【解決手段】LED点灯装置30は、異なる発光色を有する複数のLED負荷21〜24に電力を供給する電源回路31と、複数のLED負荷21〜24のうちの1つのLED負荷を選択することによって、選択したLED負荷に対して前記電源回路31から給電させるセレクタ回路32と、セレクタ回路32を制御する制御回路33と、を備え、複数のLED負荷21〜24は、白色LED負荷24を含み、制御回路33は、セレクタ回路32に、複数のLED負荷21〜24のうち、少なくとも二つのLED負荷を順次巡回的に選択させ、かつ、少なくとも二つのLED負荷のうちの一つのLED負荷と、前記白色LED負荷24とを交互に選択させ、少なくとも二つのLED負荷は、白色LED負荷24以外の少なくとも二つのLED負荷を含む。
前記制御回路は、前記複数のLED負荷の発光色を示す調色信号に基づいて前記セレクタ回路を制御することによって、前記セレクタ回路の一巡点灯周期当たりに前記白色LED負荷に供給する電流量を制御する
請求項1に記載のLED点灯装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本発明の基礎となった知見)
本発明者は、「背景技術」の欄において記載した照明装置に関し、以下の問題が生じることを見出した。
【0011】
まず、本発明者の知見に係る照明器具を比較例として説明する。
【0012】
図8は、本発明者の知見に係る比較例の照明器具の構成を示す図である。同図の照明器具は、電源回路90、LED負荷91〜94、スイッチング素子SW3〜SW6を備える。電源回路90は、スイッチング素子SW1、SW2、インダクタL0を有し、いわゆる降圧チョッパー型のDC−DCコンバータである。スイッチング素子SW1、SW2は、排他的にオン状態になるように制御される。インダクタL0は、スイッチング素子SW1、SW2の接続点から供給されるエネルギーを蓄積および放出する。
【0013】
LED負荷91〜94は、異なる発光色を有する。
【0014】
スイッチング素子SW3〜SW6は、1周期内で順にオンになるように制御される。
【0015】
図9は、比較例の照明器具の電流波形を示す図である。同図の縦軸は、インダクタ電流を示す。インダクタ電流は、インダクタL0を介していずれかのLED負荷に供給される、電源回路90の出力電流である。横軸は時間を示す。同図の上段は比較的明るい状態を示す。同図の下段は調光により暗くなった状態を示す。また、色α、色β、色γ、色δは、LED負荷91〜94の発光色を示す。LED負荷91〜94の発光色は、例えば、赤、緑、青、白である。
【0016】
図9のように、LED負荷91〜94は、一定の周期において一巡して発光する。この動作を順送り点灯と呼ぶ。また、
図9では、周期が固定であり、スイッチング素子SW3〜SW6のスイッチング周波数が固定である場合を示している。スイッチング周波数が固定された状態で調光する場合、オン時間が短くなると同時に休止区間Txが長くなる。休止区間Txが長くなると、順送り点灯時は人間の目に色ちらつきが知覚されることがあるという問題がある。
【0017】
色ちらつきは、照明光の下で素早く動く物体が存在したときに、例えば、照明光の下で手を素早く振ったとき、扇風機の羽根が回転しているときなどに、個々の発光色が分かれて見える現象である。色ちらつきは、休止区間Txが長いほど、素早く動く物体上で色が分離して見えやすくなる。このような、色ちらつきは、人に不快感や違和感を与えてしまうことがある。
【0018】
このような問題を解決するために、本発明の一態様に係るLED点灯装置は、異なる発光色を有する複数のLED負荷を点灯させるLED点灯装置であって、前記複数のLED負荷に電力を供給する電源回路と、前記複数のLED負荷のうちの1つのLED負荷を選択することによって、選択したLED負荷に対して前記電源回路から給電させるセレクタ回路と、前記セレクタ回路を制御する制御回路と、を備え、前記複数のLED負荷は、白色LED負荷を含み、前記制御回路は、前記セレクタ回路に、前記複数のLED負荷のうち、少なくとも二つのLED負荷を順次巡回的に選択させ、かつ、前記少なくとも二つのLED負荷のうちの一つのLED負荷と、前記白色LED負荷とを交互に選択させ、前記少なくとも二つのLED負荷は、前記白色LED負荷以外の少なくとも二つのLED負荷を含む。
【0019】
このようなLED点灯装置およびそれを用いた照明器具によれば、白色LED負荷以外のLED負荷と、白色LED負荷とが交互に発光する。白色LED負荷の発光色には、白色LED負荷以外のLED負荷の発光色または当該発光色に近い発光色も含まれる。このため、白色LED負荷と白色LED負荷以外のLED負荷とが交互に発光する場合には、白色LED負荷以外のLED負荷が連続して発光する場合より、色ちらつきを軽減できる。このように、LED点灯装置およびそれを用いた照明器具によれば、色ちらつきを軽減できる。
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0021】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の一包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0022】
(実施の形態1)
[1.1 LED点灯装置および照明器具の構成]
まず、実施の形態1に係るLED点灯装置30を備える照明器具100の構成例について
図1を用いて説明する。
【0023】
図1は、実施の形態1に係るLED点灯装置30を備える照明器具100の構成例を示すブロック図である。同図の照明器具100は、AC−DC電源10、光源20およびLED点灯装置30を備える。
【0024】
AC−DC電源10は、例えば商用100V電源に接続され、交流電力を入力し直流電力に変換する。
【0025】
光源20は、LED負荷21〜24を備える。LED負荷21〜24は、異なる発光色を有する。LED負荷21〜24は、白色(W)光を発光するLED負荷である白色LED負荷24を含む。ここで、白色光とは、人に色相の感覚を与えない色の光であり、例えば、色温度(相関色温度)が2600K〜7100Kの光である。以下、白色光を発光するLED負荷24を単に「白色LED負荷24」と称する。LED負荷21〜23の発光色は、例えば、それぞれ、R(赤)、G(緑)、B(青)である。
【0026】
LED点灯装置30は、異なる発光色を有する複数のLED負荷21〜24を点灯させる装置である。そのためLED点灯装置30は、電源回路31、セレクタ回路32および制御回路33を備える。
【0027】
電源回路31は、AC−DC電源10からの直流電力を電圧の異なる直流電力に変換し、変換した直流電力を光源20に供給するDC−DCコンバータである。
【0028】
セレクタ回路32は、複数のLED負荷21〜24のうちの1つのLED負荷を選択することによって、選択したLED負荷に対して電源回路31から給電させる。そのため、セレクタ回路32は、スイッチング素子M3〜M6を備える。スイッチング素子M3〜M6のそれぞれは、複数のLED負荷21〜24のうちのいずれかのLED負荷と直列に接続される。例えば
図1では、スイッチング素子M3は、LED負荷21に直列に接続される。スイッチング素子M4は、LED負荷22に直列に接続される。スイッチング素子M5は、LED負荷23に直列に接続される。スイッチング素子M6は、LED負荷24に直列に接続される。これらのスイッチング素子M3〜M6は、例えば、排他的にオン状態になるように制御される。これにより、LED負荷21〜24は排他的につまり1つずつ発光する。
【0029】
制御回路33は、セレクタ回路32を制御する。具体的には、制御回路33は、明るさを示す調光率が小さいほど各LED負荷に対して電源回路31から給電する給電区間の長さを短くする。制御回路33は、セレクタ回路32に、複数のLED負荷21〜24のうち、少なくとも二つのLED負荷を順次巡回的に選択させ、かつ、少なくとも二つのLED負荷のうちの一つのLED負荷と、白色LED負荷24とを交互に選択させる。ここで、上記少なくとも二つのLED負荷は、白色LED負荷24以外の少なくとも二つのLED負荷を含む。
【0030】
制御回路33は、調光信号に基いて、LED負荷21〜24の調光率を示す調光信号に基いて給電区間の長さ、つまり、電流量を決定する。調光信号は、例えば、外部からLED点灯装置30の制御回路33に入力される。なお、調光信号は、LED点灯装置30の内部で生成されてもよいし、LED点灯装置30の内部で記憶されていてもよい。
【0031】
以上のような構成を有する照明器具100の動作について
図2を用いて説明する。
【0032】
図2は、実施の形態1に係るLED点灯装置30を備える照明器具100の電流波形の一例を示す図である。
図2では、電源回路31がインダクタを含むスイッチング電源であり、インダクタを介してLED負荷21〜24に給電するものとする。同図において、縦軸はインダクタ電流、つまり電源回路31からいずれかのLED負荷に供給される電流を示す。横軸は時間を示す。
【0033】
図2において、区間TS1は、LED負荷21〜24の点灯パターンの周期である一巡点灯周期を示す。色α、β、γは、LED負荷21〜23の発光色を示し、例えばR(赤)、G(緑)、B(青)である。
【0034】
区間Taは、電源回路31から発光色αのLED負荷21に給電される給電区間である。区間Tb、Tc、Twも同様に、電源回路31からLED負荷22、23、24に給電される給電区間である。区間Txは、いずれのLED負荷にも給電されない休止区間である。
【0035】
同図に示すように、LED点灯装置30は、LED負荷21〜24のうち、白色LED負荷24を除く三つのLED負荷21〜23に順次巡回的に給電し、かつ、三つのLED負荷21〜23のうちの一つのLED負荷と、白色LED負荷24とに交互に給電する。
【0036】
このようなLED点灯装置30および照明器具100によれば、白色LED負荷24以外のLED負荷21〜23の発光量と、白色LED負荷24の発光量とが交互に多くなる。白色LED負荷24の発光色には、白色LED負荷24以外のLED負荷21〜23の発光色または当該発光色に近い発光色も含まれる。このため、本実施の形態のように、白色LED負荷24と白色LED負荷24以外のLED負荷21〜23とが交互に発光する場合には、白色LED負荷24以外のLED負荷21〜23が連続して発光する場合より、色ちらつきを軽減できる。
【0037】
次に、LED点灯装置30を備える照明器具100のより具体的な回路例について
図3を用いて説明する。
【0038】
図3は、実施の形態1に係るLED点灯装置30を備える照明器具100の回路構成例を示す図である。
図3のように、照明器具100は、光源20とLED点灯装置30とを備える。ただし、
図3では、
図1に示したAC−DC電源10は省略してある。
【0039】
光源20内のLED負荷21は、スイッチング素子M3と直列に接続され、スイッチング素子M3のオンおよびオフによって点灯を制御され、スイッチング素子M3のオン時間が長いほど多くの電流が流れて発光量も多くなる。
【0040】
具体的な回路例として、
図3のLED負荷21は、LEDd1〜d3と、LEDd1〜d3と並列に接続された平滑コンデンサC2と、LEDd1〜d3および平滑コンデンサC2を含む並列回路と直列に接続された逆流防止用のダイオードDaと、電源オフ時の放電用の抵抗R2とを有する。
【0041】
LEDd1〜d3は、直列接続された同じ発光色のLED発光素子であり、スイッチング素子M3と直列に接続される。
【0042】
平滑コンデンサC2は、インダクタL1からダイオードDaを介して供給されるインダクタ電流を平滑化する。
【0043】
ダイオードDaは、平滑コンデンサC2からインダクタL1に電流が逆流することを防止する。つまり、ダイオードDaは、平滑コンデンサC2にチャージされた電荷をLEDd1〜d3のみに供給させる。
【0044】
抵抗R2は、高抵抗値を有し、電源オン状態からオフ状態になった後に平滑コンデンサC2の電荷を放電させる。
【0045】
LED負荷22〜24は、発光色が異なる点以外はLED負荷21と類似の構成である。LED負荷22は、LEDd4〜d6と、LEDd4〜d6と並列に接続された平滑コンデンサC3と、LEDd4〜d6および平滑コンデンサC3を含む並列回路と直列に接続された逆流防止用のダイオードDbと、電源オフ時の放電用の抵抗R3とを有する。LED負荷23は、LEDd7〜d9と、LEDd7〜d9と並列に接続された平滑コンデンサC4と、LEDd7〜d9および平滑コンデンサC4を含む並列回路と直列に接続された逆流防止用のダイオードDcと、電源オフ時の放電用の抵抗R4とを有する。LED負荷24は、LEDd10〜d12と、LEDd10〜d12と並列に接続された平滑コンデンサC5と、LEDd10〜d12および平滑コンデンサC5を含む並列回路と直列に接続された逆流防止用のダイオードDdと、電源オフ時の放電用の抵抗R5とを有する。なお、LED負荷21は、平滑コンデンサC2、逆流防止用のダイオードDaを備えない構成であってもよい。また、LED負荷22〜24も同様である。
【0046】
LED点灯装置30内の電源回路31は、
図3では降圧チョッパー回路の例を示す。具体的には、電源回路31は、レギュレータ34、HVIC(High Voltage Integrated Circuit)35、入力抵抗R6、R7、スイッチング素子M1、M2およびインダクタL1を備える。
【0047】
レギュレータ34は、AC−DC電源10からの直流電力を受け、HVIC35および制御回路33に安定化した電源電圧を供給する。
【0048】
HVIC35は、制御回路33の制御に従って、入力抵抗R6、R7を介してスイッチング素子M1、M2にゲート信号を供給する。スイッチング素子M1、M2のゲート信号は、高速かつ周期的に排他的にアクティブになる。
【0049】
スイッチング素子M1、M2は、AC−DC電源10から供給される直流電圧とグラウンドレベルとを交互にインダクタL1に接続するためのハイサイドトランジスタ、ローサイドトランジスタである。
【0050】
インダクタL1は、スイッチング素子M1、M2のスイッチングに応じてエネルギーを蓄積および放出する。
【0051】
セレクタ回路32は、入力抵抗R8〜R11およびスイッチング素子M3〜M6を備える。
【0052】
スイッチング素子M3は、LED負荷21と直列に接続される。スイッチング素子M3のゲートには、制御回路33から入力抵抗R8を介してオンおよびオフを指示するゲート信号が入力される。スイッチング素子M3はゲート信号に応じてオンおよびオフする。
【0053】
スイッチング素子M4〜M6も、スイッチング素子M3と同様である。
【0054】
制御回路33は、プロセッサ、メモリおよびタイマー36を内蔵するMCU(Micro Controller Unit またはMicro Computer Unit)により構成してもよい。タイマー36は、周期的な各種時間を計測する。例えばスイッチング素子M3〜M6をオフからオンに切り替える周期などを計測するのに用いられる。
【0055】
[1.2 LED点灯装置および照明器具の動作]
次に、実施の形態1に係るLED点灯装置30を備える照明器具100の動作例について説明する。
【0056】
図4Aは、実施の形態1に係るLED点灯装置30を備える照明器具100の各部の電流波形および電圧波形を示す図である。同図の横軸は時間軸である。縦軸は各部の電流または電圧を示す。
【0057】
インダクタ電流ILは、インダクタL1を流れる電流、つまり、電源回路31からいずれかのLED負荷に供給される電流を示す。同図においてインダクタ電流ILが流れている区間は、給電区間である。給電区間Taは、電源回路31からLED負荷21に給電されている区間を示す。同様に、給電区間Tb、TcおよびTwは、それぞれ電源回路31からLED負荷22、23および24に給電されている区間をそれぞれ示す。また、LED負荷21〜24の発光色は、R、G、B、Wであるものとする。
【0058】
ゲート電圧V0は、制御回路33からHVIC35を介してスイッチング素子M1のゲートに入力される電圧を示す。ゲート電圧V0がハイレベルのときスイッチング素子M1(つまりハイサイドトランジスタ)はオン状態になる。ゲート電圧V0がハイレベルの区間ではインダクタ電流ILは増加していく。このとき、インダクタL1は電気エネルギーを磁気エネルギーとして蓄積する。ゲート電圧V0がローレベルのときスイッチング素子M1はオフ状態になる。スイッチング素子M1がオン状態からオフ状態に切り替わった直後は、インダクタL1は蓄積したエネルギーを放出する、つまり、インダクタL1の逆起電力によりインダクタ電流ILが0まで減少しながらLED負荷に供給される。その結果、給電区間は、ゲート電圧V0のハイレベル区間よりも長くなる。インダクタ電流ILは同図では三角波となる。電源回路31からLED負荷に給電される給電区間は、1つの三角波の区間と等しい。
【0059】
ゲート電圧Vrは、制御回路33からスイッチング素子M3のゲートに入力される電圧を示す。ゲート電圧Vrがハイレベルのときスイッチング素子M3はオン状態になり、つまり、対応するLED負荷21が選択された状態となる。また、ゲート電圧Vrのハイレベル区間は、ゲート電圧V0のハイレベル区間を含み、かつ対応するインダクタ電流ILの三角波を含む期間になるように制御される。ゲート電圧Vg、Vb、Vwも、ゲート電圧Vrと同様である。なお、ゲート電圧Vr、Vg、Vb、Vwのハイレベル区間同士の間には、4つともローレベルになるデッドタイムが設けられる。
【0060】
LED電流Irは、LED負荷21内のLEDd1〜d3を流れる電流を示す。給電区間Taの後、つまり、電源回路31からLED負荷21への給電が終わった後もLED電流Irは0にならずに電流が減少しながら流れ続けている。これは、平滑コンデンサC2および逆流防止用のダイオードDaによる。
【0061】
LED電流Ig、Ib、Iwも、LED電流Irと同様である。
【0062】
図4Aに示すように、ゲート電圧V0のパルス幅が短いほど給電区間も短くなる。照明器具100において照明光の明るさを調整する調光は、複数の発光色の明るさの割合を一定に保ったまま、明るさを変更することにより実現される。例えば、
図4Aでは、制御回路33が区間Ta、Tb、Tc、Twにおけるゲート電圧V0の四つのパルス幅の割合を一定に保ったまま、当該四つのパルス幅を増減することにより調光する。また、照明器具100において照明光の色を調整する調色は、複数の発光色の明るさの割合を変更することにより実現される。例えば、
図4Aでは、制御回路33が区間Ta、Tb、Tc、Twにおけるゲート電圧V0の四つのパルス幅の割合を変更することによって調色する。制御回路33は、LED負荷21〜24の発光色を示す調色信号に基づいて調色を行う。ここで、LED負荷21〜24の発光色とは、光源20の一巡点灯周期TS1あたりの平均発光色を意味する。LED負荷21〜24の発光色は、一巡点灯周期TS1が十分に短い場合には、人が知覚する発光色に相当する。
【0063】
調色信号は、例えば、外部からLED点灯装置30の制御回路33に入力される。なお、調色信号は、LED点灯装置30の内部で生成されてもよいし、LED点灯装置30の内部で記憶されていてもよい。
【0064】
なお、ゲート電圧Vr、Vg、Vb、Vwは、
図4Aの代わりに
図4Bのようにしてもよい。
図4Bは、実施の形態1に係るLED点灯装置30を有する照明器具100の各部の電流波形および電圧波形の他の例を示す図である。
図4Bの例では、ゲート電圧Vr、Vg、Vb、Vwのハイレベル区間が、対応する1つの三角波とほぼ同じ幅になっている。その結果、ゲート電圧Vr、Vg、Vb、Vwのデッドタイムが、
図4Aよりも広くなっている。
【0065】
図4Aおよび
図4Bに示す例では、セレクタ回路32によっていずれかのLED負荷が選択された期間内に、電源回路31のスイッチング素子M1がオンになるように制御される。すなわち、スイッチング電源である電源回路31におけるスイッチング動作と、セレクタ回路32における選択動作とが同期している。
【0066】
本実施の形態に係るLED点灯装置30では、上述のとおり、制御回路33は、セレクタ回路32に、複数のLED負荷21〜24のうち、白色LED負荷24を除く三つのLED負荷を順次巡回的に選択させ、かつ、三つのLED負荷のうちの一つのLED負荷と、白色LED負荷24とを交互に選択させる。したがって、LED点灯装置30の一巡点灯周期TS1において、LED負荷21〜23が一回ずつ点灯し、白色LED負荷24が三回点灯する。このように、白色LED負荷24だけが、一巡点灯周期TS1当たりに複数回点灯する。
【0067】
制御回路33は、調色信号に基づいてセレクタ回路32を制御することによって、セレクタ回路32の一巡点灯周期TS1当たりに白色LED負荷24に供給する電流量を制御する。具体的には、制御回路33は、調色信号、調光信号および一巡点灯周期TS1に基づいて、一巡点灯周期TS1当たりに各LED負荷に供給する電流量、つまり、ゲート電圧のパルス幅を決定する。ここで、制御回路33は、調色信号および調光信号に基いて、一巡点灯周期TS1当たりにスイッチング素子M6に入力するゲート電圧Vwの複数のパルスの各幅を決定する。言い換えると、制御回路33は、一巡点灯周期TS1当たりに白色LED負荷24に供給される電流量が、調色信号が示す発光色を実現できる電流量となるように、ゲート電圧Vwの複数のパルスの各幅を決定する。例えば、制御回路33は、一巡点灯周期TS1当たりのゲート電圧Vwの複数のパルス幅を同一としてもよい。
【0068】
以上のように制御回路33が制御を行うことにより、一巡点灯周期TS1当たりに白色LED負荷24を複数回点灯させる場合にも、白色光の光量が過剰となることなく、調色信号および調光信号に対応する発光色を得ることができる。
【0069】
図4Aおよび
図4Bに示すように、白色LED負荷24に供給される電流のピーク値は、LED負荷21〜24のうち、白色LED負荷24以外のLED負荷に供給される電流のピーク値より小さくてもよい。これによれば、一巡点灯周期当たりに複数回点灯する白色LED負荷24に供給される電流量が、調色信号および調光信号に対応する電流量より多くなることを抑制できる。
【0070】
本実施の形態では、制御回路33は、タイマー36に基づいて一定周期毎に各LED負荷に対応するスイッチング素子への給電を開始する。つまり、制御回路33は一定周期毎に各LED負荷に対応するスイッチング素子のゲート電圧をアクティブにする。
【0071】
なお、一巡点灯周期TS1は、LED点灯装置30人が知覚できない速度で周期的にLED負荷21〜24を点灯させることができる周期であればよい。例えば、一巡点灯周期TS1の逆数である周波数は、100Hz以上としてもよい。
【0072】
ここで、「人が知覚できない速度で周期的」とは「人にちらつきを知覚させない」ことを意味している。LED照明のちらつき対策については、例えば、電気用品安全法(PSE)の解説書類である、「電気用品安全法の改正政省令施行について(平成24年7月1日から施行)」(経済産業省商務流通グループ製品安全課による)に基準が示されている。同解説書類28頁の「光出力のちらつき(フリッカー)対策」では、「光出力はちらつきを感じないものであること」に相当する効果をもたらす周波数を次のように解釈している。すなわち、同解説書類においては、「光出力はちらつきを感じないものであること」を満たすのは、(1)繰り返し周波数が100Hz以上で光出力に欠落部がない、(2)繰り返し周波数が500Hz以上、のいずれかと解釈されている。
【0073】
本実施の形態の照明器具において、
図4Aおよび
図4Bの例では光出力に欠落がないと考えられるので上記(1)を満たせばよいと考えられる。この場合、一巡点灯周期TS1の逆数である周波数は、100Hz以上としてもよい。
【0074】
あるいは、
図3で平滑コンデンサC2〜C5等を備えない構成である場合は光出力に欠落が生じる場合に該当し、上記(2)を満たせばよいと考えられる。この場合、一巡点灯周期TS1の逆数である周波数は、500Hz以上としてもよい。
【0075】
[1.3 変形例1]
続いて、実施の形態1の変形例に係るLED点灯装置および照明器具について説明する。実施の形態1では、LED負荷21〜24のうち、白色LED負荷24と交互に順次巡回的に点灯する少なくとも二つのLED負荷には白色LED負荷24が含まれなかった。一方、本変形例では、順次巡回的に点灯する少なくとも二つのLED負荷は、白色LED負荷24を含む。本変形例に係るLED点灯装置は、この点において、実施の形態1に係るLED点灯装置30と相違し、その他の点において一致する。以下、本変形例に係るLED点灯装置および照明器具について、上記相違点を中心に
図5を用いて説明する。
【0076】
図5は、実施の形態1の変形例1に係るLED点灯装置を備える照明器具の電流波形の一例を示す図である。
図5において、縦軸はインダクタ電流、つまり電源回路からいずれかのLED負荷に供給される電流を示す。横軸は時間を示す。
【0077】
本変形例に係るLED点灯装置および照明器具は、
図3に示す実施の形態1に係るLED点灯装置30および照明器具100と同様の構成要素を有する。
図5に示すように、本変形例でも、実施の形態1と同様に、制御回路33は、セレクタ回路32に、複数のLED負荷21〜24のうち、少なくとも二つのLED負荷を順次巡回的に選択させ、かつ、少なくとも二つのLED負荷のうちの一つのLED負荷と、白色LED負荷24とを交互に選択させる。ここで、上記少なくとも二つのLED負荷は、白色LED負荷24以外の少なくとも二つのLED負荷と、白色LED負荷24とを含む。これにより、本変形例に係る照明器具は、
図5に示すように、色α、色β、色γおよび色Wに対応するLED負荷を順次巡回的に点灯し、これらのLED負荷と、色Wに対応する白色LED負荷とを交互に点灯する。これに伴い、本変形例に係るLED点灯装置では、一巡点灯周期はTS2となる。以上のようなLED点灯装置および照明器具によっても、上記実施の形態1に係るLED点灯装置30および照明器具100と同様の効果を得られる。
【0078】
[1.4 変形例2]
続いて、実施の形態1の変形例2に係るLED点灯装置および照明器具について説明する。本変形例に係るLED点灯装置は、インダクタ電流波形において、実施の形態1に係るLED点灯装置30と相違し、その他の点において一致する。以下、本変形例に係るLED点灯装置および照明器具について
図6を用いて説明する。
【0079】
図6は、実施の形態1の変形例2に係るLED点灯装置を備える照明器具の電流波形の一例を示す図である。
図6において、縦軸はインダクタ電流、つまり電源回路からいずれかのLED負荷に供給される電流を示す。横軸は時間を示す。
【0080】
本変形例に係るLED点灯装置および照明器具は、
図3に示す実施の形態1に係るLED点灯装置30および照明器具100と同様の構成要素を有する。
【0081】
図6に示すように、本変形例でも、実施の形態1と同様に、制御回路33は、セレクタ回路32に、複数のLED負荷21〜24のうち、少なくとも二つのLED負荷を順次巡回的に選択させ、かつ、少なくとも二つのLED負荷のうちの一つのLED負荷と、白色LED負荷24とを交互に選択させる。ここで、上記少なくとも二つのLED負荷は、白色LED負荷24以外の少なくとも二つのLED負荷を含む。
【0082】
本変形例は、
図6に示すように、インダクタ電流がゼロとなる休止区間が存在しない点において、実施の形態1と相違する。言い換えると、本変形例では、電源回路は、スイッチング電源であり、電流臨界モードで駆動される。本変形例では、休止区間が存在しないため、一巡点灯周期TS3は、実施の形態1およびその変形例1の各一巡点灯周期より短くなり得る。
【0083】
具体的には、本変形例では、電源回路31は、インダクタ電流ILを計測する。インダクタ電流ILは、例えば、インダクタL1に二次巻き線を設け、当該二次巻き線に流れる電流に基いて計測される。本変形例では、電源回路31のスイッチング素子M1およびM2をそれぞれオフおよびオンし、インダクタL1にエネルギーを放出した後、インダクタ電流ILがゼロになった瞬間にスイッチング素子M1およびM2をそれぞれオンおよびオフする。このタイミングに合わせて、制御回路33は、スイッチング素子M3〜M6を制御して、所定のLED負荷に電流を流す。以上のように、本変形例に係るLED点灯装置および照明器具において、電源回路31は電流臨界モードで駆動される。
【0084】
以上のようなLED点灯装置および照明器具によっても、上記実施の形態1に係るLED点灯装置および照明器具と同様の効果を得られる。さらに、本変形例では、休止区間が存在しないため、照明器具の色ちらつきをより一層軽減できる。
【0085】
[1.5 まとめ]
以上説明してきたように実施の形態1に係るLED点灯装置30は、異なる発光色を有する複数のLED負荷21〜24を点灯させる。LED点灯装置30は、複数のLED負荷21〜24に電力を供給する電源回路31と、複数のLED負荷21〜24のうちの1つのLED負荷を選択することによって、選択したLED負荷に対して電源回路31から給電させるセレクタ回路32とを備える。LED点灯装置30は、さらに、セレクタ回路32を制御する制御回路33を備える。複数のLED負荷21〜24は、白色LED負荷24を含む。制御回路33は、セレクタ回路32に、複数のLED負荷21〜24のうち、少なくとも二つのLED負荷を順次巡回的に選択させ、かつ、少なくとも二つのLED負荷のうちの一つのLED負荷と、白色LED負荷24とを交互に選択させる。少なくとも二つのLED負荷は、白色LED負荷24以外の少なくとも二つのLED負荷を含む。
【0086】
このようなLED点灯装置30およびそれを備える照明器具100によれば、白色LED負荷24以外のLED負荷と、白色LED負荷24とが交互に発光する。白色LED負荷24の発光色には、白色LED負荷24以外のLED負荷の発光色または当該発光色に近い発光色も含まれる。このため、白色LED負荷24と白色LED負荷24以外のLED負荷とが交互に発光する場合には、白色LED負荷24以外のLED負荷が連続して発光する場合より、色ちらつきを軽減できる。このように、LED点灯装置30およびそれを用いた照明器具100によれば、色ちらつきを軽減できる。
【0087】
ここで、制御回路33は、LED負荷21〜24の発光色を示す調色信号に基づいてセレクタ回路32を制御することによって、セレクタ回路32の一巡点灯周期当たりに白色LED負荷24に供給する電流量を制御してもよい。
【0088】
これによれば、一巡点灯周期当たりに白色LED負荷24を複数回点灯させる場合にも、調色信号に対応する発光色を得ることができる。
【0089】
ここで、白色LED負荷24に供給される電流のピーク値は、LED負荷21〜24のうち、白色LED負荷24以外のLED負荷に供給される電流のピーク値より小さくてもよい。
【0090】
これによれば、一巡点灯周期当たりに複数回点灯する白色LED負荷24に供給される電流量が、調色信号および調光信号に対応する電流量より多くなることを抑制できる。
【0091】
ここで、上記少なくとも二つのLED負荷は、白色LED負荷を含んでもよい。
【0092】
また、電源回路31は、スイッチング電源であってもよい。ここで、制御回路33は、スイッチング電源である電源回路31におけるスイッチング動作と、セレクタ回路32における選択動作とを同期させてもよい。
【0093】
ここで、電源回路31は、電流臨界モードで駆動されてもよい。
【0094】
これによれば、インダクタ電流ILがゼロとなる休止区間が存在しないため、色ちらつきをより一層軽減できる。
【0095】
(実施の形態2)
実施の形態2では、上記実施の形態1に係るLED点灯装置30を備える照明器具100の例について、
図7A〜
図7Cを用いて説明する。
【0096】
図7Aは、実施の形態1に係るLED点灯装置30を備える照明器具100の外観例を示す図である。
図7Aでは、照明器具100の例として、ダウンライト100aの外観を示す。
【0097】
ダウンライト100aは、回路ボックス101a、灯体102aおよび配線103aを備える。回路ボックス101aは、上記実施の形態1に係るLED点灯装置30の全部または一部を収納する筐体である。灯体102aは、光源20を装着した灯体である。配線103aは、回路ボックス101aと灯体102a内の光源20とを電気的に接続する。
【0098】
図7Bは、上記実施の形態1に係るLED点灯装置30を備える照明器具100の他の外観例を示す図である。
図7Bでは、照明器具100の例として、スポットライト100bの外観を示す。スポットライト100bは、回路ボックス101b、灯体102bおよび配線103bを備える。これらの回路ボックス101b、灯体102bおよび配線103bは、それぞれ
図7Aの回路ボックス101a、灯体102aおよび配線103aと同様である。
【0099】
図7Cは、上記実施の形態1に係るLED点灯装置30を備える照明器具100のさらに他の外観例を示す図である。
図7Cでは、照明器具100の例として、スポットライト100cの外観を示す。スポットライト100cは、回路ボックス101cおよび灯体102cを備える。これらの回路ボックス101cおよび灯体102cも、それぞれ
図7Aの回路ボックス101aおよび灯体102bと同様である。
【0100】
実施の形態2においても、上記実施の形態1と同様の効果が得られる。
【0101】
なお、光源20内のLEDd1〜d12は、いわゆる発光ダイオードだけでなく、有機EL発光素子(OLED:Organic Light Emitting Diode)、レーザー発光素子などの固体発光素子でもよい。
【0102】
以上、本開示の複数の態様に係るLED点灯装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の範囲内に含まれてもよい。