【解決手段】バルーンカテーテルは、シャフトと、拡張可能な膜で作製されたバルーンと、可撓性基材と、1つ以上の電極と、1つ以上の放射線不透過性フラグと、を含む。シャフトは、患者の心臓に挿入するように構成されている。バルーンは、シャフトの遠位端に装着される。可撓性基材は、膜上に配設される。1つ以上の電極は、可撓性基材の上に配設され、魚骨形の構成を有する。1つ以上の放射線不透過性フラグは、拡張可能な膜に結合され、1つ以上の放射線不透過性フラグは、拡張可能な膜が圧縮構成又は折り重ねられた構成に畳み込まれる際に、放射線不透過性フラグが可撓性基材と合わせて折り重ねられるように、蛇行パターンを含む。
前記膜の上に配設された灌注孔を含み、前記灌注孔の一部は、前記電極で覆われた領域上に分配され、前記灌注孔のうちの他のものは、前記電極で覆われた領域の間に分配されている、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
前記放射線不透過性フラグが、X線撮像されたときに前記バルーンカテーテルの向きを示すために、異なる形状でパターン化された少なくとも第1のフラグと第2のフラグとを含む、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
前記可撓性基材が、前記可撓性基材の前記膜への接着を増大させるように構成されているパターン化されたトポグラフィーを含む、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
前記膜の上に灌注孔を配設することを含み、前記灌注孔の一部は、前記電極で覆われた領域上に分配され、前記灌注孔のうちの他のものは、前記電極で覆われた領域の間に分配される、請求項8に記載の方法。
前記放射線不透過性フラグを配設することが、X線撮像されたときに前記バルーンカテーテルの向きを示すために、異なる形状でパターン化された少なくとも第1の放射線不透過性フラグと第2の放射線不透過性フラグとを配設することを含む、請求項8に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
様々な既知のカテーテル設計は、その遠位端に装着された膨張可能なアブレーションバルーンを有する。例えば、米国特許出願公開第2011/0118632号は、環状アブレーション領域に超音波を方向付け、超音波の焦点を合わせることによって心房細動を治療する心臓アブレーション装置について説明する。装置と肺静脈又は口との係合を参照することなく、アブレーション装置を、操縦し、かつ位置決めすることができる。ある実施形態では、装置は、膨張状態において最大直径約32mmの構造バルーンの内側に位置する。
【0003】
別の例として、米国特許出願公開第2010/0114269号は、近位部分及び遠位部分を有するカテーテル本体と、細長い本体内に配設された流体注入ルーメンと、細長い本体内に配設されたガイドワイヤルーメンと、を含み得る医療装置について説明する。流体注入ルーメンと流体連通する空洞を画定する先端部分は、ガイドワイヤルーメンの遠位端に連結されてもよく、拡張可能な要素は、拡張可能な要素が流体注入ルーメンと流体連通するように、カテーテル本体の遠位部分及び先端部分に連結されてもよい。成形要素は、拡張可能要素を少なくとも部分的に取り囲むことができ、成形要素は、第1の幾何学的構成及び第2の幾何学的構成で構成可能である。第1の幾何学的構成は、約23mmの直径を含むことができ、第2の幾何学的構成は、約32mmの直径を含むことができる。
【0004】
米国特許出願公開第2017/0312022号は、肺静脈口における使用のための灌注式バルーンカテーテルについて説明し、このカテーテルは、バルーンが膨張すると、口に周接するように適合されたフレックス回路電極アセンブリを備える。バルーンカテーテルは、診断用途及び処置用途並びに診断法及び処置手技の両方に適合し、ラッソカテーテル又は局所カテーテルと共に使用することができる。フレキシブル回路電極アセンブリは、基板と、基板の外側表面上のコンタクト電極であって、コンタクト電極は、長手方向細長部分及び複数の横断方向フィンガー部を有する「魚骨形」の構成を有する、コンタクト電極と、基板の内側表面上の配線電極と、コンタクト電極と書込電極とを電気的に連結する基板を通って延在する導電性ビアと、を備える。排除ゾーンを有する微小電極は、電極に対して諸条件、効果などを十分に考慮して位置づけられている。電極はまた、電極部分に分割することができる。
【0005】
米国特許出願公開第2002/0160134号は、主要バルーンと、人体に配置された主要バルーンの膨張状態を視覚的に示すパイロットバルーンシステムと、を有するバルーンカテーテルについて説明する。小型パイロットバルーンは、実質的に同じ材料を利用してブロー成形によって簡便に製造され、主バルーンと実質的に同じ構造を有する。パイロットバルーンは、バルーンを有するカテーテル又はカフを有する管に有用であり、バルーン又はカフは非常に弾性のある材料で作製される。3つの異なる膨張圧での主要バルーン及びパイロットバルーンの直径は、それぞれ25cmH2Oで31mm及び16mm、34cmH2Oで32mm及び17mm、並びに56cmH2Oで34mm及び18mmであった。
【発明を実施するための形態】
【0017】
概論
拡張可能なアブレーションバルーンは、心臓血管系を通ってナビゲートされ、例えば肺静脈の口をアブレーションするために心臓内に挿入されるカテーテルの遠位端に装着されてもよい。バルーンは、静脈に不注意に入らないように十分に大きくするべきであるが、狭い血管を通してバルーンを前進させることを可能にする十分にコンパクトな形態で詰め込まれる必要がある。更なる課題は、治療後にバルーンを身体から除去するために、このようなバルーンの安全な畳み込み及びカテーテルシースへの後退を確実にすることである。本明細書で任意の数値や数値の範囲について用いる「約」又は「およそ」という用語は、構成要素の部分又は構成要素の集合が、本明細書で述べるその所望の目的に沿って機能することを可能とするような適当な寸法の許容誤差を示すものである。より具体的には、「約」又は「およそ」は、挙げられた値の±10%の値の範囲を指し得、例えば、「約90%」は、81%〜99%の値の範囲を指し得る。更に、本明細書で使用するとき「患者」、「ホスト」、「ユーザ」、及び「被験者」という用語は、任意の被験者又は被験動物を指し、システム又は方法をヒトにおける使用に限定することを目的としたものではないが、ヒト患者における本発明の使用は、好ましい実施形態を代表するものである。
【0018】
以下に記載される本発明の実施形態は、肺静脈に入らない程度に十分に大きい直径を有するアブレーションバルーンの確実な畳み込み及びシースへの後退を可能にする。いくつかの実施形態では、必要なバルーン直径は、膨張時に約32ミリメートルに設定される。電極及び放射線不透過性フラグなどのバルーン膜(すなわち、壁)上に配設された要素は、バルーンが潰れる際に剥離力に耐えるように構成されており、その間、より大きな膜は、伸張し、かつ/又は折り目を展開する。
【0019】
具体的には、要素は、他の方法で膜からの要素の層間剥離を引き起こし得る、かつ/又は他の方法でバルーンの十分な畳み込みを妨げ得る応力に対応するように、共形に伸張し、かつ/又は折り重なるように設計されている。追加的に又は代替的に、要素のうちの少なくともいくつかは、過剰な伸張に起因して生じ得るような応力を制限するように設計される。
【0020】
要素のうちの1つは、可撓性基材上に配設された放射線不透過性フラグであり、それ自体がバルーン膜に取り付けられる(例えば、バルーン壁の外側表面上に接着される)。放射線不透過性フラグ、可撓性基材、及び膜は、バルーンを畳み込み、バルーンをカテーテルのシース内に安全に引き抜くことを可能にするように一緒に伸張し、かつ/又は折り重なるように、全て設計され、互いに取り付けられている。
【0021】
いくつかの実施形態では、放射線不透過性フラグは、共形に伸張しかつ/又は折り重なる(すなわち、拡張可能な膜が圧縮された構成又は折り重ねられた構成に畳み込まれる際に、可撓性基材と合わせて折り重なる)ことを可能にするために、蛇行パターンを備えて設計される。同じ理由で、可撓性基材は、パターン化されたトポグラフィー、例えば十字パターントポグラフィー若しくはマトリクス又は他のパターンの止まり穴/形状などを含み、これは、可撓性基材のバルーン膜への接着を増加させ、膜に接着された後に、グリップ領域を増加させるように構成される。このようにして、可撓性基材及び膜は、互いに共形に伸張し、かつ/又は折り重なり、バルーンが畳み込まれたときに無傷のままである。
【0022】
本発明の実施形態では、1つ以上の放射線不透過性フラグは、以下に更に詳述するように、バルーンカテーテルの向きを示すための形状でパターン化され、操作者に方向及び向きの誘導を提供する。いくつかの実施形態では、磁気位置センサは、バルーンのすぐ近位のカテーテルシャフト内に配設され、その結果、磁気位置追跡システムは、バルーンのナビゲーションを支援することができる。
【0023】
ある実施形態では、可撓性基材の上に配設されたアブレーション電極は、長手方向(すなわち、シャフトの遠位端に平行な)細長い部分と複数の横断方向フィンガー部とを有する魚骨形の構成を有する。この構成は、電極の伸張及び/又は折り重ねを容易にし、それによってバルーンの畳み込み中、及びバルーンのシースへの後退中に剥離しないようになる。
【0024】
いくつかの実施形態では、灌注孔は膜上に分散されている。灌注孔のいくつかは、電極で覆われた領域上に分配され、一方、他の灌注孔は、電極で覆われた領域の間に分配されている。バルーンの表面上の灌注孔の均一な分布は、アブレーション中の組織及び血液のより信頼性が高く均一な冷却を確実にすることができる。
【0025】
開示された解決策は、バルーンをカテーテルシース内に安全に後退させるために、大きなバルーンを十分にコンパクトな形態に畳み込むことを可能にし、これは、そうでなければ、達成することが非常に困難であり得、臨床手技中に、実行を試みるために潜在的に安全でない場合がある。開示される拡張バルーン直径は、肺静脈口を安全にアブレーションするのに十分に大きく、その後、患者の心臓から安全に後退させるのに十分大きい。
【0026】
システムの説明
図1は、本発明の実施形態による、カテーテルに基づく位置追跡及びRFアブレーションバルーン40を備えるアブレーションシステム20の概略絵画図である。システム20は、カテーテル21を備え、挿入
図25に見られるように、カテーテル21のシャフト22の遠位端22aは、シース23を通って台29の上に横になっている患者28の心臓26の中へ挿入される。挿入
図25に更に示されるとおり、遠位端22aは、バルーン40のすぐ近位の遠位端22a内に入れられている磁気センサ39を備える。
【0027】
カテーテル21の近位端は、制御コンソール24に接続されている。本明細書に述べられる実施形態では、カテーテル21は、心臓26内の組織の電気的検知及び/又はアブレーションなどの任意の好適な治療及び/又は診断目的で使用することができる。
【0028】
心臓26内の遠位端22aのナビゲーションの間、コンソール24は、例えば、心臓内のアブレーションバルーン40の位置を測定し、任意選択的に、追跡された位置をディスプレイ27上に提示する目的のために、外部磁場発生器36からの磁場に応答して磁気センサ39から信号を受信する。磁場発生器36は、例えば、患者の台29の下など、患者28の外部の既知の位置に配置される。コンソール24はまた、磁場発生器36を駆動するよう構成されているドライバー回路34を備えている。
【0029】
ある実施形態では、位置センサ39から受信した位置信号は、位置追跡及びアブレーションシステム20の座標系におけるアブレーションバルーン40の位置を示す。外部磁場を使用するこの位置検知方法は、様々な医療用途において、例えば、Biosense Webster Inc.(Irvine,California)により製造されているCARTO(商標)システムに実装されており、米国特許第5,391,199号、同第6,690,963号、同第6,484,118号、同第6,239,724号、同第6,618,612号及び同第6,332,089号、国際公開第96/05768号、並びに米国特許出願公開第2002/0065455(A1)号、同第2003/0120150(A1)号及び同第2004/0068178(A1)号に詳述されており、これらの開示は全て参照により本明細書に組み込まれる。
【0030】
医師30は、カテーテルの近位端付近にあるマニピュレータ32を用いて、かつ/又はシース23からの偏向を用いて、シャフト22を操作することによって、心臓26内の標的位置へシャフト22の遠位端をナビゲートする。シャフト22の挿入中に、バルーン40は、シース23によって畳み込まれた構成で維持されている。バルーン40を畳み込まれた構成で収容することにより、シース23はまた、標的位置までの経路に沿った血管外傷を最小限に抑える働きをする。
【0031】
制御コンソール24は、カテーテル21からの信号を受信するとともに、心臓26内でカテーテル21を介して治療を施し、更にシステム20の他の構成要素を制御するための好適なフロントエンド及びインタフェース回路38を備えたプロセッサ41、通常は汎用コンピュータを備える。プロセッサ41は、通常、本明細書に記載されている機能を実行するようにプログラムされたソフトウェアと共に汎用コンピュータを備える。ソフトウェアは、例えばネットワーク上で、コンピュータに電子形態でダウンロードすることができるか、又は代替として、又は更には、磁気メモリ、光学メモリ又は電子メモリなどの、非一過性の有形媒体上で提供及び/又は記憶されてもよい。
【0032】
図1に示されている例となる構成は、概念を明確化する目的のみで選択されている。本開示技法は、他のシステム構成要素及び設定を使用して、同様に適用することができる。例えば、システム20は、他の構成要素を含み、非心臓切除処置を実行してもよい。
【0033】
強化された大径のバルーンカテーテル
図2は、本発明の実施形態による、
図1からのバルーンカテーテル40の概略絵画図である。見られるように、バルーン40は、シース23から突出する(シャフト22の)遠位端22aに装着されている。磁気位置センサ39は、バルーン40のすぐ近位で遠位端22a内に収容される。拡張可能なバルーン40は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリウレタン、又はPEBAX(登録商標)などのプラスチックから形成された生体適合性材料からなる外壁又は膜43を有する。アブレーション電極46は、可撓性基材44上のバルーン40の上に円周状に配設される。
【0034】
バルーン40は、長手方向軸線を画定する遠位端及び近位端を有する。いくつかの実施形態では、バルーン40は、「バルーンアドバンサ」ロッド(図示せず)を使用して拡張され、収縮される(すなわち、畳み込まれる)。ロッドは、シャフト22から外向きに延在して、バルーン40を長手方向に伸張して楕円形状にすることができる。バルーンに球状の形状を与えることをやめてもよい。バルーンアドバンサロッドは、バルーンを生理食塩水で充填することがバルーンの皮を更に引き締めて球形の形状にする間に、バルーン40の形状を球状構成と楕円形構成との間で変化させるための主要機構である。
【0035】
いくつかの実施形態では、バルーン40は、アブレーション中に組織及び血液を冷却するために生理食塩水溶液が灌注される灌注孔47a及び47bを備える。孔47aは、電極46によって覆われた領域内に配置される一方、孔47bは、電極46によって覆われた領域間の膜43上に位置する。
【0036】
いくつかの実施形態では、放射線不透過性フラグ52は、異なる蛇行形状でパターン化される。本発明の実施形態では、異なる形状の放射線不透過性フラグ52は、以下に更に詳述するように、向き及び方向の誘導を提供する。互いに異なる形態を有する2つ以上の放射線不透過性マーカーを備えた電気生理学カテーテルは、2018年3月28日出願の「Irrigated Electrophysiology Catheter with Distinguishable Electrodes for Multi−Electrode Identification and Orientation Under 2−D Visualization」と題する米国特許出願第15/939,154号に記載されており、これは本特許出願の譲受人に譲渡され、その開示が参照により本明細書に組み込まれる。
【0037】
バルーン40の直径は、膨張時、膜43の外側の赤道45によって画定され、赤道は、遠位端22aの軸に垂直な平面内にある。いくつかの実施形態では、膨張時、バルーン赤道直径(すなわち、赤道45の直径)は、およそ32ミリメートルである。
【0038】
図2の挿入
図42は、畳み込まれた状態のバルーン40の断面図を示す(例えば、シース23内に後退させる準備が整っている)。挿入
図42に見られるようにバルーンが畳み込まれたときに、膜43及び可撓性基材44は、エクステンダロッドによって主に伸長されているが、依然として折り目を展開することができる。このような折り目は、可撓性基材44、又は可撓性基材44上に配設された要素に応力をかけ、これは層間剥離をもたらし得る。バルーンの直径が増加するにつれて、バルーンは強制的に畳み込まれるので、より顕著な折り重ねが生じ得、したがって層間剥離力が増加する。更に、いくつかの配設された要素が、軸方向又は横方向のいずれかで硬すぎる場合、バルーンを十分に畳み込んでシース23内に安全に後退させることが妨げられ得る。本発明のいくつかの実施形態では、膜上に配設された要素は、これらの要素及び膜が、上述の問題を回避するために、
図3の詳細な記述で説明されるように、互いに共形に、軸方向に伸張及び/又は横方向に折り重なることになるように設計されている。
【0039】
灌注式バルーンアブレーションカテーテルは、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、「Irrigated balloon catheter with flexible circuit electrode assembly」と題された米国特許出願公開第2017/0312022号に記載されている。
【0040】
図2に示されている例示的な図は、単に概念を明確化する目的のために選ばれたものである。アブレーション電極46などの他のサイズのバルーン40及びその構成要素の様々な構成が可能である。膨張時、バルーン40の赤道直径は、32ミリメートルより大きくても小さくてもよい。
【0041】
図3は、本発明の実施形態による、フレキシブル回路電極アセンブリの詳細な概略絵画平面図である。ある実施形態では、アブレーション電極46は、「魚骨」形態を有し、有利には、組織と電極46の周方向又は赤道の接触面を増加させる。同時に、魚骨形態は、バルーン40が遠位端22aの周りで十分に緊密な形態に畳み込まれることを可能にするように、共形に、より容易に伸張し、かつ/又は折り重なる。
【0042】
図3に見られるように、放射線不透過性フラグ又はマーカー52は、バルーン40が畳み込まれる際に、放射線不透過性フラグ52が可撓性基材44と共形に畳み込まれることを可能にするために、蛇行形状でパターン化される。また、電極46によって覆われていない領域に位置する灌注孔47aも見られる。
【0043】
ある実施形態では、例えば、Vectran(登録商標)のような液晶ポリマー(LCP)又は例えば、Dyneema(登録商標)などの超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)から作製された糸又は繊維60は、可撓性基材44の一端から他端まで膜43と可撓性基材44との間を延びる。糸60の高い弾性率により、糸又は繊維は、任意の軸方向の伸張を制限する一方で、バルーン40は畳み込まれ、これは他の方法で層間剥離を引き起こす可能性がある。糸はまた、その細い遠位尾部で可撓性基材44の引き裂きを防止し、これは、伸長を制限するいかなる金属も有しない。糸は、可撓性基材44に取り付けられた任意の電気回路を損傷する危険なしに内部生理食塩水溶液を排出するように、(膜43を取り巻くことにより)ルーメン上のバルーンアドバンサロッドを用いて有意な遠位力の適用を可能にする。
【0044】
可撓性基材44の縁部区域44a上の拡大は、可撓性基材44が膜43に接着された後に、可撓性基材44の膜43への接着を強化するために、縁部区域44a内に配置された十字パターン50のトポグラフィー(すなわち、「ワッフル」パターン)を示す。ワッフルパターンは、接着剤のグリップ領域を増加させることによって必要な接着力を提供し、その両方が接着を強化し、バルーン40がシース23への後退のために畳み込まれる際に生じる基材44に作用する剥離力に耐える。
図3に更に見られるように、可撓性基材44上の拡大において、複数の穿孔50がパターン化され、穿孔50は、基材44を膜43に固着するための接着剤を受容するように構成されている。
【0045】
図3に示されている例示の平面図は、概念を明確化する目的のみで選択されている。他の材料を使用してもよい。例えば、糸60をパラアラミドで作製してもよい。
図4に見られる放射線不透過性フラグ52の代替的な実施形態では、以下に説明するように、剥離に耐えるための異なる解決策が例示される。
【0046】
図4は、本発明の別の実施形態による、フレキシブル回路電極アセンブリの絵画平面図である。見られるように、放射線不透過性フラグ53は、放射線不透過性フラグが長手方向により容易に伸張することを可能にするために、放射線不透過性フラグ53a及び53bに分割される。更に、放射線不透過性フラグ53aは、X線によって撮像されたときの向きを示すために、中空の三角形の形態を有する。
【0047】
図5は、本発明の実施形態による、放射線不透過性フラグ52の空間的配置の概略的な絵画平面図である。可撓性基材44の薄い灰色の輪郭も見ることができる。向きを示すために、10個の示された放射線不透過性フラグ52のうちのいくつかは、固有の特徴でパターン化される。
図5に示すように、放射線不透過性フラグ52(1〜10で番号付けされている)を第1のタイプのフラグ及び第2のタイプのフラグに分割することができる。フラグ52aなどの第1のタイプのフラグは、明確な特徴を有する。第2のタイプのフラグは、他のものと同一であり、例えば、全てが平坦線を含む。フラグ52は、このように、心臓26の室内で、電極46の向き、それにより全体としてのバルーン40の向きを医師30に示すように設計されている。例えば、放射線不透過性フラグ52aは、中空矢印のパターンを含み、放射線不透過性フラグ52bは、完全な矢印のパターンを含む。
【0048】
図5に示されている例は、単に概念を明確化する目的のために選ばれたものである。他のパターンを設計し、使用することができる。
図5の固有にパターン化された放射線不透過性フラグの数及び配置は、例としてもたらされ、通常変化してもよい。
【0049】
図6は、本発明の実施形態による、X線撮像で見られるような、バルーン上の放射線不透過性フラグ52の絵画調ボリュームレンダリングである。
図6に示すように、バルーン40のX線画像は、放射線不透過性フラグ52a及び52bを解決して、医師30にバルーン40の空間的方向の感覚を示すことができる。
【0050】
本明細書に記述される実施形態は、主として心臓バルーンカテーテルに関するものであるが、本明細書に記載される方法及びシステムは例えば耳鼻咽喉科学又は神経学の手術などの他の用途で用いることもできる。
【0051】
したがって、上記に述べた実施形態は、例として引用したものであり、また本発明は、上記に具体的に示し説明したものに限定されないことが理解されよう。むしろ本発明の範囲は、上述の様々な特徴の組み合わせ及びその一部の組み合わせの両方、並びに上述の説明を読むことで当業者により想到されるであろう、また従来技術において開示されていないそれらの変形及び修正を含むものである。参照により本特許出願に援用される文献は、これらの援用文献において、いずれかの用語が本明細書において明示的又は暗示的になされた定義と矛盾して定義されている場合には、本明細書における定義のみを考慮するものとする点を除き、本出願の一部とみなすものとする。
【0052】
〔実施の態様〕
(1) バルーンカテーテルであって、
患者の心臓に挿入するように構成されているシャフトと、
前記シャフトの遠位端に装着された、拡張可能な膜で作製されたバルーンと、
前記膜上に配設されている可撓性基材と、
前記可撓性基材の上に配設され、魚骨形の構成を有する1つ以上の電極と、
前記拡張可能な膜に結合されている1つ以上の放射線不透過性フラグであって、前記拡張可能な膜が圧縮構成又は折り重ねられた構成に畳み込まれる際に、前記放射線不透過性フラグが可撓性基材と合わせて折り重ねられるように、蛇行パターンを含む、1つ以上の放射線不透過性フラグと、を備えるバルーンカテーテル。
(2) 前記膜の上に配設された灌注孔を含み、前記灌注孔の一部は、前記電極で覆われた領域上に分配され、前記灌注孔のうちの他のものは、前記電極で覆われた領域の間に分配されている、実施態様1に記載のバルーンカテーテル。
(3) 前記放射線不透過性フラグが、X線撮像されたときに前記バルーンカテーテルの向きを示すために、異なる形状でパターン化された少なくとも第1のフラグと第2のフラグとを含む、実施態様1に記載のバルーンカテーテル。
(4) 前記バルーンの近位に配設された磁気位置センサを備える、実施態様1に記載のバルーンカテーテル。
(5) 前記膜と前記可撓性基材との間に配設された糸を含む、実施態様1に記載のバルーンカテーテル。
【0053】
(6) 前記糸が、超高分子量繊維又は液晶ポリマー繊維のうちの1つから選択される、実施態様5に記載のバルーンカテーテル。
(7) 前記可撓性基材が、前記可撓性基材の前記膜への接着を増大させるように構成されているパターン化されたトポグラフィーを含む、実施態様1に記載のバルーンカテーテル。
(8) バルーンカテーテルを製造するための方法であって、
患者の心臓に挿入するように構成されているシャフトを提供することと、
前記シャフトの遠位端に、拡張可能な膜で作製されたバルーンを装着することと、
前記膜上に可撓性基材を配設することと、
前記可撓性基材の上に、魚骨形の構成を有する1つ以上の電極を配設することと、
前記可撓性基材の上に、蛇行パターンを有する1つ以上の放射線不透過性フラグを配設することと、
前記電極及び蛇行放射線不透過性フラグを、圧縮構成において前記膜とぴったり一致させることと、を含む方法。
(9) 前記膜の上に灌注孔を配設することを含み、前記灌注孔の一部は、前記電極で覆われた領域上に分配され、前記灌注孔のうちの他のものは、前記電極で覆われた領域の間に分配される、実施態様8に記載の方法。
(10) 前記放射線不透過性フラグを配設することが、X線撮像されたときに前記バルーンカテーテルの向きを示すために、異なる形状でパターン化された少なくとも第1の放射線不透過性フラグと第2の放射線不透過性フラグとを配設することを含む、実施態様8に記載の方法。
【0054】
(11) 前記バルーンの近位に磁気位置センサを配設することを含む、実施態様8に記載の方法。
(12) 前記膜と前記可撓性基材との間に糸を配設することを含む、実施態様8に記載の方法。
(13) 前記可撓性基材内にパターン化されたトポグラフィーを含むことによって、前記可撓性基材の前記膜への接着を増大させることを含む、実施態様8に記載の方法。