【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る超音波接合装置は、
接合すべき第1平面部材と第2平面部材とが設置されるステージと、
前記第1平面部材と前記第2平面部材との積層部分に押し当てられる押圧部を持つ超音波ホーンと、
を有する超音波接合装置であって、
前記ステージは、
前記第1平面部材が設置される低位側表面と、
前記低位側表面に対して所定の段差高さで高い位置にあり、前記第2平面部材が設置される高位側表面と、
前記低位側表面と前記高位側表面との境界に位置する段差壁面と、を有する。
【0007】
本発明に係る超音波接合装置を用いて第1平面部材と第2平面部材との超音波接合を行うには、まず、第1平面部材を、当該第1平面部材の端部が前記段差壁面に位置合わせされるように、前記低位側表面に設置する。次に、第2平面部材の少なくとも一部が第1平面部材の上に積層される積層部分が形成されるように、高位側表面に、第2平面部材を設置する。その後に、超音波ホーンの押圧部を、段差壁面に対応する位置で前記積層部分に押し当てれば、超音波接合が完了する。
【0008】
本発明の超音波接合装置では、ステージの表面に段差壁面があるために、この段差壁面を利用して、第1平面部材と第2平面部材との位置合わせが容易になり、これらの配線パターン同士の超音波接合が可能になる。そのため、たとえば数十μm以下程度に配線ピッチ間隔が狭い場合でも、ショート不良などを発生させることなく、平面部材同士の電気的接続を図ることが容易になる。
【0009】
また、最近では、スマートフォンなどの表示画面などのように、装置の外形サイズ近くまでに広い表示画面が要求されることから、配線パターン同士の接合長さも短くせざるを得ず、その接続信頼性が問題になってきている。本発明の装置によれば、超音波接合により金属同士の固相結合が可能になり、接続の信頼性も向上する。
【0010】
さらに、本発明の超音波接合装置では、ステージの表面に段差壁面があるために、第1平面部材と第2平面部材との積層部の幅が、たとえば60mm以上に広い場合でも、確実に配線パターン同士を超音波接合することができる。
【0011】
好ましくは、前記ステージは、
前記第1平面部材の端部が前記段差壁面に接触して位置決めされるように、前記第1平面部材を前記低位側表面に着脱自在に固定する第1固定手段と、
前記第2平面部材の少なくとも一部が前記第1平面部材の上に積層されるように、前記第2平面部材を前記高位側表面に着脱自在に固定する第2固定手段と、をさらに有する。
【0012】
第1固定手段としては、特に限定されないが、たとえばステージの低位側表面に形成してある複数の第1吸着孔が例示される。複数の第1吸着孔に負圧を導入することで、第1平面部材を低位側表面に着脱自在に固定することができる。また、同様に、第2固定手段としては、特に限定されないが、たとえばステージの高位側表面に形成してある複数の第2吸着孔が例示される。複数の第2吸着孔に負圧を導入することで、第2平面部材を高位側表面に着脱自在に固定することができる。
【0013】
好ましくは、本発明の超音波接合装置は、
前記超音波ホーンを、前記ステージに対して相対移動させる移動機構と、
前記超音波ホーンの押圧部が、前記段差壁面に対応する位置で前記積層部分に押し当てられるように、前記移動機構を制御する制御手段と、をさらに有する。
【0014】
移動機構としては、超音波ホーンを、ステージに対して移動させる機構、ステージを超音波ホーンに対して移動させる機構、あるいはこれらの双方の機構であってもよい。移動機構は、少なくとも超音波ホーンを、ステージに対して相対的に近づける方向またはその逆方向に移動させる機構を含む。また、移動機構は、超音波ホーンを、ステージに対して相対的に平面方向に移動させる機構も含むことが好ましい。
【0015】
好ましくは、前記段差高さは、前記第1平面部材の厚みと同等以下である。このように構成することで、ステージの製造誤差があったとしても、第1平面部材の上面が、高位側表面に対して低くなることはなくなり、第1平面部材の上面が、高位側表面と面一か僅かに上側に突出することになる。そのため、第2平面部材を高位側表面に設置する場合に、それらの積層部(重複部)では、必ず第1平面部材と第2平面部材とが接触することになる。そのため、確実に超音波接合を行うことが可能になり、接続部の信頼性がさらに向上する。
【0016】
好ましくは、前記超音波ホーンの押圧部は、前記段差壁面から所定範囲で前記低位側表面の上に位置する前記積層部を押圧するように、前記移動機構が前記制御手段で制御される。超音波ホーンの押圧部は、高位側表面の上に位置する第2平面部材を押圧しないことが好ましく、積層部のみを押圧して超音波接合することが好ましい。このように構成することで、配線パターンの断線などを生じさせることなく、配線パターン同士の超音波接合の信頼性がさらに向上する。
【0017】
本発明に係る超音波接合方法は、
低位側表面と、前記低位側表面に対して所定の段差高さで高い位置にある高位側表面と、前記低位側表面と前記高位側表面との境界に位置する段差壁面と、を有するステージを準備する工程と、
第1平面部材を、当該第1平面部材の端部が前記段差壁面に位置合わせされるように、前記低位側表面に設置する工程と、
第2平面部材の少なくとも一部が前記第1平面部材の上に積層される積層部分が形成されるように、前記高位側表面に、第2平面部材を設置する工程と、
超音波ホーンの押圧部を、前記段差壁面に対応する位置で前記積層部分に押し当てる工程と、を有する。
【0018】
本発明の超音波接合方法では、ステージの表面に段差壁面があるために、この段差壁面を利用して、第1平面部材と第2平面部材との位置合わせが容易になり、これらの配線パターン同士の超音波接合が可能になる。そのため、たとえば数十μm以下程度に配線ピッチ間隔が狭い場合でも、ショート不良などを発生させることなく、平面部材同士の電気的接続を図ることが容易になる。なお、超音波の振動の方向は、積層部の積層方向ではなく、接合される配線パターン同士の長手方向に沿う方向であることが好ましい。
【0019】
また、最近では、スマートフォンなどの表示画面などのように、装置の外形サイズ近くまでに広い表示画面が要求されることから、配線パターン同士の接合長さも短くせざるを得ず、その接続信頼性が問題になってきている。本発明の方法によれば、超音波接合により金属同士の固相結合が可能になり、接続の信頼性も向上する。
【0020】
さらに、本発明の超音波接合方法では、ステージの表面に段差壁面があるために、第1平面部材と第2平面部材との積層部の幅が、たとえば60mm以上に広い場合でも、確実に配線パターン同士を超音波接合することができる。
【0021】
好ましくは、前記第2平面部材と積層される前記第1平面部材の表面には、第1金属が形成してあり、
前記第1平面部材と積層される前記第2平面部材の表面には、第2金属が形成してあり、
前記超音波ホーンの押圧部が接触する前記積層部分では、前記第1金属と前記第2金属とが超音波により固相結合される。
【0022】
好ましくは、第1平面部材に形成してある配線パターンの接続部が第1金属で構成してあり、第2平面部材に形成してある配線パターンの接続部が第2金属で構成してある。これらが超音波接合により固相結合される。これらの金属としては、超音波接合可能な金属(合金含む)であれば、特に限定されないが、銀、金、アルミニウム、あるいはこれらを主成分とする合金などが例示される。なお、これらの金属の表面に、チタンなどを主成分とする酸化防止膜が形成してあってもよい。