特開2019-207869(P2019-207869A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-207869(P2019-207869A)
(43)【公開日】2019年12月5日
(54)【発明の名称】燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04664 20160101AFI20191108BHJP
   H01M 8/043 20160101ALI20191108BHJP
   H01M 8/04746 20160101ALI20191108BHJP
   H01M 8/0438 20160101ALI20191108BHJP
   H01M 8/04955 20160101ALI20191108BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20191108BHJP
【FI】
   H01M8/04664
   H01M8/043
   H01M8/04746
   H01M8/0438
   H01M8/04955
   H01M8/10 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2019-78022(P2019-78022)
(22)【出願日】2019年4月16日
(31)【優先権主張番号】特願2018-98949(P2018-98949)
(32)【優先日】2018年5月23日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森田 純司
(72)【発明者】
【氏名】伊瀬 豪彦
(72)【発明者】
【氏名】薄 義人
【テーマコード(参考)】
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H126BB06
5H127AC13
5H127BA02
5H127BA05
5H127BA12
5H127BA14
5H127BA22
5H127BA28
5H127BA52
5H127BA57
5H127BA59
5H127BA60
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB32
5H127BB37
5H127DB13
5H127DB71
5H127DB90
5H127DC09
5H127DC56
5H127DC99
(57)【要約】
【課題】昇圧器の異常を従来よりも精度よく判定できる燃料電池システムを提供する。
【解決手段】燃料電池システムは、燃料電池と、燃料電池に燃料ガスを供給する燃料ガス供給経路と、燃料電池から排出されたアノードオフガスを燃料電池の入口に戻すリサイクル経路と、リサイクル経路より分岐して、アノードオフガスを外部に排出するアノードオフガス排出経路と、アノードオフガス排出経路に設けられている第1弁と、リサイクル経路を流通するアノードオフガスを昇圧させる昇圧器と、第1弁を開放した状態で燃料ガス供給経路から燃料ガスを供給して、アノードオフガスを外部に排出するパージ動作を実行しているとき、及びパージ動作後の所定時間内の少なくとも一方において、昇圧器を動作させるよう制御し、かつ制御時のリサイクル経路若しくはアノードオフガス排出経路の圧力、または昇圧器の動作量に基づき異常を判定する制御器と、を備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスと酸化剤ガスとを用いて発電する燃料電池と、
前記燃料電池のアノード入口に前記燃料ガスを供給するための燃料ガス供給経路と、
前記燃料電池のアノード出口から排出されたアノードオフガスを前記燃料電池の入口に戻すためのリサイクル経路と、
前記リサイクル経路より分岐して、前記アノードオフガスを外部に排出するためのアノードオフガス排出経路と、
前記アノードオフガス排出経路に設けられている第1弁と、
前記リサイクル経路に設けられ、前記リサイクル経路を流通するアノードオフガスを昇圧させる昇圧器と、
前記第1弁を開放した状態で前記燃料ガス供給経路から前記燃料ガスを供給して、前記アノードオフガスを外部に排出するパージ動作を実行しているとき、及び前記パージ動作後の所定時間内の少なくとも一方において、前記昇圧器を動作させるよう制御し、かつ前記制御時の前記リサイクル経路若しくは前記アノードオフガス排出経路の圧力、または前記昇圧器の動作量に基づき異常を判定する制御器と、を備える、
燃料電池システム。
【請求項2】
前記制御器は、前記昇圧器よりも上流の前記リサイクル経路の圧力、または前記アノードオフガス排出経路の圧力が第1の閾値以上であるとき、異常と判定する、
請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記制御器は、前記昇圧器よりも上流の前記リサイクル経路の圧力、または前記アノードオフガス排出経路の圧力が第2の閾値以下であるとき、異常と判定する、
請求項1または2記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記制御器は、前記燃料電池の起動時に前記異常を判定する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記燃料ガス供給経路に設けられた、第2弁を備え、
前記制御器は、前記異常であると判定されると、前記第2弁を閉じ、前記燃料ガス供給経路からの燃料ガスの供給を停止させる、
請求項2に記載の燃料電池システム。
【請求項6】
前記制御器が前記異常であると判定すると、前記異常を示す情報を出力する出力器をさらに備える、
請求項1−5のいずれか1項に記載の燃料電池システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電解質に高分子電解質膜を用いた高分子電解質形燃料電池では、燃料ガス供給経路を通じてアノードに供給された燃料ガス中の水素とカソードに供給された空気中の酸素とを電気化学的に反応させて発電している。このような燃料電池を備えた燃料電池システムでは、発電効率を向上させるために、未反応の水素を含む、アノードから排出されたアノードオフガスを、昇圧器を用いて昇圧させて、再度、アノードに循環供給して、水素の供給量を削減する方法が提案されている。
【0003】
このような燃料電池システムの場合、循環経路(リサイクル経路)および燃料ガスの供給経路で異常が生じると、燃料電池のアノードへ供給する燃料ガスの供給量が不足して、発電効率の低下および燃料電池の劣化を招く。
【0004】
そこで、リサイクル経路中の昇圧器(燃料循環ポンプ)の異常を診断することができる燃料電池システムが提案されている(例えば、特許文献1)。具体的には、特許文献1では、昇圧器が異常であるか否かの判定を以下(a)−(c)のいずれかで行う構成が提案されている。
(a)昇圧器の回転数が所望の回転数となっているか否か判定
(b)昇圧器の出入り口の水素圧力の圧力差が所望の値になっているか否か判定
(c)昇圧器の出口の水素圧力が所望の値になっているか否か判定
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−32652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術(特許文献1)では、昇圧器の異常の判定として、改善の余地がある。
【0007】
本発明は一例として、昇圧器の異常を従来よりも精度よく判定できる燃料電池システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る燃料電池システムの一態様(aspect)は、上記課題を解決するために、燃料ガスと酸化剤ガスとを用いて発電する燃料電池と、前記燃料電池のアノード入口に前記燃料ガスを供給するための燃料ガス供給経路と、前記燃料電池のアノード出口から排出されたアノードオフガスを前記燃料電池の入口に戻すためのリサイクル経路と、前記リサイクル経路より分岐して、前記アノードオフガスを外部に排出するためのアノードオフガス排出経路と、前記アノードオフガス排出経路に設けられている第1弁と、前記リサイクル経路に設けられ、前記リサイクル経路を流通するアノードオフガスを昇圧させる昇圧器と、前記第1弁を開放した状態で前記燃料ガス供給経路から前記燃料ガスを供給して、前記アノードオフガスを外部に排出するパージ動作を実行しているとき、及び前記パージ動作後の所定時間内の少なくとも一方において、前記昇圧器を動作させるよう制御し、かつ前記制御時の前記リサイクル経路若しくは前記アノードオフガス排出経路の圧力、または前記昇圧器の動作量に基づき異常を判定する制御器と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、以上に説明したように構成され、昇圧器の異常を従来よりも精度よく判定できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態1に係る燃料電池システムの要部構成の一例を模式的に示す図である。
図2】本発明の実施形態2に係る燃料電池システムの要部構成の一例を模式的に示す図である。
図3】本発明の実施形態2に係る燃料電池システムの異常判定処理の一例を示すフローチャートである。
図4】本発明の実施形態2に係る燃料電池システムにおける入力値と第二圧力値との関係の一例を示すグラフである。
図5】本発明の実施形態2の変形例1に係る燃料電池システムの異常判定処理の一例を示すフローチャートである。
図6】本発明の実施形態2の変形例2に係る燃料電池システムの異常判定処理の一例を示すフローチャートである。
図7】本発明の実施形態2の変形例2に係る燃料電池システムにおける入力値と第二圧力値および第三圧力値との関係の一例を示すグラフである。
図8】本発明の実施形態2の変形例3に係る燃料電池システムの異常判定処理の一例を示すフローチャートである。
図9】本発明の実施形態2の変形例4に係る燃料電池システムの異常判定処理の一例を示すフローチャートである。
図10】本発明の実施形態2の変形例5に係る燃料電池システムの異常判定処理の一例を示すフローチャートである。
図11】本発明の実施形態2の変形例6に係る燃料電池システムの要部構成の一例を模式的に示す図である。
図12】本発明の実施形態2の変形例6に係る燃料電池システムの異常判定処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本発明の基礎となる知見)
本発明者等は、リサイクル経路を備え、アノードオフガスを昇圧器により昇圧させてリサイクル流路を介して、燃料電池のアノードに循環供給する燃料電池システムにおける昇圧器の異常検知について鋭意検討を重ねた。この結果、本発明者等は従来技術には下記のような問題があることを見出した。
【0012】
すなわち、特許文献1に係る燃料電池システムは、上述した(a)−(c)に示す昇圧器の異常の判定方法について提案されている。しかしながら、特許文献1では、昇圧器の異常を判定する際の燃料電池システムの運転条件について考慮されていないため、昇圧器の異常を精度よく判定することが困難であることを見出した。つまり、アノードオフガスを、リサイクル経路を通じて燃料電池のスタックに循環供給する閉回路運転の場合、アノードオフガスに大気中の非反応成分(主として窒素)が蓄積し、燃料ガスの組成が変化していく。このため、例えば、特許文献1のように、昇圧器の出入り口の水素圧力または昇圧器の出口の水素圧力を検知し、昇圧器の異常を判定する構成の場合、検知を行った際の燃料電池の運転条件によっては、検知結果が異なることとなる。このため、特許文献1では昇圧器が異常であるか否かについて精度よく判定することが困難であることを見出した。
【0013】
そこで、本発明者等は、リサイクル経路中のアノードオフガスの組成が一定となる運転条件において昇圧器の異常を判定することで、昇圧器の異常の有無の判定をより精度よく行うことができることを見出した。具体的には、アノードオフガス排出経路に設けられている第1弁(パージ弁)を開放した状態で、燃料ガス供給経路から燃料ガスを供給して、アノードオフガスを外部に排出するパージ動作を実行しているとき、及びパージ動作後の所定時間内の少なくとも一方という運転条件にて昇圧器の異常について判定することで、精度よく昇圧器の異常の判定を行うことができることを見出した。
【0014】
上記した本発明者等の知見は、これまで明らかにされていなかったものであり、顕著な作用効果を奏する新規な技術的特徴を有するものである。そこで、本発明は具体的には以下に示す態様を提供する。
【0015】
本発明の第1態様に係る燃料電池システムは、燃料ガスと酸化剤ガスとを用いて発電する燃料電池と、前記燃料電池のアノード入口に前記燃料ガスを供給するための燃料ガス供給経路と、前記燃料電池のアノード出口から排出されたアノードオフガスを前記燃料電池の入口に戻すためのリサイクル経路と、前記リサイクル経路より分岐して、前記アノードオフガスを外部に排出するためのアノードオフガス排出経路と、前記アノードオフガス排出経路に設けられている第1弁と、前記リサイクル経路に設けられ、前記リサイクル経路を流通するアノードオフガスを昇圧させる昇圧器と、前記第1弁を開放した状態で前記燃料ガス供給経路から前記燃料ガスを供給して、前記アノードオフガスを外部に排出するパージ動作を実行しているとき、及び前記パージ動作後の所定時間内の少なくとも一方において、前記昇圧器を動作させるよう制御し、かつ前記制御時の前記リサイクル経路若しくは前記アノードオフガス排出経路の圧力、または前記昇圧器の動作量に基づき異常を判定する制御器と、を備える。
【0016】
上記構成によると、制御器は、第1弁を開放した状態で燃料ガス供給経路から燃料ガスを供給して、アノードオフガスを外部に排出するパージ動作を実行しているとき、及びパージ動作後の所定時間内の少なくとも一方において、昇圧器を動作させるよう制御し、かつ制御時のリサイクル経路若しくはアノードオフガス排出経路の圧力、または昇圧器の動作量に基づき異常を判定する。
【0017】
ところで、燃料電池において生じる圧力損失の大きさは、燃料電池を流通する燃料ガスの組成に依存する。また、第1弁を閉じた状態でアノードオフガスを何度も燃料ガス供給経路に循環させる閉回路運転では、アノードオフガスへ窒素が徐々に含まれていき燃料ガスの組成が変化していく。
【0018】
しかしながら、上記構成によると、第1弁を開放した状態で燃料ガス供給経路から燃料ガスを供給して、アノードオフガスを外部に排出するパージ動作またはパージ動作後の所定時間内において、昇圧器の異常判定を行うため、燃料電池を流通する燃料ガスの組成を一定とした上で昇圧器の異常判定を行うことができる。
【0019】
なお、アノードオフガスを外部に排出するパージ動作を実行しているとき、及びパージ動作後の所定時間内の少なくとも一方とは、アノードオフガスを外部に排出するパージ動作を実行しているとき、またはパージ動作後の所定時間内のいずれかのタイミングであってもよい。または、アノードオフガスを外部に排出するパージ動作を実行しているときとパージ動作後の所定時間内の両方のタイミングであってもよい。
【0020】
ここで、「パージ動作後の所定時間」は、パージ動作終了時のリサイクル経路内若しくはアノードオフガス排出経路内の燃料ガスの組成から組成の変動が少なく、昇圧器の異常判定の精度がパージ動作中と同等となる、パージ動作後からの経過時間として、適宜設定される。
【0021】
なお、昇圧器が故障により出力が低下すると、リサイクル経路を流通するアノードオフガスの流量が低下する。そのため、燃料ガス供給経路を通じて燃料電池に供給される燃料ガスの圧力が一定であるとすると、燃料電池での圧力損失が低下し、昇圧器が正常に稼働している場合と比較して燃料電池のアノード出口から排出されたアノードオフガスの圧力が高くなる。このため、リサイクル経路若しくはアノードオフガス排出経路を流通するアノードオフガスの圧力から昇圧器の異常の有無を判定することができる。
【0022】
また、昇圧器の異常を判定するために、昇圧器の出力(動作量)をモニタしてもよい。ここで昇圧器に異常が生じている場合は、昇圧器が正常に稼働している場合と比較して所定の指示値に対する出力(動作量)が変化する。このため、昇圧器の動作量の変化から昇圧器の異常の有無を判定することができる。例えば、所定の指示値に対する昇圧器の動作量が第1の動作量閾値以下であるとき、または第1の動作量閾値よりも大きい第2の動作量閾値以上であるとき、異常であると判定される。
【0023】
よって、本発明の第1の態様に係る燃料電池システムは、昇圧器の異常を従来よりも精度よく判定できるという効果を奏する。
【0024】
また、本発明の第2態様に係る燃料電池システムは、上記した第1の態様において、前記制御器は、前記昇圧器よりも上流の前記リサイクル経路の圧力、または前記アノードオフガス排出経路の圧力が第1の閾値以上であるとき、異常と判定するように構成されていてもよい。
【0025】
上記構成によると、ガス組成の経時的変化を考慮することなくリサイクル経路の圧力、またはアノードオフガス排出経路の圧力が第1の閾値以上か否かによって昇圧器の異常判定を行うことができる。なお、第1の閾値とは、リサイクル経路を流通するアノードオフガスの流量が、昇圧器が正常な運転状態のときよりも減少した際に、燃料電池で発生する圧力損失の減少分を考慮した、燃料電池から排出されたアノードオフガスの圧力値である。例えば、燃料電池の発電を維持することができる燃料ガスの流量の下限値となる流量の燃料ガスが燃料電池に供給されたときのアノードオフガスの圧力値としてもよい。
【0026】
また、本発明の第3態様に係る燃料電池システムは、上記した第1または第2の態様において、前記制御器は、前記昇圧器よりも上流の前記リサイクル経路の圧力、または前記アノードオフガス排出経路の圧力が第2の閾値以下であるとき、異常と判定するように構成されていてもよい。
【0027】
上記構成によると、ガス組成の経時的変化を考慮することなくリサイクル経路の圧力、またはアノードオフガス排出経路の圧力が第2の閾値以下か否かによって昇圧器の異常判定を行うことができる。よって、適正な流量よりも過剰な流量のアノードオフガスが燃料ガスに供給される状態であるか否か判定することができる。
【0028】
なお、第2の閾値とは、リサイクル経路を流通するアノードオフガスの流量が、昇圧器が正常な運転状態のときよりも増加した際に燃料電池で発生する圧力損失の増加分を考慮した、燃料電池から排出されたアノードオフガスの圧力値である。例えば、燃料電池の発電を維持することができる燃料ガスの流量の上限値となる流量の燃料ガスが燃料電池に供給されたときのアノードオフガスの圧力値としてもよい。
【0029】
また、本発明の実施の第4態様に係る燃料電池システムは、上記した第1から第3の態様のいずれか1つの態様において、前記制御器は、前記燃料電池の起動時に前記異常を判定するように構成されていてもよい。
【0030】
上記構成によると、制御器は異常の判定を、前記燃料電池の起動時に行うため、燃料電池の発電が開始される前に昇圧器の異常判定を行うことができる。
【0031】
また、本発明の第5態様に係る燃料電池システムは、上記した第2の態様において、前記燃料ガス供給経路に設けられた、第2弁を備え、前記制御器は、前記異常であると判定されると、前記第2弁を閉じ、前記燃料ガス供給経路からの燃料ガスの供給を停止させるように制御する構成であってもよい。
【0032】
上記構成によると昇圧器が異常であると判定されると、第2弁を閉じ、燃料ガス供給経路からの燃料ガスの供給を停止させるように制御することができるため、昇圧器に異常が生じている状態で燃料電池システムが運転されることを回避することができる。
【0033】
また、本発明の第6態様に係る燃料電池システムは、上記した第1−第5の態様のいずれか1つの態様において、前記制御器が前記異常であると判定すると、前記異常を示す情報を出力する出力器をさらに備える構成であってもよい。
【0034】
上記構成によると、出力器によって昇圧器の異常を示す情報を出力することができるため、燃料電池システムの運転停止の原因が昇圧器であることを通知することができる。
【0035】
なお、出力器としては、例えば、表示器、印字部、音声出力器、および発光部等が例示できる。特に出力器が表示器である場合、燃料電池システムの運転停止の原因が昇圧器であることを視覚的に通知することができる。
【0036】
したがって、燃料電池システムの運転停止に対する復旧作業を迅速に行うことができる。
【0037】
以下、本発明の実施形態1を、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下では全ての図面を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0038】
(実施形態1)
[装置構成]
まず、実施形態1に係る燃料電池システム50の構成について、図1を参照しながら説明する。図1は本発明の実施形態1に係る燃料電池システム50の要部構成の一例を模式的に示す図である。
【0039】
実施形態1に係る燃料電池システム50は、燃料電池1、燃料ガス供給経路2、酸化剤ガス供給経路3、制御器4、アノードオフガス排出経路5、カソードオフガス排出経路6、リサイクル経路7、昇圧器10、およびパージ弁(第1弁)11を備える。
【0040】
燃料電池1は、アノードに供給された燃料ガスとカソードに供給された酸化剤ガスとの電気化学反応により発電する発電装置である。すなわち、燃料電池1は膜電極接合体(MEA)(不図示)の積層体を有し、MEAは、高分子電解質膜を用いた電解質(不図示)、並びにこれを挟持するように配置されたアノード及びカソードにより構成されている。アノード及びカソードのそれぞれは、白金等の貴金属触媒を坦持したカーボン粒子からなる触媒層と、カーボンペーパーまたはカーボンフェルトからなるガス拡散層とにより構成されている。
【0041】
MEAは一対のセパレータによって挟まれており、一方のセパレータとアノードとの間には燃料ガス流路が設けられ、他方のセパレータとカソードとの間には酸化剤ガス流路が設けられている。燃料ガス流路には燃料ガス供給経路2を介して燃料ガスが供給され、酸化剤ガス流路には酸化剤ガス供給経路3を介して酸化剤ガスが供給される。これにより、燃料ガスと酸化剤ガスとが電気化学反応して、発電が行われる。
【0042】
すなわち、燃料電池1のアノード入口には、燃料ガス供給経路2が接続されており、この燃料ガス供給経路2を介して燃料電池1の燃料ガス流路に燃料ガスが供給される。
【0043】
一方、燃料電池1のカソード入口には、酸化剤ガス供給経路3が接続されており、この酸化剤ガス供給経路3を介して燃料電池1の酸化剤ガス流路に酸化剤ガスである空気が供給される。
【0044】
また、燃料電池1のアノード出口には、リサイクル経路7が接続されており、このリサイクル経路7を介して燃料電池1のアノードから排出されたアノードオフガスを燃料電池1のアノード入口に戻すことができる。また、リサイクル経路7より分岐して、アノードオフガス排出経路5が設けられており、このアノードオフガス排出経路5を介して燃料電池1のアノードから排出されたアノードオフガスを燃料電池システム50の外部に排出することができるように構成されている。
【0045】
一方、燃料電池1のカソード出口には、カソードオフガス排出経路6が接続されており、このカソードオフガス排出経路6を介して燃料電池1のカソードから排出されたカソードオフガスが燃料電池システム50の外部に排出される。
【0046】
なお、燃料電池1内に設けられ、燃料ガスをアノードに供給するための流路である燃料ガス流路において、燃料ガス供給経路2と接続される側の端部をアノード入口と称し、リサイクル経路7と接続される側の端部をアノード出口と称する。また、燃料電池1内に設けられ、酸化剤ガスをカソードに供給するための流路である酸化ガス流路において、酸化剤ガス供給経路3と接続される側の端部をカソード入口と称し、カソードオフガス排出経路6と接続される側の端部をカソード出口と称する。
【0047】
燃料ガス供給経路2は、一方の端部が燃料ガス供給源(不図示)に接続されるとともに、他方の端部が燃料電池1のアノード入口に接続されている。燃料ガスは、燃料ガス供給源から燃料ガス供給経路2および燃料ガス流路を介してアノードに供給される。この燃料ガスは、水素、または水素を含有するガスであって、例えば、都市ガス等の原料ガスを改質器にて改質反応して得られた改質ガス、および水電解等から得られる水素を用いてもよい。
【0048】
燃料ガス供給経路2には、内部を流れる燃料ガスが可燃性ガスであるために難燃性材料の配管(例えば、ステンレス製配管等の金属配管)が一般的に用いられる。なお、燃料ガス供給経路2により供給される燃料ガスの流量は燃料電池1の発電量に応じて調整されている。また、燃料ガス供給経路2には燃料ガスを加湿するための加湿器が設けられていてもよい。
【0049】
燃料ガス供給源から燃料ガス供給経路2を介して供給される燃料ガスの圧力は、燃料電池1の燃料ガス流路を流れる燃料ガスの圧力損失に基づいて一定になるように設定されている。
【0050】
例えば、改質器に都市ガス等の原料ガスを供給し、改質器によって改質された改質ガスを燃料ガスとする構成の場合、原料ガス供給源(不図示)から改質器に供給される原料ガスの圧力が低いために、改質器から燃料ガス供給経路2を介して燃料電池1に供給される燃料ガスの一次圧力が、燃料ガス流路を流れる燃料ガスの圧力損失よりも低くなる場合がある。この場合、燃料ガス供給経路2に昇圧器を設け、昇圧器によって燃料ガスを昇圧して燃料ガス流路へ供給する構成としてもよい。
【0051】
一方、例えば、燃料ガス供給源が水素タンク等の場合、燃料ガス供給源から燃料ガス供給経路2を介して燃料電池1に供給される燃料ガスの一次圧力が燃料ガス流路を流れる燃料ガスの圧力損失より高くなることがある。この場合、燃料ガス供給経路2に圧力調整器(不図示)を設け、圧力損失より高い所定の圧力に調整して燃料ガス供給経路2を介して燃料電池1に燃料ガスを供給する構成としてもよい。
【0052】
以上のように、実施形態1に係る燃料電池システム50では、燃料電池1の燃料ガス流路を流れる燃料ガスの圧力損失に基づいて、燃料ガス供給経路2を介して燃料電池1に供給される燃料ガスの圧力が一定となるように設定されている。
【0053】
なお、実施形態1は、圧力調整器を用いて燃料ガス供給経路2を介して燃料電池1に供給される燃料ガスの圧力が一定となるように設定されている構成を例に挙げて説明する。この圧力調整器は、燃料ガス供給経路2を流れる燃料ガスの圧力を調整する機器であって、例えば、圧力を可変できる駆動式調圧弁及びレギュレータと、圧力を一定値に調整するガバナとを備えている。これにより、燃料ガス供給源から燃料ガス供給経路2を介して燃料電池1に供給される燃料ガスの圧力は一定に保たれる。
【0054】
酸化剤ガス供給経路3は、端部が燃料電池1の酸化剤ガス流路に接続されている。そして、酸化剤ガスは、酸化剤ガス供給器(不図示)から酸化剤ガス供給経路3及び酸化剤ガス流路を介してカソードに供給される。この酸化剤ガスには、例えば空気を用いることができる。酸化剤ガスに空気を用いる場合、酸化剤ガス供給器(不図示)は、例えば、コンプレッサー及び電磁誘導式のダイアフラムポンプ等により構成されていてもよい。これにより、酸化剤ガス供給器(不図示)で酸化剤ガスを昇圧させて燃料電池1の酸化剤ガス流路へ供給することができる。なお、酸化剤ガス供給経路3には、酸化剤ガスを加湿するための加湿器(不図示)が設けられていてもよい。
【0055】
ところで、燃料電池1では燃料ガス中の水素が発電に用いられるが、燃料電池1から排出されるアノードオフガスには発電に用いられなかった水素がまだ含まれている。このため、実施形態1に係る燃料電池システム50では、アノードオフガスを燃料ガスとして再利用するために、一方の端部がアノード出口に接続され、他方の端部が燃料ガス供給経路2に接続されたリサイクル経路7を備えている。そして、燃料電池システム50では燃料電池1から排出されたアノードオフガスをこのリサイクル経路7を介してアノード入口へ戻すように構成されている。
【0056】
このように、燃料電池1のアノードに供給される燃料ガスは、燃料ガス供給源から供給される燃料ガスと、リサイクル経路7を介して供給されるアノードオフガスとを含む。
【0057】
リサイクル経路7は、一方の端部が燃料電池1のアノード出口と接続されるとともに、他方の端部が例えば、燃料ガス供給経路2と接続されている。燃料ガスの流れに対して燃料ガス供給経路2と、燃料電池1の燃料ガス流路と、リサイクル経路7とによって、アノードオフガスを循環させる循環経路を構成する。このように構成された循環経路により、燃料電池システム50では、アノード出口から排出されたアノードオフガスを、燃料ガス供給経路2を流通する燃料ガスと合流させて燃料電池1のアノード入口に再び供給することができる。リサイクル経路7は、内部を流れるアノードオフガスが可燃性ガスであるため、難燃性材料の配管(例えば、ステンレス製配管等の金属配管)を用いることが好適である。また、リサイクル経路7には、昇圧器10が設けられている。
【0058】
昇圧器10は、アノード出口から排出されたアノードオフガスを、再びアノード入口へ供給させるために、リサイクル経路7を流通するアノードオフガスの圧力を上昇させて、燃料ガス供給経路2に合流させるアノードオフガスの流量を制御する昇圧ポンプである。昇圧器10には、例えば、入力電圧によりアノードオフガスの流量を調整できる電磁誘導式のダイアフラムポンプを用いることができる。あるいは、昇圧器10は、羽根車を回転させてアノードオフガスの流量を調整するターボ型(非容積式)ポンプであってもよい。
【0059】
実施形態1に係る燃料電池システム50では、燃料ガスが燃料電池1の燃料ガス流路を流れる際に生じる圧力損失によってリサイクル経路7に流れるアノードオフガスの圧力は、燃料ガス供給経路2を流れる燃料ガスの圧力よりも低くなる。このため、アノードオフガスをリサイクル経路7から燃料ガス供給経路2に流入させることができない場合がある。
【0060】
そこで、リサイクル経路7に備えられた昇圧器10を用いることにより、リサイクル経路7を流通するアノードオフガスの圧力を上昇させて、アノードオフガスを、燃料ガス供給経路2に流入させるようにしている。
【0061】
アノードオフガス排出経路5は、リサイクル経路7において、リサイクルガスの流れに対して昇圧器10よりも上流側となる位置で分岐しており、燃料電池システム50の外部へ延びている。アノードオフガス排出経路5は、内部を流れるアノードオフガスが可燃性ガスであるために難燃性材料の配管(例えば、ステンレス製配管等の金属配管)を用いることが好適である。
【0062】
アノードオフガス排出経路5には、このアノードオフガス排出経路5の流路を調節するパージ弁11が設けられている。パージ弁11は、例えば、ソレノイド式の電磁弁を用いてもよく、特に限定されるものではない。またパージ弁11は調節弁であっても開閉弁であってもよい。パージ弁11が開放され開状態となるとリサイクル経路7を流れるアノードオフガスがアノードオフガス排出経路5を介してパージ弁11を通り外部へ排出される。
【0063】
カソードオフガス排出経路6は、燃料電池1のカソード出口と接続されており、酸化剤ガス流路から排出されるカソードオフガスを外部に排出する。例えば、酸化剤ガス供給経路3に加湿器が設けられている場合、カソードオフガスは水分を含む。また、燃料電池1における発電の際に水分が生成されるため、この水分もカソードオフガスは含んでいる。よって、カソードオフガス排出経路6には、水分により腐食しにくい配管(例えば、ステンレス配管及び架橋ポリエチレンの樹脂配管)が用いられる。
【0064】
制御器4は、燃料電池システム50が備える各部の各種制御を行うものであり、CPU等の演算部(不図示)、及びROM、RAM等の記憶部(不図示)を備えている。記憶部には、例えば、燃料電池システム50の基本プログラム及び各種固定データ等の情報が記憶されており、演算部はこの基本プログラム等を読み出して実行することにより、制御器4は各部の動作を制御する。なお、制御器4は、集中制御する単独の制御器4によって構成されていてもよいし、互いに協働して分散制御する複数の制御器4によって構成されていてもよい。
【0065】
特に、実施形態1に係る燃料電池システム50では、制御器4は、パージ弁11を開放した状態で燃料ガス供給経路2から燃料ガスを供給して、アノードオフガスを外部に排出するパージ動作を実行しているとき、及びパージ動作後の所定時間内の少なくとも一方において、昇圧器10を動作させるよう制御する。また、このような制御を実行している際、制御器4は、リサイクル経路7若しくはアノードオフガス排出経路5を流通するアノードオフガスの圧力、または昇圧器10の動作量に基づき昇圧器10の異常を判定するように構成されている。例えば、動作量としては、昇圧器10が回転式のポンプである場合、ポンプの回転数がこれに相当するが、本例に限定されるものではない。
【0066】
すなわち、制御器4は、アノードオフガスを外部に排出するパージ動作を実行しているとき、若しくはパージ動作後の所定時間内のいずれかのタイミング、または、アノードオフガスを外部に排出するパージ動作を実行しているときとパージ動作後の所定時間内の両方のタイミングにおいて、昇圧器10の異常を判定する。
【0067】
また、制御器4は、昇圧器10の異常をリサイクル経路7またはアノードオフガス排出経路5を流通するアノードオフガスの圧力に基づき判定する。すなわち、昇圧器10が故障により出力が低下すると、リサイクル経路7を流通するアノードオフガスの流量が低下する。そのため、燃料ガス供給経路2を通じて燃料電池1に供給される燃料ガスの圧力が一定であるとすると、燃料電池1での圧力損失が低下し、昇圧器10が正常に稼働している場合と比較して燃料電池1のアノード出口から排出されたアノードオフガスの圧力が高くなる。このため、リサイクル経路7若しくはアノードオフガス排出経路5を流通するアノードオフガスの圧力から昇圧器10の異常の有無を判定することができる。
【0068】
なお、制御器4は、リサイクル経路7若しくはアノードオフガス排出経路5を流通するアノードオフガスの圧力を測定する圧力検知器の検知結果に基づき、アノードオフガスの圧力の値を得る構成であってよい。あるいは、制御器4は、アノードオフガスの圧力と相関するなんらかの物理量を検知する検知器の検知結果に基づき、アノードオフガスの圧力の値を得る構成であってもよい。
【0069】
具体的には、制御器4は、昇圧器10よりも上流のリサイクル経路7の圧力、またはアノードオフガス排出経路5の圧力が第1の閾値以上であるとき、異常と判定する。なお、第1の閾値とは、リサイクル経路7を流通するアノードオフガスの流量が、昇圧器10が正常な運転状態のときよりも減少した際に、燃料電池1で発生する圧力損失の減少分を考慮した、燃料電池1から排出されたアノードオフガスの圧力値である。例えば、燃料電池1の発電を維持することができる燃料ガスの流量の下限値となる流量の燃料ガスが燃料電池1に供給されたときのアノードオフガスの圧力値としてもよい。
【0070】
さらには、制御器4は、昇圧器10よりも上流のリサイクル経路7の圧力、またはアノードオフガス排出経路5の圧力が第2の閾値以下であるとき、異常と判定する。なお、第2の閾値とは、リサイクル経路7を流通するアノードオフガスの流量が、昇圧器10が正常な運転状態のときよりも増加した際に燃料電池1で発生する圧力損失の増加分を考慮した、燃料電池1から排出されたアノードオフガスの圧力値である。例えば、燃料電池1の発電を維持することができる燃料ガスの流量の上限値となる流量の燃料ガスが燃料電池1に供給されたときのアノードオフガスの圧力値としてもよい。
【0071】
あるいは、制御器4は、昇圧器10の動作量に基づき昇圧器10の異常を判定してもよい。つまり、昇圧器10に異常が生じている場合は、昇圧器10が正常に稼働している場合と比較して所定の指示値に対する出力(動作量)が変化する。そこで、制御器4は、昇圧器10の出力(動作量)をモニタする。そして、所定の指示値に対する昇圧器10の動作量の変化から昇圧器10の異常の有無を判定する。例えば、所定の指示値に対する昇圧器10の動作量が第1の動作量閾値以下であるとき、または第1の動作量閾値よりも大きい第2の動作量閾値以上であるとき、昇圧器10は異常であると判定してもよい。
【0072】
なお、制御器4は、昇圧器10の動作量の変化を、例えば、昇圧器10の動作量の変化量を検知する検知器の検知結果に基づき把握する構成であってもよい。
【0073】
(実施形態2)
[装置構成]
次に、実施形態2に係る燃料電池システム100の構成について、図2を参照しながら説明する。図2は本発明の実施形態2に係る燃料電池システム100の要部構成の一例を模式的に示す図である。実施形態2に係る燃料電池システム100は、実施形態1に係る燃料電池システム50の構成において、さらに酸化剤ガス供給器8、圧力検知器12、および燃料ガス供給弁(第2弁)13を備えている。すなわち、酸化剤ガスを燃料電池1に供給する装置の一例として、酸化剤ガス供給器8を、アノードオフガスの圧力を検知する装置の一例として、圧力検知器12を、燃料ガスの供給量を制御する装置の一例として、燃料ガス供給弁13を備えた構成となっている。そして、燃料ガス供給経路2とリサイクル経路7との接続点として合流部9が設けられている。リサイクル経路7は、一方の端部が燃料電池1のアノード出口と接続されるとともに、他方の端部が燃料ガス供給経路2の合流部9と接続されている。燃料ガスの流れに対して合流部9の下流側の燃料ガス供給経路2部分と、燃料電池1の燃料ガス流路と、リサイクル経路7とによって、アノードオフガスを循環させる循環経路を構成する。実施形態2に係る燃料電池システム100は、上記した部材をさらに備える点を除き、実施形態1に係る燃料電池システム50の構成と同様であるため、同様な部材には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0074】
燃料ガス供給経路2における合流部9よりも燃料ガスの流れに対して上流側となる部分には、燃料ガス供給弁13が設けられている。燃料ガス供給弁13は、燃料ガス供給経路2を開状態とすることにより燃料電池1のアノードへ燃料ガスを供給させたり、閉状態とすることにより燃料電池1のアノードへの燃料ガスの供給を遮断させたりする調整弁である。燃料ガス供給弁13は、燃料ガスの流量を調節できるものであればよく、例えば、ソレノイド式の電磁弁が例示できる。
【0075】
圧力検知器12は、リサイクル経路7における燃料電池1のアノード出口から昇圧器10までの間、またはアノード出口からパージ弁11までの間に設けられる。なお、アノード出口からパージ弁11までの間とは、リサイクル経路7におけるアノード出口との接続部からアノードオフガス排出経路5との接続部までの部分と、アノードオフガス排出経路5における、リサイクル経路7との接続部からパージ弁11までの部分とを合わせた区間である。
【0076】
圧力検知器12は、アノードオフガス排出経路5を流れるアノードオフガスの圧力を計測できるものであればよく特に限定されない。圧力検知器12は、例えば、ゲージ圧を計測するダイアフラム式の圧力センサであってもよい。
【0077】
[昇圧器の異常判定処理]
次に、燃料電池システム100によって実施される昇圧器10の異常判定処理について、図3、4を参照して説明する。図3は、本発明の実施形態2に係る燃料電池システム100の異常判定処理の一例を示すフローチャートである。図4は、本発明の実施形態2に係る燃料電池システム100における入力値Vcと第二圧力値P2(第1閾値)との関係の一例を示すグラフである。図4では、縦軸を圧力とし横軸を入力値Vcとして入力電圧とし、破線は燃料電池システム100が正常運転時にあるときの、入力値Vcと圧力値との関係を示し、実線は入力値Vcと第二圧力値P2との関係を示している。なお、この昇圧器10の異常判定処理は、パージ弁11を開放させた状態で燃料ガス供給経路2から燃料ガスを燃料電池1に供給して、燃料電池1から排出されたアノードオフガスを外部に排気するパージ動作を実行しているとき、若しくはこのパージ動作後の所定時間内、またはパージ動作を実行しているときと、パージ動作後の所定時間内との両方で実施される。
【0078】
ここで、燃料電池システム100が正常運転時にあるときの、入力値Vcに対する圧力値を基準値とすると、第二圧力値P2は、燃料電池1が発電を維持することができる燃料ガス流量の下限値に応じた圧力値である。つまり、第二圧力値P2は、入力値Vcに応じて定められる、燃料電池1の発電を維持することができる燃料ガスの流量の下限値となる流量の燃料ガスが燃料電池1に供給されたときのアノードオフガスの圧力値である。
【0079】
したがって、第二圧力値P2は、リサイクル経路7を流通するアノードオフガスの流量が正常な運転状態のときよりも減少した際における燃料電池1で発生する圧力損失の減少分を考慮して得た圧力値となる。なお、燃料電池1が発電を維持することができる燃料ガス流量の下限値とは、燃料電池1で設定されている発電量を得るために必要な燃料ガスの流量の範囲における下限値であり、燃料ガスの流量がこの下限値を下回る場合、所定の発電量を得ることができなくなる流量であると言える。
【0080】
例えば、昇圧器10に何らかの異常が生じたため合流部9に供給されるアノードオフガスの流量が低下した場合、燃料電池1のアノード入口に供給される燃料ガスの流量も低下することなる。このため、燃料電池1で生じる圧力損失も小さくなる。
【0081】
ここで、上記したように、実施形態2に係る燃料電池システム100では、燃料ガス供給経路2を介して燃料電池1に供給される燃料ガスの圧力が一定となるように設定されているため、燃料電池1から排出されたアノードオフガスの圧力は燃料電池システム100が正常運転の状態にあるときよりも大きくなるという関係がある。つまり、燃料電池1のアノードに供給される燃料ガスの流量を圧力検知器12によって検知した圧力により把握することができる。そこで、実施形態2に係る燃料電池システム100では、燃料電池1が発電を維持することができる燃料ガス流量の下限値に応じた圧力値として第二圧力値P2を設定し、第二圧力値P2と昇圧器10に入力される入力値Vc(入力電圧)との対応関係を示すグラフを予め記憶部に記憶している。
【0082】
まず、制御器4は、所定の入力値Vcを昇圧器10に入力する(ステップS101)。ここでは、入力値Vcとして一定の電圧値を昇圧器10に入力する。しかし、入力値Vcはこれに限定されるものではなく電圧値を示すパルスを、入力値Vcとして入力する構成であってもよい。
【0083】
次に、制御器4は、入力値Vcに対応する第二圧力値P2を記憶部から読み出す(ステップS102)。すなわち、記憶部には図4に示すように、入力値Vcと第二圧力値P2との関係を示す情報が予め記憶されている。そこで、制御器4は、この記憶された情報に基づき所定の入力値Vcに対応する第二圧力値P2を読み出す。
【0084】
つづいて、制御器4は、圧力検知器12で検知した第一圧力値P1を取得し(ステップS103)、第一圧力値P1と第二圧力値P2との差分を計測してこの差分が0より小さくなるか否か判定する(ステップS104)。ここで、P1−P2<0となる場合(ステップS104において「Yes」)、制御器4は、昇圧器10により供給されるアノードオフガスの流量に不足なく正常と判断する(ステップS105)。一方、P1−P2≧0となる場合(ステップS104において「No」)、制御器4は、昇圧器10により供給されるアノードオフガスの流量が不足しており昇圧器10に異常が発生していると判断する(ステップS106)。
【0085】
このように、昇圧器10に対して所定の入力値Vcを入力し圧力検知器12で検知した第一圧力値P1と、予め記憶されている第二圧力値P2とを比較することで制御器4は昇圧器10に異常が生じて、リサイクル経路7を通じて燃料ガス供給経路2で燃料ガスと合流するアノードオフガスの流量が不足しているのか否か判定することができる。このため、この昇圧器10の異常判定処理の判定結果に基づき、制御器4は、実施形態2に係る燃料電池システム100の運転を継続すべきか否か判断することができる。
【0086】
(変形例1)
実施形態2の変形例1に係る燃料電池システム100について説明する。なお、変形例1に係る燃料電池システム100の構成は実施形態2に係る燃料電池システム100と同様の構成であるため、装置構成に関する説明は省略する。
【0087】
[昇圧器の異常判定処理]
次に実施形態2の変形例1に係る燃料電池システム100の運転方法について、図5を参照して説明する。図5は、本発明の実施形態2の変形例1に係る燃料電池システム100の異常判定処理の一例を示すフローチャートである。昇圧器10の異常判定処理は、パージ動作を実行しているとき若しくはこのパージ動作後の所定時間内、またはパージ動作を実行しているときとパージ動作後の所定時間内との両方で実施される。実施形態2の変形例1に係る燃料電池システム100では、燃料ガス供給弁13およびパージ弁11それぞれを開いた状態とし、パージ動作を実行しているときに昇圧器10の異常判定処理を行う場合を例に挙げて説明する。実施形態2の変形例1に係る燃料電池システム100は、異常判定処理を行うタイミングを限定した点を除けば、実施形態2に係る燃料電池システム100と同様にして昇圧器10の異常判定処理を行う。
【0088】
すなわち、まず、制御器4は、燃料ガス供給弁13とパージ弁11とを開状態とする(ステップS201)。このように燃料ガス供給弁13およびパージ弁11が開状態となっているタイミングにおいて、制御器4は、所定の入力値Vcを昇圧器10に入力する(ステップS202)。これ以降の処理(ステップS203からステップS207までの処理)は、図3に示す異常判定処理のステップS102からステップS106までの処理と同様であるため説明は省略する。
【0089】
ここで、燃料電池1において生じる圧力損失の大きさは、燃料電池1を流通する燃料ガスの組成に依存する。また、パージ弁11を閉じた状態でアノードオフガスを何度も燃料ガス供給経路2に循環させる閉回路運転では、アノードオフガスへ窒素が徐々に含まれていき燃料ガスの組成が変化していく。
【0090】
そこで、変形例1に係る燃料電池システム100では、燃料ガス供給弁13およびパージ弁11を開状態として、制御器4は昇圧器10の異常判定処理を行う。このため、昇圧器10の異常判定処理を行うに際して燃料電池1の発電時に生じた窒素などを、パージ弁11を通じて外部に排出することができる。それゆえ、燃料電池1内の燃料ガス流路を流通する燃料ガスを一定の組成のガスとした上で昇圧器10の異常判定を行うことができる。
【0091】
したがって、燃料ガスの組成の経時的な変化を考慮することなく所定の入力値Vcと第二圧力値P2との関係を求めることができる。そのため、入力値Vcと第二圧力値P2との関係式を簡素化することができるとともに、ガス組成の違いによる入力値Vcと第二圧力値P2との関係における誤差も低減でき精度よく昇圧器10の異常判定を行うことができる。
【0092】
(変形例2)
[装置構成]
実施形態2の変形例2に係る燃料電池システム100は、実施形態2に係る燃料電池システム100と比較して、第二圧力値P2および第三圧力値P3(第2閾値)それぞれと昇圧器10に入力される入力値Vc(入力電圧)との対応関係を示すグラフを予め記憶部に記憶している点で相違する。すなわち、変形例2に係る燃料電池システム100では、燃料電池1が発電を維持するのに必要な燃料ガスの下限値に応じた圧力値として第二圧力値P2を設定し、上限値に応じた圧力値として第三圧力値P3を設定している。そして、第二圧力値P2および第三圧力値P3それぞれと昇圧器10に入力される入力値Vc(入力電圧)との対応関係を示すグラフを予め記憶部に記憶している。
【0093】
第三圧力値P3は、燃料電池1が発電を維持することができる燃料ガス流量の上限値に応じた圧力値である。つまり、第三圧力値P3は、入力値Vcに応じて定められる、燃料電池1の発電を維持することができる燃料ガスの流量の上限値となる流量の燃料ガスが燃料電池1に供給されたときのアノードオフガスの圧力値である。
【0094】
したがって、第三圧力値P3は、リサイクル経路7を流通するアノードオフガスの流量が正常な運転状態のときよりも増加した際における燃料電池1で発生する圧力損失の増加分を考慮して得た圧力値である。
【0095】
このように、変形例2に係る燃料電池システム100は、第二圧力値P2および第三圧力値P3それぞれと入力値Vcとの対応関係を示すグラフを予め記憶部に記憶している点を除きそれ以外の構成については、実施形態2に係る燃料電池システム100の構成と同様であるため各部の構成の説明については省略する。
【0096】
[昇圧器の異常判定処理]
変形例2に係る燃料電池システム100の運転方法について、図6、7を参照して説明する。図6は、本発明の実施形態2の変形例2に係る燃料電池システム100の異常判定処理の一例を示すフローチャートである。図7は、本発明の実施形態2の変形例2に係る燃料電池システム100における入力値Vcと第二圧力値P2および第三圧力値P3との関係の一例を示すグラフである。図7では、縦軸を圧力とし横軸を入力電圧とし、短い線分からなる破線は燃料電池システム100が正常運転時にあるときの、入力値Vcと圧力値との関係を示し、実線は入力値Vcと第二圧力値P2との関係を示し、長い線分からなる破線は入力値Vcと第三圧力値P3との関係をそれぞれ示している。
【0097】
ここで、変形例2に係る燃料電池システム100が正常運転時にあるときの、入力値Vcに対する圧力値を基準値とすると、第二圧力値P2は、燃料電池1が発電を維持することができる燃料ガス流量の下限値に応じた圧力値である。一方、第三圧力値P3は、燃料電池1が発電を維持することができる燃料ガス流量の上限値に応じた圧力値である。燃料電池1が発電を維持することができる燃料ガス流量の上限値とは、燃料電池1で設定されている発電量を得るために必要な燃料ガスの流量の範囲における上限値であり、燃料ガスの流量がこの上限値を越える場合、超えた流量は過剰な流量であると言える。
【0098】
図6に示すように変形例2に係る燃料電池システム100において実施される昇圧器10の異常判定処理のステップS301からステップS303までの処理は、実施形態2に係る燃料電池システム100において実施される昇圧器10の異常判定処理のステップS101からステップS103までの処理と同様であるため、説明は省略し、ステップS304以降の処理について説明する。なお、実施形態2の変形例2に係る燃料電池システム100における昇圧器10の異常判定処理は、実施形態2に係る燃料電池システム100と同様に、パージ動作を実行しているとき若しくはこのパージ動作後の所定時間内、またはパージ動作を実行しているときとパージ動作後の所定時間内との両方で実施される。
【0099】
すなわち、変形例2に係る燃料電池システム100では、ステップS304において、第一圧力値P1と第二圧力値P2との差分を計測してこの差分が0より小さくなるか否か判定する(ステップS304)。ここで、P1−P2≧0となる場合(ステップS304において「No」)、制御器4は、昇圧器10により供給されるアノードオフガスの流量が不足しており昇圧器10に異常が発生していると判断する(ステップS306)。一方、P1−P2<0となる場合(ステップS304において「Yes」)、制御器4は、昇圧器10により供給されるアノードオフガスの流量に不足がないと判断する。そして、制御器4は所定の入力値Vcに対応する第三圧力値P3を記憶部から読み出す(ステップS305)。すなわち、記憶部には図7に示すように、入力値Vcと第二圧力値P2との関係、ならびに入力値Vcと第三圧力値P3との関係を示す情報が予め記憶されている。そこで、制御器4は、この記憶された情報に基づき所定の入力値Vcに対応する第三圧力値P3を読み出す。
【0100】
つづいて、制御器4は、圧力検知器12で検知した第一圧力値P1と第三圧力値P3との差分を計測してこの差分が0より大きくなるか否か判定する(ステップS307)。ここで、P1−P3>0と判断した場合(ステップS307において「Yes」)、制御器4は、昇圧器10によりアノードオフガスが発電に必要となる流量よりも過剰に供給されておらず、昇圧器10は正常であると判断する(ステップS308)。一方、P1−P3≦0と判断した場合(ステップS307において「No」)、制御器4は、昇圧器10によりアノードオフガスが発電に必要となる流量よりも過剰に供給されており、昇圧器10は異常であると判断する(ステップS306)。
【0101】
このように、昇圧器10へ所定の入力値Vcを入力し、圧力検知器12により検知された第一圧力値P1と、第二圧力値P2および第三圧力値P3とを比較することで昇圧器10に異常が生じて、リサイクル経路7を通じて供給するアノードオフガスの流量が不足しているのか否か、あるいは過剰となっているのか否か判定することができる。このため、この昇圧器10の異常判定処理の判定結果に基づき、制御器4は、実施形態2の変形例2に係る燃料電池システム100の運転を継続すべきか否か判断することができる。
【0102】
(変形例3)
実施形態2の変形例3に係る燃料電池システム100について説明する。なお、変形例3に係る燃料電池システム100の構成は実施形態2に係る燃料電池システム100と同様の構成であるため、装置構成に関する説明は省略する。
【0103】
[昇圧器の異常判定処理]
次に実施形態2の変形例3に係る燃料電池システム100の運転方法について、図8を参照して説明する。図8は、本発明の実施形態2の変形例3に係る燃料電池システム100の異常判定処理の一例を示すフローチャートである。実施形態2の変形例3に係る燃料電池システム100は、実施形態2に係る燃料電池システム100と比較して、燃料電池システム100が待機状態においてパージ動作を実行しているとき若しくはこのパージ動作後の所定時間内、またはパージ動作を実行しているときとパージ動作後の所定時間内との両方で、昇圧器10の異常判定処理を行う点で相違するが、異常判定処理を行うタイミングを限定した点を除けば、実施形態2に係る燃料電池システム100と同様の処理を行う。
【0104】
すなわち、まず、制御器4は、燃料電池システム100が待機状態(パージ動作実行時およびパージ動作後の所定時間内の少なくとも一方)であるかを判定する(ステップS401)。燃料電池システム100が待機状態であると判定した場合(ステップS401において「Yes」)、制御器4は、所定の入力値Vcを昇圧器10に入力する(ステップS402)。一方、制御器4が、燃料電池システム100が待機状態ではないと判定した場合(ステップS401において「No」)、再びステップS401の判定を繰りかえす。なお、燃料電池システム100の待機状態とは、燃料電池1の温度が発電時(定常運転時)の温度まで到達しておらず、燃料電池1が、外部負荷に電力を供給していない状態である。例えば、起動時における燃料電池システム100の状態を例示することができる。ここでいう起動時とは、燃料電池システム100に対して停止指令が入力された後から、起動指令が入力されるまでの期間、または、停止指令が入力された後から、起動指令が入力され、燃料電池1の温度(燃料電池1のスタック温度)が発電時(定常運転時)の所定温度に上昇するまでの期間であり、外部負荷に電力を供給していない状態である。発電時(定常運転時)の所定温度は、燃料電池1のスタックの構成に応じて予め設定されている。
【0105】
これ以降の処理(ステップS402からステップS407までの処理)は、図3に示す異常判定処理のステップS101からステップS106までの処理と同様であるため説明は省略する。
【0106】
このように、変形例3に係る燃料電池システム100は、燃料電池1の発電前に昇圧器10が異常であるか否か判定することができる。このため、昇圧器10の異常による燃料電池システム100の故障を、発電を行う前に防止することができる。
【0107】
(変形例4)
次に、実施形態2の変形例4に係る燃料電池システム100について説明する。なお、変形例4に係る燃料電池システム100の構成は実施形態2に係る燃料電池システム100と同様の構成であるため、装置構成に関する説明は省略する。
【0108】
[昇圧器の異常判定処理]
次に実施形態2の変形例4に係る燃料電池システム100の運転方法について、図9を参照して説明する。図9は、本発明の実施形態2の変形例4に係る燃料電池システム100の異常判定処理の一例を示すフローチャートである。実施形態2の変形例4に係る燃料電池システム100は、実施形態2に係る燃料電池システム100と比較して、燃料電池システム100の運転時において、リサイクル経路7を流通するアノードオフガスを排気してパージ動作を実行しているとき若しくはこのパージ動作後の所定時間内、またはパージ動作を実行しているときとパージ動作後の所定時間内との両方で、昇圧器10の異常判定処理を行う点で相違する。しかしながら、異常判定処理を行うタイミングを限定した点を除けば、変形例4に係る燃料電池システム100は、実施形態2に係る燃料電池システム100と同様の処理を行う。
【0109】
すなわち、まず、制御器4は、燃料電池システム100の運転時において、リサイクル経路7を流通するアノードオフガスを排気するパージ動作を実行しているとき、および/またはこのパージ動作後の所定時間内であるか否か判定する(ステップS501)。ここで、制御器4が燃料電池システム100において、パージ動作を実行しているとき、および/またはこのパージ動作後の所定時間内であると判定した場合(ステップS501において「Yes」)、所定の入力値Vcを昇圧器10に入力する(ステップS502)。一方、制御器4が、燃料電池システム100においてパージ動作を実行しているときおよび/またはパージ動作後の所定時間内ではないと判定した場合(ステップS501において「No」)、再びステップS501の判定を繰りかえす。
【0110】
これ以降の処理(ステップS503からステップS507までの処理)は、図3に示す異常判定処理のステップS102からステップS106までの処理と同様であるため説明は省略する。
【0111】
このように、燃料電池システム100の運転時においてパージ動作を実行しているとき、および/または、パージ動作後の所定時間内であれば、燃料電池システム100が動作中であっても第一圧力値P1を計測する際の燃料ガスを単一組成(水素)とすることができる。このためアノードオフガスの組成の経時的変化を考慮することなく所定の入力値Vcと第二圧力値P2との関係を求めることができる。そのため、入力値Vcと第二圧力値P2との関係式を簡素化することができるとともに、ガス組成の違いによる入力値Vcと第二圧力値P2との関係における誤差も低減でき精度よく昇圧器10の異常判定を行うことができる。
【0112】
なお、ここでいうパージ動作後の所定時間内とは、例えば、パージ動作後であって次のパージ動作が開始されるよりも前の期間であり、昇圧器10の異常判定の精度が、パージ動作中と同等となる期間内(例えば、アノードオフガス中の水素濃度が95%未満とならない期間内)である。
【0113】
(変形例5)
実施形態2の変形例5に係る燃料電池システム100は、実施形態2に係る燃料電池システム100と同様の構成となるため、装置構成に関する説明は省略する。
【0114】
[昇圧器の異常判定処理]
次に実施形態2の変形例5に係る燃料電池システム100の運転方法について、図10を参照して説明する。図10は、本発明の実施形態2の変形例5に係る燃料電池システム100の異常判定処理の一例を示すフローチャートである。実施形態2の変形例5に係る燃料電池システム100は、実施形態2に係る燃料電池システム100と比較して、制御器4が昇圧器10に異常であると判定すると、燃料ガス供給弁13を閉状態として燃料ガスの供給を停止させる点で相違する。しかしながら、それ以外の処理については、変形例5に係る燃料電池システム100は、実施形態2に係る燃料電池システム100と同様の処理を行う。
【0115】
すなわち、図10に示す異常判定処理のステップS701からステップS706までの処理は、図3に示す異常判定処理のステップS101からステップS106と同様であるため説明や省略する。ステップS706において、昇圧器10が異常であると判定されると、制御器4は、燃料ガス供給弁13を閉状態とし、燃料ガス供給経路2からの燃料ガスの燃料電池1への供給を停止させるように制御する(ステップS707)。
【0116】
このように、昇圧器10が異常であると判定された後、燃料ガス供給弁13を閉状態とすることで燃料電池1に燃料ガスが供給されず安全に燃料電池システム100を停止させることができる。
【0117】
(変形例6)
[装置構成]
実施形態2の変形例6に係る燃料電池システム100の構成について、図11を参照しながら説明する。図11は、本発明の実施形態2の変形例6に係る燃料電池システム100の要部構成の一例を模式的に示す図である。
【0118】
図11に示すように、実施形態2の変形例6に係る燃料電池システム100は、実施形態2に係る燃料電池システム100の構成において、さらに表示器14を備える点で相違する。それ以外は実施形態2の燃料電池システム100と同じであるので説明を省略する。
【0119】
表示器14は、昇圧器10の異常判定処理において異常であると判定されたとき、その判定結果を表示する表示装置である。表示器14は、昇圧器10に異常が生じていることを表示できる表示装置であればよく、例えば、液晶ディスプレイまたは7セグメントディスプレイであってもよい。
【0120】
[昇圧器の異常判定処理]
次に実施形態2の変形例6に係る燃料電池システム100の運転方法について、図12を参照して説明する。図12は、本発明の実施形態2の変形例6に係る燃料電池システム100の異常判定処理の一例を示すフローチャートである。実施形態2の変形例6に係る燃料電池システム100は、実施形態2に係る燃料電池システム100と比較して、制御器4が昇圧器10に異常であると判定すると、表示器14に昇圧器10の異常を示す情報を表示させる点で相違する。しかしながら、それ以外の処理については、変形例6に係る燃料電池システム100は、実施形態2に係る燃料電池システム100と同様の処理を行う。
【0121】
すなわち、図12に示す異常判定処理のステップS801からステップS806までの処理は、図3に示す異常判定所のステップS101からステップS106と同様であるため説明は省略する。ステップS806において、昇圧器10が異常であると判定されると、制御器4は、表示器14に昇圧器10の異常を示す情報を表示させるように制御する(ステップS807)。
【0122】
このように、昇圧器10の異常を示す情報を表示器14で示すことで燃料電池システム100における運転停止の原因が昇圧器10の異常であることが視覚的に明確になり、燃料電池システム100の運転停止に対する復旧作業を迅速に行うことができる。
【0123】
なお、変形例6に係る燃料電池システム100では、表示器14によって昇圧器10の異常を表示させて操作者等に通知する構成であったが、操作者等に通知する構成はこれに限定されるものではない。例えば、表示器14の代わりに発光部を備え、発光部の発光状態で異常を通知する構成であってもよい。また、表示器14の代わりに音声出力器を備え、音声出力器で異常を通知する構成であってもよい。さらにまた、表示器14の代わりに印字部を備え、印字により異常を通知する構成であってもよい。すなわち、昇圧器10の異常を示す情報を出力できる出力装置であればよい。
【0124】
上記した実施形態1、2、および変形例1から6は、互いに相手を排除しない限り、互いに組み合わせてもよい。上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0125】
本発明の燃料電池システムは、アノードオフガスを、リサイクル経路を介して燃料ガス供給経路に戻す構成において、リサイクル経路を流通するアノードオフガスを燃料ガス供給経路に送出させるための昇圧器の異常を適切に判定することができる燃料電池システムとして有用である。
【符号の説明】
【0126】
1 燃料電池
2 燃料ガス供給経路
3 酸化剤ガス供給経路
4 制御器
5 アノードオフガス排出経路
6 カソードオフガス排出経路
7 リサイクル経路
8 酸化剤ガス供給器
9 合流部
10 昇圧器
11 パージ弁
12 圧力検知器
13 燃料ガス供給弁
14 表示器
50 燃料電池システム
100 燃料電池システム
P1 第一圧力値
P2 第二圧力値
P3 第三圧力値
Vc 入力値
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12