【解決手段】サイドレール間である第1スペースに配置される第1バッテリ収容部と、第1バッテリと、前記第1スペースよりも車高方向下方の第2スペースにおいて、前記第1バッテリ収容部の車幅方向における幅よりも大きい幅を有する第2バッテリ収容部と、第2バッテリと、を含み、前記第1バッテリ及び前記第2バッテリは、複数の電池要素を一方向に配列収容し、且つ前記一方向に延びる外形を有する直方体状のバッテリモジュールを備え、前記第1バッテリを構成する前記バッテリモジュールにおける前記一方向は車両長手方向であり、前記第2バッテリを構成する前記バッテリモジュールにおける前記一方向は車幅長手方向であること。
前記第1バッテリ及び前記第2バッテリは、前記バッテリモジュールを複数備えるとともに、前記バッテリモジュールの長手方向の面同士が対向するように配列されている構造を有する請求項1に記載の車両用バッテリパック。
前記第2バッテリにおける前記バッテリモジュールの数量は、前記第1バッテリにおける前記バッテリモジュールの数量の整数倍である請求項2に記載の車両用バッテリパック。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、商用車は、荷物を積載するための構造、又は車両自体の大型化のために、乗用車と比較して車両重量が大きくなる。このため、乗用車に比べて車両重量が大きい商用車の分野において、十分な走行距離を可能とする電動車両を実用化するためには、電動車両に搭載可能なバッテリ容量を増大することが重要な課題である。
【0006】
また、商用車においてバッテリをキャブの後方に設置する場合、商用車の車格によってバッテリ設置可能領域の大きさが限定される。当該限定された設置可能領域に設置されるバッテリについては、様々なバッテリ仕様要求に対応させつつも、その仕様内容が多種にわたることを抑制する必要がある。すなわち、商社車開発におけるコストを低減するために、様々なバッテリ仕様要求に対応させつつも、バッテリの仕様内容のできるかぎりの共通化を図ることが重要な課題である。
【0007】
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、電動車両に搭載可能なバッテリ容量を増大しつつ、限れた設置可能領域でバッテリの仕様要求を満たすことができる車両用バッテリパック、及び当該車両用バッテリパックを備える電動車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本適用例に係る車両用バッテリパックは、ラダーフレームを備える車両に搭載される車両用バッテリパックであって、前記ラダーフレームの2本のサイドレール間である第1スペースに配置される第1バッテリ収容部と、前記第1バッテリ収容部に収容される第1バッテリと、前記第1スペースよりも車高方向下方の第2スペースにおいて、前記第1バッテリ収容部に連結され、前記第1バッテリ収容部の車幅方向における幅よりも大きい幅を有する第2バッテリ収容部と、前記第2バッテリ収容部に収容される第2バッテリと、を含み、前記第1バッテリ及び前記第2バッテリは、複数の電池要素を一方向に配列収容し、且つ前記一方向に延びる外形を有する直方体状のバッテリモジュールを備え、前記第1バッテリを構成する前記バッテリモジュールにおける前記一方向は車長方向であり、前記第2バッテリを構成する前記バッテリモジュールにおける前記一方向は車幅方向である。
【0009】
上記適用例に係る車両用バッテリパックにおいては、第1バッテリ収容部に収容されるバッテリモジュールを構成する電池要素が車長方向に配列収容されている。ここで、車長方向においてはサイドレール等による電池要素の配列収容の制限が生じないため、より多くの電池要素を配列することが可能となる。すなわち、第1バッテリ収容部に収容されるバッテリモジュールを構成する電池要素の配列数量が限定されることがなくなり、電動車両に要求される仕様に対応させて、当該バッテリモジュール及びバッテリパックの設計を容易に行えることになる。
【0010】
一方、上記適用例に係る車両用バッテリパックにおいては、第2バッテリ収容部に収容されるバッテリモジュールを構成する電池要素が車幅方向に配列収容されている。ここで、第2スペースは、第1スペースと比較してサイドレール11による部品配置の制約が少ないことから、電池要素を車幅方向に配列収容しても、より多くの電池要素を配列したバッテリモジュールを配置することが可能になる。更に、第2バッテリ収容部に収容されるバッテリモジュールを一方向のみに並設することができるため、バッテリモジュール同士の電気的な接続配線が複雑化することもなくなり、第2バッテリ収容部におけるバッテリモジュール及びバッテリパックの設計の自由度を向上させることができる。
【0011】
そして、上記適用例に係る車両用バッテリパックにおいては、上記のような構成及び、サイドレールと車両用バッテリパックとの配置関係により、サイドレールの周辺のスペースを有効に活用してバッテリを搭載することができる。これにより、電動車両に搭載可能なバッテリ容量の増大が図られることになる。
【0012】
(2)また、本適用例に係る車両用バッテリパックは、上記(1)において、前記第1バッテリ及び前記第2バッテリは、前記バッテリモジュールを複数備えるとともに、前記バッテリモジュールの長手方向の面同士が対向するように配列されている構造を有してもよい。このようなバッテリモジュールの配列構造により、長手方向に沿ってバッテリモジュールを複数配列することが可能になり、第1バッテリ収容部及び第2バッテリ収容部におけるバッテリの搭載量が増加され、車両に搭載可能なバッテリ容量の更なる増大が図られる。
【0013】
(3)本適用例に係る車両用バッテリパックは、上記(1)又は(2)において、前記第2バッテリ収容部の車幅方向における幅は、前記サイドレール間の距離よりも大きくてもよい。このような第2バッテリ収容部の幅の設定により、第2バッテリ収容部におけるバッテリの搭載量が増加され、車両に搭載可能なバッテリ容量の更なる増大が図られる。
【0014】
(4)本適用例に係る車両用バッテリパックは、上記(3)において、前記第2バッテリ収容部の車幅方向における幅は、前記2本のサイドレールのウェブ間の距離よりも大きくてもよい。このような第2バッテリ収容部の幅の設定により、第2バッテリ収容部におけるバッテリの搭載量が増加され、車両に搭載可能なバッテリ容量の更なる増大が図られる。
【0015】
(5)本適用例に係る車両用バッテリパックは、上記(1)乃至(4)のいずれかにおいて、前記電池要素は、パウチタイプのバッテリセルであってもよい。パウチタイプのバッテリセルを使用することにより、バッテリ容量の増大及び各種の配線の簡素化を容易に図ることができる。
【0016】
(6)本適用例に係る車両用バッテリパックは、上記(2)において、前記第2バッテリにおける前記バッテリモジュールの数量は、前記第1バッテリにおける前記バッテリモジュールの数量の整数倍であってもよい。これにより、第1バッテリの出力電圧と第2バッテリの出力電圧を等しくするような回路構成を採用することができ、バッテリパックとしての出力電圧の安定化及び接続回路の簡素化を容易に図れることになる。
【0017】
(7)本適用例に係る車両用バッテリパックは、上記(2)において、前記第2バッテリは、複数の前記バッテリモジュールの端子が前記車幅方向の端部に並設されてもよい。これにより、第2バッテリを構成する複数のバッテリモジュール同士を容易に接続することが可能となり、モジュール間配線の簡素化を図ることが可能になる。
【0018】
(8)本適用例に係る車両用バッテリパックは、上記(7)において、前記第1バッテリ及び前記第2バッテリは、複数の前記バッテリモジュールが直列接続された回路構成を有してもよい。これにより、各バッテリの出力電圧を増加させることができ、電動車両に要求される電圧の確保を図ることができる。
【0019】
(9)本適用例に係る電動車両は、上記(1)乃至(8)のいずれかの車両用バッテリパックを備える。このような電動車両においては、サイドレールと車両用バッテリパックとの配置関係により、サイドレールの周辺のスペースを有効に活用してバッテリが搭載されていることになる。これにより、電動車両に搭載可能なバッテリ容量の増大が図られることになる。また、このような電動車両においては、第1バッテリのバッテリモジュールと第2バッテリのバッテリモジュールとの延在方向、及び第1バッテリのバッテリモジュールのバッテリセルと第2バッテリのバッテリモジュールのバッテリセルの配列方向は互いに異なるとともに、各方向が限定されている。これにより、電動車両において、限れた設置可能領域でバッテリの仕様要求が満たされることになる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の各実施例について、図面を参照しつつその構成について詳細に説明する。
<第一実施例>
【0022】
先ず、
図1を参照しつつ、本実施例に係る電動車両1の全体構成を説明する。ここで、
図1は、本実施例に係る電動車両の全体構成を概略的に示す上面図である。
【0023】
図1に示すように、本実施例に係る電動車両1は、ラダーフレーム10、キャブ20、荷箱30、車輪機構40、駆動装置50、及びバッテリパック60を備える電動トラックである。なお、
図1では、電動車両1の上面からキャブ20及び荷箱30を透過するように見た場合の上面図として表している。
【0024】
本実施例において、電動車両1は、走行用駆動源としてモータ(電動機)を備える電気自動車として想定されているが、エンジンを更に備えるハイブリッド自動車であってもよい。また、電動車両1は電動トラックに限定されることなく、車両を駆動するためのバッテリを備える他の商用車であってもよい。
【0025】
ラダーフレーム10は、左サイドレール11L、右サイドレール11R、及び複数のクロスメンバ12を有する。左サイドレール11L及び右サイドレール11Rは、電動車両1の車長方向Aに延在し、互いに車幅方向Bに対して平行に配置される。複数のクロスメンバ12は、左サイドレール11Lと右サイドレール11Rとを連結している。すなわち、ラダーフレーム10は、いわゆる梯子型フレームを構成している。そして、ラダーフレーム10は、キャブ20、荷箱30、駆動装置50、バッテリパック60、及び電動車両1に搭載されるその他の重量物を支持する。以下において、左サイドレール11L及び右サイドレール11Rを総称して、単にサイドレール11とも称する。
【0026】
キャブ20は、図示しない運転席を含む構造体であり、ラダーフレーム10の前部上方に設けられている。一方、荷箱30は、電動車両1によって搬送される荷物等が積載される構造体であり、ラダーフレーム10の後部上方に設けられている。
【0027】
車両前方に位置する車輪機構40は、本実施例において、車両前方に位置する左右の前輪41、2つの前輪41の車軸としてのフロントアクスル42から構成される。また、車両後方に位置する車輪機構40は、車両後方に位置し且つ左右に各2つ配置された後輪43、これらの後輪43の車軸としてのリアアクスル44から構成される。そして、本実施例に係る電動車両1においては、後輪43が駆動輪として機能するように駆動力が伝達され、電動車両1が走行することになる。なお、車輪機構40は、図示しないサスペンション機構を介してラダーフレーム10に懸架され、電動車両1の重量を支持する。
【0028】
駆動装置50は、モータユニット51及びギアユニット52を有する。モータユニット51は、モータ53、及びモータ53を収容するモータハウジング54から構成される。ギアユニット52は、複数のギアからなる減速機構55、減速機構55から入力される動力を左右の後輪43に対して振り分ける差動機構56、並びに減速機構55及び差動機構56を収容するギアハウジング57から構成される。
【0029】
また、駆動装置50は、減速機構55及び差動機構56を介して、モータ53の駆動トルクを車両の走行に適した回転速度に減速してリアアクスル44に駆動力を伝達する。これにより駆動装置50は、リアアクスル44を介して後輪43を回転させて電動車両1を走行させることができる。ここで、駆動装置50は、本実施例においては、左サイドレール11L及び右サイドレール11Rに対して車幅方向Bの内側(すなわち、サイドレール間のスペース)に配置され、図示しない支持部材によりラダーフレーム10に支持されている。
【0030】
バッテリパック60は、電動車両1を走行させるためのエネルギー源としてモータ53に電力を供給するバッテリ61と、バッテリ61を収容するバッテリハウジング62を有している。バッテリパック60は、電動車両1に必要とされる電力を蓄えるために比較的大型で大容量の二次電池である。ここで、バッテリパック60は、本実施例において、車幅方向Bに対して左サイドレール11Lと右サイドレール11Rとの間、且つ駆動装置50の車両前方に配置される。例えば、バッテリパック60は、図示しない連結部材によりラダーフレーム10に固定又は懸架される。なお、バッテリパック60とサイドレール11との具体的な位置関係については後述する。
【0031】
次に、
図2乃至
図5を参照しつつ、本実施例に係るバッテリパック60及びバッテリパック60を構成するバッテリモジュールの構造を説明する。ここで、
図2は、本実施例に係るバッテリハウジングの斜視図である。また、
図3は、
図2のIII-III線に沿った断面図であり、
図4は、
図2のIV-IV線に沿った断面図である。更に、
図5は、本実施例に係るバッテリパック60を構成するバッテリモジュールの概略的に示す上面図である。
【0032】
図2に分かるように、バッテリパック60は、車長方向Aに沿って延在するような形状を備えている。また、バッテリパック60は、車幅方向B及び車高方向Cによって規定される平面における断面形状が逆T型となる形状を備えている。
【0033】
図2乃至
図4に示すように、バッテリパック60の構成部材であるバッテリハウジング62は、第1バッテリ収容部63、第2バッテリ収容部64、隔壁65、複数の接合部材66を備えている。第1バッテリ収容部63及び第2バッテリ収容部64は、バッテリを収納するための開口が設けられた箱型の筐体である。第1バッテリ収容部63と第2バッテリ収容部64とは、隔壁65を介して互いの開口が向かい合うように配置されている。そして、複数の接合部材66が、第1バッテリ収容部63及び隔壁65を貫通し、第2バッテリ収容部64まで到達することにより、第1バッテリ収容部63、第2バッテリ収容部64及び隔壁65が連結されている。
【0034】
このようなバッテリハウジング62の構成により、バッテリハウジング62内には、第1バッテリ収容部63及び隔壁65によって囲まれた直方体状の第1バッテリ収容空間71と、第2バッテリ収容部64及び隔壁65によって囲まれた直方体状の第2バッテリ収容空間72とが形成されている。すなわち、第1バッテリ収容空間71と第2バッテリ収容空間72とが、隔壁65によって分離されて設けられている。
【0035】
図3及び
図4からわかるように、第2バッテリ収容部64の開口寸法は、第1バッテリ収容部63の開口寸法よりも大きくなっている。すなわち、第2バッテリ収容空間72の寸法は、第1バッテリ収容空間71よりも大きくなっている。具体的には、車幅方向Bにおいて、第2バッテリ収容部64の開口幅(開口寸法)は、第1バッテリ収容部63の開口幅よりも大きく、車長方向A及び車高方向Cにおける第1バッテリ収容部63及び第2バッテリ収容部64の開口寸法は略同一である。すなわち、車幅方向Bにおいて、第2バッテリ収容空間72の幅は、第1バッテリ収容空間71の幅よりも大きく、車長方向A及び車高方向Cにおける第1バッテリ収容空間71及び第2バッテリ収容空間72の寸法は略同一である。このため、第1バッテリ収容空間71と比較して、第2バッテリ収容空間72は、より多くの数量のバッテリ61を収容できることになる。
【0036】
第1バッテリ収容部63、第2バッテリ収容部64、及び隔壁65の材料は、例えば、アルミニウム等の軽金属である。これにより、バッテリパック60自体の重量を低減しつつも、外力に耐えうる強固な構成とすることができる。また、バッテリハウジング62を構成するこれらの部材の材質を同一の金属としてもよい。これにより、バッテリハウジング62の各構成部材を接合する接合部材66の腐食を防止するためである。
【0037】
また、第2バッテリ収容部64の剛性は、第1バッテリ収容部63の剛性よりも高い。例えば、第2バッテリ収容部64の厚みを第1バッテリ収容部63の厚みよりも大きくすることにより、当該剛性を調整してもよい。これは、後述するように、第1バッテリ収容部63は、サイドレール11によって挟まれるように配置されるため、サイドレール11によって側方からの衝突から保護されているものの、第2バッテリ収容部64は、サイドレール11の下方に配置されるため、側突安全性を向上させることが好ましいためである。そして、このような剛性の調整により、第1バッテリ収容部63をより軽量化してバッテリパック60自体の重量を低減しつつも、側突安全性の向上が図られることになる。
【0038】
本実施例においては、第1バッテリ収容空間71に2つの第1バッテリモジュール73が収容され、第2バッテリ収容空間72に4つの第2バッテリモジュール74が収容されている。また、2つの第1バッテリモジュール73が配線(図示せず)によって直列接続されて1組のモジュール群が1つ形成され、第1バッテリ収容空間71に当該バッテリモジュール群である第1バッテリ81が収容されることになる。同様に、2つの第2バッテリモジュール74が配線(図示せず)によって直列接続されて1組のモジュール群が2つ形成され、当該2つのモジュール群が配線(図示せず)によって並列接続されることにより、第2バッテリ収容空間72に収容された第2バッテリ82が構成されている。そして、当該第1バッテリ81及び第2バッテリ82が並列接続されることにより、バッテリパック60のバッテリ61が構成されている。
【0039】
なお、当該数量については限定されず、電動車両1に要求される電力量や、第1バッテリモジュール73及び第2バッテリモジュール74の寸法及び特性等に応じて適宜変更することができる。また、バッテリモジュール同士の接続構成も上述した内容に限定されることなく、電動車両1に要求される電力量や、第1バッテリモジュール73及び第2バッテリモジュール74の寸法及び特性等に応じて適宜変更することができる。
【0040】
ここで、
図5に示すように、第1バッテリモジュール73は、直方体状の筐体73aの内部に、電池要素であるパウチタイプのバッテリセル73bを一方向に配列収容した構造を有する。ここで、第1バッテリモジュール73は、直方体状の外形を備えている。また、第1バッテリモジュール73は、筐体73aの一端面に正極端子73c及び負極端子73dを有している。更に、各バッテリセル73bは、図示しない配線によって隣接する他のバッテリセル73bと電気的に接続されている。そして、正極端子73c及び負極端子73dに隣接して端部に位置するバッテリセル73bは、正極端子73c及び負極端子73dに対して電気的に接続されている。例えば、25個、50個、又は100個のバッテリセル73bを直列に接続し、百ボルトから数百ボルトの電圧を出力可能にしている。本実施例において、第1バッテリモジュール73は50個のバッテリセル73bを有し、直列に接続された状態の2個の第1バッテリモジュール73によって365Vの電圧が出力可能となっている。ここで、バッテリセル73bが互いに対向する面は、略正方形となっている。
【0041】
なお、第2バッテリモジュール74は、第1バッテリモジュール73と同一であるため、その構造も第1バッテリモジュール73の構造と同一である。すなわち、第2バッテリモジュール74も、筐体74a、複数のバッテリセル74b、正極端子74c、負極端子74d、及び配線(図示せず)を有している。そして、第1バッテリモジュール73と同様に、第2バッテリモジュール74は50個のバッテリセル74bを有しているため、直列に接続された状態の2個の第2バッテリモジュール74(すなわち、1つのモジュール群)によって365Vの電圧が出力可能となるとともに、当該365Vのモジュール群が第2バッテリ収容空間72内に2つ存在することになる。
【0042】
次に、
図3及び
図4からわかるように、第1バッテリ収容空間71に収容されている2つの第1バッテリモジュール73は、車長方向Aに沿って延在するように並設されている。すなわち、2つの第1バッテリモジュール73は、長手方向の側面73e同士が対向し且つ離間するように並設されている。また、第1バッテリモジュール73の正極端子73c及び負極端子73dは、車長方向Aの前方(すなわち、キャブ20側)に位置することになる。このような端子の位置が揃えて配置されることにより、2つの第1バッテリモジュール73の接続を容易に行えることになる。
【0043】
一方、第2バッテリ収容空間72に収容されている4つの第2バッテリモジュール74は、車幅方向Bに沿って延在するように並設されている。すなわち、4つの第2バッテリモジュール74は、長手方向の側面74e同士が対向し且つ離間するように並設されている。また、第2バッテリモジュール74の正極端子74c及び負極端子74dは、車幅方向Bの左側に位置することになる。このような端子の位置が揃えて配置されることにより、4つの第2バッテリモジュール74の接続を容易に行えることになる。特に、複雑な配線を使用することなく、正極端子74cの接続に用いる1枚の接続プレート、及び負極端子74dの接続に用いる1枚の接続プレートによって、第2バッテリモジュール74同士の接続を行うことが可能になる。
【0044】
次に、
図6を参照しつつ、本実施例に係るバッテリパック60及びバッテリハウジング62とサイドレール11との位置関係を説明する。ここで、
図6は、本実施例に係るバッテリパック60とサイドレール11との位置関係を示す正面図である。
【0045】
図6に示すように、左サイドレール11Lと右サイドレール11Rとの間には第1スペース91が存在し、当該第1スペース91よりも車高方向Cの下方には第2スペース92が存在している。そして、バッテリハウジング62は、第1スペース91及び第2スペース92にわたって配設されている。
【0046】
より具体的に、バッテリハウジング62の第1バッテリ収容部63は、主として第1スペース91に配置されている。また、本実施例において、第1バッテリ収容部63は、左サイドレール11Lのフランジ13の車幅方向内側端部13aと、右サイドレール11Rの12の車幅方向内側端部13aとの間に配置されている。すなわち、第1バッテリ収容部63の車幅方向における幅は、サイドレール間の距離よりも小さい。ここで、サイドレール間の距離とは、左サイドレール11Lのフランジ13の車幅方向内側端部13aから、右サイドレール11Rのフランジ13の車幅方向内側端部13aまでの距離D1である。
【0047】
このような第1バッテリ収容部63の位置により、その内部に収容される第1バッテリモジュール73は、サイドレール間に配置されるとともに、サイドレール11(すなわち、車長方向A)に沿って並置されている。ここで、サイドレール11間の距離D1は、車両に応じて異なる場合があるものの、車両規格に対応するため等の種々の理由により、自由に変更できず、その寸法(すなわち、レイアウト)に制限が存在する。このような制限が存在する中で、バッテリセル73bの配列方向を、当該制限が存在する車幅方向Bにするのではなく、制限が少ない車長方向Aにすることにより、より多くのバッテリセル73bを配列することが可能となる。すなわち、バッテリセル73bの配列数量が限定されることがなくなり、電動車両1に要求される仕様に対応させて、第1バッテリモジュール73及びバッテリパック60の設計を容易に行えることになる。換言すると、第1スペース91における、第1バッテリモジュール73及びバッテリパック60の設計の自由度を向上させることが可能となり、バッテリ容量の増大につながることになる。
【0048】
これに対して、バッテリセル73bの配列方向を、当該制限が存在する車幅方向Bにすると、バッテリセル73bの配列数量が限定されてしまい、電動車両1に要求される仕様に柔軟に対応することができなくなる。すなわち、第1スペース91における、第1バッテリモジュール73及びバッテリパック60の設計の自由度の向上が困難となり、バッテリ容量の増大も図ることが困難になる。
【0049】
次に、バッテリハウジング62の第2バッテリ収容部64及び隔壁65は、サイドレール11の下方である第2スペース92に配置されている。すなわち、バッテリハウジング62の第2バッテリ収容部64及び隔壁65は、第2スペース92において、第1バッテリ収容部63に連結されていることになる。
【0050】
また、本実施例において、第2バッテリ収容部64及び隔壁65の車幅方向Bにおける幅は、サイドレール間の距離D1よりも大きいだけでなく、サイドレール11のウェブ間の距離よりも大きい。すなわち、第2バッテリ収容部64及び隔壁65は、サイドレール11よりも側方に向けて突出していることになる。ここで、ウェブ間の距離とは、左サイドレール11Lのウェブ14の車幅方向外側端面14aから、右サイドレール11Rのウェブ14の車幅方向外側端面14aまでの距離D2である。
【0051】
このような第2バッテリ収容部64の位置により、その内部に収容される第2バッテリモジュール74は、サイドレール11の下方に配置されるとともに、左サイドレール11Lから右サイドレール11Rに向けて(すなわち、車幅方向Bに)延在し且つ並置されている。ここで、第2スペース92は、第1スペース91と比較してサイドレール11による部品配置の制約が少ない。このため、バッテリセル74bの配列方向を車幅方向Bとしても、より多くのバッテリセル74bを配列することが可能となる。すなわち、バッテリセル74bの配列数量が限定されることがなくなり、電動車両1に要求される仕様に対応させて、第2バッテリモジュール74及びバッテリパック60の設計を容易に行えることになる。換言すると、第2スペース92における、第2バッテリモジュール74及びバッテリパック60の設計の自由度を向上させることが可能となり、バッテリ容量の増大につながることになる。
【0052】
これに対して、バッテリセル74bの配列方向を車長方向aにすると、バッテリ容量の増大を図ることは可能なものの、第2バッテリモジュール74の寸法によっては車長方向aにも複数の第2バッテリモジュール74が並置されることになり、第2バッテリモジュール74同士の電気的な接続配線が複雑化する虞がある。すなわち、第2スペース92における、第2バッテリモジュール74及びバッテリパック60の設計の自由度を十分に向上させることができない場合がある。
【0053】
以上のことから、上記のような第1バッテリモジュール73と第2バッテリモジュール74との延在方向、及びバッテリセル73bとバッテリセル74bの配列方向は互いに異なるとともに、各方向が限定されている。そして、両モジュールの配置関係は、各モジュールの延在方向が直交していることになる。
【0054】
また、本実施例においては、第1バッテリモジュール73と第2バッテリモジュール74を同一とするため、バッテリモジュール及びバッテリパック60自体の製造コストを低減することもできる。更に、バッテリパック60内に使用されるバッテリモジュールが共通化されるため、バッテリモジュール同士の出力電圧の相違による問題が生じることなく、バッテリパック60としての信頼性の向上にもつながることになる。
【0055】
そして、上記バッテリハウジング62の構成、及びサイドレール11とバッテリハウジング62との配置関係により、サイドレール11の周辺のスペースを有効に活用してバッテリ61を搭載することができる。このため、電動車両1に搭載可能なバッテリ容量の増大が図られることになる。
【0056】
特に、本実施例においては、第2バッテリ収容部64の車幅方向Bにおける幅がサイドレール11のウェブ間の距離よりも大きいため、搭載可能なバッテリ容量の増大が更に図られている。更に、第1バッテリ収容部63がサイドレール11によって挟まれているため、側突安全性の向上も図られることになる。
【0057】
これらのことから、本実施例に係るバッテリパック60は、電動車両1に搭載可能なバッテリ容量を増大しつつ、限れた設置可能領域でバッテリの仕様要求を満たすことができることになる。
【0058】
また、本実施例においては、第2バッテリ収容部64に収容される第2バッテリモジュール74の数量(4個)は、第1バッテリ収容部63に収容される第1バッテリモジュール73の数量(2個)の整数倍となっている。このように設定する理由としては、本実施例のバッテリパック60の構成において、2つのバッテリモジュールが直列に接続されることにより、1つのバッテリ群が構成され、当該バッテリ群の出力電圧がバッテリパック60の出力電圧と同一となっているためである。すなわち、第1バッテリ収容部63において形成されたバッテリ群と同一構成のバッテリ群を、第2バッテリ収容部64においても複数形成することが可能となり、当該バッテリ群を構成しない第2バッテリモジュール74が存在しないことになり、バッテリパック60としての出力電圧の安定化及び接続回路の簡素化を容易に図れることになる。
【0059】
なお、第1バッテリ収容部63に収容される第1バッテリモジュール73の数量を3個とし、当該3個の第1バッテリモジュール73によって1つのバッテリ群を構成する場合には、第2バッテリ収容部64に収容される第2バッテリモジュール74の数量を、6個、9個等の3の倍数個にしてもよい。当然のことながら、第1バッテリモジュール73の数量に応じて、第2バッテリモジュール74の数量は、他の整数倍としてもよい。このような場合であっても、当該バッテリ群を構成しないバッテリモジュールが存在しないことになり、バッテリパック60としての出力電圧の安定化及び接続回路の簡素化を容易に図れることになる。
【0060】
<第二実施例>
上述した第1実施例においては、第2バッテリ収容部64の車幅方向Bにおける幅がサイドレール11のウェブ間の距離よりも大きくなっていたが、サイドレール11のウェブ間の距離よりも小さくてもよい。このような構成のバッテリパックを第二実施例として、
図7を参照しつつ説明する。ここで、
図7は、第二実施例に係るバッテリパックとサイドレールとの位置関係を示す正面図である。
【0061】
図7に示すように、本実施例に係るバッテリパック60においては、第2バッテリ収容部64の車幅方向Bにおける幅が、サイドレール11のウェブ間の距離D2よりも小さく、且つサイドレール間の距離D1よりも大きくなっている。このような構成及び位置関係とすることにより、電動車両1に搭載可能なバッテリ容量の減少を防ぎつつも、第2バッテリ収容部64における側突安全性の向上が図られることになる。
【0062】
なお、第2バッテリ収容部64における側突安全性を更に向上させる観点から、電動車両1に必要なバッテリ容量を確保できる範囲において、第2バッテリ収容部64の車幅方向Bにおける幅をサイドレール間の距離D1よりも小さくしてもよい。
【0063】
<第三実施例>
第一実施例に係るバッテリパック60においては、第1バッテリ収容部63に2つの第1バッテリモジュール73が収容され、第2バッテリ収容部64に4つの第2バッテリモジュール74が収容されていたが、バッテリモジュールの形状を変更することにより、当該数量を変更してもよい。以下において、第1バッテリ収容部63に1つの第1バッテリモジュール73’が収容され、第2バッテリ収容部64に2つの第2バッテリモジュール74’が収容される場合を第三実施例として、
図8及び
図9を参照しつつ説明する。ここで、
図8は、
図3と同様にして示す、本発明の第三実施例に係るバッテリパックの断面図であり、
図9は、本発明の第三実施例に係るバッテリパックの断面図である。
【0064】
図8及び
図9から分かるように、本実施例に係るバッテリパック60’は、第一実施例に係るバッテリパック60と比較して、各バッテリモジュールの形状及び収容される数量が異なっており、その他の形状及び構造は同一である。このため、第一実施例に係るバッテリパック60と同一部分については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0065】
図8及び
図9からわかるように、第1バッテリモジュール73’及び第2バッテリモジュール74’において、正極端子及び負極端子が設けられた面の幅が第一実施例の場合と比較して大きく、矩形状となっている。このため、本実施例におけるバッテリセル(図示せず)においては、配列収容される際に互いに対向する面が矩形状となり、第一実施例よりも表面積が大きく、蓄電容量も大きくなっている。
【0066】
このような第1バッテリモジュール73’及び第2バッテリモジュール74’の構造により、第一実施例と比較してバッテリ収容数が少なくなり、第1バッテリ収容部63に1つの第1バッテリモジュール73’が収容され、第2バッテリ収容部64に2つの第2バッテリモジュール74’が収容されている。このような場合であっても、第1バッテリモジュール73’と第2バッテリモジュール74’との延在方向は直交し、更には第1バッテリモジュール73’を構成するバッテリセルと第2バッテリモジュール74’を構成するバッテリセルの配列方向も直交することになる。そして、第1バッテリモジュール73’の延在方向及び第1バッテリモジュール73’を構成するバッテリセルの配列方向は車長方向Aに限定されるとともに、第2バッテリモジュール74’の延在方向及び第2バッテリモジュール74’を構成するバッテリセルの配列方向は車幅方向Bに限定されている。
【0067】
このため、第一実施例と同様に、本実施例に係るバッテリパック60’は、電動車両1に搭載可能なバッテリ容量を増大しつつ、限れた設置可能領域でバッテリの仕様要求を満たすことができることになる。