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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-207871(P2019-207871A)
(43)【公開日】2019年12月5日
(54)【発明の名称】電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0585 20100101AFI20191108BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALI20191108BHJP
   H01M 4/66 20060101ALI20191108BHJP
   H01M 4/13 20100101ALI20191108BHJP
   H01M 4/02 20060101ALI20191108BHJP
   H01M 6/18 20060101ALI20191108BHJP
【FI】
   H01M10/0585
   H01M10/0562
   H01M4/66 A
   H01M4/13
   H01M4/02 Z
   H01M6/18 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2019-89469(P2019-89469)
(22)【出願日】2019年5月10日
(31)【優先権主張番号】特願2018-101611(P2018-101611)
(32)【優先日】2018年5月28日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】古賀 英一
【テーマコード(参考)】
5H017
5H024
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H017AA04
5H017AS01
5H017CC03
5H017DD05
5H017EE01
5H017EE06
5H017HH03
5H017HH05
5H024AA01
5H024AA02
5H024AA07
5H024AA12
5H024CC04
5H024DD15
5H024EE01
5H024EE07
5H024FF22
5H024HH13
5H024HH15
5H029AJ11
5H029AK01
5H029AK03
5H029AK05
5H029AL02
5H029AL03
5H029AL06
5H029AL07
5H029AL12
5H029AM12
5H029BJ04
5H029BJ12
5H029CJ02
5H029DJ07
5H029DJ12
5H029EJ01
5H029EJ07
5H029HJ04
5H029HJ12
5H050AA14
5H050BA15
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA08
5H050CA09
5H050CA11
5H050CB02
5H050CB03
5H050CB07
5H050CB08
5H050CB12
5H050DA04
5H050DA07
5H050FA02
5H050FA08
5H050FA12
5H050HA04
5H050HA12
(57)【要約】
【課題】耐衝撃性に優れ、構造安定性の高い電池を提供する。
【解決手段】本開示の一例における電池は、電極層110、及び電極層110の対極として機能する対極層120、を含む単電池と、電極層110を基準として対極層120とは反対側に位置し、電極層110と電気的に接続される第1集電体200と、単電池の側面に接する第1固体電解質層400と、硫化銅を含む第1硫化銅層500と、を備える。第1集電体200は、銅を含む。第1硫化銅層500は、第1集電体200と第1固体電解質層400とに接して、第1集電体200と第1固体電解質層400との間に位置する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極層、及び前記電極層の対極として機能する対極層、を含む単電池と、
前記電極層を基準として前記対極層とは反対側に位置し、前記電極層と電気的に接続される第1集電体と、
前記単電池の側面に接する第1固体電解質層と、
硫化銅を含む第1硫化銅層と、
を備え、
前記第1集電体は、銅を含み、
前記第1硫化銅層は、前記第1集電体と前記第1固体電解質層とに接して、前記第1集電体と前記第1固体電解質層との間に位置する、
電池。
【請求項2】
前記第1固体電解質層は、硫黄を含む、
請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記第1固体電解質層は、焼結組織を含む、
請求項1または2に記載の電池。
【請求項4】
前記単電池は、前記電極層と前記対極層との間に位置する第2固体電解質層をさらに含み、
前記第1固体電解質層は、前記第2固体電解質層に接する、
請求項1から3のいずれかに記載の電池。
【請求項5】
前記第1固体電解質層と前記第2固体電解質層とは、同じ固体電解質材料を含む、
請求項4に記載の電池。
【請求項6】
硫化銅を含む第2硫化銅層を、さらに備え、
前記第2硫化銅層は、前記第1集電体と前記電極層とに接して、前記第1集電体と前記電極層との間に位置する、
請求項1から5のいずれかに記載の電池。
【請求項7】
前記電極層は、硫黄を含む、
請求項6に記載の電池。
【請求項8】
前記第1硫化銅層の厚さは、前記第2硫化銅層の厚さよりも大きい、
請求項6または7に記載の電池。
【請求項9】
前記対極層を基準として前記電極層とは反対側に位置し、前記対極層と電気的に接続される第2集電体と、
硫化銅を含む第3硫化銅層と、
をさらに備え、
前記第2集電体は、銅を含み、
前記第3硫化銅層は、前記第2集電体と前記第1固体電解質層とに接して、前記第2集電体と前記第1固体電解質層との間に位置する、
請求項1から8のいずれかに記載の電池。
【請求項10】
硫化銅を含む第4硫化銅層を、さらに備え、
前記第4硫化銅層は、前記第2集電体と前記対極層とに接して、前記第2集電体と前記対極層との間に位置する、
請求項9に記載の電池。
【請求項11】
前記対極層は、硫黄を含む、
請求項10に記載の電池。
【請求項12】
前記第3硫化銅層の厚さは、前記第4硫化銅層の厚さよりも大きい、
請求項10または11に記載の電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電池に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、銅または銅合金を含む集電体基材上において、負極活物質層が形成される面に、耐硫化性を有する層として硫化銅層を有する全固体電池が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2014/156638号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術においては、耐衝撃性および構造安定性に改善の余地がある。
【0005】
そこで、本開示は、耐衝撃性に優れ、構造安定性の高い電池を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様における電池は、電極層、及び前記電極層の対極として機能する対極層、を含む単電池と、前記電極層を基準として前記対極層とは反対側に位置し、前記電極層と電気的に接続される第1集電体と、前記単電池の側面に接する第1固体電解質層と、硫化銅を含む第1硫化銅層と、を備える。前記第1集電体は、銅を含む。前記第1硫化銅層は、前記第1集電体と前記第1固体電解質層とに接して、前記第1集電体と前記第1固体電解質層との間に位置する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、耐衝撃性に優れ、構造安定性の高い電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施の形態1における電池の概略構成を示す図である。
図2図2は、実施の形態2における電池の概略構成を示す図である。
図3図3は、実施の形態3における電池の概略構成を示す図である。
図4図4は、実施の形態4における電池の概略構成を示す図である。
図5図5は、実施の形態5における電池の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本開示の概要)
本開示の一態様における電池は、電極層、及び前記電極層の対極として機能する対極層、を含む単電池と、前記電極層を基準として前記対極層とは反対側に位置し、前記電極層と電気的に接続される第1集電体と、前記単電池の側面に接する第1固体電解質層と、硫化銅を含む第1硫化銅層と、を備える。前記第1集電体は、銅を含む。前記第1硫化銅層は、前記第1集電体と前記第1固体電解質層とに接して、前記第1集電体と前記第1固体電解質層との間に位置する。
【0010】
これにより、耐衝撃性に優れ、構造安定性の高い電池が実現される。具体的には、第1硫化銅層が、第1集電体と第1固体電解質層とを強く密着させて結合させる層として機能する。このため、電池の外周部が起点となって単電池である発電要素へと広がる層間の剥離を抑制することができる。例えば、電池の製造プロセス中、または、実際の使用時において、耐衝撃性に優れ、構造欠陥の十分に抑制された信頼性の高い電池が実現される。
【0011】
また、例えば、前記第1固体電解質層は、硫黄を含んでもよい。
【0012】
これにより、第1硫化銅層と第1固体電解質層との密着性が高められるので、第1硫化銅層を介して第1固体電解質層と第1集電体とをより強く密着させることができる。したがって、電池の構造安定性を高めることができる。
【0013】
また、例えば、前記第1固体電解質層は、焼結組織を含んでもよい。
【0014】
これにより、第1固体電解質層の強度が高まり、第1硫化銅層と第1固体電解質層との密着性が高められる。したがって、第1硫化銅層を介して第1固体電解質層と第1集電体とをより強く密着させることができる。
【0015】
また、例えば、前記単電池は、前記電極層と前記対極層との間に位置する第2固体電解質層をさらに含み、前記第1固体電解質層は、前記第2固体電解質層に接してもよい。
【0016】
これにより、第1固体電解質層が設けられていることにより、第2固体電解質層の端部の崩壊を抑制することができる。したがって、電池の構造安定性を更に高めることができる。また、第1固体電解質層の一部を、電極層と対極層との間のイオン伝導に寄与させることができる。
【0017】
また、例えば、前記第1固体電解質層と前記第2固体電解質層とは、同じ固体電解質材料を含んでもよい。
【0018】
これにより、第1固体電解質層が、第2固体電解質層の端部の崩壊をより強く抑制することができる。また、第1固体電解質層の一部を、電極層と対極層との間のイオン伝導に、より大きく寄与させることができる。
【0019】
また、例えば、本開示の一態様における電池は、硫化銅を含む第2硫化銅層を、さらに備え、前記第2硫化銅層は、前記第1集電体と前記電極層とに接して、前記第1集電体と前記電極層との間に位置してもよい。
【0020】
これにより、第2硫化銅層が、電極層と第1集電体とを強く密着させて結合させる層として機能する。したがって、電池の構造安定性をより高めることができる。
【0021】
また、例えば、前記電極層は、硫黄を含んでもよい。
【0022】
これにより、第2硫化銅層と電極層との密着性が高められるので、第2硫化銅層を介して電極層と第1集電体とをより強く密着させることができる。
【0023】
また、例えば、前記第1硫化銅層の厚さは、前記第2硫化銅層の厚さよりも大きくてもよい。
【0024】
これにより、第2硫化銅層の厚みが第1硫化銅層の厚みよりも小さいので、衝撃または温熱ストレスによる、単電池である発電要素が設けられた領域と第1固体電解質層が設けられた領域との境界部での応力の集中を緩和することができる。これにより、第1硫化銅層と第2硫化銅層との接続部が破断されにくくなるので、電池の構造安定性を高めることができる。
【0025】
また、例えば、本開示の一態様における電池は、前記対極層を基準として前記電極層とは反対側に位置し、前記対極層と電気的に接続される第2集電体と、硫化銅を含む第3硫化銅層と、をさらに備え、前記第2集電体は、銅を含み、前記第3硫化銅層は、前記第2集電体と前記第1固体電解質層とに接して、前記第2集電体と前記第1固体電解質層との間に位置してもよい。
【0026】
これにより、第3硫化銅層が、第2集電体と第1固体電解質層とを強く密着させて結合させる層として機能する。このため、電池の外周部が起点となって単電池である発電要素へと広がる層間の剥離を抑制することができる。例えば、電池の製造プロセス中、または、実際の使用時において、耐衝撃性に優れ、構造欠陥の十分に抑制された信頼性の高い電池が得られる。
【0027】
また、例えば、本開示の一態様における電池は、硫化銅を含む第4硫化銅層を、さらに備え、前記第4硫化銅層は、前記第2集電体と前記対極層とに接して、前記第2集電体と前記対極層との間に位置してもよい。
【0028】
これにより、第4硫化銅層が、対極層と第2集電体とを強く密着させて結合させる層として機能する。したがって、電池の構造安定性をより一層高めることができる。
【0029】
また、例えば、前記対極層は、硫黄を含んでもよい。
【0030】
これにより、第4硫化銅層と対極層との密着性が高められるので、第4硫化銅層を介して対極層と第2集電体とをより強く密着させることができる。
【0031】
また、例えば、前記第3硫化銅層の厚さは、前記第4硫化銅層の厚さよりも大きくてもよい。
【0032】
これにより、第4硫化銅層の厚みが第3硫化銅層の厚みよりも小さいので、衝撃または温熱ストレスによる、単電池である発電要素が設けられた領域と第1固体電解質層が設けられた領域との境界部での応力の集中を緩和することができる。これにより、第3硫化銅層と第4硫化銅層との接続部が破断されにくくなるので、電池の構造安定性を高めることができる。
【0033】
以下、実施の形態が、図面を参照しながら説明される。
【0034】
なお、以下で説明される実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0035】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、例えば、各図において縮尺などは必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化する。
【0036】
また、本明細書において、平行などの要素間の関係性を示す用語、および、矩形などの要素の形状を示す用語、並びに、数値範囲は、厳格な意味のみを表す表現ではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度の差異をも含むことを意味する表現である。
【0037】
また、本明細書において、「上方」および「下方」という用語は、絶対的な空間認識における上方向(鉛直上方)および下方向(鉛直下方)を指すものではなく、積層構成における積層順を基に相対的な位置関係により規定される用語として用いる。また、「上方」および「下方」という用語は、2つの構成要素が互いに間隔を空けて配置されて2つの構成要素の間に別の構成要素が存在する場合のみならず、2つの構成要素が互いに密着して配置されて2つの構成要素が接する場合にも適用される。
【0038】
また、本明細書および図面において、x軸、y軸およびz軸は、三次元直交座標系の三軸を示している。各実施の形態では、z軸方向を電池の厚み方向としている。また、本明細書において、「厚み方向」とは、電極層が形成された電極集電体の面、または、対極層が形成された対極集電体の面に垂直な方向のことである。また、本明細書において、「平面視」とは、電池の厚み方向に沿って電池を見た場合を意味する。
【0039】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1における電池1000の概略構成を示す図である。具体的には、図1の(a)は、電池1000の断面図であり、図1の(b)の一点鎖線で示される位置の断面を表している。図1の(b)は、電池1000の上面透視図である。図1の(b)では、電池1000を上方から見た場合における電池1000の各構成要素の平面視形状を実線または破線で表している。
【0040】
図1に示されるように、実施の形態1における電池1000は、発電要素100と、第1集電体200と、第2集電体300と、第1固体電解質層400と、第1硫化銅層500とを備える。
【0041】
発電要素100は、例えば、充電および放電の機能を有する発電部(または蓄電部)である。発電要素100は、例えば二次電池である。発電要素100は、第1集電体200と第2集電体300との間に設けられている。
【0042】
発電要素100は、図1の(a)に示されるように、電極層110と、対極層120とを備える。また、発電要素100は、電極層110と対極層120との間に位置する第2固体電解質層130を備える。電極層110と、第2固体電解質層130と、対極層120とは、電池1000の厚み方向(z軸方向)に沿ってこの順で積層されている。発電要素100は、例えば、全固体電池である。
【0043】
実施の形態1における発電要素100では、電極層110が電池の正極であり、対極層120が電池の負極である。この場合、第1集電体200が正極集電体であり、第2集電体300が負極集電体である。
【0044】
電極層110は、電極材料として第1活物質を含む第1活物質層である。電極層110は、第1集電体200に接して形成されている。
【0045】
実施の形態1では、電極層110が含む第1活物質は、正極活物質(正極材料)である。正極活物質としては、例えば、Liイオン、Mgイオンなどの金属イオンを離脱および挿入することができる各種材料が用いられうる。正極活物質の材料としては、公知の正極活物質が用いられうる。正極活物質としては、例えば、リチウムイオンを含有する遷移金属酸化物が用いられる。具体的には、遷移金属酸化物としては、例えば、リチウム・ニッケル複合酸化物(LiNi1−x)が用いられる。ここで、Mは、Co、Al、Mn、V、Cr、Mg、Ca、Ti、Zr、Nb、Mo、Wのうち少なくとも1つの元素である。また、xは、0以上1以下の数である。あるいは、遷移金属酸化物としては、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMn)などの層状酸化物、または、オリビン構造を持つリン酸鉄リチウム(LiFePO)、もしくは、スピネル構造を持つマンガン酸リチウム(LiMn、LiMnO、LiMnO)などであってもよい。また、正極活物質として、硫黄(S)、硫化リチウム(LiS)などの硫化物を用いることもできる。また、正極活物質粒子に、ニオブ酸リチウム(LiNbO)などをコーティング、または、添加したものを正極活物質として用いてもよい。
【0046】
なお、電極層110は、正極活物質と他の添加材料との合剤から構成される合剤層であってもよい。その添加材料としては、例えば、無機系固体電解質などの固体電解質、アセチレンブラックなどの導電助剤、または、ポリエチレンオキシドもしくはポリフッ化ビニリデンなどの結着用バインダーなどが用いられうる。正極層である電極層110に固体電解質などを所定の割合で混合することで、正極層のイオン導電性を向上させることができる。通常は、エネルギー密度の観点から主成分を活物質とする。
【0047】
電極層110は、第1集電体200の主面上に、例えば矩形などの所定形状で形成されている。電極層110は、例えば厚みが均一の平板状に形成されている。電極層110の厚みは、例えば、5μm以上300μm以下であるが、これに限らない。
【0048】
対極層120は、対極材料として第2活物質を含む第2活物質層である。対極層120は、電極層110の対極である。対極層120は、第2集電体300に接して形成されている。
【0049】
実施の形態1では、対極層120が含む第2活物質は、負極活物質(負極材料)である。負極活物質としては、例えば、Liイオン、Mgイオンなどの金属イオンを離脱および挿入することができる各種材料が用いられうる。負極活物質の材料としては、公知の負極活物質が用いられうる。負極活物質としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、黒鉛炭素繊維もしくは樹脂焼成炭素などの炭素材料、または、固体電解質と合材化される合金系材料などが用いられうる。合金系材料としては、例えば、LiAl、LiZn、LiBi、LiCd、LiSb、LiSi、Li4.4Pb、Li4.4Sn、Li0.17C、LiCなどのリチウム合金、チタン酸リチウム(LiTi12)、または、金属(Znなど)の酸化物などが用いられうる。
【0050】
なお、対極層120は、負極活物質と他の添加材料との合剤から構成される合剤層であってもよい。その添加材料としては、例えば、無機系固体電解質などの固体電解質、アセチレンブラックなどの導電助剤、または、ポリエチレンオキシドもしくはポリフッ化ビニリデンなどの結着用バインダーなどが用いられうる。負極層である対極層120に固体電解質などを所定の割合で混合することで、負極層のイオン導電性を向上させることができる。通常は、エネルギー密度の観点から主成分を活物質とする。
【0051】
対極層120は、第2集電体300の主面上に、例えば矩形などの所定形状で形成されている。対極層120は、例えば厚みが均一の平板状に形成されている。対極層120の厚みは、例えば、5μm以上300μm以下であるが、これに限らない。
【0052】
第2固体電解質層130は、電極層110と対極層120とに接して、電極層110と対極層120との間に位置する。
【0053】
第2固体電解質層130(および、後述される第1固体電解質層400)としては、一般に公知の電池用の電解質が用いられる。例えば、電池用の電解質は、Liイオン、Mgイオンなどの金属イオンを伝導する固体電解質である。
【0054】
無機系固体電解質としては、硫化物固体電解質、または、酸化物固体電解質などが用いられうる。固体電解質としては、例えば、リチウム含有硫化物が用いられる。リチウム含有硫化物は、例えば、LiS−P系、LiS−SiS系、LiS−B系、LiS−GeS系、LiS−SiS−LiI系、LiS−SiS−LiPO系、LiS−Ge系、LiS−GeS−P系、または、LiS−GeS−ZnS系などである。あるいは、固体電解質としては、例えば、Li−SiO、Li−SiO−Pなどのリチウム含有金属酸化物を用いてもよい。また、固体電解質としては、例えば、LIPONと称される、例えばLi2.9PO3.30.46などのリチウム含有金属窒化物、リン酸リチウム(LiPO)、または、リチウムチタン酸化物などのリチウム含有遷移金属酸化物などが用いられてもよい。固体電解質としては、これらの材料の1種のみが用いられてもよく、これらの材料のうちの2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0055】
なお、第2固体電解質層130および第1固体電解質層400は、固体電解質材料に加えて、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリフッ化ビニリデンなどの結着用バインダーなどを含有してもよい。
【0056】
第2固体電解質層130は、例えば、厚みが均一の平板状に形成されている。第2固体電解質層130の厚みは、例えば、5μm以上150μm以下であるが、これに限らない。
【0057】
本実施の形態では、図1の(b)に示されるように、平面視において、発電要素100を構成する電極層110、対極層120および第2固体電解質層130の大きさおよび形状が同じである。例えば、電極層110の側面と、対極層120の側面と、第2固体電解質層130の側面とは、面一になっている。
【0058】
第1集電体200は、電極層110を基準として対極層120とは反対側に位置し、電極層110と電気的に接続される。例えば、第1集電体200は、電極層110と直接接している。
【0059】
第1集電体200は、導電性を有する部材である。具体的には、第1集電体200は、銅を含む。例えば、第1集電体200は、銅(Cu)を主成分とする基材が用いられる。具体的には、第1集電体200としては、Cuだけでなく、Ni、Fe、Crなどを含むCu系基材を使用することができる。
【0060】
第1集電体200は、例えば、厚みが均一の平板である。図1の(b)に示されるように、平面視において、第1集電体200は、電極層110より大きい。具体的には、平面視において、電極層110が第1集電体200の内部に位置している。第1集電体200の平面視形状は、例えば矩形であるが、これに限られない。
【0061】
第2集電体300は、対極層120を基準として電極層110とは反対側に位置し、対極層120と電気的に接続される。例えば、第2集電体300は、対極層120と直接接している。
【0062】
第2集電体300は、導電性を有する部材である。具体的には、第2集電体300は、銅を含む。例えば、第2集電体300を構成する材料は、第1集電体200を構成する材料と同じでもよく、異なってもよい。
【0063】
第2集電体300は、例えば、厚みが均一の平板である。図1の(b)に示されるように、平面視において、第2集電体300は、対極層120より大きい。具体的には、平面視において、対極層120が第2集電体300の内部に位置している。第2集電体300の平面視形状は、例えば矩形であるが、これに限られない。
【0064】
第1固体電解質層400は、発電要素100の側面に接する。具体的には、第1固体電解質層400は、第2固体電解質層130に接する。また、実施の形態1では、第1固体電解質層400は、発電要素100の電極層110および対極層120の各々の側面に接する。
【0065】
第1固体電解質層400は、平面視において、発電要素100に隣接している。具体的には、第1固体電解質層400は、発電要素100の周囲を全周に亘って囲んで設けられている。例えば、図1の(b)に示されるように、発電要素100の平面視形状が矩形であり、第1固体電解質層400は、当該矩形の各辺に沿った矩形環状に設けられている。第1固体電解質層400は、発電要素100の側面に対して全周に亘って接している。例えば、第1固体電解質層400と発電要素100との間に空隙が存在しない。
【0066】
第1固体電解質層400は、第2集電体300に接する。具体的には、第1固体電解質層400は、第2集電体300の、対極層120が設けられていない部分に接する。
【0067】
第1固体電解質層400と第1集電体200との間には、第1硫化銅層500が設けられている。第1硫化銅層500の平面視形状および大きさはそれぞれ、第1固体電解質層400の平面視形状および大きさと同じである。なお、第1固体電解質層400の一部は、第1集電体200に接していてもよい。
【0068】
第1固体電解質層400としては、上述した通り、一般に公知の電池用の電解質が用いられる。このとき、第1固体電解質層400と第2固体電解質層130とは、同じ固体電解質材料を含んでもよい。あるいは、第1固体電解質層400を構成する材料と第2固体電解質層130を構成する材料とは異なっていてもよい。
【0069】
例えば、第1固体電解質層400は、硫黄を含んでもよい。また、例えば、第1固体電解質層400は、焼結組織を含んでもよい。なお、上述した第2固体電解質層130も焼結組織を含んでもよい。具体的には、固体電解質として、加圧プロセスによって高い導電性を発現する、粒子界面の結合が進行して焼結しやすい材料を使用してもよい。具体的には、焼結性が向上する微細粒子、表面積の大きい材料、加圧時に界面面積が広がりやすい材料、ヤング率の小さい材料などが用いられる。
【0070】
なお、第1固体電解質層400または第2固体電解質層130に含まれる焼結組織は、層内の一部だけでもよい。なお、焼結組織の有無は、例えば第1固体電解質層400または第2固体電解質層130の断面のSEM観察などによって判断できる。具体的には、粒子が個別に独立している圧粉組織と、粒子界面の接合が進行して界面構造が消失し、または粒成長した焼結組織とは、千倍程度の倍率による断面の組織観察から容易に判断することができる。また、構造強度的にも、マイクロビッカースなどの測定により、焼結の進行を確認することができる。
【0071】
第1硫化銅層500は、硫化銅を含む層である。例えば、第1硫化銅層500は、第1集電体200上に形成され、CuSからCuSの組成比を主成分とする層が用いられる。具体的には、第1硫化銅層500は、主にCuSが用いられるが、CuSまたはこれらの混合物を用いることもできる。
【0072】
第1硫化銅層500は、第1集電体200と第1固体電解質層400とに接して、第1集電体200と第1固体電解質層400との間に位置する。例えば、第1硫化銅層500の平面視形状は、第1固体電解質層400の平面視形状と同じである。第1硫化銅層500は、例えば、厚みが均一で、平面視形状が矩形環状の平板状に構成されている。第1硫化銅層500の厚みは、例えば、電極層110の厚みより小さい。なお、第1硫化銅層500の厚みは、例えば0.01μm以上5μm以下であるが、これに限らない。
【0073】
なお、第1硫化銅層500の一部は、第1集電体200に埋没していてもよい。これにより、第1硫化銅層500と第1集電体200との界面の密着性を向上させることができる。
【0074】
第1集電体200に埋没した第1硫化銅層500の作製方法として、例えば、第1固体電解質層400に硫化物系材料を使用し、電池を積層一体化した後の熱処理によって形成することができる。固体電解質に含有される硫黄成分が、集電体成分の銅と反応して硫化銅を生成し、第1集電体200と第1固体電解質層400の各々へと拡散して形成される。なお、熱処理過程のなかで、周囲の構成材料成分を一部含んで生成された硫化銅層が形成されてもよい。
【0075】
以上の構成によれば、耐衝撃性に優れ、構造安定性の高い電池を実現できる。
【0076】
一般的に、全固体電池の層間剥離の主な要因は、セル外周部からの剥離が起点となって発電要素部へと進展して電池特性を悪化させるものが多い。このため、耐衝撃性または熱衝撃性の向上など、実用上の高信頼性化には、この外周部の密着性は極めて重要となる。特に、全固体電池は、加圧による圧粉プロセスで作製されるものが多い。これに対して、本開示の一態様に係る電池の密着性の向上効果は、このタイプの電池で大きな作用が発揮される。
【0077】
製造過程のなかで、構成材料の中でも固体電解質だけは一般に加圧焼結が進み、電極層および対極層と比較して強固な微細組織を構成する。これに対して、電極層110および対極層120を構成する正極活物質層および負極活物質層は、圧粉状態を維持した主成分のマトリックス組織であり、焼結した固体電解質層とは構造安定性が異なる。このため、第1硫化銅層500が形成されたときの第1集電体200に対する接合強度は、粉体間が崩落しやすい電極層110と第1集電体200との界面の場合より、焼結組織を有する第1固体電解質層400と第1集電体200との界面で大きな効果が得られる。
【0078】
また、第1硫化銅層500が設けられた領域、すなわち、発電要素100の外側の領域は、電池特性へ与える影響が小さい。このため、密着性を十分に確保できるように、第1硫化銅層500の厚み、濃度、または、形成状態を広範囲で調整することができる。
【0079】
このように、発電要素100の外側に位置する第1硫化銅層500が第1集電体200と第1固体電解質層400とを強く密着結合させる層として作用する。この構成により、電池1000の外周部が起点となって発電要素100へと広がる層間剥離を抑制することができる。例えば、電池の製造プロセス中、または、実際の使用時において、耐衝撃性に優れ、構造欠陥の十分に抑制された信頼性の高い電池が実現される。以上の作用効果により、層間剥離を抑制することができるので、耐衝撃性に優れ、信頼性が高い電池1000が得られる。
【0080】
なお、第1硫化銅層500が設けられていない場合、第1集電体200と第1固体電解質層400との接合は、相互のアンカー効果だけとなる。このため、積層後または組立工程で剥離が発生しやすく、実際の使用時での温度および衝撃に対する安定性が不十分となる。この対処策として、例えば、全固体電池を加圧拘束して用いることが考えられる。しかしながら、その拘束機構を備えることによる電池の大型化、および、電池の特性の不安定化が課題になっている。特性の不安定化の主な原因は、電池の構造安定性が不十分なためと考えられる。これらに対しても、本実施の形態における電池1000によれば、拘束機構を要さず、かつ、電池自体の構造安定性が高くなるので、本実施の形態における電池1000は有用である。
【0081】
なお、詳細については実施の形態2で説明するが、電極層110と第1集電体200との間に第2硫化銅層600を形成させて密着性を向上させることもできる。この場合、例えば0.05Cなどの低レートの充放電特性の電池では、有用である。
【0082】
しかしながら、第2硫化銅層600を備える構成は、発電要素100に抵抗を付加してしまう構成であるため、大電力特性、すなわち、例えば1C以上の高レートな電池であるほど、特性悪化が顕在化する。
【0083】
これに対して、本実施の形態の主眼は、第1集電体200に対する密着性を向上させる対象部位として、脆い圧粉組織を有する電極層110ではなく、焼結化した構造的に安定な組織を有する第1固体電解質層400との界面に沿って硫化銅層を形成することにある。通常、圧粉プロセスで作製される全固体電池は、作製過程のプレス加圧下で焼結が進行し、高い導電性を発現する固体電解質が用いられている。この加圧焼結された組織を有する第1固体電解質層400と第1硫化銅層500との界面を介して接合させることにより、より強く結合して高い密着性が得られる。この密着性が高まる領域を、発電要素100の外周領域に設けて位置させることにより、電池特性を損なうことなく、耐衝撃性かつ特性に優れた電池1000を提供できることとなる。
【0084】
以上により、本実施の形態の構成によれば、高レートの電池特性への影響が十分に抑制され、積層構造の層間密着性を向上させることができる。これにより、高い信頼性の電池を提供することができる。
【0085】
(実施の形態2)
以下、実施の形態2が説明される。なお、以下では、上述の実施の形態1との相違点が中心に説明され、実施の形態1との共通点に関する説明は、適宜省略または簡略化される。
【0086】
図2は、実施の形態2における電池1100の概略構成を示す図である。具体的には、図2の(a)は、電池1100の断面図であり、図2の(b)の一点鎖線で示される位置の断面を表している。図2の(b)は、電池1100の上面透視図である。図2の(b)では、電池1100を上方から見た場合における電池1100の各構成要素の平面視形状を実線または破線で表している。
【0087】
図2に示されるように、実施の形態2における電池1100は、実施の形態1における電池1000の構成に加えて、第2硫化銅層600をさらに備える。
【0088】
第2硫化銅層600は、硫化銅を含む層である。第2硫化銅層600を構成する材料は、例えば、第1硫化銅層500を構成する材料と、同じであってもよく、異なっていてもよい。例えば、第2硫化銅層600は、CuSからCuSの組成比を主成分とする層である。第2硫化銅層600は、第1硫化銅層500と同じ組成比を有してもよい。
【0089】
第2硫化銅層600は、第1集電体200と電極層110とに接して、第1集電体200と電極層110との間に位置する。例えば、第2硫化銅層600の平面視形状は、電極層110の平面視形状と同じである。第2硫化銅層600は、例えば、厚みが均一で、平面視形状が矩形の平板状に構成されている。第2硫化銅層600の厚みは、第1硫化銅層500の厚みより小さい。第2硫化銅層600の厚みは、例えば0.01μm以上5μm以下であるが、これに限らない。
【0090】
第2硫化銅層600の一部は、第1集電体200に埋没していてもよい。これにより、第2硫化銅層600と第1集電体200との界面の密着性を向上させることができる。
【0091】
ところで、電極層110または対極層120である正極活物質層または負極活物質層と集電体との間に形成した硫化銅層は、耐衝撃性の点で、密着性が不十分であるため、さらなる改善要望がある。この密着性が不十分な原因は、正極活物質層または負極活物質層が圧粉体組織を主成分したものであり、粉体間が崩落しやすい組織であるためと考えられる。
【0092】
これに対して、本実施の形態では、第1硫化銅層500と第2硫化銅層600とが接している。つまり、第1硫化銅層500と第2硫化銅層600とは連続して第1集電体200の主面を覆っている。例えば、第1集電体200の主面の全体が、第1硫化銅層500および第2硫化銅層600によって覆われている。
【0093】
以上の構成によれば、硫化銅層が、焼結組織の第1固体電解質層400の界面から電極層110の界面へと連続的に延長形成されることにより、崩落しやすい圧粉組織部位における界面密着領域の耐衝撃性を補完的に高められる作用が得られる。第2硫化銅層600は低抵抗な良導体であるため、第2硫化銅層600を設けても低レートの充放電特性では、その影響はほとんど顕在化しない。このため、上記の構成により、低レート用途の電池1100の耐衝撃性をより強化することができる。
【0094】
本実施の形態では、電極層110は、硫黄を含んでもよい。これにより、第2硫化銅層600と電極層110との密着性を高めることができる。
【0095】
(実施の形態3)
以下、実施の形態3が説明される。なお、以下では、上述の実施の形態1または2との相違点が中心に説明され、実施の形態1または2との共通点に関する説明は、適宜省略または簡略化される。
【0096】
図3は、実施の形態3における電池1200の概略構成を示す図である。具体的には、図3の(a)は、電池1200の断面図であり、図3の(b)の一点鎖線で示される位置の断面を表している。図3の(b)は、電池1200の上面透視図である。図3の(b)では、電池1200を上方から見た場合における電池1200の各構成要素の平面視形状を実線または破線で表している。
【0097】
図3に示されるように、実施の形態3における電池1200は、実施の形態1における電池1000の構成に加えて、第3硫化銅層700をさらに備える。
【0098】
第3硫化銅層700は、硫化銅を含む層である。第3硫化銅層700を構成する材料は、例えば、第1硫化銅層500を構成する材料と、同じであってもよく、異なっていてもよい。例えば、第3硫化銅層700は、CuSからCuSの組成比を主成分とする層である。第3硫化銅層700は、第1硫化銅層500と同じ組成比を有してもよい。
【0099】
第3硫化銅層700は、第2集電体300と第1固体電解質層400とに接して、第2集電体300と第1固体電解質層400との間に位置する。例えば、第3硫化銅層700の平面視形状は、第1固体電解質層400または第1硫化銅層500の平面視形状と同じである。第3硫化銅層700は、例えば、厚みが均一で、平面視形状が矩形環状の平板状に構成されている。第3硫化銅層700の厚みは、例えば0.01μm以上5μm以下であるが、これに限らない。
【0100】
第3硫化銅層700の一部は、第2集電体300に埋没していてもよい。これにより、第3硫化銅層700と第2集電体300との界面の密着性を向上させることができる。
【0101】
以上の構成によれば、より耐衝撃性に優れ、構造安定性の高い電池1200を実現することができる。
【0102】
つまり、第3硫化銅層700が第2集電体300と第1固体電解質層400とを強く密着結合させる層として機能する。このため、電池1200の外周部が起点となって発電要素100へと広がる層間剥離を抑制することができる。例えば、電池の製造プロセス中、または、実際の使用時において、耐衝撃性に優れ、構造欠陥の十分に抑制された信頼性の高い電池が得られる。
【0103】
本実施の形態では、第1固体電解質層400と第1集電体200および第2集電体300の各々との密着性が高くなる。したがって、本実施の形態によれば、高レートの電池特性への影響が十分に抑制され、積層構造の層間密着性を向上させることができる。これにより、高い信頼性の電池を提供することができる。
【0104】
(実施の形態4)
以下、実施の形態4が説明される。なお、以下では、上述の実施の形態1から3のいずれかとの相違点が中心に説明され、実施の形態1から3のいずれかとの共通点に関する説明は、適宜省略または簡略化される。
【0105】
図4は、実施の形態4における電池1300の概略構成を示す図である。具体的には、図4の(a)は、電池1300の断面図であり、図4の(b)の一点鎖線で示される位置の断面を表している。図4の(b)は、電池1300の上面透視図である。図4の(b)では、電池1300を上方から見た場合における電池1300の各構成要素の平面視形状を実線または破線で表している。
【0106】
図4に示されるように、実施の形態4における電池1300は、実施の形態3における電池1200の構成に加えて、第4硫化銅層800をさらに備える。
【0107】
第4硫化銅層800は、硫化銅を含む層である。第4硫化銅層800を構成する材料は、第1硫化銅層500を構成する材料と、同じであってもよく、異なっていてもよい。例えば、第4硫化銅層800は、CuSからCuSの組成比を主成分とする層である。第4硫化銅層800は、第1硫化銅層500と同じ組成比を有してもよい。
【0108】
第4硫化銅層800は、第2集電体300と対極層120とに接して、第2集電体300と対極層120との間に位置する。例えば、第4硫化銅層800の平面視形状は、対極層120の平面視形状と同じである。第4硫化銅層800は、例えば、厚みが均一で、平面視形状が矩形の平板状に構成されている。第4硫化銅層800の厚みは、第3硫化銅層700の厚みより小さい。第4硫化銅層800の厚みは、例えば0.01μm以上5μm以下であるが、これに限らない。
【0109】
第4硫化銅層800の一部は、第2集電体300に埋没していてもよい。これにより、第4硫化銅層800と第2集電体300との界面の密着性を向上させることができる。
【0110】
本実施の形態では、第3硫化銅層700と第4硫化銅層800とは接している。つまり、第3硫化銅層700と第4硫化銅層800とは連続して第2集電体300の主面を覆っている。例えば、第2集電体300の主面の全体が、第3硫化銅層700および第4硫化銅層800によって覆われている。
【0111】
以上の構成によれば、硫化銅層が、焼結組織の第1固体電解質層400の界面から対極層120の界面へと連続的に延長形成されることにより、崩落しやすい圧粉組織部位における界面密着領域の耐衝撃性を補完的に高められる作用が得られる。第4硫化銅層800は低抵抗な良導体であるため、第4硫化銅層800を設けても低レートの充放電特性では、その影響はほとんど顕在化しない。このため、上記の構成により、低レート用途の電池1300の耐衝撃性をより強化することができる。
【0112】
本実施の形態では、対極層120は、硫黄を含んでもよい。これにより、第4硫化銅層800と対極層120との密着性を高めることができる。
【0113】
(実施の形態5)
以下、実施の形態5が説明される。なお、以下では、上述の実施の形態1から4のいずれかとの相違点が中心に説明され、実施の形態1から4のいずれかとの共通点に関する説明は、適宜省略または簡略化される。
【0114】
図5は、実施の形態5における電池1400の概略構成を示す図である。具体的には、図5の(a)は、電池1400の断面図であり、図5の(b)の一点鎖線で示される位置の断面を表している。図5の(b)は、電池1400の上面透視図である。図5の(b)では、電池1400を上方から見た場合における電池1400の各構成要素の平面視形状を実線または破線で表している。
【0115】
図5に示されるように、本実施の形態における電池1400は、第1硫化銅層500、第2硫化銅層600、第3硫化銅層700および第4硫化銅層800を全て備える構成である。
【0116】
以上の構成によれば、より耐衝撃性に優れ、構造安定性の高い電池1400を実現できる。このように、上述の実施の形態1から4のそれぞれに記載の構成は、適宜、互いに組み合わされてもよい。
【0117】
[電池の製造方法]
以下に、実施の形態1から4における電池の製造方法の一例が、説明される。
【0118】
まず、電極層110となる第1活物質層と、対極層120となる第2活物質層と、第1固体電解質層400との各々の印刷形成に用いる各ペーストを作成する。電極層110と対極層120との合剤成分に用いる固体電解質原料として、平均粒子径が約10μmであり、三斜晶系結晶を主成分とするLiS−P系硫化物のガラス粉末が準備される。この圧粉体としては、高いイオン導電性(例えば、2×10−3S/cm以上3×10−3S/cm以下)を有するものが使用されうる。
【0119】
第1固体電解質層400および第2固体電解質層130の形成用として、上述のガラス粉末に有機バインダーおよび溶剤を加えて混合かつ分散させた固体電解質ペーストを作製する。正極活物質として、例えば平均粒子径が約5μmであり、層状構造のLi・Ni・Co・Al複合酸化物(LiNi0.8Co0.15Al0.05)の粉末が用いられる。この正極活物質と上述のガラス粉末とを含有させた合剤からなる正極層となる第1活物質層ペーストが、同様に作製される。また、負極活物質として、平均粒子径が約10μmである天然黒鉛の粉末が用いられる。この負極活物質と上述のガラス粉末とを含有させた合剤からなる負極層となる第2活物質層ペーストが、同様に作製される。
【0120】
次いで、正極集電体および負極集電体として用いられる、例えば約30μmの厚みの銅箔が準備される。スクリーン印刷法により、正極層用ペーストと負極層用ペーストとが、それぞれの銅箔の片方の表面上に、それぞれ所定形状で、約50μm以上100μm以下の厚みで、印刷される。これらは、80℃以上130℃以下で乾燥されることで、30μm以上60μm以下の厚みになる。これにより、正極層となる印刷体(具体的には、電極層110)と負極層となる印刷体(具体的には、対極層120)とがそれぞれ形成された集電体(銅箔)が得られる。すなわち、電極層110が設けられた第1集電体200と、対極層120が設けられた第2集電体300とが得られる。
【0121】
次いで、正極層となる印刷体と負極層となる印刷体との各々の面に、メタルマスクを用いて、上述の固体電解質ペーストが、約100μmの厚みで印刷される。固体電解質ペーストは、電極層110上、および、第1集電体200の、電極層110が設けられていない面上に設けられる。同様に、固体電解質ペーストは、対極層120上、および、第2集電体300の、対極層120が設けられていない面上に設けられる。その後、これらは、80℃以上130℃以下で乾燥される。
【0122】
次いで、熱膨張樹脂層用ペーストを、固体電解質の印刷体を除く領域に、メタルマスクを用いて、それぞれ所定形状で、約100μm以上150μm以下の厚みで印刷される。これらは、80以上130℃以下で乾燥されることで、80以上120μm以下の厚みになり、正極層側と負極層側との各々の固体電解質の印刷体の厚みと、それぞれ同等の厚みとして形成される。
【0123】
次いで、正極層側の固体電解質層と負極層側の固体電解質層とが、互いに対向するようにして、積層され、矩形外形のダイス型に収められる。次いで、加圧金型パンチとの間に、弾性率5×10Pa程度の弾性体シート(70μm厚み)が挿入される。その後、これを圧力500MPaにて150℃に加温しながら、300秒間加圧する。これにより、電池1400が得られる。
【0124】
なお、第1硫化銅層500、第2硫化銅層600、第3硫化銅層700および第4硫化銅層800は、この加圧および加温プロセスのなかで析出して形成される。各硫化銅層は、集電体と接する材料の硫黄成分濃度に対応して析出する。したがって、固体電解質を合剤として部分的に含有する電極層または対極層との界面よりも、固体電解質層との界面において厚く、高濃度に析出することとなる。つまり、第1硫化銅層500および第3硫化銅層700の厚みは、第2硫化銅層600および第4硫化銅層800の厚みより大きくなる。
【0125】
硫化銅の生成は、固体電解質層の硫黄含有量、または、積層時の温度および時間で制御することができる。例えば、第2集電体300側の固体電解質層の硫黄を十分に少なくすることで、第3硫化銅層700が形成されなくすることができる。また、電極層110に含まれる硫黄を十分に少なくすることで、第2硫化銅層600が形成されなくすることができる。また、対極層120に含まれる硫黄を十分に少なくすることで、第4硫化銅層800が形成されなくすることができる。
【0126】
(他の実施の形態)
以上、1つまたは複数の態様における電池について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態に限定されるものではない。本開示の主旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を各実施の形態に施したもの、および、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の範囲内に含まれる。
【0127】
例えば、上記の実施の形態において、電極層110が電池の負極であり、対極層120が電池の正極であってもよい。つまり、第1集電体200が負極集電体であり、第2集電体300が正極集電体であってもよい。
【0128】
また、例えば、第1固体電解質層400および第2固体電解質層130はそれぞれ、硫黄を含んでいなくてもよい。第1固体電解質層400および第2固体電解質層130はそれぞれ、焼結組織を含んでいなくてもよい。
【0129】
また、例えば、電極層110および対極層120は、硫黄を含んでいなくてもよい。
【0130】
また、例えば、第1硫化銅層500の厚みと第2硫化銅層600の厚みとは等しくてもよい。第3硫化銅層700の厚みと第4硫化銅層800の厚みとは等しくてもよい。
【0131】
また、例えば、第1固体電解質層400および第2固体電解質層130はそれぞれ、複数の層に分かれていてもよい。具体的には、第1固体電解質層400は、電極層110側の電極側固体電解質層と、対極層120側の対極側固体電解質層とを含んでもよい。同様に、第2固体電解質層130は、電極層110側の電極側固体電解質層と、対極層120側の対極側固体電解質層とを含んでもよい。電極側固体電解質層と対極側固体電解質層とは、同じ材料で構成されていてもよく、異なる材料で構成されていてもよい。
【0132】
また、第1集電体200の端部、すなわち第1集電体200の側面が硫化銅により覆われていてもよい。また、第2集電体300の端部、すなわち第2集電体300の側面が硫化銅により覆われていてもよい。
【0133】
また、上記の各実施の形態は、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0134】
本開示の電池は、例えば、各種の電子機器または自動車などに用いられる二次電池などの電池として、利用されうる。
【符号の説明】
【0135】
100 発電要素
110 電極層
120 対極層
130 第2固体電解質層
200 第1集電体
300 第2集電体
400 第1固体電解質層
500 第1硫化銅層
600 第2硫化銅層
700 第3硫化銅層
800 第4硫化銅層
1000、1100、1200、1300、1400 電池
図1
図2
図3
図4
図5