特開2019-206140(P2019-206140A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特開2019-206140樹脂体接合品の製造方法及び樹脂体接合品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-206140(P2019-206140A)
(43)【公開日】2019年12月5日
(54)【発明の名称】樹脂体接合品の製造方法及び樹脂体接合品
(51)【国際特許分類】
   B29C 65/16 20060101AFI20191108BHJP
   B29C 65/48 20060101ALI20191108BHJP
【FI】
   B29C65/16
   B29C65/48
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-103598(P2018-103598)
(22)【出願日】2018年5月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155712
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 尚
(72)【発明者】
【氏名】小森 威和
(72)【発明者】
【氏名】角谷 彰朗
(72)【発明者】
【氏名】安藤 恵都
(72)【発明者】
【氏名】小島 正行
【テーマコード(参考)】
4F211
【Fターム(参考)】
4F211AH74
4F211TA01
4F211TA03
4F211TD01
4F211TN27
4F211TN44
(57)【要約】
【課題】接合時に十分な接触圧が確保できなくても、樹脂レンズと樹脂ベースとの接合強度を確保し得る樹脂体接合品の製造方法及び樹脂体接合品を提供する。
【解決手段】レンズ部品1Aの製造方法は、レーザ光Lに対して透過性を有する樹脂レンズ2を、レーザ光Lに対して光吸収性を有する樹脂ベース3に接合する。樹脂レンズ2を樹脂ベース3に重ね合わせる重ね合わせ工程と、樹脂レンズ2と樹脂ベース3との重ね合わせ面以外の領域で両方に接触するように熱硬化性接着剤10Aを塗布する塗布工程と、少なくとも樹脂レンズ2を通して樹脂ベース3にレーザ光Lを照射することにより、樹脂レンズ2を樹脂ベース3に溶着させると共に、熱硬化性接着剤10Aにて樹脂レンズ2を樹脂ベース3に接着させる接合工程とを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光に対して透過性を有する第1樹脂体を、前記レーザ光に対して光吸収性を有する第2樹脂体に接合した樹脂体接合品の製造方法において、
前記第1樹脂体を前記第2樹脂体に重ね合わせる重ね合わせ工程と、
前記第1樹脂体と前記第2樹脂体との重ね合わせ面以外の領域で該第1樹脂体と該第2樹脂体との両方に接触するように熱硬化性接着剤を塗布する塗布工程と、
前記少なくとも第1樹脂体を通して前記第2樹脂体に前記レーザ光を照射することにより、前記第1樹脂体を前記第2樹脂体に溶着させると共に、前記熱硬化性接着剤にて前記第1樹脂体を前記第2樹脂体に接着させる接合工程とを含むことを特徴とする樹脂体接合品の製造方法。
【請求項2】
前記塗布工程においては、前記第1樹脂体と前記第2樹脂体との重ね合わせ面に直交する前記第1樹脂体の側面と、前記第1樹脂体と前記第2樹脂体との重ね合わせ面に平行な、前記第2樹脂体の上面との両方に接触するように熱硬化性接着剤を塗布することを特徴とする請求項1に記載の樹脂体接合品の製造方法。
【請求項3】
前記接合工程においては、レーザ光吸収成分を含有する前記熱硬化性接着剤を使用することを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂体接合品の製造方法。
【請求項4】
前記接合工程においては、前記レーザ光を前記第1樹脂体及び前記熱硬化性接着剤に対して同時に通して前記第2樹脂体に照射することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂体接合品の製造方法。
【請求項5】
前記接合工程においては、前記レーザ光を前記第2樹脂体に対して走査して照射することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂体接合品の製造方法。
【請求項6】
前記接合工程においては、円形、楕円形又は多角形の照射領域を有する前記レーザ光にて照射することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂体接合品の製造方法。
【請求項7】
レーザ光に対して透過性を有する第1樹脂体を、前記レーザ光に対して光吸収性を有する第2樹脂体に接合した樹脂体接合品において、
前記第2樹脂体の前記第1樹脂体への接合側には相溶層が形成されていると共に、
前記第1樹脂体と前記第2樹脂体との接合面以外の領域で該第1樹脂体と該第2樹脂体との両方に接着する熱硬化性接着剤が設けられていることを特徴とする樹脂体接合品。
【請求項8】
前記第1樹脂体は樹脂レンズであり、前記第2樹脂体は樹脂基板であることを特徴とする請求項7に記載の樹脂体接合品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、第1樹脂体を第2樹脂体に接合した樹脂体接合品の製造方法及び樹脂体接合品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂レンズを樹脂ベースに接合してなる樹脂体接合品であるレンズ部品を製造する場合には、組立ラインの中で樹脂レンズを保持しながら光学特性検査を実施し、最も特性の良い位置で樹脂レンズを樹脂ベースに固定してレンズ部品を製造していた。
【0003】
例えば特許文献1では、光学プリズムをハウジングに接合する場合に、光学プリズムとハウジングとの界面にアクリル系紫外線硬化樹脂を用いていた。
【0004】
また、例えば特許文献2では、レーザ光を照射して樹脂レンズを樹脂ベースに溶着させていた。その際、特許文献2では、図9の(a)に示すように、必要な接合強度を確保すべく、樹脂レンズ102と樹脂ベース103との接触圧を上げるために、レーザ光120を透過するガラス板130で樹脂レンズ102を押圧しながら、レーザ光120を照射していた。これにより、レーザ吸収成分含有の樹脂ベース103を溶着部103aにて溶融して、樹脂レンズ102を樹脂ベース103に溶着させて、レンズ部品101を製造していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−298638号公報
【特許文献2】特開2016−117184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来の特許文献1の接合方法では、接合界面に耐熱温度が低いアクリル系紫外線硬化樹脂を使用しているので、熱衝撃試験等の熱試験においてアクリル系紫外線硬化樹脂が軟化する。この結果、光学プリズムがハウジングに対して位置ズレを起したり、アクリル系紫外線硬化樹脂にクラックが発生したりすることによって、光学プリズムをハウジングに対して精密位置固定することができなかった。そのため、光学部品の光学仕様を大幅に緩和せざるを得なくなるという問題、つまり光学部品の高品質を維持できないという問題があった。
【0007】
また、前記従来の特許文献2の接合方法では、必要な接合強度を確保するために、接合圧力を高めているので、接合面を押し付けるガラス板等のスペースが必要となるという問題を有している。例えば、図9の(b)に示すように、樹脂レンズ102が立体形状からなりかつ溶融できる面積が小さい場合には、前記ガラス板130を用いて接合面を押圧することができない。このため、樹脂レンズ102と樹脂ベース103との界面の接触圧が十分に確保できない。その結果、樹脂レンズ102と樹脂ベース103との接合強度が十分に確保することができないという問題点を有している。
【0008】
本開示の一態様は、前記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、接合時に十分な接触圧が確保できなくても、第1樹脂体と第2樹脂体との接合強度を確保し得る樹脂体接合品の製造方法及び樹脂体接合品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様における樹脂体接合品の製造方法は、上記の課題を解決するために、レーザ光に対して透過性を有する第1樹脂体を、前記レーザ光に対して光吸収性を有する第2樹脂体に接合した樹脂体接合品の製造方法において、前記第1樹脂体を前記第2樹脂体に重ね合わせる重ね合わせ工程と、前記第1樹脂体と前記第2樹脂体との重ね合わせ面以外の領域で該第1樹脂体と該第2樹脂体との両方に接触するように熱硬化性接着剤を塗布する塗布工程と、前記少なくとも第1樹脂体を通して前記第2樹脂体に前記レーザ光を照射することにより、前記第1樹脂体を前記第2樹脂体に溶着させると共に、前記熱硬化性接着剤にて前記第1樹脂体を前記第2樹脂体に接着させる接合工程とを含むことを特徴としている。尚、「少なくとも第1樹脂体を通して」とは、「第1樹脂体及び熱硬化性接着剤のうちの少なくとも第1樹脂体を通して」の意味である。
【0010】
前記方法によれば、少なくとも第1樹脂体を通して第2樹脂体にレーザ光を照射することにより、第2樹脂体がレーザ光に対して光吸収性を有するので、第2樹脂体の第1樹脂体側表面が溶融する。これにより、第1樹脂体を第2樹脂体に溶着させることができる。この結果、第1樹脂体と第2樹脂体との重ね合わせ面に接着剤が存在しないので、第1樹脂体と第2樹脂体との重ね合わせに接着剤が存在した場合の、その後の熱試験における接着剤の軟化による位置ずれを防止することができる。
【0011】
また、本開示の一態様においては、第1樹脂体の第2樹脂体への溶着に際して、第1樹脂体と第2樹脂体との両方に接触する熱硬化性接着剤が塗布されている。このため、第1樹脂体側表面が溶融するときの熱によって、熱硬化性接着剤が硬化する。この結果、熱硬化性接着剤にて第1樹脂体を第2樹脂体に接着させることができる。
【0012】
ここで、本開示の一態様における接合方法では、第1樹脂体と第2樹脂体との溶着のみでは不十分な接合強度を、第1樹脂体と第2樹脂体との接着によって補っている。このため、溶着のみの接合において従来必要であった、溶着面に垂直な方向への接合強度を強めるための第1樹脂体の第2樹脂体への加圧を省略することができる。
【0013】
したがって、接合時に十分な接触圧が確保できなくても、第1樹脂体と第2樹脂体との接合強度を確保し得る樹脂体接合品の製造方法を提供することができる。
【0014】
本開示の一態様における樹脂体接合品の製造方法では、前記塗布工程においては、前記第1樹脂体と前記第2樹脂体との重ね合わせ面に直交する前記第1樹脂体の側面と、前記第1樹脂体と前記第2樹脂体との重ね合わせ面に平行な、前記第2樹脂体の上面との両方に接触するように熱硬化性接着剤を塗布するとすることができる。尚、熱硬化性接着剤は、第1樹脂体の両側面に接触させる必要はなく、第1樹脂体の一方の側面に接触するだけでもよい。
【0015】
これにより、第1樹脂体の側面と第2樹脂体の上面との両方に接触する熱硬化性接着剤にて第1樹脂体と第2樹脂体とを接着させることによって、溶着面に平行への接合強度を補強することができる。
【0016】
すなわち、第1樹脂体を第2樹脂体に溶着させるだけでは、溶着面に垂直な方向への接合強度は強いが、溶着面に平行な方向への接合強度は小さい。そこで、第1樹脂体の側面と第2樹脂体の上面との両方に接触する熱硬化性接着剤にて、第1樹脂体と第2樹脂体とを接着させることによって、溶着面に平行への接合強度を補強することができる。つまり、重ね合わせ面に垂直な方向の溶着による接合強度と、重ね合わせ面に平行な方向の接着による接合強度との併用によって、第1樹脂体と第2樹脂体との接合強度を向上することができる。
【0017】
本開示の一態様における樹脂体接合品の製造方法では、前記接合工程においては、レーザ光吸収成分を含有する前記熱硬化性接着剤を使用することが好ましい。
【0018】
これにより、熱硬化性接着剤自体にレーザ光吸収成分が含有されており、レーザ光吸収成分によって、熱硬化性接着剤が温度上昇し、熱硬化性接着剤が熱硬化により接着機能を発揮する。
【0019】
この結果、溶着による熱に頼らなくても、レーザ光により熱硬化性接着剤が熱硬化して接着機能を発揮することができる。
【0020】
本開示の一態様における樹脂体接合品の製造方法では、前記接合工程においては、前記レーザ光を前記第1樹脂体及び前記熱硬化性接着剤に対して同時に通して前記第2樹脂体に照射するとすることができる。
【0021】
これにより、レーザ光を、第1樹脂体及び熱硬化性接着剤の両方を通して第2樹脂体に照射するので、第1樹脂体と第2樹脂体との溶着、及び熱硬化性接着剤による第1樹脂体及び第2樹脂体への接着が同時に行われる。
【0022】
この結果、第1樹脂体と第2樹脂体との接合時間のずれに基づく不要な応力発生に伴う位置ずれの発生を応力緩和することにより防止することができる。また、タクト時間の短縮を図ることができる。
【0023】
本開示の一態様における樹脂体接合品の製造方法では、前記接合工程においては、前記レーザ光を前記第2樹脂体に対して走査して照射するとすることができる。
【0024】
これにより、例えば、先にレーザ光を第1樹脂体のみに通して前記第2樹脂体に照射した後、レーザ光を熱硬化性接着剤のみに通して第2樹脂体に照射することができる。すなわち、熱硬化性接着剤を先に硬化させると、硬化時の収縮に伴う第2樹脂体に対する第1樹脂体の位置ずれが考えられる。しかし、走査による照射方法においては、第1樹脂体を第2樹脂体に先に溶着してから熱硬化性接着剤を硬化させることができるので、第2樹脂体に対する第1樹脂体の位置ずれを防止することができる。
【0025】
本開示の一態様における樹脂体接合品の製造方法では、前記接合工程においては、円形、楕円形又は多角形の照射領域を有する前記レーザ光にて照射するとすることができる。
【0026】
これにより、レーザ光の照射領域は、一般的には円形であるが、第1樹脂体と熱硬化性接着剤とを合わせた照射領域の形状に合わせて、楕円形又は多角形の照射領域とすることが可能となる。
【0027】
本開示の一態様における樹脂体接合品は、レーザ光に対して透過性を有する第1樹脂体を、前記レーザ光に対して光吸収性を有する第2樹脂体に接合した樹脂体接合品において、前記第2樹脂体の前記第1樹脂体への接合側には相溶層が形成されていると共に、前記第1樹脂体と前記第2樹脂体との接合面以外の領域で該第1樹脂体と該第2樹脂体との両方に接着する熱硬化性接着剤が設けられていることを特徴としている。尚、本開示の一態様における樹脂体接合品では、第2樹脂体の第1樹脂体への接合側には溶着部である相溶層が跡形状として形成されていることを容易に識別することができる。
【0028】
これにより、接合時に十分な接触圧が確保できなくても、第1樹脂体と第2樹脂体との接合強度を確保し得る樹脂体接合品を提供することができる。
【0029】
本開示の一態様における樹脂体接合品は、前記第1樹脂体は樹脂レンズであり、前記第2樹脂体は樹脂基板であるとすることができる。
【0030】
これにより、接合時に十分な接触圧が確保できなくても、樹脂レンズと樹脂基板との接合強度を確保し得る樹脂体接合品としてのレンズ部品を提供することができる。
【発明の効果】
【0031】
本開示の一態様によれば、接合時に十分な接触圧が確保できなくても、第1樹脂体と第2樹脂体との接合強度を確保し得る樹脂体接合品の製造方法及び樹脂体接合品を提供するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本開示の実施形態における樹脂体接合品の製造方法を示す断面図である。
図2】(a)は本実施の形態の樹脂体接合品の製造方法による溶着と接着との併用による接合の効果を示す断面図であり、(b)は溶着のみによる接合の効果を示す断面図である。
図3】(a)は前記樹脂体接合品の製造方法を実施するための製造装置の構成を示す斜視図であり、(b)はレーザ光照射装置を除いた前記製造装置の構成を示す正面図である。
図4】前記製造装置の接着剤塗布ノズルにて、接着剤を塗布する状態を示す正面図である。
図5】(a)は前記製造装置において、レーザ光にて樹脂レンズ及び熱硬化性接着剤を同時に通して樹脂基板に照射する状態を示す断面図であり、(b)はレーザ光の樹脂基板への照射により、樹脂基板を溶融して樹脂レンズを樹脂基板に溶着させ、かつ熱硬化性接着剤を硬化させる状態を示す断面図である。
図6】(a)〜(d)は、前記レーザ光の照射領域の形状を示す平面図である。
図7】本開示の実施形態2における樹脂体接合品の製造方法を示すものであって、レーザ光吸収成分を含有する熱硬化性接着剤を使用した樹脂体接合品の製造方法を示す断面図である。
図8】(a)は本開示の実施形態3における樹脂体接合品の製造方法を示すものであって、レーザ光吸収成分を含有しない熱硬化性接着剤を使用してレーザ光を走査して照射する場合の樹脂体接合品の製造方法を示す断面図であり、(b)はレーザ光吸収成分を含有した熱硬化性接着剤を使用してレーザ光を走査して照射する場合の樹脂体接合品の製造方法を示す断面図である。
図9】(a)は従来の接合方法を示すものであって、ガラス板にて接合面を押圧して樹脂レンズと樹脂ベースとの溶着する接合方法を示す断面図であり、(b)はガラス板にて接合面を押圧することなく樹脂レンズと樹脂ベースとの溶着する接合方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本開示の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施形態」とも表記する)を、図面に基づいて説明する。
【0034】
(適用例)
まず、図1に基づいて、本開示が適用される場面の一例について説明する。図1は、本開示の一態様における樹脂体接合品の製造方法を示す断面図である。
【0035】
図1に示すように、本開示の実施の形態におけるレンズ部品1Aの製造方法は、レーザ光Lに対して透過性を有する樹脂レンズ2を、レーザ光Lに対して光吸収性を有する樹脂ベース3に接合したレンズ部品1Aの製造方法である。レンズ部品1Aの製造方法は、樹脂レンズ2を樹脂ベース3に重ね合わせる重ね合わせ工程と、樹脂レンズ2と樹脂ベース3との重ね合わせ面以外の領域で樹脂レンズ2と樹脂ベース3との両方に接触するように熱硬化性接着剤10Aを塗布する塗布工程と、少なくとも樹脂レンズ2を通して樹脂ベース3にレーザ光Lを照射することにより、樹脂レンズ2を樹脂ベース3に溶着させると共に、熱硬化性接着剤10Aにて樹脂レンズ2を樹脂ベース3に接着させる接合工程とを含む。尚、レンズ部品1Aは本開示の樹脂体接合品としての機能を有している。樹脂レンズ2は、本開示の第1樹脂体としての機能を有している。樹脂ベース3は、本開示の第2樹脂体としての機能を有している。
【0036】
前記方法によれば、少なくとも樹脂レンズ2を通して樹脂ベース3にレーザ光Lを照射することにより、樹脂ベース3がレーザ光Lに対して光吸収性を有するので、樹脂ベース3の第1樹脂体側表面である溶着部3aが溶融する。これにより、樹脂レンズ2を樹脂ベース3に溶着させることができる。この結果、樹脂レンズ2と樹脂ベース3との重ね合わせに接着剤が存在しないので、樹脂レンズ2と樹脂ベース3との重ね合わせに接着剤が存在した場合の、その後の熱試験における接着剤の軟化による位置ずれを防止することができる。
【0037】
また、本開示の一態様においては、樹脂レンズ2の樹脂ベース3への溶着に際して、樹脂レンズ2と樹脂ベース3との両方に接触する熱硬化性接着剤10Aが塗布されている。このため、溶着部3aが溶融するときの熱によって、熱硬化性接着剤10Aが硬化する。この結果、熱硬化性接着剤10Aにて樹脂レンズ2を樹脂ベース3に接着させることができる。
【0038】
ここで、本開示の一態様における接合方法では、樹脂レンズ2と樹脂ベース3との溶着のみでは不十分な接合強度を、樹脂レンズ2と樹脂ベース3との接着によって補っている。このため、溶着のみの接合において従来必要であった、溶着面に垂直な方向への接合強度を強めるための樹脂レンズ2の樹脂ベース3への加圧を省略することができる。
【0039】
したがって、接合時に十分な接触圧が確保できなくても、樹脂レンズ2と樹脂ベース3との接合強度を確保し得るレンズ部品1Aの製造方法を提供することができる。
【0040】
また、図1に示すように、本開示の実施の形態におけるレンズ部品1Aは、レーザ光Lに対して透過性を有する樹脂レンズ2を、レーザ光Lに対して光吸収性を有する樹脂ベース3に接合した樹脂体接合品である。レンズ部品1Aは、樹脂ベース3の樹脂レンズ2への接合側には溶着部3aである相溶層が形成されていると共に、樹脂レンズ2と樹脂ベース3と接合面以外の領域で樹脂レンズ2と樹脂ベース3とのとの両方に接着する熱硬化性接着剤10Aが設けられている。
【0041】
これにより、接合時に十分な接触圧が確保できなくても、樹脂レンズ2と樹脂ベース3との接合強度を確保し得るレンズ部品1Aを提供することができる。
【0042】
(構成例)
〔実施の形態1〕
本開示の実施の形態について図1図6に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0043】
本実施の形態における樹脂体接合品の製造方法は、例えば、車載向け光学センサのレンズ部品等の樹脂体接合品を製造する場合の、第1樹脂体としての樹脂レンズ2と第2樹脂体としての樹脂ベース3との接合方法に適用することができる。ただし、本実施の形態における樹脂体接合品の製造方法は、必ずしも車載向け光学センサのレンズ部品等の樹脂体接合品に限らず、工場向け光学センサ、ロボットビジョン等の光学レンズ部品を使用する商品に適用することが可能である。さらに、樹脂体接合品は、光学レンズ部品に限らず、レーザ光に対して非光吸収性かつ透過性を有する第1樹脂体を、レーザ光に対して光吸収性を有する第2樹脂体に接合した樹脂体接合品に適用が可能である。
【0044】
(レンズ部品の構成)
本実施の形態における樹脂体接合品としてのレンズ部品1Aの構成について、図1及び図2の(a)(b)に基づいて説明する。図1は、本実施の形態におけるレンズ部品1Aの製造方法を示す断面図である。図2の(a)は、本実施の形態におけるレンズ部品1Aの製造方法による溶着と接着との併用による接合の効果を示す断面図である。図2の(b)は、溶着のみによる接合の効果を示す断面図である。
【0045】
図1に示すように、本実施の形態における樹脂体接合品としてのレンズ部品1Aは、レーザ光Lに対して透過性を有する第1樹脂体としての樹脂レンズ2を、レーザ光Lに対して光吸収性を有する第2樹脂体としての樹脂ベース3に接合したものである。
【0046】
レンズ部品1Aは、本実施の形態では、第1樹脂体としての樹脂レンズ2と第2樹脂体としての樹脂ベース3とを接合してなっている。ただし、必ずしもこれに限らず、例えば、第1樹脂体としての光学プリズムを第2樹脂体としてのハウジングに接合したものであってもよい。
【0047】
前記第1樹脂体としての樹脂レンズ2は、図1に示すように、本実施の形態では、例えば、平板の一部に半球体を有して立体形状にてなっている。ただし、必ずしも限らず、樹脂レンズ2は、全体的に平板からなるレンズや、凸レンズ、凹レンズ、プリズム等であってもよい。
【0048】
本実施の形態の樹脂レンズ2は、レーザ光Lに対して非光吸収性かつ透過性を有している。このため、樹脂レンズ2は、レーザ光Lを透過させるが該レーザ光Lを吸収することにより溶融して発熱する等の現象は起こらない。尚、本開示の第1樹脂体は、レーザ光Lに対して必ずしも非光吸収性を有していなくてもよい。第1樹脂体が光吸収性を有することにより、第1樹脂体の一部が溶融してもよいためである。
【0049】
また、樹脂レンズ2は赤外線や近赤外線のレーザ光Lに対して透過するので、必ずしも可視光に対して透明でなくてもよい。
【0050】
樹脂レンズ2の材質としては、熱可塑性を有し、レーザ光Lに対して所定の透過率を有するものであれば特に限定されない。基本的に以下に例示した樹脂材が使用可能である。また、所定の透過率を確保できれば、着色材を混入してもよい。
【0051】
具体的には、樹脂レンズ2の材質としては、例えば、PVC(ポリ塩化ビニル)、PS(ポリスチレン)、AS(アクリロニトリル・スチレン)、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PC(ポリカーボネート)、m−PPE(変性ポリフェニレンエーテル)、PA6(ポリアミド6)、PA66(ポリアミド66)、POM(ポリアセタール)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PSF(ポリサルホン)、PAR(ポリアリレート)、PEI(ポリエーテルイミド)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PES(ポリエーテルサルホン)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PAI(ポリアミドイミド)、LCP(液晶ポリマー)、PVDC(ポリ塩化ビニリデン)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、及びPVDF(ポリフッ化ビニリデン)を使用することができる。また、TPE(熱可塑性エラストマ)であってもよい。TPEの一例としては、例えば、TPO(オレフィン系)、TPS(スチレン系)、TPEE(エステル系)、TPU(ウレタン系)、TPA(ナイロン系)、及びTPVC(塩化ビニル系)が挙げられる。
【0052】
本実施の形態では、樹脂レンズ2は、例えば、水平部の厚さ3mmであり、例えばPC(ポリカーボネート)からなっている。
【0053】
第2樹脂体としての樹脂ベース3は、レーザ光Lに対して光吸収性を有する材料からなっている。具体的には、樹脂ベース3は、例えば、厚さ2mmであり、例えば、PBT(ポリブチレンテレフタレート)にカーボンブラックを混入したものからなっている。
【0054】
尚、樹脂ベース3の材質は、レーザ光Lの吸収率の高い樹脂ベース3の種類として、熱可塑性を有し、レーザ光Lを透過せずに吸収し得るものであれば特に限定されない。例えば、樹脂ベース3の材質として、以下に例示した樹脂材料に、カーボンブラック、又は染料や顔料等の所定の着色材を混入したもので構成することが可能である。
【0055】
例えば、PVC(ポリ塩化ビニル)、PS(ポリスチレン)、AS(アクリロニトリル・スチレン)、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PC(ポリカーボネート)、m−PPE(変性ポリフェニレンエーテル)、PA6(ポリアミド6)、PA66(ポリアミド66)、POM(ポリアセタール)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PSF(ポリサルホン)、PAR(ポリアリレート)、PEI(ポリエーテルイミド)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PES(ポリエーテルサルホン)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PAI(ポリアミドイミド)、LCP(液晶ポリマー)、PVDC(ポリ塩化ビニリデン)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、及びPVDF(ポリフッ化ビニリデン)である。
【0056】
また、TPE(熱可塑性エラストマ)であってもよい。TPEの一例としては、TPO(オレフィン系)、TPS(スチレン系)、TPEE(エステル系)、TPU(ウレタン系)、TPA(ナイロン系)、及びTPVC(塩化ビニル系)を使用することができる。
【0057】
(レンズ部品の製造方法)
前記構成を備えたレンズ部品1Aの製造方法について説明する。本実施の形態のレンズ部品1Aの製造方法は、樹脂レンズ2を樹脂ベース3に重ね合わせる重ね合わせ工程と、樹脂レンズ2の側面と樹脂ベース3の上面との両方に接触するように熱硬化性接着剤10Aを塗布する塗布工程と、少なくとも樹脂レンズ2を通して樹脂ベース3にレーザ光Lを照射することにより、樹脂レンズ2を樹脂ベース3に溶着させると共に、熱硬化性接着剤10Aにて樹脂レンズ2を樹脂ベース3に接着させる接合工程とを含む。
【0058】
本実施の形態のレンズ部品1Aの製造方法では、少なくとも樹脂レンズ2を通して樹脂ベース3にレーザ光Lを照射することにより、樹脂ベース3がレーザ光Lに対して光吸収性を有するので、樹脂ベース3の樹脂レンズ2側表面の溶着部3aが溶融する。これにより、樹脂レンズ2の樹脂ベース3側表面も溶融し、相溶層が形成され、樹脂レンズ2を樹脂ベース3に溶着させることができる。この結果、樹脂レンズ2と樹脂ベース3との界面に接着剤が存在しないので、樹脂レンズ2と樹脂ベース3との界面に接着剤が存在した場合の、その後の熱試験における接着剤の軟化による位置ずれを防止することができる。
【0059】
また、本実施の形態においては、樹脂レンズ2の樹脂ベース3への溶着に際して、樹脂レンズ2の側面と樹脂ベース3の上面との両方に接触する熱硬化性接着剤10Aが塗布されている。このため、樹脂ベース3の溶着部3aが溶融するときの熱によって、熱硬化性接着剤10Aが硬化する。この結果、熱硬化性接着剤10Aにて樹脂レンズ2を樹脂ベース3に接着させることができる。
【0060】
すなわち、図2の(b)に示すように、樹脂レンズ2を樹脂ベース3に溶着させるだけでは、溶着部3aに垂直な方向への接合強度は強いが、溶着部3aに平行な方向への接合強度は小さい。そこで、図2の(a)に示すように、樹脂レンズ2の側面と樹脂ベース3の上面との両方に接触する熱硬化性接着剤10Aにて、樹脂レンズ2と樹脂ベース3とを接着させることによって、溶着部3aに平行な方向への接合強度を補強することができる。
【0061】
この結果、溶着による界面に垂直な方向の接合強度と、接着による界面に平行な方向の接合強度との併用によって、樹脂レンズ2と樹脂ベース3との接合強度を向上することができる。尚、厳密には、図2の(a)に示すように、熱硬化性接着剤10Aの樹脂レンズ2の側面への接着により、樹脂レンズ2の側面に対してせん断力が付加されると共に、樹脂レンズ2と樹脂ベース3との界面に平行な方向に引張力が付加される。
【0062】
また、本実施の形態の接合方法では、溶着部3aに平行な向きの接合強度を補強することができるので、溶着部3aに垂直な方向への接合強度を強めるための樹脂レンズ2の樹脂ベース3への加圧を省略することができる。
【0063】
このように、本実施の形態では、レーザ溶着とレーザ接着とを併用した固定方法を採用している。尚、レーザ溶着とは、レーザ光Lを使用して樹脂を溶融温度まで発熱させ、2つの樹脂を溶かし合わせることで接合する方法をいう。また、レーザ接着とは、レーザ光Lを使用して接着剤を硬化反応温度まで上昇させ、接着剤を硬化させる方法をいう。
【0064】
これらの諸作用により、本実施の形態では、接合時に十分な接触圧が確保できなくても、樹脂レンズ2と樹脂ベース3との接合強度を確保し得るレンズ部品1Aの製造方法を提供することができる。
【0065】
(製造装置)
ここで、本実施の形態のレンズ部品1Aの製造装置20について、図3の(a)(b)(c)〜図6に基づいて説明する。図3の(a)は、レンズ部品1Aの製造方法を実施するための製造装置20の構成を示す斜視図である。図3の(b)は、レーザ光照射装置22Aを除いた製造装置20の構成を示す正面図である。図4は、製造装置20の接着剤塗布ノズル23にて、熱硬化性接着剤10Aを塗布する状態を示す正面図である。図5の(a)は、製造装置20において、レーザ光Lにて樹脂レンズ2及び熱硬化性接着剤10Aを同時に通して樹脂ベース3に照射する状態を示す断面図である。図5の(b)は、レーザ光Lの樹脂ベース3への照射により、樹脂ベース3の溶着部3aを溶融して樹脂レンズ2を樹脂ベース3に溶着させ、かつ熱硬化性接着剤10Aを硬化させる状態を示す断面図である。図6の(a)〜(d)は、レーザ光Lの照射領域の形状を示す平面図である。
【0066】
図3の(a)(b)(c)及び図4に示すように、本実施の形態のレンズ部品1Aの製造装置20は、樹脂レンズ2の樹脂ベース3上での位置を調整するための位置調整用チャック21と、レーザ光Lを照射するためのレーザ光照射装置22Aと、接着剤塗布ノズル23とを備えている。
【0067】
位置調整用チャック21は、図3の(a)に示すように、把持部21a・21aを有しており、把持部21a・21aは、図3の(b)に示す樹脂レンズ2の把持用突起部2aを挟持するようになっている。そして、位置調整用チャック21は、樹脂レンズ2を把持部21a・21aで把持しながら、該樹脂レンズ2を樹脂ベース3上において軽く押し付けた状態で平面的に水平移動させて、樹脂レンズ2の光学特性を確認しながら所望の位置となるように、位置調整するものとなっている。
【0068】
レーザ光照射装置22Aは、レーザ光Lを照射する装置であり、本実施の形態では、例えば波長808nmからなる赤外光を出射するようになっている。レーザ出力は、例えば、3Wで15秒間照射することができる。
【0069】
本実施の形態では、図5の(a)(b)に示すように、レーザ光照射装置22Aから出射されるレーザ光Lは、樹脂レンズ2及び熱硬化性接着剤10Aに対して同時に通して樹脂ベース3に照射するようになっている。また、樹脂レンズ2の側面は、2箇所存在するので、それぞれの側面に同時に照射できるように、レーザ光照射装置22Aの例えば2箇所からレーザ光Lを出射するようになっている。尚、必ずしも2箇所に限らず2箇所でもよい。
【0070】
前記レーザ光Lの出射により、本実施の形態では、例えば、樹脂ベース3の溶着部3aでの溶融温度は250℃となる。
【0071】
ここで、本実施の形態のレーザ光Lの照射領域の形状は、図6の(a)に示すように、例えば、円形となっている。この形状は、例えば、図示しないレンズで絞り込むことにより形成される。しかし、レーザ光Lの照射領域の形状は、必ずしも円形に限らず、樹脂レンズ2及び熱硬化性接着剤10Aに対して同時に通して照射できるように、例えば、図6の(b)(c)(d)に示すように、楕円形や、三角形、四角形を含む多角形とすることが可能である。尚、レーザ光Lの照射領域の形状は、例えば、前記形状の開口を有するマスクを使用することにより、所望の形状の照射領域とすることが可能である。
【0072】
次に、本実施の形態のレンズ部品1Aの製造装置20は、図4に示すように、樹脂レンズ2の両側面に熱硬化性接着剤10Aを塗布する接着剤塗布ノズル23を2つ備えている。本実施の形態の接着剤塗布ノズル23は、樹脂レンズ2の両側面に対して斜めから熱硬化性接着剤10Aを塗布するようになっている。これにより、樹脂レンズ2の側面と樹脂ベース3の上面との両方に熱硬化性接着剤10Aを塗布し易くなる。尚、本実施の形態では、熱硬化性接着剤10Aを、樹脂レンズ2の両側面に塗布するようになっている。しかし、必ずしもこれに限らず、樹脂レンズ2の一方の側面にのみ塗布することも可能である。樹脂レンズ2及び樹脂ベース3の形状によって、樹脂レンズ2の一方の側面にのみ塗布するだけで足りる場合があるためである。
【0073】
ここで、熱硬化性接着剤10Aは、本実施の形態では、例えばエポキシ樹脂(EP)からなっている。具体的には、本実施の形態の熱硬化性接着剤10Aは、例えば、100質量部のビスフェノールA型エポキシ樹脂、5質量部のエポキシ樹脂イミダゾールアダクト化合物、20質量部のカプセル型硬化剤、及び20質量部のシリカが配合された接着剤組成物からなっている。
【0074】
本実施の形態の熱硬化性接着剤10Aは、レーザ光Lが樹脂ベース3に照射されて溶着部3aを溶融するときの発熱温度を吸収して硬化するようになっている。具体的には、熱硬化性接着剤10Aは例えば130℃で15秒保持することにより反応が進行して硬化するものとなっている。この結果、本実施の形態では、熱硬化性接着剤10Aを使用することによって、耐熱性の高い接合が可能となっている。
【0075】
尚、熱硬化性接着剤10Aは、前述したエポキシ樹脂(EP)に限らず、熱により硬化剤と反応して硬化する樹脂であれば特に制限はない。また、熱硬化性接着剤10Aに含まれる硬化剤についても、熱により樹脂と反応して硬化する硬化剤であれば特に制限はない。ただし、エポキシ樹脂を低温短時間で硬化させる観点から、例えば、アミン系化合物、イミダゾール系化合物、及びチオール系化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種類の化合物を含むことが好ましい。また、熱硬化性接着剤10Aの熱による硬化反応を制御する観点から、前述した硬化剤を含有するコアと該コアを被覆するシェルとを含むカプセル型硬化剤を用いることが好ましい。
【0076】
このように、本実施の形態における樹脂体接合品としてのレンズ部品1Aの製造方法は、レーザ光Lに対して透過性を有する第1樹脂体としての樹脂レンズ2を、レーザ光Lに対して光吸収性を有する第2樹脂体としての樹脂ベース3に接合したレンズ部品1Aの製造方法である。この製造方法においては、樹脂レンズ2を樹脂ベース3に重ね合わせる重ね合わせ工程と、樹脂レンズ2と樹脂ベース3との重ね合わせ面以外の領域で樹脂レンズ2と樹脂ベース3との両方に接触するように熱硬化性接着剤10Aを塗布する塗布工程と、少なくとも樹脂レンズ2を通して樹脂ベース3にレーザ光Lを照射することにより、樹脂レンズ2を樹脂ベース3に溶着させると共に、熱硬化性接着剤10Aにて樹脂レンズ2を樹脂ベース3に接着させる接合工程とを含む。
【0077】
これにより、樹脂レンズ2を樹脂ベース3に溶着させることができる。この結果、樹脂レンズ2と樹脂ベース3との重ね合わせである界面に接着剤が存在しないので、樹脂レンズ2と樹脂ベース3との界面に接着剤が存在した場合の、その後の熱試験における接着剤の軟化による位置ずれを防止することができる。
【0078】
また、本実施の形態においては、樹脂ベース3が溶融するときの熱の伝導によって、熱硬化性接着剤10Aが硬化するので、熱硬化性接着剤10Aにて樹脂レンズ2を樹脂ベース3に接着させることができる。
【0079】
ここで、本実施の形態における接合方法では、樹脂レンズ2と樹脂ベース3との溶着のみでは不十分な接合強度を、樹脂レンズ2と樹脂ベース3との接着によって補っている。このため、溶着のみの接合において従来必要であった、溶着面に垂直な方向への接合強度を強めるための樹脂レンズ2の樹脂ベース3への加圧を省略することができる。
【0080】
さらに、樹脂レンズ2が立体形状からなる場合や、樹脂レンズ2と樹脂ベース3との接合面積が小さい場合でも、溶着強度と接着強度とを合わせることによって、樹脂レンズ2と樹脂ベース3との接合強度を十分に確保することができる。
【0081】
したがって、接合時に十分な接触圧が確保できなくても、樹脂レンズ2と樹脂ベース3との接合強度を確保し得るレンズ部品1Aの製造方法を提供することができる。
【0082】
また、本実施の形態におけるレンズ部品1Aの製造方法では、塗布工程においては、樹脂レンズ2と樹脂ベース3との重ね合わせ面である界面に直交する樹脂レンズ2の側面と、樹脂レンズ2と樹脂ベース3との界面に平行な、樹脂ベース3の上面との両方に接触するように熱硬化性接着剤10Aを塗布する。尚、熱硬化性接着剤10Aは、樹脂レンズ2の両側面に接触させる必要はなく、樹脂レンズ2の一方の側面に接触するだけでもよい。
【0083】
尚、樹脂レンズ2の側面は、樹脂レンズ2と樹脂ベース3との界面に対して厳密に直交(90度)でなくてもよく、接着強度が確保できるだけの角度があればよい。例えば、45〜135度程度でもよい。すなわち、界面に対して樹脂レンズ2の側面との交差角度は、強度的には90度が最も好ましいが、樹脂レンズ2及び樹脂ベース3の構造上の制約から該交差角度を90度にできない場合もあり得る。また、樹脂ベース3の上面と、界面との関係についても、樹脂レンズ2及び樹脂ベース3の構造上の制約から厳密に平行にできない場合もあり得る。
【0084】
これにより、樹脂レンズ2の側面と樹脂ベース3の上面との両方に接触する熱硬化性接着剤10Aにて樹脂レンズ2と樹脂ベース3とを接着させることによって、溶着面に平行への接合強度を補強することができる。
【0085】
すなわち、樹脂レンズ2を樹脂ベース3に溶着させるだけでは、溶着面に垂直な方向への接合強度は強いが、溶着面に平行な方向への接合強度は小さい。そこで、樹脂レンズ2の側面と樹脂ベース3の上面との両方に接触する熱硬化性接着剤10Aにて、樹脂レンズ2と樹脂ベース3とを接着させることによって、溶着面に平行への接合強度を補強することができる。つまり、重ね合わせ面に垂直な方向の溶着による接合強度つまり引張強度と、重ね合わせ面に平行な方向の接着による接合強度つまりせん断強度との併用によって、樹脂レンズ2と樹脂ベース3との接合強度を向上することができる。
【0086】
また、本実施の形態におけるレンズ部品1Aの製造方法では、接合工程においては、レーザ光Lを樹脂レンズ2及び熱硬化性接着剤10Aに対して同時に通して樹脂ベース3に照射するとすることができる。
【0087】
これにより、樹脂レンズ2と樹脂ベース3との溶着、及び熱硬化性接着剤10Aによる樹脂レンズ2及び樹脂ベース3への接着が同時に行われる。特に、レーザ光Lにて熱硬化性接着剤10Aの直下の樹脂ベース3も急速加熱されるので、熱硬化性接着剤10Aの熱硬化が促進され、急速に樹脂レンズ2を樹脂ベース3に固定することができる。
【0088】
この結果、樹脂レンズ2と樹脂ベース3との接合時間のずれに基づく不要な応力発生に伴う位置ずれの発生を防止することができる。また、熱硬化性接着剤10Aを硬化させる硬化炉を別途に設けて、別工程で熱硬化性接着剤10Aでの接着をすることもないので、タクト時間の短縮を図ると共に、設備費の増大を防止することができる。延いては、生産性が増大し、精密で信頼性の高い光学センサを実現することができる。
【0089】
また、本実施の形態におけるレンズ部品1Aの製造方法では、接合工程においては、円形、楕円形又は多角形の照射領域のいずれかを有するレーザ光Lにて照射するとすることができる。
【0090】
これにより、レーザ光Lの照射領域は、一般的には円形であるが、樹脂レンズ2と熱硬化性接着剤10Aとを合わせた照射領域の形状に合わせて、楕円形又は多角形の照射領域とすることが可能となる。また、レーザ光Lでの加熱範囲の拡大により、溶着面積が大きくなり、接合強度を増大させることができる。
【0091】
また、本実施の形態におけるレンズ部品1Aは、レーザ光Lに対して透過性を有する樹脂レンズ2を、レーザ光Lに対して光吸収性を有する樹脂ベース3に接合したものである。そして、レンズ部品1Aは、樹脂ベース3の樹脂レンズ2への接合側には溶着部3aである相溶層が形成されていると共に、樹脂レンズ2と樹脂ベース3との接合面以外の領域で樹脂レンズ2と樹脂ベース3との両方に接着する熱硬化性接着剤10Aが設けられている。
【0092】
これにより、接合時に十分な接触圧が確保できなくても、樹脂レンズ2と樹脂ベース3との接合強度を確保し得るレンズ部品1Aを提供することができる。
【0093】
また、本実施の形態におけるレンズ部品1Aは、第1樹脂体は樹脂レンズ2であり、第2樹脂体は樹脂基板としての樹脂ベース3である。これにより、接合時に十分な接触圧が確保できなくても、樹脂レンズ2と樹脂ベース3との接合強度を確保し得る樹脂体接合品としてのレンズ部品1Aを提供することができる。
【0094】
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について図7に基づいて説明すれば、以下のとおりである。尚、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0095】
本実施の形態の樹脂体接合品としてのレンズ部品1Bの製造方法は、前記実施の形態1のレンズ部品1Aの製造方法の構成に加えて、熱硬化性接着剤10Bにレーザ光吸収成分11が混入されている点が異なっている。
【0096】
本実施の形態の樹脂体接合品としてのレンズ部品1Bの製造方法について、図7に基づいて説明する。図7は、本実施の形態におけるレンズ部品1Bの製造方法を示すものであって、レーザ光吸収成分11を含有する熱硬化性接着剤10Bを使用したレンズ部品1Bの製造方法を示す断面図である。
【0097】
本実施の形態のレンズ部品1Bの製造方法では、図7に示すように、熱硬化性接着剤10Bにレーザ光吸収成分11が混入されている。
【0098】
レーザ光吸収成分11は、本実施の形態では、例えばカーボンブラックからなっている。しかし、必ずしもこれに限らず、染料や顔料等の所定の着色材を混入したもので構成することが可能である。尚、熱硬化性接着剤10Bとしては、実施の形態1の熱硬化性接着剤10Aと同様に、例えばエポキシ樹脂等の樹脂を使用することができる。
【0099】
このように、本実施の形態のレンズ部品1Bの製造方法では、接合工程においては、レーザ光吸収成分11を含有する熱硬化性接着剤10Bが使用される。これにより、熱硬化性接着剤10B自体にレーザ光吸収成分11が含有されているので、レーザ光吸収成分11によって、熱硬化性接着剤10Bが温度上昇し、熱硬化性接着剤10Bが熱硬化により接着機能を発揮する。つまり、熱硬化性接着剤10B自体の発熱により、熱硬化性接着剤10Bが硬化する。
【0100】
この結果、樹脂ベース3のレーザ光L照射による溶融時の熱に頼らなくても、レーザ光Lを吸収した熱硬化性接着剤10B自体が熱硬化して接着機能を発揮することができる。つまり、樹脂ベース3の熱負荷が軽減される。
【0101】
したがって、樹脂レンズ2と樹脂ベース3との溶着、及び熱硬化性接着剤10Bによる樹脂レンズ2及び樹脂ベース3への接着が同時に行われる。この結果、樹脂レンズ2と樹脂ベース3との接合時間のずれに基づく不要な応力発生に伴う位置ずれの発生を防止することができる。また、タクト時間の短縮を図ることができる。
【0102】
〔実施の形態3〕
本発明のさらに他の実施の形態について図8に基づいて説明すれば、以下のとおりである。尚、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1・2と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1・2の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0103】
本実施の形態の樹脂体接合品としてのレンズ部品1Cの製造方法は、前記実施の形態1のレンズ部品1Aの製造方法及び実施の形態2のレンズ部品1Bの製造方法の構成に加えて、レーザ光照射装置22Cが、レーザ光L1を走査して樹脂ベース3に照射する点が異なっている。
【0104】
本実施の形態の樹脂体接合品としてのレンズ部品1Cの製造方法について、図8の(a)(b)に基づいて説明する。図8の(a)は、本実施の形態におけるレンズ部品1Cの製造方法を示すものであって、レーザ光吸収成分11を含有しない樹脂レンズ2の熱硬化性接着剤10Aを使用してレーザ光L1を走査して照射する場合を示す断面図である。図8の(b)は、実施の形態2に示すレーザ光吸収成分11を含有した熱硬化性接着剤10Bを使用してレーザ光L1を走査して照射する場合を示す断面図である。
【0105】
図8の(a)に示すように、本実施の形態のレンズ部品1Cの製造方法では、レーザ光照射装置22Cは、レーザ光L1を走査して樹脂ベース3に照射するようになっている。
【0106】
本実施の形態のレンズ部品1Cの製造方法の構成では、例えば、先にレーザ光L1を樹脂レンズ2のみに通して樹脂ベース3に照射した後、レーザ光L1光を熱硬化性接着剤10Aのみに通して樹脂ベース3に照射することができる。すなわち、熱硬化性接着剤10Aを先に硬化させると、硬化時の収縮に伴って樹脂ベース3に対する樹脂レンズ2の位置がずれる虞がある。しかし、走査による照射方法においては、樹脂レンズ2を先に照射することにより、樹脂レンズ2を樹脂ベース3に先に溶着してから熱硬化性接着剤10Aにレーザ光L1を照射して熱硬化性接着剤10Aを硬化させることができる。この結果、樹脂ベース3に対する樹脂レンズ2の位置ずれを防止することが可能となる。
【0107】
また、レーザ光L1を走査して樹脂ベース3に照射することにより、レーザ光L1の1つの照射領域を樹脂レンズ2の面積にする必要がなくなる。これにより、レーザ光L1の1つの照射領域の形状を任意の形状とすることができる。
【0108】
尚、前述の説明では、実施の形態1のレーザ光吸収成分11を含有しない熱硬化性接着剤10Aを使用したレンズ部品1Cの製造方法について説明した。しかし、本実施の形態のレンズ部品1Cの製造方法では、必ずしもこれに限らず、図8の(b)に示すように、実施の形態2のレーザ光吸収成分11を含有する熱硬化性接着剤10Bを使用したレンズ部品1Cの製造方法についても同様に適用することが可能であり、同様の効果を奏する。
【0109】
尚、本開示は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0110】
1A・1B・1C レンズ部品(樹脂体接合品)
2 樹脂レンズ(第1樹脂体)
3 樹脂ベース(第2樹脂体、樹脂基板)
3a 溶着部(相溶層)
10A・10B 熱硬化性接着剤
11 レーザ光吸収成分
20 製造装置
21 位置調整用チャック
22A・22C レーザ光照射装置
23 接着剤塗布ノズル
L・L1 レーザ光
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9