【課題】外装部材に吸収性本体が取り付けられた使い捨ておむつであって、吸収性本体が設けられた部分での通気性を確保しつつ、吸収性本体を外装部材から剥離しにくくすることができる使い捨ておむつを提供する。
【解決手段】外装部材2の股部Rに、トップシートとバックシートとこれらの間に配された吸収性コア10を有する吸収性本体7が設けられた使い捨ておむつ1であって、吸収性本体7の前方部と後方部は第1の接着パターンを有する前側接着領域14と後側接着領域15でそれぞれ外装部材2に接着され、吸収性本体7の中間部は第2の接着パターンを有する中間接着領域16で外装部材2に接着されており、第1の接着パターンは、前後方向yに延びる線状の接着剤が、幅方向xに複数列配置されたものであり、第2の接着パターンは、幅方向xに延びる線状の接着剤が、前後方向yに複数列配置されたものである。
前側胴部と後側胴部とこれらの間に位置する股部とを有する外装部材と、前記外装部材の股部に設けられ、トップシートとバックシートとこれらの間に配された吸収性コアを有する吸収性本体とを有する使い捨ておむつの製造方法であって;
トップシートとバックシートの間に吸収性コアが配された吸収性本体を、当該吸収性本体の長手方向Uに搬送しながら、前記バックシートに前記方向Uに延びる線状の第1接着剤を複数列、前記方向Uに間欠的に塗工し、前記方向Uに対して第1接着剤非塗工領域とその前後に第1接着剤塗工領域を形成する工程と;
外装部材を、前側胴部と股部と後側胴部が並んだ状態で、おむつに形成したときの幅方向に相当する方向Vに搬送しながら、前記外装部材の前記方向Vに直交する方向Wに対する中央部に、前記方向Vに延びる線状の第2接着剤を複数列塗工し、前記方向Wに対して第2接着剤塗工領域とその両側に第2接着剤非塗工領域を形成する工程と;
前記吸収性本体を前記外装部材に、前記方向Uと前記方向Wとが一致するように重ねて、前記第1接着剤塗工領域を前記第2接着剤非塗工領域に接着し、前記第2接着剤塗工領域を前記第1接着剤非塗工領域に接着する工程とを有することを特徴とする使い捨ておむつの製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
使い捨ておむつは、着用者の股間に当てて胴周りを覆うように着用され、部位によって様々な方向の力が作用する。そのため、外装部材に吸収性本体が取り付けられた使い捨ておむつにおいては、吸収性本体と外装部材の接着強度を確保する点からは、吸収性本体の全体に接着剤を塗工して外装部材に接着することが好ましい。しかしこのように吸収性本体に接着剤を全面塗工した場合、おむつの通気性が低下し、おむつ内部の蒸れが外に好適に排出されず、着用感が低下するおそれがある。一方、特許文献1に開示されるように、吸収性本体を、ストライプ状に間欠塗工された接着剤により外装部材に接着した場合は、おむつの通気性を高めることができるが、接着剤が間欠的に塗工されることによって、吸収性本体が外装部材から剥離しやすくなることが懸念される。
【0005】
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、外装部材に吸収性本体が取り付けられた使い捨ておむつであって、吸収性本体が設けられた部分での通気性を確保しつつ、吸収性本体を外装部材から剥離しにくくすることができる使い捨ておむつと、その製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決することができた本発明の使い捨ておむつとは、前側胴部と後側胴部とこれらの間に位置する股部とを有する外装部材と、外装部材の股部に設けられ、トップシートとバックシートとこれらの間に配された吸収性コアを有する吸収性本体とを有する使い捨ておむつであって;吸収性本体は、前後方向に前方部と後方部とそれらの間の中間部を有し;前方部と後方部は第1の接着パターンを有する前側接着領域と後側接着領域でそれぞれ外装部材に接着され、中間部は第2の接着パターンを有する中間接着領域で外装部材に接着されており;第1の接着パターンは、前後方向に延びる線状の接着剤が、幅方向に複数列配置されたものであり;第2の接着パターンは、幅方向に延びる線状の接着剤が、前後方向に複数列配置されたものであるところに特徴を有する。
【0007】
本発明の使い捨ておむつは、吸収性本体の前方部と後方部と中間部がそれぞれ、線状の接着剤が複数列配置された接着パターンで外装部材に接着されているため、吸収性本体が設けられた部分での通気性を確保することができる。その上で、吸収性本体の前方部と後方部が、前後方向に延びる線状の接着剤が幅方向に複数列配置された第1の接着パターンで外装部材に接着されることにより、吸収性本体の前方部と後方部が幅方向に対する剪断応力に対抗しやすくなり、吸収性本体の前方部と後方部が外装部材から剥がれにくくすることができる。一方、吸収性物品の中間部は、幅方向に延びる線状の接着剤が前後方向に複数列配置された第2の接着パターンで外装部材に接着されることにより、吸収性本体の中間部が着用者の股間に沿って前後方向に湾曲しやすくなり、中間部が外装部材から剥がれにくくなる。従って、本発明の使い捨ておむつによれば、吸収性本体が設けられた部分での通気性を確保しつつ、吸収性本体を外装部材から剥離しにくくすることができる。
【0008】
前側接着領域と後側接着領域は中間接着領域よりも幅方向の外方に延在しており、吸収性本体の中間部は、中間接着領域の幅方向の外方で、外装部材に接着されていないことが好ましい。前側接着領域と後側接着領域を中間接着領域よりも幅広に設ければ、吸収性本体の前方部と後方部が外装部材から剥離しにくくなり、中間接着領域を幅狭に設けても、吸収性本体の全体を安定して外装部材に固定することができる。一方、中間接着領域を前側接着領域と後側接着領域よりも幅狭に設けることにより、使い捨ておむつを着用の際、吸収性本体を着用者の股間に安定して設置することができる。
【0009】
第1の接着パターンは、前後方向に蛇行状および/またはらせん状に延びる線状の接着剤が、幅方向に複数列配置されたものであることが好ましい。このように第1の接着パターンを形成すれば、吸収性本体の前方部と後方部が幅方向に対する剪断応力だけでなく前後方向(おむつ着用時の上下方向に相当)に対する剪断応力に対しても対抗しやすくなり、吸収性本体の前方部と後方部が外装部材からより剥がれにくくなる。例えば、使い捨ておむつの着脱時などに、吸収性本体が外装部材から剥離しにくくすることができる。
【0010】
第2の接着パターンは、幅方向に略直線状に延びる接着剤が、前後方向に複数列配置されたものであることが好ましい。このように第2の接着パターンが形成されていれば、吸収性本体の中間部が着用者の股間に沿って前後方向に湾曲しやすくなり、吸収性本体の着用者の股間へのフィット性や着用感を高めやすくなる。
【0011】
前側接着領域と後側接着領域の単位面積当たりの接着剤塗工量は、中間接着領域の単位面積当たりの接着剤塗工量よりも少ないことが好ましい。使い捨ておむつでは、股部よりも前側胴部や後側胴部の方が様々な方向から力を受けやすいが、前側接着領域と後側接着領域の単位面積当たりの接着剤塗工量を中間接着領域の単位面積当たりの接着剤塗工量よりも少なくすることで、このような力に対する追従性や前側接着領域と後側接着領域での柔軟性を高めることができる。その結果、吸収性本体の前方部と後方部を外装部材から剥離しにくくすることができる。
【0012】
前側胴部および/または後側胴部には幅方向に延びる胴部弾性部材が設けられ、胴部弾性部材の少なくとも一部が前側接着領域または後側接着領域と重なって配されていることが好ましい。外装部材の前側胴部や後側胴部に胴部弾性部材が設けられる場合、胴部弾性部材によって使い捨ておむつの胴周りでのフィット性を高めることができるが、それと同時に、前側胴部や後側胴部で幅方向に対する剪断応力がより強く発揮されるようになる。しかし本発明の使い捨ておむつによれば、そのような場合でも、おむつの幅方向の剪断応力に対して前側接着領域と後側接着領域が対抗しやすくなり、吸収性本体の前方部と後方部を剥離しにくくすることができる。
【0013】
前側接着領域と後側接着領域は、幅方向に対する両端部とその間の中央部とを有し、胴
部弾性部材は、前側接着領域および/または後側接着領域の中央部と重なる部分で連続的に設けられ、前側接着領域および/または後側接着領域の両端部と重なる部分の少なくとも一部で断続的に設けられていることが好ましい。このように胴部弾性部材を設けることにより、前側接着領域および/または後側接着領域の両端部における幅方向の剪断応力が弱まり、吸収性本体の前方部と後方部が外装部材から剥離しにくくなる。一方、前側接着領域および/または後側接着領域の中央部では胴部弾性部材による収縮力が好適に発揮され、着用者の胴周りでのフィット性を確保することができる。
【0014】
外装部材は、ウェスト開口部と一対の脚開口部を有するパンツ形状に形成されており、外装部材には、脚開口部の前側の縁に沿って延び、吸収性本体の中間部を幅方向に横切って延びる前側脚部弾性部材と、脚開口部の後側の縁に沿って延び、吸収性本体の中間部を幅方向に横切って延びる後側脚部弾性部材とが設けられ、前側脚部弾性部材と後側脚部弾性部材は、中間接着領域と重なる部分で断続的に設けられ、それ以外の部分で連続的に設けられることが好ましい。このように前側脚部弾性部材と後側脚部弾性部材が設けられれば、吸収性本体が歪みにくくなるとともに、脚部弾性部材の収縮力によって吸収性本体が着用者に向かって持ち上げられ、吸収性本体の着用者の股間でのフィット性を高めることができる。
【0015】
本発明は、使い捨ておむつの製造方法も提供する。本発明の使い捨ておむつの製造方法は、前側胴部と後側胴部とこれらの間に位置する股部とを有する外装部材と、外装部材の股部に設けられ、トップシートとバックシートとこれらの間に配された吸収性コアを有する吸収性本体とを有する使い捨ておむつの製造方法であって;トップシートとバックシートの間に吸収性コアが配された吸収性本体を、当該吸収性本体の長手方向Uに搬送しながら、バックシートに前記方向Uに延びる線状の第1接着剤を複数列、前記方向Uに間欠的に塗工し、前記方向Uに対して第1接着剤非塗工領域とその前後に第1接着剤塗工領域を形成する工程と;外装部材を、前側胴部と股部と後側胴部が並んだ状態で、おむつに形成したときの幅方向に相当する方向Vに搬送しながら、外装部材の前記方向Vに直交する方向Wに対する中央部に、前記方向Vに延びる線状の第2接着剤を複数列塗工し、前記方向Wに対して第2接着剤塗工領域とその両側に第2接着剤非塗工領域を形成する工程と;吸収性本体を外装部材に、前記方向Uと前記方向Wとが略一致するように重ねて、第1接着剤塗工領域を第2接着剤非塗工領域に接着し、第2接着剤塗工領域を第1接着剤非塗工領域に接着する工程とを有することを特徴とする。なお、第1接着剤は、前記方向Uに延びる蛇行状および/またはらせん状に塗工することが好ましく、第2接着剤は、前記方向Vに延びる略直線状に塗工することが好ましい。
【0016】
本発明の製造方法によれば、第1接着剤塗工工程で、吸収性本体のバックシートに、吸収性本体の長手方向Uに延びる線状の第1接着剤を塗工することにより、第1の接着パターンを有する前側接着領域と後側接着領域を形成し、第2接着剤塗工工程で、外装部材に、おむつの幅方向に延びる線状の第2接着剤を塗工することにより、第2の接着パターンを有する中間接着領域を形成することができる。そしてその後、吸収性本体と外装部材とを接着することにより、本発明の使い捨ておむつを容易に製造することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の使い捨ておむつは、吸収性本体の前方部と後方部と中間部がそれぞれ、線状の接着剤が複数列配置された接着パターンで外装部材に接着されているため、吸収性本体が設けられた部分での通気性を確保することができる。その上で、吸収性本体の前方部と後方部が、前後方向に延びる線状の接着剤が幅方向に複数列配置された第1の接着パターンで外装部材に接着されることにより、吸収性本体の前方部と後方部が幅方向に対する剪断応力に対抗しやすくなり、吸収性本体の前方部と後方部が外装部材から剥がれにくくすることができる。一方、吸収性物品の中間部は、幅方向に延びる線状の接着剤が前後方向に
複数列配置された第2の接着パターンで外装部材に接着されることにより、吸収性本体の中間部が着用者の股間に沿って前後方向に湾曲しやすくなり、中間部が外装部材から剥がれにくくなる。従って、本発明の使い捨ておむつによれば、吸収性本体が設けられた部分での通気性を確保しつつ、吸収性本体を外装部材から剥離しにくくすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の使い捨ておむつについて、図面を参照して説明する。なお本発明は、図面に示された実施態様に限定されるものではない。
【0020】
図1〜
図5には、本発明の使い捨ておむつの一例として、パンツ型の使い捨ておむつを示した。
図1は使い捨てパンツ型おむつの斜視図を表し、
図2は、
図1に示した使い捨ておむつの前側胴部と後側胴部との接合を解いて平面に展開した状態を肌側面から見た図を表し、
図3は、
図1に示した使い捨ておむつの前側胴部と後側胴部との接合を解いて平面に展開した状態を外側面から見た図を表し、
図4は、
図2および
図3に示した使い捨ておむつのIV−IV断面図を表し、
図5は、
図3に示した使い捨ておむつの吸収性本体の平面図を表す。なお図面では、矢印xが幅方向、矢印yが前後方向を表し、矢印x,yにより形成される面に対して垂直方向が厚み方向zを表す。
【0021】
使い捨ておむつ1は、前側胴部Pと後側胴部Qとこれらの間に位置する股部Rとから構成された外装部材2を有する。図面に示した使い捨ておむつ1では、外装部材2はウェスト開口部3と一対の脚開口部4を有し、パンツ形状に形成されている。ウェスト開口部3は着用者の胴を通すための開口であり、脚開口部4は着用者の脚を通すための開口である。
【0022】
外装部材2において、前側胴部Pは、おむつを着用の際に着用者の腹側に当てる部分に相当し、後側胴部Qは、おむつを着用の際に着用者の背側に当てる部分に相当する。股部Rは、前側胴部Pと後側胴部Qとの間に位置し、着用者の股間に当てる部分に相当する。股部Rは、外装部材2を前後方向に3分割した中間に位置する部分であり、パンツ形状に形成された場合に幅方向xの両側で互いに接合されない。使い捨ておむつがパンツ型おむつの場合、外装部材2は、例えば、前側胴部Pと後側胴部Qとを幅方向xの両側の接合部11で接合することによりパンツ形状に形成される。
【0023】
使い捨ておむつにおいて、前後方向yとは、前側胴部Pから後側胴部Qにかけての方向を意味し、おむつを着用した際の着用者の股間の前後方向に相当する。幅方向xとは、おむつを着用した際の着用者の左右方向に相当する。使い捨ておむつの肌側面とは、おむつを着用した際、着用者の肌に向く側の面を意味する。使い捨ておむつの外側面とは、おむつを着用した際、着用者とは反対側を向く面を意味する。
【0024】
外装部材2は、1層のみから構成されていてもよく、複数層から構成されていてもよい
。好ましくは、外装部材2は、外側シート5と、外側シート5の肌側面に積層された内側シート6から構成される。
【0025】
外装部材2の股部Rには、吸収性本体7が設けられる。吸収性本体7は、トップシート8とバックシート9とこれらの間に配された吸収性コア10を有する(
図4を参照)。トップシート8は吸収性コア10よりも着用者側に配され、バックシート9は吸収性コア10よりも外側(着用者の反対側)に配され、外装部材2に接着される。吸収性本体7は外装部材2の肌側面に設けられ、外装部材2の肌側面に接着される。吸収性本体7は、外装部材2の少なくとも股部Rに存在すればよく、さらに前側胴部Pおよび/または後側胴部Qに延在していることが好ましい。吸収性本体7は、例えば、略砂時計形に形成されたり、略長方形に形成されればよい。
【0026】
吸収性コア10の形状(平面形状)は特に限定されない。吸収性コア10の形状としては、例えば、略長方形、砂時計形、ひょうたん形、羽子板形等が挙げられる。図面では、吸収性コア10は略長方形に形成されている。
【0027】
吸収性本体7には、幅方向xの両側に立ち上がりフラップ12が設けられることが好ましい(
図2および
図4を参照)。立ち上がりフラップ12を設けることにより、尿等の排泄物の横漏れを防ぐことができる。立ち上がりフラップ12が立ち上がった状態の上端部(着用者側の端部)には、起立用弾性部材13が設けられることが好ましい。起立用弾性部材13の収縮力により、立ち上がりフラップ12が起立しやすくなる。
【0028】
図1〜
図3に示すように、外装部材2の前側胴部Pと後側胴部Qには、幅方向xに延びる複数の胴部弾性部材18が設けられることが好ましい。胴部弾性部材18は、ウェスト開口部3と脚開口部4の間に設けられる。胴部弾性部材18により、着用者の胴周りのフィット性が高められる。なお、胴部弾性部材18のうち、ウェスト開口部3の縁に沿って前後方向yに狭い間隔で設けられる弾性部材を腰部弾性部材19として設けてもよく、これにより着用者の腰周りに沿ったウェストギャザーが形成され、背中側や腹部側からの尿等の排泄物の漏れが防止される。
図1〜
図3では、腰部弾性部材19は胴部弾性部材18よりも前後方向yに狭い間隔で設けられている。
【0029】
外装部材2には、脚開口部4の縁に沿って、脚部弾性部材20が設けられることが好ましい。特に、本発明の使い捨ておむつがパンツ型のおむつである場合、このように脚部弾性部材20が設けられることが好ましい。図面では、脚部弾性部材20は、脚開口部4の前側の縁に沿って設けられる前側脚部弾性部材20Fと、脚開口部4の後側の縁に沿って設けられる後側脚部弾性部材20Bとから構成されている。前側脚部弾性部材20Fと後側脚部弾性部材20Bとにより、脚開口部4の縁のほぼ全周にわたり弾性部材が設けられる。脚部弾性部材20により、着用者の脚周りに沿ったレッグギャザーが形成され、股部からの尿等の排泄物の漏れが防止される。図面では、前側脚部弾性部材20Fと後側脚部弾性部材20Bが互いに離間して設けられているが、前側脚部弾性部材20Fと後側脚部弾性部材20Bは互いに接していたり交差していてもよい。
【0030】
外装部材2に設けられる胴部弾性部材18、腰部弾性部材19、脚部弾性部材20は、図面に示すように外装部材2が外側シート5と内側シート6とから構成されている場合は、外側シート5と内側シート6の間に配されることが好ましい。
【0031】
使い捨ておむつに設けられる各弾性部材としては、ポリウレタン糸、ポリウレタンフィルム、天然ゴム等の通常の使い捨ておむつに用いられる弾性伸縮材料を用いることができる。各弾性部材は、伸張状態でおむつに固定されることが好ましく、また、ホットメルト接着剤等の接着剤で固定されることが好ましい。例えば、繊度40〜1,240dtex
のポリウレタン糸を、倍率1.1〜5.0倍に伸張して配設し、固定する。接着剤としては、ゴム系のホットメルト接着剤を用いることが好ましい。なお、前記倍率は、非伸張状態を1.0倍とする。
【0032】
吸収性本体7は、
図5に示すように、前後方向yに前方部7Fと後方部7Bとそれらの間の中間部7Mを有し、前方部7Fと後方部7Bが第1の接着パターンを有する前側接着領域14と後側接着領域15でそれぞれ外装部材2に接着され、中間部7Mが第2の接着パターンを有する中間接着領域16で外装部材2に接着されている。第1の接着パターンは、前後方向yに延びる線状の接着剤が、幅方向xに複数列配置されて形成されており、第2の接着パターンは、幅方向xに延びる線状の接着剤が、前後方向yに複数列配置されて形成されている。使い捨ておむつ1は、このように吸収性本体7が外装部材2に接着されることにより、吸収性本体7が設けられた部分での通気性を確保しつつ、吸収性本体7を外装部材2から剥がれにくくすることができる。
【0033】
これについて説明すると、まず、吸収性本体7を、線状の接着パターンを有する前側接着領域14と中間接着領域16と後側接着領域15で外装部材2と接着することにより、接着剤が全面塗工される場合と比べて、吸収性本体7と外装部材2との各接着領域での通気性を高めることができ、おむつ着用時の蒸れを抑えることできる。また、接着剤が全面塗工される場合と比べて、使い捨ておむつ1の吸収性本体7が設けられた部分でのごわつきを抑えて、着用感を向上させることができる。一方、線状の接着パターンで吸収性本体7を外装部材2に接着した場合は、吸収性本体7と外装部材2との接着強度が不十分となって、吸収性本体7が剥がれやすくなるおそれがあるところ、本発明の使い捨ておむつでは、前側接着領域14と後側接着領域15の接着パターンを中間接着領域16の接着パターンと変えることにより、吸収性本体7の剥離を起こりにくくすることができる。使い捨ておむつでは、前側胴部Pと後側胴部Qでおむつの幅方向xに対してずれる力が作用しやすくなるところ、吸収性本体7の前方部7Fと後方部7Bを、前後方向yに延びる線状の接着剤が幅方向xに複数列配置された第1の接着パターンで外装部材2に接着することにより、吸収性本体7の前方部7Fと後方部7Bが幅方向xに対する剪断応力に対抗しやすくなり、前方部7Fと後方部7Bが外装部材2から剥がれにくくなる。一方、中間部7Mでは、着用者の股間に当てられておむつの前後方向yに大きく湾曲するため、そのような湾曲に対して吸収性本体7が外装部材2から剥がれにくくするために、幅方向xに延びる線状の接着剤が前後方向yに複数列配置された第2の接着パターンで外装部材2に接着している。このように中間部7Mに、第2の接着パターンを有する中間接着領域16を設けることにより、吸収性本体7の中間部7Mが、無理な負荷がかかることなく着用者の股間に沿って前後方向yに湾曲しやすくなり、中間部7Mが外装部材2から剥がれにくくなる。
【0034】
第1の接着パターンと第2の接着パターンは、接着剤が直線状に塗工されてもよく、曲線状に塗工されてもよく、これらの組み合わせで塗工されてもよい。接着剤が曲線状に塗工される場合は、例えば、蛇行状やらせん状(スパイラル状)に塗工されればよく、この場合の接着剤の延在方向は、曲線の繰り返しパターンの延在方向に基づき定められる。蛇行状には、例えば、正弦波状やΩ状の繰り返しパターン等が含まれる。線状の接着パターンは、接着剤をコーター法、ビード法、オメガコーティング法、スパイラルコーティング法、パターンコート等により塗工することにより形成することができる。
【0035】
第1の接着パターンは、前後方向yに蛇行状および/またはらせん状に延びる線状の接着剤が、幅方向xに複数列配置されたものであることが好ましい。このように第1の接着パターンが形成されていれば、吸収性本体7の前方部7Fと後方部7Bが幅方向xに対する剪断応力だけでなく前後方向y(おむつ着用時は上下方向に相当)に対する剪断応力に対しても対抗しやすくなり、吸収性本体7の前方部7Fと後方部7Bが外装部材2からよ
り剥がれにくくなる。例えば、おむつの着脱時などに、吸収性本体7が外装部材2から剥離しにくくなる。
【0036】
第2の接着パターンは、幅方向xに略直線状に延びる接着剤が、前後方向yに複数列配置されたものであることが好ましい。すなわち、第2の接着パターンは、ストライプ状の接着パターンであることが好ましい。このように第2の接着パターンが形成されていれば、吸収性本体7の中間部7Mが着用者の股間に沿って前後方向yに湾曲しやすくなり、吸収性本体7の着用者の股間へのフィット性や着用感を高めることができる。
【0037】
第1の接着パターンと第2の接着パターンの各接着剤の線幅は、各接着領域での通気性や柔軟性を確保する点から、5mm以下が好ましく、3mm以下がより好ましく、2mm以下がさらに好ましい。なお、使い捨ておむつでは、股部Rよりも前側胴部Pや後側胴部Qの方が様々な方向から力を受けやすく、それに対する追従性や柔軟性が求められる。この点から、第1の接着パターンの接着剤の線幅は、第2の接着パターンの接着剤の線幅よりも細くすることが好ましい。同様の観点から、前側接着領域14と後側接着領域15の単位面積当たりの接着剤塗工量を、中間接着領域16の単位面積当たりの接着剤塗工量よりも少なくすることも好ましい。また、使い捨ておむつは股部Rよりも前側胴部Pや後側胴部Qの方が着用者が汗をかいたりして蒸れやすいところ、このように接着剤を設けることにより、中間接着領域16よりも前側接着領域14や後側接着領域15での通気性を高めることもできる。
【0038】
略直線状の接着剤が複数列配置された接着パターンにおいては、隣接する略直線状の接着剤の離間距離が、例えば2mm以上であることが好ましく、3mm以上がより好ましく、4mm以上がさらに好ましく、また20mm以下が好ましく、15mm以下がより好ましく、10mm以下がさらに好ましい。このように接着剤を塗工することにより、接着強度を確保しつつ、通気性や柔軟性を確保しやすくなる。
【0039】
蛇行状やらせん状に延びる線状の接着剤が複数列配置された接着パターンの場合は、蛇行状やらせん状の接着パターンの振れ幅は2mm以上が好ましく、3mm以上がより好ましく、また10mm以下が好ましく、8mm以下がより好ましい。隣接する蛇行状またはらせん状の接着剤は、互いに離間して設けられてもよく、重なって設けられてもよい。前者の場合、隣接する蛇行状またはらせん状の接着剤の離間距離(最短距離)は、15mm以下が好ましく、10mm以下がより好ましく、5mm以下がさらに好ましい。このように接着剤を塗工することにより、接着強度を確保しつつ、通気性や柔軟性を確保しやすくなる。
【0040】
前側接着領域14と後側接着領域15と中間接着領域16は、ホットメルト接着剤により形成されることが好ましい。中でも、前側接着領域14と後側接着領域15はゴム系ホットメルト接着剤から形成されることが好ましく、これにより、吸収性本体7の前方部7Fと後方部7Bが外装部材2から剥がれにくくなる。ゴム系ホットメルト接着剤としては、ゴム弾性を示すホットメルト接着剤であれば特に限定されず、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)等のスチレン系エラストマーを用いることが好ましい。前記例示したスチレン系エラストマーは、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なお、中間接着領域16もゴム系ホットメルト接着剤から形成されてもよいが、中間接着領域16を構成する接着剤は、前側接着領域14と後側接着領域15を構成する接着剤よりもゴム弾性が低くてもよい。具体的には、中間接着領域16を構成する接着剤に含まれるスチレン系エラストマーの含有量は、前側接着領域14と後側接着領域15を構成する接着剤に含まれるスチレン系エラ
ストマーの含有量よりも少ないことが好ましい。
【0041】
吸収性本体7において、前方部7Fと中間部7Mと後方部7Bの前後方向yに対する長さの割合は特に限定されないが、例えば、吸収性本体7の前後方向yに対する相対位置として前側端を0%とし後側端を100%としたとき、前方部7Fが0%〜25%(好ましくは0%〜20%)の範囲にあり、後方部7Bが75%〜100%(好ましくは80%〜100%)の範囲にあることが好ましい。なお、ここで説明した長さや相対位置は、使い捨ておむつに設けられる弾性部材を完全に伸張させた状態(すなわち、弾性部材を除去した状態あるいは弾性部材を細かく切断して弾性部材の収縮力が発現しない状態)で測定する。本明細書におけるその他の様々な長さや位置に関しても、同様の条件で測定した値を用いる。
【0042】
吸収性本体7は、前方部7Fが前側胴部Pと重なって設けられ、後方部7Bが後側胴部Qと重なって設けられることが好ましい。すなわち、前側接着領域14が前側胴部Pに設けられ、後側接着領域15が後側胴部Qに設けられることが好ましい。この場合、前側接着領域14は前側胴部Pから股部Rにかけて設けられてもよく、後側接着領域15は後側胴部Qから股部Rにかけて設けられてもよいが、好ましくは、前側接着領域14は前側胴部Pのみに設けられ、後側接着領域15は後側胴部Qのみに設けられる。このように前側接着領域14と後側接着領域15を設けることにより、前側胴部Pと後側胴部Qにおける幅方向xに対する剪断応力に対して前側接着領域14と後側接着領域15が対抗しやすくなり、吸収性本体7の前方部7Fと後方部7Bを剥離しにくくすることができる。
【0043】
前側胴部Pおよび/または後側胴部Qに胴部弾性部材18が設けられる場合は、胴部弾性部材18の少なくとも一部が前側接着領域14または後側接着領域15と重なって配されることが好ましい。この場合、胴部弾性部材18によって前側胴部Pや後側胴部Qで幅方向xに対する剪断応力がより強く発揮されるようになるが、そのような場合でも吸収性本体7の前方部7Fと後方部7Bを剥離しにくくすることができる。
【0044】
胴部弾性部材18が前側接着領域14または後側接着領域15と重なって配される場合、前側接着領域14および/または後側接着領域15の幅方向xの両端部の少なくとも一部では、胴部弾性部材18が断続的に設けられることが好ましい。具体的には、前側接着領域14と後側接着領域15を幅方向xに対して両端部とその間の中央部とに区分したとき、胴部弾性部材18は、前側接着領域14および/または後側接着領域15の中央部と重なる部分で連続的に設けられ、前側接着領域14および/または後側接着領域15の両端部と重なる部分の少なくとも一部で断続的に設けられることが好ましい。このように胴部弾性部材18を設けることにより、前側接着領域14および/または後側接着領域15の両端部における幅方向xの剪断応力が弱まり、吸収性本体7の前方部7Fと後方部7Bが外装部材2から剥離しにくくなる。一方、前側接着領域14および/または後側接着領域15の中央部では胴部弾性部材18による収縮力が好適に発揮され、着用者の胴周りでのフィット性を確保することができる。前側接着領域14と後側接着領域15の両端部と中央部は、前側接着領域14と後側接着領域15を幅方向xに3等分することにより区分されることが好ましい。また、胴部弾性部材18は、前側接着領域14と後側接着領域15の両端部よりも幅方向xの外方では連続的に設けられることが好ましい。
【0045】
吸収性本体7の中間部7Mは少なくとも股部Rに重なって設けられればよい。すなわち、中間接着領域16が少なくとも股部Rに設けられればよい。中間接着領域16は前側胴部Pおよび/または後側胴部Qに延在して設けられてもよい。
【0046】
外装部材2に前側脚部弾性部材20Fと後側脚部弾性部材20Bが設けられる場合は、前側脚部弾性部材20Fと後側脚部弾性部材20Bは股部Rを幅方向xに横切る部分で断
続的に設けられることが好ましい。前側脚部弾性部材20Fと後側脚部弾性部材20Bが中間接着領域16を幅方向xに横切って設けられる場合は、中間接着領域16と重なる部分で前側脚部弾性部材20Fと後側脚部弾性部材20Bが断続的に設けられることが好ましい。なお、それ以外の部分では、前側脚部弾性部材20Fと後側脚部弾性部材20Bは連続的に設けられることが好ましい。このように前側脚部弾性部材20Fと後側脚部弾性部材20Bが設けられれば、吸収性本体7が歪みにくくなるとともに、脚部弾性部材20による収縮力が中間接着領域16の近傍まで及ぶため、これにより吸収性本体7が着用者に向かって持ち上げられて、吸収性本体7の着用者の股間でのフィット性を高めることができる。
【0047】
胴部弾性部材18や脚部弾性部材20を断続的に設ける場合は、例えば、胴部弾性部材18や脚部弾性部材20を外装部材2に接着固定した後、胴部弾性部材18や脚部弾性部材20をカッター等で切断すればよい。この際、胴部弾性部材18であれば、前側接着領域14または後側接着領域15の両端部のそれぞれで複数箇所(好ましくは3箇所以上)切断することが好ましく、脚部弾性部材20であれば、中間接着領域16と重なる部分で複数箇所(好ましくは5箇所以上)切断することが好ましい。このようにすることで、胴部弾性部材18や脚部弾性部材20を製造上簡単に断続的に設けることができ、また胴部弾性部材18や脚部弾性部材20が断続的に設けられた部分で、これらの弾性部材の収縮力を実質的に失わせることができる。
【0048】
前側接着領域14は、少なくとも吸収性本体7の前側端から10mm以内の領域に存在することが好ましく、5mm以内の領域に存在することがより好ましく、吸収性本体7の前側端を含んで設けられることがさらに好ましい。同様に、後側接着領域15は、少なくとも吸収性本体7の後側端から10mm以内の領域に存在することが好ましく、5mm以内の領域に存在することがより好ましく、吸収性本体7の後側端を含んで設けられることがさらに好ましい。このように前側接着領域14と後側接着領域15が設けられれば、吸収性本体7の前側端と後側端が捲れ上がりにくくなり、吸収性本体7の前方部7Fと後方部7Bが外装部材2から剥離しにくくなる。また、前側接着領域14と後側接着領域15は、前後方向yに対して30mm以上の長さで設けられることが好ましく、50mm以上がより好ましく、70mm以上がさらに好ましく、また180mm以下が好ましく、150mm以下がより好ましく、130mm以下がさらに好ましい。
【0049】
前側接着領域14と後側接着領域15は、中間接着領域16よりも幅方向xの外方に延在していることが好ましく、吸収性本体7の中間部7Mは、中間接着領域16の幅方向xの外方で、外装部材2に接着されないことが好ましい。すなわち、吸収性本体7の中間部7Mは、中間接着領域16よりも幅方向xの外方の部分がいずれの部材にも接着されないことが好ましい。前側接着領域14と後側接着領域15を中間接着領域16よりも幅広に設ければ、吸収性本体7の前方部7Fと後方部7Bが外装部材2から剥離しにくくなり、中間接着領域16を幅狭に設けても、吸収性本体7の全体を安定して外装部材2に固定することができる。前側接着領域14と後側接着領域15は、例えば、少なくとも吸収性本体7の幅方向xの両端から15mm以内の領域に存在することが好ましく、10mm以内の領域に存在することがより好ましく、8mm以内の領域に存在することがさらに好ましい。また、中間接着領域16を前側接着領域14と後側接着領域15よりも幅狭に設けることにより、使い捨ておむつを着用の際、吸収性本体7を着用者の股間に安定して設置することができる。例えば、外装部材2の脚開口部4の縁に沿った部分に歪みが生じても、その歪みが吸収性本体7に伝わりにくくなり、吸収性本体7を着用者の股間に密着した状態を保持しやすくなる。
【0050】
前側接着領域14と後側接着領域15は、例えば、中間接着領域16よりも20mm以上幅方向xの外方に延在していることが好ましく、30mm以上がより好ましく、40m
m以上がさらに好ましい。また、中間接着領域16の幅方向xの長さは、50mm以上が好ましく、70mm以上がより好ましく、また180mm以下が好ましく、160mm以下がより好ましい。中間接着領域16の前後方向yの長さは、前側接着領域14と後側接着領域15の前後方向yの長さよりも長いことが好ましく、具体的には、200mm以上が好ましく、250mm以上がより好ましく、300mm以上がさらに好ましい。
【0051】
吸収性本体7の中間部7Mが、中間接着領域16の幅方向xの外方で外装部材2に接着されない場合、吸収性本体7の中間接着領域16の幅方向xの外方には、前後方向yに延びる股部弾性部材17を設けてもよい(
図3〜
図5を参照)。股部弾性部材17は、吸収性コア10とバックシート9の間に配されることが好ましい。股部弾性部材17を設けることにより、吸収性本体7の幅方向xの両側が着用者の肌に向かって持ち上げられ、これにより吸収性本体7の着用者の股間へのフィット性が高められ、尿等の横漏れを起こりにくくすることができる。また、使い捨ておむつ1に別体の吸収性物品を併用して、吸収性本体7の上に別体の吸収性物品を載せて使用する際など、股部弾性部材17の収縮力によって、別体の吸収性物品を吸収性本体7上に安定して配置する効果も期待できる。なお、股部弾性部材17は、前側接着領域14と後側接着領域15と重ならないように設けられることが好ましく、これにより吸収性本体7が前後方向yに歪みにくくなる。
【0052】
前側接着領域14と中間接着領域16は前後方向yに離間して設けられてもよく、互いに接続して設けられてもよい。後側接着領域15と中間接着領域16も前後方向yに離間して設けられてもよく、互いに接続して設けられてもよい。なお、前側接着領域14と中間接着領域16と後側接着領域15は互いに離間して設けられることが好ましく、これにより、各接着領域で歪みが生じてもその歪みを隣の接着領域に伝えにくくして、吸収性本体7の着用者の股間部への密着性を維持しやすくすることができる。この場合、前側接着領域14と中間接着領域16の間、および、後側接着領域15と中間接着領域16の間には、胴部弾性部材18が設けられないことが好ましく、これにより吸収性本体7や外装部材2が局所的に大きく歪むのが防止される。前側接着領域14と中間接着領域16の離間距離、および、後側接着領域15と中間接着領域16の離間距離は、吸収性本体7を安定して外装部材2に固定する点から、それぞれ50mm以下が好ましく、35mm以下がより好ましく、20mm以下がさらに好ましい。なお、前記離間距離は、離間距離が0mmの場合も含むが、前側接着領域14と中間接着領域16、および、後側接着領域15と中間接着領域16が前後方向yに離間して設けられる場合は、その離間距離の下限は、それぞれ2mm以上とすることが好ましく、3mm以上がより好ましい。
【0053】
以上、本発明の使い捨ておむつをパンツ型おむつに適用する場合について説明したが、本発明の使い捨ておむつは、後側胴部の幅方向の両側にそれぞれ止着部材が設けられ、当該止着部材により着用時にパンツ形状に形成するオープンタイプ(テープタイプ)の使い捨ておむつであってもよい。
【0054】
本発明の使い捨ておむつを構成する各部材の材料について説明する。トップシートは、おむつ着用の際に着用者側に位置するシートであり、液透過性であることが好ましい。トップシートとしては、例えば、セルロース、レーヨン、コットン等の親水性繊維から形成された不織布や、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布であって、疎水性繊維の表面が界面活性剤により親水化されたもの等を用いることができる。また、トップシートとして、織布、編布、孔が形成されたプラスチックフィルム等を用いてもよい。
【0055】
バックシートは、おむつ着用の際に着用者とは反対側、すなわち外側に位置するシートであり、液不透過性であることが好ましい。バックシートとしては、ポリオレフィン(例
えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布や、プラスチックフィルム等を用いることができる。また、不織布とプラスチックフィルムとの積層体を用いてもよい。液不透過性には撥水性の意味も含まれる。
【0056】
立ち上がりフラップには、バックシートに使用可能な材料を用いることができる。
【0057】
外装部材は、液透過性であっても液不透過性であってもよく、トップシートやバックシートに使用可能なシート材料を用いることができる。外装部材は、内側シートに外側シートが積層されて形成されることが好ましく、親水性の内側シートに液不透過性の外側シートが積層されて形成されることがより好ましい。この場合、内側シートとしてはトップシートに使用可能なシート材料を用いることができ、外側シートとしてはバックシートに使用可能なシート材料を用いることができる。
【0058】
上記説明した各シート材料として不織布を用いる場合、不織布としては、スパンボンド不織布、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布、メルトブロー不織布、エアレイド不織布、SMS不織布等を用いることが好ましい。
【0059】
吸収性コアは、尿等の排泄物を吸収できる吸収性材料を含むものであれば特に限定されない。吸収性コアとしては、例えば、吸収性材料を所定形状に成形した成形体を用いることができる。吸収性コアは、紙シート(例えば、ティッシュペーパーや薄葉紙)や液透過性不織布等のシート部材で覆われてもよい。吸収性コアに含まれる吸収性材料としては、例えば、セルロース繊維(例えば、粉砕したパルプ繊維)等の親水性繊維や、ポリアクリル酸系、ポリアスパラギン酸系、セルロース系、デンプン・アクリロニトリル系等の吸水性樹脂等が挙げられる。また、吸収性材料には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン繊維や、PET等のポリエステル繊維、ナイロン等のポリアミド繊維等の熱融着性繊維が含まれてもよい。これらの熱融着性繊維は、尿等の体液との親和性を高めるために、界面活性剤等により親水化処理がされていてもよい。
【0060】
吸収性材料は、尿等の吸収速度を高める点から、親水性繊維を含むことが好ましい。また、吸収容量を高める点からは、吸収性材料は吸水性樹脂を含むことが好ましい。従って、吸収性コアは親水性繊維(特にパルプ繊維)と吸水性樹脂を含むことが好ましい。この場合、例えば、親水性繊維の集合体に吸水性樹脂を混合または散布したものを用いることが好ましい。
【0061】
吸収性コアは、シート状吸収体であってもよい。吸収性コアがシート状吸収体であれば、別体の吸収性物品を併用した際に、吸収性本体の上に別体の吸収性物品を載せて使用しても、着用者の股間での嵩張りを抑えることができる。
【0062】
シート状吸収体としては、不織布間に吸水性樹脂を有しパルプ繊維を有しないように形成されたものが挙げられる。このように形成されたシート状吸収体は不織布間に吸水性樹脂を有するため、高い吸収容量を実現できる。また、シート状吸収体は不織布間にパルプ繊維を有しないため、嵩張らず薄型に形成することができる。
【0063】
シート状吸収体としては、吸収性材料として吸水性繊維を用いてもよい。この場合もまた、シート状吸収体が嵩張らず薄型に形成される。吸水性繊維としては、プロトン化または塩形成したカルボキシル基を含有する繊維が挙げられる。例えば、アクリル繊維を加水分解して、アクリル繊維に含まれるニトリル基をカルボキシル基に変換することにより、吸水性繊維を得ることができる。このとき、吸水性繊維に含まれるカルボキシル基は、アルカリ金属塩またはアンモニア塩を形成していることが好ましい。また吸水性繊維は、親
水性繊維をアクリル酸に浸漬し、繊維表面でアクリル酸を析出させることにより製造することができる。
【0064】
次に、本発明の使い捨ておむつの製造方法について説明する。本発明の使い捨ておむつの製造方法は、前側胴部と後側胴部とこれらの間に位置する股部とを有する外装部材と、外装部材の股部に設けられ、トップシートとバックシートとこれらの間に配された吸収性コアを有する吸収性本体とを有する使い捨ておむつの製造方法であって;トップシートとバックシートの間に吸収性コアが配された吸収性本体を、当該吸収性本体の長手方向Uに搬送しながら、バックシートに前記方向Uに延びる線状の第1接着剤を複数列、前記方向Uに間欠的に塗工し、前記方向Uに対して第1接着剤非塗工領域とその前後に第1接着剤塗工領域を形成する工程(第1接着剤塗工工程)と;外装部材を、前側胴部と股部と後側胴部が並んだ状態で、おむつに形成したときの幅方向に相当する方向Vに搬送しながら、外装部材の前記方向Vに直交する方向Wに対する中央部に、前記方向Vに延びる線状の第2接着剤を複数列塗工し、前記方向Wに対して第2接着剤塗工領域とその両側に第2接着剤非塗工領域を形成する工程(第2接着剤塗工工程)と;吸収性本体を外装部材に、前記方向Uと前記方向Wとが略一致するように重ねて、第1接着剤塗工領域を第2接着剤非塗工領域に接着し、第2接着剤塗工領域を第1接着剤非塗工領域に接着する工程(接合工程)とを有するものである。
【0065】
本発明の製造方法によれば、第1接着剤塗工工程で、吸収性本体のバックシートに、吸収性本体の長手方向Uに延びる線状の第1接着剤を塗工することにより、第1の接着パターンを有する前側接着領域と後側接着領域を形成し、第2接着剤塗工工程で、外装部材に、おむつの幅方向に延びる線状の第2接着剤を塗工することにより、第2の接着パターンを有する中間接着領域を形成することができる。そしてその後、吸収性本体と外装部材とを接着することにより、本発明の使い捨ておむつを容易に製造することができる。
【0066】
第1接着剤塗工工程では、トップシートとバックシートの間に吸収性コアが配された吸収性本体を、当該吸収性本体の長手方向Uに搬送しながら、バックシートに方向Uに延びる線状の第1接着剤を複数列塗工する。第1接着剤の塗工により、吸収性本体の前方部と後方部に第1の接着パターンが形成される。第1接着剤塗工工程では、吸収性本体を長手方向Uに搬送しながら第1接着剤を塗工することにより、第1接着剤を方向Uに延びる線状のパターンで容易に塗工できる。第1接着剤塗工工程では、好ましくは、方向Uに蛇行状および/またはらせん状に延びる線状の第1接着剤を複数列塗工する。この場合、第1接着剤は、オメガコーティング法やスパイラルコーティング法によりバックシートに塗工することが好ましい。
【0067】
第1接着剤塗工工程では、第1接着剤を方向Uに間欠的に塗工し、方向Uに対して第1接着剤非塗工領域とその前後に第1接着剤塗工領域を形成する。第1接着剤塗工領域により吸収性本体の前側接着領域と後側接着領域が形成される。第1接着剤非塗工領域は、吸収性本体の中間部が外装部材と接着する中間接着領域が形成されるスペースとなる。第1接着剤塗工工程では、吸収性本体を連続体として方向Uに搬送してもよく、この場合、第1接着剤非塗工領域は吸収性本体の切断箇所(すなわち個別の吸収性本体の長手方向の両端に相当する部分)にも形成されてもよい。
【0068】
第1接着剤塗工工程で吸収性本体を連続体として搬送する場合、第1接着剤塗工工程の後に、吸収性本体の連続体を個別の吸収性本体に切断する工程(吸収性本体切断工程)を設けることが好ましい。吸収性本体切断工程では、吸収性本体の連続体を、隣接する吸収性コアの間で、方向Uに対して略直交する方向に延びる切断線で切断する。吸収性本体切断工程では、個別の吸収性本体のバックシート側に第1接着剤非塗工領域とその前後に第1接着剤塗工領域が形成される限り、第1接着剤が塗工された部分で切断してもよく、第
1接着剤が塗工されない部分で切断してもよい。
【0069】
第1接着剤塗工工程に先立って、トップシートとバックシートの間に吸収性コアが配された吸収性本体を形成する工程(吸収性本体形成工程)を設けることが好ましい。吸収性本体形成工程では、トップシートに吸収性コアを重ねた後にバックシートを重ねてもよく、バックシートに吸収性コアを重ねた後にトップシートを重ねてもよく、トップシートと吸収性コアとバックシートを同時に重ねてもよい。トップシートやバックシートは連続体であってもよく、その場合は、トップシートまたはバックシート上に、トップシートまたはバックシートの搬送方向(方向U)に吸収性コアを間欠的に載置すればよい。吸収性本体形成工程では、トップシートとバックシートの間に吸収性コアを配した後に、吸収性本体の幅方向(長手方向Uに直交する方向)の両側の少なくとも一部を切除して、吸収性本体を、例えば砂時計形に形成してもよい。
【0070】
第2接着剤塗工工程では、外装部材を、前側胴部と股部と後側胴部が並んだ状態で、おむつに形成したときの幅方向に相当する方向Vに搬送しながら、外装部材の前記方向Vに直交する方向Wに対する中央部に、方向Vに延びる線状の第2接着剤を複数列塗工する。第2接着剤の塗工により、外装部材の股部に第2の接着パターンが形成される。第2接着剤塗工工程では、外装部材を方向Vに搬送しながら第2接着剤を塗工することにより、第2接着剤を方向V(おむつに形成したときの幅方向に相当)に延びる線状のパターンで容易に塗工することができる。第2接着剤塗工工程では、好ましくは、方向Vに略直線状に延びるように第2接着剤を複数列塗工する。この場合、第2接着剤は、コーター法やビード法により外装部材に塗工することが好ましい。
【0071】
外装部材の方向Wに対する中央部は、少なくとも外装部材の股部の一部を含んで構成され、さらに前側胴部および/または後側胴部を含んでいてもよい。なお、中央部の方向Wの外方には第2接着剤非塗工領域が必須的に形成される。すなわち第2接着剤塗工工程では、外装部材に第2接着剤を塗工することにより、方向Wに対して第2接着剤塗工領域とその両側に第2接着剤非塗工領域が形成される。第2接着剤は、方向Vに対して連続的に塗工する必要はなく、少なくとも股部に塗工されればよい。すなわち、外装部材を方向Vに搬送する際、股部が形成される以外の部分では第2接着剤を塗工する必要はない。好ましくは、方向Vに対して、第2接着剤が股部の一部のみに塗工される。第2接着剤塗工工程では外装部材を連続体として搬送してもよい。
【0072】
第2接着剤塗工工程に先立って、外装部材形成工程を設けてもよい。外装部材形成工程では、外装部材の構成に応じて外装部材(またはその連続体)を形成し、例えば、外側シートと内側シートの間に弾性部材(例えば、脚部弾性部材、腰部弾性部材、胴部弾性部材)を配置して外装部材が形成される。この際、外側シート、内側シート、弾性部材の少なくとも1つに接着剤を塗工することにより、弾性部材を外側シートおよび/または内側シートに接着することが好ましい。外側シートと内側シートは連続体であってもよい。外装部材形性工程では、外側シートと内側シートと弾性部材を方向Vに搬送しながら、外装部材を形成することが好ましい。
【0073】
第1接着剤塗工工程と第2接着剤塗工工程の後に接合工程を行う。接合工程では、吸収性本体を外装部材に、方向Uと方向Wとが略一致するように重ねて、第1接着剤塗工領域を第2接着剤非塗工領域に接着し、第2接着剤塗工領域を第1接着剤非塗工領域に接着する。接合工程により、吸収性本体の前方部と後方部を、第1の接着パターンを有する前側接着領域と後側接着領域でそれぞれ外装部材に接着し、吸収性本体の中間部を、第2の接着パターンを有する中間接着領域で外装部材に接着することができる。
【0074】
使い捨ておむつがパンツ型の使い捨ておむつである場合は、接合工程の後に、吸収性本
体が接着された外装部材を、方向Vに延びる折り返し線で二つ折りに折り返して、当該折り返し線を挟んだ両側で外装部材の前側胴部と後側胴部とを接合することによりパンツ形状に形成する工程(パンツ形成工程)を設けることが好ましい。外装部材の前側胴部と後側胴部との接合は、接着剤、熱融着、超音波融着等の公知の接合手段により行うことができる。外装部材が連続体である場合は、パンツ形成工程で、外装部材の前側胴部と後側胴部とを接合した後、外装部材の連続体を方向Wに延びる切断線で切断することにより、個別のパンツ形状に形成すればよい。外装部材の連続体の切断は、外装部材の前側胴部と後側胴部との接合部またはその近傍(例えば、当該接合部から10mm以内の領域)で、方向Wに延びる切断線で切断することにより行えばよい。また、外装部材形成工程の後パンツ形成工程までの間(パンツ形成工程を含む)で、隣接する吸収性本体の間(または隣接する吸収性本体配設予定箇所の間)に脚開口部を形成する工程を設けることが好ましい。
【0075】
本発明の使い捨ておむつの製造方法において、各部材の構成材料やその構成例、好適態様は、使い捨ておむつの説明において説明した通りである。
【0076】
本発明の使い捨ておむつの製造方法の一例について、
図6を参照して説明する。
図6には使い捨てパンツ型おむつを連続的に製造する方法を示した。なお、本発明の使い捨ておむつの製造方法は、下記実施態様に限定されるものではない。
【0077】
第1接着剤塗工工程21では、トップシートとバックシートの間に吸収性コアが配された吸収性本体31を、吸収性本体31の長手方向Uに搬送しながら、バックシートに方向Uに延びる線状の第1接着剤32を複数列、方向Uに間欠的に塗工し、方向Uに対して第1接着剤非塗工領域34とその前後に第1接着剤塗工領域33を形成する。
図6では、吸収性本体31は連続体として方向Uに搬送され、第1接着剤塗工領域33と第1接着剤非塗工領域34が方向Uに交互に形成されている。
【0078】
第1接着剤塗工工程21に続いて、吸収性本体切断工程22を行う。吸収性本体切断工程では、吸収性本体31の連続体を個別の吸収性本体35に切断する。吸収性本体35には、方向Uに対して、第1接着剤非塗工領域34とその前後に第1接着剤塗工領域33が形成されている。
【0079】
第2接着剤塗工工程23では、外装部材41を、前側胴部Pと股部Rと後側胴部Qが並んだ状態で、おむつに形成したときの幅方向に相当する方向Vに搬送しながら、外装部材41の方向W(方向Vに直交する方向)の中央部に、方向Vに延びる線状の第2接着剤42を複数列塗工し、方向Wに対して第2接着剤塗工領域43とその両側に第2接着剤非塗工領域44を形成する。
図6では、外装部材41は連続体として方向Vに搬送され、第2接着剤42を方向Vに対して間欠的に塗工している。
【0080】
接合工程24では、第1接着剤32が塗工された吸収性本体35と第2接着剤42が塗工された外装部材41とを、方向Uと方向Wとが略一致するように重ねて、第1接着剤塗工領域33を第2接着剤非塗工領域44に接着し、第2接着剤塗工領域43を第1接着剤非塗工領域44に接着する。接合工程24により、吸収性本体35の前方部と後方部が方向Wに延びる線状の接着剤により外装部材41に接着され、吸収性本体35の中間部が方向Vに延びる線状の接着剤により外装部材41に接着され、吸収性本体35の前方部と後方部が中間部とは異なる接着パターンで外装部材41に接着されることとなる。
【0081】
図6では、接合工程24に続いて、隣接する吸収性本体35の間に脚開口部45を形成する工程25を行い、その後、吸収性本体35が接着された外装部材41を、方向Vに延びる折り返し線で二つ折りに折り返して、当該折り返し線を挟んだ両側で外装部材41の前側胴部Pと後側胴部Qとを接合する工程26と、外装部材41の連続体を方向Wに延び
る切断線で切断する工程27とを行っている。これにより、パンツ形状に形成された個別の使い捨ておむつ47を得ることができる。