【解決手段】把持するための長尺の柄部110と、柄部110に連結されるとともに鉛直方向の下方に向けて凹状に形成されたボウル部121を有するスプーン本体120と、を備え、柄部110は、スプーン本体120に連結されるとともに手指の先端を収容する凹部111aが形成された先端部111と、先端部111に連結されるとともに鉛直方向の上方に向けて突出する曲面形状を有する基端部112と、を有する調理用スプーン100を提供する。
前記柄部は、使用者の手掌の所定位置を前記曲面形状の頂部に配置した状態で、該使用者の手指の先端が前記凹部に収容可能となるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の調理用スプーン。
前記頂部における前記曲面形状の第1曲率半径は、前記凹部が最大深さとなる底部における第2曲率半径よりも大きいことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の調理用スプーン。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されるスプーンは、幼児に対して食事を与えるために用いられるものである。そのため、特許文献1に開示されるスプーンは、通常の食事用のスプーンと同様に、例えば、食材をすくうボウル部から離れた柄部の基端側を親指と人差し指と中指の三本の指で支えることで使用者により把持される。
しかしながら、指でスプーンを支えながら食材をすり潰す場合、指先の力だけで食材をすり潰す力をスプーンに与えるのは容易ではない。
【0005】
近年では、多量の食材をすり潰して予め冷凍保存しておき、それを解凍することで離乳食とすることが一般的となってきている。この場合、特許文献1に開示されるスプーンを用いて、指先の力だけで多量の食材をすり潰すには、多大な労力を要してしまう。また、使用者がスプーンを把持する部分に痛みが生じてしまう。特に、離乳食を作る機会の多い女性にとっては、手指の力だけで多量の食材をすり潰す作業の負担が大きい。
【0006】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、使用者に多大な労力や痛みを生じさせることなく多量の食材をすり潰すことが可能な調理用スプーンおよびそれを備えた調理セットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題は、本発明によれば、把持するための長尺の柄部と、前記柄部に連結されるとともに所定方向に向けて凹状に形成されたボウル部を有するスプーン本体と、を備え、前記柄部は、前記スプーン本体に連結されるとともに手指の先端を収容する凹部が形成された先端部と、前記先端部に連結されるとともに前記所定方向の反対方向に向けて突出する曲面形状を有する基端部と、を有することを特徴とする調理用スプーンにより解決される。
【0008】
前記構成に係る調理用スプーンによれば、先端部に凹部が形成されているため、手指の先端を凹部へ収納した状態とすることでスプーン本体の位置決めをすることができる。そのため、スプーン本体を位置決めするために指先に過大な力をかけることによって痛みが生じることがない。また、基端部は、ボウル部が凹む方向とは反対方向に向けて突出する曲面形状を有する。そのため、使用者は、指先の力に頼らずに、自身の体重および腕力に応じた荷重を手掌から調理用スプーンの基端部へ伝達することができる。また、荷重が曲面形状の各部に分散して伝達されるため、荷重が局所に集中して伝達される場合に比べて、使用者の手掌に多大な痛みを生じさせることがない。このように、前記構成に係る調理用スプーンによれば、使用者に多大な労力や痛みを生じさせることなく多量の食材をすり潰すことができる。
【0009】
本発明に係る調理用スプーンにおいて、好ましくは、前記柄部は、使用者の手掌の所定位置を前記曲面形状の頂部に配置した状態で、該使用者の手指の先端が前記凹部に収容可能となるように形成されていることを特徴とする。
前記構成に係る調理用スプーンによれば、使用者は、手掌の所定位置を基端部の曲面形状の頂部に配置した状態で、手指の先端を柄部の先端部に形成された凹部へ収納した状態として調理用スプーンを把持することができる。そのため、使用者は、指先の力に頼らずに、自身の体重および腕力に応じた荷重を手掌から調理用スプーンの基端部へ伝達することができる。使用者は、スプーン本体の底面を食材に突き当てた状態で基端部へ荷重を伝達することで、基端部からスプーン本体を介して食材に荷重を伝達して食材をすり潰すことができる。
【0010】
本発明に係る調理用スプーンにおいて、好ましくは、前記所定位置は、人差し指のMP関節の手掌側近傍であることを特徴とする。
前記構成に係る調理用スプーンによれば、使用者は、人差し指のMP関節の手掌側近傍を基端部の曲面形状の頂部に配置した状態で、人差し指の先端を柄部の先端部に形成された凹部へ収納した状態として調理用スプーンを把持することができる。この場合、使用者は、柄部を親指と中指で挟みながら柄部の位置を安定させ、指先の力に頼らずに、自身の体重および腕力に応じた荷重を手掌から調理用スプーンの基端部へ伝達することができる。
【0011】
本発明に係る調理用スプーンにおいて、好ましくは、前記頂部における前記曲面形状の第1曲率半径は、前記凹部が最大深さとなる底部における第2曲率半径よりも大きいことを特徴とする。
前記構成に係る調理用スプーンによれば、凹部の底部の第2曲率半径は使用者の手指の先端が収容される程度の大きさが確保されている。また、使用者の手掌の所定位置が配置される頂部の第1曲率半径が第2曲率半径よりも大きくなっており、頂部の曲面形状が凹部の底部よりも緩やかな形状となっている。そのため、自身の体重および腕力に応じた荷重が局所に集中して伝達されて使用者の手掌の所定位置に痛みが生じることが更に抑制される。
【0012】
前記課題は、本発明によれば、食材を収容するとともに前記所定方向に向けて凹んだ曲面形状を有するすり潰し容器と、上記のいずれかに記載の調理用スプーンと、を備える調理セットにより解決される。
前記構成の調理セットによれば、使用者に多大な労力や痛みを生じさせることなく多量の食材をすり潰すことが可能となる。
【0013】
本発明に係る調理用スプーンにおいては、好ましくは、前記すり潰し容器の前記曲面形状の第3曲率半径は、前記スプーン本体の底面の第4曲率半径よりも大きいことを特徴とする。
すり潰し容器の曲面形状の第3曲率半径がスプーン本体の底面の第4曲率半径よりも大きいため、すり潰し容器に載せた食材をすり潰し容器の内周面に接触するまでスプーン本体の底面を容易に押し当てることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、使用者に多大な労力や痛みを生じさせることなく多量の食材をすり潰すことが可能な調理用スプーンおよびそれを備えた調理セットを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0017】
以下、本発明の一実施形態に係る調理セット300について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る調理セット300を示す斜視図である。
図1に示すように、本実施形態の調理セット300は、食材を収容するとともに食材をすり潰すための溝部210が内周面201に形成されたすり潰し容器200と、すり潰し容器200に収容された食材を溝部210に押し付けて食材をすり潰す調理用スプーン100とを備える。ここで、食材とは、離乳食の調理対象となるものであり、例えば、米等の穀類、肉類、野菜類、果物類である。
【0018】
次に、調理セット300が備える調理用スプーン100について、図面を参照して説明する。本実施形態の調理用スプーン100は、食材をすり潰す機能を備えるとともに、すり潰した食材を掬い取って離乳食容器(図示略)に盛り付ける機能を備える。
図2の側面図に示すように、本実施形態の調理用スプーン100は、使用者が手で把持するための長尺の柄部110と、柄部110に連結されるスプーン本体120とを備える。調理用スプーン100は、柄部110とスプーン本体120とを樹脂材料(例えば、ポリプロピレン)により一体に形成されている。
【0019】
柄部110は、スプーン本体120に連結される先端部111と、先端部111に連結される基端部112とを有する。
先端部111には、柄部110を手で把持した使用者の手指(例えば、人差し指)を部分的に収容する凹部111aが形成されている。
【0020】
柄部110の基端部112は、スプーン本体120の上端部120aを水平面に沿って配置した場合に、鉛直方向の軸線Z1の上方に向けて突出する曲面形状を有する。この曲面形状は、頂部112aを鉛直方向の上端とした略球面状である。
図1に示すように、スプーン本体120は、食材を掬って収容するためのボウル部121と、食材を下方に押し付けるための底面122とを有する。
【0021】
ボウル部121は、上端部120aを水平面に沿って配置した場合に鉛直方向の軸線Z2の下方に向けて凹状に形成される部分である。ボウル部121には、球面状の内周面の複数個所に球面から突出する略半球状の突起部121a(
図5参照)を有する凹凸形状が形成されている。
スプーン本体120のボウル部121が鉛直方向の下方に向けて凹状に形成されるのに対し、柄部110の基端部112の曲面形状は鉛直方向の上方(下方の反対方向)に向けて突出して形成されている。
【0022】
底面122は、上端部120aを水平面に沿って配置した場合に鉛直方向の軸線Z2の下方に向けて突出する球面状に形成された部分である。底面122には、球面状の外周面の複数個所に球面から突出する略半球状の突起部122aを有する凹凸形状が形成されている。
【0023】
ここで、
図3および
図4を参照して、調理用スプーン100の使用状態について説明する。
図3は、
図2に示す調理用スプーン100の使用状態を示す図である。
図4は、
図2に示す調理用スプーン100の平面図である。
図3に示すように、調理用スプーン100の使用状態において、柄部110は、使用者の手掌の所定位置を曲面形状の頂部112aに配置した状態で、使用者の人差し指FG1の先端が凹部111aに収容可能となるように形成されている。
【0024】
頂部112aに配置される使用者の手掌の所定位置は、使用者の手Hの大きさや使用者毎の好みによって、使用者の手掌における任意の位置とすることができる。所定位置は、例えば、人差し指FG1のMP関節(中手指節関節)の手掌側近傍の位置とするのが望ましい。
【0025】
図4に示す平面図は、使用者が人差し指FG1のMP関節の手掌側近傍を頂部112aに配置した状態を示す。
図4に示すように、使用者の人差し指FG1の先端は、人差し指FG1のMP関節の手掌側近傍を頂部112aに配置した状態で凹部111aに収容される。使用者は、凹部111aに人差し指FG1の先端を収容した状態とし、かつ柄部110の先端部111の幅方向の両端を親指Thと中指FG2で挟むことで、柄部110を安定して把持することができる。
【0026】
使用者は、
図3および
図4に示すように調理用スプーン100を把持することで、使用者の体重および腕力に応じた荷重F1を、手掌から調理用スプーン100の基端部112へ伝達することができる。基端部112へ伝達された荷重F1は、基端部112からスプーン本体120を介して食材400に伝達される。食材400は、スプーン本体120の底面122から伝達された荷重F1により、すり潰し容器200の溝部210に挟まれた状態ですり潰される。
【0027】
次に、調理用スプーン100の断面形状について、
図5から
図8を参照して説明する。
図5は、
図4に示す調理用スプーン100のI-I矢視断面図である。
図6は、
図5に示す調理用スプーン100のII-II矢視断面図である。
図7は、
図5に示す調理用スプーン100のIII-III矢視断面図である。
図8は、
図5に示す調理用スプーン100のIV-IV矢視断面図である。
【0028】
図5に示すように、凹部111aは、先端側端部111bと基端側端部111cを結んだ直線に対する距離が最大深さDmaxとなる位置が底部111dとなる。
図5に示すように、基端部112の頂部112aから先端部111の底部111dまでの直線距離はL1となっている。L1は、例えば、50mm以上かつ70mm以下に設定するのが望ましい。L1を50mm以上に設定することで、凹部111aに人差し指FG1が保持された状態で頂部112aが人差し指FG1のMP関節の手掌側近傍まで到達しないことを回避できる。また、L1を70mm以下に設定することで、凹部111aに人差し指FG1が保持された状態で頂部112aが人差し指FG1のMP関節の手掌側近傍を通過した位置まで離れてしまうことを回避できる。
【0029】
図5に示すように、凹部111aは、先端側端部111bから底部111dまでの距離よりも基端側端部111cから底部111dまでの距離の方が長くなっている。このようにすることで、人差し指FG1の第1関節の先端が先端側端部111bに近い位置に収納され、人差し指FG1の第1関節部分が凹部111aに収容される。
図6に示すように、凹部111aは、柄部110の長手方向の長さが、柄部110の幅方向の長さよりも長い。そのため、凹部111aは、収納された人差し指FG1を柄部110の幅方向に位置ずれしないように保持することができる。
以上のように凹部111aが形成されているため、人差し指FG1を確実に収容して人差し指FG1の位置を保持することができる。
【0030】
図6に示すように、ボウル部121の幅方向の断面形状は、軸線Z2の下方に向けて凹む円弧状に形成されている。底面122の幅方向の断面形状は、軸線Z2の下方に向けて突出する円弧状に形成されている。ボウル部121と底面122に挟まれるスプーン本体120の肉厚は、調理用スプーン100の幅方向で略一定となっている。
【0031】
調理用スプーン100を正面からみた場合、柄部110の幅は、先端部111で最小幅Wminとなり、基端部112で最大幅Wmaxとなる。先端部111で最小幅Wminとなるため、使用者は、先端部111の幅方向の両端を親指Thと中指FG2で挟みつつ人差し指FG1を凹部111aに収容する動作を容易に行うことができる。
また、基端部112で最大幅Wmaxとなるため、使用者の手掌が接触する頂部112aを中心とした基端部112の面積は、人差し指FG1を保持する凹部111aの内周面の面積よりも十分に大きい。使用者は、頂部112aを中心とした基端部112の広い領域を手掌に接触させて使用者の体重および腕力に応じた荷重F1を基端部112に伝達することができる。
【0032】
図7に示すように、柄部110の幅方向において、頂部112aにおける曲面形状の曲率半径は第1曲率半径R1となっている。
図7の第1曲率半径R1は、柄部110の幅方向における曲率半径であるが、他の方向についても同一の曲率半径となっている。第1曲率半径R1は、例えば、15mm以上かつ25mm以下とするのが望ましい。第1曲率半径R1を15mm以上とすることで、頂部112aの近傍が変化の大きい曲面形状となって使用者の手掌に多大な痛みを生じさせることを抑制できる。また、第1曲率半径R1を25mm以下とすることで、頂部112aの近傍が過剰に緩やかな曲面形状となって使用者の手掌で把持しにくくなることを抑制できる。
【0033】
図8に示すように、柄部110の幅方向において、凹部111aが最大深さDmaxとなる底部111dにおける曲率半径は第2曲率半径R2となっている。第2曲率半径R2は、例えば、10mm以上かつ20mm以下とするのが望ましい。第2曲率半径R2を10mm以上とすることで、凹部111aの底部111dまで使用者の人差し指FG1が接触しなくなることを抑制できる。また、第2曲率半径R2を20mm以下とすることで、使用者の人差し指FG1が凹部111aで安定して位置決めされずに動いてしまうことを抑制できる。
図7に示す第1曲率半径R1は、
図8に示す第2曲率半径R2よりも大きくするのが望ましい。第1曲率半径R1を第2曲率半径R2よりも大きくすることで、人差し指FG1を収容する部分の曲率に比べて頂部112aの曲面形状の曲率を大きくし、使用者の手掌に痛みが生じすることを抑制することができる。
【0034】
次に、調理セット300が備えるすり潰し容器200について、図面を参照して説明する。本実施形態のすり潰し容器200は、食材を収容するとともに食材をすり潰すための容器である。
図9は、
図1に示すすり潰し容器200の側面図である。
図10は、
図9に示すすり潰し容器200のV-V矢視断面図である。
図11は、
図10に示すすり潰し容器200のVI-VI矢視断面図である。
【0035】
図9から
図11に示すように、すり潰し容器200は、容器本体220と、容器本体220の両端部の上面に設けられた一対の持ち手230と、容器本体220の下端に設けられた足部240と、を備える。
容器本体220は、
図9に示す一方向が長く
図10に示す他方向(
図9の方向と直交する方向)の長さが短い形状となっている。容器本体220の長手方向の長さはL2であり、容器本体220の短手方向の長さはL3である。
【0036】
容器本体220は、長手方向の一端部221および他端部222に、半球をさらに半分に分割した四半球状の内周面を有する。
図10に示すように、容器本体220は、一端部221と他端部222の間に本体部223を挟む形状で樹脂材料により一体に形成されている。
図10に示すように、容器本体220は、鉛直方向の下方に向けて凹んだ曲面形状を有する。
【0037】
図10および
図11に示すように、容器本体220の内周面には、一部の領域に溝部210が形成されており、その他の部分には溝部210が形成されていない。使用者は、溝部210に食材を載せて調理用スプーン100で食材を溝部210に押し付けることにより、食材をすり潰すことができる。また、使用者は、溝部210ですり潰した食材を、調理用スプーン100で溝部210以外の領域に移動させることで、すり潰した食材を容易に調理用スプーン100で掬うことができる。
【0038】
図10に示すように、容器本体220は、容器本体220の上端部220aに対する距離が最大となる底部220bにおいて、内周面の曲面形状の曲率半径が第3曲率半径R3となる。第3曲率半径R3は、スプーン本体120の底面122の第4曲率半径R4(
図6参照)よりも大きい。
図10に示す第3曲率半径R3は、例えば、40mm以上かつ80mm以下とするのが望ましい。第3曲率半径R3を40mm以上とすることで、容器本体220の底部220bが変化の大きい曲面形状となって食材をすり潰しにくくなることを抑制できる。
【0039】
また、第3曲率半径R3を80mm以下とすることで、底部220bが過剰に緩やかな曲面形状となって底部220bから食材を掬いにくくなることを抑制できる。
図6に示すスプーン本体120の底面122の第4曲率半径R4は、例えば、20mm以上かつ25mm以下とするのが望ましい。第4曲率半径R4を20mm以上とすることで、底面122が変化の大きい曲面形状となって食材との接触面積が低下することを抑制できる。また、第4曲率半径R4を25mm以下とすることで、底面122が過剰に緩やかな曲面形状となって容器本体220の底部220bに食材を押し付けにくくなることを抑制できる。
【0040】
以上説明した本実施形態の調理セット300が奏する作用および効果について説明する。
本実施形態の調理用スプーン100によれば、使用者は、手掌の所定位置を基端部112の曲面形状の頂部112aに配置した状態で、人差し指FG1の先端を柄部110の先端部111に形成された凹部111aへ収納した状態として調理用スプーン100を把持することができる。そのため、使用者は、指先の力に頼らずに、自身の体重および腕力に応じた荷重F1を手掌から調理用スプーン100の基端部112へ伝達することができる。使用者は、スプーン本体120の底面122を食材400に突き当てた状態で基端部112へ荷重F1を伝達することで、基端部112からスプーン本体120を介して食材400に荷重F1を伝達して食材をすり潰すことができる。
【0041】
また、使用者の手掌の所定位置が配置される頂部112aが曲面形状となっており、荷重F1が曲面形状の各部に分散して伝達される。そのため、荷重F1が局所に集中して伝達される場合に比べて、使用者の手掌に多大な痛みを生じさせることがない。また、人差し指FG1の先端を凹部111aへ収納した状態とすることでスプーン本体120の位置決めをすることができるので、スプーン本体120を位置決めするために指先に過大な力をかけることによって痛みが生じることがない。このように、本実施形態の調理用スプーン100によれば、使用者に多大な労力や痛みを生じさせることなく多量の食材400をすり潰すことができる。
【0042】
頂部112aに配置する所定位置は、人差し指のMP関節の手掌側近傍であることが望ましい。使用者は、人差し指のMP関節の手掌側近傍を基端部112の曲面形状の頂部112aに配置した状態で、人差し指FG1の先端を柄部110の先端部111に形成された凹部111aへ収納した状態として調理用スプーン100を把持することができる。この場合、使用者は、柄部110を親指Thと中指FG2で挟みながら柄部110の位置を安定させ、指先の力に頼らずに、自身の体重および腕力に応じた荷重F1を手掌から調理用スプーン100の基端部112へ伝達することができる。
【0043】
また、本実施形態の調理用スプーン100によれば、スプーン本体120の底面122に凹凸形状が形成されているため、粘着性のある食材をすり潰す場合に、食材がスプーン本体120の底面122から剥がれやすくなる。また、凹凸加工が施されていない場合に比べ、食材を押しつぶす際に食材が滑らないように押さえつけることが容易になる。
【0044】
また、本実施形態の調理用スプーン100によれば、ボウル部121には凹凸加工が施されているため、粘着性のある食材がボウル部121の内周面に付着することを抑制し、ボウル部121から収納容器等への食材の取り分けを容易に行うことができる。
【0045】
また、本実施形態の調理用スプーン100によれば、頂部112aの第1曲率半径R1を、使用者の人差し指FG1の先端が収容される凹部111aの底部111dの第2曲率半径R2よりも大きくし、自身の体重および腕力に応じた荷重F1が局所に集中して伝達されることを抑制することができる。そのため、使用者の手掌の所定位置に痛みが生じることが更に抑制される。例えば、第1曲率半径R1を、15mm以上かつ25mm以下に設定することで、使用者の手掌の所定位置に痛みが生じること抑制することができる。
【0046】
また、本実施形態の調理用スプーン100によれば、基端部112の頂部112aから先端部111の底部111dまでの直線距離L1を50mm以上かつ70mm以下とすることで、人差し指FG1のMP関節の手掌側近傍を頂部に配置した状態で、人差し指FG1の先端を柄部110の先端部111に形成された凹部111aへ収納した状態に適切に保持することができる。
【0047】
また、本実施形態の調理セット300によれば、すり潰し容器200の曲面形状の第3曲率半径R3がスプーン本体120の底面122の第4曲率半径R4よりも大きいため、すり潰し容器200に載せた食材をすり潰し容器200の内周面に接触するまでスプーン本体120の底面122を容易に押し当てることができる。
【0048】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。上記実施形態の構成は、その一部を省略したり、上記とは異なるように任意に組み合わせたりすることができる。