特開2019-2093(P2019-2093A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-2093(P2019-2093A)
(43)【公開日】2019年1月10日
(54)【発明の名称】合成繊維用処理剤及びその用途
(51)【国際特許分類】
   D06M 13/17 20060101AFI20181207BHJP
   D06M 13/224 20060101ALI20181207BHJP
   D06M 13/152 20060101ALI20181207BHJP
   D06M 13/184 20060101ALI20181207BHJP
   D06M 13/292 20060101ALI20181207BHJP
   D06M 13/256 20060101ALI20181207BHJP
   D06M 13/402 20060101ALI20181207BHJP
   D06M 15/53 20060101ALI20181207BHJP
【FI】
   D06M13/17
   D06M13/224
   D06M13/152
   D06M13/184
   D06M13/292
   D06M13/256
   D06M13/402
   D06M15/53
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-118231(P2017-118231)
(22)【出願日】2017年6月16日
(71)【出願人】
【識別番号】000188951
【氏名又は名称】松本油脂製薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】西林 亮
(72)【発明者】
【氏名】正路 大輔
(72)【発明者】
【氏名】奥澤 政巨
【テーマコード(参考)】
4L033
【Fターム(参考)】
4L033AA04
4L033AB01
4L033AC09
4L033BA13
4L033BA14
4L033BA16
4L033BA21
4L033BA28
4L033BA39
4L033BA71
4L033CA48
(57)【要約】      (修正有)
【課題】合成繊維の生産速度の高速化において、良好な製糸性を維持して優れた糸品質が得られる合成繊維用処理剤、該処理剤を用いた合成繊維フィラメント糸条の製造方法、該製造方法で得られた合成繊維フィラメント糸条を含む繊維構造物を提供する。
【解決手段】ポリオキシアルキレン脂肪族アルキルエーテル成分(A)及びポリアルキレングリコール脂肪酸エステル成分(B)を含む合成繊維用処理剤であって、処理剤の不揮発分に占める前記成分(A)の重量割合が35〜70重量%、前記成分(B)の重量割合が5〜25重量%であり、処理剤の不揮発分の濃度が40〜70重量%の水性液の30℃における動粘度が50〜100mm/sを示し、50℃における動粘度が15〜45mm/sを示す、合成繊維用処理剤。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオキシアルキレン脂肪族アルキルエーテル成分(A)及びポリアルキレングリコール脂肪酸エステル成分(B)を含む合成繊維用処理剤であって、
処理剤の不揮発分に占める前記成分(A)の重量割合が35〜70重量%、前記成分(B)の重量割合が5〜25重量%であり、処理剤の不揮発分の濃度が40〜70重量%の水性液の30℃における動粘度が50〜100mm/sを示す、合成繊維用処理剤。
【請求項2】
50℃における処理剤の不揮発分の濃度が40〜70重量%の水性液の動粘度が15〜45mm/sを示す、請求項1のいずれかに記載の合成繊維用処理剤。
【請求項3】
処理剤の不揮発分の濃度が40〜70重量%の水性液の透過率が98%以上100%以下である、請求項1又は2に記載の合成繊維用処理剤。
【請求項4】
下記成分(C)、下記成分(D)及び下記成分(E)をさらに含む、請求項1〜3のいずれかに記載の合成繊維用処理剤。
成分(C):脂肪族一価アルコールと脂肪酸とがエステル結合した構造を有するエステル化合物(C1)、脂肪族多価アルコールと脂肪酸とがエステル結合した構造を有するエステル化合物(C2)、脂肪族一価アルコールと脂肪族多価カルボン酸とがエステル結合した構造を有するエステル化合物(C3)、分子内に芳香環を有する芳香族エステル化合物(C4)、含硫黄エステル化合物(C5)、鉱物油(C6)及びポリオキシアルキレン基含有ヒドロキシ脂肪酸多価アルコールエステル(C7)から選ばれる少なくとも1種
成分(D):重量平均分子量100〜3000のアルキレンオキサイド付加物
成分(E):芳香族アルコール、脂肪酸塩、脂肪族リン酸塩、脂肪族スルホン酸塩及び脂肪族アミド化合物から選ばれる少なくとも1種
【請求項5】
処理剤の不揮発分に占める前記成分(C)の重量割合が5〜20重量%、前記成分(D)の重量割合が5〜30重量%、前記成分(E)の重量割合が1〜20重量%である、請求項4に記載の合成繊維用処理剤。
【請求項6】
処理剤の不揮発分の濃度が80重量%及び90重量%の各水性液が、30℃における動粘度が50〜100mm/sを示す、請求項1〜5のいずれかに記載の合成繊維用処理剤。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の合成繊維用処理剤を(原料)合成繊維フィラメント糸条に付着させてなる、合成繊維フィラメント糸条。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれかに記載の合成繊維処理剤の水性液を(原料)合成繊維フィラメント糸条に付与する工程を含む、合成繊維フィラメント糸条の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は合成繊維用処理剤及びその用途に関するものである。本発明は、合成繊維用処理剤及びその利用に関するものである。更に詳しくは、合成繊維マルチフィラメント糸条を製造する際に用いられる合成繊維用処理剤、該処理剤が付与された合成繊維フィラメント糸条、及び該処理剤を用いた合成繊維フィラメント糸条の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
合成繊維は衣料用途、産業資材用途に幅広く用いられている。近年合成繊維の生産性向上のため、生産設備の高速化が進められている。生産速度の高速化に伴い紡糸繊維が熱セットされる時間が短くなるために、熱セット温度が高温化されることが多い。しかし熱セット温度の高温化はヒーターに脱落した繊維処理剤の熱劣化を進ませ毛羽の増加を引き起こすため、熱セット温度の高温化は必要最低限に抑制されなければならない。優れた糸品質を保ちつつ生産速度を高速化するには、熱セット温度を高温化することなく、ゴデットローラーから紡糸繊維に効率良く熱を伝える必要がある。
【0003】
ポリエステルやポリアミド等の合成繊維の製造工程で多くの場合は紡糸油剤を5%〜15%に水で希釈した状態で給油することが行われている。この水は熱セット上で気化して合成繊維上には残らないが、この際水の気化熱で多くの熱量が失われているので、この合成繊維処理剤の濃度を高めることにより、水の気化熱に使われる熱量を減らすことができれば、ゴデットローラーから紡糸繊維に効率良く熱を伝えることが出来る。
しかしながら従来の合成繊維用処理剤の水性液濃度を高くすると、得られた糸の品質が低下していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】中国特許出願公開第106065527号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、合成繊維の生産速度の高速化において、良好な製糸性を維持して優れた糸品質が得られる合成繊維用処理剤、該処理剤を用いた合成繊維フィラメント糸条の製造方法、該製造方法で得られた合成繊維フィラメント糸条を含む繊維構造物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、ポリオキシアルキレン脂肪族アルキルエーテル成分(A)及びポリアルキレングリコール脂肪酸エステル成分(B)を含む合成繊維用処理剤であって、処理剤の不揮発分に占める前記成分(A)の重量割合が35〜70重量%、前記成分(B)の重量割合が5〜25重量%であり、処理剤の不揮発分の濃度が40〜70重量%の水性液の30℃における動粘度が50〜100mm/sを示す、合成繊維用処理剤であれば、上記課題が解決できることを見出し、本発明に到達した。
【0007】
50℃における処理剤の不揮発分の濃度が40〜70重量%の水性液の動粘度が15〜45mm/sを示すと好ましい。
処理剤の不揮発分の濃度が40〜70重量%の水性液の透過率が98%以上100%以下であると好ましい。
下記成分(C)、下記成分(D)及び下記成分(E)をさらに含むと好ましい。
成分(C):脂肪族一価アルコールと脂肪酸とがエステル結合した構造を有するエステル化合物(C1)、脂肪族多価アルコールと脂肪酸とがエステル結合した構造を有するエステル化合物(C2)、脂肪族一価アルコールと脂肪族多価カルボン酸とがエステル結合した構造を有するエステル化合物(C3)、分子内に芳香環を有する芳香族エステル化合物(C4)、含硫黄エステル化合物(C5)、鉱物油(C6)及びポリオキシアルキレン基含有ヒドロキシ脂肪酸多価アルコールエステル(C7)から選ばれる少なくとも1種
成分(D):重量平均分子量100〜3000のアルキレンオキサイド付加物
成分(E):芳香族アルコール、脂肪酸塩、脂肪族リン酸塩、脂肪族スルホン酸塩及び脂肪族アミド化合物から選ばれる少なくとも1種
【0008】
処理剤の不揮発分に占める前記成分(C)の重量割合が5〜20重量%、前記成分(D)の重量割合が5〜30重量%、前記成分(E)の重量割合が1〜20重量%であると好ましい。
処理剤の不揮発分の濃度が80重量%及び90重量%の各水性液が、30℃における動粘度が50〜100mm/sを示すと好ましい。
【0009】
本発明の合成繊維フィラメント糸条は、上記合成繊維用処理剤を(原料)合成繊維フィラメント糸条に付着させてなる。
本発明の合成繊維フィラメント糸条の製造方法は、上記合成繊維処理剤の水性液を(原料)合成繊維フィラメント糸条に付与する工程を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明の合成繊維用処理剤を用いると、合成繊維の生産速度の高速化において、良好な製糸性を維持して優れた糸品質の合成繊維フィラメント糸条が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の合成繊維用処理剤について、以下詳細に説明する。
【0012】
〔合成繊維用処理剤〕
本発明の合成繊維用処理剤は、処理剤の不揮発分の濃度が40〜70重量%の水性液が、30℃における動粘度が50〜100mm/sを示す。
ここで、処理剤の不揮発分の濃度が40重量%の水性液とは、処理剤の不揮発分40重量部に対して、水60重量部からなる水性液を意味する。また、本明細書中不揮発分とは、処理剤を105℃で熱処理して溶媒等を除去し、恒量に達した時の絶乾成分をいう。
処理剤の不揮発分の濃度が80重量%の水性液が、30℃における動粘度が50〜100mm/sを示すと好ましく、処理剤の不揮発分の濃度が90重量%の水性液が、30℃における動粘度が50〜100mm/sを示すとさらに好ましい。
処理剤の不揮発分の濃度が40〜70重量%の水性液の30℃における動粘度が50mm/s未満では、集束性が不足するために糸品質が低下し、100mm/sを超えると、濡れ性が不足するために糸品質が低下する。
本発明の合成繊維用処理剤は、処理剤の不揮発分の濃度が70〜90重量%の水性液及び不揮発分の30℃における動粘度が、50〜100mm/sを示すと好ましく、50〜90mm/sを示すとより好ましく、50〜80mm/sを示すと特に好ましい。
【0013】
処理剤水性液を走行糸条に付着させた後、当該走行糸条が加熱ローラーを経由していく過程において、加熱ローラーに付着した処理剤水性液の濃度は徐々に高くなるが、処理剤の不揮発分の濃度が70〜90重量%の各水性液及び不揮発分の動粘度が高いと、加熱ローラーに接する糸条と加熱ローラーとの摩擦が高くなり、良好な製糸性の維持を阻害あるいは優れた糸品質の維持を阻害することがあるため、処理剤の不揮発分の濃度が70〜90重量%の水性液及び不揮発分の動粘度が50〜80mm/sを示すと特に好ましい。
【0014】
本発明の合成繊維用処理剤は、処理剤の不揮発分の濃度が40〜70重量%の水性液が、50℃における動粘度が15〜45mm/sを示すと好ましい。
処理剤の不揮発分の濃度が80重量%の水性液が、50℃における動粘度が15〜45mm/sを示すと好ましく、処理剤の不揮発分の濃度が90重量%の水性液が、50℃における動粘度が15〜45mm/sを示すとさらに好ましい。
処理剤の不揮発分の濃度が40〜70重量%の水性液の50℃における動粘度が15mm/s未満では、集束性が不足するために糸品質が低下することがあり、45mm/sを超えると、濡れ性が不足するために糸品質が低下することがある。
【0015】
本発明の合成繊維用処理剤は、処理剤の不揮発分の濃度が40〜70重量%の水性液の透過率は、98.0%以上100%以下が好ましく、98.5%以上100%以下がより好ましく、99.0%以上100%以下がさらに好ましく、99.5%以上100%以下が特に好ましい。98.0%未満では、安定性が不足し、均一に給油することができないことがあり、糸品質が低下することがある。なお、透過率の測定方法は、実施例に記載する。
【0016】
本発明の合成繊維用処理剤は、ポリオキシアルキレン脂肪族アルキルエーテル成分(A)及びポリアルキレングリコール脂肪酸エステル成分(B)を必須に含有する。
【0017】
〔ポリオキシアルキレン脂肪族アルキルエーテル成分(A)〕
ポリオキシアルキレン脂肪族アルキルエーテル成分(A)(以下、ポリオキシアルキレン脂肪族アルキルエーテル成分(A)を成分(A)ということがある。)は、脂肪族一価アルコールに対し、アルキレンオキシドを付加した構造を有する成分である。
ポリオキシアルキレン脂肪族アルキルエーテル成分(A)は、本発明の合成繊維用処理剤に必須に含有され、透過率を向上させる役割を担っている。
糸品質を向上させる観点から、成分(A)を構成する脂肪族アルキル基の炭素数は、1〜22が好ましく、4〜20がより好ましく、6〜18がさらに好ましい。
成分(A)を構成する脂肪族アルキル基は、直鎖でも分岐鎖でもよいが、透過率を向上させることで処理剤の糸への付着の均一性が向上し、糸品質を向上させる観点から、分岐鎖が好ましい。
【0018】
前記脂肪族一価アルコールとしては、ブタノール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシアルコール、トリデシルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ノナデシルアルコール、イソオクチルアルコール、イソドデシルアルコール、イソトリデシルアルコール等が挙げられ、中でも、透過率を向上させることで処理剤の糸への付着の均一性が向上し、糸品質を向上させる観点から、イソオクチルアルコール、イソドデシルアルコール、イソトリデシルアルコールが好ましい。前記脂肪族一価アルコールとしては、1種のみからでもよく、2種以上の混合物でもよい。
【0019】
アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドが挙げられる。
脂肪族一価アルコールに対し、アルキレンオキシドを付加した構造としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドのランダム付加物又はブロック付加物が挙げられる。
アルキレンオキシドの付加モル数としては、本願発明の効果を発揮する観点から、1モル〜20モルが好ましく、2モル〜17モルがより好ましく、3モル〜14モルがさらに好ましい。アルキレンオキシドの付加モル数が3未満であると水性液が懸濁することで均一付着性が低下し糸品質が低下する可能性があり、14モルを越えると水性液が懸濁するだけでなく、摩擦が高くなり毛羽、断糸が多く発生する可能性がある。
【0020】
成分(A)の具体例としては、PO(3)/EO(8)ドデシルエーテル、EO(7)セカンダリートリデシルエーテル、EO(7)セカンダリードデシルエーテル、EO(9)セカンダリードデシルエーテル、PO(6)/EO(7)セカンダリードデシルエーテル、PO(8)/EO(8)ステアリルエーテル、PO(8)/EO(10)オレイルエーテル、PO(1)/EO(2)2−エチルヘキシルエーテル、アルキルアルコール(C12−14)にPO6モル付加した後にEO7モル付加した化合物等が挙げられるが、これに限定されるものではない。これらの中でも、本願効果を発揮する観点から、PO(3)/EO(8)ドデシルエーテル、EO(7)セカンダリートリデシルエーテル、EO(7)セカンダリードデシルエーテル、EO(9)セカンダリードデシルエーテル、PO(6)/EO(7)セカンダリードデシルエーテル、PO(8)/EO(8)ステアリルエーテル、PO(1)/EO(2)2−エチルヘキシルエーテル、アルキルアルコール(C12−14)にPO6モル付加した後にEO7モル付加した化合物が好ましく、PO(3)/EO(8)ドデシルエーテル、EO(7)セカンダリートリデシルエーテル、EO(9)セカンダリードデシルエーテル、PO(6)/EO(7)セカンダリードデシルエーテル、PO(1)/EO(2)2−エチルヘキシルエーテル、アルキルアルコール(C12−14)にPO6モル付加した後にEO7モル付加した化合物がより好ましい。
なお、上記EO(8)は、ポリオキシエチレン(8モル)を意味し、上記PO(3)は、ポリオキシプロピレン(3モル)を意味し、上記PO(3)/EO(8)は、ポリオキシプロピレン(3モル)及びポリオキシエチレン(8モル)のランダム付加を意味する。
【0021】
〔ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル成分(B)〕
ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル成分(B)は、ポリアルキレングリコールと、脂肪酸とがエステル結合した構造からなる成分である。ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル成分(B)は、本発明の合成繊維処理剤において、毛羽発生の抑制の役割を担っている。
【0022】
前記成分(B)としては、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールモノパルミテート、ポリエチレングリコールジパルミテート、ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリエチレングリコールジオレエート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレンポリプロピレングリコールモノラウレート、ポリエチレンポリプロピレングリコールジラウレート、ポリエチレンポリプロピレングリコールモノオレエート、ポリエチレンポリプロピレングリコールジオレエート等が挙げられるが、これに限定されるものではない。これらの中でも、本願効果を発揮する観点から、ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリエチレングリコールジオレエート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレートが好ましく、ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリエチレングリコールジオレエートがより好ましい。
【0023】
前記成分(B)を構成するポリアルキレングリコールとしては、本願効果を発揮する観点からから、分子量が100〜2000が好ましく、200〜1500がより好ましく、300〜1000がさらに好ましく、400〜800が最も好ましい。ポリアルキレングリコールの分子量が100未満であると断糸の発生を低減できない可能性があり、2000を越えると毛羽、断糸が多く発生する可能性がある。
【0024】
〔成分(C)〕
本発明の合成繊維用処理剤は、成分(C)を含むと、平滑性向上により糸品質が向上するため、好ましい。
成分(C)は、脂肪族一価アルコールと脂肪酸とがエステル結合した構造を有するエステル化合物(C1)、脂肪族多価アルコールと脂肪酸とがエステル結合した構造を有するエステル化合物(C2)、脂肪族一価アルコールと脂肪族多価カルボン酸とがエステル結合した構造を有するエステル化合物(C3)、分子内に芳香環を有する芳香族エステル化合物(C4)、含硫黄エステル化合物(C5)、鉱物油(C6)及びポリオキシアルキレン基含有ヒドロキシ脂肪酸多価アルコールエステル(C7)から選ばれる少なくとも1種である。
【0025】
(化合物(C1))
脂肪族一価アルコールと脂肪酸とがエステル結合した構造を有するエステル化合物(C1)は、炭素数4〜24の一価脂肪酸と炭素数4〜24の一価脂肪族アルコールとのエステルである。
炭素数4〜24までの脂肪酸としては、酪酸、クロトン酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、イソセチル酸、マルガリン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸、イソエイコサ酸、ガドレイン酸、エイコセン酸、ドコサン酸、イソドコサン酸、エルカ酸、テトラコサン酸、イソテトラコサン酸、ネルボン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸等が挙げられる。
これらの中でも、本願効果が発揮され易い観点から、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸などの炭素数C16以下の飽和脂肪酸、パルミトレイン酸、マルガリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エルカ酸、ネルボン酸などの不飽和脂肪酸、イソセチル酸、イソステアリン酸、イソエイコサ酸、イソドコサン酸、イソテトラコサン酸などの分岐鎖脂肪酸が好ましい。
【0026】
炭素数4〜24の一価脂肪族アルコールとしては、ブチルアルコール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクチルアルコール、イソオクチルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、ミリストレイルアルコール、セチルアルコール、イソセチルアルコール、パルミトレイルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、エライジルアルコール、バクセニルアルコール、ガドレイルアルコール、アラキジルアルコール、イソイコサニルアルコール、エイコセノイルアルコール、ベヘニルアルコール、イソドコサニルアルコール、エルカニルアルコール、リグノセリニルアルコール、イソテトラコサニルアルコール、ネルボニルアルコール、セロチニルアルコール、モンタニルアルコール、メリシニルアルコール等が挙げられる。これらの中でも、本願効果が得られ易い観点から、オクチルアルコール、イソオクチルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、ミリストレイルアルコール、セチルアルコール、イソセチルアルコール、パルミトレイルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、エライジルアルコール、バクセニルアルコール、ガドレイルアルコール、アラキジルアルコール、イソイコサニルアルコール、エイコセノイルアルコール、ベヘニルアルコール、イソドコサニルアルコール、エルカニルアルコール、リグノセリニルアルコール、イソテトラドコサニルアルコール、ネルボニルアルコールが好ましく、ミリストレイルアルコール、パルミトレイルアルコール、オレイルアルコール、エライジルアルコール、バクセニルアルコール、ガドレイルアルコール、エイコセノイルアルコール、エルカニルアルコール、ネルボニルアルコールがより好ましく、オレイルアルコール、エライジルアルコール、バクセニルアルコール、ガドレイルアルコール、エイコセノイルアルコール、エルカニルアルコールがさらに好ましい。
【0027】
(化合物(C2))
化合物(C2)は、脂肪族多価アルコールと脂肪酸とがエステル結合した構造を有するエステル化合物である。
化合物(C2)は、炭素数2〜6の脂肪族2価アルコール又は、炭素数3又は4の脂肪族3価アルコール又は、炭素数5の脂肪族4価アルコールと、炭素数4〜24の脂肪酸とのエステルである。また分子内にポリオキシアルキレン基を有しない化合物である。
【0028】
化合物(C2)を構成する多価アルコールは、製糸性の点から、炭素数3又は4の脂肪族3価アルコール及び/又は炭素数5の脂肪族4価アルコールが好ましい。
【0029】
炭素数2〜6の脂肪族2価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等が挙げられる。
炭素数3又は4の脂肪族3価アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
炭素数5の脂肪族4価アルコールとしては、例えば、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
【0030】
化合物(C2)を構成する脂肪酸(脂肪族1価カルボン酸)は、飽和であっても不飽和であってもよい。不飽和結合の数については特に限定はないが、2つ以上有する場合、酸化により劣化が進行して処理剤が増粘して平滑性が損なわれるため、1つが好ましい。脂肪酸の炭素数としては、オリゴマーの処理剤への溶解度の向上によりオリゴマーの析出が抑制されるとの観点から、8〜24が好ましく、10〜20がより好ましく、12〜18がさらに好ましい。脂肪酸は、1種又は2種以上を使用してもよく、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸を併用してもよい。
【0031】
脂肪酸としては、化合物(C1)で挙げたものと同じものを用いることができる。
【0032】
化合物(C2)の酸価は、10以下が好ましく、8以下がより好ましく、6以下がさらに好ましい。化合物(C2)の酸価が10超の場合、熱処理時に多量の発煙が発生したり、臭気が発生したりして、使用環境を悪化する場合がある。なお、本発明での酸価は、JIS K−0070に基づき測定した。
【0033】
化合物(C2)の水酸基価は、0.1〜25が好ましく、0.5〜23がより好ましく、1.0〜20がさらに好ましい。化合物(C2)の水酸基価が0.1未満の場合、エステルを得るのは困難な場合がある。一方、化合物(C2)の水酸基価が25超の場合、オリゴマーの処理剤への溶解度の向上によるオリゴマーの析出抑制効果が不足する場合がある。なお、本発明での水酸基価は、JIS K−0070に基づき測定した。
【0034】
化合物(C2)の重量平均分子量は、500〜1500であり、500〜1200が好ましく、500〜700がより好ましい。該重量平均分子量が500未満の場合、油膜強度が不足し、毛羽が増加したり、熱処理時の発煙が増加したりする。一方、該重量平均分子量が1500超の場合、平滑性が不足して毛羽が多発する。なお、本発明における重量平均分子量は、東ソー(株)製高速ゲルパーミエーションクロマトグラフィー装置HLC−8220GPCを用い、試料濃度3mg/ccで、昭和電工(株)製分離カラムKF−402HQ、KF−403HQに注入し、示差屈折率検出器で測定されたピークより算出した。
【0035】
化合物(C2)としては、例えば、トリメチロールプロパントリカプリレート、トリメチロールプロパントリカプリナート、トリメチロールプロパントリラウレート、トリメチロールプロパントリオレエート、トリメチロールプロパン(ラウレート、ミリスチレート、パルミテート)、トリメチロールプロパン(ラウレート、ミリスチレート、オレエート)、トリメチロールプロパン(トリパーム核脂肪酸エステル)、トリメチロールプロパン(トリヤシ脂肪酸エステル)、トリメチロールプロパンジカプリレート、トリメチロールプロパンジカプリナート、トリメチロールプロパンジラウレート、トリメチロールプロパンジオレエート、トリメチロールプロパン(ラウレート、ミリスチレート)、トリメチロールプロパン(ラウレート、オレエート)、トリメチロールプロパン(ミリスチレート、オレエート)、トリメチロールプロパン(ジパーム核脂肪酸エステル)、トリメチロールプロパン(ジヤシ脂肪酸エステル)、ヤシ油、菜種油、パーム油、グリセリントリラウレート、グリセリントリオレエート、グリセリントリイソステアレート、グリセリンジオレエート、グリセリンモノラウレート、ジグリセリンジオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタン(ラウレート、ミリスチレート、オレエート)、ソルビタンジラウレート、ソルビタンモノオレエート、ペンタエリスリトールテトラカプリレート、ペンタエリスリトールテトラカプリナート、ペンタエリスリトールテトララウレート、エリスリトールテトララウレート、ペンタエリスリトール(テトラパーム核脂肪酸エステル)、ペンタエリスリトール(テトラヤシ脂肪酸エステル)、エリスリトールトリオレエート、エリスリトールジパルミテート、1,6ヘキサンジオールジオレエート等が挙げられる。
【0036】
化合物(C2)は一般的に市販されている脂肪族多価アルコールと脂肪酸を用いて、公知の方法で合成し得られたものを使用してもよい。又、天然の果実、種子又は花など天然より得られる天然エステルであって、化合物(C2)の構成を満足する天然エステルをそのまま使用したり、必要に応じて、天然エステルを公知の方法で精製したり、更に精製したエステルを公知の方法で融点差を利用して分離、再精製を行ったエステルを用いたりしてもよい。
【0037】
(化合物(C3))
化合物(C3)は、脂肪族一価アルコールと脂肪族多価カルボン酸とがエステル結合した構造を有する化合物である。
【0038】
化合物(C3)は、炭素数2〜6の脂肪族2価カルボン酸と炭素数4〜24の脂肪族アルコールとのエステルであり、また分子内にポリオキシアルキレン基を有しない化合物である。化合物(C3)は1種又は2種以上を使用できる。
【0039】
化合物(C3)を構成する炭素数4〜24の脂肪族アルコールは、特に限定はなく、1種又は2種以上を使用できる。炭素数4〜24の脂肪族アルコールは、飽和であっても不飽和であってもよい。不飽和結合の数については特に限定はないが、2つ以上有する場合、酸化により劣化が進行して処理剤が増粘して潤滑性が損なわれるため、1つが好ましい。炭素数4〜24の脂肪族アルコールの炭素数としては、平滑性と油膜強度の観点から、8〜24が好ましく、14〜24がより好ましく、18〜22がさらに好ましい。炭素数4〜24の脂肪族アルコールは、1種又は2種以上を使用してもよく、飽和脂肪族一価アルコールと不飽和脂肪族1価アルコールを併用してもよい。
【0040】
前記脂肪族アルコールとしては、化合物(C1)で挙げたものと同じものを用いることができる。
【0041】
化合物(C3)を構成する脂肪族多価カルボン酸は、2価以上であれば特に限定はなく、1種又は2種以上を使用できる。本発明で用いる脂肪族多価カルボン酸は、チオジプロピオン酸等の含硫黄多価カルボン酸を含まない。脂肪族多価カルボン酸の価数は、2価が好ましい。同様に、分子内にヒドロキシル基を含まないことが好ましい。
脂肪族多価カルボン酸としては、クエン酸、イソクエン酸、リンゴ酸、アコニット酸、オキサロ酢酸、オキサロコハク酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等が挙げられる。これらの中でも、アコニット酸、オキサロ酢酸、オキサロコハク酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸が好ましく、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸がより好ましい。
【0042】
化合物(C3)としては、例えば、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジラウリル、アジピン酸ジオレイル、アジピン酸ジイソセチル、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジラウリル、セバシン酸ジオレイル、セバシン酸ジイソセチル等を挙げることができる。
【0043】
化合物(C3)は、分子内に2個以上のエステル結合を有する化合物である。化合物(C3)のヨウ素価については、特に限定はない。
【0044】
化合物(C3)の重量平均分子量は、500〜1500であり、500〜1200が好ましく、500〜700がより好ましい。該重量平均分子量が500未満の場合、油膜強度が不足し、毛羽が増加したり、熱処理時の発煙が増加したりする。一方、該重量平均分子量が1500超の場合、融点が高くなり、製織や編み工程でのスカム発生の原因となり、品位が劣る。
【0045】
化合物(C3)、は一般的に市販されている脂肪族一価アルコールと脂肪族多価カルボン酸を用いて、公知の方法で合成し、得ることができる。
【0046】
(化合物(C4))
化合物(C4)は、分子内に少なくとも1つの芳香環を有するエステル化合物である。詳細には、芳香族カルボン酸とアルコールとがエステル結合した構造を有するエステル化合物(C4−1)、芳香族アルコールとカルボン酸とがエステル結合した構造を有するエステル化合物(C4−2)を挙げることができる。また、化合物(C4)は、分子内にポリオキシアルキレン基を有しない化合物である。化合物(C4)は、1種又は2種以上を使用できる。
【0047】
エステル化合物(C4−1)を構成する芳香族カルボン酸は、モノカルボン酸であってもよく、多価カルボン酸であってもよい。1種又は2種以上を使用してもよい。
芳香族カルボン酸としては、安息香酸、トルイル酸、ナフトエ酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、没食子酸、メリト酸、ケイ皮酸、トリメリット、ピロメリット酸等が挙げられる。これらの中でも、トリメリット酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸が好ましく、トリメリット酸がさらに好ましい。
【0048】
エステル化合物(C4−1)を構成するアルコールは、一価アルコールであってもよく、多価アルコールであってもよい。また、脂肪族アルコール、脂環族アルコール、芳香族アルコールのいずれであってもよい。一価アルコールは、1種又は2種以上を使用できる。これらの中でも、一価アルコールが好ましく、脂肪族一価アルコールがさらに好ましい。
【0049】
1価アルコールとしては、アルキルベンゼンアルコール、ジアルキルベンゼンアルコール、オクチルアルコール、イソオクチルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、ミリストレイルアルコール、セチルアルコール、イソセチルアルコール、パルミトレイルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、エライジルアルコール、バクセニルアルコール、ガドレイルアルコール、アラキジルアルコール、イソイコサニルアルコール、エイコセノイルアルコール、ベヘニルアルコール、イソドコサニルアルコール、エルカニルアルコール、リグノセリニルアルコール、イソテトラコサニルアルコール、ネルボニルアルコール、セロチニルアルコール、モンタニルアルコール、メリシニルアルコール等が挙げられる。
多価アルコールとしては、化合物(C2)で説明した脂肪族多価アルコールやエステル化合物(C4−2)で説明する芳香族多価アルコール等を挙げることができる。
【0050】
エステル化合物(C4−2)を構成する芳香族アルコールは、1種又は2種以上を使用できる。芳香族系アルコールとしては、芳香族多価アルコールが好ましく、芳香族3価アルコールがさらに好ましい。
芳香族アルコールとしては、アルキルベンゼンアルコール等の芳香族1価アルコール、ジアルキルベンゼンアルコール、ビスフェノールA、ビスフェノールZ、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等の芳香族多価アルコール等を挙げることができる。これらの中でもビスフェノールA、ビスフェノールZ、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンが好ましく、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンがより好ましい。
【0051】
エステル化合物(C4−2)を構成するカルボン酸は、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸のいずれであってもよい。また、1価のカルボン酸、多価のカルボン酸のいずれでもよい。1種または2種以上を使用してもよい。これらの中でも、1価のカルボン酸が好ましく、脂肪酸がさらに好ましい。脂肪酸は、残留性の点から、飽和であることが好ましい。脂肪酸は直鎖状であっても分岐を有していてもよい。
【0052】
1価のカルボン酸としては、アルキルベンゼンカルボン酸、ジアルキルベンゼンカルボン酸、酪酸、クロトン酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、イソセチル酸、マルガリン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸、イソイコサン酸、ガドレイン酸、エイコセン酸、ベヘン酸、イソドコサン酸、エルカ酸、リグノセリン酸、イソテトラコサン酸、ネルボン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸等が挙げられる。
多価のカルボン酸としては、エステル化合物(C3)で説明した脂肪族多価カルボン酸や、エステル化合物(C4−1)で説明した芳香族多価カルボン酸等を挙げることができる。
【0053】
(化合物(C5))
化合物(C5)は、含硫黄エステル化合物であり、チオジプロピオン酸と脂肪族アルコールとのジエステル化合物及びチオジプロピオン酸と脂肪族アルコールとのモノエステル化合物から選ばれる少なくとも1種である。
含硫黄エステル化合物は、抗酸化能を有する成分である。該含硫黄エステル化合物を使用することで、処理剤の耐熱性を高めることができる。含硫黄エステル化合物は、1種又は2種以上を使用できる。該含硫黄エステル化合物を構成するチオジプロピオン酸の分子量は、400〜1000が好ましく、500〜900がより好ましく、600〜800がさらに好ましい。該含硫黄エステル化合物を構成する脂肪族アルコールは、飽和であっても不飽和であってもよい。また、脂肪族アルコールは、直鎖状であっても分岐構造を有していてもよいが、分岐構造を有するものが好ましい。脂肪族アルコールの炭素数は8〜24が好ましく、12〜24がより好ましく、16〜24がさらに好ましい。脂肪族アルコールとしては、例えば、オクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、イソセチルアルコール、オレイルアルコールおよびイソステアリルアルコールなどが挙げられ、これらの中でもオレイルアルコール、イソステアリルアルコールが好ましい。
【0054】
含硫黄エステル化合物は、チオジプロピオン酸と脂肪族アルコールとのジエステル化合物(本段落において、単にジエステルという)とチオジプロピオン酸と脂肪族アルコールとのモノエステル化合物(本段落において、単にモノエステルという)の混合物であってもよい。その際のジエステルとモノエステルのモル比は、100/0〜70/30が好ましく、100/0〜75/25がより好ましく、100/0〜80/20がさらに好ましい。
【0055】
(鉱物油(C6))
また、本発明の合成繊維用処理剤は、上記以外の平滑成分として、鉱物油を含有してもよい。ここでいう鉱物油は処理剤を希釈するために用いる低粘度希釈剤ではなく、不揮発分に含まれる。鉱物油としては、特に限定はないが、マシン油、スピンドル油、流動パラフィン等を挙げることができる。鉱物油は、1種又は2種以上を使用してもよい。鉱物油の30℃における粘度は、100〜500秒が好ましい。
【0056】
(ポリオキシアルキレン基含有ヒドロキシ脂肪酸多価アルコールエステル(C7))
ポリオキシアルキレン基含有ヒドロキシ脂肪酸多価アルコールエステル(C7)は、ポリオキシアルキレン基含有ヒドロキシ脂肪酸と多価アルコールとがエステル結合した構造を有するエステル化合物である。
ポリオキシアルキレン基含有ヒドロキシ脂肪酸は、脂肪酸の炭化水素基に酸素原子を介してポリオキシアルキレン基が結合した構造を有し、ポリオキシアルキレン基の脂肪酸の炭化水素基と結合していない片末端が水酸基となっている。
ポリオキシアルキレン基含有ヒドロキシ脂肪酸多価アルコールエステル(C7)としては、例えば、炭素数6〜22(好ましくは16〜20)のヒドロキシ脂肪酸と多価アルコールとのエステル化物のアルキレンオキシド付加物を挙げることができる。
【0057】
炭素数6〜22のヒドロキシ脂肪酸としては、例えば、ヒドロキシカプリル酸、ヒドロキシカプリン酸、ヒドロキシラウリン酸、ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸挙げられ、ヒドロキシオクタデカン酸、リシノール酸が好ましい。多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、グリセリン、ソルビトール、ソルビタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられ、グリセリンが好ましい。アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等の炭素数2〜4のアルキレンオキシドが挙げられる。
【0058】
アルキレンオキシドの付加モル数は、3〜60が好ましく、8〜50がさらに好ましい。アルキレンオキシドに占めるエチレンオキシドの割合は50モル%以上が好ましく、80モル%以上がさらに好ましい。
2種類以上のアルキレンオキシドを付加する場合、それらの付加順序は特に限定されるものでなく、付加形態はブロック状、ランダム状のいずれでもよい。アルキレンオキシドの付加は公知の方法により行うことができるが、塩基性触媒の存在下にて行うことが一般的である。
【0059】
ポリヒドロキシエステルは、例えば、多価アルコールとヒドロキシ脂肪酸(ヒドロキシモノカルボン酸)を通常の条件でエステル化してエステル化物を得て、次いでこのエステル化物にアルキレンオキシドを付加反応させることによって製造できる。ポリヒドロキシエステルは、ひまし油などの天然から得られる油脂やこれに水素を添加した硬化ひまし油を用い、さらにアルキレンオキシドを付加反応させることによっても、好適に製造できる。
ポリオキシアルキレン基含有ヒドロキシ脂肪酸多価アルコールエステル(C7)としては、例えば、硬化ヒマシ油エチレンオキシド付加物、ヒマシ油エチレンオキシド付加物等が挙げられる。
【0060】
〔成分(D)〕
本発明の合成繊維用処理剤は、成分(D)を含むと、油膜強度が向上することで糸の損傷を防ぎ、糸品質向上するために、好ましい。
成分(D)は、重量平均分子量100〜3000のアルキレンオキサイド付加物である。成分(D)は、アルキル基を含まない。アルキレンオキシド付加物の分子量としては、本願発明の効果を発揮する観点から、100〜3000が好ましく、500〜2500がより好ましく、1000〜2000がさらに好ましい。アルキレンオキシドの分子量が1000未満であると油膜強度が不足することにより製糸性が悪化する可能性があり、2000を越えると摩擦が高くなりすぎることにより製糸性が悪化する可能性がある。
成分(D)としては、ポリエチレンオキサイド/ポリプロピレンオキサイドのブロック付加物及びランダム付加物のいずれでもよいが、本願効果を発揮する観点から、ポリプロピレンオキサイド比率よりポリエチレンオキサイド比率の高い付加物の方が好ましい。
【0061】
ポリプロピレンオキサイド/ポリエチレンオキサイド比(PO/EO比)は、75/25〜10/90が好ましく、50/50〜10/90がより好ましく、40/60〜10/90がさらに好ましく、25/75〜10/90が特に好ましい。ポリエチレンオキサイド比率が高い成分では、親水性が強いために、処理剤の外観が透明となり処理剤の糸への付着の均一性が向上する。 成分(D)としては、(PO/EO=25/75、分子量1500)が挙げられる。
【0062】
〔成分(E)〕
本発明の合成繊維用処理剤は、成分(E)を含むと、制電性が向上するため、好ましい。成分(E)は、芳香族アルコール、脂肪酸塩、脂肪族リン酸塩、脂肪族スルホン酸塩及び脂肪族アマイド化合物から選ばれる少なくとも1種である。
【0063】
芳香族アルコールとしては、ベンジルアルコール、フェノール、2−フェニルエチルアルコール、2−フェノキシエタノール、シンナミックアルコール、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート、ビスフェノールA、ビスフェノールZ、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられ、本願効果を発揮する観点から、ベンジルアルコールが好ましい。
【0064】
脂肪酸塩としては、プロピオン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、オクチル酸、デカン酸、ラウリン酸等の脂肪酸塩が挙げられ、本願効果を発揮する観点から、オレイン酸カリウム塩が好ましい。
脂肪族リン酸塩としては、ポリオキシエチレンラウリルホスフェートカリウム、ポリオキシエチレンオレイルホスフェートカリウム等の脂肪族リン酸塩が挙げられ、本願効果を発揮する観点から、ポリオキシエチレンイソドデシルホスフェートカリウム塩、イソトリデシルホスフェートカリウム塩が好ましい。
【0065】
脂肪族スルホン酸塩としては、デカンスルホン酸ナトリウム、ドデカンスルホン酸ナトリウム、テトラデカンスルホン酸リチウム、ヘキサデカンスルホン酸カリウム、ブチルベンゼンスルホン酸ナトリウム、テトラデシルベンゼンスルホン酸カリウム、オクタデシルベンゼンスルホン酸カリウム等の脂肪族スルホン酸塩が挙げられ、本願効果を発揮する観点から、アルカンスルホネートナトリウムが好ましい。
脂肪族アミド化合物としては、オクタンアミド、ノナンアミド、デカンアミド、ウンデカンアミド、ドデカンアミド、トリデカンアミド、テトラデカンアミド、ヘキサデカンアミド、オクタデカンアミド、N−メチロールステアリルアミド等が挙げられ、本願効果を発揮する観点から、ポリオキシエチレンラウリルアミドが好ましい。
【0066】
処理剤の不揮発分に占める前記成分(A)の重量割合は35〜70重量%であり、40〜65重量%が好ましく、40〜55重量%がより好ましい。35重量%未満では、処理剤の水性液の透過率が低下または懸濁することで均一付着が低下するため、糸品質が低下する。70重量%を超えると断糸が増加し製糸性が悪化する。
処理剤の不揮発分に占める前記成分(B)の重量割合は5〜25重量%であり、7〜20重量%が好ましく、10〜20重量%がより好ましい。5重量%未満では、断糸の発生を低減できず製糸性が悪化する。25重量%を超えると処理剤の水性液の透過率が低下または懸濁することで均一付着が低下するため、糸品質が低下する。
【0067】
処理剤の不揮発分に占める前記成分(C)の重量割合が5〜20重量%が好ましく、10〜20重量%がより好ましく、15〜20重量%がさらに好ましい。5重量%未満では、平滑性が不足することで糸品質が低下することがあり、20重量%超では処理剤の水性液が懸濁することで均一付着が低下するため、糸品質が低下することがある。
処理剤の不揮発分に占める前記成分(D)の重量割合が5〜30重量%が好ましく、10〜25重量%がより好ましく、10〜15重量%がさらに好ましい。5重量%未満では、油膜強度が不足することにより製糸性が悪化することがあり、30重量%超では水性液が懸濁することで均一付着が低下するためことがある。
処理剤の不揮発分に占める前記成分(E)の重量割合が1〜20重量%が好ましく、5〜20重量%がより好ましく、10〜15重量%がさらに好ましい。1重量%未満では、制電性不足することにより製糸性が悪化することがあり、20重量%超では水性液が懸濁することで均一付着が低下するため、糸品質が低下することがある。
【0068】
また、本発明の合成繊維用処理剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、乳化剤、浸透剤、制電剤等を必要に応じて含有してもよい。処理剤の不揮発分に占めるこれら乳化剤、浸透剤、制電剤等の合計の重量割合は、繊維の集束性向上や油膜強化といった特性をより発現させる点から、50重量%以下が好ましく、40重量%以下がより好ましく、30重量%以下がさらに好ましく、20重量%以下が最も好ましい。
【0069】
本発明の合成繊維用処理剤の製造方法については、特に限定なく、公知の方法を採用することができる。処理剤は、通常、構成する前記の各成分を任意の順番で混合することによって製造される。
【0070】
[合成繊維フィラメント糸条]
本発明の合成繊維フィラメント糸条は、本発明の合成繊維用処理剤を(原料)合成繊維フィラメント糸状に付着させたものであり、本発明の合成繊維フィラメント糸条の製造方法は、原料合成繊維フィラメント糸条に、本発明の合成繊維用処理剤を付与する工程を含むものである。処理剤が付与された後、熱ローラーにより延伸、熱セットが行われ、巻き取られる。合成繊維用処理剤の不揮発分の付着量は、(原料)合成繊維フィラメントに対して、0.3〜1.5重量%が好ましく、0.5〜1.2重量%がより好ましく、0.7〜1.0重量%がさらに好ましい。
【0071】
(原料)合成繊維フィラメントに本発明の合成繊維用処理剤を付与する方法としては、特に限定はなく、公知の方法を採用することできる。通常、合成繊維フィラメントの紡糸工程または延伸工程で付与され、(原料)合成繊維フィラメントに対して、水中に不揮発分を乳化した水系水性液の処理剤をローラーオイリング、ガイドオイリング等で給油する方法等が挙げられる。
【0072】
(原料)合成繊維フィラメント糸条としては、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維等の合成繊維のフィラメント糸条が挙げられる。本発明の合成繊維用処理剤は、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維等の合成繊維に適している。ポリエステル繊維としては、エチレンテレフタレートを主たる構成単位とするポリエステル(PET)、トリメチレンテレフタレートを主たる構成単位とするポリエステル(PTT)、ブチレンテレフタレートを主たる構成単位とするポリエステル(PBT)、乳酸を主たる構成単位とするポリエステル(PLA)等が挙げられ、ポリアミド繊維としては、ナイロン6、ナイロン66等が挙げられ、ポリオレフィン繊維としては、ポリプロピレン、ポリエチレン等が挙げられる。合成繊維フィラメント糸条の製造方法としては、特に限定はなく、公知の手法を採用できる。
【0073】
〔合成繊維フィラメント糸条の製造方法〕
本発明の合成繊維フィラメント糸条の製造方法は、上記合成繊維用処理剤の水性液を(原料)合成繊維フィラメント糸条に付与する工程を含む。
(原料)合成繊維フィラメントに本発明の合成繊維用処理剤を付与する方法としては、特に限定はなく、公知の方法を採用することできる。通常、合成繊維フィラメントの紡糸工程または延伸工程で付与され、(原料)合成繊維フィラメントに対して、水中に不揮発分を乳化した水系水性液の処理剤をローラーオイリング、ガイドオイリング等で給油する方法等が挙げられる。
【実施例】
【0074】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、ここに記載した実施例に限定されるものではない。なお、文中および表中に示されるパーセント(%)は特に限定しない限り、「重量%」を示す。実施例および比較例において、各評価は以下に示す方法に基づいて行った。
【0075】
(実施例1)
表1に記載の合成繊維処理剤の不揮発分50部とイオン交換水50部を均一混合して、濃度50%の合成繊維用処理剤水性液を調製した。
(実施例2〜10、比較例1〜7)
実施例1と同様にして、表1に記載の濃度となるように、合成繊維用処理剤水性液を調製した。
固有粘度0.64、酸化チタン含有量0.2%のポリエチレンテレフタレートのチップを常法により乾燥した後、エクストルーダーを用いて295℃で紡糸し、口金から吐出して冷却固化した後、走行糸条に前記の合成繊維用処理剤水性液を計量ポンプを用いたガイド給油法にて、走行糸条に対し合成繊維用処理剤として1.0%となるよう付着させた後、ガイドで集束させて、90℃に加熱した引取りローラーにより3000m/分の速度で引き取り、ついで引き取りローラーと6000m/分の速度で回転する120℃に加熱した延伸ローラーとの間で2倍に延伸し、83.3デシテックス(75デニール)36フィラメントのポリエステル繊維を製造した。
【0076】
<粘度測定方法>
キャノンフェンスケ法により30℃及び50℃の動粘度(単位:mm/s)を測定した。
【0077】
<透過率>
実施例及び比較例で調製された合成繊維用処理剤の透過率は、(株)日立製作所製分光光度計U−1900Spectrophotometerにて測定した。測定条件は、波長670nm、測定温度25℃に規定した。透過率95%以上であれば、合成繊維用処理剤としての均一性及び安定性が発揮され易い。最も好ましい透過率は100%である。
【0078】
<付着量の測定>
製造したポリエステル繊維を2g精秤し、n−ヘキサン/エタノール=7/3(容量比)の混合溶液10mlで抽出処理し、抽出液を精秤したアルミトレイ上にて100℃で5分間乾燥した後、質量を測定し、下記の数1にて油剤付着量を求めた。
油剤の付着量(%)=((B−A)/S)×100
A:アルミトレイの重さ
B:抽出された油剤を含むアルミトレイの重さ
S:抽出に用いた繊維の重さ
【0079】
<紡糸性>
ポリエステル繊維の製造時の糸1トン当たりの糸切れ回数を10回測定し、その平均値を次の基準で評価した。◎及び○を合格とした。
◎:糸切れ回数が0.5回未満
○:糸切れ回数が0.5回〜1.0回未満
△:糸切れ回数が1.0回〜2.0回未満
×:糸切れ回数が2.0回以上
【0080】
<糸品質の評価>
製造したポリエステル繊維のウースター斑U%を、ウースター(USTER)社製のウースターテスター(USTER TESTER)UT−5を使用して、糸速度200m/分で評価した。同様の評価を5回行ない、各回の結果から、次の基準で評価した。◎及び○を合格とした。
◎:5回全てにおいてウースター斑U%が1.0以下である
○:5回のうちで1回、ウースター斑U%が1.0以上である
△:5回のうちで2回、ウースター斑U%が1.0以上である
×:5回のうちで3回以上、ウースター斑U%が1.0以上である
【0081】
<染色性の評価>
製造したポリエステル繊維から、筒編み機で直径70mm、長さ1.2mの編地を作製した。この編地を分散染料(日本化薬社製の商品名カヤロンポリエステルブルーEBL−E)を用いて高圧染色法により染色した。染色した編地を常法に従い水洗し、還元洗浄し、乾燥した後、直径70mm、長さ1.0mの鉄製の筒に装着して、編地表面の濃染部分を肉眼で観察し、その点数を数えて評価した。同様の評価を5回行ない、各回で数えた濃染部分の点数の平均値を次の基準で評価した。◎及び○を合格とした。
◎:濃染部分がない
○:濃染部分が1〜2点ある
△:濃染部分が3〜6点ある
×:濃染部分が7点以上ある
【0082】
なお、表1及び2中の、各成分は以下のものを使用した。
A−1 セカンダリーアルキルアルコール(C12−14)にEO7モルランダム付加した化合物
A−2 アルキルアルコール(C12、13)にPO3モルEO8モルランダム付加した化合物
A−3 ステアリルアルコールにPO8モルEO8モルランダム付加した化合物
A−4 アルキルアルコール(C12−14)にPO18モル付加した後にEO8モル付加した化合物
A−5 セカンダリーアルキルアルコール(C12−14)にEO9モルランダム付加した化合物
A−6 2−エチルヘキシルアルコールにPO1モルEO2モルランダム付加した化合物
B−1 ポリエチレングリコール(分子量400)とラウリン酸1モルとのエステル化合物
B−2 ポリエチレングリコール(分子量400)とオレイン酸1モルとのエステル化合物
B−3 ポリエチレングリコール(分子量600)とオレイン酸1モルとのエステル化合物
C1−1 2−エチルヘキシルステアレート
C6−1 鉱物油150秒
C7−1 硬化ひまし油1モルにEO18モル付加した化合物
C7−2 硬化ひまし油1モルにEO20モル付加した化合物
D−1 PO8モルEO24モルランダム付加した化合物
D−2 PO11モルEO32モルランダム付加した化合物
E−1 ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム塩
E−2 アルカンスルホネートナトリウム塩
E−3 POE(5)ラウリルアミド
E−4 POE(3)セカンダリーアルキル(C12−14)ホスフェートカリウム塩
E−5 ベンジルアルコール
E−6 オレイン酸カリウム塩
E−7 エチレングリコール
(POE(7)は、ポリオキシエチレン(7)モルを示す。POは、オキシプロピレンを示し、EOはオキシエチレンを示す。C12,13は、1価脂肪酸の炭素数が12及び13の混合を示す。)
【0083】
【表1】
【0084】
【表2】
【0085】
表1及び表2から分かるように、実施例1〜10に係る合成繊維用処理剤は、ポリオキシアルキレン脂肪族アルキルエーテル成分(A)及びポリアルキレングリコール脂肪酸エステル成分(B)を含む合成繊維用処理剤であって、処理剤の不揮発分に占める前記成分(A)の重量割合が35〜70重量%、前記成分(B)の重量割合が5〜25重量%であり、処理剤の不揮発分の濃度が40〜70重量%の水性液の30℃における動粘度が50〜100mm/sを示すため、本願の課題を解決できている。
一方、比較例1〜7に係る合成繊維用処理剤は、成分(A)がない(比較例4)、成分(A)の重量割合が35〜70重量%の範囲にない(比較例3、5)、成分(B)がない(比較例6)、成分(B)の重量割合が5〜25重量%の範囲にない(比較例4、7)、処理剤の不揮発分の濃度が40〜70重量%の各水性液のいずれかの濃度で、30℃における動粘度が50〜100mm/sを超える(比較例1〜7)ため、本願の課題を解決できていない。