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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-207941(P2019-207941A)
(43)【公開日】2019年12月5日
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/338 20060101AFI20191108BHJP
   H01L 29/778 20060101ALI20191108BHJP
   H01L 29/812 20060101ALI20191108BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20191108BHJP
   H01L 29/423 20060101ALI20191108BHJP
   H01L 29/49 20060101ALI20191108BHJP
   H01L 29/43 20060101ALI20191108BHJP
   H01L 21/283 20060101ALI20191108BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20191108BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20191108BHJP
【FI】
   H01L29/80 H
   H01L21/28 301R
   H01L29/58 G
   H01L29/60
   H01L29/62
   H01L21/283 C
   H01L29/78 301B
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-102437(P2018-102437)
(22)【出願日】2018年5月29日
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157901
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】蔵口 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】梶原 瑛祐
(72)【発明者】
【氏名】新留 彩
(72)【発明者】
【氏名】大野 浩志
(72)【発明者】
【氏名】加藤 大望
(72)【発明者】
【氏名】向井 章
【テーマコード(参考)】
4M104
5F102
5F140
【Fターム(参考)】
4M104AA04
4M104BB30
4M104BB31
4M104CC05
4M104EE03
4M104EE14
4M104EE17
4M104FF01
4M104FF06
4M104FF10
4M104FF13
4M104FF27
4M104GG08
4M104GG18
4M104HH20
5F102GB01
5F102GC01
5F102GD10
5F102GL04
5F102GM04
5F102GQ01
5F102GR04
5F102GR12
5F102GS01
5F102GS04
5F102GV06
5F102GV07
5F102GV08
5F140AA30
5F140BA09
5F140BB04
5F140BB06
5F140BB18
5F140BD05
5F140BD07
5F140BD09
5F140BF10
5F140BF43
5F140BJ05
5F140CC08
(57)【要約】
【課題】特性を向上できる半導体装置を提供する。
【解決手段】実施形態に係る半導体装置は、第1領域、第2領域、第1絶縁部、第1電極乃至第3電極を含む。第1領域はAlx1Ga1−x1N(0≦x1<1)を含む。第1領域は、第1部分領域と、第2部分領域と、それらの間の第3部分領域と、を含む。第2領域はAlx2Ga1−x2N(0<x2<1、x1<x2)を含む。第1絶縁部は、第1絶縁領域乃至第3絶縁領域を含む。第1絶縁領域は、第1方向において第3部分領域と重なる。第2絶縁領域及び第3絶縁領域は、第1方向において第1絶縁領域から離れている。第3電極は、第1導電部及び第2導電部を含む。第1導電部は、第2絶縁領域と第3絶縁領域との間に設けられている。第2導電部は、第1絶縁領域と第2絶縁領域との間、第1絶縁領域と第3絶縁領域との間、及び第1絶縁領域と第1導電部との間に設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Alx1Ga1−x1N(0≦x1<1)を含み、第1部分領域と、第2部分領域と、前記第1部分領域と前記第2部分領域との間の第3部分領域と、を含む第1領域と、
Alx2Ga1−x2N(0<x2<1、x1<x2)を含む第2領域であって、前記第1部分領域から前記第2部分領域への第2方向と交差する第1方向において前記第1部分領域と重なる第4部分領域と、前記第1方向において前記第2部分領域と重なる第5部分領域と、を含む前記第2領域と、
第1絶縁部であって、前記第1方向において前記第3部分領域と重なる第1絶縁領域と、前記第1方向において前記第1絶縁領域の一部から離れた第2絶縁領域と、前記第1方向において前記第1絶縁領域の別の一部から離れ前記第2方向において前記第2絶縁領域から離れた第3絶縁領域と、を含み、前記第1絶縁領域は、前記第2絶縁領域と前記第3部分領域との間及び前記第3絶縁領域と前記第3部分領域との間に設けられた、前記第1絶縁部と、
前記第4部分領域と電気的に接続された第1電極と、
前記第2方向において前記第1電極から離れ、前記第5部分領域と電気的に接続された第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に設けられた第3電極であって、前記第2絶縁領域と前記第3絶縁領域との間に設けられた第1導電部と、前記第1絶縁領域と前記第2絶縁領域との間、前記第1絶縁領域と前記第3絶縁領域との間、及び前記第1絶縁領域と前記第1導電部との間に設けられた第2導電部と、を含む、前記第3電極と、
を備えた半導体装置。
【請求項2】
第2絶縁部と、
第3絶縁部と、
をさらに備え、
前記第4部分領域は、前記第1方向において、前記第1部分領域と前記第2絶縁部との間に設けられ、
前記第5部分領域は、前記第1方向において、前記第2部分領域と前記第3絶縁部との間に設けられ、
前記第2導電部は、前記第2方向において、前記第2絶縁部と前記第2絶縁領域との間に設けられた第1導電領域を含む、請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2絶縁部は、第1面及び第2面を有し、
前記第1面及び前記第2面は、前記第1方向と交差し、前記第2方向に沿い、
前記第2面は、前記第1面と前記第4部分領域との間に設けられ、
前記第1面から前記第1導電部への方向は、前記第2方向に沿う請求項2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1導電領域は、前記第1方向において、前記第1面と重ならない請求項3記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1導電領域の前記第1方向における位置は、前記第1面の前記第1方向における位置と、前記第1領域の前記第1方向における位置と、の間にある請求項3記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第2導電部は、第2導電領域をさらに含み、
前記第2導電領域は、前記第2方向において、前記第3絶縁部と前記第3絶縁領域との間に設けられ、
前記第3絶縁部は、第3面及び第4面を有し、
前記第3面及び前記第4面は、前記第1方向と交差し、前記第2方向に沿い、
前記第4面は、前記第3面と前記第5部分領域との間に設けられ、
前記第3面から前記第1導電部への方向は、前記第2方向に沿う請求項3〜5のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第2導電領域は、前記第1方向において、前記第3面と重ならない請求項6記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第2導電領域の前記第1方向における位置は、前記第3面の前記第1方向における位置と、前記第1領域の前記第1方向における位置と、の間にある請求項6記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1導電部と接続された第3導電部をさらに備え、
前記第1導電部、前記第2絶縁領域、及び前記第3絶縁領域は、前記第2導電部と前記第3導電部との間に設けられ、
前記第3導電部は、前記第1方向において、前記第1面と重ならない請求項3〜8のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第1導電部と接続された第3導電部をさらに備え、
前記第1導電部、前記第2絶縁領域、及び前記第3絶縁領域は、前記第2導電部と前記第3導電部との間に設けられ、
前記第3導電部は、前記第1方向において、前記第3面と重ならない請求項6〜8のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第1絶縁部は、シリコン及び酸素を含み、
前記第2絶縁部及び前記第3絶縁部は、シリコン及び窒素を含む請求項3〜10のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第1導電部、前記第2絶縁領域、及び前記第3絶縁領域は、前記第2方向において、前記第1電極と前記第2電極との間に設けられた請求項1〜11のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項13】
前記第1導電部は、チタン、金、及びアルミニウムからなる群より選択された少なくとも1つと、窒素と、を含み、
前記第2導電部は、チタン及びモリブデンからなる群より選択された少なくとも1つを含む請求項1〜12のいずれか1つに記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガリウム及び窒素を含む半導体装置がある。半導体装置について、特性の向上が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−067240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、特性を向上できる半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る半導体装置は、第1領域と、第2領域と、第1絶縁部と、第1電極と、第2電極と、第3電極と、を含む。前記第1領域は、Alx1Ga1−x1N(0≦x1<1)を含む。前記第1領域は、第1部分領域と、第2部分領域と、前記第1部分領域と前記第2部分領域との間の第3部分領域と、を含む。前記第2領域は、Alx2Ga1−x2N(0<x2<1、x1<x2)を含む。前記第2領域は、第4部分領域及び第5部分領域を含む。前記第4部分領域は、前記第1部分領域から前記第2部分領域への第2方向と交差する第1方向において、前記第1部分領域と重なる。前記第5部分領域は、前記第1方向において前記第2部分領域と重なる。前記第1絶縁部は、第1絶縁領域と、第2絶縁領域と、第3絶縁領域と、を含む。前記第1絶縁領域は、前記第1方向において、前記第3部分領域と重なる。前記第2絶縁領域は、前記第1方向において、前記第1絶縁領域の一部から離れている。前記第3絶縁領域は、前記第1方向において、前記第1絶縁領域の別の一部から離れている。前記第3絶縁領域は、前記第2方向において、前記第2絶縁領域から離れている。前記第1絶縁領域は、前記第2絶縁領域と前記第3部分領域との間及び前記第3絶縁領域と前記第3部分領域との間に設けられている。前記第1電極は、前記第4部分領域と電気的に接続されている。前記第2電極は、前記第2方向において前記第1電極から離れ、前記第5部分領域と電気的に接続されている。前記第3電極は、前記第1電極と前記第2電極との間に設けられている。前記第3電極は、第1導電部及び第2導電部を含む。前記第1導電部は、前記第2絶縁領域と前記第3絶縁領域との間に設けられている。前記第2導電部は、前記第1絶縁領域と前記第2絶縁領域との間、前記第1絶縁領域と前記第3絶縁領域との間、及び前記第1絶縁領域と前記第1導電部との間に設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、実施形態に係る半導体装置を模式的に例示する断面図である。
図2図2(a)〜図2(g)は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を模式的に例示する断面図である。
図3図3(a)及び図3(b)は、実施形態に係る別の半導体装置を模式的に例示する断面図である。
図4図4(a)及び図4(b)は、実施形態に係る別の半導体装置を模式的に例示する断面図である。
図5図5は、実施形態に係る別の半導体装置を模式的に例示する断面図である。
図6図6は、実施形態に係る別の半導体装置を模式的に例示する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既に説明したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
図1は、実施形態に係る半導体装置を模式的に例示する断面図である。
図1に表したように、半導体装置110は、第1領域11、第2領域12、第1絶縁部21、第1電極41、第2電極42、及び第3電極43を含む。
【0009】
第1領域11は、第1部分領域11a、第2部分領域11b、及び第3部分領域11cを含む。第3部分領域11cは、第1部分領域11aと第2部分領域11bとの間に位置する。
【0010】
第1部分領域11aから第2部分領域11bに向かう方向を第2方向とする。第2方向は、例えば、図1に表されるX軸方向に沿う。X軸方向に対して垂直な1つの方向をY軸方向とする。X軸方向およびY軸方向に対して垂直な方向をZ軸方向とする。第2方向と交差する方向を第1方向とする。第1方向は、例えばZ軸方向に沿う。第1方向および第2方向と交差する方向を第3方向とする。第3方向は、例えばY軸方向に沿う。
以下では、第1方向、第2方向、および第3方向が、それぞれ、Z軸方向、X軸方向、およびY軸方向に沿う場合について説明する。
【0011】
第2領域12は、第4部分領域12d及び第5部分領域12eを含む。第4部分領域12dは、Z軸方向において、第1部分領域11aと重なる。第5部分領域12eは、Z軸方向において、第2部分領域11bと重なる。第5部分領域12eは、X軸方向において、第4部分領域12dから離れている。
【0012】
第2領域12は、Z軸方向において、第1領域11と第1絶縁部21との間に設けられる。第1絶縁部21は、第1絶縁領域21a、第2絶縁領域21b、及び第3絶縁領域21cを含む。第1絶縁領域21aは、Z軸方向において、第3部分領域11cと重なる。第2絶縁領域21bは、Z軸方向において、第1絶縁領域21aの一部から離れている。第3絶縁領域21cは、Z軸方向において、第1絶縁領域21aの別の一部から離れている。第3絶縁領域21cは、X軸方向において、第2絶縁領域21bから離れている。第1絶縁領域21aは、第3部分領域11cと第2絶縁領域21bとの間及び第3部分領域11cと第3絶縁領域21cとの間に設けられる。
【0013】
第1電極41は、第4部分領域12dと電気的に接続されている。第4部分領域12dの一部は、Z軸方向において、第1部分領域11aの一部と第1電極41との間に位置する。
【0014】
第2電極42は、第5部分領域12eと電気的に接続されている。第5部分領域12eの一部は、Z軸方向において、第2部分領域11bの一部と第2電極42との間に位置する。
【0015】
第3電極43は、第1電極41と第2電極42との間に設けられる。第3電極43は、第1導電部31及び第2導電部32を含む。
【0016】
第1導電部31は、X軸方向において、第2絶縁領域21bと第3絶縁領域21cとの間に設けられている。
【0017】
第2導電部32は、Z軸方向において、第1絶縁領域21aと第2絶縁領域21bとの間、第1絶縁領域21aと第3絶縁領域21cとの間、及び第1絶縁領域21aと第1導電部31との間に設けられている。第2導電部32は、第1導電部31と接続されている。
【0018】
図1に表した例では、半導体装置110は、第2絶縁部22及び第3絶縁部23をさらに含む。
【0019】
第2絶縁部22は、Z軸方向において、第4部分領域12dと重なる。第4部分領域12dは、第1部分領域11aと第2絶縁部22との間に位置する。第2絶縁部22は、X軸方向及びY軸方向を含む面に沿って、第1電極41の周りに設けられる。
【0020】
第3絶縁部23は、Z軸方向において、第5部分領域12eと重なる。第5部分領域12eは、第2部分領域11bと第3絶縁部23との間に位置する。第3絶縁部23は、X軸方向及びY軸方向を含む面に沿って、第2電極42の周りに設けられる。
【0021】
第2絶縁領域21b、第3絶縁領域21c、及び第1導電部31は、例えば、X軸方向において、第1電極41と第2電極42との間に設けられる。例えば、第1電極41と第3電極43との間のX軸方向における距離は、第2電極42と第3電極43との間のX軸方向における距離よりも短い。
【0022】
第1領域11は、Alx1Ga1−x1N(0≦x1<1)を含む。第1領域11は、例えば、GaNを含む。第2領域12は、Alx2Ga1−x2N(0<x2<1、x1<x2)を含む。第2領域12は、例えば、AlGaNを含む。
【0023】
第1絶縁部21は、例えば、酸素及び窒素からなる群より選択された少なくとも1つと、シリコンと、を含む。例えば、第1絶縁部21は、窒化珪素膜、酸化珪素膜、又は酸窒化珪素膜で形成される。第2絶縁部22及び第3絶縁部23は、例えば、シリコン及び窒素を含む。第2絶縁部22及び第3絶縁部23は、例えば窒化珪素膜で形成される。
【0024】
第1導電部31は、例えば、チタン、金、及びアルミニウムからなる群より選択された少なくとも1つを含む。第2導電部32は、例えば、チタン及びモリブデンからなる群より選択された少なくとも1つと、窒素と、を含む。第1電極41及び第2電極42は、例えば、チタン及びアルミニウムからなる群より選択された少なくとも1つを含む。
【0025】
第1電極41は、例えば、ソース電極として機能する。第2電極42は、例えば、ドレイン電極として機能する。第1絶縁領域21aは、ゲート絶縁層として機能する。第1絶縁領域21aと接する第2導電部32は、ゲート電極として機能する。
【0026】
第1領域11と第2領域12との界面近傍には、2次元電子ガスが発生する。第2電極42の電位が第1電極41の電位よりも大きな値に設定された状態で、第2導電部32の電位を閾値以上に設定する。これにより、第3部分領域11cと第1絶縁領域21aとの界面近傍にチャネルが形成される。第1電極41から第2電極42へ向けて電子がチャネルを通して流れ、半導体装置110がオン状態となる。
【0027】
実施形態に係る半導体装置110によれば、特性を向上できる。
【0028】
例えば、参考例に係る半導体装置において、第1絶縁部21は、第2絶縁領域21b及び第3絶縁領域21cを含まない。第1導電部31のX軸方向における長さは、第2導電部32のX軸方向における長さよりも長い。第1導電部31は、Z軸方向において、第2絶縁部22の端部及び第3絶縁部23の端部と重なる。
【0029】
参考例に係る2つの半導体装置(第1半導体装置と第2半導体装置)を用意した。第1半導体装置と第2半導体装置では、第2絶縁部22及び第3絶縁部23の組成が異なる。第1半導体装置及び第2半導体装置において、2絶縁部22及び第3絶縁部23は、窒化珪素膜で形成される。第1半導体装置と第2半導体装置では、第2絶縁部22と第3絶縁部23のシリコンと窒素の組成比が異なる。これら2つの半導体装置について、第1特性と第2特性を調べた。
【0030】
第1特性は、第3電極43に正の電位を所定時間連続して印加した場合の、閾値電圧の変動量である。第1特性は、第3絶縁部23に電荷がトラップされることと関係する。
第2特性は、第3電極43に負の電位を所定時間連続して印加した場合の、閾値電圧の変動量である。第2特性は、第1領域11内部又は第2領域12と第3絶縁部23との界面に電荷がトラップされることと関係する。
【0031】
実験の結果、第1半導体装置については、第1特性の値が大きく、第2特性の値が小さかった。すなわち、第1半導体装置については、第2特性が良く、第1特性が良く無かった。第2半導体装置については、第1特性が良く、第2特性が良く無かった。参考例に係る半導体装置では、第1特性と第2特性の両方の向上が容易では無い。
【0032】
発明者らは、第1絶縁部21に第2絶縁領域21b及び第3絶縁領域21cを設けることで、第1特性及び第2特性を向上できることを見いだした。半導体装置110によれば、第1特性及び第2特性を向上できる。
第3電極43に正の電位を印加した時、第2絶縁領域21b及び第3絶縁領域21cを設けることで、第3絶縁部23に印加される電界を弱めることができる。このため、第3絶縁部23にトラップされる電荷が低減され、第1の特性を向上できると考えられる。また、第3電極43に負の電位を印加した時、第2絶縁領域21b及び第3絶縁領域21cを設けることで、第1領域11内部又は第2領域12と第3絶縁部23との界面に印加される電界を弱めることができる。このため、第1領域11内部又は第2領域12と第3絶縁部23との界面にトラップされる電荷が低減され、第2の特性を向上できると考えられる。
【0033】
図2(a)〜図2(g)は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を模式的に例示する断面図である。
【0034】
Alx1Ga1−x1N(0≦x1<1)を含む第1層11Lを形成する。Alx2Ga1−x2N(0<x2<1、x1<x2)を含む第2層12Lを、第1層11Lの上に形成する。シリコン及び窒素を含む絶縁層22Lを第2層12Lの上に形成する。絶縁層22Lの一部、第2層12Lの一部、及び第1層11Lの一部を除去する。これにより、図2(a)に表したように、第1開口OP1が形成される。
【0035】
第1開口OP1の内壁及び絶縁層22Lの上面に沿って、絶縁層21L1を形成する。絶縁層21L1の上面に沿って、導電層32Lを形成する。図2(b)に表したように、導電層32Lの上に、絶縁層21L2を形成する。絶縁層21L1及び21L2は、例えば、シリコン及び酸素を含む。導電層32Lは、例えば、チタン及び窒素を含む。
【0036】
図2(c)に表したように、絶縁層21L2の一部を除去する。図2(d)に表したように、導電層32Lの一部を除去する。絶縁層21L2を除去する。図2(e)に表したように、絶縁層21L1の一部及び絶縁層22Lの一部を除去することで、第2開口OP2及び第3開口OP3を形成する。第2開口OP2及び第3開口OP3に、それぞれ、第1電極41及び第2電極42を形成する。
【0037】
導電層32L、第1電極41、及び第2電極42の上に、絶縁層21L3を形成する。図2(f)に表したように、絶縁層21L3の一部を除去し、第4開口OP4を形成する。図2(g)に表したように、第4開口OP4内に導電層31Lを形成する。絶縁層21L3及び導電層31Lの上に絶縁層を形成する。以上により、実施形態に係る半導体装置110が製造される。
【0038】
図3(a)及び図3(b)は、実施形態に係る別の半導体装置を模式的に例示する断面図である。
【0039】
図3(a)に表した半導体装置120では、第2導電部32は、第1導電領域32a及び第2導電領域32bを含む。
【0040】
第1導電領域32aは、X軸方向において、第2絶縁部22と第2絶縁領域21bとの間に位置する。第2導電領域32bは、X軸方向において、第3絶縁部23と第3絶縁領域21cとの間に位置する。
【0041】
第2絶縁部22は、第1面S1及び第2面S2を有する。第1面S1及び第2面S2は、Z軸方向と交差し、X軸方向及びY軸方向を含む平面に沿う。第2面S2は、Z軸方向において、第1面S1と第4部分領域12dとの間に位置する。第1面S1から第1導電部31への方向は、X軸方向に沿う。
【0042】
第3絶縁部23は、第3面S3及び第4面S4を有する。第3面S3及び第4面S4は、Z軸方向と交差し、X軸方向及びY軸方向を含む平面に沿う。第4面S4は、Z軸方向において、第3面S3と第5部分領域12eとの間に位置する。第3面S3から第1導電部31への方向は、X軸方向に沿う。
【0043】
第1導電領域32aのZ軸方向における位置は、例えば、第1面S1のZ軸方向における位置と、第1領域11のZ軸方向における位置と、の間にある。第2導電領域32bのZ軸方向における位置は、例えば、第3面S3のZ軸方向における位置と、第1領域11のZ軸方向における位置と、の間にある。
【0044】
図3(b)に表した半導体装置121のように、第1面S1から第1導電領域32aの一部への方向は、X軸方向に沿っていても良い。第1導電領域32aは、Z軸方向において、第1面S1と重ならない。第3面S3から第2導電領域32bの一部への方向は、X軸方向に沿っていても良い。第2導電領域32bは、Z軸方向において、第3面S3と重ならない。
【0045】
半導体装置において、第2導電部32は、Z軸方向において、第3部分領域11cと重なることが望ましい。第2導電部32は、X軸方向において、第1領域11と第2領域12との界面と重なることが望ましい。これにより、半導体装置のオン抵抗を低減できる。
【0046】
半導体装置120又は121によれば、半導体装置110に比べて、第2領域12と第2導電部32がX軸方向において重なる部分の面積が増加する。半導体装置を製造する際に、第2導電部32の形状のばらつきが生じても、第2導電部32がX軸方向において第1領域11と第2領域12との界面に重なり易い。半導体装置120又は121によれば、半導体装置110に比べて、製造が容易となる。例えば、歩留まりを向上できる。
【0047】
図4(a)及び図4(b)は、実施形態に係る別の半導体装置を模式的に例示する断面図である。
【0048】
図4(a)に表した半導体装置130では、第3電極43は、第3導電部33をさらに含む。第2絶縁領域21b、第3絶縁領域21c、及び第1導電部31は、Z軸方向において、第2導電部32と第3導電部33との間に設けられる。
【0049】
第3導電部33は、Z軸方向において、第3面S3と重ならない。第3導電部33は、例えば、Z軸方向において、第1面S1と重なる。第3導電部33が設けられることで、第3電極43の電気抵抗(例えばゲート抵抗)を低減できる。また、第3導電部33が第1面S1と重なる場合、半導体装置130の製造が容易となる。これにより、例えば歩留まりを向上できる。
【0050】
図4(b)に表した半導体装置131のように、第3導電部33は、Z軸方向において、第1面S1及び第3面S3と重ならなくても良い。
【0051】
第3導電部33は、例えば、チタン、金、及びアルミニウムからなる群より選択された少なくとも1つを含む。
【0052】
半導体装置130又は131によれば、半導体装置110に比べて、第2導電部32近傍の電界集中を緩和できる。これにより、例えば、耐圧を向上できる。
【0053】
図5は、実施形態に係る別の半導体装置を模式的に例示する断面図である。
図5に表した半導体装置140では、第1電極41は、第1電極部分41aを含む。第1絶縁部21は、第4絶縁領域21dを含む。
【0054】
第1電極部分41aは、Z軸方向において、第3電極43から離れている。第4絶縁領域21d及び第3導電部33は、Z軸方向において、第1導電部31と第1電極部分41aとの間に設けられる。
【0055】
第1電極部分41aは、Z軸方向において、第3電極43及び第3面S3と重なる。第1電極部分41aは、Z軸方向において、第2電極42と重ならない。第1電極部分41aと第2電極42との間のX軸方向における距離は、第3電極43と第2電極42との間のX軸方向における距離よりも短い。
【0056】
半導体装置140によれば、半導体装置130に比べて、第2導電部32近傍の電界集中を緩和できる。これにより、例えば、耐圧を向上できる。
【0057】
図6は、実施形態に係る別の半導体装置を模式的に例示する断面図である。
図6に表した半導体装置150では、第2領域12は、第6部分領域12fをさらに含む。
【0058】
第6部分領域12fは、X軸方向において、第4部分領域12dと第5部分領域12eとの間に位置する。第6部分領域12fは、Z軸方向において、第3部分領域11cと第1絶縁領域21aとの間に位置する。半導体装置150では、第2導電部32の電位が閾値以上に設定されると、第6部分領域12fと第1絶縁領域21aとの界面近傍にチャネルが形成される。第6部分領域12fが設けられることで、チャネル抵抗を低減できる。この結果、半導体装置150のオン抵抗を低減できる。第6部分領域12fのZ軸方向における長さは、第4部分領域12dのZ軸方向における長さよりも短く、第5部分領域12eのZ軸方向における長さよりも短い。
【0059】
半導体装置110、120、121、130、又は131において、半導体装置150と同様に、第2領域12が第6部分領域12fを含んでいても良い。
【0060】
以上で説明した各実施形態によれば、特性を向上できる半導体装置を提供できる。
【0061】
なお、本願明細書において、「垂直」及び「平行」は、厳密な垂直及び厳密な平行だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれば良い。
【0062】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明の実施形態は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、半導体装置に第1領域、第2領域、絶縁部、導電部、電極などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0063】
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0064】
その他、本発明の実施の形態として上述した半導体装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての半導体装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0065】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0066】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0067】
11 第1領域、 11L 第1層、 11a 第1部分領域、 11b 第2部分領域、 11c 第3部分領域、 12 第2領域、 12L 第2層、 12d 第4部分領域、 12e 第5部分領域、 12f 第6部分領域、 21 第1絶縁部、 21L 絶縁層、 21a 第1絶縁領域、 21b 第2絶縁領域、 21c 第3絶縁領域、 21d 第4絶縁領域、 22 第2絶縁部、 22L 絶縁層、 23 第3絶縁部、 31 第1導電部、 31L 導電層、 32 第2導電部、 32L 導電層、 32a 第1導電領域、 32b 第2導電領域、 33 第3導電部、 41 第1電極、 41a 第1電極部分、 42 第2電極、 43 第3電極、 110、120、121、130、131、140、150 半導体装置、 OP1 第1開口、 OP2 第2開口、 OP3 第3開口、 OP4 第4開口、 S1 第1面、 S2 第2面、 S3 第3面、 S4 第4面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2019年3月1日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正の内容】
図4