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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-208343(P2019-208343A)
(43)【公開日】2019年12月5日
(54)【発明の名称】駆動装置及び液圧制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20191108BHJP
   B60T 8/34 20060101ALI20191108BHJP
【FI】
   H02M7/48 M
   B60T8/34
   H02M7/48 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-103846(P2018-103846)
(22)【出願日】2018年5月30日
(71)【出願人】
【識別番号】301065892
【氏名又は名称】株式会社アドヴィックス
(74)【代理人】
【識別番号】100089082
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 脩
(74)【代理人】
【識別番号】100130188
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜一
(72)【発明者】
【氏名】松村 繁樹
(72)【発明者】
【氏名】牧田 和也
【テーマコード(参考)】
3D246
5H770
【Fターム(参考)】
3D246BA02
3D246GA10
3D246LA15Z
3D246LA17A
3D246LA33Z
3D246LA52Z
3D246LA59Z
5H770AA21
5H770BA01
5H770LA06Z
5H770QA01
5H770QA28
5H770QA31
(57)【要約】
【課題】コモンモードノイズの発生を抑制可能な駆動装置を提供すること。
【解決手段】駆動装置10は、モータ12と、モータ12に電力を供給するとともにモータ12の駆動を制御する制御基板16及びマイコン17と、モータ12及び制御基板16を保持するブロック11と、モータ12と制御基板16(マイコン17)とを電気的に接続し且つブロック11に設けられた貫通孔11eを挿通する接続電線16aと、を備えた駆動装置であって、接続電線16aと貫通孔11eの内周面11e1との間にて接続電線16a及び内周面11e1に接触しないように、第一樹脂モールド181に支持されて接地された金属箔19を備える。これにより、接続電線16aと金属箔19との間に寄生容量を発生させることができ、ノイズ電流がブロック11に流れることを抑制することができる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源と、
前記駆動源に電力を供給するとともに前記駆動源の駆動を制御する制御部と、
前記駆動源及び前記制御部を保持する保持部材と、
前記駆動源と前記制御部とを電気的に接続し且つ前記保持部材に設けられた貫通孔を挿通する接続電線と、を備えた駆動装置であって、
前記接続電線と前記貫通孔の内周面との間にて前記接続電線及び前記内周面に接触しないように配置され且つ電気的に接地された導電性を有する導電部材を備えた、駆動装置。
【請求項2】
絶縁性を有して前記貫通孔に収容され、前記導電部材を支持する絶縁部材を備えた、請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記絶縁部材は、
前記接続電線と前記貫通孔の前記内周面との間に配置された第一絶縁部材を有し、
前記導電部材は、
前記第一絶縁部材の内周面及び外周面のうちの少なくとも一方に設けられる、請求項2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記絶縁部材は、
前記接続電線の少なくとも一部を包含して支持する第二絶縁部材を有し、
前記導電部材は、
前記第一絶縁部材の前記内周面に設けられており、且つ、前記第一絶縁部材と前記第二絶縁部材とによって挟持される、請求項3に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記導電部材は、
前記貫通孔の周方向及び軸方向に沿って連続的に設けられている、請求項1乃至請求項4のうちの何れか一項に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記制御部は、
接地されたグランド線を有しており、
前記導電部材は、
前記グランド線に電気的に接続されている、請求項1乃至請求項5のうちの何れか一項に記載の駆動装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のうちの何れか一項に記載の駆動装置によって駆動されて、流体を加圧するポンプと、
加圧された前記流体が流通する流路と、
前記流路を流通する前記流体の圧力を調圧する電磁弁と、を備え、
車両のブレーキ装置に設けられた液圧制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動源を備えた駆動装置、及び、駆動装置を備えた液圧制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、下記特許文献1に開示された駆動装置が知られている。この従来の駆動装置は、バッテリのグランド端子と接続される電源グランドラインと導電性を有するフレーム部材とが、基板及び給電用コネクタを経由して導通可能に接続されるようになっている。これにより、フレーム部材に流れるノイズ電流を電源グランドラインへ戻して、コモンモードノイズを低減するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−36245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来の駆動装置においては、モータ(駆動源)を駆動させるために通電されると、給電用の接続電線と導電性を有するフレーム部材(保持部材)との間に寄生容量が発生する。これにより、フレーム部材が電源グランドラインと接続されているものの、寄生容量の発生に伴うノイズ電流の一部がフレーム部材を流れることにより、一部のノイズ電流がフレーム部材から車両のフレームにも流れてしまう。その結果、ノイズ電流に起因するコモンモードノイズが生じてしまうため、コモンモードノイズの抑制効果が損なわれる可能性が高い。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、コモンモードノイズの発生を抑制可能な駆動装置及びこの駆動装置を備えた液圧制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る駆動装置の発明は、駆動源と、駆動源に電力を供給するとともに駆動源の駆動を制御する制御部と、駆動源及び制御部を保持する保持部材と、駆動源と制御部とを電気的に接続し且つ保持部材に設けられた貫通孔を挿通する接続電線と、を備えた駆動装置であって、接続電線と貫通孔の内周面との間にて接続電線及び内周面に接触しないように配置され且つ電気的に接地された導電性を有する導電部材を備える。
【発明の効果】
【0007】
これによれば、駆動源の駆動に伴い、接続電線と、貫通孔の内周面に比べて接続電線の近くに配置され、且つ、保持部材に接触しない導電部材と、の間に寄生容量を支配的に(優先的に)発生させることができる。そして、導電部材は電気的に接地されている。これにより、寄生容量の発生に伴って生じるノイズ電流は接地に向けて流れるため、ノイズ電流が保持部材に流れることを抑制することができる。従って、ノイズ電流が保持部材を流れることによって引き起こされるラジオノイズや電波障害等のコモンモードノイズの発生を良好に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る駆動装置を備えた液圧制御装置の構成を示す斜視図である。
図2図1のブロックの構成を示す斜視図である。
図3図1のブロック及びケースの構成を説明するための断面図である。
図4】駆動装置の絶縁部材及び導電部材の構成を説明するための断面図である。
図5】実施形態の第一変形例に係り、駆動装置の絶縁部材及び導電部材の構成を説明するための断面図である。
図6】実施形態の第二変形例に係り、駆動装置の絶縁部材及び導電部材の構成を説明するための断面図である。
図7】液圧制御装置が適用される車両のブレーキ装置の構成図の一例である。
図8】実施形態のその他の変形例に係り、駆動装置の絶縁部材及び導電部材の構成を示す断面図である。
図9】実施形態のその他の変形例に係り、駆動装置の絶縁部材及び導電部材の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。尚、以下の実施形態及び変形例の相互において、互いに同一又は均等である部分には、図中、同一の符号を付してある。又、説明に用いる各図は概念図であり、各部の形状は必ずしも厳密なものではない場合がある。
【0010】
本実施形態における駆動装置10は、流体を加圧し且つ調圧制御して出力することが可能な液圧制御装置に適用される。このため、駆動装置10は、図1乃至図3に示すように、保持部材としてのブロック11と、駆動源としてのモータ12と、モータ12によって駆動されるポンプ13と、ブロック11に組み付けられるケース14と、複数の電磁弁15と、を備えている。尚、本実施形態においては、駆動装置10を液圧制御装置に適用するが、駆動源であるモータ12によって駆動可能であれば、駆動装置10を如何なる装置に適用しても良いことは言うまでもない。
【0011】
ブロック11は、金属材料(例えば、アルミ)から形成されて導電性を有しており、図示しない車両のフレーム等に組み付けられる。ブロック11は、図1及び図2に示すように、一面側には流体を加圧するポンプ13を駆動する駆動源であるモータ12を取り付ける第一面としてのモータ取付面11aが設けられている。又、ブロック11は、図2に示すように、モータ取付面11aに対して反対側にケース14を取り付ける第二面としてのケース取付面11bが設けられている。これにより、ブロック11は、モータ12及びケース14(後述するように、ケース14に収容される制御部としての制御基板16及びマイコン17を含む)を保持する。
【0012】
又、ブロック11は、複数の電磁弁15の作動によって制御された圧力(液圧)を有する流体が流通する複数の流路11cが形成されている。複数の電磁弁15は、図2及び図3に示すように、ケース取付面11bに設けられており、ポンプ13によって加圧された流体の圧力(液圧)を調圧して複数の流路11cに流通させるようになっている。ケース14には、電磁弁15を構成するコイル15aが組み付けられている。そして、コイル15aを一体に組み付けたケース14は、ブロック11に設けられた電磁弁15をコイル15aに挿通させるように組み付けられる。
【0013】
ブロック11は、図2及び図3に示すように、モータ12及びポンプ13を収容する貫通孔11dを備えている。尚、貫通孔11dは、ブロック11のケース取付面11bの側の開口が液密に塞がれている。更に、ブロック11は、図2及び図4に示すように、モータ12及び電磁弁15に電力を供給するとともに作動を制御する制御部を構成する制御基板16と、モータ12及び電磁弁15(より詳しくは、コイル15a)と、を電気的に接続する接続電線16aを挿通させる貫通孔11eを備えている。
【0014】
尚、接続電線16aは、導体棒(バスバー)として構成することも可能である。制御基板16は、ケース14に収容される。このため、ブロック11のケース取付面11bには、制御基板16を支えるとともにケース14を固定可能な支柱11fが設けられている。
【0015】
駆動源としてのモータ12は、例えば、ブラシレスモータであり、図3に示すように、モータシャフト12aに連結されたポンプ13を駆動する。モータ12は、モータシャフト12aを軸支するとともに、ブロック11のモータ取付面11aにボルト(図示省略)によって液密に固定されるフランジ部12bを有している。モータシャフト12aは、ブロック11のモータ取付面11aに設けられた貫通孔11dに対して挿入されている
【0016】
ポンプ13は、流体を加圧するものであり、図3に示すように、ブロック11の貫通孔11dの内部に収容されるように配置されている。ポンプ13は、モータシャフト12aに対してカップリング等によって基端側が連結されてモータシャフト12aと一体に回転するポンプシャフト13aと、ポンプシャフト13aに固定されてポンプシャフト13aと一体に回転するポンプインペラ13bと、から構成されている。
【0017】
尚、本実施形態においては、モータシャフト12aとポンプシャフト13aとが、同一軸線を有するように直線状に連結される。しかし、例えば、モータシャフト12aとポンプシャフト13aとをギヤ部材等で連結し、モータシャフト12aの軸線に対してポンプシャフト13aの軸線がオフセットするように連結することも可能である。
【0018】
制御部を構成する制御基板16は、図3及び図4に示すように、制御部を構成するマイコン17が実装されたプリント基板であり、ケース14に収容された状態でケース14とともにブロック11のケース取付面11b、より詳しくは、支柱11fに固定される。制御基板16は、電源(図示省略)と電気的に接続されている。
【0019】
マイコン17は、制御基板16及び制御基板16に電気的に接続された複数の接続電線16a(図4においては三本)を介して、電源からモータ12(及び電磁弁15)に電力を供給するとともに図示を省略する各種センサ(例えば、MRセンサ等)によって検出された検出結果に基づいてモータ12(及び電磁弁15)の駆動を制御する。ここで、マイコン17は、図4に示すように、一端が接地されて制御基板16に設けられたグランド線16bに電気的に接続されたグランド端子17aを備えている。
【0020】
ブロック11の貫通孔11eの内部には、図4に示すように、絶縁性を有し、後述する導電部材である金属箔19を支持する絶縁部材としての樹脂モールド18が収容されている。具体的に、樹脂モールド18は、接続電線16aと貫通孔11eの内周面11e1との間にて、接続電線16aを包囲するように配置されている。本実施形態において、樹脂モールド18は、第一絶縁部材としての第一樹脂モールド181と、第二絶縁部材としての第二樹脂モールド182と、から構成されている。
【0021】
第一樹脂モールド181は、貫通孔11eの内周面11e1に沿って接続電線16aを包囲するように、筒状に形成されている。第一樹脂モールド181は、主として、接続電線16aと貫通孔11eの内周面11e1即ちブロック11とが接触して短絡することを防止するとともに、金属箔19を支持するものである。第一樹脂モールド181の内周面181aは、接続電線16aに接触することなく径方向にて接続電線16aから離間している。一方、第一樹脂モールド181の外周面181bは、図4に示すように、貫通孔11eの内周面11e1から径方向にて離間していても良いし、図示を省略するが貫通孔11eの内周面11e1と接触していても良い。
【0022】
尚、第一樹脂モールド181は、図4に示すように、例えば、一端に大径部を有し、大径部がブロック11の貫通孔11eの開口部分に設けられた係合段部に係合することにより固定される。しかしながら、貫通孔11eの内部に収容された第一樹脂モールド181(樹脂モールド18)を固定できるものであれば、大径部及び係合段部を設けること以外の如何なる方法をも採用することができる。
【0023】
第二樹脂モールド182は、主として、接続電線16aの折損を防止するとともに接続電線16a間の短絡を防止するものである。このため、第二樹脂モールド182は、接続電線16aの延設方向にて少なくとも一部を包含するように、具体的には、接続電線16aを覆って貫通させるように、柱状に形成されている。
【0024】
ここで、本実施形態においては、第二樹脂モールド182は、第一樹脂モールド181とは別体に設けられる。しかし、第一樹脂モールド181と第二樹脂モールド182とを一体に形成することも可能である。又、第一樹脂モールド181及び第二樹脂モールド182の形成材料については、同一の樹脂材料(絶縁材料)から形成しても良いし、異なる樹脂材料(絶縁材料)から形成しても良い。
【0025】
樹脂モールド18を構成する第一樹脂モールド181には、接続電線16aと貫通孔11eの内周面11e1との間にて、接続電線16a及び内周面11e1(即ち、ブロック11)の何れにも接触することなく位置するように配置される導電部材としての金属箔19が設けられている。具体的に、本実施形態においては、金属箔19は、導電性に優れた導電材料(例えば、金属材料であって銅等)から箔状或いは層状に形成されており、第一樹脂モールド181の内周面181aに沿って、即ち、第一樹脂モールド181の周方向及び軸方向に沿って連続的に延設されて、内周面181aに組み付けられている(接着されている)。
【0026】
又、金属箔19は、制御基板16に設けられたグランド線16bに対して、接続電線19aを介して電気的に接続されている。これにより、金属箔19は、グランド線16を介して接地されている。
【0027】
このように構成された駆動装置10(液圧制御装置)は、マイコン17が接続電線16aを介して電力を供給するとともに作動を制御してモータ12を駆動させると、ポンプシャフト13a及びポンプインペラ13bが一体回転する。これにより、ポンプ13は流体を加圧し、マイコン17によって電磁弁15の作動が制御されることにより、調圧された流体が供給される。
【0028】
ところで、接続電線16aに電力(電流)が流れると電界が生じ、接続電線16aの周囲に存在する導電性を有する部材との間に寄生容量が発生する。このため、仮に、第一樹脂モールド181に金属箔19を設けない場合には、接続電線16aと貫通孔11eの内周面11e1即ち導電性を有するブロック11と、の間で寄生容量が発生し、その結果、ノイズ電流がブロック11から車両のフレーム等を伝って雑音(ラジオノイズや電波障害)等を引き起こすコモンモードノイズが生じてしまう。即ち、第一樹脂モールド181に金属箔19を設けない場合には、意図しない経路にノイズ電流が流れてコモンモードノイズが生じる。
【0029】
これに対して、第一樹脂モールド181に金属箔19を設けた場合には、接続電線16aと、第一樹脂モールド181の内周面181aに存在する導電部材である金属箔19と、の間に、意図的に寄生容量を発生させることができる。ここで、金属箔19を設けた場合においても、接続電線16aと内周面11e1(ブロック11)との間に寄生容量が発生する可能性はある。しかしながら、金属箔19は、第一樹脂モールド181の内周面181aに設けられることにより、貫通孔11eの内周面11e1に比べて、接続電線16aに近くなるように配置されている。このため、接続電線16aと金属箔19との間に発生する寄生容量は、接続電線16aと内周面11e1との間に発生する寄生容量よりも優先されて支配的になる。
【0030】
そして、金属箔19は、接続電線19aを介して制御基板16に設けられるグランド線16bに電気的に接続されている。従って、接続電線16aと金属箔19との間に意図的に寄生容量を発生させることにより、寄生容量に伴うノイズ電流は、接続電線19a及びグランド線16bを流れて接地される。その結果、ノイズ電流のほぼ全てを意図した経路であるグランド線16bに流すことができ、車両のフレーム等に流れたノイズ電流に起因するコモンモードノイズの発生を抑制することが可能となる。
【0031】
以上の説明からも理解できるように、上記実施形態の駆動装置10は、駆動源であるモータ12と、モータ12に電力を供給するとともにモータ12の駆動を制御する制御部としての制御基板16及びマイコン17と、モータ12及び制御基板16(マイコン17)を保持する保持部材としてのブロック11と、モータ12と制御基板16(マイコン17)とを電気的に接続し且つブロック11に設けられた貫通孔11eを挿通する接続電線16aと、を備えた駆動装置であって、接続電線16aと貫通孔11eの内周面11e1との間にて接続電線16a及び内周面11e1に接触しないように配置され且つ接地された導電性を有する導電部材としての金属箔19を備える。
【0032】
この場合、制御部である制御基板16は、接地されたグランド線16bを有しており、金属箔19は、接続電線19aを介してグランド線16bに電気的に接続されている。
【0033】
これらによれば、モータ12の駆動に伴い、接続電線16aと、貫通孔11eの内周面11e1に比べて接続電線16aの近くに配置され、且つ、ブロック11に接触しない金属箔19と、の間に寄生容量を支配的に(優先的に)発生させることができる。そして、金属箔19は電気的に接地されている。これにより、寄生容量の発生に伴って生じるノイズ電流は接続電線19a及びグランド線16bを介して、即ち、意図した経路に沿って流れて接地されるため、ノイズ電流がブロック11に流れることを抑制することができる。従って、ノイズ電流がブロック11を流れることによって引き起こされるラジオノイズや電波障害等のコモンモードノイズの発生を良好に抑制することができる。
【0034】
これらの場合、駆動装置10は、絶縁性を有して貫通孔11eに収容され、金属箔19を支持する絶縁部材としての樹脂モールド18を備えることができる。
【0035】
これによれば、樹脂モールド18はブロック11に対して電気的な作用を及ぼすことなく、金属箔19を接続電線16aと貫通孔11eの内周面11e1との間にて接続電線16a及び内周面11e1に接触しないように支持することができる。従って、ノイズ電流がブロック11に流れることを確実に抑制することができ、その結果、コモンモードノイズが発生することをより良好に抑制することができる。
【0036】
この場合、樹脂モールド18は、接続電線16aと貫通孔11eの内周面11e1との間に配置された第一絶縁部材としての第一樹脂モールド181を有し、金属箔19は、第一樹脂モールド181の内周面181a及び外周面181bのうちの少なくとも一方である内周面181aに設けられる。
【0037】
これによれば、第一樹脂モールド181は、金属箔19を内周面181aにおいて支持することにより、接続電線16aに対して金属箔19を貫通孔11eの内周面11e1に比べてより近くにて支持することができる。これにより、接続電線16aと金属箔19との間により確実に寄生容量を発生させることができ、その結果、ブロック11にノイズ電流が流れることをより確実に抑制することができる。従って、ノイズ電流がブロック11を流れることによって引き起こされるコモンモードノイズの発生をより確実に抑制することができる。
【0038】
ここで、樹脂モールド18は、接続電線16aの少なくとも一部を包含して支持する第二絶縁部材としての第二樹脂モールド182を有することができる。これにより、接続電線16aと金属箔19との接触を確実に防止できる。
【0039】
又、これらの場合、金属箔19は、貫通孔11eの周方向及び軸方向に沿って連続的に設けられる。
【0040】
これにより、接続電線16aと金属箔19との間により確実に寄生容量を発生させることができる。従って、ノイズ電流がブロック11を流れることによって引き起こされるコモンモードノイズの発生をより確実に抑制することができる。
【0041】
(第一変形例)
上記実施形態においては、金属箔19を接続電線16aと貫通孔11eの内周面11e1との間にて接続電線16aと内周面11e1とから離間するように配置するために、第一樹脂モールド181の内周面181aに設けるようにした。これに代えて、又は、加えて、金属箔19と貫通孔11eの内周面11e1とが接触しない場合には、図5に示すように、金属箔19を第一樹脂モールド181の内周面181a及び外周面181bのうちの外周面181bに設けることも可能である。
【0042】
このように、第一樹脂モールド181の外周面181bに設けられた金属箔19も、上記実施形態の場合と同様に、貫通孔11eの内周面11e1に比べて、接続電線16aに近くなるように配置される。加えて、第一樹脂モールド181の外周面181bに設けられた金属箔19と貫通孔11eの内周面11e1とは接触しない、即ち、短絡しないようになっている。従って、接続電線16aと金属箔19との間に支配的に(優先的に)寄生容量が発生し、その結果、上記実施形態と同様に、ノイズ電流のほぼ全てを意図した経路であるグランド線16bを介して接地に流すことができる。
【0043】
(第二変形例)
上記実施形態及び上記第一変形例においては、樹脂モールド18が第一樹脂モールド181と、接続電線16aの少なくとも一部を包含して支持する第二絶縁部材としての第二樹脂モールド182から構成されるようにした。これに代えて、例えば、折損を生じることがない程度に接続電線16aの機械的強度が高い場合、或いは、モータ12の駆動に伴って接続電線16aの変位が小さい場合等においては、接続電線16aの折損や短絡が起こる可能性が低くなるため、図6に示すように、第二樹脂モールド182を省略することも可能である。
【0044】
このように、第二樹脂モールド182を省略した場合であっても、第一樹脂モールド181の内周面181a及び外周面181bのうちの少なくとも一方に金属箔19を設けることができる。従って、第二樹脂モールド182を省略した場合であっても、上記実施形態及び上記第一変形例と同様の効果が得られる。
【0045】
ところで、上記実施形態及び上記変形例において説明した駆動装置10、即ち、液圧制御装置は、例えば、車両のブレーキ装置であるブレーキ制御システムに適用することができる。以下、液圧制御装置(駆動装置10)を適用することができるブレーキ制御システム(ブレーキ装置)の一例を、図7を用いて簡単に説明する。
【0046】
ブレーキ制御システムにおいて、液圧制御装置(駆動装置10)は、アクチュエータ5に組み込まれる。ブレーキ制御システムは、図7に示すように、シリンダ機構23として、マスタシリンダ(M/C)230と、マスタピストン231,232と、マスタリザーバ233と、を備えている。尚、シリンダ機構23としては、電動ポンプ等によって電動化されて液圧を発生させるものであっても良い。ホイールシリンダ24,25,26,27は、それぞれ、左後輪RL、右後輪RR、左前輪FL、右前輪FRに配置されて、制動力を付与する。マスタシリンダ230とホイールシリンダ24〜27は、アクチュエータ5を介して接続されている。
【0047】
液圧制御装置(駆動装置10)であるアクチュエータ5は、ブレーキ制御装置6(マイコン17)の指示に応じて、ホイールシリンダ24〜27の液圧(以下、「ホイール圧」と称呼する。)を制御する。具体的に、アクチュエータ5は、図7に示すように、油圧回路50を備えている。油圧回路50は、第一配管系統50aと、第二配管系統50bと、を備えている。第一配管系統50aは、左後輪RL及び右後輪RRに加えられるホイール圧を制御する系統である。第二配管系統50bは、左前輪FL及び右前輪FRに加えられるホイール圧を制御する系統である。
【0048】
第一配管系統50aは、主管路Aと、差圧制御弁51(電磁弁15に相当)と、増圧弁52,53(電磁弁15に相当)と、減圧管路Bと、減圧弁54,55(電磁弁15に相当)と、調圧リザーバ56と、還流管路Cと、補助管路Dと、を備えている。尚、差圧制御弁51は、マスタシリンダ230側(マスタシリンダ側)の部分の液圧とホイールシリンダ24,25側(ホイールシリンダ側)の部分の液圧との差圧を制御可能としている。ブレーキ制御装置6は、制御基板16を介して、これら各電磁弁を制御可能に設けられている。
【0049】
還流管路Cは、減圧管路B(又は、調圧リザーバ56)と、主管路Aにおける差圧制御弁51と増圧弁52,53の間の部分と、を接続する管路である。ポンプ57(ポンプ13に相当)は、モータ8(モータ12に相当)によって駆動されるポンプであって還流管路Cに設けられており、還流管路Cを介して、調圧リザーバ56からマスタシリンダ側又はホイールシリンダ側に流体(フルード)を流れさせる。ここで、ブレーキ制御装置6は、制御基板16を介して、モータ8の駆動を制御する。還流管路Cにおけるポンプ57の吐出側である還流管路Cの吐出側通路C1には、ダンパ7が配置されている。
【0050】
車両のブレーキ制御システムのアクチュエータ5に上述した液圧制御装置(駆動装置10)が適用された場合においても、ブレーキ制御装置6がモータ8を駆動させた際の寄生容量を接続電線16aと金属箔19との間に発生させることができる。これにより、ノイズ電流を意図した経路に従って流すことができる。
【0051】
本発明の実施にあたっては、上記実施形態及び上記各変形例に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変形が可能である。
【0052】
例えば、上記実施形態及び上記各変形例においては、導電部材としての金属箔19は、接続電線19aを介して制御基板16のグランド線16bに電気的に接続されるようにした。ところで、通常、車両に搭載された電源であるバッテリは、例えば、マイナス端子(グランド端子)が接地(ボディアース)されている。
【0053】
このため、金属箔19を、制御基板16を介することなく、バッテリ(電源)のグランド端子に接続電線19aを介して直接的に接続することも可能である。このように、電源(バッテリ)のグランド端子と金属箔19とを電気的に接続した場合であっても、ノイズ電流を意図した経路によって接地に流すことができるため、上記実施形態及び上記各変形例の場合と同様の効果が得られる。
【0054】
又、上記実施形態においては、金属箔19を第一樹脂モールド181の内周面181a上に設けるようにした。又、上記第一変形例においては、金属箔19を第一樹脂モールド181の外周面181b上に設けるようにした。これらに代えて、図8に示すように、金属箔19を第一樹脂モールド181に内蔵、即ち、内周面181aと外周面181bとの間に配置することも可能である。又、これらに代えて、図9に示すように、第一樹脂モールド181の内周面181aに設けられた金属箔19は、第一樹脂モールド181と第二樹脂モールド182とによって挟持されることも可能である。
【0055】
これらにより、例えば、第一樹脂モールド181及び第二樹脂モールド182を成形する場合、例えば、第一樹脂モールド181に金属箔19をインサートしてインサート成形したり、第一樹脂モールド181及び第二樹脂モールド182によって金属箔19が挟持されるようにインサート成形又は二色成形したりすることができる。従って、この場合には、上記実施形態及び上記第一変形例と同様の効果が得られることに加えて、駆動装置10の組み付け作業性を向上することができる。
【0056】
又、上記実施形態及び上記変形例においては、金属箔19に電気的に接続された接続電線19aを制御基板16に設けられたグランド線16bに接続するようにした。ここで、マイコン17はグランド端子17aを有している。従って、接続電線19aをマイコン17のグランド端子17aに電気的に接続することも可能である。このように、金属箔19が接続電線19aを介してマイコン17のグランド端子17aに電気的に接続された場合には、寄生容量に伴うノイズ電流は、接続電線19a、グランド端子17a及びグランド線16bを流れて接地されるため、上記実施形態及び上記変形例と同様の効果が得られる。
【0057】
更に、上記実施形態及び上記各変形例においては、駆動装置10が、導電部材として、第一樹脂モールド181の周方向及び軸方向に沿って連続する金属箔19を備えるようにした。これに代えて、駆動装置10が、第一樹脂モールド181の周方向及び軸方向に沿って部分的に不連続となる、例えば、網状の導電部材を備えることも可能である。この場合においても、導電部材と制御基板16のグランド線16bとが接続電線を介して電気的に接続されることにより、上記実施形態及び上記各変形例と同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0058】
10…駆動装置、11…ブロック(保持部材)、11a…モータ取付面、11b…ケース取付面、11c…流路、11d…貫通孔、11e…貫通孔、11e1…内周面、11f…支柱、12…モータ(駆動源)、12a…モータシャフト、12b…フランジ部、13…ポンプ、13a…ポンプシャフト、13b…ポンプインペラ、14…ケース、15…電磁弁、15a…コイル、16…制御基板(制御部)、16a…接続電線、16b…グランド線、17…マイコン(制御部)、17a…グランド端子、18…樹脂モールド(絶縁部材)、181…第一樹脂モールド(第一絶縁部材)、181a…内周面、181b…外周面、182…第二樹脂モールド(第二絶縁部材)、19…金属箔(導電部材)、19a…接続電線
図1
図2
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図7
図8
図9