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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-209483(P2019-209483A)
(43)【公開日】2019年12月12日
(54)【発明の名称】印刷装置および電圧決定方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20191115BHJP
【FI】
   B41J2/01 201
   B41J2/01 451
   B41J2/01 401
   B41J2/01 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2018-104420(P2018-104420)
(22)【出願日】2018年5月31日
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116665
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 和昭
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(72)【発明者】
【氏名】萱原 直樹
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EB41
2C056EC42
2C056EC70
(57)【要約】
【課題】調整可能電圧範囲が設定された印刷装置における、液滴の濃度の調整範囲を広げること。
【解決手段】印刷装置100は、ノズル54を有するチップ52と、チップ52に設定された調整可能電圧範囲の電圧VHを、第1サイズ範囲の小ドットを吐出させる第1駆動波形及び第1サイズ範囲の最大ドットよりも大きいサイズを含む第2サイズ範囲の大ドットを吐出させる第2駆動波形のうちの何れか一方に印加することでノズル54から液滴を吐出させる駆動信号生成部4aを含む制御部1と、を備え、制御部1は、第1駆動波形で所定の電圧V0をチップ52に印加して媒体Mに印刷し、媒体Mに印刷されたドットの濃度と目標濃度とに基づいて、調整可能電圧範囲内での電圧変更で目標濃度を達成できるかを判断し、第1駆動波形で調整可能電圧範囲の上限値の電圧Vmaxを印加しても目標濃度に達しない時、第2駆動波形に変更して本印刷にて使用する本電圧VHを決定する。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルを有するチップと、
前記チップに設定された調整可能電圧範囲の電圧を、第1サイズ範囲の小ドットを吐出させるための第1駆動波形及び前記第1サイズ範囲の最大ドットよりも大きいサイズを含む第2サイズ範囲の大ドットを吐出させるための第2駆動波形のうちの何れか一方に印加することで前記ノズルから液滴を吐出させる電圧印加部を含む制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記第1駆動波形で所定の電圧を前記チップに印加して媒体に印刷し、
前記媒体に印刷された前記ドットの濃度と目標濃度とに基づいて、前記調整可能電圧範囲内での電圧変更で前記目標濃度を達成できるかを判断し、
前記第1駆動波形で前記調整可能電圧範囲の上限値の電圧を印加しても前記目標濃度に達しない時、前記第2駆動波形に変更して本印刷にて使用する本電圧を決定することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
ノズルを有するチップと、
前記チップに設定された調整可能電圧範囲の電圧を、第1サイズ範囲の小ドットを吐出させるための第1駆動波形及び前記第1サイズ範囲の最大ドットよりも大きいサイズを含む第2サイズ範囲の大ドットを吐出させるための第2駆動波形のうちの何れか一方に印加することで前記ノズルから液滴を吐出させる電圧印加部を含む制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記第2駆動波形で所定の電圧を前記チップに印加して媒体に印刷し、
前記媒体に印刷された前記ドットの濃度と目標濃度とに基づいて、前記調整可能電圧範囲内での電圧変更で前記目標濃度を達成できるかを判断し、
前記第2駆動波形で前記調整可能電圧範囲の下限値の電圧を印加しても前記目標濃度に達しない時、前記第1駆動波形に変更して本印刷にて使用する本電圧を決定することを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
前記第1サイズ範囲と前記第2サイズ範囲とは、重複していることを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記媒体に印刷された前記ドットの濃度を測定するための測定部をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項5】
ノズルを有するチップと、前記チップに設定された調整可能電圧範囲の電圧を、第1サイズ範囲の小ドットを吐出させるための第1駆動波形及び前記第1サイズ範囲の最大ドットよりも大きいサイズを含む第2サイズ範囲の大ドットを吐出させるための第2駆動波形のうちの何れか一方に印加することで前記ノズルから液滴を吐出させる電圧印加部を含む制御部と、を備えた印刷装置において、本印刷で印加する電圧を決定する電圧決定方法であって、
前記第1駆動波形で所定の電圧を前記チップに印加して媒体に印刷する印刷工程と、
前記媒体に印刷された前記ドットの濃度と目標濃度とに基づいて、前記調整可能電圧範囲内での電圧変更で前記目標濃度を達成できるかを判断する判断工程と、
前記第1駆動波形で前記調整可能電圧範囲の上限値の電圧を印加しても前記目標濃度に達しない時、前記第2駆動波形に変更して本印刷にて使用する本電圧を決定する決定工程と、を有することを特徴とする電圧決定方法。
【請求項6】
ノズルを有するチップと、前記チップに設定された調整可能電圧範囲の電圧を、第1サイズ範囲の小ドットを吐出させるための第1駆動波形及び前記第1サイズ範囲の最大ドットよりも大きいサイズを含む第2サイズ範囲の大ドットを吐出させるための第2駆動波形のうちの何れか一方に印加することで前記ノズルから液滴を吐出させる電圧印加部を含む制御部と、を備えた印刷装置において、本印刷で印加する電圧を決定する電圧決定方法であって、
前記第2駆動波形で所定の電圧を前記チップに印加して媒体に印刷する印刷工程と、
前記媒体に印刷された前記ドットの濃度と目標濃度とに基づいて、前記調整可能電圧範囲内での電圧変更で前記目標濃度を達成できるかを判断する判断工程と、
前記第2駆動波形で前記調整可能電圧範囲の下限値の電圧を印加しても前記目標濃度に達しない時、前記第1駆動波形に変更して本印刷にて使用する本電圧を決定する決定工程と、を有することを特徴とする電圧決定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置および電圧決定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ノズルを有するチップを備え、チップに電圧を印加することにより紙やフィルムなどの媒体に向かって液滴を吐出させて画像などを印刷するインクジェット方式の印刷装置が知られていた。このような印刷装置では、所定の電圧を印加したにもかかわらず、チップの個体差により吐出される液滴の量が異なって目標濃度が得られないことがある。例えば、特許文献1には、所定の電圧としての標準値に所定の差分を加減した測定用電圧をチップとしてのインクジェットヘッドに印加し、印刷された画像のインク濃度から目標濃度としての所定の濃度を達成するためにチップに印加すべき電圧を決定する印刷装置としての画像出力装置が開示されている。これにより、インク濃度を調整することができると記されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−284064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、チップに印加する電圧が高い場合は、ミストが発生しやすくなる。チップに印加する電圧が低い場合は、メニスカスが不安定になりノズルから液滴が吐出されない、所謂ドット抜けが発生しやすくなる。このため、チップには、電圧を印加することが可能な範囲である調整可能電圧範囲が設定される。特許文献1に記載の印刷装置では、この調整可能電圧範囲を超えての濃度調整をすることが困難であった。すなわち、液滴の濃度の調整範囲が狭いという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の印刷装置は、ノズルを有するチップと、前記チップに設定された調整可能電圧範囲の電圧を、第1サイズ範囲の小ドットを吐出させるための第1駆動波形及び前記第1サイズ範囲の最大ドットよりも大きいサイズを含む第2サイズ範囲の大ドットを吐出させるための第2駆動波形のうちの何れか一方に印加することで前記ノズルから液滴を吐出させる電圧印加部を含む制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1駆動波形で所定の電圧を前記チップに印加して媒体に印刷し、前記媒体に印刷された前記ドットの濃度と目標濃度とに基づいて、前記調整可能電圧範囲内での電圧変更で前記目標濃度を達成できるかを判断し、前記第1駆動波形で前記調整可能電圧範囲の上限値の電圧を印加しても前記目標濃度に達しない時、前記第2駆動波形に変更して本印刷にて使用する本電圧を決定することを特徴とする。
【0006】
本願の印刷装置は、ノズルを有するチップと、前記チップに設定された調整可能電圧範囲の電圧を、第1サイズ範囲の小ドットを吐出させるための第1駆動波形及び前記第1サイズ範囲の最大ドットよりも大きいサイズを含む第2サイズ範囲の大ドットを吐出させるための第2駆動波形のうちの何れか一方に印加することで前記ノズルから液滴を吐出させる電圧印加部を含む制御部と、を備え、前記制御部は、前記第2駆動波形で所定の電圧を前記チップに印加して媒体に印刷し、前記媒体に印刷された前記ドットの濃度と目標濃度とに基づいて、前記調整可能電圧範囲内での電圧変更で前記目標濃度を達成できるかを判断し、前記第2駆動波形で前記調整可能電圧範囲の下限値の電圧を印加しても前記目標濃度に達しない時、前記第1駆動波形に変更して本印刷にて使用する本電圧を決定することを特徴とする。
【0007】
上記の印刷装置において、前記第1サイズ範囲と前記第2サイズ範囲とは、重複していることが好ましい。
【0008】
上記の印刷装置は、前記媒体に印刷された前記ドットの濃度を測定するための測定部をさらに備えることが好ましい。
【0009】
本願の電圧決定方法は、ノズルを有するチップと、前記チップに設定された調整可能電圧範囲の電圧を、第1サイズ範囲の小ドットを吐出させるための第1駆動波形及び前記第1サイズ範囲の最大ドットよりも大きいサイズを含む第2サイズ範囲の大ドットを吐出させるための第2駆動波形のうちの何れか一方に印加することで前記ノズルから液滴を吐出させる電圧印加部を含む制御部と、を備えた印刷装置において、本印刷で印加する電圧を決定する電圧決定方法であって、前記第1駆動波形で所定の電圧を前記チップに印加して媒体に印刷する印刷工程と、前記媒体に印刷された前記ドットの濃度と目標濃度とに基づいて、前記調整可能電圧範囲内での電圧変更で前記目標濃度を達成できるかを判断する判断工程と、前記第1駆動波形で前記調整可能電圧範囲の上限値の電圧を印加しても前記目標濃度に達しない時、前記第2駆動波形に変更して本印刷にて使用する本電圧を決定する決定工程と、を有することを特徴とする。
【0010】
本願の電圧決定方法は、ノズルを有するチップと、前記チップに設定された調整可能電圧範囲の電圧を、第1サイズ範囲の小ドットを吐出させるための第1駆動波形及び前記第1サイズ範囲の最大ドットよりも大きいサイズを含む第2サイズ範囲の大ドットを吐出させるための第2駆動波形のうちの何れか一方に印加することで前記ノズルから液滴を吐出させる電圧印加部を含む制御部と、を備えた印刷装置において、本印刷で印加する電圧を決定する電圧決定方法であって、前記第2駆動波形で所定の電圧を前記チップに印加して媒体に印刷する印刷工程と、前記媒体に印刷された前記ドットの濃度と目標濃度とに基づいて、前記調整可能電圧範囲内での電圧変更で前記目標濃度を達成できるかを判断する判断工程と、前記第2駆動波形で前記調整可能電圧範囲の下限値の電圧を印加しても前記目標濃度に達しない時、前記第1駆動波形に変更して本印刷にて使用する本電圧を決定する決定工程と、を有することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態1に係る印刷装置の概略構成を示す断面図。
図2】ヘッドユニットの概略構成を示す平面図。
図3】チップの内部構成を示す断面図。
図4】印刷装置の概略構成を示すブロック図。
図5】画像を印刷させるための画像処理を説明する図。
図6】圧電振動子に印加する駆動波形を説明する図。
図7】ノズルから吐出される液滴のドットサイズを説明する図。
図8】電圧決定方法を説明するフローチャート図。
図9】電圧VHと明度L*との関係を示す図。
図10】電圧VHと明度L*との関係を示す図。
図11】電圧VHと明度L*との関係を示す図。
図12】実施形態2に係る電圧決定方法を説明するフローチャート図。
図13】電圧VHと明度L*との関係を示す図。
図14】電圧VHと明度L*との関係を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の各図においては、各層や各部材を認識可能な程度の大きさにするため、各層や各部材の尺度を実際とは異ならせている。
また、図1から図3では、説明の便宜上、互いに直交する三軸として、X軸、Y軸及びZ軸を図示しており、軸方向を図示した矢印の先端側を「+側」、基端側を「−側」としている。X軸に平行な方向を「X軸方向」、Y軸に平行な方向を「Y軸方向」、Z軸に平行な方向を「Z軸方向」という。
【0013】
(実施形態1)
<印刷装置の構成>
図1は、実施形態1に係る印刷装置の概略構成を示す断面図である。図1に示すように、印刷装置100は、移動部20と、ヘッドユニット50と、加熱部60と、測定部としての撮像部70と、制御部1とを備える。
【0014】
移動部20は、媒体Mに画像を印刷するために、媒体Mおよびヘッドユニット50の移動を実行する。移動部20は、副走査部40と、主走査部30とを有する。副走査部40は、白抜きの矢印で示す搬送方向に媒体Mを搬送してヘッドユニット50の近傍と加熱部60の近傍とを通過させる。なお、本実施形態においては、重力方向に沿う上下方向をZ軸とする。ヘッドユニット50の近傍を通過する際の媒体Mの搬送方向をY軸とする。また、Z軸及びY軸の双方と交差する方向をX軸とする。また、媒体Mの搬送方向に沿う位置関係を「上流側」「下流側」ともいう。
【0015】
副走査部40は、繰出部41と、支持部42と、複数の搬送ローラー対43と、巻取部44とを有する。支持部42は、ヘッドユニット50と対向し、搬送方向に搬送される媒体Mを下方から支持する。繰出部41は、ヘッドユニット50の上流側に配置されている。繰出部41は、ロール状に巻回された印刷前の媒体Mを、図示しない駆動モーターにより回転させ支持部42に沿って給送する。複数の搬送ローラー対43は、ヘッドユニット50の上流側および下流側に配置され、媒体Mを挟持する。搬送ローラー対43は、図示しない駆動モーターにより回転して、支持部42上の媒体Mを搬送方向であるY軸方向の+側に搬送する。巻取部44は、後述する加熱部60の下流側に配置されている。巻取部44は、図示しない駆動モーターにより回転して、支持部42から離間する印刷後の媒体Mをロール状に巻き取る。なお、本印刷装置100では、媒体Mとして、例えば、64インチ(Inch)程度の幅を有する塩化ビニル系フィルム等が使用される。
【0016】
主走査部30は、媒体Mに対してキャリッジ32を主走査方向であるX軸方向に沿って移動させる。主走査部30は、ガイド軸31と、キャリッジ32とを有する。ガイド軸31は、2本の棒状部材で構成され、長手方向がX軸方向と平行に配置されている。ガイド軸31は、キャリッジ32を移動可能に支持している。主走査部30は、キャリッジ32を移動させる図示しない移動機構を有する。移動機構としては、例えば、ボールねじとボールナットとを組み合わせた機構や、リニアガイド機構などを採用することができる。さらに、主走査部30は、キャリッジ32を移動させるための動力源として、図示しないキャリッジモーターを有する。キャリッジ32は、キャリッジモーターによって駆動され、ガイド軸31に沿ってX軸方向に往復移動する。ヘッドユニット50は、キャリッジ32に搭載され、媒体Mと対向している。このため、ヘッドユニット50は、キャリッジ32の往復動作に伴い、X軸方向に往復移動する。
【0017】
加熱部60は、媒体Mの搬送方向においてヘッドユニット50の下流側に配置されている。加熱部60は、ヘッドユニット50を通過した後の媒体Mを加熱し、媒体M上に吐出されたインクの溶媒成分を蒸発させて乾燥させる。加熱部60は、内部に図示しない発熱体を有し、加熱された空気を送風するとともに、赤外線を放射することにより媒体Mを加熱する。なお、加熱された空気の送風と赤外線の放射とのうちの一方を省略してもよく、他の任意の方式の加熱装置を加熱部60として用いてもよい。また、加熱部60のX軸方向に沿った長さは、媒体MのX軸方向の幅と同等、もしくは、それよりも長く構成されている。
【0018】
撮像部70は、媒体Mに印刷されたドットの濃度を測定するために、媒体Mに形成されたドット群、すなわち媒体Mに印刷された画像を撮像する。ドットの濃度は、撮像部70で撮像した画像データと、後述するCPU3の演算とにより、明度L*で表される。撮像部70は、キャリッジ32の媒体Mに対向する面に配置されており、キャリッジ32がX軸方向に移動する際に媒体Mを撮像する。撮像部70の撮像範囲のX軸方向に沿った長さは、媒体MのX軸方向の幅よりも短い。撮像部70は、キャリッジ32と共にX軸方向に移動しつつ連続して撮像することにより、媒体MにおけるX軸方向のすべての領域を撮像する。本実施形態では、撮像部70は、エリアセンサーにより構成されている。なお、エリアセンサーに代えて、ラインセンサーにより構成されてもよい。
【0019】
図2は、ヘッドユニットの概略構成を示す平面図である。次に、ヘッドユニット50の構成について図2を参照して説明する。なお、図2は、ヘッドユニット50をZ軸方向の−側である下面からみた時の模式図である。
ヘッドユニット50は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、グレー(LK)、ライトシアン(LC)の6色のインクを吐出する6つのノズル列51を備える。各ノズル列51は、ノズル54を有する4つのチップ52で構成されている。チップ52には、♯1〜♯400の400個のノズル54がY軸方向に沿って所定のノズルピッチで設けられている。4つのチップ52は、隣り合うチップ52の下端と上端とに設けられている一部のノズル54のX軸方向における位置が互いに重なるように、Y軸方向に沿ってスタガ配列されている。チップ52は、例えばシリコンウェハーを基本材料として、半導体プロセスを応用したMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)製造プロセスによって製造される。なお、ヘッドユニット50の構成は、一例であり、これに限定するものではない。
【0020】
図3は、チップの内部構成を示す断面図である。次に、チップ52の構成について図3を参照して説明する。
図3に示すように、チップ52は、複数の圧電振動子142、固定板143、及び、フレキシブルケーブル144等をユニット化した振動子ユニット140と、この振動子ユニット140を収納可能なケース141と、ケース141の先端面に接合された流路ユニット150とを備えている。ケース141は、先端と後端が共に開放された収納空部145を形成した合成樹脂製のブロック状部材であり、収納空部145内に振動子ユニット140が収納固定されている。
【0021】
圧電振動子142は、縦方向に細長い櫛歯状に形成されている。この圧電振動子142は、圧電体と内部電極とを交互に積層して構成された積層型の圧電振動子であって、積層方向に直交する縦方向であるZ軸方向に伸縮可能な縦振動モードの圧電振動子である。そして、各圧電振動子142の先端面が、流路ユニット150の島部146に接合されている。なお、この圧電振動子142はコンデンサーと同じように振る舞う。即ち、信号の供給が停止された場合において、圧電振動子142の電位は、停止直前の電位で保持される。
【0022】
流路ユニット150は、流路形成基板153を間に挟んでノズルプレート155を流路形成基板153の一方の面側であるZ軸方向の−側に配置し、弾性板154をノズルプレート155とは反対側となる他方の面側であるZ軸方向の+側に配置して積層することで構成されている。ノズルプレート155は、接着部材を介して流路形成基板153に接合されている。接着部材としては、エポキシ系接着剤や、アクリル系接着剤などを採用することができる。
【0023】
ノズルプレート155は、複数のノズル54をY軸方向に沿って形成した薄手のステンレス鋼やシリコンによって構成される。流路形成基板153は、共通インク室156、インク供給口157、圧力室158、及び、ノズル連通口159からなる一連のインク流路が形成された板状部材である。本実施形態では、この流路形成基板153を、シリコンウェハーのエッチング処理によって作製している。弾性板154は、ステンレス製の支持板152上に樹脂フィルム151をラミネート加工した二重構造の複合板材であり、圧力室158に対応した部分の支持板152を環状に除去して島部146を形成している。
【0024】
このチップ52では、共通インク室156から圧力室158を通ってノズル54に至る一連のインク流路がノズル54毎に形成される。そして、圧電振動子142を充電したり放電したりすることで圧電振動子142が変形する。即ち、この縦振動モードの圧電振動子142は、充電によって振動子長手方向に収縮し、放電によって振動子長手方向に伸長する。従って、充電によって電位を上昇させると、島部146が圧電振動子142側に引っ張られ、島部146周辺の樹脂フィルム151が変形して圧力室158が膨張する。また、放電によって電位を下降させると、圧力室158が収縮する。
【0025】
このように、電位に応じて圧力室158の容積が制御できるので、圧力室158内のインクに圧力変動を生じさせることができ、ノズル54からインクを吐出させることができる。例えば、定常容量(基準容積)の圧力室158を一旦膨張させた後に急激に収縮させることで、インクが液滴に吐出され、媒体M上にドットが形成される。
【0026】
なお、本実施形態では、縦振動型の圧電振動子142を用いた構成を例示したが、これに限定するものではない。例えば、下電極と圧電体層と上電極とを積層形成した撓み変形型の圧電振動子を用いてもよい。
【0027】
図4は、印刷装置の概略構成を示すブロック図である。次に、印刷装置100の電気的構成について図4を参照して説明する。
【0028】
印刷装置100は、図4に示す印刷制御装置110から入力される印刷データに基づいて媒体Mに画像を印刷する。
印刷制御装置110は、プリンター制御部111、入力部112、表示部113、記憶部114などを備えている。印刷制御装置110としては、パーソナルコンピューター等を使用することができる。印刷制御装置110は、印刷装置100と同じ筐体に設けられた構成であってもよい。
【0029】
プリンター制御部111は、入力部112、表示部113の制御や、印刷装置100に印刷を行わせる印刷ジョブの制御を行うものであり、印刷装置100の制御部1と協調して印刷システム120の全体を制御する。印刷制御装置110が動作するソフトウェアには、印刷する画像データを扱う一般的な画像処理アプリケーションソフトウェア(以下アプリケーションという)や、印刷装置100に印刷を実行させるための印刷データを生成するプリンタードライバーソフトウェア(以下プリンタードライバーという)が含まれる。
【0030】
プリンター制御部111は、CPU(Central Processing Unit)115や、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)116、DSP(Digital Signal Processor)117、メモリー118、インターフェイス部(I/F)119などを備え、印刷システム120全体の集中管理を行う。表示部113は、例えば液晶ディスプレイで構成されている。表示部113には、プリンター制御部111の制御の基に、入力部112から入力される情報や、印刷装置100に印刷する画像などが表示される。
【0031】
入力部112は、キーボードや情報入力機器が接続されるポート、表示部113(液晶ディスプレイ)の表面に設けられたタッチパネルなどで構成されている。入力部112は、画像データを取得する画像取得部としても機能する。
表示部113は、GUI(Graphical User Interface)ボタン等により、各種コマンドの選択肢を表示すると共に、ユーザーが、入力部112によりコマンドを選択することにより、各種コマンドが入力される。
記憶部114は、ハードディスクドライブ(HDD)やメモリーカードなどの書き換え可能な記憶媒体であり、印刷制御装置110が動作するソフトウェア(プリンター制御部111で動作するプログラム)や、印刷する画像、印刷ジョブに関係する情報などが記憶される。
メモリー118は、CPU115が動作するプログラムを格納する領域や動作する作業領域などを確保する記憶媒体であり、RAM、EEPROMなどの記憶素子によって構成される。
【0032】
印刷装置100は、印刷装置100に備えられている各部の制御を行う制御部1を有している。制御部1は、インターフェイス部(I/F)2、CPU3、制御回路4、メモリー5などを含んで構成される。
インターフェイス部2は、入力信号や画像を取り扱う印刷制御装置110と制御部1との間でデータの送受信を行うためのものであり、印刷制御装置110で生成された印刷データなどを受信する。
CPU3は、各種の入力信号処理や、メモリー5に格納されているプログラムおよび印刷制御装置110から受信した印刷データに従って印刷装置100全体の制御を行うための演算処理装置である。
メモリー5は、CPU3のプログラムを格納する領域や作業領域などを確保するための記憶媒体であり、RAM(Random Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)などの記憶素子を有している。
制御回路4は、印刷データおよびCPU3の演算結果に基づいて主走査部30、副走査部40、撮像部70などを制御するための制御信号を生成する回路である。
また、CPU3は、撮像部70で撮像された、媒体Mに印刷されたドットの画像データ処理を行い、ドットの濃度の指標となるCIELAB色空間の明度L*を求める。
【0033】
制御回路4は、電圧印加部としての駆動信号生成部4a、吐出信号生成部4b、移動信号生成部4cを含んでいる。
駆動信号生成部4aは、チップ52が備える圧電振動子142を駆動する後述する第1駆動波形および第2駆動波形のうちの何れか一方の駆動波形を生成する回路である。生成された駆動波形に電圧を印加することでノズル54から液滴が吐出される。
吐出信号生成部4bは、印刷データおよびCPU3の演算結果に基づいて、インクを吐出するノズル54の選択、吐出するタイミングの制御などをする制御信号を生成する回路である。
移動信号生成部4cは、印刷データおよびCPU3の演算結果に基づいて、主走査部30、副走査部40を制御する制御信号を生成する回路である。
【0034】
制御部1は、制御回路4から出力する制御信号によって、ノズル54からインクを吐出させながらキャリッジ32を主走査方向であるX軸方向に移動させる主走査を行うことで、X軸方向にドットの並ぶラスターラインを形成する。また、制御部1は、制御回路4から出力する制御信号によって、媒体Mを搬送方向であるY軸方向の+側に移動させる副走査を行う。この主走査と副走査とを交互に行うことにより、画像データに基づく所望の画像が媒体Mに印刷される。
【0035】
なお、本実施形態では、長尺の媒体Mをロール・ツー・ロール方式で供給する印刷装置100の構成を示したが、これに限定するものではない。例えば、印刷装置は、予め所定の長さにカットされた単票紙を枚葉式で供給する構成であってもよし、印刷後の媒体Mを巻取部44に替えて取り付けられる不図示の排出バスケットに収容する構成であってもよい。
【0036】
<画像処理>
図5は、画像を印刷させるための画像処理を説明する図である。次に、印刷データの生成処理について、図5を参照して説明する。媒体Mへの印刷は、印刷制御装置110から印刷装置100に印刷データが送信されることにより開始される。印刷データは、プリンタードライバーによって生成される。
【0037】
プリンタードライバーは、入力部112で取得した画像データ(例えば、テキストデータやフルカラーのイメージデータなど)をアプリケーションから受け取り、印刷装置100の制御部1が解釈できる形式の印刷データに変換し、印刷データを制御部1に出力する。アプリケーションからの画像データを印刷データに変換する際に、プリンタードライバーは、解像度変換処理・色変換処理(ICCプロファイル生成)・ハーフトーン処理・ラスタライズ処理・コマンド付加処理などを行う。すなわち、プリンタードライバーは、ソフトウェア(あるいはファームウェア)による機能部として、画像データに基づいてハーフトーン処理を行うハーフトーン処理部、ハーフトーン処理された画像データに基づいて印刷データを生成する印刷データ生成部などを備えている(図示省略)。
【0038】
ステップS1の解像度変換処理は、アプリケーションから出力された画像データを、媒体Mに印刷する際の解像度(印刷解像度)に変換する処理である。例えば、印刷解像度が720×720dpiに指定されている場合、アプリケーションから受け取ったベクター形式の画像データを720×720dpiの解像度のビットマップ形式の画像データに変換する。解像度変換処理後の画像データの各画素データは、マトリクス状に配置された画素から構成されている。各画素はRGB色空間の例えば256階調の階調値を有している。つまり、解像度変換後の画素データは、対応する画素の階調値を示すものである。
マトリクス状に配置された画素の内の所定の方向に並ぶ1列分の画素に対応する画素データを、ラスタデータという。なお、ラスタデータに対応する画素が並ぶ所定の方向は、画像を印刷するときのヘッドユニット50の移動方向(主走査方向)と対応している。
【0039】
ステップS2の色変換処理は、RGB色空間からCMYK色空間のデータに変換する処理である。この変換を行うシステムとして、カラーマネージメントシステムが使用される。カラーマネージメントシステムは、それらの色空間の対応関係を記述したプロファイル(例えば、ICC(International Color Consortium)プロファイル)を使用して色空間を変換する。色空間変換は、画像データを取り扱う特定の機器に依存する依存色空間(RGB色空間)から機器に依存しない非依存色空間(例えば、CIELAB色空間)に変換し、その後、出力側の印刷装置100の色空間(CMYK色空間)に変換することにより行われる。
CMYK色とは、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)であり、CMYK色系空間の画像データは、印刷装置100が有するインクの色に対応したデータである。従って、例えば、印刷装置100がCMYK色系の4種類のインクを使用する場合には、プリンタードライバーは、RGBデータに基づいて、CMYK色系の4次元空間の画像データを生成する。この色変換処理は、RGBデータの階調値とCMYK色系データの階調値とを対応づけたテーブル(色変換ルックアップテーブルLUT)に基づいて行われる。なお、色変換処理後の画素データは、CMYK色系空間により表される例えば256階調のCMYK色系データである。
【0040】
ステップS3のハーフトーン処理は、高階調数(256階調)のインク量データを、印刷装置100が形成可能な階調数のデータに変換する処理である。ハーフトーン処理は、ハーフトーン処理部によって行われる。このハーフトーン処理により、256階調を示すインク量データが、2階調(ドット有り、無し)を示す1ビットデータや、4階調(ドット無し、小ドット、中ドット、大ドット)を示す2ビットデータに変換される。具体的には、階調値(0〜255)とドット生成率が対応したドット生成率テーブルから、階調値に対応するドットの生成率を求め、得られた生成率において、ディザ法・誤差拡散法などを利用して、ドットが分散して形成されるように画素データが作成される。つまり、ハーフトーン処理後の画素データは、1ビットまたは2ビットのデータであり、この画素データは各画素でのドットの形成(ドットの有無、ドットの大きさ)を示すデータになる。例えば、2ビット(4階調)の場合、ドット無しに対応するドット階調値[00]、小ドットの形成に対応するドット階調値[01]、中ドットの形成に対応するドット階調値[10]、及び、大ドットの形成に対応するドット階調値[11]のように4段階に変換される。なお、本実施形態の印刷装置100は、ドット有り、無しの2階調で印刷するので、ハーフトーン処理では、1ビットデータが生成される。
【0041】
ステップS4のラスタライズ処理は、マトリクス状に並ぶ画素データ(本実施形態では、1ビットのデータ)を、印刷時のドット形成順序に従って並べ替える処理である。ラスタライズ処理には、ハーフトーン処理後の画素データによって構成される画像データを、ヘッドユニット50が往復移動しながら液滴を吐出する各主走査に割り付けるパス割り付け処理が含まれる。パス割り付けが完了すると、印刷画像を構成する各ラスターラインを形成する実際のノズル54が割り付けられる。
【0042】
ステップS5のコマンド付加処理は、ラスタライズ処理されたデータに、印刷方式に応じたコマンドデータを付加する処理である。コマンドデータとしては、例えば媒体Mの搬送仕様(搬送方向への移動量や速度など)に関わる搬送データなどがある。ラスタライズ処理およびコマンド付加処理は、印刷データ生成部で行われ印刷データが生成される。
ステップS6の印刷データ送信処理は、生成された印刷データを、インターフェイス部119を介して印刷装置100に送信する処理である。
プリンタードライバーによるステップS1からステップS6の処理は、CPU115の制御のもとにASIC116及びDSP117によって行われる(図4参照)。
【0043】
次に、各チップ52のノズル54から吐出される液滴の大きさについて説明する。図6は、圧電振動子に印加する駆動波形を説明する図である。図7は、ノズルから吐出される液滴のドットサイズを説明する図である。なお、図7では、ドットサイズが変化するイメージを丸印の面積で示している。
【0044】
図6に示すように、ハーフトーン処理で生成された画素データがドット有りの場合、駆動信号生成部4aは、チップ52毎に圧電振動子142を駆動させる第1駆動波形および第2駆動波形のうちの何れか一方の駆動波形を生成する。ハーフトーン処理で生成された画素データがドット無しの場合、駆動波形は生成されない。ノズル54から吐出される液滴の大きさ(以下、ドットサイズという)は、駆動波形の種類と電圧VHとによって変更することが可能である。例えば、第1駆動波形は、所定の期間Tにおいて圧電振動子142を変位させる電圧VHの変化が3回繰り返される。第2駆動波形は、所定の期間Tにおいて圧電振動子142を変位させる電圧VHの変化が4回繰り返される。所定の期間Tは、ノズル54が1画素分主走査方向に移動する期間に対応する。例えば、印刷解像度が720dpiの場合、期間Tは、ノズル54が媒体Mに対して1/720インチ移動するための期間に相当する。なお、所定の期間Tにおいて繰り返される電圧VHの変化の回数は一例であり、これに限定されない。
【0045】
図7は、第1駆動波形および第2駆動波形に印加する電圧VHとドットサイズとの関係を示している。各チップ52のノズル54から吐出される液滴のドットサイズは、各駆動波形に印加する電圧VHに比例して変化する。各チップ52には、電圧VHを印加することが可能な範囲である調整可能電圧範囲が設定される。調整可能電圧範囲とは、ミストが発生し難く、ドット抜けが発生しない電圧VHの範囲であり、予め各チップ52について実験により設定されメモリー5に記憶されている。
【0046】
駆動信号生成部4aは、チップ52に設定された調整可能電圧範囲の電圧VHを第1駆動波形に印加することで、第1サイズ範囲の小ドットの液滴をノズル54から吐出させる。また、駆動信号生成部4aは、チップ52に設定された調整可能電圧範囲の電圧VHを第2駆動波形に印加することで、第1サイズ範囲の最大ドットよりも大きいサイズを含む第2サイズ範囲の大ドットの液滴をノズル54から吐出させる。さらに、第1サイズ範囲と第2サイズ範囲とは、重複している。具体的には、調整可能電圧範囲の最大電圧Vmaxを第1駆動波形に印加した時に吐出される小ドットである、第1サイズ範囲の最大ドットサイズは、調整可能電圧範囲の最小電圧Vminを第2駆動波形に印加した時に吐出される大ドットである、第2サイズ範囲の最小ドットサイズよりも大きい。
【0047】
<電圧決定方法>
次に、インク濃度を調整するために、本印刷で印加する電圧を決定する電圧決定方法について説明する。図8は、電圧決定方法を説明するフローチャート図である。
【0048】
上述のように、チップ52が半導体プロセスを応用したMEMS製造プロセスによって製造された場合、チップ52の個体差によってノズル54から吐出される液滴のドットサイズが異なることがある。ドットサイズは、濃度に比例するため、第1駆動波形で所定の電圧を印加した場合でも、チップ52毎に吐出されるドットの濃度が異なる。このため、本実施形態の印刷装置100で印刷を行う場合は、本印刷の前に、第1駆動波形で所定の電圧を前記チップ52に印加して仮印刷を行い、印刷された画像のドットの濃度を求め、目標濃度を達成するために本印刷でチップ52に印加すべき駆動波形および電圧を決定する。
本印刷で印刷する電圧を決定する電圧決定方法について詳述する。なお、この電圧決定方法は、ヘッドユニット50の同じ色を吐出するノズル列51を形成する4つのチップ52毎に行われる。以下の説明では、Kインクを吐出する4つのチップ52のインク濃度を目標濃度とするための電圧決定方法を説明する。
【0049】
ステップS101は、第1駆動波形で所定の電圧V0を印加して媒体Mに印刷する印刷工程である。制御部1の駆動信号生成部4aは、第1駆動波形で所定の電圧V0を印加する。Kインクを吐出する4つのチップ52が制御部1の吐出信号生成部4bから出力される制御信号に基づいてノズル54から液滴を吐出し、移動部20が制御部1の移動信号生成部4cから出力される制御信号に基づいて媒体Mとヘッドユニット50とを相対移動することで、媒体MにKインクのドットが印刷される。
【0050】
ステップS102は、媒体Mに印刷されたドットの濃度を測定する濃度測定工程である。制御部1は、撮像部70を駆動し、媒体Mにドットで印刷された画像を撮像する。制御部1のCPU3は、撮像した画像データをCIELAB色空間に変換し、ドットの濃度の指標であるドットの明度Lmを求める。これにより、媒体Mに印刷されたドットの濃度としてのドットの明度Lmの測定から以下に説明するステップを続けて行うことができる。なお、本実施形態では、濃度としてCIELAB色空間の明度L*を用いるものと説明したが、CIELUV色空間の明度L*などであってもよい。
【0051】
ステップS103は、媒体Mに印刷されたドットの濃度と目標濃度とに基づいて、調整可能電圧範囲内での電圧変更で目標濃度を達成できるかを判断する判断工程である。目標濃度は、第1駆動波形に電圧VHを印加して媒体Mにドットを印刷した時に実現したい所望の濃度である。各色の目標濃度は、目標明度Ltとして予めメモリー5に記憶されている。上述したように、ドットサイズは、電圧VHに比例する。例えば、電圧VHを高くすると、液滴のドットサイズが大きくなり、ドットの濃度は濃くなる。すなわち、濃度の指標として用いる明度L*は、電圧VHに対して略直線的に減少する一次関数で表され、その係数は、予めメモリー5に記憶されている。
【0052】
図9から図11は、電圧VHと明度L*との関係を示す図である。図9および図10は、目標明度Ltが調整可能電圧範囲内にある場合の一例を示している。図11は、目標明度Ltが調整可能電圧範囲以外にある場合の一例を示している。CPU3は、ステップS102で求めたドットの明度Lmと係数とから調整可能電圧範囲の上限Vmaxおよび下限Vminを印加した時に得られる明度L*を算出し、目標明度Ltと比較する。図9および図10に示すように、CPU3が第1駆動波形の調整可能電圧範囲内での調整で目標明度Ltを達成できると判断した場合(ステップS103:Yes)は、ステップS104に進む。図11に示すように、第1駆動波形で目標明度Ltを得ようとした時、電圧VHが調整可能電圧範囲の上限電圧Vmax以上となり、CPU3が調整可能電圧範囲内での調整で目標明度Ltを達成できないと判断した場合(ステップS103:No)は、ステップS105に進む。
【0053】
ステップS104は、本印刷にて使用する本電圧VHを決定する決定工程である。図9および図10に示すように、CPU3は、ドットの明度Lmと目標明度Ltとの差異と、係数とから第1駆動波形で目標明度Ltを実現する電圧Vsを求め、これを本印刷にて使用する電圧VHに決定する。
【0054】
ステップS105は、第1駆動波形で調整可能電圧範囲の上限値の電圧Vmaxを印加しても目標濃度としての目標明度Ltに達しない時、第2駆動波形に変更して本印刷にて使用する本電圧VHを決定する決定工程である。図11に示すように、第1駆動波形に上限値の電圧Vmaxを印加しても目標明度Ltに達しない場合、CPU3は、駆動波形を第2駆動波形に変更する。CPU3は、ステップS102で求めた、第1駆動波形で所定の電圧V0を印加した時のドットの明度Lmから、第2駆動波形で所定の電圧V0を印加した時のドットの明度Lm’を算出する。
【0055】
上述したように、第1駆動波形と第2駆動波形とは、所定の期間Tにおいて圧電振動子142を変位させる電圧VHの変化の回数が異なる。電圧VHが同じ場合、第2駆動波形で吐出される大ドットのドットサイズは、電圧VHの変化の回数差から求められる。ドットサイズは濃度としての明度L*に比例するので、CPU3は、ドットの明度Lmからドットの明度Lm’を算出することができる。CPU3は、ドットの明度Lm’と目標明度Ltとの差異と、係数とから第2駆動波形で目標明度Ltを実現する電圧Vsを求め、これを本印刷にて使用する電圧VHに決定する。なお、第1駆動波形で調整可能電圧範囲の下限値の電圧Vminを印加しても目標明度Ltに達しない場合、CPU3は、本印刷にて使用する電圧VHを下限値の電圧Vminに決定する。
【0056】
印刷装置100および電圧決定方法は、小ドットを吐出する第1駆動波形に調整可能電圧範囲の上限値の電圧Vmaxを印加しても目標明度Ltに達しない時、大ドットを吐出する第2駆動波形に変更して本印刷にて使用する本電圧VHを決定するので、チップ52から吐出される液滴の濃度としての明度L*の調整範囲を広げることができる。
第1駆動波形に調整可能電圧範囲の電圧VHを印加することでノズル54から吐出される小ドットの第1サイズ範囲と、第2駆動波形に調整可能電圧範囲の電圧VHを印加することでノズル54から吐出される大ドットの第2サイズ範囲とは、重複する範囲を有している。これにより、液滴の濃度としての明度L*の調整範囲を好適に広げることができる。
Kインクを吐出する4つのチップ52に対して、ステップS103からステップS105を行うことにより、Kインクのノズル列51から吐出される液滴のドットの濃度を揃えることができる。
【0057】
なお、本実施形態では、ヘッドユニット50として、往復移動するキャリッジ32に搭載され媒体Mの幅方向(±X軸方向)に移動しながら液滴を吐出するシリアルヘッド式を例示したが、複数のチップ52で構成され、媒体Mの幅方向に延在し固定して配列されたラインヘッド式であってもよい。
【0058】
また、本実施形態の印刷装置100は、撮像部70を備え、撮像部70が撮像した画像データから明度L*を求めるものと説明したが、撮像部70を備えない構成であってもよい。ユーザーが仮印刷で媒体Mに印刷された画像を、分光測色計などを用いて明度L*を計測し、その値を入力部112から入力させる構成でもよい。
【0059】
以上述べたように、実施形態1に係る印刷装置100及び電圧決定方法によれば、以下の効果を得ることができる。
印刷装置100の制御部1は、本印刷の前に、第1サイズ範囲の小ドットを吐出させるための第1駆動波形で所定の電圧V0を印加して媒体Mに仮印刷を行う。仮印刷されたドットの明度Lmと目標明度Ltとを比較し、第1駆動波形に調整可能電圧範囲の上限値の電圧Vmaxを印加しても目標明度Ltに達しない時、制御部1は、第1駆動波形から大ドットを吐出する第2駆動波形に変更して本印刷にて使用する本電圧VHを決定する。これにより、チップ52から吐出される液滴の濃度としての明度L*の調整範囲を広げることができる。
【0060】
第1駆動波形に調整可能電圧範囲の電圧VHを印加することでノズル54から吐出される小ドットの第1サイズ範囲と、第2駆動波形に調整可能電圧範囲の電圧VHを印加することでノズル54から吐出される大ドットの第2サイズ範囲とは、重複する範囲を有している。これにより、液滴の濃度としての明度L*の調整範囲を好適に広げることができる。
印刷装置100は、ドットの濃度を測定するための測定部としての撮像部70を備えている。制御部1は、撮像部70で撮像された画像データからドットの濃度の指標となる明度L*を求める。これにより、媒体Mに印刷されたドットの濃度としてのドットの明度Lmの測定から本印刷にて使用する本電圧VHの決定までを続けて行うことができる。
【0061】
本実施形態の電圧決定方法は、本印刷の前の印刷工程で、第1サイズ範囲の小ドットを吐出させるための第1駆動波形で所定の電圧V0を印加して媒体Mに仮印刷を行う。判断工程で、仮印刷されたドットの明度Lmと目標明度Ltとを比較し、第1駆動波形に調整可能電圧範囲の上限値の電圧Vmaxを印加しても目標明度Ltに達しない時、決定工程で、制御部1は、第1駆動波形から大ドットを吐出する第2駆動波形に変更して本印刷にて使用する本電圧VHを決定する。これにより、チップ52から吐出される液滴の濃度としての明度L*の調整範囲を広げることができる。
【0062】
(実施形態2)
図12は、実施形態2に係る電圧決定方法を説明するフローチャート図である。インク濃度を調整するために、本印刷で印加する電圧を決定する電圧決定方法について図12を参照して説明する。なお、本実施形態のステップS202は、実施形態1で説明したステップS102と同じであるのでその説明を省略する。
【0063】
ステップS201は、第2駆動波形で所定の電圧V0を印加して媒体Mに印刷する印刷工程である。制御部1の駆動信号生成部4aは、第2駆動波形で所定の電圧V0を印加する。Kインクを吐出する4つのチップ52が制御部1の吐出信号生成部4bから出力される制御信号に基づいてノズル54から液滴を吐出し、移動部20が制御部1の移動信号生成部4cから出力される制御信号に基づいて媒体Mとヘッドユニット50とを相対移動することで、媒体MにKインクのドットが印刷される。
【0064】
ステップS203は、媒体Mに印刷されたドットの濃度と目標濃度とに基づいて、調整可能電圧範囲内での電圧変更で目標濃度を達成できるかを判断する判断工程である。目標濃度は、第2駆動波形に電圧VHを印加して媒体Mにドットを印刷した時に実現したい所望の濃度である。各色の目標濃度は、目標明度Ltとして予めメモリー5に記憶されている。上述したように、ドットサイズは、電圧VHに比例する。例えば、電圧VHを高くすると、液滴のドットサイズが大きくなり、ドットの濃度は濃くなる。すなわち、濃度の指標として用いる明度L*は、電圧VHに対して直線的に減少する一次関数で表され、その係数は、予めメモリー5に記憶されている。
【0065】
図13および図14は、電圧VHと明度L*との関係を示す図である。図13は、目標明度Ltが調整可能電圧範囲内にある場合の一例を示している。図14は、目標明度Ltが調整可能電圧範囲以外にある場合の一例を示している。CPU3は、ステップS202で求めたドットの明度Lmと係数とから調整可能電圧範囲の上限Vmaxおよび下限Vminを印加した時に得られる明度L*を算出し、目標明度Ltと比較する。図13に示すように、CPU3が第2駆動波形の調整可能電圧範囲内での調整で目標明度Ltを達成できると判断した場合(ステップS203:Yes)は、ステップS204に進む。図14に示すように、第2駆動波形で目標明度Ltを得ようとした時、電圧VHが調整可能電圧範囲の下限電圧Vmin以下となり、CPU3が調整可能電圧範囲内での調整で目標明度Ltを達成できないと判断した場合(ステップS203:No)は、ステップS205に進む。
【0066】
ステップS204は、本印刷にて使用する本電圧VHを決定する決定工程である。図13に示すように、CPU3は、ドットの明度Lmと目標明度Ltとの差異と、係数とから第2駆動波形で目標明度Ltを実現する電圧Vsを求め、これを本印刷にて使用する電圧VHに決定する。
【0067】
ステップS205は、第2駆動波形で調整可能電圧範囲の下限値の電圧Vminを印加しても目標濃度としての目標明度Ltに達しない時、第1駆動波形に変更して本印刷にて使用する本電圧VHを決定する決定工程である。図14に示すように、第2駆動波形に下限値の電圧Vminを印加しても目標明度Ltに達しない場合、CPU3は、駆動波形を第1駆動波形に変更する。CPU3は、ステップS202で求めた、第2駆動波形で所定の電圧V0を印加した時のドットの明度Lmから、第1駆動波形で所定の電圧V0を印加した時のドットの明度Lm’を算出する。
【0068】
上述したように、第1駆動波形と第2駆動波形とは、所定の期間Tにおいて圧電振動子142を変位させる電圧VHの変化の回数が異なる。電圧VHが同じ場合、第1駆動波形で吐出される小ドットのドットサイズは、電圧VHの変化の回数差から求められる。ドットサイズは濃度としての明度L*に比例するので、CPU3は、ドットの明度Lmからドットの明度Lm’を算出することができる。CPU3は、ドットの明度Lm’と目標明度Ltとの差異と、係数とから第1駆動波形で目標明度Ltを実現する電圧Vsを求め、これを本印刷にて使用する電圧VHに決定する。なお、第2駆動波形で調整可能電圧範囲の上限値の電圧Vmaxを印加しても目標明度Ltに達しない場合、CPU3は、本印刷にて使用する電圧VHを上限値の電圧Vmaxに決定する。
【0069】
本実施形態の印刷装置100および電圧決定方法は、大ドットを吐出する第2駆動波形で調整可能電圧範囲の下限値の電圧Vminを印加しても目標明度Ltに達しない時、小ドットを吐出する第1駆動波形に変更して本印刷にて使用する本電圧VHを決定するので、チップ52から吐出される液滴の濃度としての明度L*の調整範囲を広げることができる。
【0070】
以上述べたように、実施形態2に係る印刷装置100及び電圧決定方法によれば、以下の効果を得ることができる。
印刷装置100の制御部1は、本印刷の前に、第2サイズ範囲の大ドットを吐出させるための第2駆動波形で所定の電圧V0を印加して媒体Mに仮印刷を行う。仮印刷されたドットの明度Lmと目標明度Ltとを比較し、第2駆動波形に調整可能電圧範囲の下限値の電圧Vminを印加しても目標明度Ltに達しない時、制御部1は、第2駆動波形から小ドットを吐出する第1駆動波形に変更して本印刷にて使用する本電圧VHを決定する。これにより、チップ52から吐出される液滴の濃度としての明度L*の調整範囲を広げることができる。
【0071】
本実施形態の電圧決定方法は、本印刷の前の印刷工程で、第2サイズ範囲の大ドットを吐出させるための第2駆動波形で所定の電圧V0を印加して媒体Mに仮印刷を行う。判断工程で、仮印刷されたドットの濃度Lmと目標濃度Ltとを比較し、第2駆動波形に調整可能電圧範囲の下限値の電圧Vminを印加しても目標濃度Ltに達しない時、決定工程で、制御部1は、第2駆動波形から小ドットを吐出する第1駆動波形に変更して本印刷にて使用する本電圧を決定する。これにより、チップ52から吐出される液滴の濃度の調整範囲を広げることができる。
【0072】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、上述した実施形態に種々の変更や改良などを加えることが可能である。変形例を以下に述べる。また、実施形態と同一の構成部位については、同一の番号を使用し、重複する説明は省略する。
【0073】
(変形例1)
変形例1に係る印刷装置100の駆動信号生成部4aは、チップ52に設定された調整可能電圧範囲の電圧VHを第1駆動波形に印加することで、第1サイズ範囲の小ドットの液滴をノズル54から吐出させる。また、駆動信号生成部4aは、チップ52に設定された調整可能電圧範囲の電圧VHを第2駆動波形に印加することで、第1サイズ範囲の最大ドットよりも大きいサイズを含む第2サイズ範囲の中ドットの液滴をノズル54から吐出させる。
【0074】
CPU3は、小ドットを吐出する第1駆動波形に調整可能電圧範囲の上限値の電圧Vmaxを印加しても目標明度Ltに達しない時、第1駆動波形から中ドットを吐出する第2駆動波形に変更して本印刷にて使用する本電圧VHを決定するので、チップ52から吐出される液滴の濃度としての明度L*の調整範囲を広げることができる。
【0075】
(変形例2)
変形例2に係る印刷装置100の駆動信号生成部4aは、チップ52に設定された調整可能電圧範囲の電圧VHを第1駆動波形に印加することで、第1サイズ範囲の中ドットの液滴をノズル54から吐出させる。また、駆動信号生成部4aは、チップ52に設定された調整可能電圧範囲の電圧VHを第2駆動波形に印加することで、第1サイズ範囲の最大ドットよりも大きいサイズを含む第2サイズ範囲の大ドットの液滴をノズル54から吐出させる。
【0076】
CPU3は、中ドットを吐出する第1駆動波形に調整可能電圧範囲の上限値の電圧Vmaxを印加しても目標明度Ltに達しない時、第1駆動波形から大ドットを吐出する第2駆動波形に変更して本印刷にて使用する本電圧を決定するので、チップ52から吐出される液滴の濃度としての明度L*の調整範囲を広げることができる。
【0077】
(変形例3)
変形例3に係る印刷装置100の駆動信号生成部4aは、チップ52に設定された調整可能電圧範囲の電圧VHを第1駆動波形に印加することで、第1サイズ範囲の小ドットの液滴をノズル54から吐出させる。また、駆動信号生成部4aは、チップ52に設定された調整可能電圧範囲の電圧VHを第3駆動波形に印加することで、第1サイズ範囲の最大ドットよりも大きいサイズを含む第3サイズ範囲の中ドットの液滴をノズル54から吐出させる。また、駆動信号生成部4aは、チップ52に設定された調整可能電圧範囲の電圧VHを第2駆動波形に印加することで、第3サイズ範囲の最大ドットよりも大きいサイズを含む第2サイズ範囲の大ドットの液滴をノズル54から吐出させる。
【0078】
CPU3は、中ドットを吐出する第3駆動波形に調整可能電圧範囲の下限値の電圧Vminを印加しても目標明度Ltに達しない時、第3駆動波形から小ドットを吐出する第1駆動波形に変更して本印刷にて使用する本電圧VHを決定する。CPU3は、中ドットを吐出する第3駆動波形で調整可能電圧範囲の上限値の電圧Vmaxを印加しても目標明度Ltに達しない時、第3駆動波形から大ドットを吐出する第2駆動波形に変更して本印刷にて使用する本電圧を決定する。これにより、チップ52から吐出される液滴の濃度としての明度L*の調整範囲をさらに広げることができる。
【0079】
第1駆動波形と調整可能電圧範囲とで吐出される小ドットの第1サイズ範囲と、第3駆動波形と調整可能電圧範囲とで吐出される中ドットの第3サイズ範囲と、は重複している。さらに、中ドットの第3サイズ範囲と、第2駆動波形と調整可能電圧範囲とで吐出される大ドットの第2サイズ範囲と、は重複している。これにより、液滴の濃度としての明度L*の調整範囲を好適に広げることができる。
【0080】
上記実施形態において、印刷制御装置110の機能の少なくとも一部を他の装置が有していても良い。また、印刷制御装置110の機能の全てを、印刷装置が有する構成であってもよい。かかる構成においても、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0081】
以下に、実施形態から導き出される内容を記載する。
【0082】
本願の印刷装置は、ノズルを有するチップと、前記チップに設定された調整可能電圧範囲の電圧を、第1サイズ範囲の小ドットを吐出させるための第1駆動波形及び前記第1サイズ範囲の最大ドットよりも大きいサイズを含む第2サイズ範囲の大ドットを吐出させるための第2駆動波形のうちの何れか一方に印加することで前記ノズルから液滴を吐出させる電圧印加部を含む制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1駆動波形で所定の電圧を前記チップに印加して媒体に印刷し、前記媒体に印刷された前記ドットの濃度と目標濃度とに基づいて、前記調整可能電圧範囲内での電圧変更で前記目標濃度を達成できるかを判断し、前記第1駆動波形で前記調整可能電圧範囲の上限値の電圧を印加しても前記目標濃度に達しない時、前記第2駆動波形に変更して本印刷にて使用する本電圧を決定することを特徴とする。
【0083】
この構成によれば、印刷装置は、ノズルを有するチップと、ノズルから液滴を吐出させるための電圧を印加する電圧印加部を含む制御部を備えている。制御部は、本印刷の前に、第1サイズ範囲の小ドットを吐出させるための第1駆動波形で所定の電圧をチップに印加して媒体に印刷を行う。そして、制御部は、印刷されたドットの濃度と目標濃度とに基づいて、調整可能電圧範囲の上限値の電圧を印加しても目標濃度を達成できないと判断した時、第2サイズ範囲の大ドットを吐出させるための第2駆動波形に変更して本印刷にて使用する本電圧を決定する。すなわち、制御部は、本印刷において、ノズルから第1サイズ範囲の最大ドットよりも大きいサイズの大ドットを吐出することが可能な第2駆動波形に調整可能電圧範囲内の本電圧を印加して、液滴の目標濃度を達成する。この構成により、調整可能電圧範囲が設定された印刷装置における、液滴の濃度の調整範囲を広げることができる。
【0084】
本願の印刷装置は、ノズルを有するチップと、前記チップに設定された調整可能電圧範囲の電圧を、第1サイズ範囲の小ドットを吐出させるための第1駆動波形及び前記第1サイズ範囲の最大ドットよりも大きいサイズを含む第2サイズ範囲の大ドットを吐出させるための第2駆動波形のうちの何れか一方に印加することで前記ノズルから液滴を吐出させる電圧印加部を含む制御部と、を備え、前記制御部は、前記第2駆動波形で所定の電圧を前記チップに印加して媒体に印刷し、前記媒体に印刷された前記ドットの濃度と目標濃度とに基づいて、前記調整可能電圧範囲内での電圧変更で前記目標濃度を達成できるかを判断し、前記第2駆動波形で前記調整可能電圧範囲の下限値の電圧を印加しても前記目標濃度に達しない時、前記第1駆動波形に変更して本印刷にて使用する本電圧を決定することを特徴とする。
【0085】
この構成によれば、印刷装置は、ノズルを有するチップと、ノズルから液滴を吐出させるための電圧を印加する電圧印加部を含む制御部を備えている。制御部は、本印刷の前に、第2サイズ範囲の大ドットを吐出させるための第2駆動波形で所定の電圧をチップに印加して媒体に印刷を行う。そして、制御部は、印刷されたドットの濃度と目標濃度とに基づいて、調整可能電圧範囲の下限値の電圧を印加しても目標濃度を達成できないと判断した時、第1サイズ範囲の小ドットを吐出させるための第1駆動波形に変更して本印刷にて使用する本電圧を決定する。すなわち、制御部は、本印刷において、ノズルから第2サイズ範囲の最小ドットよりも小さいサイズの小ドットを吐出することが可能な第1駆動波形に調整可能電圧範囲内の本電圧を印加して、液滴の目標濃度を達成する。この構成により、調整可能電圧範囲が設定された印刷装置における、液滴の濃度の調整範囲を広げることができる。
【0086】
上記の印刷装置において、前記第1サイズ範囲と前記第2サイズ範囲とは、重複していることが好ましい。
【0087】
この構成によれば、第1駆動波形で吐出される液滴の第1サイズ範囲と、第2駆動波形で吐出される液滴の第2サイズ範囲とは、重複している。液滴のサイズは、濃度に比例するので、液滴の濃度の調整範囲を好適に広げることが出来る。
【0088】
上記の印刷装置は、前記媒体に印刷された前記ドットの濃度を測定するための測定部をさらに備えることが好ましい。
【0089】
この構成によれば、印刷装置は、ドットの濃度を測定するための測定部を備えているので、媒体に印刷されたドットの濃度の測定から本電圧の決定までを続けて行うことができる。
【0090】
本願の電圧決定方法は、ノズルを有するチップと、前記チップに設定された調整可能電圧範囲の電圧を、第1サイズ範囲の小ドットを吐出させるための第1駆動波形及び前記第1サイズ範囲の最大ドットよりも大きいサイズを含む第2サイズ範囲の大ドットを吐出させるための第2駆動波形のうちの何れか一方に印加することで前記ノズルから液滴を吐出させる電圧印加部を含む制御部と、を備えた印刷装置において、本印刷で印加する電圧を決定する電圧決定方法であって、前記第1駆動波形で所定の電圧を前記チップに印加して媒体に印刷する印刷工程と、前記媒体に印刷された前記ドットの濃度と目標濃度とに基づいて、前記調整可能電圧範囲内での電圧変更で前記目標濃度を達成できるかを判断する判断工程と、前記第1駆動波形で前記調整可能電圧範囲の上限値の電圧を印加しても前記目標濃度に達しない時、前記第2駆動波形に変更して本印刷にて使用する本電圧を決定する決定工程と、を有することを特徴とする。
【0091】
この方法によれば、印刷工程では、制御部は、本印刷の前に、第1サイズ範囲の小ドットを吐出させるための第1駆動波形で所定の電圧をチップに印加して媒体に印刷を行う。判断工程では、制御部は、印刷されたドットの濃度と目標濃度とに基づいて、調整可能電圧範囲での電圧変更で目標濃度を達成できるかを判断する。決定工程では、制御部は、調整可能電圧範囲内の上限値の電圧を印加しても目標濃度を達成できないと判断した時、第2サイズ範囲の大ドットを吐出させるための第2駆動波形に変更して本印刷にて使用する本電圧を決定する。すなわち、制御部は、本印刷を行う工程において、ノズルから第1サイズ範囲の最大ドットよりも大きいサイズの大ドットを吐出することが可能な第2駆動波形に調整可能電圧範囲内の本電圧を印加して、液滴の目標濃度を達成する。この電圧決定方法により、調整可能電圧範囲が設定された印刷装置における、液滴の濃度の調整範囲を広げることができる。
【0092】
本願の電圧決定方法は、ノズルを有するチップと、前記チップに設定された調整可能電圧範囲の電圧を、第1サイズ範囲の小ドットを吐出させるための第1駆動波形及び前記第1サイズ範囲の最大ドットよりも大きいサイズを含む第2サイズ範囲の大ドットを吐出させるための第2駆動波形のうちの何れか一方に印加することで前記ノズルから液滴を吐出させる電圧印加部を含む制御部と、を備えた印刷装置において、本印刷で印加する電圧を決定する電圧決定方法であって、前記第2駆動波形で所定の電圧を前記チップに印加して媒体に印刷する印刷工程と、前記媒体に印刷された前記ドットの濃度と目標濃度とに基づいて、前記調整可能電圧範囲内での電圧変更で前記目標濃度を達成できるかを判断する判断工程と、前記第2駆動波形で前記調整可能電圧範囲の下限値の電圧を印加しても前記目標濃度に達しない時、前記第1駆動波形に変更して本印刷にて使用する本電圧を決定する決定工程と、を有することを特徴とする。
【0093】
この方法によれば、印刷工程では、制御部は、本印刷の前に、第2サイズ範囲の大ドットを吐出させるための第2駆動波形で所定の電圧を前記チップに印加して媒体に印刷を行う。判断工程では、制御部は、印刷されたドットの濃度と目標濃度とに基づいて、調整可能電圧範囲での電圧変更で目標濃度を達成できるかを判断する。決定工程では、制御部は、調整可能電圧範囲内の下限値の電圧を印加しても目標濃度を達成できないと判断した時、第1サイズ範囲の小ドットを吐出させるための第1駆動波形に変更して本印刷にて使用する本電圧を決定する。すなわち、制御部は、本印刷を行う工程において、ノズルから第2サイズ範囲の最小ドットよりも小さいサイズの小ドットを吐出することが可能な第1駆動波形に調整可能電圧範囲内の本電圧を印加して、液滴の目標濃度を達成する。この電圧決定方法により、調整可能電圧範囲が設定された印刷装置における、液滴の濃度の調整範囲を広げることができる。
【符号の説明】
【0094】
1…制御部、2,119…インターフェイス部、3,115…CPU、4…制御回路、4a…電圧印加部としての駆動信号生成部、4b…吐出信号生成部、4c…移動信号生成部、5,118…メモリー、20…移動部、30…主走査部、32…キャリッジ、40…副走査部、43…搬送ローラー対、50…ヘッドユニット、51…ノズル列、52…チップ、54…ノズル、60…加熱部、70…測定部としての撮像部、100…印刷装置、110…印刷制御装置、111…プリンター制御部、112…入力部、113…表示部、114…記憶部、116…ASIC、117…DSP、120…印刷システム、140…振動子ユニット、142…圧電振動子、155…ノズルプレート。
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