特開2019-207750(P2019-207750A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-207750(P2019-207750A)
(43)【公開日】2019年12月5日
(54)【発明の名称】リチウムイオン電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0585 20100101AFI20191108BHJP
   H01M 4/13 20100101ALI20191108BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20191108BHJP
   H01M 4/64 20060101ALI20191108BHJP
【FI】
   H01M10/0585
   H01M4/13
   H01M10/052
   H01M4/64 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-101287(P2018-101287)
(22)【出願日】2018年5月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000002288
【氏名又は名称】三洋化成工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】特許業務法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】東 啓一郎
(72)【発明者】
【氏名】大澤 康彦
(72)【発明者】
【氏名】草地 雄樹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 一
(72)【発明者】
【氏名】赤間 弘
(72)【発明者】
【氏名】堀江 英明
【テーマコード(参考)】
5H017
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H017AA03
5H017AS02
5H017CC01
5H029AJ01
5H029AK02
5H029AK03
5H029AK05
5H029AK16
5H029AL03
5H029AL06
5H029AL07
5H029AL08
5H029AL11
5H029AL16
5H029AM02
5H029AM03
5H029AM04
5H029AM05
5H029AM07
5H029BJ04
5H029HJ12
5H050AA01
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA02
5H050CA05
5H050CA08
5H050CA09
5H050CA20
5H050CB03
5H050CB07
5H050CB08
5H050CB09
5H050CB11
5H050CB20
5H050FA17
5H050HA12
(57)【要約】
【課題】正極活物質層及び負極活物質層の少なくとも一方の枠体内への充填性を良好にすることで電池特性の低下を抑制することの可能なリチウムイオン電池を提供する。
【解決手段】シート状の正極集電体及び負極集電体の表面にはその縁部に沿ってそれぞれ環状の正極枠体及び負極枠体が形成され、正極活物質層及び負極活物質層はそれぞれ正極枠体及び負極枠体の内側に形成され、正極活物質層は正極活物質粒子の非結着体であり、負極活物質層は負極活物質粒子の非結着体であり、正極活物質層に接する側である正極枠体の内壁面が、セパレータの正極活物質層に接する第一面に対して直交しない面に形成され、及び/または、負極活物質層に接する側である負極枠体の内壁面が、セパレータの負極活物質層に接する第二面に対して直交しない面に形成されている。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の正極集電体の表面に正極活物質層が形成された正極と、シート状の負極集電体の表面に負極活物質層が形成された負極とが、セパレータを介して積層されてなるリチウム二次単電池を有するリチウムイオン電池であって、
前記正極集電体及び前記負極集電体の表面にはその縁部に沿ってそれぞれ環状の正極枠体及び負極枠体が形成され、前記正極活物質層及び前記負極活物質層はそれぞれ前記正極枠体及び前記負極枠体の内側に形成され、
前記正極活物質層は正極活物質粒子の非結着体であり、前記負極活物質層は負極活物質粒子の非結着体であり、
前記正極活物質層に接する側である前記正極枠体の内壁面が、前記セパレータの前記正極活物質層に接する第一面に対して直交しない面に形成され、及び/または、前記負極活物質層に接する側である前記負極枠体の内壁面が、前記セパレータの前記負極活物質層に接する第二面に対して直交しない面に形成されているリチウムイオン電池。
【請求項2】
請求項1記載のリチウムイオン電池において、
前記正極活物質層に接する側である前記正極枠体の前記内壁面は、前記セパレータの前記第一面に対して直交しない面に形成され、
前記セパレータの前記第一面に対して垂直に切断した場合の前記正極枠体の前記内壁面の少なくとも一部が前記内壁面と前記第一面との接点を通る直線に形成され、前記直線と前記第一面とが鈍角を成しているリチウムイオン電池。
【請求項3】
請求項1または2記載のリチウムイオン電池において、
前記負極活物質層に接する側である前記負極枠体の前記内壁面は、前記セパレータの前記第二面に対して直交しない面に形成され、
前記セパレータの前記第二面に対して垂直に切断した場合の前記負極枠体の前記内壁面の少なくとも一部が前記内壁面と前記第二面との接点を通る直線に形成され、前記直線と前記第二面とが鈍角を成しているリチウムイオン電池。
【請求項4】
請求項1記載のリチウムイオン電池において、
前記正極活物質層に接する側である前記正極枠体の前記内壁面は、前記セパレータの前記第一面に対して直交しない面に形成され、
前記セパレータの前記第一面に対して垂直に切断した場合の前記正極枠体の前記内壁面の少なくとも一部が前記内壁面と前記第一面との接点を通る曲線に形成され、前記曲線における全ての接線は前記セパレータの前記第一面に対して鈍角を成すリチウムイオン電池。
【請求項5】
請求項1または2記載のリチウムイオン電池において、
前記負極活物質層に接する側である前記負極枠体の前記内壁面は、前記セパレータの前記負極活物質層に接する第二面に対して直交しない面に形成され、
前記セパレータの前記第二面に対して垂直に切断した場合の前記負極枠体の前記内壁面の少なくとも一部が前記内壁面と前記第二面との接点を通る曲線に形成され、前記曲線における全ての接線は前記セパレータの前記第二面に対して鈍角を成すリチウムイオン電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、リチウムイオン電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン(二次)電池は、高容量で小型軽量な二次電池として、近年様々な用途に多用されている。このうち、小型で薄型のリチウムイオン電池として、正極活物質及び電解液を含む正極活物質層を正極集電体の表面に形成した正極と、同様に負極活物質及び電解液を含む負極活物質層を負極集電体の表面に形成した負極とをセパレータを挟んで積層して略平板状のリチウム二次単電池を製造し、このリチウム二次単電池を複数層積層して積層型電池モジュールとして構成されたリチウムイオン電池が従来知られている。
【0003】
このようなリチウムイオン電池において、耐屈曲性の向上を目的として、セパレータ、正極活物質層及び負極活物質層を包囲するシート状の枠部材を設け、この枠部材を、ゴム弾性を有する樹脂素材から形成したリチウムイオン電池が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−338904号公報
【特許文献2】特開2017−147222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本出願人の一人は、大きく変形した場合にも十分な充放電特性を発揮できる可撓性と高容量化とを両立可能にしたリチウムイオン電池を提供することを目的として、正極活物質層が正極活物質粒子の非結着体であり、負極活物質層が負極活物質粒子の非結着体であるリチウムイオン電池を提案している(特許文献2参照)。
【0006】
かかる構成の正極活物質層及び負極活物質層は電極用バインダによって固定されていないので、上述した特許文献1に開示されたような、枠部材によりセパレータ、正極活物質層及び負極活物質層を包囲するリチウムイオン電池を製造するには、この枠部材内に正極活物質層及び負極活物質層を充填すればよいことになる。
【0007】
しかしながら、上述した従来のリチウムイオン電池では、枠部材の内壁とセパレータ表面との接点部において、これら内壁とセパレータ表面との為す角度が略直角であったため、正極活物質層及び負極活物質層の流動性によっては、枠部材の内壁とセパレータ表面との接点部にまでこれら正極活物質層及び負極活物質層が全て充填されないことがあり得る。この場合、正極活物質層、負極活物質層に空隙が発生して電池特性の低下を招く可能性があった。
【0008】
そこで、この発明は、正極活物質層及び負極活物質層の少なくとも一方の枠体内への充填性を良好にすることで電池特性の低下を抑制することの可能なリチウムイオン電池を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するため、この発明は、シート状の正極集電体の表面に正極活物質層が形成された正極と、シート状の負極集電体の表面に負極活物質層が形成された負極とが、セパレータを介して積層されてなるリチウム二次単電池を有するリチウムイオン電池において、正極集電体及び負極集電体の表面にはその縁部に沿ってそれぞれ環状の正極枠体及び負極枠体が形成され、正極活物質層及び負極活物質層はそれぞれ正極枠体及び負極枠体の内側に形成され、正極活物質層は正極活物質粒子の非結着体であり、負極活物質層は負極活物質粒子の非結着体であり、正極活物質層に接する側である正極枠体の内壁面が、セパレータの正極活物質層に接する第一面に対して直交しない面に形成され、及び/または、負極活物質層に接する側である負極枠体の内壁面が、セパレータの負極活物質層に接する第二面に対して直交しない面に形成されていることを特徴とする。
【0010】
ここで、本発明において非結着体とは活物質層中において電極活物質が公知の溶媒(分散媒)乾燥型のリチウムイオン電池用結着剤(電極用バインダともいう)により互いの位置を不可逆的に固定されていないことを意味する。
【0011】
公知の溶媒(分散媒)乾燥型のリチウムイオン電池用結着剤としてはデンプン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、スチレン−ブタジエンゴム、ポリエチレン、ポリプロピレン及びスチレン−ブタジエン共重合体等の公知のリチウムイオン電池用結着剤が挙げられる。
【0012】
これらのリチウムイオン電池用結着剤は、水又は有機溶媒に溶解又は分散して使用され、溶媒(分散媒)成分を揮発させることで乾燥、固体化して被結着物を不可逆に固定するものであるが、本発明における非結着体は、前記の電極用バインダによって電極活物質が固定されていないため、活物質層に含まれる電極活物質は破壊することなく分離することができる。なお、非結着体であると活物質粒子が活物質層内で固く固定されていないので充放電にともなう体積変化があってもそれを良好に緩和することができ好ましい。
【0013】
ここで、本発明においてリチウム二次単電池とは、正極活物質層が正極集電体の表面に形成された正極と、負極活物質層が負極集電体の表面に形成された負極とを有し、正極と負極とがセパレータを介して積層された構造を有し、電池容器、端子配置及び電子制御装置等を備えていない電池である(参考:日本工業規格JIS C8715-2「産業用リチウム二次電池の単電池及び電池システム」)。なお、リチウム二次単電池は単電池と略する場合がある。
【0014】
ここで、正極活物質層に接する側である正極枠体の内壁面がセパレータの第一面に対して直交しない面に形成され、セパレータの第一面に対して垂直に切断した場合の正極枠体の内壁面の少なくとも一部が内壁面と第一面との接点を通る直線に形成され、直線と第一面とが鈍角を成していることが好ましい。
【0015】
あるいは、また、負極活物質層に接する側である負極枠体の内壁面がセパレータの第二面に対して直交しない面に形成され、セパレータの第二面に対して垂直に切断した場合の負極枠体の内壁面の少なくとも一部が内壁面と第二面との接点を通る直線に形成され、直線と第二面とが鈍角を成していることが好ましい。
【0016】
さらに、正極活物質層に接する側である正極枠体の内壁面がセパレータの第一面に対して直交しない面に形成され、セパレータの第一面に対して垂直に切断した場合の正極枠体の内壁面の少なくとも一部が内壁面と第一面との接点を通る曲線に形成され、曲線における全ての接線はセパレータの第一面に対して鈍角を成すことが好ましい。
【0017】
あるいは、また、負極活物質層に接する側である負極枠体の内壁面がセパレータの負極活物質層に接する第二面に対して直交しない面に形成され、セパレータの第二面に対して垂直に切断した場合の負極枠体の内壁面の少なくとも一部が内壁面と第二面との接点を通る曲線に形成され、曲線における全ての接線はセパレータの第二面に対して鈍角を成すことが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
このような本発明のリチウムイオン電池は、正極活物質層に接する側である正極枠体の内壁面がセパレータの正極活物質層に接する第一面に対して直交しない面に形成され、及び/または、負極活物質層に接する側である負極枠体の内壁面がセパレータの負極活物質層に接する第二面に対して直交しない面に形成されている。
【0019】
上記した構成なので、正極活物質層及び負極活物質層の少なくとも一方の枠体内への充填性を良好にすることができ、これにより、電池特性の低下を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施の形態であるリチウムイオン電池に用いられるリチウム二次単電池を示す一部破断斜視図である。
図2】実施の形態であるリチウム二次単電池を示す断面図である。
図3】実施の形態であるリチウムイオン電池を示す断面図である。
図4】実施の形態であるリチウムイオン電池を示す斜視図である。
図5】実施の形態であるリチウムイオン電池の製造方法を示す工程図である。
図6】実施の形態であるリチウムイオン電池に用いられるリチウム二次単電池の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態であるリチウムイオン電池について説明する。
【0022】
図3は、本発明の実施の形態であるリチウムイオン電池を示す断面図、図4は実施の形態であるリチウムイオン電池を示す斜視図である。
【0023】
これら図において、本実施形態のリチウムイオン電池Lは、リチウムイオン電池Lの外殻をなす、可撓性を有する容器20内に外形略平板状の単電池1が直列に複数積層された積層型電池モジュール21が収納されて構成されている。
【0024】
単電池1は、図1及び図2に詳細を示すように、略平板状(シート状)の樹脂集電体である正極集電体7の表面に正極活物質層5が形成された正極2と、同様に略平板状(シート状)の樹脂集電体である負極集電体8の表面に負極活物質層6が形成された負極3とが、同様に略平板状(シート状)のセパレータ4を介して積層されて構成され、全体として略平板状に形成されている。
【0025】
正極活物質層5及び負極活物質層6は、正極活物質粒子又は負極活物質粒子と電解液とを含む正極活物質層及び負極活物質層である。なお、電解液と正極活物質粒子又は負極活物質粒子とを混合して得られる正極活物質層5及び負極活物質層6は、スラリー状であってもよく、スラリーよりも流動性の低い状態(例えばファニキュラー状態やペンデュラー状態とも呼ばれるおからのような半固体状)であってもよい。
【0026】
正極集電体7及び負極集電体8の表面(図1において正極集電体7の下面、負極集電体8の上面)には、これらの縁部に沿って、外形がこれら正極集電体7及び負極集電体8にほぼ等しい矩形枠状の正極枠体9及び負極枠体10がそれぞれ形成されている。
【0027】
そして、正極活物質層5及び負極活物質層6は、それぞれ正極枠体9及び負極枠体10の内側に形成、配置され、これら正極活物質層5及び負極活物質層6の間には、その端部が正極枠体9及び負極枠体10の間にまで至るセパレータ4が配置されている。
【0028】
正極集電体7とセパレータ4との間の間隔、及び、負極集電体8とセパレータ4との間の間隔は、それぞれ正極枠体9、負極枠体10の高さによって定まり、これら正極枠体9、負極枠体10の高さはリチウムイオン電池Lの容量に応じて調整され、これら正極集電体7、負極集電体8及びセパレータ4の位置関係は必要な間隔が得られるように定められている。
【0029】
そして、図1及び図2に示すように、正極2及び負極3がセパレータ4を介して対向した状態で向き合わされた状態で配置され、そして、セパレータ4を挟んで正極2と負極3とが積層されることで、本実施形態の単電池1が構成されている。
【0030】
ここで、本実施の形態においては、図2に詳細を示すように、正極活物質層5に接する側である正極枠体9の内壁面9aは、セパレータ4の正極活物質層5に接する面である第一面4aに対して直交しない面に形成され、セパレータ4の第一面4aに対して垂直に切断した場合の正極枠体9の内壁面9aの少なくとも一部が内壁面9aと第一面4aとの接点P1を通る直線に形成され、この直線と第一面4aとが鈍角を成している。
【0031】
また、負極活物質層6に接する側である負極枠体10の内壁面10aは、セパレータ4の負極活物質層6に接する面である第二面4bに対して直交しない面に形成され、セパレータ4の第二面4bに対して垂直に切断した場合の負極枠体10の内壁面10aの少なくとも一部が内壁面10aと第二面4bとの接点P2を通る直線に形成され、この直線と第二面4bとが鈍角を成している。
【0032】
より具体的には、図2に示すように、正極枠体9の内壁面9aをセパレータ4の第一面4aに対して垂直に切断した断面において、この内壁面9aが接点P1を通る直線に形成され、そして、この直線と第一面4aとが鈍角を成している。言い換えれば、図2に示す断面において、内壁面9aは図中下方に向かうに従って正極枠体9の内方に向かう直線に形成されている。
【0033】
同様に負極枠体10の内壁面10aをセパレータ4の第二面4bに対して垂直に切断した断面において、この内壁面10aが接点P2を通る直線に形成され、そして、この直線と第二面4bとが鈍角を成している。言い換えれば、図2に示す断面において、内壁面10aは図中上方に向かうに従って負極枠体10の内方に向かう直線に形成されている。
【0034】
接点P1、P2における正極枠体9の内壁面9aとセパレータ4の第一面4aとが為す角度、及び、負極枠体10の内壁面10aとセパレータ4の第二面4bとが為す角度は鈍角、つまり90°より大きく180°未満であればよいが、一例として95°〜135°、好ましくは100°〜120°の範囲であると、この接点P1、P2における正極活物質層5及び負極活物質層6の充填性を十分確保でき、接点P1、P2部分において空隙が生じることを十分抑制することができる。
【0035】
なお、正極枠体9及び負極枠体10は、図1及び図2に示すように一体に形成してもよいが、これら正極枠体9及び負極枠体10を別体として構成する場合は、正極枠体9の図中上面及び負極枠体10の図中下面を図1及び図2において図略のシール部材により封止することが好ましい。
【0036】
シール部材を構成する材料は、正極枠体9の上面と負極枠体10の下面とに対して接着性を有し、これを一体に固定可能な材料であり、電池作動温度下での耐熱性と絶縁性とを有し、電解液が浸透しない熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂等であれば良く、例えばウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂及びポリイミド樹脂から選択して使用することができる。また、シール部材を構成する材料は、液状シール材、接着テープ型シール材及びホットメルト型シール材等の形態にして用いることができる。また、市場から入手できるホットメルト接着剤を用いることもできる。
【0037】
さらに、正極枠体9及び負極枠体10を別体として構成する場合は、正極枠体9の図中上面及び負極枠体10の図中下面の少なくとも一方にシール部材を配置してからこのシール部材上にセパレータ4を配置し、ヒートシーラー等によりセパレータ4に熱を加えてこのセパレータ4を正極枠体9または負極枠体10に固定してもよい。
【0038】
あるいは、セパレータ4の端部の両面(第一面4a、第二面4b)にシール部材を貼り付け、ヒートシーラー等によりセパレータ4に熱を加えてこのセパレータ4を正極枠体9または負極枠体10に固定してもよい。
【0039】
図1に示す単電池1は、隣り合う単電池1の正極集電体7の上面と負極集電体8の下面とが隣接するように直列に積層されて積層型電池モジュール21が形成され、そして、この積層型電池モジュール21が容器20に好ましくは減圧封止されて収納されて、図3、4に示す本実施形態のリチウムイオン電池Lが構成されている。
【0040】
詳細を図3に示す本実施形態のリチウムイオン電池Lを構成する容器20は、上容器20a及び下容器20bに分割されて構成されている。上容器20a及び下容器20bは略同一の形状に形成されており、上面が開口した上容器本体20c及び下容器本体20dと、これら上容器本体20c及び下容器本体20dの図3において左右の端部から側方に突出する一対の上容器縁部20e及び下容器縁部20fとを備える。
【0041】
リチウムイオン電池Lを構成する容器20は、図3に示す容器に限定されず、一対のシートに分割された容器及び袋状に形成された容器であってもよい。
【0042】
そして、図3に示す容器20においては、上容器20a及び下容器20bが相対向して配置されることで形成される内部空間に積層型電池モジュール21が収納され、この内部空間が好ましくは減圧された状態で、上容器縁部20e及び下容器縁部20fが図略のシール部材により封止されることで、本実施形態のリチウムイオン電池Lが構成される。上容器縁部20e及び下容器縁部20fを封止するシール部材としては、枠体を封止するシール部材と同様のものを用いることができる。
【0043】
ここで、図3に示すように、上容器20a及び下容器20bと積層型電池モジュール21との間には電極端子13、14がそれぞれ介在されており、この電極端子13、14の一部13a、14aは上容器縁部20e及び下容器縁部20fを通ってリチウムイオン電池Lの外方にまで延出している。
【0044】
ここで、本明細書において、「正極活物質層及び負極活物質層が正極枠体及び負極枠体の内側に形成された」とは、正極集電体7及び負極集電体8の表面に形成された正極枠体9、負極枠体10の内側に対応する活物質層が配置されている状態を意味し、好ましくは、正極活物質層5及び負極活物質層6が正極枠体9、負極枠体10の内側をそれぞれ満たしている状態を意味する。正極枠体9の内側に配置された正極活物質層5は正極活物質粒子と電解液とが混合された状態であり、負極枠体10の内側に配置された負極活物質層6は負極活物質粒子と電解液とが混合された状態である。
【0045】
本発明において正極枠体9及び負極枠体10の内側に正極活物質層5及び負極活物質層6が配置された状態にするには、粉体状の正極活物質粒子及び負極活物質粒子を枠体9、10の内側にそれぞれに直接に入れてもよく、正極活物質粒子と電解液とを含んでなる混合物(正極スラリーともいう)及び負極活物質粒子と電解液とを含んでなる混合物(負極スラリーともいう)を枠体9、10の内側にそれぞれ入れることで行ってもよい。粉体状の正極活物質粒子及び負極活物質粒子を直接枠体9、10の内側に入れた場合、その後電解液を入れることで枠体9、10の内側に正極活物質層5及び負極活物質層6が配置される。
【0046】
正極活物質粒子又は正極スラリー、及び負極活物質粒子又は負極スラリーを枠体9、10の内側にそれぞれ入れる際には、正極集電体7及び負極集電体8に振動、衝撃を与えることが好ましい。本発明において、枠体の内壁面はセパレータに対して直交していないため、振動、衝撃を与えることで正極活物質粒子又は正極スラリー、及び負極活物質粒子又は負極スラリーを枠体9、10の内側に枠体とセパレータとが作る隅まで隙間を作ることなく、より均一に充填することができるので好ましい。
【0047】
また、正極活物質粒子又は負極活物質粒子と電解液とを混合した前記の正極スラリー及び負極スラリー(以下、電極スラリーと記載する場合は正極スラリー及び負極スラリーを意味する)は、液体(電解液)中に活物質粒子が均一に懸濁した流動性のある混合物であるが、正極活物質粒子又は負極活物質粒子と電解液との重量比を調整することによってスラリーよりも流動性の低い状態(例えばファニキュラー状態やペンデュラー状態とも呼ばれるおからのような半固体状)又は活物質粒子が液体を吸収することによって生じた凝集体等の状態としてもよい。
【0048】
正極活物質層5に含まれる正極活物質粒子としては、リチウムイオン電池に用いることができる公知の正極活物質粒子を用いることができ、リチウムと遷移金属との複合酸化物(例えばLiCoO、LiNiO、LiMnO及びLiMn)、遷移金属酸化物(例えばMnO及びV)、遷移金属硫化物(例えばMoS及びTiS)及び導電性高分子(例えばポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリ−p−フェニレン及びポリカルバゾール)等が挙げられる。
【0049】
また、負極活物質層6に含まれる負極活物質粒子としては、リチウムイオン電池に用いることができる公知の負極活物質粒子を用いることができ、黒鉛、難黒鉛化性炭素、アモルファス炭素、高分子化合物焼成体(例えばフェノール樹脂及びフラン樹脂等を焼成し炭素化したもの等)、コークス類(例えばピッチコークス、ニードルコークス及び石油コークス等)、炭素繊維、導電性高分子(例えばポリアセチレン及びポリキノリン等)、スズ、シリコン、及び金属合金(例えばリチウム−スズ合金、リチウム−シリコン合金、リチウム−アルミニウム合金及びリチウム−アルミニウム−マンガン合金等)、リチウムと遷移金属との複合酸化物(例えばLiTi12等)等が挙げられる。
【0050】
本発明のリチウムイオン電池においては、正極活物質粒子又は負極活物質粒子が、その表面の少なくとも一部に被覆用樹脂組成物を含む被覆層を有する被覆正極活物質粒子又は被覆負極活物質粒子であることが好ましい。
【0051】
活物質粒子の表面が被覆層を有すると、充放電時に生じる電極の体積変化が緩和され、電極の膨脹を抑制することができるため好ましい。
【0052】
被覆層が含む被覆用樹脂としては、特開2017−054703号公報に非水系二次電池活物質被覆用樹脂として記載されたものを好適に用いることができる。
【0053】
被覆層はさらに導電性フィラーを含んでもよく、導電性フィラーは導電性を有する材料から選択される。
【0054】
導電性を有する材料としては、具体的には、金属[アルミニウム、ステンレス(SUS)、銀、金、銅及びチタン等]、カーボン[グラファイト、カーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルランプブラック等)、カーボンナノチューブ(単層、多層及びこれらの混合物等)等]、及びこれらの混合物等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0055】
これらの導電性フィラーは1種単独で用いられてもよいし、2種以上併用してもよい。また、これらの合金又は金属酸化物が用いられてもよい。電気的安定性の観点から、好ましくはアルミニウム、ステンレス、カーボン、銀、金、銅、チタン及びこれらの混合物であり、より好ましくは銀、金、アルミニウム、ステンレス及びカーボンであり、さらに好ましくはカーボンである。またこれらの導電性フィラーとは、非導電性粒子(セラミック材料や樹脂材料からなる粒子)の周りに導電性材料(上記した導電助剤の材料のうち金属のもの)をメッキ等でコーティングしたものでもよい。
【0056】
導電性フィラーとして導電性繊維を用いることも可能である。導電性繊維としては、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維等の炭素繊維、合成繊維の中に導電性のよい金属や黒鉛を均一に分散させてなる導電性繊維、ステンレス鋼のような金属を繊維化した金属繊維、有機物繊維の表面を金属で被覆した導電性繊維、有機物繊維の表面を導電性物質を含む樹脂で被覆した導電性繊維等が挙げられる。これらの導電性繊維の中では炭素繊維が好ましい。
【0057】
被覆活物質粒子が有する被覆層が導電性フィラーを含んでいる場合、被覆層の重量は、活物質粒子と被覆用樹脂組成物と必要により用いる導電性フィラーとの合計重量に対して、3〜25重量%であることが好ましい。
【0058】
被覆活物質粒子は、特開2017−054703号公報等に記載された公知の方法(被覆用樹脂組成物、活物質粒子及び必要により用いる導電性フィラーを混合すること)等によって製造することができ、被覆用樹脂と必要により用いる導電性フィラーとを混合して得た被覆剤と活物質粒子とを混合することにより製造してもよく、被覆用樹脂、必要により用いる導電性フィラー及び活物質粒子を同時に混合することによって製造してもよい。なお、活物質粒子と被覆用樹脂と必要により用いる導電性フィラーとを混合する場合、混合順序には特に制限はないが、活物質粒子と被覆用樹脂とを混合した後、更に導電性フィラーを加えて更に混合することが好ましい。なお、被覆用樹脂は被覆用樹脂溶液として混合することが好ましく、例えば、活物質粒子を万能混合機に入れて30〜500rpmで撹拌した状態で、被覆用樹脂の溶液を1〜90分かけて滴下混合し、さらに導電助剤を混合し、撹拌したまま50〜200℃に昇温し、0.007〜0.04MPaまで減圧した後に10〜150分保持することにより得ることができる。
【0059】
電極スラリーに用いる電解液としては、リチウムイオン電池の製造に用いられる公知の電解質及び非水溶媒を含有する電解液を使用することができる。
【0060】
電解質としては、LiPF、LiBF、LiSbF、LiAsF及びLiClO等の無機酸のリチウム塩、LiN(CFSO、LiN(CSO及びLiC(CFSO等の有機酸のリチウム塩等が挙げられる。これらの内、電池出力及び充放電サイクル特性の観点から好ましいのはLiPFである。
【0061】
非水溶媒としては、ラクトン化合物、環状又は鎖状炭酸エステル、鎖状カルボン酸エステル、環状又は鎖状エーテル、リン酸エステル、ニトリル化合物、アミド化合物、スルホン、スルホラン等及びこれらの混合物を用いることができる。
【0062】
非水溶媒は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0063】
非水溶媒の内、電池出力及び充放電サイクル特性の観点から好ましいのは、ラクトン化合物、環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル及びリン酸エステルであり、より好ましいのはラクトン化合物、環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステルおよびこれらの混合液であり、さらに好ましいのは環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル及び環状炭酸エステルと鎖状炭酸エステルとの混合液である。特に好ましいのはプロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)及びこれらから選ばれる2種以上の炭酸エステルの混合液である。
【0064】
電極スラリーは、活物質粒子を電解液に公知の分散装置を用いて混合分散することで得られ、電極スラリーに含まれる活物質粒子の重量は、電解液の重量に基づいて10〜60重量%の濃度で分散して調製することが好ましい。なお、電極スラリーに含まれる活物質粒子として前記の被覆活物質粒子を用いた場合には、電極スラリーに含まれる活物質粒子の重量は、被覆活物質粒子の重量を用いて計算される。
【0065】
正極活物質層5及び負極活物質層6のうち、少なくとも一方が、被覆活物質粒子が有する被覆層に含まれる導電性フィラーとは別に、さらに導電助剤を含んでもよい。導電助剤としては前記導電性フィラーと同じものをもちいることができる。なお、活物質層中に導電性フィラーと導電助剤とが含まれる場合、被覆用樹脂が溶解しない溶媒に活物質層を分散させると導電助剤のみが溶媒に抽出されるので、被覆層に残る導電性フィラーと導電助剤とを分離、区別することができる。
【0066】
さらに導電助剤を含む正極活物質層5及び負極活物質層6は、活物質粒子、電解液及び導電助剤を混合分散して得られる導電助剤を含んだ電極スラリーを用いることで形成することができる。導電助剤を含む正極活物質層5及び負極活物質層6は活物質粒子の間に導電助剤による導電経路が形成されるため、それによって活物質中での電子移動が良好となる。
【0067】
本発明において、正極活物質層5及び負極活物質層6の形成に用いる電極スラリーには、公知のリチウムイオン電池に用いられる前記の電極用バインダ(結着剤又はバインダともいう)を含まないことが好ましい。
【0068】
本発明において、正極活物質層5及び負極活物質層6を形成する活物質粒子として被覆活物質粒子を用いる場合は、電極用バインダによる活物質粒子の固定が無くても、被覆用樹脂の働きによって導電経路を維持することができるため好ましい。
【0069】
セパレータ4としては、リチウムイオン電池用の公知のセパレータを使用でき、ポリオレフィン(ポリエチレン及びポリプロピレン等)製の微多孔膜フィルム、ポリオレフィン製多孔性フィルムを積層した多層フィルム、ポリエステル繊維、アラミド繊維、ガラス繊維等からなる不織布、及びそれらの表面にシリカ、アルミナ、チタニア等のセラミック微粒子を付着させたもの等が挙げられる。公知のリチウムイオン電池用セパレータとしては、多孔質ポリオレフィンからなるセパレータ[旭化成(株)製ハイポア、旭化成(株)製セルガード及び宇部興産(株)製ユーポア等]等が挙げられる。
【0070】
正極集電体7及び負極集電体8は一対の集電体であり、リチウムイオン電池用の公知の集電体を制限無く使用することができ、公知の金属集電体及び導電材料と樹脂とから構成されてなる樹脂集電体(特開2012−150905号公報及び国際公開番号WO2015/005116号等に記載されている樹脂集電体)等を好適に用いることができる。
【0071】
金属集電体としては、例えば、銅、アルミニウム、チタン、ニッケル、タンタル、ニオブ、ハフニウム、ジルコニウム、亜鉛、タングステン、ビスマス、アンチモン及びこれらの金属を1種以上含む合金、並びに、ステンレス合金からなる群から選択される一種以上の金属材料が挙げられる。これらの金属材料は薄板や金属箔等の形態で用いてもよい。また、上記金属材料以外で構成される基材表面にスパッタリング、電着、塗布等の方法により上記金属材料を形成したものを金属集電体として用いてもよい。
【0072】
前記の樹脂集電体は、導電性を有する高分子材料からなる導電性層を含んでなる集電体であり、導電性樹脂層は導電性を有する高分子材料を公知の方法でシート状に成形することで得ることができる。本発明のリチウムイオン電池には、導電性を有する高分子材料を公知の方法でシート状に成形することで得た導電性樹脂層に更に別の導電性層(金属層または他の導電性樹脂層)が積層されていてもよい。
【0073】
樹脂集電体が含む導電性樹脂層を構成する導電性を有する高分子材料として、導電性を有さない高分子に導電性フィラーを分散して導電性を付与した高分子材料を用いることができる。
【0074】
導電性を有さない高分子材料としては、脂肪族ポリオレフィン[ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリイソブチレン、ポリブタジエン及びポリメチルペンテン(PMP)並びにこれらの共重合体等]、脂環式ポリオレフィン[ポリシクロオレフィン(PCO)等]、ポリエステル樹脂[ポリエチレンテレフタレート(PET)等]、ポリエーテルニトリル(PEN)、合成ゴム[スチレンブタジエンゴム(SBR)等]、アクリル樹脂[ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルアクリレート(PMA)及びポリメチルメタクリレート(PMMA)等]、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0075】
電気的安定性の観点から、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)及びポリシクロオレフィン(PCO)が好ましく、さらに好ましくはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)及びポリメチルペンテン(PMP)である。
【0076】
導電性フィラーは、導電性を有する材料から選択される。好ましくは、集電体内のイオン透過を抑制する観点から、電荷移動媒体として用いられるイオンに関して伝導性を有さない材料を用いるのが好ましい。具体的には、カーボン材料、アルミニウム、金、銀、銅、鉄、白金、クロム、スズ、インジウム、アンチモン、チタン、ニッケルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0077】
これらの導電性フィラーは1種単独で用いられてもよいし、2種以上併用してもよい。また、ステンレス(SUS)等のこれらの合金材が用いられてもよい。耐食性の観点から、好ましくはアルミニウム、ステンレス、カーボン材料、ニッケル、より好ましくはカーボン材料である。また、これらの導電性フィラーは、粒子系セラミック材料や樹脂材料の周りに、上記で示される金属をメッキ等でコーティングしたものであってもよい。
【0078】
樹脂集電体は、特開2012−150905号公報及び国際公開番号WO2015/005116号等に記載の公知の方法で得ることができ、具体例としては、ポリプロピレンに導電性フィラーとしてアセチレンブラックを5〜20部分散させた後、熱プレス機で圧延したものが挙げられる。また、その厚みも特に制限されず、公知のものと同様、あるいは適宜変更して適用することができる。
【0079】
枠体9、10を構成する材料としては、集電体7、8との表面に固定することが可能であり、電解液に対して耐久性のある材料であれば特に限定されないが、高分子材料、特に熱硬化性樹脂が好ましい。具体的には、エポキシ系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリフッ化ビニデン樹脂等が挙げられ、耐久性が高く取り扱いが容易であることからエポキシ系樹脂が好ましい。
【0080】
次に、図5を参照して、本実施形態のリチウムイオン電池Lに用いられる単電池1の製造方法について説明する。
【0081】
まず、図5(a)に示すように、基台30の図中上面に正極枠体9を形成する。基台30の上面に正極枠体9を形成する手法は任意であるが、一例として、基台30の上面に正極枠体9を積層する方法があげられる。正極枠体9を積層する方法としては、スクリーン印刷を用いて基台30上面の所定の場所に枠体9を構成する材料を印刷する方法、正極枠体9を構成する材料を吐出可能なノズル31を基台30上面の所定箇所に移動制御して所定量の部材を吐出できる機構により正極枠体9を構成する材料を吐出する手法、所定の型を用いた射出成形等により所定形状にした正極枠体9を成形して基台30上面に積層する方法等が好適に挙げられる。いずれの手法を採用した場合でも、正極枠体9の内壁面9aが上述した所定の形状となるように、この正極枠体9を形成する必要がある。
【0082】
次に、図5(b)に示すように、図5(a)で形成した正極枠体9を基台30上で天地逆に反転させた後、図5(b)において正極枠体9の図中上面9bにシール部材11を配置し、さらに、端部がこのシール部材11上に載置されるようにセパレータ4を載置する。セパレータ4を正極枠体9の上面9bに載置する手法は任意であり、一例として、真空チャック32によりセパレータ4の上面を保持し、この真空チャック32を用いてセパレータ4を正極枠体9の上面9bに載置した後、チャック32をセパレータ4から外すような手法が好適に挙げられる。
【0083】
この後、図略のヒートシーラー等により図5(b)においてセパレータ4の上面(第二面)4bからセパレータ4に熱を加えて、シール部材11によりセパレータ4と正極枠体9とを融着させる。
【0084】
次に、図5(c)に示すように、正極枠体9及びセパレータ4を保持具33により下方から保持しつつ、正極枠体9の図中上部に負極枠体10を形成する。正極枠体9の上部に負極枠体10を形成する手法も任意であり、正極枠体9と同様に、負極枠体10を構成する材料を吐出可能なノズル34を所定箇所に移動制御して所定量の部材を吐出できる機構により負極枠体10を構成する材料を吐出する手法等が公的に挙げられる。いずれの手法を採用した場合でも、負極枠体10の内壁面10aが上述した所定の形状となるように、この負極枠体10を形成する必要がある。
【0085】
次に、図5(d)に示すように、負極電極活物質と電解液とを含む負極活物質層6を負極枠体10の内側に形成、配置して負極3を形成する。負極3を形成する手法は任意であり、セパレータ4の上面(第二面)4bの表面に負極活物質6を含む負極スラリーを塗布する、負極枠体10の内側にノズル35等を用いて負極活物質6を含む負極スラリーを注入するなど、種々の手法が挙げられる。なお、セパレータ4の上面4bへの負極活物質層6の形成は、セパレータ4の表面に負極電極活物質と電解液とを含む混合物を塗布し、必要に応じて裏面から電解液を吸引除去することで行うことができる。
【0086】
次に、図5(e)に示すように、負極3を形成する負極活物質6の図中上面を覆い、端部が負極枠体10の図中上面10bに載置されるように、負極集電体8を載置する。負極集電体8を負極活物質6の上面に載置する手法は任意であり、一例として、真空チャック36により負極集電体8の図中上面を保持し、この真空チャック36を用いて負極集電体8を負極活物質6の上面に載置した後、チャック36を負極集電体8から外すような手法が好適に挙げられる。
【0087】
次に、図5(f)に示すように、図5(e)で形成した負極3を天地逆に反転させた後、正極電極活物質と電解液とを含む正極活物質層5を正極枠体9の内側に形成、配置して正極2を形成する。正極2を形成する手法は負極3を形成する手法と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0088】
そして、図5(g)に示すように、正極2を形成する正極活物質5の図中上面を覆い、端部が正極枠体9の図中上面9cに載置されるように、正極集電体7を載置することで、図5(h)に示すように本実施形態の単電池1を製造することができる。正極集電体7を載置する手法は負極集電体8を載置する手法と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0089】
上述したように本実施形態のリチウムイオン電池Lは、正極活物質層5に接する側である正極枠体9の内壁面9aがセパレータ4の正極活物質層5に接する第一面4aに対して直交しない面に形成され、負極活物質層6に接する側である負極枠体10の内壁面10aがセパレータ4の負極活物質層6に接する第二面4bに対して直交しない面に形成されている。
【0090】
加えて、セパレータ4の第一面4aに対して垂直に切断した場合の正極枠体9の内壁面9aの少なくとも一部が内壁面9aと第一面4aとの接点P1を通る直線に形成され、直線と第一面4aとが鈍角を成しており、さらに、セパレータ4の第二面4bに対して垂直に切断した場合の負極枠体10の内壁面10aの少なくとも一部が内壁面10aと第二面4bとの接点P2を通る直線に形成され、直線と第二面4bとが鈍角を成している。
【0091】
従って、これら接点P1、P2において正極枠体9の内壁面9a及び負極枠体10の内壁面10aとセパレータ4の第一面4a及び第二面4bとが為す角度が鈍角となるので、この接点P1、P2及びその近傍における正極活物質層5及び負極活物質層6の充填性が格段に向上し、接点P1、P2部分に空隙が生じる可能性を極めて低く抑制することができる。これにより、リチウムイオン電池Lの電池特性の低下を抑制することが可能となる。
【0092】
また、本実施形態の単電池1は、正極活物質層5が正極活物質粒子の非結着体であり、負極活物質層6が負極活物質粒子の非結着体であるので、活物質粒子は隣接する活物質粒子との接触を維持したまま動くことが出来る。これにより、リチウムイオン電池Lに応力が作用してリチウムイオン電池Lが変形した場合であっても、活物質層での亀裂の発生や集電体との界面での剥離を起こすことなく、正極集電体7と負極集電体8との間における導電経路を維持することができ、十分な充放電特性を発揮し続けることができる。
【0093】
(変形例)
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態及び実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0094】
一例として、正極枠体9及び負極枠体10の内壁面9a、10aの形状は上述した実施の形態に限定されず、種々の変形例が可能である。例えば、セパレータ4の第一面4aに対して垂直に切断した場合の正極枠体9の内壁面9aの少なくとも一部が内壁面9aと第一面4aとの接点P1を通る曲線に形成され、曲線における全ての接線はセパレータ4の第一面4aに対して鈍角を成し、及び/または、セパレータ4の第二面4bに対して垂直に切断した場合の負極枠体10の内壁面10aの少なくとも一部が内壁面10aと第二面4bとの接点P2を通る曲線に形成され、曲線における全ての接線はセパレータ4の第二面4bに対して鈍角を成すように、これら正極枠体9及び負極枠体10の内壁面9a、10aを形成してもよい。
【0095】
あるいは、図6(a)に示すように、接点P1付近を除いた正極枠体9及び負極枠体10の内壁面9a、10aをセパレータ4の第一面4a及び第二面4bに略直交する面に形成する一方、この接点P1付近において接点P1に近付くにつれてセパレータ4の第一面4aと面一となるような曲面に、正極枠体9及び負極枠体10の内壁面9a、10aを形成してもよい。この場合、負極枠体10の接点P1付近はセパレータ4の第一面4aと略同一の平坦面になるので、セパレータ4を負極枠体10に融着等させて固定するのに好都合である。
【0096】
また、図6(b)に示すように、正極枠体9及び負極枠体10の内壁面9a、10aの断面を一体の傾斜直線に形成してもよい。つまり、正極枠体9及び負極枠体10の内壁面9a、10aの断面が、図中上方から下方に向かうに従って内方に傾斜する直線に形成してもよい。この場合、負極枠体10の内壁面10aとセパレータ4の第二面4bの接点P2において、内壁面10aの断面と第二面4bとが為す角度が鋭角になる。
【0097】
ここで、図6(b)に示す例では、セパレータ4の端部が図中上方に折り曲げられ、この折り曲げ部において正極枠体9の内壁面9aに融着等されている。
【0098】
なお、図6(b)に示す例では、負極集電体8の上面に正極枠体9及び負極枠体10を一体に形成したものを接着し、あるいは一体に形成し、次いで負極活物質層6を負極枠体10内に充填し、この負極活物質層6の上面にセパレータ4を配置してその端部を融着等して固定し、さらに、セパレータ4の上部に正極活物質層5を充填して正極集電体7で蓋をするといった手順でリチウムイオン電池Lを製造することができる。
【0099】
さらに、図6(c)に示すように、正極枠体9及び負極枠体10の内壁面9a、10aの一方のみ(図示例では正極枠体9の内壁面9a)を傾斜面に形成してもよく、さらには、図6(d)に示すように、正極枠体9及び負極枠体10の内壁面9a、10aを一連の曲面に形成してもよい。
【符号の説明】
【0100】
L リチウムイオン電池
P1、P2 接点
1 単電池
2 正極
3 負極
4 セパレータ
4a 第一面
4b 第二面
5 正極活物質層
6 負極活物質層
7 正極集電体
8 負極集電体
9 正極枠体
9a、10a 内壁面
10 負極枠体
21 積層型電池モジュール
図1
図2
図3
図4
図5
図6