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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-208399(P2019-208399A)
(43)【公開日】2019年12月12日
(54)【発明の名称】伐採用ワイヤ取付け装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 23/08 20060101AFI20191115BHJP
【FI】
   A01G23/08 501D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-105536(P2018-105536)
(22)【出願日】2018年5月31日
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【弁理士】
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(72)【発明者】
【氏名】山本 淳一郎
(72)【発明者】
【氏名】西山 文典
(72)【発明者】
【氏名】高山 博明
(72)【発明者】
【氏名】長谷 泰徳
(72)【発明者】
【氏名】桑田 雅之
(72)【発明者】
【氏名】山本 滉一朗
(72)【発明者】
【氏名】森本 大貴
(72)【発明者】
【氏名】内藤 直敬
(72)【発明者】
【氏名】岸本 健也
(72)【発明者】
【氏名】向井 一彦
(57)【要約】
【課題】 樹木への装着が簡単で、かつ、牽引中にワイヤが樹木から外れてしまうのを防ぐことが可能な伐採用ワイヤ取付け装置を提供する。
【解決手段】 伐採用ワイヤ取付け装置1は、樹木Wの幹の外周に装着されるワイヤ取付けユニット2と、ワイヤ取付けユニット2を樹木Wの幹の上部へ装着するための設置棒3とを備える。ワイヤ取付けユニット2は、円弧状に湾曲させて樹木Wの幹の外周へ装着するための開口部211を形成した本体部21を有し、開口部211は、設置棒3を軸回りで回転させることによって開閉部材22が移動することにより開閉される。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容空間を有する筒状体を円弧状に湾曲させて樹木の幹の外周へ装着するための開口部を設けた本体部と、
前記収容空間に挿通された円弧形状の開閉部材と、
前記開閉部材を前記本体部に収容して前記開口部を開放する開放位置と、前記開閉部材を前記本体部から突出させて前記開口部を閉塞する閉塞位置との間で移動させる開閉機構と、
前記開閉部材を前記閉塞位置でロックするロック部材と、
前記本体部が装着された樹木を伐採する際に、前記樹木を所定の方向へ倒すために牽引されるワイヤが着脱自在なワイヤ接続部と、
を備えるワイヤ取付けユニットと、
前記ワイヤ取付けユニットを樹木の幹の上部へ装着するために、前記ワイヤ取付けユニットに着脱自在に取り付けられる設置棒と、
を備えることを特徴とする伐採用ワイヤ取付け装置。
【請求項2】
前記開閉機構は、前記開閉部材の外側面に設けられた従動ギヤと、前記従動ギヤに噛合する駆動ギヤと、前記ワイヤ取付けユニットを樹木の幹の上部へ装着するために前記設置棒を把持した作業者がその手元側で前記駆動ギヤを操作するための操作手段と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の伐採用ワイヤ取付け装置。
【請求項3】
前記操作手段は、前記ワイヤ取付けユニットに軸周りで回転自在に装着される前記設置棒と、前記設置棒の回転を前記駆動ギヤに伝達する伝達部材と、
を含むことを特徴とする請求項2に記載の伐採用ワイヤ取付け装置。
【請求項4】
前記ワイヤ接続部の上方には、前記ワイヤの先端フックに連結されたロープが挿通されるロープ挿通部が設けられており、前記設置棒を利用して前記ワイヤ取付けユニットを樹木の幹の上部へ装着した後、前記ロープを牽引して前記先端フックを前記ワイヤ接続部の上方まで引き上げて前記ワイヤ接続部へ接続できるようにした、
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の伐採用ワイヤ取付け装置。
【請求項5】
前記本体部は、前記ワイヤによって牽引される牽引方向と反対側の方向の内周面に樹木に食い込む突起が設けられ、かつ、前記牽引方向と略直行する方向に前記開口部が設けられている、
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の伐採用ワイヤ取付け装置。
【請求項6】
前記設置棒は、軸方向に連結可能な複数本の短尺設置棒からなる、
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の伐採用ワイヤ取付け装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、伐採した樹木が安全な方向へ倒れるように牽引するためのワイヤを樹木に取り付ける伐採用ワイヤ取付け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
成長した樹木が送電線と接触して事故が発生するのを防ぐため、山間部の送電線付近では樹木の伐採作業が行なわれている。この伐採作業では、伐採された樹木が送電線側へ倒れるのを防ぐために、作業者が梯子や昇柱器などを利用して樹木に登り、ロープの一端を樹木の幹に結び付け、地上からロープを牽引して安全に倒せる方向(伐倒方向)へ誘導している。また、幹が太い樹木や樹高の高い樹木などを牽引する際にロープでは強度が足りない場合には、ロープの代わりにワイヤを使用して、チルホールと呼ばれるウィンチを利用してワイヤを牽引することも行われている。
【0003】
樹木を伐倒方向へ適切に誘導するには、ワイヤやロープを樹高の1/2以上の高さ位置に取り付けなければならない。そのため、樹高の高い樹木でのワイヤ取付け作業は危険を伴うことがある。特に偏心木などに昇るには、相当の熟練を要する。また、作業者の体重によって樹木が折れてしまう危険性もある。
【0004】
このような、危険な作業を行なわずに樹木を伐倒方向へ誘導できるようにするために、地上から樹木の高所へロープやワイヤを取り付けられるようにした立木の転倒誘導装置が考案されている(例えば、特許文献1参照)。この転倒誘導装置は、樹木の幹を挟み込んで保持するための湾曲部を相対向させてハサミ型に交差し、この交差部において互いに枢着させた一対のフック部材と、これら一対のフック部材の相対回動を湾曲部側が閉じる方向に許容するが開く方向に阻止するラチェット機構と、フック部材を樹木の幹の上部へ装着するためにフック部材に着脱自在に取り付けられる取付棒と、一対のフック部材を閉じる方向に回動させ、かつ伐倒方向への牽引、誘導に利用する操作ロープとを備えている。すなわち、この転倒誘導装置では、取付棒を利用して一対のフック部材を樹木の高所まで持ち上げ、操作ロープにより一対のフック部材を閉じて樹木の幹を挟み込み、ラチェット機構によりフック部材が開くのを阻止し、操作ロープを牽引して樹木を伐倒方向へ牽引する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平01−116042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の転倒誘導装置は、地上から一対のフック部材を操作した樹木の幹を挟み込むため、操作が難しい。また、フック部材がハサミのように開閉するため、フック部材の周囲に比較的大きな作業スペースが必要になり、枝が多い樹木や偏心木では、フック部材の十分な開閉スペースが確保できず、幹の適切な位置を挟み込むことができない場合が考えられる。さらに、樹木の幹を挟み込む構造では、操作ミスやラチェット機構の故障などでフック部材が開いてしまう可能性がある。例えば、伐採した樹木を牽引している際にフック部材による樹木の保持が外れてしまうと、樹木が伐倒方向以外に倒れて送電線事故や人身事故が発生する恐れがある。
【0007】
そこでこの発明は、樹木への装着が簡単で、かつ、牽引中にワイヤが樹木から外れてしまうのを防ぐことが可能な伐採用ワイヤ取付け装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、収容空間を有する筒状体を円弧状に湾曲させて樹木の幹の外周へ装着するための開口部を設けた本体部と、前記収容空間に挿通された円弧形状の開閉部材と、前記開閉部材を前記本体部に収容して前記開口部を開放する開放位置と、前記開閉部材を前記本体部から突出させて前記開口部を閉塞する閉塞位置との間で移動させる開閉機構と、前記開閉部材を前記閉塞位置でロックするロック部材と、前記本体部が装着された樹木を伐採する際に、前記樹木を所定の方向へ倒すために牽引されるワイヤが着脱自在なワイヤ接続部と、を備えるワイヤ取付けユニットと、前記ワイヤ取付けユニットを樹木の幹の上部へ装着するために、前記ワイヤ取付けユニットに着脱自在に取り付けられる設置棒と、を備えることを特徴とする伐採用ワイヤ取付け装置である。
【0009】
この発明によれば、設置棒を把持してワイヤ取付けユニットを樹木の幹の上部へと持ち上げ、開口部を利用して樹木の幹が本体部内に収容されるように幹の外周へ装着する。次いで、開閉機構により開閉部材を開放位置から閉塞位置へ移動させて開口部を閉じる。その後、ワイヤを牽引してワイヤ取付けユニットを樹木に当接させた状態で、設置棒をワイヤ取付けユニットから取り外し、樹木の伐採中にワイヤを牽引して伐倒方向へ誘導する。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1に記載の伐採用ワイヤ取付け装置であって、前記開閉機構は、前記開閉部材の外周面に設けられた従動ギヤと、前記従動ギヤに噛合する駆動ギヤと、前記ワイヤ取付けユニットを樹木の幹の上部へ装着するために前記設置棒を把持した作業者が、その手元側で前記駆動ギヤを操作するための操作手段と、を含むことを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、請求項2に記載の伐採用ワイヤ取付け装置であって、前記操作手段は、前記ワイヤ取付けユニットに軸周りで回転自在に装着される前記設置棒と、前記設置棒の回転を前記駆動ギヤに伝達する伝達部材と、を含むことを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の伐採用ワイヤ取付け装置であって、前記ワイヤ接続部の上方には、前記ワイヤの先端フックに連結されたロープが挿通されるロープ挿通部が設けられており、前記設置棒を利用して前記ワイヤ取付けユニットを樹木の幹の上部へ装着した後、前記ロープを牽引して前記先端フックを前記ワイヤ接続部の上方まで引き上げて前記ワイヤ接続部へ接続できるようにした、ことを特徴とする。
【0013】
請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の伐採用ワイヤ取付け装置であって、前記本体部は、前記ワイヤによって牽引される牽引方向と反対側の方向の内周面に、樹木に食い込む突起が設けられ、かつ、前記牽引方向と略直行する方向に前記開口部が設けられている、ことを特徴とする。
【0014】
請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の伐採用ワイヤ取付け装置であって、前記設置棒は、軸方向に連結可能な複数本の短尺設置棒からなる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、円弧状に湾曲させて開口部を形成した本体部を、その開口部を利用して樹木の幹の外周へ装着するようにしたので、ハサミのようなフック部材で樹木の幹を挟み込んで保持するようにした従来のものに比べて、より簡単に装着することができる。また、本体部に収容された円弧形状の開閉部材を開閉機構によって移動させて開口部を開閉するようにしたので、樹木の周囲に大きな作業スペースは不要であり、枝が多い樹木や偏心木であっても幹の適切な位置に装着することが可能である。さらに、開閉部材を閉塞位置でロックするロック部材を設けたので、樹木の牽引中に開閉部材が不用意に開放位置へ移動するのを防ぐことが可能である。また、ワイヤが着脱自在なワイヤ接続部を備えるので、樹木の大きさなどに応じて適切な太さ、長さのワイヤを接続することができ、伐採作業の安全性が向上する。さらにまた、ワイヤ取付けユニットを伐採される樹木の幹の上部へ装着するための設置棒を設けたので、樹高の高い樹木でも地上からワイヤを取り付けることが可能である。
【0016】
請求項2の発明によれば、開閉機構として、開閉部材の外周面に設けられた従動ギヤと、従動ギヤに噛合する駆動ギヤと、設置棒を把持した作業者がその手元側で駆動ギヤを操作するための操作手段とを備えているので、地上から樹木の上部に装着されたワイヤ取付けユニットの開閉部材を操作することができ、伐採作業の安全性が向上する。また、従動ギヤ、駆動ギヤ、操作手段という簡略な部品を利用し、かつ、少ない部品数で構成されているので、故障などの発生も抑えることが可能である。
【0017】
請求項3の発明によれば、操作手段として、ワイヤ取付けユニットに軸周りで回転自在に装着される設置棒と、設置棒の回転を駆動ギヤに伝達する伝達部材とから構成したので、設置棒を利用してワイヤ取付けユニットを樹木の幹の上部へ装着した後、そのまま設置棒から持ち替えることなく開閉部材の操作を行うことができ、作業性が大幅に向上する。
【0018】
請求項4の発明によれば、ワイヤ接続部の上方に、ワイヤの先端フックに連結されたロープが挿通されるロープ挿通部を設け、このロープ挿通部を利用して、ワイヤ取付けユニットを樹木の幹の上部へ装着した後に先端フックをワイヤ接続部に接続できるようにしたので、ワイヤ取付けユニットを樹木の上部まで持ち上げる際には、ワイヤと選択フックとの重量分だけ軽減することが可能になり、作業性が大幅に向上する。
【0019】
請求項5の発明によれば、本体部は、ワイヤによって牽引される牽引方向と反対側の方向の内周面に、樹木に食い込む突起が設けられているので、本体部を樹木の幹の外周面にしっかりと装着させることが可能である。また、牽引方向と略直行する方向に開口部が設けられているので、樹木の牽引中に開閉部材が移動して開口部が開放された場合でも、樹木が本体部から抜け出てしまうような事態は発生せず、伐採作業の安全性が向上する。
【0020】
請求項6の発明によれば、設置棒を軸方向に連結可能な複数本の短尺設置棒から構成したので、樹高に応じて設置棒の長さを調整することができ、作業性、取り扱い性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】この発明の実施の形態に係る伐採用ワイヤ取付け装置の構成を示す外観斜視図である。
図2図1の伐採用ワイヤ取付け装置の上面図であり、(A)は開閉部材22が開放位置にある状態を示し、(B)は開閉部材22が閉塞位置にある状態を示す。
図3図2(A)のA−A断面図である。
図4図1の伐採用ワイヤ取付け装置を樹木に装着した状態を示す斜視図であり、(A)は開閉部材22が開放位置にある状態を示し、(B)は開閉部材22が閉塞位置にある状態を示す。
図5図1の伐採用ワイヤ取付け装置において、ロープを利用してワイヤ接続部にワイヤフックを接続する手順を示す説明図である。
図6図1の伐採用ワイヤ取付け装置を利用した伐採作業を示す説明図であり、(A)は伐採用ワイヤ取付け装置を樹木に装着した状態を示し、(B)は根元に切り込みが設けられた樹木をワイヤで牽引する状態を示す。
図7図1の伐採用ワイヤ取付け装置の開閉機構を構成する操作手段として、スプロケットおよびチェーンを利用した例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0023】
図1図6は、この発明の実施の形態を示す。図1は、この実施の形態の伐採用ワイヤ取付け装置1を示す外観斜視図、図2は、伐採用ワイヤ取付け装置1の上面図、図3は、図2(A)のA−A断面図、図4は、伐採用ワイヤ取付け装置1を樹木Wに装着した状態を示す斜視図である。
【0024】
伐採用ワイヤ取付け装置1は、伐採した樹木が安全な方向へ倒れるように牽引するワイヤを樹木に取り付けるための装置であり、ワイヤ取付けユニット2と、設置棒3とを備える。ワイヤ取付けユニット2は、本体部21と、開閉部材22と、開閉機構23と、ロック部材24と、ワイヤ接続部25とを備える。ワイヤ取付けユニット2は、例えば、十数メートル程度の比較的大きな樹木Wを牽引可能な強度を得るために、金属で形成されている。
【0025】
本体部21は、収容空間21aを有する角筒状の筒状体を開口部211が形成されるように円弧状に湾曲させ、この開口部211を利用して樹木Wの幹の外周へ装着可能になっている。すなわち、本体部21は、略水平面に沿って湾曲された優弧(略C字状)形状をしており、円弧形状の一部が切り欠かれて形成された開口部211を利用して、略水平方向から樹木Wの幹の外周を本体部21の内径部内に挿入するように装着される。
【0026】
本体部21の外周には、略垂直方向に沿って延設された円筒形状の筒状部26が設けられている。筒状部26には、その下方から設置棒3が回転自在に挿入される。
【0027】
開閉部材22は、本体部21の収容空間21aに挿通された円弧形状の板状体である。開閉部材22は、本体部21の収容空間21a内で移動可能な円弧形状、すなわち、本体部21と略同一の中心軸を有する円弧形状をしており、図2(A)および図4(A)に示すように、本体部21に収容されて開口部211を開放する開放位置と、図2(B)および図4(B)に示すように、本体部21から突出されて開口部211を閉塞する閉塞位置との間で移動自在となっている。収容空間21a内には、開閉部材22を開放位置で停止させる開放位置ストッパ21bと、閉塞位置で停止させる閉塞位置ストッパ21cとが設けられている。
【0028】
開閉機構23は、開閉部材22の外周面に設けられた従動ギヤ221と、従動ギヤ221に噛合する駆動ギヤ231と、設置棒3と、設置棒3の先端に設けられた伝達部材4とから構成されており、設置棒3と伝達部材4は、ワイヤ取付けユニット2を樹木の幹の上部へ装着するために設置棒3を把持した作業者が、その手元側で駆動ギヤ231を操作するための操作手段に相当する。
【0029】
従動ギヤ221は、歯がのこぎり歯状をした、いわゆる爪歯車である。駆動ギヤ231は、筒状部26内に回転自在に収容されており、従動ギヤ221と同様に爪歯車である。本体部21の収容空間21aと、筒状部26の内径部26aとは、図3に示すように内部でつながっており、従動ギヤ221と駆動ギヤ231は、そのつながった空間内で噛合している。
【0030】
駆動ギヤ231は、その回転中心に、例えば六角形の係合孔231aが設けられており、この係合孔231aには、設置棒3の先端に設けられた六角棒状の伝達部材4が挿入される。設置棒3がその軸周りで時計方向に回転されると、その回転は伝達部材4を介して駆動ギヤ231に伝達される。駆動ギヤ231が時計方向に回転すると、これに噛合する従動ギヤ221によって開閉部材22が開放位置から閉塞位置へと移動する。また、これとは逆に、設置棒3がその軸周りで反時計方向に回転されると、その回転は伝達部材4を介して駆動ギヤ231に伝達され、これに噛合する従動ギヤ221によって開閉部材22が閉塞位置から開放位置へと移動する。
【0031】
ロック部材24は、開閉部材22を閉塞位置でロックするために設けられている。ロック部材24は、略中心部が本体部21に回動自在に軸支されたロックレバー241と、ロックレバー241を付勢するバネ242とから構成されている。ロックレバー241の一端には、従動ギヤ221に係合する爪が設けられており、本体部21の収容空間21aの出入口に対面している。ロックレバー241は、バネ242により、この一端側の爪が従動ギヤ221に係合する方向に付勢されている。
【0032】
これにより、ロック部材24は、従動ギヤ221が開放位置から閉塞位置へと向かう移動を許容し、かつ、閉塞位置から開放位置へと向かう移動を防ぐ。なお、開閉部材22を閉塞位置から開放位置へ移動させる場合には、バネ242の付勢に抗してロックレバー241を回動させてロックを解除する。
【0033】
ワイヤ接続部25は、略U字状に湾曲させた金属棒からなり、筒状部26の外周面、より詳しくは、筒状部26の本体部21と接する側とは反対側の外周面に水平方向に沿って設けられている。このワイヤ接続部25には、図4(A)に示すように、ワイヤ5の先端に設けられた先端フック6が着脱自在に接続され、ワイヤ5によるワイヤ取付けユニット2を介した樹木Wの牽引に利用される。
【0034】
ワイヤ5によってワイヤ取付けユニット2を牽引する際には、図2(B)に示すように、本体部21の円弧形状の中心と、ワイヤ接続部25とを結ぶ方向Tが牽引方向となる。本体部21には、この牽引方向Tと反対側の方向の内周面に、樹木Wに食い込む突起212が設けられている。また、本体部21の開口部211は、牽引方向Tと略直行する方向に設けられている。したがって、ワイヤ5による樹木Wの牽引中に、操作ミスや故障などによって開閉部材22が移動して開口部211が開放された場合でも、ワイヤ取付けユニット2が樹木Wから外れてしまうことはない。
【0035】
ワイヤ接続部25の上方には、ワイヤ5の先端フック6に連結されたロープが挿通されるロープ挿通部27が設けられている。ロープ挿通部27は、ワイヤ接続部25と同様に略U字状に湾曲させた金属棒からなり、垂直方向に沿って設けられている。伐採される樹木Wを牽引する場合、樹高の1/2以上の高さ位置にワイヤ5を設置しなければならないが、ワイヤ接続部25に先端フック6を接続した状態でワイヤ取付けユニット2を高所まで持ち上げるようにすると、ワイヤ5および先端フック6の重量によってその作業性が悪化し、最適な位置にワイヤ取付けユニット2を装着するのが難しくなる。ロープ挿通部27は、このような作業性の悪化を防ぐため、ワイヤ取付けユニット2を樹木Wの幹の上部まで持ち上げてから先端フック6をワイヤ接続部25に接続できるようにするために設けられている。
【0036】
具体的には、図5(A)に示すように、ロープ挿通部27に先端フック6に連結されたロープ7を挿通した状態で、ワイヤ取付けユニット2を樹木Wの幹の上部まで持ち上げて装着する。その際に、ワイヤ取付けユニット2にワイヤ5の重量が掛からないようにロープ7の長さに余裕を持たせておくのが望ましい。次いで、同図(B)に示すように、ロープ7を牽引して先端フック6をワイヤ接続部25の上方まで引き上げ、同図(C)に示すように、ロープ7の牽引を緩めてワイヤ5の牽引方向を調整することにより、先端フック6をワイヤ接続部25の近傍まで移動させる。これにより、同図(D)に示すように、先端フック6をワイヤ接続部25に接続させることができる。
【0037】
設置棒3は、先端設置棒31と、この先端設置棒31に対し軸方向に連結可能な複数本の短尺設置棒32とから構成されている。先端設置棒31および短尺設置棒32は、数十cm〜1m程度の長さとなっており、樹木Wの樹高に応じて連結本数が調整される。
【0038】
先端設置棒31は、ワイヤ取付けユニット2に装着される設置棒であり、円筒状の棒本体と311と、棒本体311の先端に設けられた細径部312と、細径部312の先端に設けられた六角棒状の伝達部材4と、棒本体311の後端に設けられた被連結部313とを備える。複数本の短尺設置棒32は、全て同じ形状をしており、円筒状の棒本体321と、棒本体321の先端に設けられた径の細い連結部322と、棒本体321の後端に設けられた被連結部323とを備える。先端設置棒31の被連結部313と、短尺設置棒32の被連結部323とは、同形状となっている。
【0039】
先端設置棒31は、細径部312がワイヤ取付けユニット2の筒状部26に回転自在に挿入され、被連結部313に短尺設置棒32の連結部322が挿入される。図3に示すように、連結部322には、外周面に対して挿脱自体とされたピン322aと、ピン322aを突出方向へ付勢する板バネ322bとが設けられており、被連結部313には、ピン322aが挿入される係合孔313aが設けられている。したがって、短尺設置棒32の回転操作は、先端設置棒31に確実に伝達される。
【0040】
次に、このような構成の伐採用ワイヤ取付け装置1を利用した樹木Wの伐採作業について説明する。作業者は、伐採用ワイヤ取付け装置1を山間部の送電線近傍まで運び込み、ワイヤ取付けユニット2に先端設置棒31を連結し、樹高に応じた本数の短尺設置棒32を先端設置棒31に連結する。
【0041】
樹高がそれほど高くない場合には、ワイヤ取付けユニット2のワイヤ接続部25にワイヤ5の先端フック6を接続する。樹高が高く、ワイヤ5の重量が作業性に影響を及ぼすおそれがある場合には、ワイヤ接続部25に先端フック6を接続せずに、ロープ挿通部27にワイヤ5が連結されたロープ7を挿通させ、ワイヤ取付けユニット2の装着後にワイヤ5の接続を行う。
【0042】
作業者は、図6(A)に示すように、設置棒3を把持してワイヤ取付けユニット2を樹木Wの上部まで持ち上げ、開口部211から樹木Wの幹を本体部21の円弧内に挿入する。次いで、本体部21の開口部211を閉じるために設置棒3を回転操作する。設置棒3の回転は、伝達部材4を介して駆動ギヤ231に伝達され、駆動ギヤ231の回転によって開閉部材22が開放位置から閉塞位置へと移動し、開口部211が閉じられる。
【0043】
その後、作業者は、ワイヤ5を牽引して突起212を樹木Wの幹に食い込ませ、その状態でワイヤ取付けユニット2から設置棒3を抜き取る。そして、樹木Wの伐採中にワイヤ5を牽引して安全な伐倒方向へ倒れるように誘導する。
【0044】
このように、この伐採用ワイヤ取付け装置1によれば、円弧状に湾曲させて開口部211を形成した本体部21を、その開口部211を利用して樹木Wの幹の外周へ装着するようにしたので、ハサミのようなフック部材で樹木Wの幹を挟み込んで保持するようにした従来のものに比べ、より簡単に装着することができる。また、本体部21に収容された円弧形状の開閉部材22を開閉機構23によって移動させて開口部211を開閉するようにしたので、樹木Wの周囲に大きな作業スペースは不要であり、枝が多い樹木や偏心木であっても幹の適切な位置に装着することが可能である。さらに、開閉部材22を閉塞位置でロックするロック部材24を設けたので、樹木Wの牽引中に開閉部材22が不用意に開放位置へ移動するのを防ぐことが可能である。また、ワイヤ5が着脱自在なワイヤ接続部25を備えるので、樹木Wの大きさなどに応じて適切な太さ、長さのワイヤ5を接続することができ、伐採作業の安全性が向上する。さらにまた、ワイヤ取付けユニット2を伐採される樹木Wの幹の上部へ装着するための設置棒3を設けたので、樹高の高い樹木Wでも地上からワイヤ5を取り付けることが可能である。
【0045】
また、開閉機構23として、開閉部材22の外周面に設けられた従動ギヤ221と、従動ギヤ221に噛合する駆動ギヤ231と、設置棒3を把持した作業者がその手元側で駆動ギヤ231を操作するための操作手段とを備えているので、地上から樹木Wの上部に装着されたワイヤ取付けユニット2の開閉部材22を操作することができ、伐採作業の安全性が向上する。また、従動ギヤ221、駆動ギヤ231、操作手段という簡略な部品を利用し、かつ、少ない部品数で構成されているので、故障などの発生も抑えることが可能である。
【0046】
さらに、操作手段として、ワイヤ取付けユニット2に軸周りで回転自在に装着される設置棒3と、設置棒3の回転を駆動ギヤ231に伝達する伝達部材4とから構成したので、設置棒3を利用してワイヤ取付けユニット2を樹木Wの幹の上部へ装着した後、そのまま設置棒3から持ち替えることなく開閉部材22の操作を行うことができ、作業性が大幅に向上する。
【0047】
また、ワイヤ接続部25の上方に、ワイヤ5の先端フック6に連結されたロープ7が挿通されるロープ挿通部27を設け、このロープ挿通部27を利用して、ワイヤ取付けユニット2を樹木Wの幹の上部へ装着した後から、先端フック6をワイヤ接続部25に接続できるようにしたので、ワイヤ取付けユニット2を樹木Wの上部まで持ち上げる際には、ワイヤ5と先端フック6との重量分だけ軽減することが可能になり、作業性が大幅に向上する。
【0048】
さらに、本体部21は、ワイヤ5によって牽引される牽引方向Tと反対側の方向の内周面に樹木Wに食い込む突起212が設けられているので、本体部21を樹木Tの幹の外周面にしっかりと装着させることが可能である。また、牽引方向Tと略直行する方向に開口部211が設けられているので、樹木Wの牽引中に何らかの異常で開閉部材22が移動して開口部211が開放された場合でも、樹木Wが本体部21から抜け出てしまうような事態は発生せず、伐採作業の安全性が向上する。
【0049】
また、設置棒3を軸方向に連結可能な複数本の短尺設置棒32から構成したので、樹高に応じて設置棒3の長さを調整することができ、作業性、取り扱い性が向上する。
【0050】
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、上記の実施の形態では、開閉機構23の操作手段として、設置棒3および伝達部材4を用いたが、これらに代えて、図7に示すように、筒状部26の側面に回転自在に支持されたスプロケット81と、スプロケット81に掛け回されたチェーン82とを用いてもよい。スプロケット81は、図示しない歯車列などによって駆動ギヤ231と連係されており、作業者がチェーン82を引いてスプロケット81を回転させると、その回転が歯車列を介して駆動ギヤ231に伝達され、開閉部材22が移動する。このように、開閉機構23の操作手段は、設置棒3に限定されるものではなく、設置棒3の手元側で操作可能なものであれば、各種形態を採用することが可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 伐採用ワイヤ取付け装置
2 ワイヤ取付けユニット
21 本体部
21a 収容空間
211 開口部
212 突起
22 開閉部材
221 従動ギヤ
23 開閉機構
231 駆動ギヤ
24 ロック部材
25 ワイヤ接続部
26 筒状部
27 ロープ挿通部
3 設置棒
31 先端設置棒
32 短尺設置棒
4 伝達部材
5 ワイヤ
6 ワイヤフック
7 ロープ
81 スプロケット
82 チェーン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7