特開2019-206228(P2019-206228A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-206228(P2019-206228A)
(43)【公開日】2019年12月5日
(54)【発明の名称】車両前部構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 19/18 20060101AFI20191108BHJP
   B62D 21/15 20060101ALI20191108BHJP
   B62D 25/08 20060101ALI20191108BHJP
【FI】
   B60R19/18 Q
   B62D21/15 C
   B62D25/08 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-101812(P2018-101812)
(22)【出願日】2018年5月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000100791
【氏名又は名称】アイシン軽金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼柳 旬一
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 尚裕
(72)【発明者】
【氏名】林 良一
(72)【発明者】
【氏名】平 正通
(72)【発明者】
【氏名】杉本 詩穂
(72)【発明者】
【氏名】正保 順
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203AA01
3D203BB15
3D203BB16
3D203BB33
3D203BB35
3D203BB43
3D203CA23
3D203CA34
3D203CA45
3D203DA02
3D203DA11
3D203DA22
(57)【要約】
【課題】センターポール衝突時のバンパリインフォースメントの変形モードを制御することができる車両前部構造を提供する。
【解決手段】車両前部構造として、車両前部の車幅方向左右両側に車両前後方向に沿って延在された前側部車体骨格部材である車体骨格部材14の前端同士を連結するバンパリインフォースメント20(以下、バンパRF20と称す。)と、バンパRF20の車幅方向の一方側に第1孔部32が形成されバンパRF20の他の部分よりも曲げ耐力が低く設定された第1折れ起点30と、バンパRF20の車幅方向の他方側に、第1孔部32と車両正面視で異なる形状の第2孔部42が形成され第1折れ起点部30よりも曲げ耐力が高くかつバンパRF20の第1折れ起点部30以外の部分よりも曲げ耐力が低く設定された第2折れ起点部40と、を備える。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両前部の車幅方向の左右両側に車両前後方向に沿って延在された左右一対の車体骨格部材と、
車幅方向を長手方向とされ、前記左右一対の車体骨格部材の車両前方側で前記長手方向に沿って延在され、前記左右一対の車体骨格部材の前端に連結されたバンパリインフォースメントと、
前記バンパリインフォースメントの車両後方側において前記左右一対の車体骨格部材の車幅方向内側に配置され、車幅方向の一方側を構成する第1装置と、車幅方向の他方側を構成し前記第1装置と連結された第2装置と、を含んで構成されたパワーユニットと、
前記パワーユニットの車両後方側で車幅方向に沿って延在され、車室の車両前方側を形成するダッシュ部と、
前記第1装置の後部と車両前後方向に対向する前記ダッシュ部の前部又は前記ダッシュ部の前部と車両前後方向に対向する前記第1装置の後部に設けられた後方支持部と、
前記バンパリインフォースメントの車幅方向の前記一方側に、第1孔部が形成され前記バンパリインフォースメントの他の部分よりも曲げ耐力が低く設定された第1折れ起点部と、
前記バンパリインフォースメントの車幅方向の前記他方側に、前記第1孔部と車両正面視で異なる形状の第2孔部が形成され前記第1折れ起点部よりも曲げ耐力が高くかつ前記バンパリインフォースメントの前記第1折れ起点部以外の部分よりも曲げ耐力が低く設定された第2折れ起点部と、
を備える車両前部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両前部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、金属製のバンパリインフォースメントに、焼き入れをされた他の部分に比べて曲げ耐力の低い非焼き入れ部が2箇所設けられた車両前部構造が開示されている。これにより、車両の前面衝突時には、非焼き入れ部を変形の起点にしてバンパリインフォースメントを車両後方側へ向けて変形させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−054909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された車両前部構造は、ポール衝突時において2箇所の非焼き入れ部のどちらか一方を他方よりも先に変形するように制御することはできない。バンパリインフォースメントの車両後方側には、例えば、セダンタイプの車両であれば、車幅方向の一方側を構成するエンジン本体と、車幅方向の他方側を構成しエンジン本体と連結されたトランスアクスルと、を含んで構成されたパワーユニットが配置される。センターポール衝突時には、変形したバンパリインフォースメントがパワーユニットに接触するため衝突荷重がパワーユニットに伝達される。変形したバンパリインフォースメントがトランスアクスルよりも相対的に重量が大きいエンジン本体側から変形した場合、衝突荷重はエンジン本体に伝達される。これにより、エンジン本体とトランスアクスルとの締結部分に大きなせん断荷重が作用するため、車体に発生する損傷はトランスアクスル側に先に衝突荷重が伝達される場合と比べて大きくなる可能性がある。従って、ポール衝突時には、バンパリインフォースメントは、トランスアクスルが配置されている側から変形することが望ましい。以上のことから、センターポール衝突時のバンパリインフォースメントの変形モードを制御するうえで、車両前部構造に改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、センターポール衝突時のバンパリインフォースメントの変形モードを制御することができる車両前部構造を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の車両前部構造は、車両前部の車幅方向の左右両側に車両前後方向に沿って延在された左右一対の車体骨格部材と、車幅方向を長手方向とされ、前記左右一対の車体骨格部材の車両前方側で前記長手方向に沿って延在され、前記左右一対の車体骨格部材の前端に連結されたバンパリインフォースメントと、前記バンパリインフォースメントの車両後方側において前記左右一対の車体骨格部材の車幅方向内側に配置され、車幅方向の一方側を構成する第1装置と、車幅方向の他方側を構成し前記第1装置と連結された第2装置と、を含んで構成されたパワーユニットと、前記パワーユニットの車両後方側で車幅方向に沿って延在され、車室の車両前方側を形成するダッシュ部と、前記第1装置の後部と車両前後方向に対向する前記ダッシュ部の前部又は前記ダッシュ部の前部と車両前後方向に対向する前記第1装置の後部に設けられた後方支持部と、前記バンパリインフォースメントの車幅方向の前記一方側に、第1孔部が形成され前記バンパリインフォースメントの他の部分よりも曲げ耐力が低く設定された第1折れ起点部と、前記バンパリインフォースメントの車幅方向の前記他方側に、前記第1孔部と車両正面視で異なる形状の第2孔部が形成され前記第1折れ起点部よりも曲げ耐力が高くかつ前記バンパリインフォースメントの前記第1折れ起点部以外の部分よりも曲げ耐力が低く設定された第2折れ起点部と、を備える。
【0007】
請求項1に記載の車両前部構造によれば、センターポール衝突時には、バンパリインフォースメントの車幅方向中央部に車両後方側へ向けた荷重が作用するため、バンパリインフォースメント全体に曲げモーメントが生じる。このため、バンパリインフォースメントの内部には、バンパリインフォースメントの長手方向に沿って応力が発生する。このとき第1孔部の周辺では、第1折れ起点部の他の部分に比べて局所的に応力が増大し、いわゆる応力集中が発生する。同様に、第2折れ起点部に形成された第2孔部の周辺においても応力集中が発生する。応力集中が発生した第1孔部及び第2孔部は、バンパリインフォースメントの他の部分よりも相対的に曲げ耐力が低下する。また、第1孔部が形成された第1折れ起点部の曲げ耐力は、第2孔部が形成された第2折れ起点部の曲げ耐力よりも低く設定されている。具体的には、第2孔部と正面視で異なる形状に形成された第1孔部に、第2孔部とは異なる応力集中を発生させることにより、第1折れ起点部の曲げ耐力が第2折れ起点部の曲げ耐力よりも低くなるように設定されている。これにより、センターポール衝突時に、はじめに第1孔部を起点として第1折れ起点部を変形させ、続いて第2孔部を起点として第2折れ起点部を変形させるようにセンターポール衝突時のバンパリインフォースメントの変形モードを制御することができる。
【0008】
請求項1に記載の車両前部構造によれば、はじめに変形した第1折れ起点部は、パワーユニットの第1装置に当接する。パワーユニットは、第1折れ起点部によって車両後方側へ向けて押された後、第1装置の後部と車両前後方向に対向するダッシュ部の前部又は第1装置の後部に設けられた後方支持部を介してダッシュ部の前部に支持される。パワーユニットが車両後方側への移動(変形)を抑制されることにより、第1折れ起点部のそれ以上の変形は抑制される。このように第1折れ起点部の変形が抑制されると、第1折れ起点部の次に曲げ耐力を低く設定された第2折れ起点部が車両後方側へ向けて変形する。変形した第2折れ起点部は、パワーユニットの第2装置に当接することにより、それ以上の変形が抑制される。これにより、第1折れ起点部から第2折れ起点部に係る部分がパワーユニットの前部に当接するため、衝突による荷重は第1装置と第2装置の両方に略均等に作用し、第1装置と第2装置の連結部に生じるせん断荷重が過度に大きくなることを抑制することができる。これにより、パワーユニットの損傷を抑制又は防止すると共に第1装置と第2装置との間のせん断荷重の発生を抑制又は防止するようにセンターポール衝突時のバンパリインフォースメントの変形モードを制御することができる。
【0009】
請求項1に記載の車両前部構造によれば、パワーユニットのうち、例えば、損傷を比較的抑制したい部分や重量が大きい部分を第2装置とすることにより、パワーユニットの損傷や第1装置と第2装置の連結部に生じるせん断荷重の発生を効果的に抑制又は防止することができる。これにより、パワーユニットの損傷及び第1装置と第2装置の連結部に生じるせん断荷重の発生を効果的に抑制又は防止するようにセンターポール衝突時のバンパリインフォースメントの変形モードを制御することができる。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、本発明に係る車両前部構造は、センターポール衝突時のバンパリインフォースメントの変形モードを制御することができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係る車両前部構造を模式的に示した平面図である。
図2A】本実施形態に係るバンパリインフォースメントの平面図である。
図2B】本実施形態に係るバンパリインフォースメントの正面図である。
図3】本実施形態の車両前部構造においてセンターポール衝突が発生し、バンパリインフォースメントの第1折れ起点部に変形が発生した状態を示す模式的な平面図である。
図4】本実施形態の車両前部構造において、バンパリインフォースメントの第1折れ起点部が大きく変形しパワーユニットに当接した状態を示す模式的な平面図である。
図5】本実施形態の車両前部構造において、バンパリインフォースメントの第1折れ起点部から第2折れ起点部に係る部分がパワーユニットに対して荷重を伝達する状態を示す模式的な平面図である。
図6】本実施形態の第1変形例に係る第1孔部が形成された第1折れ起点部を有するバンパリインフォースメントの正面図である。
図7A】本実施形態の第2変形例に係る第1孔部が形成された第1折れ起点部を有するバンパリインフォースメントの正面図である。
図7B】本実施形態の第3変形例に係る第1孔部が形成された第1折れ起点部を有するバンパリインフォースメントの正面図である。
図8A】本実施形態の第4変形例に係る第1孔部が形成された第1折れ起点部を有するバンパリインフォースメントの正面図である。
図8B】本実施形態の第5変形例に係る第1孔部が形成された第1折れ起点部を有するバンパリインフォースメントの正面図である。
図9A】本実施形態の第6変形例に係る第1孔部が形成された第1折れ起点部を有するバンパリインフォースメントの正面図である。
図9B】本実施形態の第7変形例に係る第1孔部が形成された第1折れ起点部を有するバンパリインフォースメントの正面図である。
図10A】本実施形態の第8変形例に係る第1孔部が形成された第1折れ起点部を有するバンパリインフォースメントの正面図である。
図10B】本実施形態の第9変形例に係る第1孔部が形成された第1折れ起点部を有するバンパリインフォースメントの正面図である。
図11A】対比例に係る車両前部構造において、センターポール衝突が発生し、バンパリインフォースメントが第2折れ起点部で変形した状態を示す模式的な平面図である。
図11B】対比例に係る車両前部構造において、バンパリインフォースメントの第2折れ起点部が大きく変形しパワーユニットのエンジン本体部に当接した状態を示す模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図1図10Bを用いて、本発明の実施形態に係る車両前部構造について説明する。以下の図において、矢印FRは車両前方側を示し、矢印INは車幅方向内側を示し、矢印UPは車両上方側を示している。なお、ここでは、車両前方側を向いた場合の右手方向を「車両右側」、左手方向を「車両左側」と定義する。
【0013】
図1には、本実施形態に係る車両前部構造を備えた車両10の前部が示されている。本実施形態に係る車両前部構造が適用された車両10は、車両前部の車両幅方向の両外側に車両前後方向に沿って備えられた前側部車体骨格部材である左右一対の車体骨格部材14と、車体骨格部材14の車両前方側で車幅方向に延在されたバンパリインフォースメント20(以下、バンパRF20と称する。)と、を含んで構成されている。以下、これらの各構成について説明する。
【0014】
左右一対の車体骨格部材14は、後述するパワーユニット50の車両下方側の車幅方向外側に車両前後方向に延在された左右一対のフロントサイドメンバ16と、フロントサイドメンバ16の前端部に固定された左右一対のクラッシュボックス18と、を含んで構成されている。左右一対のフロントサイドメンバ16は、車両上下方向かつ車幅方向に沿って切断された断面が車両正面視で略矩形閉断面状に形成された骨格部材とされている。
【0015】
左右一対のクラッシュボックス18は、左右一対のフロントサイドメンバ16の前端部にボルト締結等により固定されている。クラッシュボックス18は、フロントサイドメンバ16と比べて車両前後方向に沿った圧縮荷重に対する剛性が低くなるように形成されている。このため、クラッシュボックス18は、例えば、車両10が前面衝突した際には、フロントサイドメンバ16が変形するよりも先に変形し衝突エネルギを吸収できるように構成されている。
【0016】
なお、ここでは、車体骨格部材14は、フロントサイドメンバ16と、フロントサイドメンバ16の前端部に固定されたクラッシュボックス18と、を含んで構成されているとして説明したが、これに限らず、フロントサイドメンバの前端部に、フロントサイドメンバの車両後方側の部分よりも圧縮荷重に対する剛性が低いエネルギ吸収部が一体的に形成されてもよい。
【0017】
図2Aに示されるように、バンパRF20は、車両10の前端部に車幅方向を長手方向として形成されたバンパRF本体部22と、バンパRF本体部22の車幅方向中央部(長手方向中央部)の内側に、バンパRF本体部22の曲げ耐力を補強するために設けられたセンタバルク24と、バンパRF本体部22の車幅方向両端部(長手方向両端部)の内側に、バンパRF本体部22の曲げ耐力を補強するために設けられた左右一対のサイドバルク26と、を含んで構成されている。
【0018】
バンパRF本体部22の車幅方向両端部の車両後方側は、クラッシュボックス18の前端部に、例えばボルト締結等により固定されている。バンパRF本体部22は、クラッシュボックス18よりも車幅方向内側の部位が車幅方向に沿って略直線状に延在されており、クラッシュボックス18よりも車幅方向外側へ延出された部位は、車幅方向外側へ向かうにつれて車両後方側へ向けて湾曲されている。
【0019】
バンパRF本体部22の前端面には、発泡体等からなる図示しないアブソーバ(緩衝材)が取り付けられ、アブソーバとバンパRF本体部22とが車両10の意匠面を形成する図示しないバンパカバーによって覆われている。
【0020】
バンパRF本体部22は、例えばアルミニウム系等の金属材料により形成されており、車両上下方向かつ車両前後方向に沿って切断された断面が、車両側面視で略矩形閉断面状(中空状)に形成されている。バンパRF本体部22は、車両前方側の前方部材22Aと車両後方側の後方部位22Bとに分割して成形され、センタバルク24とサイドバルク26が前方部材22A又は後方部材22Bの内側に取り付けられた上で、前方部材22Aと後方部材22Bとが一体に結合されている。
【0021】
なお、ここでは、バンパRF本体部22は、アルミニウム系等の金属材料により形成されているとして説明したが、これに限らず、炭素繊維強化樹脂等の他の材料によりバンパRF本体部が形成されてもよい。
【0022】
バンパRF本体部22の車幅方向中央部の内側には、センタバルク24がバンパRF本体部22の曲げ耐力の補強のために設けられている。センタバルク24は、車幅方向を長手方向とし、例えば樹脂の射出成形により略直方体のブロック状に形成されている。センタバルク24は、前面が前方部材22Aの車両後方側(前方部材22Aの内側)に当接されると共に後面が後方部材22Bの車両前方側(後方部材22Bの内側)に当接され、バンパRF本体部22の内側にバンパRF本体部22の長手方向に沿って取り付けられている。
【0023】
バンパRF本体部22の車幅方向両端部の内側には、サイドバルク26がバンパRF本体部22の補強のために設けられている。サイドバルク26は、車幅方向を長手方向とし、例えば樹脂の射出成形により略直方体のブロック状に形成されている。サイドバルク26は、前面が前方部材22Aの車両後方側(前方部材22Aの内側)に当接されると共に後面が後方部材22Bの車両前方側(後方部材22Bの内側)に当接され、バンパRF本体部22の内側にバンパRF本体部22の長手方向に沿って取り付けられている。
【0024】
なお、ここでは、センタバルク24及びサイドバルク26は、樹脂の射出成形により成形されているとして説明したが、これに限らず、炭素繊維強化樹脂が積層されてセンタバルク24及びサイドバルク26が形成されてもよい。また、金属材料によりセンタバルク24及びサイドバルク26が形成されてもよい。
【0025】
図2Bに示されるように、バンパRF本体部22の車幅方向の一方側としての車両左側のサイドバルク26とセンタバルク24との間には、第1折れ起点部30が形成されている。第1折れ起点部30を構成する前方部材22Aの車両前方側には、正面視で略四角形の第1孔部32が形成されている。第1孔部32は、四角形の中心に相当する位置C1が、バンパRF20の車両前方側の車幅方向中央部から長手方向に沿って車両左側に第1長さL1離れた位置となるように形成されている。
【0026】
バンパRF本体部22の車幅方向の他方側としての車両右側のサイドバルク26とセンタバルク24との間には、第2折れ起点部40が形成されている。第2折れ起点部40を構成する前方部材22Aの車両前方側には、正面視で第1孔部32の略四角形と略同一面積となる略円形の第2孔部42が形成されている。第2孔部42は、円形の中心に相当する位置C2が、バンパRF20の車両前方側の車幅方向中央部からバンパRF20の長手方向に沿って車両右側に第1長さL1と同じ長さの第2長さL2離れた位置となるように形成されている。
【0027】
図1に示されるように、バンパRF20の車両後方側の左右一対のフロントサイドメンバ16の車幅方向内側に、パワーユニット50が配置されている。パワーユニット50は、左右一対のフロントサイドメンバ16に左右のエンジンマウント60を介して支持されている。パワーユニット50は、車幅方向の一方側としての車両左側を構成する第1装置としてのトランスアクスル部54と、トランスアクスル部54と連結され車幅方向の他方側としての車両右側を構成する第2装置としてのエンジン本体部52と、を含んで構成されている。
【0028】
エンジン本体部52の幅(車幅方向の長さ)は、トランスアクスル部54の幅よりも幅広とされている。このため、エンジン本体部52とトランスアクスル部54との連結部56は、車幅方向中央部よりも車両左側に形成されている。トランスアクスル部54には、トランスアクスル部54の外側を形成するトランスアクスルケース58の内部に図示しない電気モータ、ジェネレータ、動力分割機構等が配置されている。
【0029】
パワーユニット50の車両後方側には、パワーユニット50が配置された車両前部(エンジンコンパートメント)と車室12とを隔てる部分に車幅方向に沿って延在され、車室12の車両前方側を形成するダッシュ部としてのダッシュパネル62が設けられている。
【0030】
ダッシュパネル62の車両前方側の車両幅方向中央部よりも車両左側の位置に、車両前方側へ向けて突き出し、パワーユニット50のトランスアクスル部54に車両前後方向に対向された後方支持部としてのギアボックス64が配置されている。これにより、例えば前面衝突等により、パワーユニット50が、車両後方側へ向けて押し込まれた場合に、ギアボックス64がトランスアクスル部54を車両後方側から支持可能に配置されている。
【0031】
なお、ここでは、ギアボックス64は、ダッシュパネル62の車両前方側に設けられているとして説明したが、これに限らず、パワーユニットのトランスアクスル部の後部側に設けられてもよい。
【0032】
次に、本実施形態に係るバンパRF20のセンターポール衝突時における変形状態(変形モード)の説明を通じて本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0033】
本実施形態に係る車両前部構造によれば、図3に示されるように、センターポールPの衝突時に、バンパRF20の車幅方向中央部に車両後方側へ向けた荷重が作用するため、バンパRF20全体に曲げモーメントが生じる。このため、バンパRF20の内部には、バンパRF20の長手方向に沿って応力が発生する。第1折れ起点部30に形成された第1孔部32の周辺では、バンパRF20の車両上下方向かつ車両前後方向に沿って切断されたバンパRF20の断面形状が変化するため応力分布が変化する。これにより、第1孔部32の周辺では、第1折れ起点部30の第1孔部32以外の部分に比べて局所的に応力が増大し、いわゆる応力集中が発生する。
【0034】
第1折れ起点部30と同様に、第2折れ起点部40に形成された第2孔部42の周辺では、バンパRF20の車両上下方向かつ車両前後方向に沿って切断されたバンパRF20の断面形状が変化するため応力分布が変化する。このため、第2孔部42の周辺では応力集中が発生する。これにより、第1折れ起点部30と第2折れ起点部40は、バンパRF20の他の部分よりも相対的に曲げモーメントに対する曲げ耐力が低下する。
【0035】
図3に示されるように、正面視で第2孔部42と略同一面積の略四角形に形成された第1孔部32の角部は、第2孔部42の円形の外周部よりも相対的に応力が大きくなるため、第1折れ起点部30は、第2折れ起点部40よりも曲げ耐力が低下する。これにより、センターポールPの衝突時に、バンパRF20の第1折れ起点部30を第2折れ起点部40よりも先に変形させることができる。
【0036】
図4に示されるように、変形が生じた第1折れ起点部30は、第1孔部32を起点として車両後方側へ向けて更に変形する。変形された第1折れ起点部30は、パワーユニット50のトランスアクスル部54に当接する。このため、パワーユニット50は車両後方側へ向けて押される。パワーユニット50は、第1折れ起点部30によって車両後方側へ向けて押された後、トランスアクスル部54の後部がダッシュパネル62の車両前方側に配置されたギアボックス64に支持される。これにより、パワーユニット50は、それ以上の車両後方側への移動(変形)が抑制されるため、バンパRF20の第1折れ起点部30も変形を抑制される。
【0037】
図5に示されるように、第1折れ起点部30の変形が抑制されるため、センターポールPの衝突によりバンパRF20に作用する荷重は、第1折れ起点部30の次に曲げ耐力を低く設定された第2折れ起点部40が第2孔部42を起点として車両後方側へ向けて変形する。第2折れ起点部40は、ギアボックス64に支持されたパワーユニット50のエンジン本体部52側に当接することにより、車両後方側へ向けた変形が抑制される。この結果、第1折れ起点部30から第2折れ起点部40に係る部分がパワーユニット50の前部に当接するため、衝突荷重はパワーユニット50のエンジン本体部52とトランスアクスル部54側の両側に略均等に作用する。このため、連結部56に生じるせん断荷重を抑制又は防止することができる。これにより、パワーユニット50のエンジン本体部52が大きく変形することを抑制又は防止することができると共にセンターポール衝突時の車室12の損傷(変形)を抑制又は防止することができる。
【0038】
(対比例)
次に図11A及び図11Bに示される対比例との比較を通じて本実施形態の作用並びに効果について説明する。なお、前述した本実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0039】
図11Aに示されるように、対比例に係るバンパRF20では、第1折れ起点部30の第1孔部100は、第2孔部42と略同一面積の略円形状に形成されている。このため、センターポールPの衝突時の第1折れ起点部30の曲げ耐力は、第2折れ起点部40の曲げ耐力と略同一に設定されている。これにより、センターポールPの衝突時に、第2折れ起点部40と第1折れ起点部30のどちらが先に変形を開始するかは、センターポールPの衝突時の僅かな初期条件(例えば、衝突時の車幅方向位置やセンターポールPに対する車両10の角度等)によって異なるため、変形の制御が困難となる。この結果、僅かな初期条件の違いにより、バンパRF20が、第2折れ起点部40から変形する可能性が生じる。
【0040】
図11Bに示されるように、バンパRF20が第2折れ起点部40から変形した場合、衝突荷重は第2折れ起点部40を介してはじめにエンジン本体部52に伝達される。このため、エンジン本体部52とトランスアクスル部54との連結部56に過大なせん断荷重が発生する。このせん断荷重により連結部56が損傷し、連結部56に拘束されなくなったエンジン本体部52が車両後方側へ向けて押し出される可能性が生じる。この場合、車両前部に占める容積が大きくかつ重量の大きいエンジン本体部52の車両後方側への変形(移動)量は大きくなるため、ダッシュパネル62を介して客室12側を大きく損傷させる可能性が高くなる。このことから、本実施形態の様に第1折れ起点部30をトランスアクスル部54と同じ車両左側に配置することにより、センターポール衝突時に連結部56に過大なせん断荷重が生じることを抑制又は防止すると共に客室12の損傷を抑制又は防止できる。
【0041】
以上説明したように、本実施形態に係る車両前部構造は、センターポール衝突時のバンパRF20の変形モードを制御することができる。
【0042】
次に、図6から図10Bを用いて、本実施形態の第1変形例から第9変形例について説明する。なお、前述した本実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0043】
(実施形態の第1変形例)
図6に示されるように、第1変形例に係るバンパRF20では、第1折れ起点部30の第1孔部72は、本実施形態に係る略四角形状の第1孔部32を第1孔部32の中心を通る車両前後方向を回転軸として回転した正面視で略菱形状に形成されている。このため、第1孔部72の最も車幅方向外側に位置する角部は、本実施形態に係る略四角形状の第1孔部32の最も車幅方向外側に位置する角部よりもバンパRF20の車幅方向中央部から車幅方向外側に離れた位置に形成されている。センターポールPの衝突によりバンパRF20に発生する曲げモーメントは車幅方向外側に向かうにつれて大きくなるため、車幅方向外側に形成された角部に発生する応力集中も顕著になる。これにより、第1折れ起点部30の曲げ耐力を第2折れ起点部40に比べてさらに低く設定することができるため、センターポール衝突時のバンパRF20の変形モードを制御することができる。
【0044】
(実施形態の第2変形例)
図7Aに示されるように、第2変形例に係るバンパRF20では、第1折れ起点部30の第1孔部74は、正面視で長軸の方向が車両上下方向に沿った略楕円状に形成されている。楕円と長軸との交点では、第2孔部42の円形と比べて応力集中の度合いが高くなる。これにより、第1折れ起点部30の曲げ耐力を第2折れ起点部40に比べてさらに低く設定することができるため、センターポール衝突時のバンパRF20の変形モードを制御することができる。
【0045】
(実施形態の第3変形例)
図7Bに示されるように、第3変形例に係るバンパRF20では、第1折れ起点部30の第1孔部76は、第2変形例に係る略楕円形状の第1孔部74を楕円形の中心を通る車両前後方向を回転軸として回転した形状に形成されている。このため、第1孔部76の車幅方向外側に位置する楕円と長軸の交点は、第2変形例に係る略楕円形状の第1孔部74の楕円と長軸の交点よりもバンパRF20の車幅方向中央部から車幅方向外側に離れた位置に形成されている。このため、車幅方向外側に位置する楕円と長軸の交点に発生する応力集中も顕著になる。これにより、第1折れ起点部30の曲げ耐力を第2折れ起点部40に比べてさらに低く設定することができるため、センターポール衝突時のバンパRF20の変形モードを制御することができる。
【0046】
(実施形態の第4変形例)
図8Aに示されるように、第4変形例に係るバンパRF20では、第1折れ起点部30の第1孔部78は、正面視で略三角形状に形成されている。三角形の角部では、第2孔部42の円形と比べて応力集中の度合いが高くなる。これにより、第1折れ起点部30の曲げ耐力を第2折れ起点部40に比べてさらに低く設定することができるため、センターポール衝突時のバンパRF20の変形モードを制御することができる。
【0047】
(実施形態の第5変形例)
図8Bに示されるように、第5変形例に係るバンパRF20では、第1折れ起点部30の第1孔部80は、第4変形例に係る略三角形状の第1孔部78を三角形の中心を通る車両前後方向を回転軸として回転した形状に形成されている。このため、第1孔部80の車幅方向外側に位置する角部は、第4変形例に係る第1孔部78の角部よりもバンパRF20の車幅方向中央部から車幅方向外側に離れた位置に形成されている。このため、車幅方向外側に位置する角部に発生する応力集中も顕著になる。これにより、第1折れ起点部30の曲げ耐力を第2折れ起点部40に比べてさらに低く設定することができるため、センターポール衝突時のバンパRF20の変形モードを制御することができる。
【0048】
(実施形態の第6変形例)
図9Aに示されるように、第6変形例に係るバンパRF20では、第1折れ起点部30の第1孔部82は、正面視で略八角形状に形成されている。八角形の角部では、第2孔部42の円形と比べて応力集中の度合いが高くなる。これにより、第1折れ起点部30の曲げ耐力を第2折れ起点部40に比べてさらに低く設定することができるため、センターポール衝突時のバンパRF20の変形モードを制御することができる。
【0049】
(実施形態の第7変形例)
図9Bに示されるように、第7変形例に係るバンパRF20では、第1折れ起点部30の第1孔部84は、第6変形例に係る略八角形状の第1孔部82を八角形の中心を通る車両前後方向を回転軸として回転した形状に形成されている。このため、第1孔部84の車幅方向外側に位置する角部は、第6変形例に係る第1孔部82の角部よりもバンパRF20の車幅方向中央部から車幅方向外側に離れた位置に形成されている。このため、車幅方向外側に位置する角部に発生する応力集中も顕著になる。これにより、第1折れ起点部30の曲げ耐力を第2折れ起点部40に比べてさらに低く設定することができるため、センターポール衝突時のバンパRF20の変形モードを制御することができる。
【0050】
(実施形態の第8変形例)
図10Aに示されるように、第8変形例に係るバンパRF20では、第1折れ起点部30の第1孔部86は、正面視で略十字形状に形成されている。十字形の角部では、第2孔部42の円形と比べて応力集中の度合いが高くなる。これにより、第1折れ起点部30は、第2折れ起点部40に比べて強度を低下させることができるため、センターポール衝突時のバンパRF20の変形モードを制御することができる。
【0051】
(実施形態の第9変形例)
図10Bに示されるように、第9変形例に係るバンパRF20では、第1折れ起点部30の第1孔部88は、第8変形例に係る略十字形状の第1孔部86を十字形の中心を通る車両前後方向を回転軸として回転した形状に形成されている。このため、第1孔部88の車幅方向外側に位置する角部は、第8変形例の第1孔部86に係る角部よりもバンパRF20の車幅方向中央部から車幅方向外側に離れた位置に形成されている。このため、車幅方向外側に位置する角部に発生する応力集中も顕著になる。これにより、第1折れ起点部30の曲げ耐力を第2折れ起点部40に比べてさらに低く設定することができるため、センターポール衝突時のバンパRF20の変形モードを制御することができる。
【0052】
なお、ここでは、第1孔部32は、第2孔部42の円形と略同一面積を有し、バンパRF20の車幅方向中央部から第2長さL2と略同一長さとなる第1長さL1の位置に形成されるとして説明したが、これに限らず、第1孔部は、第2孔部の円形よりも大きい面積を有する略楕円形又は略多角形に形成されバンパRF20の車幅方向中央部から第1長さL1離れた位置以外の位置に形成されてもよい。さらに、第1孔部は、第1折れ起点部に複数箇所形成されてもよい。
【0053】
また、ここでは、第1折れ起点部30及び第1孔部32は、バンパRF20の車両左側に形成されるとして説明したが、これに限らず、エンジン本体部が車両左側に設けられている場合は、バンパRF20の車両右側に形成されてもよい。
【符号の説明】
【0054】
10 車両
12 車室
14 車体骨格部材
20 バンパリインフォースメント
30 第1折れ起点部
32 第1孔部
40 第2折れ起点部
42 第2孔部
52 エンジン本体部(第2装置)
54 トランスアクスル部(第1装置)
62 ダッシュパネル(ダッシュ部)
64 ギアボックス(後方支持部)
72 第1孔部(第1変形例)
74 第1孔部(第2変形例)
76 第1孔部(第3変形例)
78 第1孔部(第4変形例)
80 第1孔部(第5変形例)
82 第1孔部(第6変形例)
84 第1孔部(第7変形例)
86 第1孔部(第8変形例)
88 第1孔部(第9変形例)
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B