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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-207111(P2019-207111A)
(43)【公開日】2019年12月5日
(54)【発明の名称】風向計
(51)【国際特許分類】
   G01P 13/00 20060101AFI20191108BHJP
【FI】
   G01P13/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2018-101306(P2018-101306)
(22)【出願日】2018年5月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】特許業務法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 貴郁
(72)【発明者】
【氏名】松井 啓仁
(72)【発明者】
【氏名】尾▲崎▼ 幸克
(72)【発明者】
【氏名】神谷 康孝
(72)【発明者】
【氏名】山田 勇次
【テーマコード(参考)】
2F034
【Fターム(参考)】
2F034AA02
2F034DA09
2F034DA18
2F034DB01
2F034DB09
(57)【要約】
【課題】感温素子を用いる風向計において、熱伝導体の熱により生ずる上昇気流に起因する計測誤差を低減する。
【解決手段】風向風速計1は、熱伝導体2と、熱伝導体2の内部に配置されたヒータ32と、熱伝導体2の表面に配置された感温素子(3−1、…、3−16)と、感温素子が検出した温度に基づいて風向を算出する処理部81とを備える。処理部81は、風速が発熱量の変更要件に当てはまると(S135:Yes)、ヒータ32の発熱量を低発熱量αと高発熱量βとの間で切り替える(S140)。風速が大きいときは高発熱量βにして良好な検出感度を維持でき、風速が小さいときには低発熱量αにするから上昇気流が風向計測に誤差を生じさせるのを抑制できる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱を伝導可能な熱伝導体(2)と、
前記熱伝導体の内部に配置されたヒータ(32)と、
前記熱伝導体の表面に配置されると共に、流れる空気から熱的に影響を受ける位置に配置され、自己の温度に応じて電気的特性が変化する複数個の感温素子(3−1、…、3−16)と、
前記複数個の感温素子の電気的特性に応じて前記空気の風向を算出すると共に前記ヒータの発熱量を制御する処理部(81)と、を備え、
前記処理部は、前記熱伝導体の周囲の風速が低下したことに基づいて、前記ヒータの発熱量に関する第1の発熱量制御から、前記第1の発熱量制御よりも前記ヒータの発熱量が小さい第2の発熱量制御に切り替える、風向計。
【請求項2】
前記処理部は、起動時には前記第1の発熱量制御によって前記ヒータの発熱量を制御し、前記風向の算出を開始する前に前記ヒータの温度または発熱量が基準値以上になると、前記第2の発熱量制御によって前記ヒータの発熱量を制御して前記風向の算出を開始することを特徴とする請求項1に記載の風向計。
【請求項3】
前記処理部は、前記第1の発熱量制御において、前記複数個の感温素子の温度の平均値と前記熱伝導体の周囲の空気の温度差が第1の一定値よりも大きいときに前記温度差を低減するよう前記ヒータの発熱量を制御し、かつ、前記温度差が前記第1の一定値よりも小さいときに前記温度差を増大させるよう前記ヒータの発熱量を制御し、
更に前記処理部は、前記第2の発熱量制御において、前記温度差が第2の一定値よりも大きいときに前記温度差を低減するよう前記ヒータの発熱量を制御し、かつ、前記温度差が前記第2の一定値よりも小さいときに前記温度差を増大させるよう前記ヒータの発熱量を制御し、
前記第2の一定値は前記第1の一定値よりも小さい請求項1または2に記載の風向計。
【請求項4】
前記処理部は、前記第1の発熱量制御において、前記熱伝導体の内部の温度と前記熱伝導体の周囲の空気の温度差が第1の一定値よりも大きいときに前記温度差を低減するよう前記ヒータの発熱量を制御し、かつ、前記温度差が前記第1の一定値よりも小さいときに前記温度差を増大させるよう前記ヒータの発熱量を制御し、
更に前記処理部は、前記第2の発熱量制御において、前記温度差が第2の一定値よりも大きいときに前記温度差を低減するよう前記ヒータの発熱量を制御し、かつ、前記温度差が前記第2の一定値よりも小さいときに前記温度差を増大させるよう前記ヒータの発熱量を制御し、
前記第2の一定値は前記第1の一定値よりも小さい請求項1または2に記載の風向計。
【請求項5】
前記処理部は、前記複数個の感温素子が検出した温度に基づいて、前記空気の風速を算出し、算出した前記風速に応じて前記第1の発熱量制御と前記第2の発熱量制御を含む複数の発熱量制御のうちから1つの発熱量制御を選択し、選択した前記1つの発熱量制御にて前記ヒータの発熱量を制御する請求項1ないし4のいずれか1つに記載の風向計。
【請求項6】
前記処理部は、前記第2の発熱量制御を選択しているとき、算出した前記風速が閾値Aを超えると前記第2の発熱量制御から前記第1の発熱量制御に切り替え、
前記処理部は、前記第1の発熱量制御を選択しているとき、前記風速が前記閾値Aよりも小さい閾値Bを下回ると前記第1の発熱量制御から前記第2の発熱量制御に切り替える請求項5に記載の風向計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風向計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、熱伝導体の表面に配置された感温素子を用いて風向を検出する装置が知られている。例えば、特許文献1に記載の風向風速計では、熱伝導体の中心にヒータが配置され、熱伝導体の表面の風に触れる複数箇所に熱電対が取り付けられる。この風向風速計では、ヒータが発した熱が熱伝導体を介して熱電対に伝わると共に、風によって熱電対が冷却される。これら熱電対によって検出された温度に基づいて、風向および風速が計測可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−019195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、発明者の検討により、特許文献1に記載のような風向風速計には、以下のような問題点があることがわかった。従来の風向風速計ではヒータの発熱量を一定として動作させて風向を計測していたため、そのヒータの発熱量を強風の計測に好適となるように大きく設定すると、風速が小さい状況ではヒータに由来する熱で熱伝導体の周囲に発生する上昇気流が風向計測に誤差を生じさせるという問題である。
【0005】
本発明は上記点に鑑み、熱伝導体の表面に配置された感温素子を用いて風向を検出する技術において、ヒータ由来の熱で熱伝導体の周囲に発生した上昇気流による計測誤差を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、熱を伝導可能な熱伝導体(2)と、前記熱伝導体の内部に配置されたヒータ(32)と、前記熱伝導体の表面に配置されると共に、流れる空気から熱的に影響を受ける位置に配置され、自己の温度に応じて電気的特性が変化する複数個の感温素子(3−1、…、3−16)と、前記複数個の感温素子の電気的特性に応じて前記空気の風向を算出すると共に前記ヒータの発熱量を制御する処理部(81)と、を備え、前記処理部は、前記熱伝導体の周囲の風速が低下したことに基づいて、前記ヒータの発熱量に関する第1の発熱量制御から、前記第1の発熱量制御よりも前記ヒータの発熱量が小さい第2の発熱量制御に切り替える、風向計である。
【0007】
このようにすることで、風速が大きいときにはヒータの発熱量を高くして良好な検出感度を維持でき、風速が小さいときにはヒータの発熱量を低発熱量にして上昇気流が風向計測に誤差を生じさせるのを抑制できる。
【0008】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態における車両のエンジンルームにおける風向風速計の配置を示す図である。
図2】風向風速計の全体構成図である。
図3】風向風速計の本体部の平面図である。
図4図3のIV−IV断面図である。
図5】感温素子の拡大図である。
図6】算出回路の構成を示す図である。
図7】処理部が実行する処理のフローチャートである。
図8図7のS125とS130の処理において処理部が使用する温度差−風速マップの説明図である。
図9図7のS135の処理において処理部が使用する風速−発熱量マップである。
図10】ヒータに由来する熱で本体部の周囲に発生する上昇気流を説明するための模式図である。
図11図10に示す上昇気流による計測誤差を説明するための模式図である。
図12】ヒータ32の発熱量とヒータ32に由来する熱で生じる上昇気流の流速との関係を示すグラフである。
図13】第2実施形態において処理部が使用する風速−発熱量マップである。
図14】処理部が実行する処理のフローチャートである。
図15】処理部が使用する風速−熱伝達率マップである。
図16】第4実施形態において処理部が実行する初期発熱量決定処理のフローチャートである。
図17】第5実施形態で処理部が実行する処理のフローチャートである。
図18】第5実施形態において処理部が使用する風速−発熱量マップである。
図19】第6実施形態で処理部が実行する処理のフローチャートである。
図20】第6実施形態において処理部が使用する風速−発熱量マップである。
図21】第7実施形態において処理部が実行する初期発熱量決定処理のフローチャートである。
図22】第8実施形態において処理部が実行する初期発熱量決定処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0011】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態について説明する。図1に示すように、車両10は、エンジン114が車両前方に搭載されたエンジン車両である。車両10は、車両ボデー116、車両フード118、エンジン114、シャッター115、クーリングモジュール120等を備えている。
【0012】
エンジンルーム112は車両ボデー116および車両フード118に取り囲まれることによって形成されている。エンジンルーム112内には、車両10の駆動力を発生する内燃機関であるエンジン114が収容されている。エンジンルーム112の上方は車両フード118で覆われている。
【0013】
エンジンルーム112の前方は、エンジンルーム112外の空気すなわち外気をエンジンルーム112内に流通させるため、およびエンジンルーム112内の空気を車両10の外に出すために、開口している。すなわち、車両10においてエンジンルーム112の前方には、エンジンルーム112から車両よりも前方の空間に開口した開口孔112aが形成されている。
【0014】
シャッター115は、開口孔112aにおいて、クーリングモジュール120よりも車両前方側に配置されている。シャッター115は、開閉可能に制御され、開成時には車両よりも前方の空間とエンジンルーム112とを繋ぐ空気通路の開口面積を最大とし、閉成時には当該開口面積を最小とする。
【0015】
クーリングモジュール120は、車両10に搭載された空調装置の冷媒とエンジン冷却液とを冷却すると共にエンジンルーム112内に送風するユニットであり、エンジンルーム112前方の開口孔112aに設けられている。クーリングモジュール120は、空調用の室外熱交換器122と、エンジン冷却液と空気を熱交換させるラジエータ124と、送風機126とを含んで構成されている。そして、この室外熱交換器122、ラジエータ124、および送風機126は、車両前方から順に、室外熱交換器122、ラジエータ124、送風機126の順番で配置されている。そのため、送風機126は、エンジンルーム112内にて空気流れを生じさせると共に、室外熱交換器122およびラジエータ124に空気を流す。
【0016】
また、エンジン114はエンジンルーム112内に収容されているが、エンジン114とエンジン114の上方に配置された車両フード118との間には、エンジン上部隙間112bが形成されている。このエンジン上部隙間112bはエンジンルーム112内においてエンジン114の前方と後方との間で空気が流通できるように、すなわち、エンジン114の前方の空間と後方の空間112cとをつなぐように形成されている。
【0017】
送風機126は、車両よりも前方の空間からエンジンルーム112内へエンジンルーム112外の空気を流入させる第1送風方向と、エンジンルーム112内の空気をエンジン114側からシャッター115側へと流す第2送風方向とにそれぞれ送風可能となっている。例えば、送風機126が軸流ファン等のファンである場合、第1送風方向が実現されるときと第2送風方向が実現されるときのファンの回転方向が逆である。
【0018】
例えば、冷房時には、シャッター115が開成され、車両よりも前方の空間からクーリングモジュール120および送風機126を通ってエンジンルーム112内に空気が流れる。すなわち、第1送風方向に空気が流れる。そして、この空気との熱交換により、室外熱交換器122内を流れる冷媒が凝縮し、かつ、ラジエータ124内の冷却液が冷却される。
【0019】
また例えば、暖房時、特に暖房開始時には、シャッター115が閉成され、送風機126よりもエンジン114側の空間から送風機126よりもシャッター115側の空間に空気が流れる。すなわち、第2送風方向に空気が流れる。そして、この空気との熱交換により、室外熱交換器122内を流れる冷媒が加熱されて蒸発し、かつ、ラジエータ124内のエンジン冷却液が加熱される。また例えば、暖房時には、室外熱交換器122を流れる冷媒を十分加熱し、かつ、エンジン冷却液をオーバーヒートさせないよう、シャッター115の開閉が繰り返される。
【0020】
このように、シャッター115が開閉し、また、第1送風方向と第2送風方向が交互に切り替わることで、エンジンルーム112内の温度分布が大きく変動する。しかもその変動の振る舞いは、エンジンルーム112内の位置によって大きく異なる。従って、エンジンルーム112内の複数の箇所で風速および風向を検出する必要性が生じる。また、車両10は、移動速度の変動が大きいので、エンジンルーム112内の風速の変動幅が大きい。
【0021】
図1に示すように、風向風速計1は、エンジンルーム112内で、エンジン114よりも前方かつ送風機126よりも後方に1個、エンジン上部隙間112bに1個、エンジン114よりも後方の空間112cに1個、配置されている。これら風向風速計1は、すべて同等の構成を有している。以下、これらの風向風速計1の個々の構成について説明する。
【0022】
図2図3図4に示すように、1つの風向風速計1は、本体部20、16個の感温素子3−1、…、3−16、複数本の配線6、電源回路7、算出回路8、外気温センサ9、および収容ケース11を有している。風向風速計1は、風向風速計1の周囲を流れる風の向きおよび速さを計測し、計測結果を電気信号として出力する。本体部20は、熱伝導体2と、支柱4と、ヒータカバー31と、ヒータ32と、ヒータ温度センサ33とを有する。
【0023】
熱伝導体2は、計測すべき方位に対して断面形状が円形となる電気的絶縁体である。具体的には、熱伝導体2は、樹脂製またはセラミック製の略球形状の、熱を伝導可能な筐体である。ただし、熱伝導体2の内部には、熱伝導体2の中心から熱伝導体2の表面まで柱状に伸びる孔37が形成されている。熱伝導体2に用いられる材料は、例えば、ポリアミドまたはPEEKである。PEEKは、ポリエーテルエーテルケトンの略である。
【0024】
支柱4は、熱伝導体2の下端部に固定された中空の円筒形状の部材である。具体的には、支柱4は、図4に示すように、支柱4の内部空間である貫通孔41と熱伝導体2の孔37とが連通した状態で、熱伝導体2に固定されている。この固定により、支柱4は、熱伝導体2を支持する機能を有する。支柱4の他端は収容ケース11に固定されている。支柱4の貫通孔41は、熱伝導体2側とは反対側の端部において、収容ケース11の内部と連通している。
【0025】
ヒータカバー31は、ヒータ32とヒータ温度センサ33を覆う樹脂製またはセラミック製の部材であり、孔37の内部に稠密に充填されている。したがって、ヒータ32、ヒータ温度センサ33およびヒータカバー31は、熱伝導体2の内部、具体的には孔37内に配置されている。また、ヒータ32は略球形状である熱伝導体2の中心部に位置し、ヒータ温度センサ33はヒータ32の近傍に配置されている。このように、孔37は、ヒータ32、ヒータ温度センサ33およびヒータカバー31を受け入れるために形成された孔である。
【0026】
ヒータ32は、電源回路7から給電されることで発熱する。例えば、ヒータ32は、電熱線で構成されていてもよい。ヒータ32の発熱によって発生した熱は、熱伝導によりヒータカバー31、熱伝導体2をこの順に伝わり、熱伝導体2から感温素子3−1、…、3−16に熱伝導により伝わる。
【0027】
16個の感温素子3−1、…、3−16は、図2図3図4に示すように、熱伝導体2の表面の互いに異なる位置に分散して貼り付けられている。これにより、感温素子3−1、…、3−16は、裏面で熱伝導体2と接触すると共に、表面で熱伝導体2の周囲を流れる空気(すなわち外気)に接触する。したがって、感温素子3−1、…、3−16は、外気と熱伝導により熱交換することで、外気から熱的に影響を受ける。
【0028】
図2図3に示すように、感温素子3−1、…、3−16の中心位置は、方位角が22.5度ずつずれて0°から337.5°まで等間隔で配置されている。また、図2図3に示すように、感温素子3−1、…、3−16の中心位置の各々は、極角が−45°、0°、45°のいずれかに配置されており、かつ、方位角について隣り合う感温素子に対して極角が45度ずれて配置されている。また、中心位置の極角が−45°に配置されている感温素子3−1、3−5、3−9、3−13の各々と方位角が隣り合う2つの感温素子は、中心位置の極角が0°である。また、中心位置の極角が45°に配置されている感温素子3−3、3−7、3−11、3−15の各々と方位角が隣り合う2つの感温素子も、中心位置の極角が0°である。また、中心位置の極角が0°に配置されている感温素子3−2、3−4、3−6、3−8、3−10、3−12、3−14、3−16、と方位角が隣り合う2つの感温素子のうち、一方の感温素子の中心位置の極角が−45°であり、他方の感温素子の中心位置の極角が45°である。
【0029】
ここで、極角および方位角は、熱伝導体2の中心を中心とする球面座標表示における極角θおよび方位角φである。より具体的には、ある方向の極角は、その方向とz軸方向が成す角度であり、その方向の方位角は、その方向をx−y平面に射影した方向とx軸方向とが成す角度である。本実施形態では、z軸は、熱伝導体2の中心を通り、図2中上下方向に伸びる軸であり、x軸は当該中心を通りz軸に直交する軸であり、y軸は当該中心を通りz軸およびx軸に直交する軸である。また、x−y平面は、x軸とy軸とを含む平面である。
【0030】
感温素子3−1、…、3−16の各々は、導電性金属から成る。感温素子3−1、…、3−16の各々は、図5に示すように蛇行しながら一端から他端まで伸びている。
【0031】
感温素子3−1、…、3−16の各々は、通電されると発熱する電気抵抗であるが、その発熱量は、ヒータ32の発熱量に比べると無視できるほど小さい。したがって、感温素子3−1、…、3−16は、熱伝導体2の周囲を流れる空気以外に由来して当該空気から伝わる熱以外の熱によって、具体的には、ヒータ32によって生成されてヒータカバー31、熱伝導体2を伝導した熱によって、温度上昇する。感温素子3−1、…、3−16に用いられる金属は、温度が上昇するにつれて電気抵抗値(以下、単に抵抗値という)が増大する。つまり、感温素子3−1、…、3−16は、自己の温度に応じて電気的特性すなわち抵抗値が変化する。例えば、感温素子3−1、…、3−16は、温度が上昇すると抵抗値が高くなる。
【0032】
図2図3図6に示すように、配線6は感温素子3−1、…、3−16を直列に接続すると共に、感温素子3−1、…、3−16の各々を算出回路8に接続する導線である。配線6の一部は、感温素子3−1、…、3−16の両端から伸びて熱伝導体2の表面に配置され、熱伝導体2の表面に沿って伸びる。配線6の残りの一部は、図4に示すように、熱伝導体2と支柱4の隙間から熱伝導体2の内部に入り、支柱4の貫通孔41を経て収容ケース11の内部に引き込まれている。収容ケース11の内部には算出回路8が収容されており、配線6は算出回路8に接続されている。
【0033】
外気温センサ9は、本体部20の近傍に配置され、収容ケース11の外面に取り付けられている。外気温センサ9は、エンジンルーム112内かつ本体部20の周囲の空気の温度(すなわち外気温)に応じた電気信号を算出回路8に出力するセンサである。
【0034】
ヒータ温度センサ33は、ヒータ32の近傍に配置されているため、ヒータ32の温度に応じた電気信号を出力できる。このヒータ温度センサ33の電気信号も算出回路8に入力される。
【0035】
電源回路7はヒータ32に給電するための回路基板であり、収容ケース11に収容されている。電源回路7とヒータ32とは給電ケーブル34を用いて接続されている。給電ケーブル34も、貫通孔41および収容ケース11の内部空間を通ってヒータ32から算出回路8まで延びている。電源回路7はヒータ32に給電する電力を変化させることにより、ヒータ32の発熱量を変化させることができる。電源回路7は算出回路8に接続されており、算出回路8による制御を受ける。
【0036】
算出回路8は、図6に示すように、16個の電圧計V1、…、V16、処理部81、電流源82を有している。電圧計V1、…、V16は、感温素子3−1、…、3−16に、この順に一対一に対応している。電圧計V1、…、V16の各々から、対応する感温素子の両端間の電圧に応じた信号が、処理部81に入力される。
【0037】
このように、電圧計V1、…、V16の各々は、対応する感温素子に及ぼされる電流および電圧のうち一方の電気的物理量(すなわち電圧)を検出する電気的物理量計である。そして、電流源82は、感温素子3−1、…、3−16に及ぼされる電流および電圧のうち上記一方の電気的物理量(すなわち電圧)とは異なる他方の電気的物理量(すなわち電流)を制御する電源である。
【0038】
処理部81は、CPU、RAM、ROM等を備えた周知のマイクロコンピュータである。CPUは、ROMに記録されたプログラムを実行し、その際にRAMを作業領域として使用する。CPUがプログラムを実行することにより、処理部81が後述する種々の処理を実行する。
【0039】
電流源82は、感温素子3−1、…、3−16に所定の電流を供給する回路である。電流源82から供給される電流の電流値は、処理部81によって制御可能となっている。
【0040】
収容ケース11は、上述のように電源回路7および算出回路8を収容するとともに本体部20および外気温センサ9を保持している。そして、収容ケース11は、風向風速計1をエンジンルーム112に取り付けるためにも使用されている。すなわち、収容ケース11が、風向風速計1以外のエンジンルーム112内の物に固定される。
【0041】
以上のような構成の風向風速計1の作動について、算出回路8の処理部81が実行する処理に従って説明する。
【0042】
算出回路8が起動すると、処理部81は、図7に示す処理を開始する。
【0043】
図7の処理において、処理部81は、まず初期発熱量を目標発熱量として決定し、電源回路7をオンにさせるとともに、目標発熱量に対応する電力を電源回路7からヒータ32に給電させる(S100)。
【0044】
ヒータ32の目標発熱量の設定値としては、発熱量αと発熱量βの2つがある。発熱量αの方が相対的に低発熱量、発熱量βの方が相対的に高発熱量である。初期発熱量は発熱量αと発熱量βのいずれか一方を初期発熱量として選択する処理となる。発熱量αと発熱量βのいずれでもよい。例えば、本実施形態では高発熱量の発熱量βを初期発熱量にする。なお、目標発熱量を発熱量βにする制御は第1発熱量制御に対応し、目標発熱量を発熱量αにする制御は第2発熱量制御に対応する。
【0045】
電源回路7からの給電により、ヒータ32は発熱する。ヒータ32で発生した熱は、熱伝導によりヒータカバー31、熱伝導体2を伝わり、更に熱伝導により熱伝導体2から感温素子3−1、…、3−16に伝わる。
【0046】
感温素子3−1、…、3−16は、ヒータ32から伝えられた熱によって熱せられ、感温素子3−1、…、3−16の周囲を流れる風によって冷却される。したがって、感温素子3−1、…、3−16の温度に基づいて、感温素子3−1、…、3−16の周囲を流れる風の風速および風向を計測できる。
【0047】
次に、処理部81は感温素子3−1、…、3−16の温度を以下のような方法で計測する(S105)。まず、処理部81は、感温素子3−1、…、3−16に所定の一定電流値の電流が供給されるよう、電流源82を制御する。これにより、電流源82は、一定の電流値の電流を感温素子3−1、…、3−16に供給する。
【0048】
また、処理部81は、上述のように電流源82を制御している期間中に、電圧計V1、…、V16から入力された信号に基づいて、感温素子3−1、…、3−16の両端に印加された16個の電圧値を特定する。そして処理部81は、16個の電圧値を特定する度に、これら電圧値に基づいて、感温素子3−1、…、3−16の各々の温度を特定する。
【0049】
具体的には、処理部81は、感温素子3−1、…、3−16の各々について、当該感温素子の両端に印加された電圧値と、上述の一定電流値に基づいて、当該感温素子の抵抗値を算出する。そして処理部81は、算出した抵抗値を、ROMにあらかじめ記録されている抵抗値−温度テーブルに適用することで、当該感温素子が当該抵抗値を示すときの当該感温素子の温度を特定する。抵抗値−温度テーブルは、抵抗値と、感温素子3−1、…、3−16が当該抵抗値を示すときの当該感温素子の温度との対応関係を表すデータである。
【0050】
続いて、処理部81は、S105で特定した感温素子3−1、…、3−16の温度分布に基づいて風向を算出する。(S110)。以下は、その一例である。
【0051】
処理部81は、まず、16個の感温素子3−1、…、3−16の温度のうち、低いものから順に5点P1〜P5の温度Ts、中心位置の極角θ、中心位置の方位角のデータ、P1:(θ1,φ1,Ts1)〜P5:(θ5,φ5,Ts5)を抽出する。ここでは、温度Ts1、Ts2、Ts3、Ts4、Ts5はすべて異なる値であるとする。
【0052】
続いて処理部81は、抽出した5点の温度と座標に基づいて、風向を算出する。算出方法は、感温素子3−1、…、3−16の各々の温度Tsが以下の式(1)のように極角θ、方位角φの関数で近似されることを利用する。
Ts=aθ+bφ+cθ+dφ+e (1)
ここで、Tsは、対象となる感温素子の温度、θおよびφは当該感温素子の中心位置の極角および方位角である。またa、b、c、d、eは定数である。
【0053】
具体的には、処理部81は、温度Ts1、Ts2、Ts3、Ts4、Ts5を示した感温素子について、温度、中心位置の極角、中心位置の方位角の3つの値を上記式(1)に代入する。それにより、a、b、c、d、eに関する5つの連立方程式(2)、(3)、(4)、(5)、(6)を得る。
Ts1=aθ1+bφ1+cθ1+dφ1+e (2)
Ts2=aθ2+bφ2+cθ2+dφ2+e (3)
Ts3=aθ3+bφ3+cθ3+dφ3+e (4)
Ts4=aθ4+bφ4+cθ4+dφ4+e (5)
Ts5=aθ5+bφ5+cθ5+dφ5+e (6)
処理部81は、この連立方程式を解いてa、b、c、d、eを算出する。そして、算出したa、b、c、d、eを式(1)に代入し、Tsが最小となるθ、φを算出する。そして、処理部81は、算出したθ、φの位置から熱伝導体2の中心に向かう方向を、風向として決定する。
【0054】
次に、処理部81は、S105で特定した感温素子3−1、…、3−16の温度の総和を16で除算して感温素子の平均温度を算出し、その平均温度と外気温センサ9からの信号に基づいて特定した外気温との温度差を計測する(S115)。
【0055】
そして、処理部81は、現在のヒータ32の目標発熱量が高発熱量(発熱量β)であるか否かを判断する(S120)。すなわち、現在の発熱量制御が第1発熱量制御であるか第2発熱量制御であるかを判定する。ここで肯定判断(S120:Yes)であれば、S115で計測した温度差に基づいて、感温素子3−1、…、3−16の周囲を流れる風の速度(すなわち風速)を判定する(S125)。
【0056】
風速判定は、温度差と風速との対応関係を規定した温度差−風速マップを用いて行われる。温度差−風速マップの構成は図8に示す通りであり、高発熱量用の温度差−風速マップ201と低発熱量用の温度差−風速マップ202とが処理部81のROMにあらかじめ記憶されている。
【0057】
S125では高発熱量用の温度差−風速マップ201にS115で計測した温度差を適用することで、風速を判定する。一方、S120で否定判断(S120:No)のときは、S115で計測した温度差を低発熱量用の温度差−風速マップ202に適用して風速を判定する。
【0058】
ここで、高発熱量用の温度差−風速マップ201と低発熱量用の温度差−風速マップ202の特性について説明する。同じ風速に対しては、マップ201の方がマップ202の方よりも、風速の検出感度が高い。すなわち、風速の変化量に対する温度差の変動量が大きい。また、マップ201、202のどちらにおいても、風速が高くなるほど、風速の検出感度が低下する。
【0059】
次に、処理部81は、S125またはS130で得た風速が発熱量の変更要件に当てはまるか否かを判断する(S135)。
【0060】
ここでの判断は、図9に示す風速−発熱量マップを用いて行われる。具体的には、以下の(1)、(2)の処理のどちらか行われる。(1)現在のヒータ32の目標発熱量が低発熱量(発熱量α)である場合、風速が閾値Aを超えていれば、目標発熱量の変更要件に当てはまると判定し(S135:Yes)、風速が閾値Aを超えていなければ、目標発熱量の変更要件に当てはまらないと判定する(S135:No)。(2)現在のヒータ32の目標発熱量が高発熱量(発熱量β)である場合、風速が閾値Bを下回ると、目標発熱量の変更要件に当てはまると判定し(S135:Yes)、風速が閾値Bを下回らないと、目標発熱量の変更要件に当てはまらないと判定する(S135:No)。なお、閾値Aは閾値Bよりも大きい。
【0061】
そして、S135で否定判断(S135:No)のとき、ステップS105に戻り、現在の目標発熱量を維持したまま風向、風速の算出が継続される。また、S135で肯定判断(S135:Yes)のときS140が実行される。
【0062】
ステップS140では、現在のヒータ32の目標発熱量が低発熱量(発熱量α)である場合、目標発熱量を低発熱量(発熱量α)から高発熱量(発熱量β)に切り替える。すなわち、発熱量制御を第2発熱量制御から第1発熱量制御に切り替える。また、ステップS140では、現在のヒータ32の目標発熱量が高発熱量(発熱量β)である場合、目標発熱量を高発熱量(発熱量β)から低発熱量(発熱量α)に切り替える。すなわち、発熱量制御を第1発熱量制御から第2発熱量制御に切り替える。
【0063】
S140で目標発熱量を切り替えた場合、ヒータ32からの熱が伝導するヒータカバー31、熱伝導体2、感温素子3−1、…、3−16の温度が変化するので、これらの温度が安定するのを待つ必要がある。そのための処理がS145であり、処理部81はヒータ温度センサ33からの電気信号に基づいて、ヒータ32の近傍すなわち熱伝導体2の中心部の温度の変化率が、0.2℃/sec以下であるか否かを判断する。この変化率が、0.2℃/secより大きければ、ステップS145が繰り返される。この変化率が、0.2℃/sec以下になれば(S145:Yes)、温度が安定化したとしてS105に回帰し、風速と風向の算出を再開する。
【0064】
以上のような構成および作動の風向風速計1は、特許文献1に記載の風向風速計に比べて、計測精度が高い。このことの理由について、以下説明する。まず、本実施形態の風向風速計1は、ヒータ32を用いて熱伝導体2および感温素子3−1、…、3−16を加温している。この点は特許文献1に記載の風向風速計も同様である。すると、図10に示すように、ヒータ32に由来する熱で本体部20の周囲の空気が加熱されるために本体部20の周囲に上昇気流100が発生する。その上昇気流が感温素子の温度に基づいて算出される風向(計測値)に影響し、図11に例示するように、算出された風向206と本来の風向205とに誤差が生じる。また、上昇気流は風速の計測においても誤差の原因となる。
【0065】
本体部20の周囲に生じる上昇気流の流速は、図12に示すように、ヒータ32の発熱量が大きいほど速くなる。つまり、ヒータ32の発熱量を小さくすれば上昇気流の流速を小さくして、測定誤差を低減することができる。その一方で、図8に示すように、ヒータ32の発熱量が低くされている低発熱量用の温度差−風速マップ202では、風速が大きいときに検出感度が低くなる。逆に、ヒータ32の発熱量が高くされている高発熱量用の温度差−風速マップ201では風速が大きいときにも検出感度を維持できるが、上昇気流の流速が大きくなる。風速が大きいときなら上昇気流の影響も相対的に微小となるが、風速が小さいときには測定誤差に及ぼされる影響が大きくなる。なお、図12における実線204は、検出したい最低風速の1/10を示す。上昇気流が検出したい最低風速の1/10を超えると、風向の測定精度が非常に悪化する。
【0066】
すなわち、ヒータ32の発熱量を、特許文献1に記載の風向風速計のように、一定として動作させて風向を計測していたのでは、そのヒータの発熱量を強風の計測に好適となるように大きく設定すると、風速が小さい状況ではヒータに由来する熱で熱伝導体の周囲に発生する上昇気流が風向計測に誤差を生じさせるという問題を避けることができない。
【0067】
これに対して、本実施形態の風向風速計1は、ヒータ32の目標発熱量に低発熱量(発熱量α)と高発熱量(発熱量β)の2つがあり、風速の閾値A、B(A>B)を用いて、(1)現在のヒータ32の目標発熱量が低発熱量(発熱量α)で、風速が閾値A以下なら低発熱量(発熱量α)を維持し、風速が閾値Aを超えたなら目標発熱量を高発熱量(発熱量β)に切り替え、(2)現在のヒータ32の目標発熱量が高発熱量(発熱量β)で、風速が閾値B以上なら高発熱量(発熱量β)を維持し、風速が閾値Bを下回ると目標発熱量を低発熱量(発熱量α)に切り替えるので、風速が大きいときにはヒータ32の発熱量を高発熱量(発熱量β)にして良好な検出感度を維持でき、風速が小さいときにはヒータ32の発熱量を低発熱量(発熱量α)にして上昇気流が風向計測に誤差を生じさせるのを抑制できる。
【0068】
次に、本実施形態の風向風速計1は、ヒータ32の目標発熱量を低発熱量(発熱量α)と高発熱量(発熱量β)とで切り替え、ヒータ32の目標発熱量の切替に対応して、低発熱量用の温度差−風速マップ202と高発熱量用の温度差−風速マップ201とを切り替えている。その切替えに際して、風速の閾値A、B(A>B)を用いて図9に示すとおりのヒステリシスを設けている。
【0069】
ヒータ32の目標発熱量を低発熱量(発熱量α)から高発熱量(発熱量β)に切り替えた場合、ヒータ32の熱が本体部20(特に、熱伝導体2)に伝導して温度が安定するまでにはある程度の時間を要する。逆に切り替えた場合も熱伝導体2の温度が安定するまでにはある程度の時間を要する。
【0070】
仮に、1つの閾値(例えば、閾値Aのみ)によってヒータ32の目標発熱量を低発熱量(発熱量α)と高発熱量(発熱量β)とで切り替え、また温度差−風速マップ201、202も切り替える構成であると、閾値A付近では発熱量α、発熱量βの切り替えと、温度差−風速マップ201、202の切り替えとが頻発して計測が不安定化するおそれがある。
【0071】
しかし、本実施形態の風向風速計1は、上述の通りのヒステリシスを採用しているので、かかる不安定化の問題は生じない。
【0072】
(第2実施形態)
第1実施形態では、S135〜S140の発熱量切替において、ヒータ32の発熱量をα、βの2段階に切り替えているが、ヒータ32の発熱量の切替を3段階以上に構成することもできる。本実施形態はヒータ32の発熱量をα、β、γの3段階に切り替える構成である。なお、以下に説明する部分を除いて、本実施形態の構成や作動などは第1実施形態と同様であるから、それらについては第1実施形態の図と説明を援用して図示および説明を省略する。
【0073】
図13に示すように、本実施形態で使用する風速−発熱量マップにあっては、ヒータ32の目標発熱量が低発熱量α、中発熱量β、高発熱量γの3段階に設定されている(但し、α<β<γ)。また、風速の閾値も、閾値A、B、C、Dの4値が設定されている。各閾値間の大小関係は、C>D>A>Bである。ヒータ32の目標発熱量が低発熱量αとされる制御は、低発熱量制御に該当する。ヒータ32の目標発熱量が中発熱量βとされる制御は、中発熱量制御に該当する。ヒータ32の目標発熱量が高発熱量γとされる制御は、高発熱量制御に該当する。中発熱量制御と低発熱量制御との間の切り替えに関して見れば、中発熱量制御が第1発熱量制御に対応し、低発熱量制御が第2発熱量制御に対応する。高発熱量制御と中発熱量制御との間の切り替えに関して見れば、高発熱量制御が第1発熱量制御に対応し、中発熱量制御が第2発熱量制御に対応する。
【0074】
処理部81が実行する処理は、その概ねは図7と同様であるが、S135〜S140の他にS100、S120、S125、S130にも変更があるので、それらも併せて説明する。
【0075】
まず、S100では、処理部81は高発熱量γを初期発熱量にする設定である。
【0076】
次に、S120では、処理部81は、発熱量が低発熱量α、中発熱量β、高発熱量γのいずれであるかを判断する。
【0077】
続いて、S120の判断に従って、処理部81は風速判定用の温度差−風速マップを選択し、それに基づいて風速を判定する。本実施形態の場合、温度差−風速マップには低発熱量α用、中発熱量β用、高発熱量γ用の3種類があり、それらは処理部81のROMにあらかじめ記憶されている。したがって、S125、S130に相当する処理では、S115で計測した温度差を低発熱量α用、中発熱量β用または高発熱量γ用の温度差−風速マップに適用して風速を判定する。
【0078】
S135では、処理部81は、上記で得た風速が発熱量の変更要件に当てはまるか否かを、図13に示す風速−発熱量マップを用いて判断する。そして、S140ではS135での判断に応じて目標発熱量の切替を実行する。S135での判断内容とS140での処理との対応は次の通りである。
【0079】
(1)現在のヒータ32の目標発熱量が低発熱量αで、風速が閾値Aを超えていれば発熱量を増加する変更要件に当てはまり(S135:Yes)、目標発熱量を低発熱量αから中発熱量βに切り替える(S140)。
【0080】
(2)現在のヒータ32の目標発熱量が中発熱量βで、風速が閾値Bを下回ると発熱量を低下させる変更要件に当てはまり(S135:Yes)、目標発熱量を中発熱量βから低発熱量αに切り替える。
【0081】
(3)現在のヒータ32の目標発熱量が中発熱量βで、風速が閾値Cを超えていれば発熱量を増加する変更要件に当てはまり(S135:Yes)、目標発熱量を中発熱量βから高発熱量γに切り替える(S140)。
【0082】
(4)現在のヒータ32の目標発熱量が高発熱量γで、風速が閾値Dを下回れば発熱量を低下させる変更要件に当てはまり(S135:Yes)、目標発熱量を高発熱量γから中発熱量βに切り替える(S140)。
【0083】
本実施形態の風向風速計1は、計測した風速の大小に応じてヒータ32の発熱量を3段階に高低変化させるので、風速の大小変化に合わせて好適な発熱量を採用でき、そのことによって計測精度が向上している。また、本実施形態の風向風速計1は、図13に示す通りの2段階のヒステリシスを採用しているので、計測の安定化の点でも優れている。
【0084】
なお、第2実施形態の風向風速計1は、上記で説明した部分の他については、構成や作動などは第1実施形態と同様であるから、第1実施形態と同様の作用効果を発揮する。
【0085】
(第3実施形態)
風速の判定に熱伝導体2の熱伝達率を用いる構成を第3実施形態として説明する。なお、以下に説明する部分を除いて、本実施形態の構成や作動などは第1実施形態と同様であるから、それらについては第1実施形態の図と説明を援用して図示および説明を省略する。
【0086】
本実施形態において処理部81が実行する処理は、図14に示す通りである。S100、S105およびS110は第1実施形態と同様である。風速の判定に係る処理は、S116〜S118にて行われる。処理部81は、S116で下記の式(7)に従って熱伝導体2の熱伝達率h[W/(m2・K)]を算出する。
h=Q/{S・(T1−T2)} (7)
ここで、Qはヒータ32の発熱量であり、現在の目標発熱量が用いられる。T1は感温素子3−1、…、3−16の温度の総和を16で除算して算出した平均値、T2は外気温センサ9からの信号に基づいて特定した外気温である。Sは、熱伝導体2の表面積であり、予め処理部81のROMに記録されている。
【0087】
処理部81は、式(7)によって熱伝導体2の熱伝達率hを得たなら、続くS118で風速判定を行う。風速判定は、熱伝達率hと風速との対応関係を規定した熱伝達率−風速マップ203を用いて行われる。熱伝達率−風速マップ203の構成は図15に示す通りであり、処理部81のROMにあらかじめ記憶されている。
【0088】
S118に続いて行われるS135、S140およびS145は第1実施形態と同様である。
【0089】
本実施形態の風向風速計1は、風速の判定にあたって、熱伝導体2の熱伝達率hと風速との対応関係を利用している。この両者の関係はヒータ32の発熱量の大小による影響を受けないので、図15に示す1つの熱伝達率−風速マップ203だけを使用すればよく、第1実施形態のように2種類のマップ201、202を用意する必要がないという利点がある。
【0090】
なお、第3実施形態の風向風速計1は、上述した部分の他については、構成や作動などは第1実施形態と同様であるから、第1実施形態と同様の作用効果を発揮する。
【0091】
(第4実施形態)
図7および図14に示す処理部81の処理においては、S100の処理でヒータ32の初期発熱量として発熱量αと発熱量βのいずれか一方を択一的に決定し、その発熱量に対応する電力を電源回路7からヒータ32に給電させている。そして、直ちにS105(感温素子の温度計測)に移行している。
【0092】
そのS100における処理を図16に示すように変更することができる。その変更例を第4実施形態として説明する。なお、以下に説明する部分を除いて、本実施形態の構成や作動などは第1実施形態と同様であるから、それらについては第1実施形態の図と説明を援用して図示および説明を省略する。
【0093】
本実施形態において処理部81が初期発熱量を決定するための処理は、図16に示す通りである。先ず、処理部81はヒータ32の目標発熱量を高発熱量βに決定して、それに対応する電力を電源回路7からヒータ32に給電させる(S11)。
【0094】
次に、処理部81はヒータ温度センサ33からの電気信号に基づいて、ヒータ32の近傍すなわち熱伝導体2の中心部の温度が限界温度以上になったか否か、すなわち、限界温度に到達したか否かを判断する(S13)。この限界温度は、熱伝導体2を連続して使用することが可能な温度範囲の上限として設定されたもので、熱伝導体2の耐熱性や安全係数等に基づいて定められている。限界温度が基準値に対応する。
【0095】
S13で否定判断(S13:No)のときは、処理部81はヒータ温度センサ33からの電気信号に基づいて、ヒータ32の近傍すなわち熱伝導体2の中心部の温度の変化率が、0.2℃/sec以下であるか否かを判断する(S15)。すなわち、熱伝導体2の温度が安定化したか否かを判定する。
【0096】
S15で否定判断(S15:No)のときはS13に回帰し、S15で肯定判断(S15:Yes)のときは、初期発熱量を決定するための処理を終了してS105(図7参照)に移行する。つまり、目標発熱量が高発熱量βに設定された後、中心の温度が限界温度に到達せずに安定すると、処理がステップS105に進む。
【0097】
S13で肯定判断(S13:Yes)のとき、すなわち熱伝導体2の中心部の温度が安定化する前に限界温度に到達していて、そのヒータ32を高発熱量βで稼働させるのは熱伝導体2にとって好ましくない状態である。したがってこの場合、ヒータ32の発熱量を低発熱量αに切り替え、電源回路7からヒータ32への給電量を変更させる(S17)。
【0098】
そして、処理部81はヒータ温度センサ33からの電気信号に基づいて、ヒータ32の近傍すなわち熱伝導体2の中心部の温度の変化率が、0.2℃/sec以下であるか否か(すなわち温度が安定化したか否か)を判断し(S19)、否定判断(S19:No)ならS19を繰り返し、肯定判断(S19:Yes)のときは、S105に移行する。
【0099】
本実施形態の風向風速計1は、起動時の初期発熱量を高発熱量βとして、それに対応する電力を電源回路7からヒータ32に給電させるので、熱伝導体2および感温素子3−1、…、3−16の温度上昇が速やかである。
【0100】
また、S13の処理により過度の昇温を回避するので、初期発熱量を高発熱量βとして起動時において速やかな昇温を実現していても、熱伝導体2等が過熱によって破損する可能性は低減される。
【0101】
なお、第4実施形態の風向風速計1は、上記で説明した部分の他については、構成や作動などは第1実施形態と同様であるから、第1実施形態と同様の作用効果を発揮する。
【0102】
(第5実施形態)
上記の第1〜第4実施形ではヒータ32の発熱量を発熱量α、βまたは発熱量α、β、γに定めてヒータ32を制御している。このため、熱伝導体2の表面温度および感温素子3−1、…、3−16を含んだ本体部20の温度は風速の変化に伴って変化する。この本体部20の表面温度と外気温の差をできるだけ一定化させることで、同じ種類の発熱量制御において熱伝導体2から空気に伝わる熱量をできるだけ一定にすることができる。これにより、自然対流の発生を抑制でき、計測誤差を低減できる。その例を第5実施形態として説明する。なお、以下に説明する部分を除いて、本実施形態の構成や作動などは第1実施形態と同様であるから、それらについては第1実施形態の図と説明を援用して図示および説明を省略する。
【0103】
図17に示すように、S200では処理部81は初期の目標相対表面温度を決定する。ここで、目標相対表面温度とは感温素子3−1、…、3−16の平均温度と外気温(外気温センサ9の計測値)との差の目標値をいう。そして、目標相対表面温度には、温度差THiを目標とする高温度差設定と、温度差THiよりも相対的に小さい温度差TLoを目標とする低温度差設定とがある。高温度差設定において目標相対表面温度に設定される温度差THiが、第1の一定値に対応し、低温度差設定において目標相対表面温度に設定される温度差TLoが、第2の一定値に対応する。
【0104】
高温度差設定と低温度差設定とでは、本体部20に与える熱量すなわちヒータ32の発熱量に大小の差がある。高温度差設定によってヒータ32の発熱量を制御する場合、その制御開始時のヒータ32の発熱量は高発熱量βに設定されている。低温度差設定によってヒータ32の発熱量を制御する場合、その制御開始時のヒータ32の発熱量は低発熱量αに設定されている。
【0105】
なお、どちらの場合もヒータ32の発熱量は発熱量αまたは発熱量βに固定的ではなく可変である。ただし、発熱量αと発熱量βとの差は、高温度差設定または低温度差設定によるヒータ32の発熱量の変動幅に比べれば十分に大きく設定されていて、高温度差設定時のヒータ32の発熱量と低温度差設定によるヒータ32の発熱量とが重複することはない。高温度差設定を実現する制御が第1の発熱量制御に対応し、低温度差設定を実現する制御が第2の発熱量制御に対応する。
【0106】
S200では初期の目標相対表面温度として高温度差設定が選択されてもよいし、低温度差設定が選択されてもよい。そして、処理部81は、その選択に応じてヒータ32の発熱量を低発熱量αまたは高発熱量βに定め、電源回路7をオンにさせるとともに、前記定めた発熱量に対応する電力を電源回路7からヒータ32に給電させる。
【0107】
次に、処理部81は感温素子3−1、…、3−16の温度を計測する(S205)。このS205における処理は第1実施形態でのS105と同様である。また、処理部81は、S205で特定した感温素子3−1、…、3−16の温度分布に基づいて風向を算出する(S210)。このS210における処理は第1実施形態でのS110と同様である。
【0108】
次に、処理部81は感温素子3−1、…、3−16の平均温度と外気温センサ9による外気温の差が目標相対表面温度になるようにヒータ32の発熱量を決定し、その決定値を電源回路7に指示してヒータ32に給電させることで、ヒータ32の発熱量を調整する(S215)。ここで用いる感温素子3−1、…、3−16の平均温度は、直前のステップS205で検出された感温素子3−1、…、3−16の温度の平均値である。また、ここで用いる外気温は、このステップS215のタイミングで外気温センサ9によって検出される外気温である。
【0109】
具体的には、処理部81は、高温度差設定を実現している場合、感温素子3−1、…、3−16の温度の平均値と外気温との温度差が値THiよりも大きいときに当該温度差を低減するようヒータ32の発熱量を制御する。また処理部81は、高温度差設定を実現している場合、感温素子3−1、…、3−16の温度の平均値と外気温との温度差が値THiよりも小さいときに当該温度差を増大させるようヒータ32の発熱量を制御する。
【0110】
また、処理部81は、低温度差設定を実現している場合、感温素子3−1、…、3−16の温度の平均値と外気温との温度差が値TLoよりも大きいときに当該温度差を低減するようヒータ32の発熱量を制御する。また処理部81は、低温度差設定を実現している場合、感温素子3−1、…、3−16の温度の平均値と外気温との温度差が値TLoよりも小さいときに当該温度差を増大させるようヒータ32の発熱量を制御する。
【0111】
その後、処理部81は目標相対表面温度が高温度差設定であるか否かを判断する(S220)。S220で肯定判断のときは、処理部81は、高温度差用の発熱量−風速マップ211を用いて風速判定を行う(S225)。また、S220で否定判断、すなわち目標相対表面温度が低温度差設定であるときは、処理部81は、低温度差用の発熱量−風速マップ212を用いて風速判定を行う(S230)。
【0112】
風速判定に使用する発熱量−風速マップはヒータ32の発熱量と風速との対応関係を規定したマップであり、高温度差用の発熱量−風速マップ211と低温度差用の発熱量−風速マップ212とが処理部81のROMにあらかじめ記憶されている。それらの構成は図18に示す通りである。
【0113】
S225またはS230に続いては、処理部81は、風速が目標相対表面温度の変更要件に当てはまるか否かを判断する(S235)。ここでの判断は、例えば、図9に示すような閾値を用いて行われる。
【0114】
S235で肯定判断なら、処理部81は、高温度差設定から低温度差設定へ、または低温度差設定から高温度差設定へ目標相対表面温度を切り替える(S240)。
【0115】
そして、処理部81は、上記切替後の目標相対表面温度の低温度差設定または高温度差設定における制御開始時のヒータ32の発熱量、すなわち低発熱量αまたは高発熱量βにヒータ32の発熱量を決定し、その決定値を電源回路7に指示してヒータ32に給電させ、その後は感温素子3−1、…、3−16の平均温度と外気温の差が目標相対表面温度になるようにヒータ32の発熱量を決定し、その決定値を電源回路7に指示してヒータ32に給電させることで、ヒータ32の発熱量を調整する(S243)。
【0116】
続いて、処理部81は感温素子3−1、…、3−16を含んだ本体部20が熱的に安定したか否かを判断する(S245)。熱的に安定化したか否かは、例えば、直前のステップS205で検出した感温素子3−1、…、3−16の平均温度と直前のステップS215で検出した外気温の差が、現在の目標相対表面温度を含む目標範囲に含まれているか否かで判定してもよい。例えば、目標範囲は、目標相対表面温度の95%から105%までの範囲であってもよい。ここで熱的に安定したと判断すれば(S245:Yes)、S205に回帰する。また、いまだ熱的に安定してないときは(S245:No)、S245を繰り返す。
【0117】
第5実施形態の風向風速計1は、本体部20の表面温度をできるだけ一定化させるから、本体部20の周囲における自然対流(上昇気流)の発生を抑制でき、計測誤差を低減できる。
【0118】
なお、第5実施形態の風向風速計1は、上記で説明した部分の他については、構成や作動などは第1実施形態と同様であるから、第1実施形態と同様の作用効果を発揮する。
【0119】
(第6実施形態)
上記の第5実施形態は本体部20の表面温度と外気温との差をできるだけ一定化させることで、本体部20の周囲における自然対流(上昇気流)の発生を抑制し、計測誤差の低減を図っている。本体部20の中心部の温度と外気温との差をできるだけ一定化させることでも同様の効果を得られるので、その例を第6実施形態として説明する。なお、以下に説明する部分を除いて、本実施形態の構成や作動などは第1実施形態と同様であるから、それらについては第1実施形態の図と説明を援用して図示および説明を省略する。
【0120】
図19に示すように、S300では処理部81は初期の目標相対中心温度を決定する。ここで、目標相対中心温度とは本体部20の中心部の温度(ヒータ温度センサ33によって計測した温度)と外気温(外気温センサ9の計測値)との差の目標値をいう。そして、目標相対中心温度には、相対的に大きい温度差を目標とする高温度差設定と、相対的に小さい温度差を目標とする低温度差設定とがある。高温度差設定における目標相対中心温度は、低温度差設定における目標相対中心温度よりも大きい。高温度差設定において目標相対中心温度に設定される温度差THiが、第1の一定値に対応し、低温度差設定において目標相対中心温度に設定される温度差TLoが、第2の一定値に対応する。
【0121】
高温度差設定と低温度差設定とでは、本体部20に与える熱量すなわちヒータ32の発熱量に大小の差がある。高温度差設定によってヒータ32の発熱量を制御する場合、その制御開始時のヒータ32の発熱量は高発熱量βに設定されている。低温度差設定によってヒータ32の発熱量を制御する場合、その制御開始時のヒータ32の発熱量は低発熱量αに設定されている。
【0122】
なお、どちらの場合もヒータ32の発熱量は発熱量αまたは発熱量βに固定的ではなく可変である。ただし、発熱量αと発熱量βとの差は、高温度差設定または低温度差設定によるヒータ32の発熱量の変動幅に比べれば十分に大きく設定されていて、高温度差設定時のヒータ32の発熱量と低温度差設定によるヒータ32の発熱量とが重複することはない。高温度差設定を実現する制御が第1の発熱量制御に対応し、低温度差設定を実現する制御が第2の発熱量制御に対応する。
【0123】
S300では初期の目標相対中心温度として高温度差設定が選択されてもよいし、低温度差設定が選択されてもよい。そして、処理部81は、その選択に応じてヒータ32の発熱量を定め、電源回路7をオンにさせるとともに、前記定めた発熱量に対応する電力を電源回路7からヒータ32に給電させる。
【0124】
次に、処理部81は感温素子3−1、…、3−16の温度を計測する(S305)。このS305における処理は第1実施形態でのS105と同様である。また、処理部81は、S305で特定した感温素子3−1、…、3−16の温度分布に基づいて風向を算出する(S310)。このS310における処理は第1実施形態でのS110と同様である。
【0125】
次に、処理部81はヒータ温度センサ33による本体部20の中心部の温度と外気温センサ9による外気温の差が目標相対中心温度になるようにヒータ32の発熱量を決定し、その決定値を電源回路7に指示してヒータ32に給電させることで、ヒータ32の発熱量を調整する(S315)。ここで用いる本体部20の中心部の温度と外気温は、このステップS215のタイミングでヒータ温度センサ33および外気温センサ9によって検出される温度である。
【0126】
具体的には、処理部81は、高温度差設定を実現している場合、本体部20の中心部の温度と外気温との温度差が値THiよりも大きいときに当該温度差を低減するようヒータ32の発熱量を制御する。また処理部81は、高温度差設定を実現している場合、本体部20の中心部の温度と外気温との温度差が値THiよりも小さいときに当該温度差を増大させるようヒータ32の発熱量を制御する。
【0127】
また、処理部81は、低温度差設定を実現している場合、本体部20の中心部の温度と外気温との温度差が値TLoよりも大きいときに当該温度差を低減するようヒータ32の発熱量を制御する。また処理部81は、低温度差設定を実現している場合、本体部20の中心部の温度と外気温との温度差が値TLoよりも小さいときに当該温度差を増大させるようヒータ32の発熱量を制御する。
【0128】
その後、処理部81は目標相対中心温度が高温度差設定であるか否かを判断する(S320)。S320で肯定判断のときは、処理部81は、高温度差用の発熱量−風速マップ216を用いて風速判定を行う(S325)。また、S320で否定判断、すなわち目標相対中心温度が低温度差設定であるときは、処理部81は、低温度差用の発熱量−風速マップ217を用いて風速判定を行う(S330)。
【0129】
風速判定に使用する発熱量−風速マップはヒータ32の発熱量と風速との対応関係を規定したマップであり、高温度差用の発熱量−風速マップ216と低温度差用の発熱量−風速マップ217とが処理部81のROMにあらかじめ記憶されている。それらの構成は図20に示す通りである。
【0130】
S325またはS330に続いては、処理部81は、風速が目標相対中心温度の変更要件に当てはまるか否かを判断する(S335)。ここでの判断は、例えば、図9に示すような閾値を用いて行われる。S335で肯定判断なら、処理部81は、高温度差設定から低温度差設定へ、または低温度差設定から高温度差設定へ目標相対表面温度を切り替える(S340)。
【0131】
そして、上記切替後の目標相対表面温度の低温度差設定または高温度差設定における制御開始時のヒータ32の発熱量、すなわち低発熱量αまたは高発熱量βにヒータ32の発熱量を決定し、その決定値を電源回路7に指示してヒータ32に給電させ、その後は、熱伝導体2の中心部の温度と外気温の差が目標相対中心温度になるようにヒータ32の発熱量を決定し、その決定値を電源回路7に指示してヒータ32に給電させることで、ヒータ32の発熱量を調整する(S343)。
【0132】
続いて、処理部81は感温素子3−1、…、3−16を含んだ本体部20が熱的に安定したか否かを判断する(S345)。熱的に安定化したか否かは、例えば、直前のステップS215で検出した熱伝導体2の中心部の温度と外気温の差が、現在の目標相対中心温度を含む目標範囲に含まれているか否かで判定してもよい。例えば、目標範囲は、目標相対中心温度の95%から105%までの範囲であってもよい。ここで熱的に安定したと判断すれば(S345:Yes)、S305に回帰する。また、いまだ熱的に安定してないときは(S345:No)、S345を繰り返す。
【0133】
第6実施形態の風向風速計1は、熱伝導体2の中心部の温度と外気温との差をできるだけ一定化させるから、本体部20の周囲における自然対流(上昇気流)の発生を抑制でき、計測誤差を低減できる。
【0134】
なお、第6実施形態の風向風速計1は、上記で説明した部分の他については、構成や作動などは第1実施形態と同様であるから、第1実施形態と同様の作用効果を発揮する。
【0135】
(第7実施形態)
図17に示す処理部81の処理においては、S200の処理で初期の目標相対表面温度として高温度差設定または低温度差設定が選択される。そして、そして、直ちにS205(感温素子の温度計測)に移行している。
【0136】
そのS200における処理を図21に示すように変更することができる。その変更例を第7実施形態として説明する。なお、以下に説明する部分を除いて、本実施形態の構成や作動などは第5実施形態と同様であるから、それらについては第5実施形態の図と説明を援用して図示および説明を省略する。
【0137】
本実施形態において処理部81が初期の目標相対表面温度を決定するための処理は、図21に示す通りである。まず処理部81は、第5実施形態で説明した高温度差設定と低温度差設定とのうち、高温度差設定を選択し、選択した高温度差設定における温度差THiを目標相対表面温度に設定する(S20)。
【0138】
続いて処理部81は、感温素子3−1、…、3−16の平均温度と外気温の差が高温度差設定の温度差THiに徐々に近づくよう、ヒータ32の発熱量を決定し、その決定値を電源回路7に指示してヒータ32に給電させる(S21)。
【0139】
具体的には、処理部81は、S20のタイミングにおいて検出された感温素子3−1、…、3−16の温度の平均値と外気温との温度差を初期値(例えば0℃)として1秒毎に1℃上昇する温度差を、S21において暫定目標値として算出する。さらに処理部81は、感温素子3−1、…、3−16の温度の平均値と外気温との温度差が暫定目標値よりも大きいときに当該温度差を低減するようヒータ32の発熱量を制御する。また処理部81は、感温素子3−1、…、3−16の温度の平均値と外気温との温度差が暫定目標値よりも小さいときに当該温度差を増大させるよう、S21でヒータ32の発熱量を制御する。なお、S21で用いる平均温度および外気温は、同じステップS21のタイミングで、既に説明したような方法で検出される。
【0140】
続いて処理部81は、感温素子3−1、…、3−16の温度の平均値と外気温との温度差の現在値が値THi以上になったか否か、すなわち、温度差THiが実現したか否かを判定する(S22)。温度差THiが実現していない場合は、S21に戻る。このようなS21、S22の繰り返しにより、感温素子3−1、…、3−16の温度の平均値と外気温との温度差は、徐々にゼロから温度差THiに近づいていく。
【0141】
S22で温度差THiが実現したと判定された場合、続いて処理部81は、ヒータ32の発熱量が閾値以上であるか否かを判定する(S23)。この閾値は、熱伝導体2を連続して使用することが可能な発熱量の範囲の上限として設定されたもので、熱伝導体2の耐熱性や安全係数等に基づいて定められている。この閾値は、基準値に対応する。
【0142】
S23で否定判断(S23:No)のときは、図17のS205に進む。これにより、高温度差設定が維持されたまま、風向および風速の算出が始まる。S23で肯定判断(S23:Yes)のときは、ヒータ32への通電を停止する(S24)。これにより、感温素子3−1、…、3−16の温度が低下して外気温に近づき始める。
【0143】
続いて処理部81は、感温素子3−1、…、3−16の温度の平均値と外気温との温度差の現在値が値TLo以下になったか否か、すなわち、温度差TLoが実現したか否かを判定する(S25)。温度差TLoが実現していない場合は、再度S25の判定を行う。温度差TLoが実現すると、S25からS26に進み、低温度差設定を選択し、選択した低温度差設定における温度差TLoを目標相対表面温度に設定する。S26の後は、図17のS205に進む。これにより、低温度差設定が維持されたまま、風向および風速の算出が始まる。
【0144】
本実施形態の風向風速計1は、起動時の目標相対表面温度を高温度差設定として、それに対応する電力を電源回路7からヒータ32に給電させるので、熱伝導体2および感温素子3−1、…、3−16の温度上昇が速やかである。
【0145】
また、S23,S24の処理により過度の昇温を回避するので、速やかな昇温を実現していても、熱伝導体2等が過熱によって破損する可能性が低減される。なお、第7実施形態の風向風速計1は、上記で説明した部分の他については、構成や作動などは第5実施形態と同様であるから、第5実施形態と同様の作用効果を発揮する。
【0146】
(第8実施形態)
図19に示す処理部81の処理においては、S300の処理で初期の目標相対中心温度として高温度差設定または低温度差設定が選択される。そして、そして、直ちにS305(感温素子の温度計測)に移行している。
【0147】
そのS300における処理を図22に示すように変更することができる。その変更例を第8実施形態として説明する。なお、以下に説明する部分を除いて、本実施形態の構成や作動などは第6実施形態と同様であるから、それらについては第6実施形態の図と説明を援用して図示および説明を省略する。
【0148】
本実施形態において処理部81が初期の目標相対中心温度を決定するための処理は、図21に示す通りである。まず処理部81は、第6実施形態で説明した高温度差設定と低温度差設定とのうち、高温度差設定を選択し、選択した高温度差設定における温度差THiを目標相対中心温度に設定する(S30)。
【0149】
続いて処理部81は、ヒータ温度センサ33によって検出される熱伝導体2の中心部の温度と外気温の差が高温度差設定の温度差THiに徐々に近づくよう、ヒータ32の発熱量を決定し、その決定値を電源回路7に指示してヒータ32に給電させる(S31)。
【0150】
具体的には、処理部81は、S30のタイミングにおいて検出された熱伝導体2の中心部の温度と外気温との温度差を初期値(例えば10℃)として1秒毎に1℃上昇する温度差を、S31において暫定目標値として算出する。さらに処理部81は、熱伝導体2の中心部の温度と外気温との温度差が暫定目標値よりも大きいときに当該温度差を低減するようヒータ32の発熱量を制御する。また処理部81は、熱伝導体2の中心部の温度と外気温との温度差が暫定目標値よりも小さいときに当該温度差を増大させるよう、S31でヒータ32の発熱量を制御する。なお、S31で用いる熱伝導体2の中心部の温度および外気温は、同じステップS31のタイミングで、既に説明したような方法で検出される。
【0151】
続いて処理部81は、熱伝導体2の中心部の温度と外気温との温度差の現在値が値THi以上になったか否か、すなわち、温度差THiが実現したか否かを判定する(S32)。温度差THiが実現していない場合は、S31に戻る。このようなS31、S32の繰り返しにより、熱伝導体2の中心部の温度と外気温との温度差は、徐々に温度差THiに近づいていく。
【0152】
S32で温度差THiが実現したと判定された場合、続いて処理部81は、ヒータ32の発熱量が閾値以上であるか否かを判定する(S33)。この閾値は、熱伝導体2を連続して使用することが可能な発熱量の範囲の上限として設定されたもので、熱伝導体2の耐熱性や安全係数等に基づいて定められている。この閾値は、基準値に対応する。
【0153】
S33で否定判断(S33:No)のときは、図18のS305に進む。これにより、高温度差設定が維持されたまま、風向および風速の算出が始まる。S33で肯定判断(S33:Yes)のときは、ヒータ32への通電を停止する(S34)。これにより、熱伝導体2の中心部の温度が低下して外気温に近づき始める。
【0154】
続いて処理部81は、熱伝導体2の中心部の温度と外気温との温度差の現在値が値TLo以下になったか否か、すなわち、温度差TLoが実現したか否かを判定する(S35)。温度差TLoが実現していない場合は、再度S35の判定を行う。温度差TLoが実現すると、S35からS36に進み、低温度差設定を選択し、選択した低温度差設定における温度差TLoを目標相対中心温度に設定する。S36の後は、図18のS305に進む。これにより、低温度差設定が維持されたまま、風向および風速の算出が始まる。
【0155】
本実施形態の風向風速計1は、起動時の目標相対中心温度を高温度差設定として、それに対応する電力を電源回路7からヒータ32に給電させるので、熱伝導体2および感温素子3−1、…、3−16の温度上昇が速やかである。
【0156】
また、S33、S34の処理により過度の昇温を回避するので、速やかな昇温を実現していても、熱伝導体2等が過熱によって破損する可能性が低減される。なお、第8実施形態の風向風速計1は、上記で説明した部分の他については、構成や作動などは第6実施形態と同様であるから、第5実施形態と同様の作用効果を発揮する。
【0157】
(他の実施形態)
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。特に、ある量について複数個の値が例示されている場合、特に別記した場合および原理的に明らかに不可能な場合を除き、それら複数個の値の間の値を採用することも可能である。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。また、本発明は、上記各実施形態に対する以下のような変形例も許容される。なお、以下の変形例は、それぞれ独立に、上記実施形態に適用および不適用を選択できる。すなわち、以下の変形例のうち任意の組み合わせを、上記実施形態に適用することができる。
【0158】
(変形例1)
上記実施形態では、感温素子3−1、…、3−16の各々は、温度に応じて抵抗値が変化する素子であった。しかし、感温素子は、そのようなものに限られず、自己の温度に応じて電気的特性が変化する素子ならばどのようなものでもよい。例えば、感温素子3−1、…、3−16は、熱電対であってもよい。
【0159】
(変形例2)
上記実施形態では、風向風速計1は車両に搭載されているが、車両以外のものに搭載されていてもよい。
【0160】
(変形例3)
上記実施形態では、感温素子3−1、…、3−16の数は16個設けられている。しかし、感温素子の数は、2個以上であれば16個より多くてもよいし少なくてもよい。
【0161】
(変形例4)
上記実施形態においては、風向と風速の両方を計測する風向風速計が例示されている。しかし、ヒータ32の発熱量を切り替える手法は、風向と風速のうち風向のみを計測するタイプの風向計にも適用可能である。その場合、その風向計は、当該風向計の周囲の風速を、外部の風速計から通信によって取得してもよい。なお、上記実施形態における風向風速計1は、風向を計測するので風向計の一種である。
【0162】
(変形例5)
第2実施形態のように、ヒータ32の発熱量を切り替えるためのヒステリシス回路を複数個備える構成を、第5実施形態や第6実施形態に適用することも可能である。また、第3実施形態のように、風速の判定に熱伝導体2の熱伝達率を用いる構成を第5実施形態や第6実施形態に適用することも可能である。
【0163】
(変形例6)
第4実施形態では、限界温度が基準温度に対応するが、限界温度以外の値が基準温度に対応してもよい。
【0164】
(変形例7)
上記実施形態における熱伝導体2の中心部の温度は、熱伝導体2の内部の温度の一例である。熱伝導体2の中心部の温度を、熱伝導体2の内部の中心部以外の温度に置き換えることも可能である。
【0165】
(まとめ)
上記各実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、処理部は、熱伝導体の周囲の風速が低下したことに基づいて、ヒータの発熱量に関する第1の発熱量制御から、第1の発熱量制御よりもヒータの発熱量が小さい第2の発熱量制御に切り替える。
【0166】
また、第2の観点によれば、前記処理部は、起動時には前記第1の発熱量制御によって前記ヒータの発熱量を制御し、前記風向の算出を開始する前に前記ヒータの温度または発熱量が基準値以上になると、前記第2の発熱量制御によって前記ヒータの発熱量を制御して前記風向の算出を開始する。
【0167】
このようにすることで、起動時にはまず第1の発熱量制御を行うことで、熱伝導体および感温素子の温度を速やかに上昇させることができる。また、前記風向の算出を開始する前にヒータの温度または発熱量が基準値以上になると第2の発熱量が実現するので、過度の昇温を回避でき、熱伝導体等が過熱によって破損する可能性は低減される。
【0168】
また、第3の観点によれば、前記処理部は、前記第1の発熱量制御において、前記複数個の感温素子の温度の平均値と前記熱伝導体の周囲の空気の温度差が第1の一定値よりも大きいときに前記温度差を低減するよう前記ヒータの発熱量を制御し、かつ、前記温度差が前記第1の一定値よりも小さいときに前記温度差を増大させるよう前記ヒータの発熱量を制御する。更に前記処理部は、前記第2の発熱量制御において、前記温度差が第2の一定値よりも大きいときに前記温度差を低減するよう前記ヒータの発熱量を制御し、かつ、前記温度差が前記第2の一定値よりも小さいときに前記温度差を増大させるよう前記ヒータの発熱量を制御する。前記第2の一定値は前記第1の一定値よりも小さい。
【0169】
このようになっていることで、各発熱量制御において、複数個の感温素子の温度の平均値つまり熱伝導体の表層部の温度をできるだけ一定化させることができる。したがって、熱伝導体の周囲における自然対流(上昇気流)の発生を抑制でき、計測誤差を低減できる。
【0170】
また、第4の観点によれば、前記処理部は、前記第1の発熱量制御において、前記熱伝導体の内部の温度と前記熱伝導体の周囲の空気の温度差が第1の一定値よりも大きいときに前記温度差を低減するよう前記ヒータの発熱量を制御し、かつ、前記温度差が前記第1の一定値よりも小さいときに前記温度差を増大させるよう前記ヒータの発熱量を制御する。更に前記処理部は、前記第2の発熱量制御において、前記温度差が第2の一定値よりも大きいときに前記温度差を低減するよう前記ヒータの発熱量を制御し、かつ、前記温度差が前記第2の一定値よりも小さいときに前記温度差を増大させるよう前記ヒータの発熱量を制御する。前記第2の一定値は前記第1の一定値よりも小さい。
【0171】
このようになっていることで、熱伝導体の内部の温度をできるだけ一定化させることができる。したがって、熱伝導体の周囲における自然対流(上昇気流)の発生を抑制でき、計測誤差を低減できる。
【0172】
また、第5の観点によれば、前記処理部は、前記複数個の感温素子が検出した温度に基づいて、前記空気の風速を算出し、算出した前記風速に応じて前記第1の発熱量制御と前記第2の発熱量制御を含む複数の発熱量制御のうちから1つの発熱量制御を選択し、選択した前記1つの発熱量制御にて前記ヒータの発熱量を制御する。
【0173】
このようになっていることで、風速の大小に応じて発熱量制御を選択することができる。したがって、風速が大きいときにはヒータの発熱量を高くして良好な検出感度を維持でき、風速が小さいときにはヒータの発熱量を低発熱量にして上昇気流が風向計測に誤差を生じさせるのを抑制できるという効果をより確実に実現できる。
【0174】
また、第6の観点によれば、前記処理部は、前記第2の発熱量制御を選択しているとき、算出した前記風速が閾値Aを超えると前記第2の発熱量制御から前記第1の発熱量制御に切り替える。前記処理部は、前記第1の発熱量制御を選択しているとき、前記風速が前記閾値Aよりも小さい閾値Bを下回ると前記第1の発熱量制御から前記第2の発熱量制御に切り替える。
【0175】
このように、閾値A、Bを用いることで、第1の発熱量制御と第2の発熱量制御の切り替えにおいてヒステリシスを設けることができる。第1の発熱量制御と第2の発熱量制御との間で切り替えを行う場合、ヒータの熱が熱伝導体に伝導して温度が安定するまでにはある程度の時間を要するので、このようなヒステリシスを設けて切り替えが頻繁に御壊れないようにすることで、安定化した切り替えを実現することができる。
【符号の説明】
【0176】
1 風向風速計(風向計)
2 熱伝導体
3 感温素子
7 電源回路
8 算出回路
32 ヒータ
33 ヒータ温度センサ(ヒータ温度測定手段)
81 処理部(風向算出部、発熱量制御部、風速算出部)
図1
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