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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-205978(P2019-205978A)
(43)【公開日】2019年12月5日
(54)【発明の名称】材料積層装置
(51)【国際特許分類】
   B07B 1/28 20060101AFI20191108BHJP
   B02C 23/10 20060101ALI20191108BHJP
   H01L 35/34 20060101ALI20191108BHJP
   B02C 19/20 20060101ALI20191108BHJP
   H01L 35/16 20060101ALI20191108BHJP
【FI】
   B07B1/28 Z
   B02C23/10
   H01L35/34
   B02C19/20 Z
   H01L35/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-103155(P2018-103155)
(22)【出願日】2018年5月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】許 文強
(72)【発明者】
【氏名】中村 貴哉
【テーマコード(参考)】
4D021
4D067
【Fターム(参考)】
4D021AA01
4D021AB02
4D021CA07
4D021DB20
4D021EA10
4D021EB01
4D067EE02
4D067EE17
4D067EE18
4D067FF04
4D067GA10
4D067GB07
(57)【要約】
【課題】スクリーンの数を少なくした場合でも、被破砕材料を細かく破砕すること。
【解決手段】材料積層装置は、箔片材料100が積層される空間の上方に配置された、供給される箔片材料100を振るい落とすための網目が形成された破砕スクリーン32と、破砕スクリーン32を振動させる振動装置34と、破砕スクリーン32上に置かれた破砕部材42と、を備える。破砕部材42は、振動装置34が破砕スクリーン32を振動させることによって、破砕スクリーン32との間に箔片材料100を挟み込んで破砕する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被破砕材料を積層させる材料積層装置であって、
前記被破砕材料が積層される空間の上方に配置された、供給される前記被破砕材料を振るい落とすための網目が形成された破砕スクリーンと、
前記破砕スクリーンを振動させる振動装置と、
前記破砕スクリーン上に置かれた破砕部材と、を備え、
前記破砕部材は、前記振動装置が前記破砕スクリーンを振動させることによって、前記破砕スクリーンとの間に前記被破砕材料を挟み込んで破砕することを特徴とする材料積層装置。
【請求項2】
前記破砕部材は、前記網目よりも大きい粒状部材であり、
複数の前記破砕部材が、前記破砕スクリーン上に置かれていることを特徴とする請求項1に記載の材料積層装置。
【請求項3】
前記破砕部材の上方に離間配置され、供給された前記被破砕材料を通過させ且つ前記破砕部材の通過を規制する規制スクリーン、を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の材料積層装置。
【請求項4】
前記破砕スクリーンの面方向と直交する方向において、前記破砕スクリーンと前記規制スクリーンとの隙間は、前記破砕部材の大きさの2倍よりも小さいことを特徴とする請求項3に記載の材料積層装置。
【請求項5】
前記振動装置は、前記破砕スクリーンを少なくとも鉛直方向に振動させることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の材料積層装置。
【請求項6】
前記被破砕材料は、箔片材料であり、
前記破砕スクリーンの下方に、整送スクリーンが設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の材料積層装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料を積層させる材料積層装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ペルチェ素子等の原材料である箔体を破砕して積層させる装置(材料積層装置)が開示されている。詳細には、材料積層装置は、箔体が積層されるモールドの上方に配置された4層の網状のフルイ(スクリーン)と、スクリーンを振動させるバイブレーターとを備える。4層のスクリーンは、上下方向に並べて配置されている。上下方向に互いに隣接しているスクリーンの網目は、スクリーンの面方向における角度が互いに45度異なっている。このような材料積層装置において、バイブレーターがスクリーンを振動させることにより、箔体が破砕されつつ振るい落とされてモールド内に積層される。箔体は、各スクリーン上で振動しているときや、上側のスクリーンから下側の(すなわち、上側のスクリーンとは異なる角度の網目を有する)スクリーン上に落下したときに、スクリーンと衝突することによって徐々に細かく破砕される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4462465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、特許文献1に記載の材料積層装置では、箔体をスクリーンと衝突させることによって、箔体を徐々に細かく破砕するように構成されている。このため、多くのスクリーンを上下方向に並べて配置するためのスペースが必要となり、装置が大型化するという問題がある。また、製造時に、各スクリーンの網目の角度を互いに異ならせるための調整に手間がかかるという問題もある。
【0005】
本発明は、スクリーンの数を少なくした場合でも、被破砕材料を細かく破砕することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明の材料積層装置は、被破砕材料を積層させる材料積層装置であって、前記被破砕材料が積層される空間の上方に配置された、供給される前記被破砕材料を振るい落とすための網目が形成された破砕スクリーンと、前記破砕スクリーンを振動させる振動装置と、 前記破砕スクリーン上に置かれた破砕部材と、を備え、前記破砕部材は、前記振動装置が前記破砕スクリーンを振動させることによって、前記破砕スクリーンとの間に前記被破砕材料を挟み込んで破砕することを特徴とするものである。
【0007】
本発明では、破砕スクリーンと破砕部材との間に被破砕材料を挟み込んで破砕することができる。これにより、被破砕材料を単にスクリーン上で振動させ或いはスクリーン上に落下させる構成と比べて、被破砕材料を容易に破砕することができる。したがって、スクリーンの数を少なくした場合でも、被破砕材料を細かく破砕することができる。
【0008】
第2の発明の材料積層装置は、前記第1の発明において、前記破砕部材は、前記網目よりも大きい粒状部材であり、複数の前記破砕部材が、前記破砕スクリーン上に置かれていることを特徴とするものである。
【0009】
本発明では、被破砕材料を複数の破砕部材の間に挟み込んで破砕することもできる。したがって、被破砕材料を効率良く破砕できる。
【0010】
第3の発明の材料積層装置は、前記第1又は第2の発明において、前記破砕部材の上方に離間配置され、供給された前記被破砕材料を通過させ且つ前記破砕部材の通過を規制する規制スクリーン、を備えることを特徴とするものである。
【0011】
破砕部材の上方への移動が規制されていない構成では、被破砕材料が大量に供給されたとき等に、破砕部材が被破砕材料の流れに巻き込まれて浮き上がり、破砕部材と破砕スクリーンとの間に被破砕材料が大量に流れ込むおそれがある。このような場合、破砕部材と破砕スクリーンとの間に挟まれている被破砕材料が破砕されにくくなり、破砕の効率が低下するおそれがある。本発明では、規制スクリーンによって、破砕部材と破砕スクリーンとの隙間が大きくなり過ぎることを防止できるので、破砕部材が浮き上がり過ぎることを抑制できる。これにより、破砕部材と破砕スクリーンとの間に被破砕材料が大量に流れ込むことを抑制できる。したがって、破砕の効率低下を抑制できる。
【0012】
第4の発明の材料積層装置は、前記第3の発明において、前記破砕スクリーンの面方向と直交する方向において、前記破砕スクリーンと前記規制スクリーンとの隙間は、前記破砕部材の大きさの2倍よりも小さいことを特徴とするものである。
【0013】
破砕部材と破砕スクリーンとの間に被破砕材料が大量に流れ込むことを抑制するためには、面方向と直交する方向において、規制部材と破砕スクリーンとの隙間を、破砕部材の大きさの2倍よりも小さくすることが好ましい。また、複数の破砕部材を備える構成では、ある破砕部材が他の破砕部材の上に乗ってしまうと、上側の破砕部材とスクリーンとによって被破砕材料を挟み込むことが難しくなるおそれや、下側の破砕部材が振動しにくくなるおそれがあり、破砕効率が低下するおそれがある。本発明では、破砕スクリーンと規制スクリーンとの隙間が破砕部材の鉛直方向における大きさの2倍よりも小さいので、ある破砕部材が他の破砕部材の上に乗ることを抑制できる。したがって、破砕効率の低下を効果的に抑制できる。
【0014】
第5の発明の材料積層装置は、前記第1〜第4のいずれかの発明において、前記振動装置は、前記破砕スクリーンを少なくとも鉛直方向に振動させることを特徴とするものである。
【0015】
本発明では、破砕スクリーンが少なくとも鉛直方向に振動することによって、破砕部材が破砕スクリーンに対して少なくとも鉛直方向に振動させられる。これにより、破砕部材が浮き上がりと自重落下とを繰り返すので、重力の作用によって、破砕スクリーン上の被破砕材料に破砕部材を勢いよくぶつけることができる。したがって、被破砕材料を効果的に破砕することができる。
【0016】
第6の発明の材料積層装置は、前記第1〜第5のいずれかの発明において、前記被破砕材料は、箔片材料であり、前記破砕スクリーンの下方に、整送スクリーンが設けられていることを特徴とするものである。
【0017】
一般的に、箔片材料が積層されて成形される積層材料においては、電気特性等の特性を良好にするために、複数の箔片材料が水平な状態で積層されることが求められる。ここで、破砕されて落下する箔片材料の姿勢が水平方向に対して傾いていると、箔片材料が水平方向に対してランダムな向きで積層され、良好な特性が得られないおそれがある。本発明では、破砕スクリーンから落下した箔片材料をいったん整送スクリーンによって受け止めることができる。これにより、箔片材料の姿勢をいったん水平にすることができ、箔片材料を整送スクリーン上から水平落下させやすくすることができる。したがって、積層材料の良好な特性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施形態に係る材料積層装置の概略図である。
図2】破砕整送部の正面図である。
図3】破砕スクリーン及びその周辺構成を示す断面図である。
図4】破砕スクリーンの一部の平面図及び規制スクリーンの一部の平面図である。
図5】破砕整送部による箔片材料の破砕及び整送を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の実施の形態について、図1図5を参照しながら説明する。なお、図1の紙面上下方向を上下方向(すなわち、重力の作用する鉛直方向)とする。図1の紙面上下方向と直交する方向を水平方向とする。
【0020】
(材料積層装置)
まず、本実施形態に係る材料積層装置1の概要について、図1を用いて説明する。図1は、材料積層装置1の概略図である。
【0021】
材料積層装置1は、熱電素子の原材料となる金属箔(以下、箔片材料100とする)を破砕して積層させ、積層体101を形成するためのものである。箔片材料100(本発明の被破砕材料)は、例えば、溶解炉(不図示)から出湯されている金属の溶湯を高速回転中のドラム(不図示)に当てることで生成される、厚さ数μmの箔状の金属材料である。箔片材料100は、例えば、ビスマス、テルル及び添加剤(金属)の合金であるが、これに限られるものではない。積層体101は、後工程において高温圧縮されることにより、熱電素子の材料素子(不図示)となる。
【0022】
材料積層装置1は、密閉容器2の内部に配置されており、供給部11と、破砕整送部12と、治具支持部13とを備える。材料積層装置1は、供給部11に投入された箔片材料100を破砕整送部12によって破砕・整送し、治具支持部13に支持されている治具102内に積層させる。
【0023】
密閉容器2は、材料積層装置1が配置されている空間を所定の雰囲気に保つためのものである。仮に、空気中で積層体101が形成された場合、空気中の酸素や水分等が積層体101に吸着することによって積層体101が酸化し、素子の劣化が起こり、その性能が左右されるおそれ等がある。このような問題を回避するため、密閉容器2内には、例えば、不活性ガスであるアルゴンが充填されている。
【0024】
供給部11は、箔片材料100を破砕整送部12に供給するためのものである。供給部11は、材料積層装置1の最上部に配置されている。供給部11は、箔片材料100が投入される投入口(不図示)と、投入口から投入された箔片材料100を一時的に貯留するホッパー21とを有する。ホッパー21の下端部は、例えば、バルブ(不図示)により開閉可能となっている。バルブが開放されているとき、ホッパー21から箔片材料100が落下して破砕整送部12に供給される。
【0025】
破砕整送部12は、供給部11から供給された箔片材料100を細かく破砕し、治具支持部13に支持されている治具102に向けて箔片材料100を振るい落とすためのものである。破砕整送部12は、供給部11の下方に配置されている。破砕整送部12の詳細については後述する。
【0026】
治具支持部13は、箔片材料100が積層される治具102を支持するためのものである。治具支持部13は、破砕整送部12の下方に配置されている。治具支持部13は、例えば、治具102が載置される載置台である。治具102は、内底面と内側面とを有する容器である。内底面と内側面によって、例えば直方体状の内部空間103(本発明の空間)が形成されている。破砕整送部12から落下した箔片材料100が内部空間103に積層され、積層体101が形成される。
【0027】
以上の構成を有する材料積層装置1において、供給部11に投入された箔片材料100は、破砕整送部12によって破砕されて振るい落とされ、治具支持部13に支持されている治具102の内部空間103内に積層される。積層体101は、後工程において高温圧縮され、熱電素子の材料素子となる。ここで、このような基板を用いて作成される熱電素子においては、一般的に、複数の箔片材料100が積層体101の面方向に対して平行且つ均一に積層されることで、異方性を有する良好な電気特性(例えば、ゼーベック係数等)が得られる。このため、箔片材料100は、積層体101の密度が均一化されるように、破砕整送部12によってできるだけ細かく破砕されることが好ましい。さらに、破砕された後の箔片材料100は、できるだけ水平な姿勢を保ちつつ落下し、且つ、水平方向において均一に積層されることが求められる。
【0028】
(破砕整送部)
次に、破砕整送部12の構成について、図1及び図2を用いて説明する。図2は、破砕整送部12の正面図である。
【0029】
図2に示すように、破砕整送部12は、ベース板31と、破砕スクリーン32と、整送スクリーン33と、振動装置34とを有する。破砕整送部12は、ベース板31上に配置された振動装置34によって破砕スクリーン32及び整送スクリーン33を振動させる。これにより、破砕スクリーン32上で箔片材料100(図1参照)を破砕して落下させ、整送スクリーン33によって箔片材料100の向きを水平に揃えて箔片材料100を水平落下させる。
【0030】
ベース板31は、水平方向に延びる略長方形の板状の部材である。ベース板31は、弾性部材である複数の防振ゴム35を介して、支柱36(図1参照)の上端に固定されている。ベース板31の水平方向における中央部には、上下方向に貫通する貫通孔37が形成されている。貫通孔37には、直方体状の柱部材38が嵌装されている。柱部材38は、上下方向に貫通する貫通孔39が形成された中空の部材である。柱部材38には、破砕スクリーン32及び整送スクリーン33が取り付けられている。破砕スクリーン32と整送スクリーン33との間の空間は、柱部材38によって囲まれている。
【0031】
破砕スクリーン32は、箔片材料100(図1参照)を振るい落とすための網目が形成された、略正方形の板状の部材である。破砕スクリーン32には、複数の網目41(図4参照)が形成されている。図2に示すように、破砕スクリーン32は、柱部材38の上端に取り付けられている。破砕スクリーン32は、水平方向におけるベース板31の中央の位置に水平配置されている。破砕スクリーン32の周辺のさらなる詳細については後述する。
【0032】
整送スクリーン33は、箔片材料100の姿勢を水平に揃えて箔片材料100を水平落下させるためのものである。整送スクリーン33は、破砕スクリーン32の網目41と同等の大きさの網目(図示省略)が形成された、略正方形の板状の部材である。整送スクリーン33は、柱部材38の下端に取り付けられている。整送スクリーン33は、水平方向におけるベース板31の中央の位置に水平配置されている。整送スクリーン33は、破砕スクリーン32から振るい落とされた箔片材料100をいったん受け止める。これにより、箔片材料100が水平方向を向きやすくなるので、整送スクリーン33から振るい落とされる箔片材料100が水平落下しやすくなる。
【0033】
振動装置34は、破砕スクリーン32及び整送スクリーン33を振動させるためのものである。振動装置34は、ベース板31の上に配置され、不図示の電源に接続されている。振動装置34は、水平方向において、破砕スクリーン32及び整送スクリーン33の外側に配置されている。本実施形態では、2つの振動装置34が同一のベース板31の上に配置されているが、これに限られるものではない。振動装置34は、例えば、一般的な電磁コイル式のバイブレーターである。振動装置34は、コイル34aと、可動部材34bと、板バネ34cとを有する。コイル34aの軸方向は、上下方向と平行になっている。可動部材34bは、水平に配置された板バネ34cに取り付けられており、コイル34aの内側に配置されている。コイル34aに電流が流れると、可動部材34bは、コイル34aの吸引力と板バネ34cの反力とによって上下方向に往復移動する。これにより、上下方向の振動が発生する。また、振動装置34には、略長方形の板状の振動伝達部材40が取り付けられている。振動伝達部材40は、水平配置され、不図示のボルト等の固定具によって破砕スクリーン32に固定されている。これにより、振動装置34の振動が、振動伝達部材40を介して破砕スクリーン32に効果的に伝えられる。
【0034】
ここで、従来の材料積層装置では、複数のスクリーンを振動させることにより、箔片材料をスクリーン上で振動させ、或いは上側のスクリーンから下側のスクリーンに落下させて徐々に細かく破砕していた。このため、多くのスクリーンが必要となり、装置の大型化等を招いていた。そこで、本実施形態の材料積層装置1においては、スクリーンの数を少なくしても箔片材料100を細かく破砕するために、破砕スクリーン32の周辺が以下のように構成されている。
【0035】
(破砕スクリーンの周辺の詳細構成)
破砕スクリーン32の周辺の詳細構成について、図3及び図4を用いて説明する。図3は、破砕スクリーン32及びその周辺構成を示す断面図である。図4(a)は、破砕スクリーン32の一部及び後述する複数の破砕部材42の平面図である。図4(b)は、後述する規制スクリーン44の一部及び複数の破砕部材42の平面図である。
【0036】
図3及び図4に示すように、破砕スクリーン32の上には、箔片材料100(図1参照)を破砕するための複数の破砕部材42が置かれている。破砕部材42は、例えばアルミナで形成された、網目41(図4(a)参照)よりも大きい球状の部材である。アルミナは、ステンレス等と比べて軽いため、破砕部材42の重量によって破砕スクリーン32がたわむこと等が抑制される。複数の破砕部材42は、破砕スクリーン32上に敷き詰めるように置かれており、それぞれ独立して振動可能となっている。各破砕部材42の径(Aとする。図3参照)は、略等しい。複数の破砕部材42の間には、箔片材料100が上下方向に通過できる隙間(水平方向における隙間)が形成されている。
【0037】
また、破砕スクリーン32の上面には、枠部材43(図3参照)が取り付けられている。枠部材43は、破砕スクリーン32の外周部分の上に設けられ、複数の破砕部材42を囲むように配置された枠である。枠部材43は、不図示の固定具によって破砕スクリーン32に固定されている。枠部材43の上下方向における長さは、破砕部材42の上下方向におけるサイズ(すなわち、破砕部材42の径)よりも長い。
【0038】
さらに、枠部材43の上(すなわち、破砕スクリーン32及び破砕部材42の上方)には、水平配置された規制スクリーン44が設けられている。規制スクリーン44は、破砕部材42の上方への移動を規制するためのものである。規制スクリーン44は、押え部材45によって上方から押さえられ、不図示の固定具によって枠部材43に固定されている。これにより、規制スクリーン44は、破砕部材42に対して離間配置されている。規制スクリーン44には、破砕スクリーン32と同様に、複数の網目46(図4(b)参照)が形成されている。網目46は、破砕スクリーン32の網目41よりも粗く、供給部11(図1参照)から供給される箔片材料100を通過させることが可能となっている。また、網目46は、破砕部材42の径よりも細かい。これにより、規制スクリーン44は、破砕部材42が上方へ移動することを規制する。上下方向(すなわち、破砕スクリーン32の面方向と直交する方向)において、規制スクリーン44と破砕スクリーン32との隙間(Bとする。図3参照)は、例えば、破砕部材42の径(高さ)の2倍よりも小さい。
【0039】
(破砕整送部による箔片材料の破砕及び整送)
次に、破砕整送部12による箔片材料100の破砕及び整送について、図1及び図5を用いて説明する。
【0040】
まず、振動装置34(図1参照)の電源が入れられると、振動装置34が上下振動する。振動装置34の振動が破砕スクリーン32、整送スクリーン33及び規制スクリーン44に伝わることによって、これらのスクリーンが上下振動する。また、破砕スクリーン32が上下振動することによって、図5に示すように、複数の破砕部材42に破砕スクリーン32の振動が伝わり、複数の破砕部材42がそれぞれ上下方向に振動する(図5の矢印参照)。
【0041】
この状態で、供給部11(図1参照)から破砕整送部12へ箔片材料100が供給されると、箔片材料100は規制スクリーン44を通過して、規制スクリーン44と破砕スクリーン32との間の空間に落下する。ここで、複数の破砕部材42が振動していることにより、破砕部材42と破砕スクリーン32との間に箔片材料100が挟み込まれる。これにより、箔片材料100が容易に細かく破砕される(例えば、箔片材料100の破砕前のサイズは数mm角であるのに対し、破砕後のサイズは1mm角以下となる)。また、箔片材料100は、複数の破砕部材42の間に挟み込まれることによっても破砕される。さらに、複数の破砕部材42は上下振動している(つまり、浮きあがりと自重落下とを繰り返している)ので、重力の作用によって、破砕スクリーン32上の箔片材料100に破砕部材42が勢いよくぶつかる。これにより、箔片材料100が効果的に破砕される。
【0042】
ここで、仮に破砕部材42の上方への移動が規制されていない場合、箔片材料100が大量に供給されたとき等に、破砕部材42が箔片材料100の流れに巻き込まれて浮き上がり、破砕部材42と破砕スクリーン32との間に箔片材料100が大量に流れ込むおそれがある。このような場合、破砕部材42と破砕スクリーン32との間に挟まれている箔片材料100が破砕されにくくなり、破砕の効率が低下するおそれがある。本実施形態では、規制スクリーン44によって破砕部材42の上方への移動が規制されているので、破砕部材42が上方へ飛び出すことが防止される。また、ある破砕部材42が別の破砕部材42の上に乗ってしまうと、上側の破砕部材42と破砕スクリーン32との間に箔片材料100を挟み込むことができなくなるおそれや、下側の破砕部材42が振動しにくくなるおそれがある。本実施形態では、規制スクリーン44と破砕スクリーン32との隙間が、破砕部材42の径の2倍よりも小さいので、ある破砕部材42が別の破砕部材42の上に乗ることが抑制される。
【0043】
次に、細かく破砕された箔片材料100は、破砕スクリーン32によって振るい落とされる。上述したように、破砕スクリーン32と整送スクリーン33との間の空間は、柱部材38によって囲まれている。これにより、破砕スクリーン32上から落下した箔片材料100は、水平方向における外側へ飛び散ることが防止され、整送スクリーン33に向かって落下する。落下した箔片材料100は、いったん整送スクリーン33によって受け止められる。これにより、箔片材料100の姿勢がいったん水平になる。さらに、箔片材料100は、振動している整送スクリーン33から振るい落とされ、治具102(図1参照)の内部空間103に積層される。整送スクリーン33に受け止められていったん水平になった箔片材料100は、整送スクリーン33上から水平落下しやすくなるので、水平に積層されやすい。
【0044】
以上のように、破砕スクリーン32と破砕部材42との間に箔片材料100を挟み込んで破砕することができる。これにより、箔片材料100を単にスクリーン上で振動させ或いはスクリーン上に落下させる構成と比べて、箔片材料100を容易に破砕することができる。したがって、スクリーンの数を少なくした場合でも、箔片材料100を細かく破砕することができる。
【0045】
また、箔片材料100を複数の破砕部材42の間に挟み込んで破砕することもできる。したがって、箔片材料100を効率良く破砕できる。
【0046】
また、規制スクリーン44によって、破砕部材42と破砕スクリーン32との隙間が大きくなり過ぎることを防止できるので、破砕部材42が浮き上がり過ぎることを抑制できる。これにより、破砕部材42と破砕スクリーン32との間に箔片材料100が大量に流れ込むことを抑制できる。したがって、破砕の効率低下を抑制できる。
【0047】
また、破砕スクリーン32と規制スクリーン44との隙間が破砕部材42の鉛直方向における大きさの2倍よりも小さいので、ある破砕部材42が他の破砕部材42の上に乗ることを抑制できる。したがって、破砕効率の低下を効果的に抑制できる。
【0048】
また、破砕スクリーン32が鉛直方向に振動することによって、破砕部材42が破砕スクリーン32に対して鉛直方向に振動させられる。これにより、破砕部材42が浮き上がりと自重落下とを繰り返すので、重力の作用によって、破砕スクリーン32上の箔片材料100に破砕部材42を勢いよくぶつけることができる。したがって、箔片材料100を効果的に破砕することができる。
【0049】
また、破砕スクリーン32から落下した箔片材料100をいったん整送スクリーン33によって受け止めることができる。これにより、箔片材料100の姿勢をいったん水平にすることができ、箔片材料100を整送スクリーン33上から水平落下させやすくすることができる。したがって、箔片材料100が積層されて形成される基板の良好な特性を得ることができる。
【0050】
次に、前記実施形態に変更を加えた変形例について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
【0051】
(1)前記実施形態において、破砕部材42はアルミナで形成されているものとしたが、これには限られない。破砕部材42は、例えばステンレスで形成されていても良い。また、破砕される材料の種類によっては(すなわち、破砕部材42による箔片材料100の汚染の懸念がなければ)、破砕部材42が金属材料で形成されていても良い。このように、破砕部材の材質として様々なものを適用することができる。
【0052】
(2)前記実施形態において、複数の破砕部材42の径は互いに略等しいものとしたが、これには限られない。すなわち、複数の破砕部材42の径は、互いに異なっていても良い。
【0053】
(3)前記までの実施形態において、破砕部材42は球状であるものとしたが、これには限られない。つまり、破砕部材は、破砕スクリーン32の網目41よりも大きく、破砕スクリーン32から振るい落とされないものであれば、球以外の形状を有する粒状部材であっても良い。具体的には、破砕部材は、米粒状或いはラグビーボール状であっても良い。或いは、破砕部材は、立方体状等であっても良い。但し、破砕部材が角を有していると、破砕スクリーン32を傷つけるおそれがあるので、破砕部材の形状は滑らかであることが好ましい。
【0054】
(4)前記までの実施形態において、複数の破砕部材42が破砕スクリーン32上に置かれているものとしたが、これには限られない。例えば、複数のアルミナボール等が互いに連結されていることによって、1つの平板状の破砕部材が形成されていても良い。或いは、上下方向に貫通する複数の貫通孔が形成された(すなわち、箔片材料100が下方へ通過可能な)平板状の部材を、破砕部材として用いても良い。
【0055】
(5)前記までの実施形態において、破砕スクリーン32等のスクリーンは水平配置されているものとしたが、これには限られない。すなわち、破砕スクリーン32等の面方向は、必ずしも水平方向と平行でなくても良い。
【0056】
(6)前記までの実施形態において、破砕スクリーン32等のスクリーンは正方形状であるものとしたが、これには限られない。すなわち、破砕スクリーン32等は、長方形状、円状等、他の形状を有していても良い。また、治具102の内部空間103は直方体状に限られず、例えば円柱状であっても良い。この場合、例えば柱部材38の形状は、破砕スクリーン32や治具102の内部空間103の形状に合わせて変更すれば良い。
【0057】
(7)前記までの実施形態において、破砕整送部12は規制スクリーン44を有するものとしたが、これには限られない。規制スクリーン44は、必ずしも設けられていなくても良い。
【0058】
(8)前記までの実施形態において、振動装置34は破砕スクリーン32等を上下方向に振動させるものとしたが、これには限られない。すなわち、振動装置34による振動方向は、水平成分を有していても良い。或いは、振動装置34は、破砕スクリーン32等を水平振動させても良い。また、振動装置34は電磁コイル式のバイブレーターであるものとしたが、これには限られず、振動を発生させるものであれば良い。例えば、振動装置は、アンバランスウェイトの回転によって振動を発生させる、いわゆるアンバランスウェイト振動モータであっても良い。
【0059】
(9)前記までの実施形態において、材料積層装置1による積層の対象物は箔片材料100であるものとしたが、これには限られない。例えば、材料積層装置は、材料を粉末状に破砕して積層させても良い。この場合、整送スクリーン33は、必ずしも設けられていなくても良い。
【符号の説明】
【0060】
1 材料積層装置
32 破砕スクリーン
33 整送スクリーン
34 振動装置
41 網目
42 破砕部材
44 規制スクリーン
100 箔片材料(被破砕材料)
103 内部空間(空間)
図1
図2
図3
図4
図5