【課題】基板間を接続するためのコネクタと同軸コネクタとを一体化した従来の同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタは、同軸コネクタに接続される同軸ケーブルが熱に弱いため、プリント基板への表面実装工程において、同軸コネクタに同軸ケーブルを接続した状態で、同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタを高温のリフロー炉に通すことができないという問題があった。
【解決手段】同軸ケーブルが接続された同軸コネクタを取り付けていない状態の同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタを、プリント基板に表面実装した後で、同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタのハウジングの所定の位置に、同軸コネクタを取り付けることが可能な係止構造を備えた同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタを提供する。
複数の端子を備えた嵌合部と、同軸コネクタを収容するための収容部とを含み、前記複数の端子の実装部がはんだ付けされて基板に実装された同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタであって、
前記収容部は、前記同軸コネクタの外部導体の係止部を受け入れるように構成された被係止部を壁面に備え、
前記被係止部は、受け入れた前記係止部と係合することで、前記同軸コネクタを固定するように構成されたことを特徴とする同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタ。
前記係止溝は、前記同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタの短手方向の一方の側に、前記同軸コネクタの前記係止部を受け入れるための受入口を有し、前記短手方向の他方の側に、前記同軸コネクタの移動を規制して前記収容部における前記同軸コネクタの配置を決めるための規制部を有し、
前記短手方向の一方の側の前記受入口から前記短手方向の他方の側に押し込まれた前記同軸コネクタは、前記規制部に当接して前記収容部に固定されるように構成されたことを特徴とする請求項3に記載の同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタ。
前記係止溝は、前記同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタの短手方向の他方の側に、前記同軸コネクタの前記係止部を受け入れるための受入口を有し、前記短手方向の一方の側に、前記同軸コネクタの移動を規制して前記収容部における前記同軸コネクタの配置を決めるための規制部を有し、
前記短手方向の他方の側の前記受入口から前記短手方向の一方の側に引き込まれた前記同軸コネクタは、前記規制部に当接して前記収容部に固定されるように構成されたことを特徴とする請求項3に記載の同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタ。
前記嵌合部は、側壁に囲まれて凹状に形成された嵌合凹部であって、対向する側壁に前記複数の端子を配列した嵌合凹部と、相手側コネクタとの嵌合方向に突出した形状であり、前記固定金具を備えた嵌合凸部とを含むことを特徴とする請求項2に記載の同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタ。
前記同軸コネクタは、略矩形状の外部導体と、同軸ケーブルの中心導体に接続され該中心導体の延伸方向に延びた同軸中心端子と、前記外部導体の内側に設けられ、前記同軸中心端子を中央に保持する絶縁体とを含む簡易同軸コネクタであり、
前記係止部は、前記簡易同軸コネクタの前記外部導体の両側側壁からそれぞれ突出し、
前記同軸中心端子は、相手側コネクタの中心端子と接触するために突出した接触部を先端側に有し、前記絶縁体の先端側には、前記接触部を保持するための先端壁部が形成されたことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタ。
前記同軸コネクタは、略筒状の嵌合部と該嵌合部の外側に側壁部とを備えた外部導体と、同軸ケーブルの中心導体に接続された同軸中心端子と、前記外部導体の内側に設けられ、前記同軸中心端子を保持して中央から前記中心導体の接触片を露出する絶縁体とを含み、
前記絶縁体は、前記同軸中心端子の前記接触片を取り囲むように形成された筒状部を有し、
前記同軸コネクタの前記係止部は、前記外部導体の前記側壁部であり、
前記収容部の前記被係止部は、前記側壁部の形状に合わせて係合するように構成されたことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
基板接続用コネクタのプリント基板への表面実装は、一般に、ペースト状又はクリーム状のはんだを必要な箇所に塗布又は印刷したプリント基板の所定の位置に、チップマウンタにより、基板接続用コネクタを他の表面実装部品と共に載せ、次に、そのプリント基板を高温のリフロー炉(リフローはんだ付け装置)に入れることではんだが溶け、最後に、プリント基板をリフロー炉から取り出されると、はんだが冷えて固まり基板接続用コネクタをプリント基板上に固定することができる。
【0006】
上述した複合コネクタの従来例の同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタは、このようなリフロー方式によるプリント基板へのはんだ付けによって表面実装がなされるが、同軸コネクタに接続される同軸ケーブルは熱に弱いため、同軸コネクタに同軸ケーブルを接続した状態で、同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタを高温のリフロー炉に通すことができないという問題があった。そのため、既製品の同軸コネクタ等、予めケーブルが接続された状態の同軸コネクタを、基板接続用コネクタと共に一体化した同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタとして転用することができなかった。
【0007】
このような問題を解決するために、同軸ケーブルが接続された同軸コネクタを取り付けていない状態の同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタを、プリント基板に表面実装した後で、同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタのハウジングの所定の位置に、同軸コネクタを取り付けることが可能な係止構造を備えた同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタの1つの実施形態として、
複数の端子を備えた嵌合部と、同軸コネクタを収容するための収容部とを含み、前記複数の端子の実装部がはんだ付けされて基板に実装された同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタであって、
前記収容部は、前記同軸コネクタの外部導体の係止部を受け入れるように構成された被係止部を壁面に備え、
前記被係止部は、受け入れた前記係止部と係合することで、前記同軸コネクタを固定するように構成されたことを特徴とする。
【0009】
本発明に係る同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタの好ましい実施形態として、
前記嵌合部は、前記複数の端子の他に、固定金具を備え、
前記固定金具の固定部は、はんだ付けされて基板に実装され、
前記収容部は、前記複数の端子と前記固定金具との間に位置することを特徴とする。
【0010】
本発明に係る同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタの好ましい実施形態として、
前記被係止部は、前記収容部の壁面において短軸方向に延びた溝状の係止溝であり、
前記同軸コネクタの前記係止部は、前記係止溝に圧入されることで、前記係止部と前記係止溝とが係合されることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタの好ましい実施形態として、
前記係止溝は、前記同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタの短手方向の一方の側に、前記同軸コネクタの前記係止部を受け入れるための受入口を有し、前記短手方向の他方の側に、前記同軸コネクタの移動を規制して前記収容部における前記同軸コネクタの配置を決めるための規制部を有し、
前記短手方向の一方の側の前記受入口から前記短手方向の他方の側に押し込まれた前記同軸コネクタは、前記規制部に当接して前記収容部に固定されるように構成されたことを特徴とする。
【0012】
本発明に係る同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタの好ましい実施形態として、
前記係止溝は、前記短手方向の一方の側の前記受入口の近傍に、前記収容部に固定された前記同軸コネクタの前記係止部の端部と係合するための突起を有し、
前記突起は、前記同軸コネクタの前記係止部と係合することで、前記同軸コネクタの前記短手方向の一方の側への移動を規制するように構成されたことを特徴とする。
【0013】
本発明に係る同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタの好ましい実施形態として、
前記係止溝は、前記同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタの短手方向の他方の側に、前記同軸コネクタの前記係止部を受け入れるための受入口を有し、前記短手方向の一方の側に、前記同軸コネクタの移動を規制して前記収容部における前記同軸コネクタの配置を決めるための規制部を有し、
前記短手方向の他方の側の前記受入口から前記短手方向の一方の側に引き込まれた前記同軸コネクタは、前記規制部に当接して前記収容部に固定されるように構成されたことを特徴とする。
【0014】
本発明に係る同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタの好ましい実施形態として、
前記係止溝は、前記短手方向の他方の側の前記受入口の近傍に、前記収容部に固定された前記同軸コネクタの前記係止部の端部と係合するための突起を有し、
前記突起は、前記同軸コネクタの前記係止部と係合することで、前記同軸コネクタの前記短手方向の他方の側への移動を規制するように構成されたことを特徴とする。
【0015】
本発明に係る同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタの好ましい実施形態として、
前記被係止部は、前記収容部の壁面を窪ませて形成された凹状の係止凹部であり、
前記係止凹部は、前記収容部の上方から嵌め込まれる前記同軸コネクタの前記係止部と係合するように構成されたことを特徴とする。
【0016】
本発明に係る同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタの好ましい実施形態として、
前記嵌合部は、側壁に囲まれて凹状に形成された嵌合凹部であって、対向する側壁に前記複数の端子を配列した嵌合凹部と、相手側コネクタとの嵌合方向に突出した形状であり、前記固定金具を備えた嵌合凸部とを含むことを特徴とする。
【0017】
本発明に係る同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタの好ましい実施形態として、
前記同軸コネクタは、略矩形状の外部導体と、同軸ケーブルの中心導体に接続され該中心導体の延伸方向に延びた同軸中心端子と、前記外部導体の内側に設けられ、前記同軸中心端子を中央に保持する絶縁体とを含む簡易同軸コネクタであり、
前記係止部は、前記簡易同軸コネクタの前記外部導体の両側側壁からそれぞれ突出し、
前記同軸中心端子は、相手側コネクタの中心端子と接触するために突出した接触部を先端側に有し、前記絶縁体の先端側には、前記接触部を保持するための先端壁部が形成されたことを特徴とする。
【0018】
本発明に係る同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタの好ましい実施形態として、
前記同軸コネクタは、略筒状の嵌合部と該嵌合部の外側に側壁部とを備えた外部導体と、同軸ケーブルの中心導体に接続された同軸中心端子と、前記外部導体の内側に設けられ、前記同軸中心端子を保持して中央から前記中心導体の接触片を露出する絶縁体とを含み、
前記絶縁体は、前記同軸中心端子の前記接触片を取り囲むように形成された筒状部を有し、
前記同軸コネクタの前記係止部は、前記外部導体の前記側壁部であり、
前記収容部の前記被係止部は、前記側壁部の形状に合わせて係合するように構成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の1つの実施形態に係る同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタは、同軸コネクタを収容するための収容部の壁面に設けられた被係合部と、同軸コネクタの外部導体から突出した係止部とが係合するように構成された係止構造を備えたことで、高温に弱い同軸ケーブルが接続された同軸コネクタを取り付けていない状態で、同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタをプリント基板に実装する工程(例えば、当該コネクタを載せたプリント基板をリフロー炉に通してはんだ付けを行う工程)を行った後で、上述した係止構造によって、同軸ケーブルが接続された状態の同軸コネクタを、同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタの収容部内の所定の位置に固定することができる。
【0020】
つまり、熱に弱い同軸ケーブルを高温のリフロー炉などの高熱にさらすことなく、同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタを、プリント基板に実装することができる。これにより、副次的な効果として、予めケーブルが接続された状態の既製品の同軸コネクタを、同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタにおける部品として転用することも可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。なお、実施の形態を説明するための全ての図において、同一部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0023】
図1は、簡易同軸コネクタを用いた一実施形態に係る同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタ(複合コネクタ)の部品構成を示す斜視図である。また、
図2は、
図1に示した複合コネクタを線A−Aに沿って基板に対して垂直に切断した断面を示す断面図である。同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタの一例である複合コネクタ1は、絶縁材料からなる矩形状に形成されたハウジングの中央部分に、側壁12に四方を囲まれて凹状に形成された嵌合凹部11と、ハウジングの端部分に、凸状に形成された嵌合凸部16とを含む嵌合部を備える。
図1に示す実施形態では、複合コネクタ1の嵌合部の形状を、中央部分で凹状(嵌合凹部11)、端部分で凸状(嵌合凸部16)としているが、これに限定されるものではなく、中央部分を凸状に形成してもよいし、端部分を凹状に形成してもよい。
【0024】
嵌合凹部11は、複合コネクタ1の矩形状のハウジング中央の基部17上に形成され、側壁12に沿って並べられた複数の端子18を側壁12で保持する。
図1に示す実施形態では、嵌合凹部11は、矩形状に形成され、四方を囲む側壁のうち、嵌合凹部11の長手方向に向かって延びる側壁12のそれぞれに、複数の端子18を配列して保持することができる。
【0025】
端子18は、相手側コネクタの端子53(
図7参照)と接触する位置に、表面を窪ませて形成したロック部19を備え、端子18は、さらにフレキシブルプリント回路基板(FPC)などの基板20上の配線に、はんだ付けにより実装される実装部21を端部に備える。実装部21は、複合コネクタ1のハウジング中央の基部17の基板20に面する表面から露出されている。
【0026】
嵌合凸部16は、複合コネクタ1の矩形状のハウジングの端の基部17上に形成され、固定金具22を保持する。固定金具22は、嵌合凸部の側面及び該側面に隣接する上面から露出させた状態で保持され、端子18と同じ形状で信号の伝送には使用せず、相手側コネクタとの嵌合のために使用するダミー端子である。
図1に示す実施形態では、固定金具22は、嵌合凹部11の長手方向に向かって延びる側壁12に並べられた端子18の配列と同じ直線上に配置されている。なお、
図1に示す実施形態では、端子18は、ダミー端子として使用しているが、電気信号を伝送するための信号端子、電源から電力を供給するための電源端子、又は、接地のためのグランド端子として使用してもよい。
【0027】
固定金具22は、相手側コネクタの内壁62(
図7参照)上に突起が設けられた場合に当該突起と接触する位置に、表面を窪ませて形成したロック部23を設けることができる。固定金具22は、さらにフレキシブルプリント回路基板(FPC)などの基板20上の固定用の面に、はんだ付けにより固定される固定部24を端部に備える。実装部21は、複合コネクタ1のハウジング端部分の基部17の基板20に面する表面から露出されている。
【0028】
収容部13は、複合コネクタ1の嵌合部において、複数の端子18と固定金具22との間に位置する。
図1に示す実施形態では、複合コネクタ1の嵌合部は、嵌合凹部11と嵌合凸部16とを含み、収容部13は、複合コネクタ1の中央部分に設けられた嵌合凹部11と、端部分に設けられた嵌合凸部16との間に設けられ、簡易同軸コネクタ30を収容するように、簡易同軸コネクタ30の外部導体33の矩形状の形状に合わせて形成されている。収容部13の壁面には、簡易同軸コネクタ30の外部導体33から外側に突出した係止部41を受け入れるように構成された被係止部である係止溝10が設けられている。
【0029】
図1及び
図2に示す実施形態では、係止溝10は、収容部13の平面と壁面の境界に設けられ、係止溝10に、簡易同軸コネクタ30の板状に形成された係止部41が圧入されることで、係止溝10と係止部41とが係合されて、簡易同軸コネクタ30を収容部13内に固定することができる。
【0030】
係止溝10は、複合コネクタ1の短手方向の一方の側(
図1において、簡易同軸コネクタ30を受け入れる側)に、簡易同軸コネクタ30の係止部41を受け入れるための受入口14がある。規制部15は、複合コネクタ1の短手方向の他方の側(
図1において、簡易同軸コネクタ30を受け入れる側とは反対側)に設けられる。
【0031】
図1及び
図2に示す実施形態では、簡易同軸コネクタ30は、複合コネクタ1の短手方向の一方の側の受入口14から他方の側に押し込まれて、規制部15に当接して収容部13に固定される。規制部15は、簡易同軸コネクタ30を収容部13に収容する際に、係止部41を係止溝10内でスライドさせて簡易同軸コネクタ30の先端が当接することで、簡易同軸コネクタ30の移動を規制して収容部13における簡易同軸コネクタ30の配置を決めることができる。
【0032】
係止溝10は、複合コネクタ1の短手方向の一方の側の受入口14の近傍に、収容部13に固定された簡易同軸コネクタ30の係止部41の端部と係合するための突起(図示せず)を溝内に設けることができる。係止溝10から突出した突起は、簡易同軸コネクタ30の係止部41と係合することで、収容部13内の簡易同軸コネクタ30が受入口14方向への移動を規制することができる。
【0033】
簡易同軸コネクタ30に接続された同軸ケーブル31は、被覆の内側に中心導体29と中心導体29を覆う絶縁体32とを含む。中心導体29は、簡易同軸コネクタ30の外部導体33の後端側に設けられた圧着片34によって、絶縁体36の後端部分と共に同軸中心端子35に圧着されて電気的に接続される。
【0034】
簡易同軸コネクタ30は、略矩形状の外部導体33と、外部導体33内に保持された絶縁体36と、絶縁体36の中央に保持された同軸中心端子35とを含む。絶縁体36は、相手側コネクタと嵌合する方向に突出した先端壁部37を、簡易同軸コネクタ30の先端側に備える。同軸中心端子35は、同軸ケーブル31の延伸方向に延び、先端側に相手側コネクタの同軸用端子56(
図7参照)と電気的に接続される接触部38を備える。接触部38は、先端壁部37に保持され、相手側コネクタの同軸用端子56(
図7参照)と接触する位置に、表面を窪ませて形成したロック部39を備える。
【0035】
外部導体33の側壁は、接触部38を保持する先端壁部37を間に挟むように形成され、係止部41は、外部導体33の側壁から突出して形成される。
図1に示す実施形態では、係止部41は、収容部13の係止溝10の形状に合わせて板状に形成され、収容部13の壁面における係止溝10に対応した、外部導体33の底面と側面との角の位置に設けられている。
【0036】
図2の断面図に示されるように、嵌合凹部11の側壁12に保持された複数の端子18及び、嵌合凸部16に保持された固定金具22は、同じ高さになるように配置される。複合コネクタ1のハウジングの基部17の底面から露出した、複数の端子18の実装部21及び固定金具22の固定部24は、リフロー方式等のはんだ付けによって基板20に固定される。
【0037】
図3は、
図1に示した複合コネクタに同軸コネクタを取り付けた状態を示す斜視図である。
図1に示された、複合コネクタ1に取り付けられていない簡易同軸コネクタ30が、受入口14から差し込まれることで収容部13に固定されて、
図3に示した状態となる。複合コネクタ1の基板20への実装は、簡易同軸コネクタ30を取り付けていない状態で、リフロー方式等の表面実装方法で行うことができる。
【0038】
具体的には、複合コネクタ1に、高温に弱い同軸ケーブル31が接続された簡易同軸コネクタ30を取り付けていない状態で、複合コネクタ1を基板20に実装する工程(例えば、複合コネクタ1を載せた基板20をリフロー炉に通してはんだ付けを行う工程)を行った後で、簡易同軸コネクタ30を受入口14から差し込んで、簡易同軸コネクタ30の係止部41が係止溝10に挟まれて係合することで、簡易同軸コネクタ30は、収容部13内の所定の位置に固定することができる。
【0039】
図4は、簡易同軸コネクタを用いた別の実施形態に係る簡易同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタ(複合コネクタ)の部品構成を示す斜視図である。被係止部である係止溝47は、複合コネクタ1の短手方向の他方の側(
図4において、簡易同軸コネクタ30を受け入れる側)に、簡易同軸コネクタ30の係止部41を受け入れるための受入口42がある。規制部43は、複合コネクタ1の短手方向の一方の側(
図3において、簡易同軸コネクタ30を受け入れる側とは反対側)に設けられる。
【0040】
図4に示す実施形態では、簡易同軸コネクタ30は、複合コネクタ2の短手方向の他方の側の受入口42から一方の側に押し込まれて、係止溝47の一方の側を塞いだ規制部43に当接して収容部13に固定される。規制部43は、簡易同軸コネクタ30を収容部13に収容する際に、係止部41を係止溝47内でスライドさせて簡易同軸コネクタ30の係止部41の端部が当接することで、簡易同軸コネクタ30の移動を規制して収容部13における簡易同軸コネクタ30の配置を決めることができる。
【0041】
係止溝47は、複合コネクタ2の短手方向の他方の側の受入口42の近傍に、収容部13に固定された簡易同軸コネクタ30の係止部41の端部と係合するための突起(図示せず)を溝内に設けることができる。係止溝47から突出した突起は、簡易同軸コネクタ30の係止部41と係合することで、収容部13内の簡易同軸コネクタ30が受入口42方向への移動を規制することができる。
【0042】
図5は、簡易同軸コネクタを用いたさらに別の実施形態に係る同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタ(複合コネクタ)の部品構成を示す斜視図である。また、
図6は、
図5に示した複合コネクタを線B−Bに沿って基板に対して垂直に切断した断面を示す断面図である。複合コネクタ3は、簡易同軸コネクタ40を収容部25に収容する。
図5に示されるように、収容部25に面した、嵌合凸部27の壁面には被係止部である係止凹部26が形成される。
図5には示されていないが、収容部25に面した壁面に、係止凹部26を設けることができる。
【0043】
収容部25は、簡易同軸コネクタ40の外部導体44の形状に合わせて形成される。規制部28は、簡易同軸コネクタ40を収容部25に収容する際に、簡易同軸コネクタ40の先端が当接することで、簡易同軸コネクタ40の移動を規制して収容部25における簡易同軸コネクタ40の配置を決めることができる。
【0044】
簡易同軸コネクタ40は、
図1に示した簡易同軸コネクタ30と同様に、略矩形状の外部導体44と、外部導体44内に圧入された絶縁体36と、絶縁体36の中央に保持された同軸中心端子35とを含む。外部導体44の側壁は、接触部38を保持する先端壁部37を間に挟むように形成され、係止部45は、外部導体44の側壁の下部から斜めに突出して形成される。先端片46は、外部導体44の先端部分を外側に折り曲げて形成される。
【0045】
図6の断面図に示されるように、
図5に示す実施形態では、係止部45は、収容部25の係止凹部26に嵌り合うように、外部導体44の側壁を外側に打ち抜いて形成される。簡易同軸コネクタ40が収容部25に収容された際に、収容部25の壁面における係止凹部26の上端部は、係止部45の上端部と係合する。
【0046】
図7は、簡易同軸コネクタを用いた実施形態に係る複合コネクタと接続する相手側コネクタの構成を示す斜視図である。また、
図8は、
図7に示した相手側コネクタの外部導体の構成を示す斜視図である。相手側コネクタ6は、外部導体50と、外部導体50を保持する絶縁性の材料で形成されたハウジング57とを含む。
図7に示されるに、相手側コネクタ6は、矩形状のハウジング57の中央に、複合コネクタ1,2又は3の嵌合凹部11と嵌合するように突出した嵌合凸部51を有し、嵌合凸部51の両側に間隔をあけて同軸嵌合部52を有する。
【0047】
図7及び8に示されるように、端子53は、ハウジング57の中央の内壁58から接触部54を露出し、接触部54に対向する自由端である接触片55を嵌合凸部51側に有し、嵌合凸部51とハウジング57の側壁との間に、相手側コネクタ6の長手方向に沿って複数配列される。端子53は、さらにフレキシブルプリント回路基板(FPC)などの基板上の配線に、はんだ付けにより実装される実装部63を端部に備える。実装部63は、相手側コネクタ6のハウジング57の基板に面する表面から露出されている。
【0048】
同軸用端子56は、端子53と同じ形状であり、外部導体接触部60を間に挟んでハウジング57の中央の内壁58の隣に位置する内壁59から接触部54を露出し、接触部54に対向する自由端である接触片55を同軸嵌合部52側に有し、同軸嵌合部52とハウジング57の側壁との間に配置される。
【0049】
外部導体接触部60は、同軸用端子56が露出した内壁59の両側に設けられ、複合コネクタ1,2又は3と相手側コネクタ6との接続の際に、簡易同軸コネクタ30又は40の外部導体33又は44の先端の板面にそれぞれ接触するように構成される。相手側コネクタ6は、長手方向の端部に嵌合凹部61を有し、嵌合凹部61は、複合コネクタ1,2又は3の嵌合凸部16又は27を受け入れるように構成され、嵌合凹部61に面した内壁62は、嵌合凸部16又は27に設けられた固定金具22と当接する。内壁62には、固定金具22のロック部23と係合するように、突起を設けることができる。
【0050】
図8に示されるように、外部導体50は、矩形枠状に形成され、長手方向に延びる実装部64と、短手方向に延びる実装部65とを備える。実装部64及び65をプリント基板(図示せず)にはんだ付けすることで、外部導体50は当該プリント基板に実装される。外部導体接触部60は、矩形枠状の外部導体50とつながっている。
【0051】
図9は、本発明に係る複合コネクタと相手側コネクタとが接続された状態を示す斜視図であり、
図10は、
図9に示した接続した状態を線C−Cに沿って基板に対して垂直に切断した断面を示す断面図である。また、
図11は、
図9に示した接続した状態を線D−Dに沿って基板に対して垂直に切断した断面を示す断面図である。
図9は、
図3に示す複合コネクタ1を
図7に示す相手側コネクタ6に接続した状態を示す。
【0052】
図10の断面図に示されるように、複合コネクタ1の中央に設けられた嵌合凹部11に相手側コネクタ6の中央に設けられた嵌合凸部51が嵌り、端子18に端子53の接触部54及び接触片55が接触して電気的に接続される。
図11の断面図に示されるように、簡易同軸コネクタ30の同軸中心端子35の接触部38は同軸嵌合部52とハウジング57の側壁の間に保持される同軸用端子56に接触して電気的に接続される。
【0053】
図12は、同軸コネクタを用いた一実施形態に係る同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタ(複合コネクタ)の部品構成を示す斜視図である。また、
図13は、
図12に示した複合コネクタを線E−Eに沿って、基板に対して垂直方向に切断した断面を示す断面図である。複合コネクタ5の中央部分の構成は、複合コネクタ1,2又は3の中央部分の構成と実質的に同じであり、その他、複合コネクタ1,2又は3の構成と実質的に同じ構成については、説明を省略する。
【0054】
複合コネクタ5の収容部82は、複合コネクタ1,2又は3のものとは構成が異なる部分があり、収容部82は同軸コネクタ70を収容するように、同軸コネクタ70の外部導体71の形状に合わせて形成されている。収容部82の壁面には、同軸コネクタ70の外部導体71の円筒状の嵌合部76の外側に設けられた側壁部77を係止部として受け入れるように構成された被係止部である係止溝79が設けられている。
【0055】
図12及び
図13に示す実施形態では、係止溝79は、収容部82の平面と壁面の境界に設けられ、係止溝79に、同軸コネクタ70の側壁部77が圧入されることで、係止溝79と側壁部77とが係合されて、同軸コネクタ70を収容部82内に固定することができる。側壁部77は、係合部として用いられ、被係止部である係止溝79に圧入される。収容部82の壁面の係止溝79は、側壁部77の形状に合わせて形成することができる。また、側壁部77は、収容部82の壁面における係止溝79に対応した、外部導体71の底面と側面との角の位置に設けられている。
【0056】
係止溝79は、複合コネクタ5の短手方向の一方の側(
図12において、同軸コネクタ70を受け入れる側)に、同軸コネクタ70の側壁部77を受け入れるための受入口66がある。規制部81は、複合コネクタ5の短手方向の他方の側(
図12において、同軸コネクタ70を受け入れる側とは反対側)に設けられる。
【0057】
図12及び
図13に示す実施形態では、同軸コネクタ70は、複合コネクタ5の短手方向の一方の側の受入口66から他方の側に押し込まれて、規制部81に当接して収容部82に固定される。規制部81は、同軸コネクタ70を収容部82に収容する際に、側壁部77を係止溝79内でスライドさせて同軸コネクタ70の先端部78が当接することで、同軸コネクタ70の移動を規制して収容部82における同軸コネクタ70の配置を決めることができる。
【0058】
係止溝79は、複合コネクタ5の短手方向の一方の側の受入口66の近傍に、収容部82に固定された同軸コネクタ70の側壁部77の端部と係合するための突起(図示せず)を溝内に設けることができる。係止溝79から突出した突起は、同軸コネクタ70の側壁部77と係合することで、収容部82内の同軸コネクタ70が受入口66方向への移動を規制することができる。
【0059】
同軸コネクタ70に接続された同軸ケーブル31の中心導体29は、同軸コネクタ70の外部導体71の後端側に設けられた圧着片72によって、絶縁体73の後端部分と共に同軸中心端子80に圧着されて電気的に接続される。
【0060】
同軸コネクタ70は、外部導体71と、外部導体71内に圧入された絶縁体73と、絶縁体73の中央に保持された同軸中心端子80とを含む。外部導体71は、略筒状の嵌合部76と、嵌合部76の外側であって同軸ケーブル31が延伸する方向に直交した方向に側壁部77とを備えることができる。
【0061】
絶縁体73は、外部導体71の内側に設けられ、同軸中心端子80を保持して中央から同軸中心端子80の端部に設けられた接触片75を露出する。また、絶縁体73は、同軸中心端子80の接触片75を取り囲むように形成された筒状部74を有する。
【0062】
図14は、
図12に示した複合コネクタに同軸コネクタを取り付けた状態を示す斜視図である。
図12に示された、複合コネクタ5に取り付けられていない同軸コネクタ70を、受入口66から差し込むことで収容部82に固定されて、
図14に示した状態となる。複合コネクタ5の基板20への実装は、同軸コネクタ70を取り付けていない状態で、リフロー方式等の表面実装方法で行うことができる。
【0063】
具体的には、複合コネクタ5に、高温に弱い同軸ケーブル31が接続された同軸コネクタ70を取り付けていない状態で、複合コネクタ5を基板20に実装する工程(例えば、複合コネクタ5を載せた基板20をリフロー炉に通してはんだ付けを行う工程)を行った後で、同軸コネクタ70を受入口66から差し込んで、同軸コネクタ70の側壁部77が係止溝79に挟まれて係合することで、同軸コネクタ70は、収容部82内の所定の位置に固定することができる。同軸コネクタ70は、一般的な同軸コネクタであり、市販されている既製品を用いることも可能である。
【0064】
同軸コネクタ70を用いる複合コネクタ5の変形例は、図示しないが、
図4に示される複合コネクタ2の構成と同様に、複合コネクタ5を、複合コネクタ5の受入口66がある一方の側と規制部81がある他方の側の構成を入れ替えた構成にすることもできる。
【0065】
図15は、同軸コネクタを用いた実施形態に係る複合コネクタと接続する相手側コネクタの構成を示す斜視図である。
図16は、
図12に示した相手側コネクタの外部導体の構成を示す斜視図である。相手側コネクタ7は、外部導体90と、外部導体90を保持する絶縁性の材料で形成されたハウジング57とを含む。
図15に示されるに、相手側コネクタ7は、矩形状のハウジング57の中央に、複合コネクタ5の嵌合凹部11と嵌合するように突出した嵌合凸部51を有し、嵌合凸部51の両側に間隔をあけて、同軸中心導体86を保持した絶縁体87を内部に含む筒状部88を有する。
【0066】
相手側コネクタ7と複合コネクタ5との接続時に、同軸中心導体86は、複合コネクタ5における同軸コネクタ70に含まれる同軸中心端子80に受け入れされて、2つの接触片75に挟まれて、電気的に接続される。
図16に示されるように、同軸中心導体86は、実装部89を端部に有し、実装部89をプリント基板(図示せず)上の配線にはんだ付けすることで、当該プリント基板に実装される。外部導体である筒状部88は、同軸コネクタ70の外部導体71に含まれる嵌合部76と嵌り合って電気的に接続される。
【0067】
図16に示されるように、外部導体90は、略矩形状に形成され、長手方向に延びる実装部84と、短手方向に延びる実装部85とを備える。実装部84及び85をプリント基板(図示せず)にはんだ付けすることで、外部導体90は当該プリント基板に実装される。筒状部88は連結部91を介して外部導体90とつながっている。
【0068】
以上のとおり、本発明は、例示したいずれの実施形態においても、複合コネクタ(同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタ)の構成、すなわち、同軸コネクタを収容するための収容部の壁面に設けられた被係合部(係合溝、係合凹部)と、同軸コネクタの外部導体から突出した係止部(側壁部)とが係合するように構成された係止構造によって、高温に弱い同軸ケーブルが接続された同軸コネクタを取り付けていない状態で、同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタをプリント基板に実装する工程(例えば、当該コネクタを載せたプリント基板をリフロー炉に通してはんだ付けを行う工程)を行った後で、同軸ケーブルが接続された同軸コネクタを、同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタの収容部内の所定の位置に固定することが可能となる。
【0069】
このように、高温に弱い同軸コネクタに、リフローによる熱の影響を一切及ぼさずに、同軸コネクタ一体型基板接続用コネクタを製造することができる。本発明の個々の実施形態は、独立したものではなく、それぞれ組み合わせて適宜実施することができる。