特開2019-206035(P2019-206035A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-206035(P2019-206035A)
(43)【公開日】2019年12月5日
(54)【発明の名称】レーザ溶接装置及びレーザ溶接方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/00 20140101AFI20191108BHJP
   B23K 26/03 20060101ALI20191108BHJP
   G01B 11/22 20060101ALI20191108BHJP
   G01B 9/02 20060101ALI20191108BHJP
【FI】
   B23K26/00 P
   B23K26/03
   G01B11/22 G
   G01B9/02
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-148871(P2019-148871)
(22)【出願日】2019年8月14日
(62)【分割の表示】特願2017-207502(P2017-207502)の分割
【原出願日】2017年10月26日
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浦島 毅吏
【テーマコード(参考)】
2F064
2F065
4E168
【Fターム(参考)】
2F064AA09
2F064CC01
2F064CC04
2F064EE01
2F064FF08
2F064GG02
2F064GG12
2F064GG22
2F064GG55
2F064JJ05
2F064JJ15
2F065AA22
2F065CC15
2F065DD03
2F065DD04
2F065FF52
2F065GG04
2F065GG21
2F065GG25
2F065HH13
2F065LL02
2F065LL13
2F065LL46
2F065LL62
2F065MM16
2F065NN06
2F065QQ16
4E168BA72
4E168CA01
4E168CA07
4E168CA13
4E168CA15
4E168CB22
(57)【要約】
【課題】溶接池やキーホールの振動やスパッタなどがあっても安定してキーホール深さを計測できるレーザ溶接装置及び方法を提供する。
【解決手段】本発明のレーザ溶接装置は、被溶接材に向けてレーザ光を照射するレーザ出力手段と、前記レーザ光と異なる波長を有する計測光を出力し、出力時に前記計測光の波長を周期的に変化させる計測光光源と、前記レーザ光と前記計測光光源からの前記計測光とを同軸に重ね合わせて、前記レーザ光により前記被溶接材に形成された溶接部に照射する光学部材と、前記溶接部で反射した前記計測光と参照光との光路差によって生じる干渉に基づいて、前記溶接部のキーホール深さを計測する光干渉計と、を備え、表面移動速度が、0.4m/s以下の時は、前記計測光光源における光周波数の走査速度の平均値が1000PHz/秒以上である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被溶接材に向けてレーザ光を照射するレーザ出力手段と、
前記レーザ光と異なる波長を有する計測光を出力し、出力時に前記計測光の波長を周期的に変化させる計測光光源と、
前記レーザ光と前記計測光光源からの前記計測光とを同軸に重ね合わせて、前記レーザ光により前記被溶接材に形成された溶接部に照射する光学部材と、
前記溶接部で反射した前記計測光と参照光との光路差によって生じる干渉に基づいて、前記溶接部のキーホール深さを計測する光干渉計と、
を備え、
表面移動速度が、0.4m/s以下の時は、前記計測光光源における光周波数の走査速度の平均値が1000PHz/秒以上である、
レーザ溶接装置。
【請求項2】
前記計測光光源がMEMSミラーの動作により波長を走査する光源である、
請求項1記載のレーザ溶接装置。
【請求項3】
前記計測光光源が注入電流により波長を走査する半導体レーザである、
請求項1記載のレーザ溶接装置。
【請求項4】
被溶接材に向けてレーザ光を照射するレーザ出力手段と、
前記レーザ光と異なる波長を有する計測光を出力し、出力時に前記計測光の波長を周期的に変化させる計測光光源と、
前記レーザ光と前記計測光光源からの前記計測光とを同軸に重ね合わせて、前記レーザ光により前記被溶接材に形成された溶接部に照射する光学部材と、
前記溶接部で反射した前記計測光と参照光との光路差によって生じる干渉に基づいて、前記溶接部のキーホール深さを計測する光干渉計と、
を備え、
表面移動速度が、0.2m/s以下の時は、前記計測光光源における光周波数の走査速度の平均値が500PHz/秒以上である、
レーザ溶接装置。
【請求項5】
被溶接材に向けてレーザ光を照射するレーザ出力工程と、
前記レーザ光と異なる波長を有する計測光を出力し、出力時に前記計測光の波長を周期的に変化させる計測光出力工程と、
前記レーザ光と計測光光源からの前記計測光とを同軸に重ね合わせて、前記レーザ光により前記被溶接材に形成された溶接部に照射する同軸照射工程と、
前記溶接部で反射した前記計測光と参照光との光路差によって生じる干渉に基づいて、前記溶接部のキーホール深さを計測するキーホール深さ計測工程と、
を備え、
表面移動速度が、0.4m/s以下の時は、前記計測光光源における光周波数の走査速度の平均値が1000PHz/秒以上である、
レーザ溶接方法。
【請求項6】
被溶接材に向けてレーザ光を照射するレーザ出力工程と、
前記レーザ光と異なる波長を有する計測光を出力し、出力時に前記計測光の波長を周期的に変化させる計測光出力工程と、
前記レーザ光と計測光光源からの前記計測光とを同軸に重ね合わせて、前記レーザ光により前記被溶接材に形成された溶接部に照射する同軸照射工程と、
前記溶接部で反射した前記計測光と参照光との光路差によって生じる干渉に基づいて、前記溶接部のキーホール深さを計測するキーホール深さ計測工程と、
を備え、
表面移動速度が、0.2m/s以下の時は、前記計測光光源における光周波数の走査速度の平均値が500PHz/秒以上である、
レーザ溶接方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光を用いて溶接する際に溶接部の品質を評価するレーザ溶接装置及びレーザ溶接方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の溶接装置として、溶接中に発生するキーホールの深さを直接測定することで、溶接部の評価を行うレーザ溶接装置がある。
【0003】
具体的には、図6に示すように、レーザ溶接装置100において、溶接プロセス中はレーザ発振機102から溶接用のレーザ光が出力され、溶接ヘッド103を介して被溶接材104の溶接部105へ照射される。レーザ光が照射された溶接部105が上部から溶融・蒸発することで、溶接部105の金属材料が溶融して生じる溶融池106と、蒸発した金属の圧力により発生する空洞であるキーホール107が形成される。
【0004】
この溶接プロセス中に、計測光光源108は、溶接用のレーザ光と異なる波長の計測光を連続的に出力する。計測光光源108は、出力する計測光の波長を周期的に変化させる。計測光は、光干渉計109、光ファイバ110を介して、溶接ヘッド103へ伝送され、ビームスプリッタ111で溶接用のレーザ光と同心・同軸上に重ね合わされ、溶接部105のキーホール107へ照射される。
【0005】
キーホール107で反射した計測光は、光ファイバ110を介して再び光干渉計109に入力される。光干渉計109では、参照光路112を通過した光とキーホール107で反射した計測光とが結合されて干渉光となる。干渉光は、ディテクタ113で強度を示す信号に変換される。
【0006】
ディテクタ113で変換された信号に基づいて、計算機114がSwept Source Optical Coherence Tomography(SS−OCT:波長走査型光干渉断層法)の原理により、キーホール107で計測光が反射した位置を求める。これにより、溶接プロセス中におけるキーホール深さを計測することができる。キーホール107の深さは溶接の溶け込み深さと相関があるため、レーザ溶接装置100はこの深さの計測結果に基づき溶接の良否判定を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第5252026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来の構成では、溶融池106やキーホール107の振動が大きい場合や、スパッタが計測光を横切る頻度が高い場合、これらの影響でノイズが大きくなり、安定した計測ができないという課題を有している。
【0009】
図7は、光周波数の変化速度(走査速度)が約50P(ペタ)Hz/秒の計測光光源108で計測した結果である。図7において、横軸は時間であり、縦軸が反射信号の深さ、明るい点が反射信号の強さを示しており、溶接中は4段階で出力を徐々に下げている。図7に示すように、深さ方向に大きなノイズが発生しており、従来の構成では十分な精度で計測ができないことが分かる。
【0010】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、溶接池やキーホールの振動やスパッタなどがあっても安定してキーホール深さを計測できるレーザ溶接装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明のレーザ溶接装置は、被溶接材に向けてレーザ光を照射するレーザ出力手段と、前記レーザ光と異なる波長を有する計測光を出力し、出力時に前記計測光の波長を周期的に変化させる計測光光源と、前記レーザ光と前記計測光光源からの前記計測光とを同軸に重ね合わせて、前記レーザ光により前記被溶接材に形成された溶接部に照射する光学部材と、前記溶接部で反射した前記計測光と参照光との光路差によって生じる干渉に基づいて、前記溶接部のキーホール深さを計測する光干渉計と、を備え、表面移動速度が、0.4m/s以下の時は、前記計測光光源における光周波数の走査速度の平均値が1000PHz/秒以上である。
【0012】
また、本発明のレーザ溶接装置では、前記計測光光源がMEMSミラーの動作により波長を走査する光源である。
【0013】
また、本発明のレーザ溶接装置では、前記計測光光源が注入電流により波長を走査する半導体レーザである。
【0014】
本発明のレーザ溶接装置は、被溶接材に向けてレーザ光を照射するレーザ出力手段と、前記レーザ光と異なる波長を有する計測光を出力し、出力時に前記計測光の波長を周期的に変化させる計測光光源と、前記レーザ光と前記計測光光源からの前記計測光とを同軸に重ね合わせて、前記レーザ光により前記被溶接材に形成された溶接部に照射する光学部材と、前記溶接部で反射した前記計測光と参照光との光路差によって生じる干渉に基づいて、前記溶接部のキーホール深さを計測する光干渉計と、を備え、表面移動速度が、0.2m/s以下の時は、前記計測光光源における光周波数の走査速度の平均値が500PHz/秒以上である。
【0015】
本発明のレーザ溶接方法は、被溶接材に向けてレーザ光を照射するレーザ出力工程と、前記レーザ光と異なる波長を有する計測光を出力し、出力時に前記計測光の波長を周期的に変化させる計測光出力工程と、前記レーザ光と計測光光源からの前記計測光とを同軸に重ね合わせて、前記レーザ光により前記被溶接材に形成された溶接部に照射する同軸照射工程と、前記溶接部で反射した前記計測光と参照光との光路差によって生じる干渉に基づいて、前記溶接部のキーホール深さを計測するキーホール深さ計測工程と、を備え、表面移動速度が、0.4m/s以下の時は、前記計測光光源における光周波数の走査速度の平均値が1000PHz/秒以上である。
【0016】
本発明のレーザ溶接方法は、被溶接材に向けてレーザ光を照射するレーザ出力工程と、前記レーザ光と異なる波長を有する計測光を出力し、出力時に前記計測光の波長を周期的に変化させる計測光出力工程と、前記レーザ光と計測光光源からの前記計測光とを同軸に重ね合わせて、前記レーザ光により前記被溶接材に形成された溶接部に照射する同軸照射工程と、前記溶接部で反射した前記計測光と参照光との光路差によって生じる干渉に基づいて、前記溶接部のキーホール深さを計測するキーホール深さ計測工程と、を備え、表面移動速度が、0.2m/s以下の時は、前記計測光光源における光周波数の走査速度の平均値が500PHz/秒以上である。
【0017】
本構成によって、溶接池やキーホールの振動やスパッタなどがあっても高精度にキーホール深さを計測できる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明のレーザ溶接装置及びレーザ溶接方法によれば、溶接部の溶け込み深さを定量的、かつ、安定して計測することができ、その深さに基づいて前記溶接部の良否を精度良く評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施の形態1におけるレーザ溶接装置の概略図
図2】キーホール深さ計測における表面移動の影響のシミュレーション結果
図3】光周波数の走査速度を変化させた場合の表面速度の影響による計測誤差をシミュレーションした結果
図4】表面移動の実測結果
図5】約4000PHz/秒の計測光光源におけるキーホール計測結果
図6】特許文献1に記載された従来のレーザ溶接装置の概略図
図7】約50PHz/秒の計測光光源におけるキーホール計測結果
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0021】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるレーザ溶接装置の概略図である。
【0022】
図1に示すように、レーザ溶接装置1において、溶接プロセス中はレーザ発振機2から溶接用のレーザ光が出力され、溶接ヘッド3を介して被溶接材4の溶接部5へ照射される。レーザ光が照射された溶接部5が上部から溶融・蒸発することで、溶接部5の金属材料が溶融して生じる溶融池6と、蒸発した金属の圧力により発生する空洞であるキーホール7が形成される。
【0023】
この溶接プロセス中に、計測光光源8は、溶接用のレーザ光と異なる波長の計測光を連続的に出力する。計測光光源8は、出力する計測光の中心波長を周期的に変化させる。なお、このような計測光の中心波長を周期的に変化させる動作は波長走査と呼ばれることがある。計測光は、光干渉計9、光ファイバ10を介して、溶接ヘッド3へ伝送され、ビームスプリッタ11で溶接用のレーザ光と同心・同軸上に重ね合わされ、溶接部5のキーホール7へ照射される。
【0024】
キーホール7で反射した計測光は、光ファイバ10を介して再び光干渉計9に入力される。光干渉計9では、参照光路12を通過した光とキーホール7で反射した計測光とが結合されて干渉光となる。干渉光は、ディテクタ13で強度を示す信号に変換される。
【0025】
ディテクタ13で変換された信号に基づいて、計算機14がSwept Source Optical Coherence Tomography(SS−OCT:波長走査型光干渉断層法)の原理により、キーホール7で計測光が反射した位置を求める。これにより、溶接プロセス中におけるキーホール深さを計測することができる。
【0026】
図1に示すレーザ溶接装置1において、計測光光源8は波長の逆数である光周波数を時間に対して略線形に変化させる。ここで、計測光光源8の光周波数の変化速度(走査速度)は2000PHz/秒以上である。
【0027】
計測光光源8から出力された光は、光干渉計9において、溶接部5で反射する光路と参照光路12の2つに分岐される。分岐された光はそれぞれの光路を通り、再び光干渉計9で結合され、その干渉光がディテクタ13で検出される。このとき、2つの光路の光路長差で2つの光に時間遅れが生じ、この時間遅れに比例した周波数の光ビートが得られる。ここで、光ビートの周波数と時間遅れのとの線形性により、ディテクタ13で検出された光ビート信号を計算機14でフーリエ変換(FFT)することで、計測光の光軸上のキーホール深さを得ることができる。
【0028】
ここで、計測光光源8の光周波数の走査速度が2000PHz/秒以上である理由について説明する。
【0029】
キーホール7の表面には沸点に近い温度の溶融した金属が存在し、蒸発した金属との釣り合いによって空洞であるキーホール7が生じる。溶接ヘッド3が移動すると、キーホール7も共に移動する。このため、キーホール7は安定した形状を維持するのではなく、常に形状が変動し、その底面は振動している場合が多いと考えられる。また、レーザ溶接においてはピークパワーの高いエネルギーを持つレーザ光で溶接が行われるため、溶接条件によっては過剰なエネルギーが加えられ、スパッタ15と呼ばれる金属粉が飛散することがある。このようにキーホール7の底面に振動が生じたり、溶接ヘッド3から照射される計測光中にスパッタ15が発生したりした場合、キーホール深さの計測精度が低下することがある。
【0030】
以下に、キーホール7底面の振動やスパッタ15の発生などの影響を定量的に評価した結果を示す。
【0031】
溶接部5の表面(ここでは、キーホール7の表面やスパッタ15の表面を意味する)が一定速度で計測光の光軸に沿って上下に移動している場合に、キーホールの深さ計測結果への影響をシミュレーションした結果を図2に示す。表面の上下移動が停止している波形、すなわち移動速度が0.0mm/sのときの波形が計測されるべき波形である。しかしながら、図2に示すように、表面の移動速度が速くなるに従い、計測される波形のピーク位置、つまり、キーホール深さの計測結果にズレが生じる。
【0032】
図2に例示したシミュレーション結果は、表面が一定速度で移動したときの結果であるが、移動速度が不規則に変化すると、図7のようにノイズが大量に含まれた計測結果が得られると考えられる。
【0033】
一方、キーホール7底面の振動やスパッタ15の発生などの影響は、計測光光源8の光周波数走査速度により異なる。光周波数の走査速度を変化させた場合の、表面速度の影響による計測誤差をシミュレーションした結果を図3のグラフに示す。図3に示すように、走査速度が速くなるほど、表面速度による計測誤差を低減できることが分かる。
【0034】
実際の溶接において、表面の移動速度がどの程度になるかを計測した結果を図4に示す。図4では、横軸が時間、縦軸が深さを示しており、図4を参照すると、表面の移動速度は最大で0.8m/秒程度になることが分かる。つまり、表面の移動速度が0.8m/秒であっても、計測誤差(精度)以下の影響しか受けなければ安定した計測を実現できると言える。
【0035】
ここで、レーザ溶接は自動車関連の溶接に多く使用される。自動車関連の溶接では溶接の深さがmm単位であることが多い。このため、自動車関連の溶接では、キーホール深さの計測精度として、一桁小さい0.1mm程度が要求される(図3の点線)。このように表面速度が0.8m/秒であるとき計測誤差(精度)を0.1mm以下にすることが要求された場合、図3を参照すれば、光周波数の走査速度を2000PHz/秒以上とすればよいことが分かる。
【0036】
このように、計測光光源8の光周波数の走査速度が2000PHz/秒以上とすることにより、溶接部5の振動やスパッタ15の飛散がある場合でも、ノイズが少なく安定したキーホール深さの計測が可能となる。一例として、光周波数の走査速度が約4000PHz/秒の計測光光源を用いてキーホール計測を実施した結果を図5に示す。図5によれば、キーホール深さを安定して計測できたことが確認できる。
【0037】
2000PHz/秒以上の走査速度を実現する計測光光源8は、例えば、MEMS(Micro Electro-Mechanical Systems)で動作するミラーを用いて実現できる。MEMSミラーを用いた計測光光源8は、ポリゴンミラーなどを用いた光源と比較して質量が小さいため、より高速な波長変化を実現できる。MEMSミラーを用いた計測光光源8としては、例えば波長フィルタを共振器内に配置し、波長フィルタの透過波長を連続的に変化させる光源や、VCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser)をゲイン媒体として用い、MEMSで動作するミラーにより共振器長を変化させることで波長を走査する光源などがある。
【0038】
なお、本実施の形態において、2000PHz/秒以上の走査速度を実現する計測光光源8として、MEMSタイプの光源を用いたが、例えば、DBR(Distributed Bragg Reflector)レーザによる光源を用いてもよい。DBRレーザは注入電流を変化させることでキャリア効果により屈折率変化を生じさせ、共振器の光路長を変化させることで波長を変化させる。注入電流の変化による屈折率の変化は高速であり、機械的動作も含まないことから、非常に高速な波長変化を実現可能である。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明のレーザ溶接装置及びレーザ溶接方法は、自動車や電子部品などのレーザ溶接に適用することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 レーザ溶接装置
2 レーザ発振機
3 溶接ヘッド
4 被溶接材
5 溶接部
6 溶融池
7 キーホール
8 計測光光源
9 光干渉計
10 光ファイバ
11 ビームスプリッタ
12 参照光路
13 ディテクタ
14 計算機
15 スパッタ
100 レーザ溶接装置
102 レーザ発振機
103 溶接ヘッド
104 被溶接材
105 溶接部
106 溶融池
107 キーホール
108 計測光光源
109 光干渉計
110 光ファイバ
111 ビームスプリッタ
112 参照光路
113 ディテクタ
114 計算機
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7