に基づいて、前記被測定者の肺音に喘鳴が含まれるか否かを判定する処理を行う喘鳴判定ステップと、
前記指示がなされてから前記音測定部によって最初に測定された前記信号の測定開始時点からの経過時間が予め決められた所定時間に達した場合、及び前記喘鳴判定ステップにより前記被測定者の肺音に喘鳴が含まれると判定された場合のいずれかの場合において、前記音測定部による肺音の測定を終了させ、且つ前記処理の結果を報知する制御ステップと、をコンピュータに実行させるための喘鳴検出プログラム。
被測定者の肺音を測定するための音測定部により、喘鳴の検出処理を開始する指示がなされてから測定された肺音の信号に基づいて、前記被測定者の肺音に喘鳴が含まれるか否かを判定する処理を行う喘鳴判定ステップと、
前記音測定部によって測定された前記信号が前記処理の結果に影響を与える可能性のある特定信号であるか否かを判定し、当該信号が前記特定信号ではないと判定した場合に、当該信号が測定された期間を有効期間として判定する有効期間判定ステップと、
前記指示がなされてからの前記有効期間と判定された期間の合計時間が予め決められた所定時間に達した場合、及び前記喘鳴判定ステップにより前記被測定者の肺音に喘鳴が含まれると判定された場合のいずれかの場合において、前記音測定部による肺音の測定を終了させ、且つ前記処理の結果を報知する制御ステップと、をコンピュータに実行させるための喘鳴検出プログラム。
被測定者の肺音を測定するための音測定部により、喘鳴の検出処理を開始する指示がなされてから測定された肺音の信号に基づいて、前記被測定者の肺音に喘鳴が含まれるか否かを判定する処理を行う喘鳴判定ステップと、
前記音測定部によって測定された前記信号が前記処理の結果に影響を与える可能性のある特定信号であるか否かを判定し、当該信号が前記特定信号ではないと判定した場合に、当該信号が測定された期間を有効期間として判定する有効期間判定ステップと、
前記音測定部によって測定された前記信号が前記処理の結果に影響を与える可能性のある特定信号であるか否かを判定し、当該信号が前記特定信号であると判定した場合に、当該信号が測定された期間を無効期間として判定する無効期間判定ステップと、
第一制御と第二制御と第三制御のいずれか1つ又は2つを選択的に行う制御ステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラムであり、
前記第一制御は、前記指示がなされてから前記音測定部によって最初に測定された前記信号の測定開始時点からの経過時間が予め決められた所定時間に達した場合、及び前記喘鳴判定ステップにより前記被測定者の肺音に喘鳴が含まれると判定された場合のいずれかの場合において、前記音測定部による肺音の測定を終了させ、且つ前記処理の結果を報知する制御であり、
前記第三制御は、前記指示がなされてから前記音測定部によって最初に測定された前記信号の測定開始時点からの経過時間が予め決められた所定時間に達した場合、及び前記喘鳴判定ステップにより前記被測定者の肺音に喘鳴が含まれると判定された場合のいずれかの場合において、前記音測定部による肺音の測定を終了させ、且つ前記処理の結果を報知し、更に、前記経過時間が前記所定時間に達するまでの間に、前記無効期間と判定された期間の合計時間が予め決められた閾値を超えた場合には、前記音測定部による肺音の測定を終了させ、且つ喘鳴の有無の判定が不能な状態であったことを報知する制御であり、
前記第二制御は、前記指示がなされてからの前記有効期間と判定された期間の合計時間が予め決められた所定時間に達した場合、及び前記喘鳴判定ステップにより前記被測定者の肺音に喘鳴が含まれると判定された場合のいずれかの場合において、前記音測定部による肺音の測定を終了させ、且つ前記処理の結果を報知する制御である喘鳴検出プログラム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
喘息の症状が悪い場合であっても喘鳴が高頻度に発生するとは限らない。このため、肺音の測定時間は可能な限り長いことが望ましい。しかし、医療従事者以外の一般の利用者にとっては、肺音の測定時間がどの程度まであれば十分なのかは判断することが難しい。
【0006】
また、喘鳴の検出精度を高めるために、肺音の測定中においては、被測定者が安静な状態(喋らない状態及び動かない状態)にあることが望ましい。しかし、例えば被測定者が乳幼児であった場合には、被測定者を安静な状態に長い時間維持することが難しい。このため、喘鳴が高頻度で発生しているのであれば、できるだけ早いタイミングでそれを検出して装置の使用を終了させるのが望ましい。
【0007】
特許文献1には、喘鳴の有無を判定する処理を例えば30秒、1分、2分、5分、10分、又は30分等の単位期間毎に行うことが記載されている。特許文献1に記載されている装置は、この単位期間よりも十分に長い期間、被測定者に装着されて、肺音の測定を継続的に行うものである。
【0008】
この装置は、医師が被測定者の喘息の症状を詳細に把握するためには役立つ。しかし、例えば家庭において、病院に行くかどうかの判断又は投薬すべきかどうかの判断等のために、子供に喘鳴が発生しているかどうかを知りたいといった程度の使い方を想定するのであれば、上述したような長期間に渡る肺音の測定は不要である。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、喘鳴の有無を判定できるだけの十分な量の肺音の信号を確保しながら、場合によっては装置の使用終了までの時間を短縮することのできる喘鳴検出装置及び喘鳴検出プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)
被測定者の肺音を測定するための音測定部と、
喘鳴の検出処理を開始する指示がなされてから前記音測定部によって測定された肺音の信号に基づいて、前記被測定者の肺音に喘鳴が含まれるか否かを判定する処理を行う喘鳴判定部と、
前記指示がなされてから前記音測定部によって最初に測定された前記信号の測定開始時点からの経過時間が予め決められた所定時間に達した場合、及び前記喘鳴判定部により前記被測定者の肺音に喘鳴が含まれると判定された場合のいずれかの場合において、前記音測定部による肺音の測定を終了させ、且つ前記処理の結果を報知する制御部と、を備える喘鳴検出装置。
【0011】
(1)によれば、被測定者の肺音に喘鳴が含まれると判定された場合には、肺音の測定が終了されて、喘鳴が含まれるという結果が報知される。このため、喘鳴が頻繁に発生している被測定者であれば、喘鳴があったことを早期に知ることができ、利便性を向上させることができる。また、この被測定者を長時間安静にさせずにすみ、被測定者と利用者双方の負担を減らすことができる。更に、肺音の測定を早期に終了させることができ、消費電力を減らすことができる。
【0012】
また、測定開始時点からの経過時間が所定時間に達した場合には、肺音の測定が終了されて、喘鳴判定部による処理の結果が報知される。所定時間を例えば喘鳴の有無を判定するために必要な時間とすることで、喘鳴の有無の結果を高い信頼性にて得ることができる。利用者は、所定時間については特に意識することなく、結果が報知されるまで装置の使用を継続するだけでよい。このため、装置の利便性を向上させることができる。
【0013】
(2)
(1)記載の喘鳴検出装置であって、
前記音測定部によって測定された前記信号が前記処理の結果に影響を与える可能性のある特定信号であるか否かを判定し、当該信号が前記特定信号であると判定した場合に、当該信号が測定された期間を無効期間として判定する無効期間判定部を更に備え、
前記制御部は、更に、前記無効期間と判定された期間の合計時間が予め決められた閾値を超えた場合には、前記音測定部による肺音の測定を終了させ、且つ喘鳴の有無の判定が不能な状態であったことを報知する喘鳴検出装置。
【0014】
(2)によれば、喘鳴の有無の判定のために肺音が測定される期間の最大値である上記の所定時間に対して、無効期間と判定された期間の合計時間の占める割合が高い場合に、喘鳴の有無の判定が不能な状態が報知される。この割合が高い状態では、喘鳴判定部による喘鳴の有無の判定の信頼性に影響を与える可能性がある。そのため、喘鳴の有無の判定が不能な状態であったことを報知することで、信頼性の低い状態で喘鳴判定部による処理の結果が報知されてしまうのを防ぐことができる。言い換えれば、信頼性が高いと判断できる状態でのみ、喘鳴判定部による処理の結果を報知することができるため、装置の信頼性を高めることができる。また、上記の場合には、音測定部による肺音の測定を終了することで、無用な肺音の測定をなくして、装置の消費電力を下げることができる。
【0015】
(3)
(2)記載の喘鳴検出装置であって、
前記所定時間は、20秒以上60秒以下の範囲から選ばれる時間である喘鳴検出装置。
【0016】
(3)によれば、あらゆる年齢の人を対象として喘鳴の有無の判定を行うことができる。
【0017】
(4)
(3)記載の喘鳴検出装置であって、
前記所定時間は、20秒以上40秒以下の範囲から選ばれる時間である喘鳴検出装置。
【0018】
(4)によれば、乳幼児や学童を対象として、喘鳴の有無の判定を行うことができる。
【0019】
(5)
(3)又は(4)記載の喘鳴検出装置であって、
前記閾値は、前記所定時間の半分の値である喘鳴検出装置。
【0020】
(5)によれば、喘鳴判定部による喘鳴の有無の判定を十分な精度にて行うことができる。
【0021】
(6)
(1)記載の喘鳴検出装置であって、
前記所定時間は、10秒以上30秒以下の範囲から選ばれる時間である喘鳴検出装置。
【0022】
(6)によれば、あらゆる年齢の人を対象として喘鳴の有無の判定を行うことができる。
【0023】
(7)
被測定者の肺音を測定するための音測定部と、
喘鳴の検出処理を開始する指示がなされてから前記音測定部によって測定された肺音の信号に基づいて、前記被測定者の肺音に喘鳴が含まれるか否かを判定する処理を行う喘鳴判定部と、
前記音測定部によって測定された前記信号が前記処理の結果に影響を与える可能性のある特定信号であるか否かを判定し、当該信号が前記特定信号ではないと判定した場合に、当該信号が測定された期間を有効期間として判定する有効期間判定部と、
前記指示がなされてからの前記有効期間と判定された期間の合計時間が予め決められた所定時間に達した場合、及び前記喘鳴判定部により前記被測定者の肺音に喘鳴が含まれると判定された場合のいずれかの場合において、前記音測定部による肺音の測定を終了させ、且つ前記処理の結果を報知する制御部と、を備える喘鳴検出装置。
【0024】
(7)によれば、被測定者の肺音に喘鳴が含まれると判定された場合には、肺音の測定が終了されて、喘鳴が含まれるという結果が報知される。このため、装置の利用者は、喘鳴が頻繁に発生している被測定者であれば、喘鳴があったことを早期に知ることができ、利便性を向上させることができる。また、この被測定者を長時間安静にさせずにすみ、被測定者と利用者双方の負担を減らすことができる。更に、肺音の測定を早期に終了させることができ、消費電力を減らすことができる。
【0025】
また、有効期間と判定された期間の合計時間が所定時間に達した場合には、肺音の測定が終了されて、喘鳴の有無の判定結果が報知される。所定時間を例えば喘鳴の有無を判定するために必要な時間とすることで、喘鳴の有無の判定結果を高い信頼性にて得ることができる。利用者は、所定時間については特に意識することなく、結果が報知されるまで装置の使用を継続するだけでよい。このため、装置の利便性を向上させることができる。
【0026】
(8)
(7)記載の喘鳴検出装置であって、
前記所定時間は、10秒以上30秒以下の範囲から選ばれる時間である喘鳴検出装置。
【0027】
(8)によれば、あらゆる年齢の人を対象として喘鳴の有無の判定を行うことができる。
【0028】
(9)
被測定者の肺音を測定するための音測定部と、
喘鳴の検出処理を開始する指示がなされてから前記音測定部によって測定された肺音の信号に基づいて、前記被測定者の肺音に喘鳴が含まれるか否かを判定する処理を行う喘鳴判定部と、
前記音測定部によって測定された前記信号が前記処理の結果に影響を与える可能性のある特定信号であるか否かを判定し、当該信号が前記特定信号ではないと判定した場合に、当該信号が測定された期間を有効期間として判定する有効期間判定部と、
前記音測定部によって測定された前記信号が前記処理の結果に影響を与える可能性のある特定信号であるか否かを判定し、当該信号が前記特定信号であると判定した場合に、当該信号が測定された期間を無効期間として判定する無効期間判定部と、
第一制御と第二制御と第三制御のいずれか1つ又は2つを選択的に行う制御部と、を備え、
前記第一制御は、前記指示がなされてから前記音測定部によって最初に測定された前記信号の測定開始時点からの経過時間が予め決められた所定時間に達した場合、及び前記喘鳴判定部により前記被測定者の肺音に喘鳴が含まれると判定された場合のいずれかの場合において、前記音測定部による肺音の測定を終了させ、且つ前記処理の結果を報知する制御であり、
前記第三制御は、前記指示がなされてから前記音測定部によって最初に測定された前記信号の測定開始時点からの経過時間が予め決められた所定時間に達した場合、及び前記喘鳴判定部により前記被測定者の肺音に喘鳴が含まれると判定された場合のいずれかの場合において、前記音測定部による肺音の測定を終了させ、且つ前記処理の結果を報知し、更に、前記経過時間が前記所定時間に達するまでの間に、前記無効期間と判定された期間の合計時間が予め決められた閾値を超えた場合には、前記音測定部による肺音の測定を終了させ、且つ喘鳴の有無の判定が不能な状態であったことを報知する制御であり、
前記第二制御は、前記指示がなされてからの前記有効期間と判定された期間の合計時間が予め決められた所定時間に達した場合、及び前記喘鳴判定部により前記被測定者の肺音に喘鳴が含まれると判定された場合のいずれかの場合において、前記音測定部による肺音の測定を終了させ、且つ前記処理の結果を報知する制御である喘鳴検出装置。
【0029】
(9)によれば、(1)と同様の効果と、(2)と同様の効果と、(7)と同様の効果を選択的に得ることができる。
【0030】
(10)
被測定者の肺音を測定するための音測定部により、喘鳴の検出処理を開始する指示がなされてから測定された肺音の信号に基づいて、前記被測定者の肺音に喘鳴が含まれるか否かを判定する処理を行う喘鳴判定ステップと、
前記指示がなされてから前記音測定部によって最初に測定された前記信号の測定開始時点からの経過時間が予め決められた所定時間に達した場合、及び前記喘鳴判定ステップにより前記被測定者の肺音に喘鳴が含まれると判定された場合のいずれかの場合において、前記音測定部による肺音の測定を終了させ、且つ前記処理の結果を報知する制御ステップと、をコンピュータに実行させるための喘鳴検出プログラム。
【0031】
(10)によれば、(1)と同様の効果を得ることができる。
【0032】
(11)
被測定者の肺音を測定するための音測定部により、喘鳴の検出処理を開始する指示がなされてから測定された肺音の信号に基づいて、前記被測定者の肺音に喘鳴が含まれるか否かを判定する処理を行う喘鳴判定ステップと、
前記音測定部によって測定された前記信号が前記処理の結果に影響を与える可能性のある特定信号であるか否かを判定し、当該信号が前記特定信号ではないと判定した場合に、当該信号が測定された期間を有効期間として判定する有効期間判定ステップと、
前記指示がなされてからの前記有効期間と判定された期間の合計時間が予め決められた所定時間に達した場合、及び前記喘鳴判定ステップにより前記被測定者の肺音に喘鳴が含まれると判定された場合のいずれかの場合において、前記音測定部による肺音の測定を終了させ、且つ前記処理の結果を報知する制御ステップと、をコンピュータに実行させるための喘鳴検出プログラム。
【0033】
(11)によれば、(7)と同様の効果を得ることができる。
【0034】
(12)
被測定者の肺音を測定するための音測定部により、喘鳴の検出処理を開始する指示がなされてから測定された肺音の信号に基づいて、前記被測定者の肺音に喘鳴が含まれるか否かを判定する処理を行う喘鳴判定ステップと、
前記音測定部によって測定された前記信号が前記処理の結果に影響を与える可能性のある特定信号であるか否かを判定し、当該信号が前記特定信号ではないと判定した場合に、当該信号が測定された期間を有効期間として判定する有効期間判定ステップと、
前記音測定部によって測定された前記信号が前記処理の結果に影響を与える可能性のある特定信号であるか否かを判定し、当該信号が前記特定信号であると判定した場合に、当該信号が測定された期間を無効期間として判定する無効期間判定ステップと、
第一制御と第二制御と第三制御のいずれか1つ又は2つを選択的に行う制御ステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラムであり、
前記第一制御は、前記指示がなされてから前記音測定部によって最初に測定された前記信号の測定開始時点からの経過時間が予め決められた所定時間に達した場合、及び前記喘鳴判定ステップにより前記被測定者の肺音に喘鳴が含まれると判定された場合のいずれかの場合において、前記音測定部による肺音の測定を終了させ、且つ前記処理の結果を報知する制御であり、
前記第三制御は、前記指示がなされてから前記音測定部によって最初に測定された前記信号の測定開始時点からの経過時間が予め決められた所定時間に達した場合、及び前記喘鳴判定ステップにより前記被測定者の肺音に喘鳴が含まれると判定された場合のいずれかの場合において、前記音測定部による肺音の測定を終了させ、且つ前記処理の結果を報知し、更に、前記経過時間が前記所定時間に達するまでの間に、前記無効期間と判定された期間の合計時間が予め決められた閾値を超えた場合には、前記音測定部による肺音の測定を終了させ、且つ喘鳴の有無の判定が不能な状態であったことを報知する制御であり、
前記第二制御は、前記指示がなされてからの前記有効期間と判定された期間の合計時間が予め決められた所定時間に達した場合、及び前記喘鳴判定ステップにより前記被測定者の肺音に喘鳴が含まれると判定された場合のいずれかの場合において、前記音測定部による肺音の測定を終了させ、且つ前記処理の結果を報知する制御である喘鳴検出プログラム。
【0035】
(12)によれば、(9)と同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、喘鳴の有無を判定できるだけの十分な量の肺音の信号を確保しながら、場合によっては装置の使用終了までの時間を短縮することのできる喘鳴検出装置及び喘鳴検出プログラムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0038】
(実施形態の喘鳴検出装置の概要)
まず、本発明の喘鳴検出装置の実施形態の概要について説明する。実施形態の喘鳴検出装置は、人の生体から肺音を測定し、測定音に喘鳴が含まれると判定した場合に、その旨を報知する。このようにすることで、被測定者への投薬の要否の判断、又は被測定者を病院に連れて行くかどうかの判断等を支援するものである。
【0039】
喘鳴検出装置は、肺音を測定するための音測定部(後述の第一の音測定器M1)を有し、喘鳴の検出指示がなされてから音測定部により測定された肺音の信号に基づいて喘鳴の有無を判定する。喘鳴検出装置は、肺音に喘鳴が含まれると判定した場合と、肺音の測定が開始された測定開始時点からの経過時間が喘鳴の有無の判定に必要とされる予め決められた所定時間(後述の所定時間T1)経過した場合とのいずれかの場合に、音測定部による肺音の測定を終了し、喘鳴の有無の判定結果を報知する。
【0040】
このような動作によって、喘鳴が頻繁に発生している被測定者であれば、喘鳴があったことを早期に知ることができ、利便性を向上させることができる。また、この被測定者を長時間安静にさせずにすみ、被測定者と利用者双方の負担を減らすことができる。更に、肺音の測定を早期に終了させることができ、消費電力を減らすことができる。
【0041】
また、測定開始時点からの経過時間が所定時間に達した場合には、肺音の測定が終了されて、喘鳴の有無の判定結果が報知される。所定時間は例えば喘鳴の有無を判定するために必要な時間であるため、経過時間が所定時間に達するまで喘鳴があることが判定されていない場合には、
十分な時間の肺音の信号を装置に蓄積することができ、喘鳴の有無の結果を高い信頼性にて得ることができる。利用者は、この所定時間については特に意識することなく、結果が報知されるまで装置の使用を継続するだけでよい。このため、装置の利便性を向上させることができる。
【0042】
以下、実施形態の喘鳴検出装置の具体的な構成例について説明する。
【0043】
(実施形態)
図1は、本発明の喘鳴検出装置の一実施形態である喘鳴検出装置1の概略構成例を示す側面図である。
図1に示すように、喘鳴検出装置1は、樹脂又は金属等の筐体で構成された棒状の把持部1bを有し、この把持部1bの一端側にはヘッド部1aが設けられている。
【0044】
把持部1bの内部には、喘鳴検出装置1の全体を統括制御する統括制御部4と、動作に必要な電圧を供給する電池5と、液晶表示パネル又は有機EL(Electro Luminescence)表示パネル等によって画像を表示する表示部6と、が設けられている。
【0045】
統括制御部4は、各種のプロセッサ、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)等を含み、プログラムにしたがって喘鳴検出装置1の各ハードウェアの制御等を行う。統括制御部4のROMには、喘鳴検出プログラムを含むプログラムが記憶されている。
【0046】
各種のプロセッサとしては、プログラムを実行して各種処理を行う汎用的なプロセッサであるCPU(Central Prosessing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
【0047】
これら各種のプロセッサの構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0048】
統括制御部4は、各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせ又はCPUとFPGAの組み合わせ)で構成されてもよい。
【0049】
ヘッド部1aには、把持部1bの長手方向と略直交する方向の一方側(
図1において下方側)へ突出する測定ユニット3が設けられている。測定ユニット3の先端には、被測定者である生体の体表面Sに接触されて体表面Sからの圧力を受ける受圧部3aが設けられている。
【0050】
喘鳴検出装置1は、使用者の手Haの例えば人差し指がヘッド部1aにおける測定ユニット3の背面に置かれた状態で、測定ユニット3の受圧部3aがこの人差し指によって体表面Sに押圧されて使用される。
【0051】
図2は、
図1に示す喘鳴検出装置1におけるA−A線に沿った断面模式図である。
【0052】
図2に示すように、測定ユニット3は、音を測定する第一の音測定器M1と、第一の音測定器M1を内部の収容空間SP1に収容し、且つ生体の体表面Sに押圧された状態にて体表面Sによって塞がれる開口31hを有する有底筒状の第一ハウジング31と、開口31hを第一ハウジング31の外側から閉じると共に第一ハウジング31を覆うハウジングカバー32と、音を測定する第二の音測定器M2と、第二の音測定器M2を収容する収容空間SP2を形成しかつ開口34hを有する第二ハウジング34と、を備える。
【0053】
測定ユニット3は、ハウジングカバー32の一部が露出された状態にて、ヘッド部1aを構成する筐体2に形成された開口部に嵌合されて、筐体2に固定されている。
【0054】
ハウジングカバー32の筐体2からの露出部分の先端部は平面又は曲面となっており、この平面又は曲面が受圧部3aを構成している。筐体2は、音を透過可能な樹脂等によって構成されている。
【0055】
第一の音測定器M1は、肺音を測定するためのものであり、例えば、肺音の周波数域(一般的には10Hz以上1kHz以下)よりも広い帯域(例えば10Hz以上10kHz以下の周波数域)の音を測定するMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)型マイクロフォン又は静電容量型マイクロフォン等で構成されている。第一の音測定器M1は音測定部として機能する。
【0056】
第一の音測定器M1は、図示省略のリード線等によって
図1に示す統括制御部4と電気的に接続されており、測定した肺音の信号を統括制御部4に伝達する。
【0057】
喘鳴検出装置1の使用時においては、ハウジングカバー32の受圧部3aが体表面Sに接触し、体表面Sからの圧力によって、収容空間SP1が、ハウジングカバー32を介して体表面Sにより密閉された状態(以下、この状態を密閉状態という)になる。
【0058】
そして、生体から体表面Sに伝わる肺音によって受圧部3aが振動すると、この振動によって収容空間SP1の内圧が変動し、この内圧変動によって、肺音に応じた電気信号が第一の音測定器M1によって測定されることになる。
【0059】
第一ハウジング31は、
図2中の下方向に向かって略凸型の形状であり、樹脂又は金属等の空気より音響インピーダンスが高くかつ剛性の高い材料によって構成されている。第一ハウジング31は、密閉状態において、収容空間SP1の内部に、外部から音が伝わらないように、第一の音測定器M1の測定周波数帯の音を反射する材料にて構成されている。
【0060】
ハウジングカバー32は、有底筒状の部材であり、その中空部の形状は、第一ハウジング31の外壁形状とほぼ一致している。
【0061】
ハウジングカバー32は、音響インピーダンスが人体、空気、又は、水に近い素材でかつ生体適合性の良い可撓性を有する材料によって構成される。ハウジングカバー32の材料としては、例えばシリコーン又はエラストマ等が用いられる。
【0062】
第二の音測定器M2は、第一ハウジング31の周囲の音(人の声等の環境音、或いは、装置と生体又は衣服との間の擦れ音等)を測定するためのものであり、例えば、肺音の周波数域よりも広い帯域(例えば10Hz以上10kHz以下の周波数域)の音を測定するMEMS型マイクロフォン又は静電容量型マイクロフォン等で構成されている。
【0063】
第二の音測定器M2は、図示省略のリード線等によって
図1に示す統括制御部4と電気的に接続されており、測定した周囲音の信号を統括制御部4に伝達する。
【0064】
第二の音測定器M2は、第一ハウジング31の受圧部3a側と反対側の面に固定されている。第二の音測定器M2の周囲は、第二ハウジング34によって覆われている。第二ハウジング34は、喘鳴検出装置1の周囲で発生する音が第二の音測定器M2を収容する収容空間SP2に侵入しやすいような素材(例えば樹脂)によって構成されている。
【0065】
第二ハウジング34には開口34hが形成されている。このため、この開口34hからも喘鳴検出装置1の周囲で発生する音が侵入しやすい構造となっている。
【0066】
図3は、
図1に示す統括制御部4の機能ブロックを示す図である。統括制御部4のプロセッサは、喘鳴検出プログラムを実行することで、喘鳴判定部41及び制御部42として機能する。
【0067】
喘鳴判定部41は、受圧部3aが被測定者の体表面Sに接触された状態にて、例えば把持部1bに設けられた喘鳴の検出処理の開始を指示するための操作部材(図示省略)が操作されて喘鳴の検出処理の開始指示がなされた場合に、第一の音測定器M1により測定される肺音の信号と、第二の音測定器M2により測定される周囲音の信号と、を順次取得する。以下では、上記の開始指示がなされてから第一の音測定器M1及び第二の音測定器M2によって最初に音が測定されたタイミングを測定開始時点という。
【0068】
喘鳴判定部41は、開始指示がなされて以降に順次取得した肺音の信号及び周囲音の信号に基づいて、被測定者の肺音に喘鳴が含まれるか否か、すなわち喘鳴の有無を判定する処理(以下、喘鳴判定処理という)を行う。
【0069】
喘鳴判定部41は、例えば、予め決められた処理時間(例えば1秒等)分の肺音の信号及び周囲音の信号(処理対象信号群という)が蓄積された時点で、この処理対象信号群に基づいて、喘鳴の有無を判定する。
【0070】
喘鳴判定部41は、例えば、処理対象信号群に含まれる肺音の信号に混入する肺音以外のノイズを、周囲音の信号に基づいて除去する。そして、喘鳴判定部41は、ノイズ除去後の肺音の信号に基づいて喘鳴の有無を判定する。
【0071】
肺音の信号に基づく喘鳴の有無の判定方法は特に限定されないが、例えば特許文献1に記載の方法等を採用すればよい。喘鳴判定部41は、新たな処理対象信号群が蓄積される毎にこのような処理を行って、喘鳴の有無を処理時間毎に判定する。
【0072】
制御部42は、開始指示がなされた後、測定開始時点からの経過時間が予め決められた所定時間T1に達した場合、及び喘鳴判定部41により被測定者の肺音に喘鳴が含まれると判定された場合のいずれかの場合において、第一の音測定器M1及び第二の音測定器M2による音の測定を終了させ、且つ喘鳴判定処理の結果(喘鳴有り又は喘鳴無し)を報知する。
【0073】
制御部42は、例えば、喘鳴判定処理の結果を示すメッセージを、表示部6に表示させることで、この結果の報知を行う。喘鳴検出装置1にスピーカを搭載しておき、このメッセージをスピーカから出力させることで報知を行ってもよい。
【0074】
或いは、喘鳴検出装置1とスマートフォン等の電子機器とを通信可能に構成して、電子機器にメッセージを送信し、電子機器のディスプレイ又はスピーカを使ってメッセージの表示又は音声出力を行ってもよい。
【0075】
または、例えばLED(Light Emitting Diode)を喘鳴検出装置1のヘッド部1aに設けておき、制御部42は、喘鳴判定処理の結果に応じてLEDの発光色を変えることで、その内容を報知してもよい。
【0076】
上記の所定時間T1とは、肺音に喘鳴が含まれているか否かを判断するために必要とされる時間である。喘鳴の有無を判定するためには、約5呼吸分の肺音の信号があることが望ましいとされる。
【0077】
安静時における5呼吸に必要な時間は、6歳未満の乳幼児であれば大凡5〜10秒であり、6歳以上13歳未満の子供であれば大凡13〜17秒であり、13歳以上60歳未満の大人であれば大凡17〜25秒であり、60歳以上の大人であれば大凡10〜30秒である。したがって、所定時間T1は、10秒以上30秒以下の範囲から選ばれる値とされる。
【0078】
喘鳴検出装置1の使用対象年齢を例えば6歳未満に限定するのであれば、所定時間T1は10秒とするのが好ましい。また、喘鳴検出装置1の使用対象年齢を例えば13歳未満に限定するのであれば、所定時間T1は20秒とするのが好ましい。また、喘鳴検出装置1の使用対象年齢を例えば60歳未満に限定するのであれば、所定時間T1は25秒とするのが好ましい。また、喘鳴検出装置1の使用対象年齢を限定しないのであれば、所定時間T1は30秒とするのが好ましい。喘鳴検出装置1は、本人によって喘息の症状が判断しにくい13未満の年齢の子供にとって最も有効な製品と考えられる。
【0079】
(喘鳴検出装置1の動作例)
図4は、喘鳴検出装置1の動作例を説明するためのフローチャートである。喘鳴の検出処理の開始指示がなされると、喘鳴判定部41は、第一の音測定器M1からの肺音の信号の取得と、第二の音測定器M2からの周囲音の信号の取得とを開始する(ステップS1)。
【0080】
そして、喘鳴判定部41は、取得した肺音の信号及び周囲音の信号に基づく喘鳴判定処理を開始する(ステップS2)。
【0081】
喘鳴判定処理が開始されると、制御部42は、喘鳴判定部41によって“喘鳴有り”と判定されたか否かを判定する(ステップS3)。“喘鳴有り”の判定がなされた場合(ステップS3:YES)には、制御部42は、第一の音測定器M1及び第二の音測定器M2による音の測定を終了させる(ステップS5)。更に、制御部42は、その喘鳴判定処理の結果(ここでは“喘鳴有り”)を報知する(ステップS6)。
【0082】
一方、“喘鳴有り”の判定がなされていない場合(ステップS3:NO)には、制御部42は、測定開始時点からの経過時間が所定時間T1に達したか否かを判定する(ステップS4)。この経過時間が所定時間T1に達していないと判定された場合(ステップS4:NO)には、制御部42はステップS3に処理を戻す。
【0083】
この経過時間が所定時間T1に達した場合(ステップS4:YES)には、制御部42は、ステップS5にて第一の音測定器M1及び第二の音測定器M2による音の測定を終了させ、ステップS6にて、喘鳴判定部41により行われた喘鳴判定処理の結果を報知する。
【0084】
なお、経過時間が所定時間T1に達した時点では、喘鳴判定部41によって喘鳴判定処理がまだ行われている場合がある。このような場合には、この時点以降に終了される各喘鳴判定処理のいずれかにおいて“喘鳴有り”と判定された場合には、ステップS6にて“喘鳴有り”の結果が報知される。一方、この各喘鳴判定処理によって“喘鳴無し”と判定された場合には、ステップS6にて“喘鳴無し”の結果が報知される。また、経過時間が所定時間T1に達した時点で、喘鳴判定部41による喘鳴判定処理が終了している場合には、ステップS6にて“喘鳴無し”の結果が報知される。
【0085】
(喘鳴検出装置1の効果)
以上のように、喘鳴検出装置1によれば、開始指示がなされた後、被測定者の肺音に喘鳴が含まれると判定された場合には、肺音の測定が終了されて、“喘鳴有り”の結果が報知される。このため、喘鳴が頻繁に発生している被測定者であれば、喘鳴があったことを早期に知ることができ、利便性を向上させることができる。また、この被測定者を長時間安静にさせずにすみ、被測定者と利用者双方の負担を減らすことができる。更に、肺音の測定を早期に終了させることができ、消費電力を減らすことができる。
【0086】
また、測定開始時点からの経過時間が所定時間T1に達した場合には、肺音の測定が終了されて、喘鳴判定部41による処理の結果が報知される。所定時間T1は喘鳴の有無を判定するために必要な時間であるため、経過時間が所定時間T1に達していれば、喘鳴の有無の結果を高い信頼性にて得ることができる。利用者は、所定時間T1については特に意識することなく、結果が報知されるまで装置の使用を継続するだけでよい。このため、装置の利便性を向上させることができる。
【0087】
(喘鳴検出装置1の変形例)
以下、喘鳴検出装置1の変形例について説明する。
【0088】
<第一の変形例>
図5は、喘鳴検出装置1の統括制御部4の機能ブロックの変形例を示す図である。
図5において
図3と同じ機能を持つブロックには同一符号を付してある。
図5に示す統括制御部4のプロセッサは、喘鳴検出プログラムを実行することで、喘鳴判定部41、制御部42A、及び無効期間判定部43として機能する。
【0089】
無効期間判定部43は、第一の音測定器M1によって測定されて喘鳴判定部41により取得された肺音の信号が特定信号であるか否かを判定し、当該信号が特定信号であると判定した場合に、当該信号が測定された期間(当該信号の測定時刻と当該信号の直前の信号の測定時刻との間)を無効期間と判定する。この期間の長さは、肺音の信号のサンプリング間隔に相当する。
【0090】
上記の特定信号とは、喘鳴判定部41が行う喘鳴判定処理の結果に影響を与える可能性のある信号のことを言い、具体的には、肺音以外のノイズが多く含まれている信号である。肺音の信号が特定信号であるか否かの判定方法は、例えば以下の(A)〜(C)の3つが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0091】
(A)肺音の信号と同時に第二の音測定器M2により測定された周囲音の信号のレベルが閾値以上となっている場合に、この肺音の信号が特定信号であると判定し、この周囲音の信号のレベルが該閾値未満となっている場合に、この肺音の信号が特定信号ではないと判定する。
【0092】
(B)物体との接触を検出するための接触センサを受圧部3aに設けておき、この接触センサの検出情報に基づいて、肺音の信号が測定された時点での受圧部3aの体表面Sに対する接触状態(密閉状態にあるか否か)を判定する。そして、受圧部3aが体表面Sから離れてしまって密閉状態が確保できていない場合には、この肺音の信号が特定信号であると判定し、受圧部3aが体表面Sに接触して密閉状態が確保できている場合には、この肺音の信号が特定信号ではないと判定する。
【0093】
(C)喘鳴検出装置1に加速度センサを設けておき、この加速度センサの検出情報に基づいて、肺音の信号が測定された時点と、その時点の直前に肺音の信号が測定された時点との間における装置の動き量を求める。そして、動き量が大きい場合には、特定信号であると判定し、動き量が小さい場合には、特定信号ではないと判定する。
【0094】
制御部42Aは、開始指示がなされた後、測定開始時点からの経過時間が予め決められた所定時間T2に達した場合、及び喘鳴判定部41により被測定者の肺音に喘鳴が含まれると判定された場合のいずれかの場合において、第一の音測定器M1及び第二の音測定器M2による音の測定を終了させ、且つ喘鳴判定処理の結果を報知する。
【0095】
また、制御部42Aは、開始指示がなされた後、無効期間判定部43によって無効期間と判定された期間の合計時間が予め決められた閾値TH1を超えた場合には、第一の音測定器M1及び第二の音測定器M2による音の測定を終了させ、且つ喘鳴の有無の判定が不能な状態であったことを報知する。制御部42Aによる報知の方法は、制御部42による報知の方法と同様である。
【0096】
上記の所定時間T2とは、肺音に喘鳴が含まれているか否かを判断するために必要とされる時間(上述した所定時間T1)に、無効期間の発生を考慮して決めた時間を足した時間である。具体的には、所定時間T2は、所定時間T1の2倍程度の値とするのが好ましい。
【0097】
つまり、所定時間T2は、20秒以上60秒以下の範囲から選ばれる値とするのが好ましい。所定時間T2を所定時間T1の2倍とした場合には、上記の閾値TH1は、所定時間T2の半分の値が設定される。
【0098】
喘鳴検出装置1の使用対象年齢を例えば6歳未満に限定するのであれば、所定時間T2は20秒とし、閾値TH1は10秒とするのが好ましい。また、喘鳴検出装置1の使用対象年齢を例えば13歳未満に限定するのであれば、所定時間T2は40秒とし、閾値TH1は20秒とするのが好ましい。また、喘鳴検出装置1の使用対象年齢を例えば60歳未満に限定するのであれば、所定時間T2は50秒とし、閾値TH1は25秒とするのが好ましい。また、喘鳴検出装置1の使用対象年齢を限定しないのであれば、所定時間T2は60秒とし、閾値TH1は30秒とするのが好ましい。
【0099】
図6は、
図5に示す統括制御部4を含む喘鳴検出装置1の動作例を説明するためのフローチャートである。
図6において、
図4と同じ処理には同一符号を付して説明を省略する。
【0100】
ステップS1にて信号の取得が開始されると、無効期間判定部43によって、ステップS1にて取得された肺音の信号の測定された期間が無効期間かどうかの判定が開始される(ステップS11)。また、ステップS1にて信号の取得が開始されると、ステップS2にて喘鳴判定処理が開始される。
【0101】
ステップS3にて“喘鳴有り”の判定がなされていない場合(ステップS3:NO)には、制御部42Aは、測定開始時点からの経過時間が所定時間T2に達したか否かを判定する(ステップS12)。この経過時間が所定時間T2に達したと判定された場合(ステップS12:YES)には、ステップS5及びステップS6の処理が行われる。
【0102】
経過時間が所定時間T2に達していない場合(ステップS12:NO)には、制御部42Aは、無効期間判定部43によって無効期間と判定された期間の合計時間を算出し、この合計時間が閾値TH1を超えるか否かを判定する(ステップS13)。
【0103】
合計時間が閾値TH1以下であった場合(ステップS13:NO)には、制御部42AはステップS3に処理を戻す。
【0104】
合計時間が閾値TH1を超えた場合(ステップS13:YES)には、制御部42Aは、第一の音測定器M1及び第二の音測定器M2による音の測定を終了させる(ステップS14)。更に、制御部42Aは、喘鳴の有無の判定が不能であったことを報知する(ステップS15)。
【0105】
なお、経過時間が所定時間T2に達した時点(ステップS12:YES)では、喘鳴判定部41によって喘鳴判定処理がまだ行われている場合がある。このような場合には、この時点以降に終了される各喘鳴判定処理のいずれかにおいて“喘鳴有り”と判定された場合には、ステップS6にて“喘鳴有り”の結果が報知される。一方、この各喘鳴判定処理によって“喘鳴無し”と判定された場合には、ステップS6にて“喘鳴無し”の結果が報知される。また、経過時間が所定時間T2に達した時点で、喘鳴判定部41による喘鳴判定処理が終了している場合には、ステップS6にて“喘鳴無し”の結果が報知される。
【0106】
(第一の変形例の効果)
第一の変形例によれば、開始指示後に肺音が測定される時間の最大値である上記の所定時間T2に対して、無効期間と判定された期間の合計時間が閾値TH1を超える場合に、喘鳴の有無の判定が不能な状態が報知される。
【0107】
この合計時間が閾値TH1を超える状態では、測定開始時点からの経過時間が所定時間T2に達した時点で、上記の所定時間T1よりも少ない時間しか、信頼性の高い肺音の信号が取得されていないことになる。
【0108】
したがって、このような場合には喘鳴の有無の判定が不能な状態であったことを報知することで、信頼性の低い状態で、喘鳴判定部41による処理の結果が報知されてしまうのを防ぐことができる。
【0109】
言い換えれば、信頼性が高いと判断できる状態でのみ、喘鳴判定部41による処理の結果を報知することができるため、装置の信頼性を高めることができる。また、無効期間の合計時間が閾値TH1を超えてしまった場合には、その時点にて第一の音測定器M1及び第二の音測定器M2による音の測定が終了される。このため、無用な音の測定をなくして、装置の消費電力を下げることができる。
【0110】
<第二の変形例>
図7は、喘鳴検出装置1の統括制御部4の機能ブロックの変形例を示す図である。
図7において
図3と同じ機能を持つブロックには同一符号を付してある。
図7に示す統括制御部4のプロセッサは、喘鳴検出プログラムを実行することで、喘鳴判定部41、制御部42B、及び有効期間判定部44として機能する。
【0111】
有効期間判定部44は、第一の音測定器M1によって測定されて喘鳴判定部41により取得された肺音の信号が上述した特定信号であるか否かを判定し、当該信号が特定信号ではないと判定した場合に、当該信号が測定された期間(当該信号の測定時刻と当該信号の直前の信号の測定時刻との間)を有効期間と判定する。この期間の長さは、肺音の信号のサンプリング間隔に相当する。
【0112】
制御部42Bは、開始指示がなされた後、開始指示がなされてからの有効期間判定部44によって有効期間と判定された期間の合計時間が上述した所定時間T1に達した場合、及び喘鳴判定部41により被測定者の肺音に喘鳴が含まれると判定された場合のいずれかの場合において、第一の音測定器M1及び第二の音測定器M2による音の測定を終了させ、且つ喘鳴判定処理の結果を報知する。
【0113】
図8は、
図7に示す統括制御部4を含む喘鳴検出装置1の動作例を説明するためのフローチャートである。
図8において、
図4と同じ処理には同一符号を付して説明を省略する。
【0114】
ステップS1にて信号の取得が開始されると、有効期間判定部44によって、ステップS1にて取得された肺音の信号の測定された期間が有効期間かどうかの判定が開始される(ステップS21)。また、ステップS1にて信号の取得が開始されると、ステップS2にて喘鳴判定処理が開始される。
【0115】
ステップS3にて“喘鳴有り”の判定がなされていない場合(ステップS3:NO)には、制御部42Bは、有効期間判定部44によって有効期間と判定された期間の合計時間を算出し、この合計時間が所定時間T1に達したか否かを判定する(ステップS22)。
【0116】
合計時間が所定時間T1未満であった場合(ステップS22:NO)には、制御部42BはステップS3に処理を戻す。
【0117】
合計時間が所定時間T1に達した場合(ステップS22:YES)には、制御部42Bは、ステップS5にて第一の音測定器M1及び第二の音測定器M2による音の測定を終了させ、ステップS6にて、喘鳴判定処理の結果を報知する。
【0118】
なお、合計時間が所定時間T1に達した時点では、喘鳴判定部41によって喘鳴判定処理がまだ行われている場合がある。このような場合には、この時点以降に終了される各喘鳴判定処理のいずれかにおいて“喘鳴有り”と判定された場合には、ステップS6にて“喘鳴有り”の結果が報知される。一方、この各喘鳴判定処理によって“喘鳴無し”と判定された場合には、ステップS6にて“喘鳴無し”の結果が報知される。また、合計時間が所定時間T1に達した時点で、喘鳴判定部41による喘鳴判定処理が終了している場合には、ステップS6にて“喘鳴無し”の結果が報知される。
【0119】
(第二の変形例の効果)
第二の変形例によれば、被測定者の肺音に喘鳴が含まれると判定された場合(ステップS3:YES)には、肺音の測定が終了されて、喘鳴が含まれるという結果が報知される。このため、装置の利用者は、喘鳴が頻繁に発生している被測定者であれば、喘鳴があったことを早期に知ることができ、利便性を向上させることができる。また、この被測定者を長時間安静にさせずにすみ、被測定者と利用者双方の負担を減らすことができる。更に、肺音の測定を早期に終了させることができ、消費電力を減らすことができる。
【0120】
また、有効期間と判定された期間の合計時間が所定時間T1に達した場合には、肺音の測定が終了されて、喘鳴の有無の判定結果が報知される。所定時間T1は喘鳴の有無を判定するために必要な時間であるため、合計時間が所定時間T1に達していれば、喘鳴の有無の判定結果を高い信頼性にて得ることができる。利用者は、所定時間T1については特に意識することなく、結果が報知されるまで装置の使用を継続するだけでよい。このため、装置の利便性を向上させることができる。
【0121】
<第三の変形例>
図9は、喘鳴検出装置1の統括制御部4の機能ブロックの変形例を示す図である。
図9において
図7と同じ機能を持つブロックには同一符号を付してある。
図9に示す統括制御部4のプロセッサは、喘鳴検出プログラムを実行することで、喘鳴判定部41、制御部42C、及び有効期間判定部44として機能する。
【0122】
制御部42Cは、
図3に示す制御部42が行う制御(第一制御という)と、
図5に示す制御部42Aが行う制御(第三制御という)と、
図7に示す制御部42Bが行う制御(第二制御という)と、を選択的に行う。制御部42Cは、装置に設けられるモード切替ボタン等の操作によって指定されたモードに応じて、どの制御を行うかを決める。
【0123】
第一制御は、測定開始時点からの経過時間が予め決められた所定時間T1に達した場合、及び喘鳴判定部41により被測定者の肺音に喘鳴が含まれると判定された場合のいずれかの場合において、第一の音測定器M1及び第二の音測定器M2による音の測定を終了させ、且つ喘鳴判定処理の結果を報知する制御である。
【0124】
第三制御は、測定開始時点からの経過時間が予め決められた所定時間T2に達した場合、及び喘鳴判定部41により被測定者の肺音に喘鳴が含まれると判定された場合のいずれかの場合において、第一の音測定器M1及び第二の音測定器M2による音の測定を終了させ、且つ喘鳴判定処理の結果を報知する制御である。また、第三制御は、測定開始時点からの経過時間が所定時間T2に達するまでの間に、無効期間の合計時間が閾値TH1を超えた場合に、第一の音測定器M1及び第二の音測定器M2による音の測定を終了させ、且つ喘鳴判定不能を報知する制御である。
【0125】
第二制御は、開始指示がなされてからの有効期間判定部44によって有効期間と判定された期間の合計時間が所定時間T1に達した場合、及び喘鳴判定部41により被測定者の肺音に喘鳴が含まれると判定された場合のいずれかの場合において、第一の音測定器M1及び第二の音測定器M2による音の測定を終了させ、且つ喘鳴判定処理の結果を報知する制御である。
【0126】
図9に示す統括制御部4を含む喘鳴検出装置1の動作は、第一制御を行うモードが指定された場合には
図4に示したものとなり、第三制御を行うモードが指定された場合には
図6に示したものとなり、第二制御を行うモードが指定された場合には
図8に示したものとなる。また、第一制御、第二制御、及び第三制御のうちのいずれか2つを並行して実施するモードがあってもよい。
【0127】
以上の第三の変形例によれば、例えば、短時間にて喘鳴判定処理の結果を得たい場合には第一制御を行うモードで装置を動作させ、高精度にて喘鳴判定処理の結果を得たい場合には第二制御又は第三制御を行うモードで装置を動作させるといった使い分けが可能となる。このため、装置の利便性を向上させることができる。
【0129】
受圧部3aに接触センサを設けておき、
図4、
図6、又は
図8に示す動作中に、統括制御部4がこの接触センサの情報に基づいて受圧部3aの体表面Sへの密着状態を判定し、密着状態が測定条件を満たさなくなった場合には、肺音及び周囲音の測定を終了させて、喘鳴の有無の判定が不能であったことを報知してもよい。
【0130】
統括制御部4の機能をスマートフォン等の電子機器に持たせ、この電子機器に測定ユニット3を着脱可能な構成としてもよい。つまり、電子機器のプロセッサが喘鳴検出プログラムを実行することで、統括制御部4として機能するようにしてもよい。
【0131】
第二の音測定器M2は必須ではなく省略してもよい。また、測定ユニット3は、第一の音測定器M1が肺音を測定できるような構造であれば
図2に示した構造でなくともよい。