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特開2019-209296制御装置、制御システム、制御方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-209296(P2019-209296A)
(43)【公開日】2019年12月12日
(54)【発明の名称】制御装置、制御システム、制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   B02C 25/00 20060101AFI20191115BHJP
   B02C 4/02 20060101ALI20191115BHJP
   H02P 29/00 20160101ALI20191115BHJP
【FI】
   B02C25/00 B
   B02C4/02
   H02P29/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-109827(P2018-109827)
(22)【出願日】2018年6月7日
(71)【出願人】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱日立パワーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100210572
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 太一
(72)【発明者】
【氏名】森下 靖
(72)【発明者】
【氏名】永渕 尚之
(72)【発明者】
【氏名】園田 隆
(72)【発明者】
【氏名】露木 和弘
【テーマコード(参考)】
4D063
4D067
5H501
【Fターム(参考)】
4D063CC01
4D067FF02
4D067FF04
4D067FF15
4D067GA04
4D067GA17
4D067GB04
5H501AA22
5H501DD01
5H501JJ04
5H501JJ17
5H501JJ25
5H501KK07
5H501LL22
(57)【要約】
【課題】石炭の性状に応じて自動的に適切に粉砕機を制御する。
【解決手段】制御装置は、粉砕機の電動機に入力される電気に係る物理量の計測値を、少なくとも電動機の電源電流の周波数以上の周波数で取得し、取得された計測値の時系列に基づいて粉砕機に制御信号を出力する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉砕対象物を粉砕する粉砕機の制御装置であって、
前記粉砕機の電動機に入力される電気に係る物理量の計測値を、少なくとも前記電動機の電源電流の周波数以上の周波数で取得する計測値取得部と、
取得された前記計測値の時系列に基づいて前記粉砕機に制御信号を出力する制御部と、
を備える制御装置。
【請求項2】
前記粉砕対象物の性状別に、前記電動機に入力される電気に係る物理量の時系列を記憶する性状記憶部と、
前記性状記憶部が記憶する時系列と、取得された前記計測値の時系列とに基づいて、前記粉砕対象物の性状を特定する性状特定部と
をさらに備え、
前記制御部は、特定された前記性状に基づいて前記粉砕機に制御信号を出力する
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記計測値の時系列の周波数解析により周波数スペクトルを特定する周波数解析部をさらに備え、
前記制御部は、前記計測値の時系列の周波数スペクトルに基づいて前記粉砕機に制御信号を出力する
請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記粉砕対象物の性状別に、前記電動機に入力される電気に係る物理量の周波数スペクトルを記憶する性状記憶部と、
前記性状記憶部が記憶する周波数スペクトルと、周波数解析により得られた周波数スペクトルとに基づいて、前記粉砕対象物の性状を特定する性状特定部と
をさらに備え、
前記制御部は、特定された前記性状に基づいて前記粉砕機に制御信号を出力する
請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記計測値の時系列の経時的な変化に基づいて、前記粉砕対象物の性状の変化の有無を判定する性状変化判定部
をさらに備える請求項1から請求項4の何れか1項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記粉砕対象物の性状別に、前記電動機に入力される電気に係る物理量の時系列および前記電動機に入力される電気に係る物理量の周波数スペクトルの少なくとも一方を記憶する性状記憶部と、
前記性状記憶部が記憶する周波数スペクトルと周波数解析により得られた前記周波数スペクトルとの比較、または前記性状記憶部が記憶する時系列と取得された前記計測値の時系列との比較、の何れか一方に基づいて前記粉砕対象物の性状を特定する性状特定部と、
周波数解析により得られた前記周波数スペクトル、および取得された前記計測値の時系列、のうち前記性状の特定に用いられないものの経時的な変化に基づいて、前記粉砕対象物の性状の変化の有無を判定する性状変化判定部と
をさらに備える請求項5に記載の制御装置。
【請求項7】
前記性状特定部は、直近の前記計測値の時系列と、過去の前記計測値の時系列との偏差の累積に基づいて、前記性状を特定する
請求項4または請求項6に記載の制御装置。
【請求項8】
前記粉砕対象物の性状別に、前記電動機に入力される電気に係る物理量の周波数スペクトルを記憶する性状記憶部を備え、
前記性状変化判定部は、周波数解析により得られた周波数スペクトルと、前記性状記憶部が記憶する性状別の前記周波数スペクトルそれぞれとのパターンマッチングにより、前記粉砕対象物の性状の変化の有無を判定する
請求項5または請求項6に記載の制御装置。
【請求項9】
前記粉砕対象物の性状別に、制御信号の補正に係るパラメータを記憶する補正パラメータ記憶部と、
特定された前記性状と前記補正パラメータ記憶部が記憶する情報とに基づいて、制御信号の補正量を特定する補正量特定部と、
をさらに備え、
前記制御部は、前記特定された補正量に基づいて補正された制御信号を、前記粉砕機に出力する
請求項1から請求項8の何れか1項に記載の制御装置。
【請求項10】
前記性状記憶部は、前記電動機に入力される電気に係る物理量の時系列に係る情報と、前記粉砕対象物の性状との組み合わせを教師データとして、前記時系列に係る情報を入力とし、前記粉砕対象物の性状を出力とするように学習された学習モデルを記憶し、
前記性状特定部は、前記学習モデルによって前記粉砕対象物の性状を特定する
請求項2または請求項4に記載の制御装置。
【請求項11】
前記性状記憶部は、前記電動機に入力される電気に係る物理量の時系列に係る情報と、前記粉砕対象物の性状の変化の有無との組み合わせを教師データとして、前記時系列に係る情報を入力とし、前記粉砕対象物の性状の変化の有無を出力とするように学習された学習モデルを記憶し、
前記性状変化判定部は、前記学習モデルによって前記粉砕対象物の性状の変化の有無を判定する
請求項6に記載の制御装置。
【請求項12】
前記計測値取得部は、前記粉砕機が備える複数の電動機のうち第1の電動機に入力される電気に係る物理量の計測値を取得し、
前記制御部は、前記複数の電動機のうち、前記第1の電動機より前記粉砕対象物の流れ方向の下流側に設けられる第2の電動機に、前記制御信号を出力する
請求項1から請求項11の何れか1項に記載の制御装置。
【請求項13】
前記第1の電動機は、前記粉砕機のテーブルを回転させる電動機であって、
前記第2の電動機は、前記粉砕機のロータリセパレータを回転させる電動機である
請求項12に記載の制御装置。
【請求項14】
前記粉砕機は、微粉砕機であって、
前記電動機は、誘導電動機であって、
前記粉砕対象物は石炭およびバイオマスの少なくとも一方である
請求項1から請求項13の何れか1項に記載の制御装置。
【請求項15】
粉砕対象物を粉砕する粉砕機の制御装置であって、
前記粉砕機の電動機への入力電流の計測値を、少なくとも前記電動機の電源電流の周波数相当のサンプリング周期で取得する計測値取得部と、
前記粉砕機に制御信号を出力する制御部と、
を備える制御装置と、
前記制御装置と遠隔に設けられ、前記計測値取得部が取得した前記計測値の時系列に基づいて、前記制御信号に係る計算を行う演算装置と
を備える制御システム。
【請求項16】
前記制御装置は、複数の粉砕機を制御する複数の制御装置の1つであって、
前記演算装置は、前記複数の制御装置が取得した前記計測値の時系列それぞれに基づいて、各制御装置における前記制御信号に係る計算を行う
請求項15に記載の制御システム。
【請求項17】
粉砕対象物を粉砕する粉砕機の制御方法であって、
前記粉砕機の電動機に入力される電気に係る物理量の計測値を、少なくとも前記電動機の電源電流の周波数相当のサンプリング周期で取得するステップと、
取得された前記計測値の時系列に基づいて前記粉砕機に制御信号を出力するステップと、
を有する制御方法。
【請求項18】
コンピュータに、
粉砕機の電動機に入力される電気に係る物理量の計測値を、少なくとも前記電動機の電源電流の周波数相当のサンプリング周期で取得するステップと、
取得された前記計測値の時系列に基づいて前記粉砕機に制御信号を出力するステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉砕対象物を粉砕する粉砕機の制御装置、制御システム、制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
石炭焚火力発電所には、石炭を粉砕して微粉炭を生成するミル(粉砕機)が設けられる。ミルは、回転により石炭の微粒と粗粒とに分離するロータリセパレータを備える。ミルから供給される石炭の微粉度は、ロータリセパレータの回転数によって制御される。すなわち、ロータリセパレータの回転数が高いほど供給される石炭の微粉度は高くなる。一方、投入される石炭の量および石炭の炭種によって、同じ微粉度を得るための回転数が変化する。
特許文献1には、石炭の投入量および炭種に応じてロータリセパレータの回転数を制御する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−239287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の技術においては、オペレータが投入する石炭の炭種を入力することで、制御装置が石炭の炭種を特定する。しかしながら、石炭の炭種を予め特定していたとしても、実際に焚いてみないとどのような炭であるかを精度よく把握することが困難である。つまり、同じ炭種に係る石炭であっても、それぞれの性質(硬度など)にはある程度のばらつきがあるため、同一の炭種の石炭について同じ制御を行ったとしても、その微粉度にばらつきが生じる可能性がある。
本発明の目的は、石炭の性状に応じて自動的に適切に粉砕機を制御する制御装置、制御システム、制御方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様によれば、制御装置は、粉砕対象物を粉砕する粉砕機の制御装置であって、前記粉砕機の電動機に入力される電気に係る物理量の計測値を、少なくとも前記電動機の電源電流の周波数以上の周波数で取得する計測値取得部と、取得された前記計測値の時系列に基づいて前記粉砕機に制御信号を出力する制御部と、を備える。
【0006】
本発明の第2の態様によれば、第1の態様に係る制御装置が、前記粉砕対象物の性状別に、前記電動機に入力される電気に係る物理量の時系列を記憶する性状記憶部と、前記性状記憶部が記憶する時系列と、取得された前記計測値の時系列とに基づいて、前記粉砕対象物の性状を特定する性状特定部とをさらに備え、前記制御部は、特定された前記性状に基づいて前記粉砕機に制御信号を出力するものであってよい。
【0007】
本発明の第3の態様によれば、第1の態様に係る制御装置が、前記計測値の時系列の周波数解析により周波数スペクトルを特定する周波数解析部をさらに備え、前記制御部は、前記計測値の時系列の周波数スペクトルに基づいて前記粉砕機に制御信号を出力するものであってよい。
【0008】
本発明の第4の態様によれば、第3の態様に係る制御装置が、前記粉砕対象物の性状別に、前記電動機に入力される電気に係る物理量の周波数スペクトルを記憶する性状記憶部と、前記性状記憶部が記憶する周波数スペクトルと、周波数解析により得られた周波数スペクトルとに基づいて、前記粉砕対象物の性状を特定する性状特定部とをさらに備え、前記制御部は、特定された前記性状に基づいて前記粉砕機に制御信号を出力するものであってよい。
【0009】
本発明の第5の態様によれば、第1から第4の何れかの態様に係る制御装置が、前記計測値の時系列の経時的な変化に基づいて、前記粉砕対象物の性状の変化の有無を判定する性状変化判定部をさらに備えるものであってよい。
【0010】
本発明の第6の態様によれば、第5の態様に係る制御装置が、前記粉砕対象物の性状別に、前記電動機に入力される電気に係る物理量の時系列および前記電動機に入力される電気に係る物理量の周波数スペクトルの少なくとも一方を記憶する性状記憶部と、前記性状記憶部が記憶する周波数スペクトルと周波数解析により得られた前記周波数スペクトルとの比較、または前記性状記憶部が記憶する時系列と取得された前記計測値の時系列との比較、の何れか一方に基づいて前記粉砕対象物の性状を特定する性状特定部と、周波数解析により得られた前記周波数スペクトル、および取得された前記計測値の時系列、のうち前記性状の特定に用いられないものの経時的な変化に基づいて、前記粉砕対象物の性状の変化の有無を判定する性状変化判定部とをさらに備えるものであってよい。
【0011】
本発明の第7の態様によれば、第4または第6の態様に係る制御装置において、前記性状特定部は、直近の前記計測値の時系列と、過去の前記計測値の時系列との偏差の累積に基づいて、前記性状を特定するものであってよい。
【0012】
本発明の第8の態様によれば、第5または第6の態様に係る制御装置が、前記粉砕対象物の性状別に、前記電動機に入力される電気に係る物理量の周波数スペクトルを記憶する性状記憶部を備え、前記性状変化判定部は、周波数解析により得られた周波数スペクトルと、前記性状記憶部が記憶する性状別の前記周波数スペクトルそれぞれとのパターンマッチングにより、前記粉砕対象物の性状の変化の有無を判定するものであってよい。
【0013】
本発明の第9の態様によれば、第1から第8の何れかの態様に係る制御装置が、前記粉砕対象物の性状別に、制御信号の補正に係るパラメータを記憶する補正パラメータ記憶部と、特定された前記性状と前記補正パラメータ記憶部が記憶する情報とに基づいて、制御信号の補正量を特定する補正量特定部と、をさらに備え、前記制御部は、前記特定された補正量に基づいて補正された制御信号を、前記粉砕機に出力するものであってよい。
【0014】
本発明の第10の態様によれば、第2または第4の態様に係る制御装置において、前記性状記憶部は、前記電動機に入力される電気に係る物理量の時系列に係る情報と、前記粉砕対象物の性状との組み合わせを教師データとして、前記時系列に係る情報を入力とし、前記粉砕対象物の性状を出力とするように学習された学習モデルを記憶し、前記性状特定部は、前記学習モデルによって前記粉砕対象物の性状を特定するものであってよい。
【0015】
本発明の第11の態様によれば、第6の態様に係る制御装置において、前記性状記憶部は、前記電動機に入力される電気に係る物理量の時系列に係る情報と、前記粉砕対象物の性状の変化の有無との組み合わせを教師データとして、前記時系列に係る情報を入力とし、前記粉砕対象物の性状の変化の有無を出力とするように学習された学習モデルを記憶し、前記性状変化判定部は、前記学習モデルによって前記粉砕対象物の性状の変化の有無を判定するものであってよい。
【0016】
本発明の第12の態様によれば、第1から第11の何れかの態様に係る制御装置が、前記計測値取得部は、前記粉砕機が備える複数の電動機のうち第1の電動機に入力される電気に係る物理量の計測値を取得し、前記制御部は、前記複数の電動機のうち、前記第1の電動機より前記粉砕対象物の流れ方向の下流側に設けられる第2の電動機に、前記制御信号を出力するものであってよい。
【0017】
本発明の第13の態様によれば、第12の態様に係る制御装置において、前記第1の電動機は、前記粉砕機のテーブルを回転させる電動機であって、前記第2の電動機は、前記粉砕機のロータリセパレータを回転させる電動機であるものであってよい。
【0018】
本発明の第14の態様によれば、第1から第13の何れかの態様に係る制御装置において、前記粉砕機は、微粉砕機であって、前記電動機は、誘導電動機であって、前記粉砕対象物は石炭およびバイオマスの少なくとも一方であるものであってよい。
【0019】
本発明の第15の態様によれば、制御システムは、粉砕対象物を粉砕する粉砕機の制御装置であって、前記粉砕機の電動機への入力電流の計測値を、少なくとも前記電動機の電源電流の周波数相当のサンプリング周期で取得する計測値取得部と、前記粉砕機に制御信号を出力する制御部と、を備える制御装置と、前記制御装置と遠隔に設けられ、前記計測値取得部が取得した前記計測値の時系列に基づいて、前記制御信号に係る計算を行う演算装置とを備える。
【0020】
本発明の第16の態様によれば、第15の態様に係る制御システムにおいて、前記制御装置は、複数の粉砕機を制御する複数の制御装置の1つであって、前記演算装置は、前記複数の制御装置が取得した前記計測値の時系列それぞれに基づいて、各制御装置における前記制御信号に係る計算を行うものであってよい。
【0021】
本発明の第17の態様によれば、制御方法は、粉砕対象物を粉砕する粉砕機の制御方法であって、前記粉砕機の電動機に入力される電気に係る物理量の計測値を、少なくとも前記電動機の電源電流の周波数相当のサンプリング周期で取得するステップと、取得された前記計測値の時系列に基づいて前記粉砕機に制御信号を出力するステップと、を有する。
【0022】
本発明の第18の態様によれば、プログラムは、コンピュータに、粉砕機の電動機に入力される電気に係る物理量の計測値を、少なくとも前記電動機の電源電流の周波数相当のサンプリング周期で取得するステップと、取得された前記計測値の時系列に基づいて前記粉砕機に制御信号を出力するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0023】
上記態様のうち少なくとも1つの態様によれば、制御装置は、石炭の性状に応じて自動的に適切に粉砕機を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】第1の実施形態に係るローラミルの構成を示す図である。
図2】テーブルモータの入力電流の周波数分析結果の例を示す図である。
図3】第1の実施形態に係る制御装置の構成を示す概略ブロック図である。
図4】第1の実施形態に係るローラミルの制御装置の動作を示すフローチャートである。
図5】第2の実施形態に係るローラミルの制御装置の動作を示すフローチャートである。
図6】第3の実施形態に係る制御装置の構成を示す概略ブロック図である。
図7】第3の実施形態に係るローラミルの制御装置の動作を示すフローチャートである。
図8】他の実施形態に係る制御システムの構成を示す概略図である。
図9】少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
〈第1の実施形態〉
《ローラミルの構成》
図1は、第1の実施形態に係るローラミルの構成を示す図である。
ローラミル100は、円筒形のケーシング101の上部に図示しない石炭バンカからの石炭の供給を受け入れる給炭口102と、粉砕された石炭が排出される出炭口103とを備える。ローラミル100は、ケーシング101の下部に給炭口102から供給された石炭が載るテーブル104を備える。テーブル104は、テーブルモータ105によって回転する。テーブルモータ105には、入力電流を計測する電流計111が設けられる。テーブル104の上にはテーブル104を押圧するローラ106が設けられる。ローラ106は、ローラモータ107によって回転する。テーブル104に載った石炭は、回転するテーブル104とローラ106との間に噛みこまれることで、粉砕される。
【0026】
ローラミル100は、テーブル104の下方に、一次空気が吹き込まれる空気吹込口108を備える。空気吹込口108から吹き込まれた一次空気は、テーブル104とケーシング101の間の間隙を抜けてケーシング101内を吹き上がる。粉砕された石炭は、ケーシング101内を吹き上がる一次空気によって上昇する。
【0027】
ローラミル100は、テーブル104と出炭口103との間に、回転することで粉砕された石炭を分級するロータリセパレータ109を備える。ロータリセパレータ109は、セパレータモータ110によって回転する。一次空気によって吹き上げられた石炭は、ロータリセパレータ109に導かれ、ロータリセパレータ109の回転により、比較的粗い粒子(粗粒)と比較的細かい粒子(微粒)とに分級される。粗粒は、テーブル104上に落下し、ローラ106によって再粉砕される。他方、微粒は、ロータリセパレータ109を通過し、出炭口103から図示しない燃焼装置へ出炭される。ローラミル100は、微粉砕機の一例である。
【0028】
セパレータモータ110の回転は、制御装置200によって制御される。制御装置200は、電流計111が計測するテーブルモータ105の入力電流に基づいて、セパレータモータ110に制御信号を出力する。テーブルモータ105の入力電流は、電動機に入力される電気に係る物理量の一例である。電流計111による入力電流のサンプリング周波数は、少なくとも入力電流の周波数以上であることが好ましい。また、サンプリング周波数は、入力電流の周波数の2倍以上であることがより好ましい。これは、実験の結果、ローラミル100の入力電流に石炭の粉砕による振動の影響が表れること、この影響が入力電流の電源周波数を中心に表れること、およびこの影響により入力電流の波形が石炭の炭種によって異なることが分かったためである。なお、特許文献1などの技術においても入力電流は検出されるが、そのサンプリング周波数は1Hz程度であり、石炭の炭種の影響を見出すことはできなかった。セパレータモータ110は、例えば誘導電動機によって実現される。
【0029】
図2は、テーブルモータの入力電流の周波数分析結果の例を示す図である。図2において、実線および破線は、それぞれ異なる炭種の石炭を粉砕したときの入力電流の周波数スペクトルを示す。図2に示すように、粉砕される石炭の炭種によって、電源電流の周波数を中心として、周波数スペクトルに広がりが表れる。そのため、電源電流周波数以上の入力電流の周波数スペクトルと、各炭種の標準的な周波数スペクトルとを比較することで、粉砕中の石炭の炭種を特定することができる。同様に、電源電流周波数以上のサンプリング周波数で得られた入力電流波形と、各炭種の標準的な電流波形とを比較することでも、粉砕中の石炭の炭種を特定することができる。なお、石炭は粉砕対象物の一例であり、石炭の炭種は、粉砕対象物の性状の一例である。
【0030】
《制御装置の構成》
図3は、第1の実施形態に係る制御装置の構成を示す概略ブロック図である。
制御装置200は、計測値取得部201、計測値記憶部202、周波数解析部203、性状記憶部204、性状特定部205、性状変化判定部206、補正値決定部207、トルク指令取得部208、補正部209、制御部210を備える。制御装置200は、制御システムの一例である。
【0031】
計測値取得部201は、電流計111からテーブルモータ105の入力電流の計測値を取得する。計測値取得部201は、取得した計測値を時系列として計測値記憶部202に記録する。これにより、計測値記憶部202は、電源電流周波数以上のサンプリング周波数に係る計測値の時系列を記憶する。なお、計測値取得部201は、入力電流として、三相交流電流の値を取得した場合、各相の電流値を計測値記憶部202に記録してもよいし、電流値の平均値を記録してもよい。
【0032】
周波数解析部203は、計測値記憶部202が記憶する計測値の時系列のうち直近の解析対象時間(例えば1秒以上)に係る部分時系列を周波数変換し、周波数スペクトルを得る。
【0033】
性状記憶部204は、石炭の炭種に関連付けて、当該炭種に係る石炭を粉砕するときのテーブルモータ105の入力電流の周波数スペクトル、およびトルク指令補正値を特定するための補正関数を記憶する。補正関数は、例えば、周波数スペクトルからの偏差を従属変数とし、トルク指令補正値を目的変数との関係を示す情報(方程式および参照テーブルなど)である。
【0034】
性状特定部205は、周波数解析部203が得た周波数スペクトルと、性状記憶部204が記憶する各炭種に係る周波数スペクトルとの比較に基づいて、ローラミル100に投入された石炭の炭種を特定する。例えば、性状特定部205は、性状記憶部204が記憶する複数の炭種に係る各周波数スペクトルと、周波数解析部203が得た周波数スペクトルとのパターンマッチング処理を行い、最も類似度が高い炭種を、ローラミル100に投入された石炭の炭種と特定する。
【0035】
性状変化判定部206は、計測値記憶部202が記憶する計測値の時系列に基づいて、ローラミル100に投入された石炭の炭種が変化したか否かを判定する。例えば、性状変化判定部206は、計測値記憶部202が記憶する計測値の時系列のうち、直近の解析対象時間に係る第1の部分時系列と、第1の部分時系列の始点までの解析対象時間に係る第2の部分時系列との比較に基づいて、炭種の変化の有無を判定する。
【0036】
補正値決定部207は、性状変化判定部206による炭種の変化の判定結果に基づいて、トルク指令補正値を変更するか否かを決定する。補正値決定部207は、性状変化判定部206によって石炭の炭種が変化したと判定された場合に、性状特定部205が特定した炭種に関連付けて性状記憶部204が記憶するトルク指令補正値に、トルク指令補正値を変更することを決定する。
【0037】
トルク指令取得部208は、セパレータモータ110の基礎トルク指令を取得する。トルク指令取得部208は、例えば、ローラミル100の給炭量に基づいてセパレータモータ110のトルク値を算出してもよいし、ローラミル100のトルク指令を生成する他の装置が出力したトルク指令を基礎トルク指令として取得してもよい。
【0038】
補正部209は、トルク指令取得部208が取得した基礎トルク指令が示すトルク値に、補正値決定部207が特定したトルク指令補正値を加算することで、トルク指令を補正する。
制御部210は、補正部209によって補正されたトルク指令をセパレータモータ110に出力する。
【0039】
《制御装置の動作》
図4は、第1の実施形態に係るローラミルの制御装置の動作を示すフローチャートである。
ローラミル100が稼働すると、制御装置200の計測値取得部201は、電流計111からサンプリング周期に係るタイミングごとに、テーブルモータ105の入力電流の計測値を取得し、これを時刻に関連付けて計測値記憶部202に記録する。これにより、計測値記憶部202には、入力電流の計測値の時系列が記憶される。
【0040】
制御装置200は、解析対象時間(例えば1秒)ごとに、以下に示す補正量の決定処理を行う。
まず周波数解析部203は、計測値記憶部202が記憶する計測値の時系列のうち、直近の解析対象時間に係る部分時系列を読み出す(ステップS1)。周波数解析部203は、読み出した部分時系列を周波数変換することで、周波数スペクトルを得る(ステップS2)。
【0041】
次に、性状特定部205は、性状記憶部204が複数の炭種に関連付けて記憶する各周波数スペクトルと、ステップS2で得られた周波数スペクトルとのパターンマッチングを行い、最も類似度が高い炭種を特定する(ステップS3)。
【0042】
性状変化判定部206は、計測値記憶部202が記憶する計測値の時系列のうち、直近の解析対象時間に係る第1の部分時系列と、第1の部分時系列の始点以前の解析対象時間に係る第2の部分時系列とを読み出す(ステップS4)。つまり、現在時刻をT0とおき、解析対象時間をtとおく場合、第1の部分時系列は、時刻T0−tから時刻T0までの計測値の時系列であり、第2の部分時系列は、時刻T0−2tから時刻T0−tまでの計測値の時系列である。第1の部分時系列は、周波数解析部203の解析対象となる部分時系列と等しい。
性状変化判定部206は、第1の部分時系列と第2の部分時系列との各サンプリングタイミングごとの偏差の累積を算出する(ステップS5)。すなわち、性状変化判定部206は、第1の部分時系列から特定される波形と第2の部分時系列から特定される波形との差分面積を算出する。
【0043】
性状変化判定部206は、算出された偏差の累積が所定の閾値以上であるか否かを判定する(ステップS6)。性状変化判定部206は、偏差の累積が閾値以上であると判定した場合(ステップS6:YES)、投入される石炭の炭種が変化したと判定する。他方、性状変化判定部206は、偏差の累積が閾値未満であると判定した場合(ステップS6:NO)、投入される石炭の炭種が変化したと判定しない。つまり、性状特定部205が特定した炭種が前回特定した炭種と異なる場合であっても、偶発的な変化(例えば、石などの異物の混入による変化)である可能性を鑑み、性状変化判定部206は、前回と今回の計測値の波形の差が小さい場合には石炭の炭種が変化したと判定しない。
【0044】
性状変化判定部206が、偏差の累積が閾値以上であると判定した場合(ステップS6:YES)、補正値決定部207は、性状特定部205が特定した炭種に関連付けて性状記憶部204が記憶する補正関数を読み出す(ステップS7)。補正値決定部207は、特定された炭種に関連付けて性状記憶部204が記憶する周波数スペクトルと、ステップS2で得られた周波数スペクトルとの偏差の累積を算出する(ステップS8)。補正値決定部207は、算出した偏差の累積を補正関数に代入することで、トルク指令補正値を得る(ステップS9)。
【0045】
他方、性状変化判定部206が、偏差の累積が閾値未満であると判定した場合(ステップS6:NO)、補正値決定部207は、前回決定したトルク指令補正値を、今回のトルク指令補正値に決定する(ステップS10)。
【0046】
以上の手順により、制御装置200は、トルク指令取得部208が取得した基礎トルク指令に対するトルク指令補正値を決定することができる。そして、補正部209は、トルク指令取得部208が基礎トルク指令を取得するたびに、基礎トルク指令に決定したトルク指令補正値を加算することでトルク指令を補正し、制御部210は、補正されたトルク指令をセパレータモータ110に出力することで、ローラミル100を制御する。トルク指令は、制御信号の一例である。
【0047】
《作用・効果》
このように、第1の実施形態に係る制御装置200は、ローラミル100のテーブルモータ105の入力電流の計測値を、少なくともテーブルモータ105の電源電流の周波数以上の周波数で取得し、当該計測値の時系列に基づいてローラミル100に制御信号を出力する。図2に示すように、テーブルモータ105の入力電流の周波数スペクトルは、テーブルモータ105の電源電流の周波数を中心に広がり、石炭の炭種によって異なるため、制御装置200は、テーブルモータ105の電源電流の周波数以上の周波数で取得された計測値の時系列を用いることで、石炭の性状に応じて自動的に適切に粉砕機を制御することができる。
【0048】
また、第1の実施形態に係る制御装置200は、計測値の時系列の周波数解析により周波数スペクトルを特定し、これに基づいてローラミル100に制御信号を出力する。周波数スペクトルは、計測値の時系列と比較して、分析処理において瞬時的な変化による影響を受けない。他方、計測値の時系列は、周波数スペクトルと比較して、分析処理において瞬時的な変化を検出しやすい。
【0049】
また、第1の実施形態に係る制御装置200は、計測値の時系列の経時的な変化に基づいて、石炭の炭種の変化の有無を判定する。これにより、制御装置200は、石などの異物の混入による偶発的な入力電流波形の変化が生じた場合にも、過去の計測値の波形との差が小さい場合には炭種の変化があったと判定しないことで、石炭の炭種が変化したと誤判定されることを防ぐことができる。
【0050】
また、第1の実施形態に係る制御装置200は、周波数スペクトルに基づいて石炭の炭種を特定し、計測値の時系列に基づいて石炭の炭種の変化の有無を判定する。すなわち、制御装置200は、周波数スペクトルおよび計測値の時系列のうち、炭種の特定と、炭種の変化の判定とで、それぞれ異なるものを用いる。このように、周波数スペクトルおよび計測値の時系列の両方を用いることで、制御装置200は、よりロバストに石炭の炭種を推定することができる。
【0051】
〈第2の実施形態〉
第1の実施形態に係る制御装置200は、周波数スペクトルの比較に基づいて炭種を特定し、計測値の時系列に基づいて炭種の変化の有無を判定する。これに対し、第2の実施形態に係る制御装置200は、計測値の時系列の比較に基づいて炭種を特定し、周波数スペクトルに基づいて炭種の変化の有無を判定する。
第2の実施形態に係る制御装置200の構成は第1の実施形態と同様であるが、制御装置200の各処理部における処理内容および性状記憶部204が記憶する情報が第1の実施形態と異なる。
【0052】
《制御装置の構成》
第2の実施形態に係る制御装置200は、図3に示すように、計測値取得部201、計測値記憶部202、周波数解析部203、性状記憶部204、性状特定部205、性状変化判定部206、補正値決定部207、トルク指令取得部208、補正部209、制御部210を備える。
【0053】
第2の実施形態に係る性状記憶部204は、石炭の炭種に関連付けて、当該炭種に係る石炭を粉砕するときのテーブルモータ105の入力電流の値の時系列、およびトルク指令補正値を特定するための補正関数を記憶する。
【0054】
性状特定部205は、計測値記憶部202が記憶する計測値の時系列と、性状記憶部204が記憶する各炭種に係る電流値の時系列との比較に基づいて、ローラミル100に投入された石炭の炭種を特定する。例えば、性状特定部205は、性状記憶部204が記憶する複数の炭種に係る各電流値の時系列における累積値と、計測値記憶部202が記憶する計測値の時系列における累積値との差を求め、最も差が小さい炭種を、ローラミル100に投入された石炭の炭種と特定する。
【0055】
性状変化判定部206は、周波数解析部203が得た周波数スペクトルに基づいて、ローラミル100に投入された石炭の炭種が変化したか否かを判定する。例えば、周波数解析部203は、計測値記憶部202が記憶する計測値の時系列のうち、直近の解析対象時間に係る第1の部分時系列と、第1の部分時系列の始点までの解析対象時間に係る第2の部分時系列とのそれぞれについて周波数解析を行う。性状変化判定部206は、第1の部分時系列に係る周波数スペクトルと第2の部分時系列に係る周波数スペクトルとの面積差分に基づいて、炭種の変化の有無を判定する。
【0056】
《制御装置の動作》
図5は、第2の実施形態に係るローラミルの制御装置の動作を示すフローチャートである。
制御装置200は、解析対象時間ごとに、以下に示す補正量の決定処理を行う。
まず周波数解析部203は、計測値記憶部202が記憶する計測値の時系列のうち、直近の解析対象時間に係る部分時系列を読み出す(ステップS21)。
【0057】
次に、性状特定部205は、性状記憶部204が複数の炭種に関連付けて記憶する各電流値の時系列の累積値と、ステップS21で読み出した部分時系列の累積値との差を算出し、累積値の差が最も小さい炭種を特定する(ステップS22)。
【0058】
性状変化判定部206は、計測値記憶部202が記憶する計測値の時系列のうち、直近の解析対象時間に係る第1の部分時系列と、第1の部分時系列の始点以前の解析対象時間に係る第2の部分時系列とを読み出す(ステップS23)。周波数解析部203は、読み出した第1の部分時系列および第2の部分時系列のそれぞれを周波数変換することで、第1の周波数スペクトルと第2の周波数スペクトルをそれぞれ得る(ステップS24)。
性状変化判定部206は、第1の周波数スペクトルと第2の周波数スペクトルとの周波数ごとの偏差の累積を算出する(ステップS25)。すなわち、性状変化判定部206は、第1の周波数スペクトルの波形と第2の周波数スペクトルの波形との差分面積を算出する。
【0059】
性状変化判定部206は、算出された偏差の累積が所定の閾値以上であるか否かを判定する(ステップS26)。性状変化判定部206が、偏差の累積が閾値以上であると判定した場合(ステップS26:YES)、補正値決定部207は、性状特定部205が特定した炭種に関連付けて性状記憶部204が記憶する補正関数を読み出す(ステップS27)。補正値決定部207は、特定された炭種に関連付けて性状記憶部204が記憶する電流値の時系列と、ステップS1で読み出した計測値の時系列との偏差の累積を算出する(ステップS28)。補正値決定部207は、算出した偏差の累積を補正関数に代入することで、トルク指令補正値を得る(ステップS29)。
【0060】
他方、性状変化判定部206が、偏差の累積が閾値未満であると判定した場合(ステップS26:NO)、補正値決定部207は、前回決定したトルク指令補正値を、今回のトルク指令補正値に決定する(ステップS30)。
【0061】
以上の手順により、制御装置200は、トルク指令取得部208が取得した基礎トルク指令に対するトルク指令補正値を決定することができる。
【0062】
《作用・効果》
このように、第2の実施形態に係る制御装置200は、ローラミル100のテーブルモータ105の入力電流の計測値を、少なくともテーブルモータ105の電源電流の周波数以上の周波数で取得し、当該計測値の時系列に基づいてローラミル100に制御信号を出力する。図2に示すように、テーブルモータ105の入力電流の周波数スペクトルは、テーブルモータ105の電源電流の周波数を中心に広がり、石炭の炭種によって異なるため、制御装置200は、テーブルモータ105の入力電流の周波数スペクトルを用いることで、第1の実施形態と同様に石炭の性状に応じて自動的に適切に粉砕機を制御することができる。
【0063】
〈第3の実施形態〉
第1の実施形態に係る制御装置200は、計測値の周波数スペクトルについて、各炭種における標準的な入力電流の周波数スペクトルと比較することで、炭種を特定する。また第2の実施形態の性状記憶部204は、計測値の時系列について、各炭種における標準的な入力電流の時系列と比較することで、炭種を特定する。これに対し、第3の実施形態に係る性状記憶部204は、学習済みの機械学習モデルに計測値の時系列および周波数スペクトルを入力することで、炭種を特定する。
【0064】
《制御装置の構成》
図6は、第3の実施形態に係る制御装置の構成を示す概略ブロック図である。
第3の実施形態に係る制御装置200は、第1の実施形態に係る構成に加え、さらに機械学習部211を備える。また、第3の実施形態に係る制御装置200は、第1の実施形態の構成と、性状記憶部204が記憶する情報、性状特定部205および性状変化判定部206の処理が異なる。
【0065】
機械学習部211は、テーブルモータ105の入力電流の時系列および周波数スペクトルを入力として、トルク指令補正値を出力するように、機械学習モデルを学習させる。例えば、機械学習部211は、トルク指令補正値と、当該炭種に係る石炭を粉砕したときのテーブルモータ105の入力電流の時系列および周波数スペクトルとの組み合わせを教師データとして用いる教師あり学習により機械学習モデルを学習させることができる。また例えば、機械学習部211は、ロータリセパレータ109の回転数を一定として様々な炭種に係る石炭を粉砕したときの給炭量の変動に基づいて、回転数の補正が必要であると判断し、そのときの電流値に基づいて特徴量を導出し、傾向を分析する教師なし学習により機械学習モデルを学習させてもよい。以下、この機械学習モデルを、補正値特定モデルという。また、機械学習部211は、石炭の炭種の変化の有無と、投入される炭種の変化の前後に係るテーブルモータ105の入力電流の時系列および周波数スペクトルとの組み合わせを教師データとして、テーブルモータ105の入力電流の時系列および周波数スペクトルを入力として、石炭の炭種の変化の有無を出力するように、機械学習モデルを学習させる。以下、この機械学習モデルを、変化判定モデルという。補正値特定モデルおよび変化特定モデルは、性状記憶部204に記録される。
【0066】
性状記憶部204は、補正値特定モデルおよび変化特定モデルを記憶する。
【0067】
性状特定部205は、計測値記憶部202が記憶する入力電流の時系列および周波数解析部203によって解析された周波数スペクトルとの組み合わせを、性状記憶部204が記憶する補正値特定モデルに入力することで、トルク指令補正値を特定する。
【0068】
性状変化判定部206は、計測値記憶部202が記憶する入力電流の時系列および周波数解析部203によって解析された周波数スペクトルとの組み合わせを、性状記憶部204が記憶する変化判定モデルに入力することで、石炭の炭種の変化の有無を判定する。
【0069】
《制御装置の動作》
図7は、第3の実施形態に係るローラミルの制御装置の動作を示すフローチャートである。
制御装置200は、解析対象時間ごとに、以下に示す補正量の決定処理を行う。
まず周波数解析部203は、計測値記憶部202が記憶する計測値の時系列のうち、直近の解析対象時間に係る部分時系列を読み出す(ステップS41)。周波数解析部203は、読み出した部分時系列を周波数変換することで、周波数スペクトルを得る(ステップS42)。
【0070】
次に、性状特定部205は、性状記憶部204が記憶する補正値特定モデルに、部分時系列と周波数スペクトルとを入力することで、トルク指令補正値を特定する(ステップS43)。また、性状変化判定部206は、性状記憶部204が記憶する変化判定モデルに、部分時系列と周波数スペクトルとを入力することで、石炭の炭種が変化したか否かを判定する(ステップS44)。
【0071】
性状変化判定部206が、石炭の炭種が変化したと判定した場合(ステップS44:YES)、補正値決定部207は、今回のトルク指令補正値を、ステップS43で特定したトルク指令補正値に決定する(ステップS45)。他方、性状変化判定部206が、偏差の累積が閾値未満であると判定した場合(ステップS44:NO)、補正値決定部207は、前回決定したトルク指令補正値を、今回のトルク指令補正値に決定する(ステップS46)。
【0072】
このように、第3の実施形態に係る制御装置200は、機械学習に基づいて、石炭の炭種に応じたトルク指令補正値、および炭種の変化の有無を特定することができる。なお、第3の実施形態に係る制御装置200は、補正値特定モデルにより、直接トルク指令補正値を特定したが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る制御装置200は、炭種を特定する炭種特定モデルにより、計測値の時系列および周波数スペクトルから、炭種を特定したうえで、当該炭種に対応する補正関数を読み出し、周波数スペクトルの偏差の累積を補正関数に代入することで直接トルク指令補正値を特定してもよい。
【0073】
また、第3の実施形態に係る機械学習モデルは、計測値の時系列および周波数スペクトルを入力とするが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る機械学習モデルは、計測値の時系列または周波数スペクトルの一方のみを入力としてもよい。
【0074】
〈他の実施形態〉
以上、図面を参照して一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、様々な設計変更等をすることが可能である。
例えば、上述した実施形態に係る制御装置200は、粉砕対象物の性状として石炭の炭種を特定するが、他の実施形態においては、他の性状を特定してもよい。例えば、他の実施形態に係る制御装置200は、石炭の硬度、水分量、HGI(Hardgrove Index)などを特定してもよい。
【0075】
また、第1、第2の実施形態に係る制御装置200は、周波数スペクトルおよび計測値の時系列のうち、炭種の特定と、炭種の変化の判定とで、それぞれ異なるものを用いるが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る制御装置200は、炭種の特定と、炭種の変化の判定との両方に周波数スペクトルを用いてもよいし、計測値の時系列を用いてもよい。
【0076】
また、図1に示すように、上述の実施形態に係る制御装置200は、単体の装置であるが、これに限られない。図8は、他の実施形態に係る制御システムの構成を示す概略図である。例えば、他の実施形態においては、ローラミル100の近傍に設けられた制御装置200と、遠隔に設けられたサーバ装置300とによって、制御システムが構成されてもよい。この場合、制御装置200は、少なくとも計測値取得部201および制御部210を備えるが、他の制御部および記憶部については、制御装置200が備えてもよいし、サーバ装置300が備えてもよい。またこの場合、1つのサーバ装置300に対し、複数の制御装置200とが接続されてもよい。つまり、複数のローラミル100それぞれに対応する制御装置200が、各ローラミル100のテーブルモータ105の入力電流の計測値を取得してサーバ装置300に送信し、サーバ装置300からトルク指令を取得して当該トルク指令をローラミル100に出力してもよい。当該複数のローラミル100は、同一のプラントに設けられたものであってもよいし、異なるプラントに設けられたものであってもよい。
【0077】
また、上述の実施形態に係る制御装置200の制御対象物は、ローラミル100であるが、これに限られない。例えば、他の実施形態において制御対象物は、液体を圧送するポンプや、気体を送風するファンであってもよい。また、微粉砕機であるローラミル100に代えて、粗粉砕機、中間粉砕機、または摩砕機などの他の粉砕機を制御対象物としてもよい。また、上述の実施形態に係るセパレータモータ110は誘導電動機によって実現されるが、直流電動機、同期電動機、または整流子電動機などの他の電動機によって実現されてもよい。
【0078】
〈コンピュータ構成〉
図9は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
コンピュータ90は、プロセッサ91、メインメモリ92、ストレージ93、インタフェース94を備える。
上述の制御装置200は、コンピュータ90に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ93に記憶されている。プロセッサ91は、プログラムをストレージ93から読み出してメインメモリ92に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、プロセッサ91は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域をメインメモリ92に確保する。
【0079】
ストレージ93の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD−ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ93は、コンピュータ90のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インタフェース94または通信回線を介してコンピュータ90に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ90に配信される場合、配信を受けたコンピュータ90が当該プログラムをメインメモリ92に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、ストレージ93は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0080】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、当該プログラムは、前述した機能をストレージ93に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0081】
100 ローラミル
105 テーブルモータ
110 セパレータモータ
111 電流計
200 制御装置
201 計測値取得部
202 計測値記憶部
203 周波数解析部
204 性状記憶部
205 性状特定部
206 性状変化判定部
207 補正値決定部
208 トルク指令取得部
209 補正部
210 制御部
211 機械学習部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9