特開2019-209521(P2019-209521A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-209521(P2019-209521A)
(43)【公開日】2019年12月12日
(54)【発明の名称】振出式シャープペンシル
(51)【国際特許分類】
   B43K 21/16 20060101AFI20191115BHJP
【FI】
   B43K21/16 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-105266(P2018-105266)
(22)【出願日】2018年5月31日
(71)【出願人】
【識別番号】303022891
【氏名又は名称】株式会社パイロットコーポレーション
(72)【発明者】
【氏名】河原崎 勇二
【テーマコード(参考)】
2C353
【Fターム(参考)】
2C353FA12
2C353FC13
2C353FG02
2C353FG05
(57)【要約】
【課題】振り動作時に発生する衝撃音及び摺接音を軽減すると共に必要以上に芯が繰り出されることを防止可能な振出式シャープペンシルを得ること。
【解決手段】芯ホルダー19を内蔵した先部材5と、前部に先部材5を装着した軸筒4と、芯の移動を前進方向には許容するが後退方向には阻止する芯保持チャック8と、芯保持チャック8の外面部のボール9を受け止める締具10と、締具10に対して長手方向に適宜移動可能且つ当接可能に形成された筒状体11と、筒状体11の後部に装着された重量体17と、筒状体11に対して長手方向に適宜移動可能に係止されたコネクター14と、コネクター14の後方に連結された芯タンク15と、筒状体11を後方へ弾発する第一の弾発部材16と、を備え、筒状体11または重量体17とコネクター14とを当接可能に構成すると共に、軸筒を振った際に筒状体11と重量体17とコネクター14と芯タンク15とが一体的に前進するよう構成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯を保持する芯ホルダーを内蔵した先部材と、前部に前記先部材を装着した軸筒と、前記軸筒内に配設され前記芯の移動を前進方向には許容するが後退方向には阻止する芯保持チャックと、前記芯保持チャックの外面部に配設されたボールを軸方向後方へ向って縮径するテーパー面により受け止める筒状の締具と、前記締具に対して前記芯保持チャックを後方へ弾発するチャックスプリングと、前記締具の外方に配設され当該締具に対して長手方向に適宜移動可能且つ当接可能に形成された筒状体と、前記筒状体の後部に装着された重量体と、前記締具を前後動自在に把持する前方把持部を有し前記筒状体に対して長手方向に適宜移動可能に係止されたコネクターと、前記コネクターの後方に装着され前記芯を収容する芯タンクと、前記筒状体または重量体と前記軸筒との間に配設され当該筒状体を後方へ弾発する第一の弾発部材と、を備え、
前記筒状体または前記重量体と前記コネクターとを当接可能に構成すると共に、前記軸筒を振ることで発生する慣性力により前記筒状体と前記重量体と前記コネクターと前記芯タンクとが一体的に前進し、前記筒状体または前記重量体に押圧された前記締具及び前記芯保持チャックが前記第一の弾発部材の弾発力に抗して前方へ移動することにより前記芯を前方へ繰り出すことを特徴とする振出式シャープペンシル。
【請求項2】
前記筒状体または前記重量体と前記芯タンクとの間に配設され当該芯タンク及び前記コネクターを後方へ弾発する第二の弾発部材を備え、前記第一の弾発部材の弾発力をA、前記第二の弾発部材の弾発力をBとしたとき、5×A<Bの関係式を満たすように構成したことを特徴とする請求項1に記載の振出式シャープペンシル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸筒を前後に振ることにより芯繰出機構が作動し、筆記用の芯を前方へ繰出すことができる振出式シャープペンシルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、軸筒を前後に振ることにより前進させた重量体で当接体を押動し、該当接体の前進に従動して前進するチャックにより、芯を前方へ繰出すことができる芯繰出機構を搭載した振出式シャープペンシルは、軸筒を持ち替えずに筆記芯を繰り出すことができることから便利であり、実際に市場でも高評価を得ている。
ところで、このような振出式シャープペンシルは、軸筒を振った際に、重量体が該軸筒内の前方当接体及び後方当接体に当接することで衝撃音が生じ、また、重量体が前後に移動する際に他の部材と摺接する摺接音が生じてしまうものであった。
【0003】
この問題を解決する手段として、特許文献1には、重量体が当接する前方の当接体と後方の当接体とに弾性片を設けてあり、軸筒を振った際、重量体が当接体に当接する衝撃を弾性片で吸収させ、衝撃音の低減を可能にした振出式シャープペンシルが記載されている。
しかしながら、特許文献1の振出式シャープペンシルでは、当接体に設けた弾性片によって重量体の衝撃が吸収され、その際に発生する衝撃音は軽減されるものの、完全には防ぐことができていなかった。また、重量体が前後に移動する際、該重量体が他の部材と摺接することで発生する摺接音は考慮されていなかった。
【0004】
一方、特許文献2には、本件出願人により軽く振っても芯を繰出し可能な振出式シャープペンシルが開示されている。
この特許文献2の構成は、芯を軽く保持する芯ホルダーを内蔵した先部材と、前部に先部材を取り付けた軸筒と、前スプリングにより長手方向後方に付勢され芯を前進方向には許容するが後退方向には阻止する芯保持チャックと、芯保持チャックに設けられたボールをテーパー面により受け止める締具と、締具を長手方向に適宜移動可能に内蔵する連結具と、連結具の前部に長手方向に適宜摺動可能に連結された前リングと、前記締具と係合可能な前部を有し前記連結具と長手方向に適宜移動可能に連結されたコネクターと、前記前スプリングより強い力でコネクターを長手方向後方に付勢するコイルスプリングと、コネクターに連結された芯タンクと、芯タンクの外側に長手方向に摺動可能に内蔵された重量体とからなり、軸筒を振ることにより発生した重量体の慣性力によりコネクターが長手方向前方に移動され、コネクターによりコイルスプリングを介して押圧された連結具、締具、芯保持チャックが前スプリングを圧縮しながら前進することにより芯を繰り出すことができるものである。
【0005】
そして、特許文献2では、芯保持チャックを後方へ弾発している前スプリング及び芯を保持する芯ホルダーの保持力を小さく設定することができることから、軸筒を軽く振っても芯を繰り出すことができ、結果として、軸筒を振った際の重量体が前後動することによって発生する摺動音やコネクターなどの他の部品との当接音を軽減することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−240407号公報
【特許文献2】特開2011−068051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2の構造では、振り動作時の摺動音や当接音を低減はできるものの完全に消すことはできず、更に、軸筒を振った際に重量体がコネクターに当接することで芯は繰出されるが、重量体はコネクターに当接したあとも急に止まることはなく、振り方によっては軸筒内を余剰に複数回前後動してしまう。このため、特許文献2の構造では軸筒を軽く振ることで芯を繰出すことが可能であるが故に、前後動する重量体がコネクターに当たるたびに芯を繰出してしまい、使用者が望む以上の長さで芯が繰出されてしまう虞があった。
【0008】
本発明は、前記問題を鑑みてなされたものであって、振り動作時に発生する衝撃音及び摺接音を軽減すると共に、必要以上に芯が繰り出されることを防止可能な振出式シャープペンシルを得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、
「1.芯を保持する芯ホルダーを内蔵した先部材と、前部に前記先部材を装着した軸筒と、前記軸筒内に配設され前記芯の移動を前進方向には許容するが後退方向には阻止する芯保持チャックと、前記芯保持チャックの外面部に配設されたボールを軸方向後方へ向って縮径するテーパー面により受け止める筒状の締具と、前記締具に対して前記芯保持チャックを後方へ弾発するチャックスプリングと、前記締具の外方に配設され当該締具に対して長手方向に適宜移動可能且つ当接可能に形成された筒状体と、前記筒状体の後部に装着された重量体と、前記締具を前後動自在に把持する前方把持部を有し前記筒状体に対して長手方向に適宜移動可能に係止されたコネクターと、前記コネクターの後方に装着され前記芯を収容する芯タンクと、前記筒状体または重量体と前記軸筒との間に配設され当該筒状体を後方へ弾発する第一の弾発部材と、を備え、
前記筒状体または前記重量体と前記コネクターとを当接可能に構成すると共に、前記軸筒を振ることで発生する慣性力により前記筒状体と前記重量体と前記コネクターと前記芯タンクとが一体的に前進し、前記筒状体または前記重量体に押圧された前記締具及び前記芯保持チャックが前記第一の弾発部材の弾発力に抗して前方へ移動することにより前記芯を前方へ繰り出すことを特徴とする振出式シャープペンシル。
2.前記筒状体または前記重量体と前記芯タンクとの間に配設され当該芯タンク及び前記コネクターを後方へ弾発する第二の弾発部材を備え、前記第一の弾発部材の弾発力をA、前記第二の弾発部材の弾発力をBとしたとき、5×A<Bの関係式を満たすように構成したことを特徴とする前記1項に記載の振出式シャープペンシル。」である。
【0010】
本発明によれば、軸筒を振ることで芯を前方へ繰出すことが可能であり、芯の移動を前進方向には許容するが後退方向には阻止する芯保持チャックを用いているため、振り動作時に芯保持チャックが締具と共に芯を保持したまま前進し、芯保持チャックが後退する際に芯ホルダーで芯を当該芯保持チャックから前方へ引き出すように構成することで容易に芯を前方へ繰り出すことができる。
また、重量体を軸筒内に遊嵌せずに筒状体に装着していることで、振り動作時に重量体が軸筒内を自由に前後動することで発生する加速度を得られないため、一般的な振出式シャープペンシルより重量体に掛かる慣性力は低くなるものの、芯繰り出し時にチャックスプリングにより後方へ弾発されている芯保持チャックを締具に対して相対的に前進させ、芯保持チャックを開き芯の保持状態を解除する必要がないことから、振り動作時に重量体により得られる慣性力が低くとも芯保持チャックと締具とを前進させることで芯を繰出すことができる。
更に、軸筒を振った際、筒状体と重量体とコネクターと芯タンクとが慣性力で一体的に前進するよう構成しているため、重量体以外の部品の重さが慣性力として付加されることから、重量体を軸筒内で遊嵌させなくとも高い慣性力が得ることができる。
【0011】
また、重量体を軸筒内に遊嵌せずに筒状体に装着させ、重量体と筒状体とが一体的に前後動するよう構成しているため、重量体が他の部品と衝突または摺接した際に発生する衝撃音と摺接音とを大幅に軽減することができる。そして、重量体が筒状体に装着され、筒状体または重量体が第一の弾発部材により後方に弾発されていることから、軸筒を掴んで振り動作した後に、重量体は軸筒内で何度も前後動することはなく、筒状体と共にすぐに移動を停止するため、使用者の意思に反して芯の繰り出し動作を繰り返し、芯が出すぎてしまうことを防止することができる。
【0012】
尚、本発明における筒状体と重量体の装着手段およびコネクターと芯タンクの装着手段は、別々に形成した部品を螺合、係止、接着、圧入等を用いて一体化させてもよく、始めから一体化した状態で形成してもよい。
【0013】
また、筒状体または重量体と芯タンクとの間に芯タンク及び前記コネクターを後方へ弾発する第二の弾発部材を配設してもよく、この場合、取り付け時における第一の弾発部材の弾発力をA、第二の弾発部材の弾発力をBとしたとき、好ましくは5×A<B(より好ましくは7×A<B)の関係式を満たすように構成することで、振り動作の際、筒状体及び重量体に対してコネクター及び芯タンクが前進することなく、筒状体と重量体とコネクターと芯タンクとを一体的に摺動させることができ、重量体のみの場合と比較して大きな慣性力を得ることができると共に、コネクターにより締具が押されて前進することがなくなるため、芯の繰り出し量が筒状体及び重量体の前進量のみに依存することで、1回の振り動作における芯の繰り出し量を安定化させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、振り動作時に発生する衝撃音及び摺接音を軽減すると共に必要以上に芯が繰り出されることを防止可能な振出式シャープペンシルを得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施例の振出式シャープペンシルの縦断面図である。
図2】本実施例のチャックユニットの拡大縦断面図である。
図3】本実施例の芯繰出機構を分解した分解図である。
図4図1の状態から軸筒を振った際にチャックユニットが前進した状態を示す縦断面図である。
図5図1の状態からキャップを前方へ押圧することで芯保持チャックが前進した状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に図面を参照しながら、本発明の振出式シャープペンシルを詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
また、本実施例では、軸筒の長手方向において、先部材がある方を前方と表現し、その反対側を後方と表現する。更に、軸筒の軸径方向において、芯がある方を内方と表現し、その反対側を外方と表現する。
尚、説明を分かりやすくするために、図面中の同様の部材、同様の部分については同じ符号を付してある。
【0017】
実施例1
本実施例の振出式シャープペンシル1は、図1から図3に示すように、前軸2の後方に着脱自在に後軸3を螺合することで軸筒4を構成してあり、また、前軸2の前方に先部材5を配設して着脱自在に螺合し、更に、後軸3の後部に、側面にクリップ6aを形成した後部筒部材6と、後部筒部材6の後端開口部から後方へ向かって突出するキャップ21と、を備えたノックユニット30を装着してある。そして、軸筒4内には芯50を前方へ繰出可能な芯保持チャック8を備えた芯繰出機構40が配設してある。
【0018】
芯繰出機構40の構成を図1から図3を用いて説明する。先ず、反割りされた2つの片8aを備えた芯保持チャック8を形成し、この芯保持チャック8の内側には芯50を保持するために凹凸状に形成した芯保持部8bを設けてある。また、芯保持チャック8の外周部に凹部8cを2箇所形成し、それぞれの凹部8cにボール9を回動可能に配設してある。更に、芯保持チャック8は内周面にテーパー部10aを備えた締具10に内蔵され、締具10を筒状に形成した筒状体11内に軸方向に沿って摺動自在に内蔵してある。そして、芯保持チャック8の後部には後筒体7を圧入装着することで一体化してあり、後筒体7の外段部7aと締具10の内段部10bとの間にチャックスプリング12を弾発力(取付時荷重)0.15Nで張架することで、芯保持チャック8を締具10に対して後方へ弾発してある。更に、締具10の前端開口部には、抜け止めリング13を圧入装着してあり、抜け止めリング13により、芯保持チャック8が前進してもボール9が抜け止めリング13に当接することで芯保持チャック8及びボール9が締具10から外れないようにしてある。
【0019】
そして、芯保持チャック8、後筒体7、ボール9、締具10、チャックスプリング12、抜け止めリング13により、図2に示すように、芯50を保持するチャックユニット41が形成され、芯保持部8b内に芯50がある場合、チャックスプリング12の弾発力で後方に弾発された芯保持チャックの凹部8cとボール9と締具10のテーパ部10aとの間で楔力が働いて芯50を芯保持部8bで保持することができる。更に、芯50に後方への力(筆圧など)が掛かると、ボール9がテーパ部10aの径小部へ移動しようとして、楔力が更に掛かり芯50の後退を阻止すると共に、芯50に前進する力が掛かった場合には、芯保持チャック8の前進に伴いボール9がテーパ部10aの径大部へ移動することで芯50に楔力が掛からなくなるため、芯50は容易に前進させることが可能となる。
【0020】
また、図1及び図3に示すように、締具10の後方には前部内孔14aで当該締具10の後部外周部10cを覆うようにコネクター14が配設してあり、コネクター14の前部には前端から後方へ向って延びるスリット部14bを形成することで、締具10の後部外周部10cをコネクター14の前部で弾性的に把持する前方把持部14aが形成され、締具10の移動が停止した状態でコネクタ14に軸方向に沿った一定以上の力が掛かると、後部外周部10c上を前方把持部14aが滑ることで締具10に対してコネクター14を移動可能に構成してある。そして、コネクター14の後部にはパイプ状に形成され芯50が収納される芯タンク15が配設してあり、芯タンク15の前部内孔に形成された内孔係止部15bにコネクター14の後部突起14cを圧入装着することで、コネクター14と芯タンク15とが一体的に動くように構成してある。
【0021】
筒状体11について詳述すると、筒状体11は筒状に形成してあり、締具10の外段10dとコネクター14の前端との間に前部内周部11aが位置するように配置することで、軸方向に沿って前後に摺動するよう構成してある。また、筒状体11は、締具10とコネクター14とを覆うように形成され、外段部11bと前軸2(軸筒5)の内段2aと間に第一の弾発部材として第1コイルスプリング16を弾発力(取付時荷重)0.19Nで張架することで、前軸2(軸筒5)に対して筒状体11を後方へ弾発してある。また、筒状体11の後部内孔に形成した雌螺子部11cに、筒状の重量体17の前部外周部に形成した雄螺子部17aを螺合することで重量体17を螺着してある。そして、筒状体11が前進した際、外段部11bが前軸2の後部内段2bに当接するよう構成してあり、これにより筒状体11の前進量を規制してある。
【0022】
重量体17について詳述すると、重量体17の前端はコネクター14の外方段部14dに当接するよう構成してあり、重量体17の内段17bと芯タンク15の前部外段15aとの間に第二の弾発部材として第2コイルスプリング18を弾発力(取付時荷重)1.96Nで張架することで重量体17に対して芯タンク15及びコネクター14を後方へ弾発してある。
また、重量体17の後端は後軸4の前端に当接するよう構成することで、重量体17の後退を規制してある。
【0023】
以上、筒状体11、コネクター14、芯タンク15、重量体17、第2コイルスプリング18により振り出しユニット42が形成され、チャックユニット41と振り出しユニット42により芯繰出機構40が構成される。
【0024】
先部材5について詳述すると、図1に示すように、先部材5は前後に貫通する内孔を形成してあり、内孔の前端開口部5aからシャープペンシル用の芯50が突出可能に構成してある。また、先部材5の前部内孔部には芯50を軽い力(約0.1N)で保持する合成ゴムで形成された芯ホルダー19を着脱不能に圧入装着してある。
【0025】
ノックユニット30について詳述すると、図1に示すように、後軸3の後端には、前述したように、クリップ6aを一体に形成して設けた後部筒部材6を装着してある。この後部筒部材6は、後軸3の後端より後方へ突出し且つクリップ6aを有した外筒部6bと、後軸3の後部開口部に挿入した内筒部6cとで構成されている。また、外筒部6bの内孔は内筒部6cの内孔より大径に形成してあり、内筒部6cの対向した2カ所には、内筒部6cの内外を連通し前後に伸びたガイド孔6dを形成してある。更に、内筒部6cには外方に突出する凸部6eを設けてあり、凸部6eを後軸3に形成した係止孔3aに嵌着することで、後軸3に対して後部筒部材6が回転したり外れたりしないようにしてある。
【0026】
また、後部筒部材6の後端開口部から筒状に形成されたノック体20が挿入され、ノック体20の前部外周面に形成した係止突起部20aを後部筒部材6の内筒部6cの側面に形成したガイド孔6dに係止することで、後部筒部材6に対してノック体20及を軸方向に沿って前後に摺動自在且つ着脱不能に装着してある。これによりノックユニット30には内筒部6cの前端からノック体20の後端まで連通する貫通孔30aが形成される。
【0027】
更に、ノック体20の外周面には、周状に突出させたスプリング受部20cを形成してあり、スプリング受部20cと後部筒部材6の後孔段部6fとの間にコイルスプリング状に形成したノックスプリング22を弾発力(取付時荷重)3.0Nで張架することで、後部筒部材6に対してノック体20を後方へ弾発してある。
また、ノック体20の後部内孔には消しゴム装着部20bが形成してあり、消しゴム装着部20bには、消しゴム23を装着し、ノック体20の後部にはキャップ21を着脱自在に装着してある。
【0028】
尚、後部筒部材6の内筒部6cの前端開口部は芯タンク15の後端に覆い被さるように配置され、ノックユニット30の貫通孔30aと芯タンク15の内孔とを連通させると共に、芯タンク15の後端15cとノック体20の内段部20dとの間に隙間を設けた状態で配設してある。
【0029】
以上によりノックユニット30は、後部筒部材6とノック体20とキャップ21とノックスプリング22と、消しゴム23と、で構成してある。
【0030】
次に、図1及び図4を用いて、軸筒4を前方へ振る動作により、芯50が前進し先部材5の前端開口部5aより繰出される状態を説明する。
図1の状態から、振出式シャープペンシル1の軸筒4を指で把持し、軸筒4の軸心に沿った方向(図1における矢印F方向)に後方から前方へ向けて振り動作を行い、前方へ振られた状態で振出式シャープペンシル1の振り動作を止めると、慣性力が働き軸筒4に対して第1コイルスプリング16により後方へ弾発している筒状体11が重量体17と共に第1コイルスプリング16の弾発力に抗して前進する。この際、第2コイルスプリング18の弾発力を大きく形成してあるため、第2コイルスプリング18は収縮することがないことから、筒状体11を含めた振り出しユニット42が一体的に前進する。そして、筒状体の前端11dと締具10の外段11dが当接していることから、振り出しユニット42に押されて締具10が前進し、楔力により芯50を保持している芯保持チャック8も芯50と共にチャックユニット41ごと前進する。このとき芯ホルダー19により芯50は保持されているが、芯ホルダー19の保持力より芯保持チャック8が芯50を保持する力のほうが高いため、芯50は芯保持チャック8に保持されたまま前進する。そして、筒状体11の外段部11bが前軸2の後部内段2bに当接すると、筒状体11と共に振り出しユニット42の前進が停止し、それにより、締具10を含めてチャックユニット41の前進が停止される図4の状態となる。
また、チャックユニット41及び振り出しユニット42の前進が停止すると、第1コイルスプリング16の弾発力でチャックユニット41と振り出しユニット42が同時に後退を始める。この際、芯50は芯ホルダー19により保持されているため、チャックユニット41の後退により芯50には前方へ引っ張る力が発生する。前述したように、芯保持チャック8は芯50を後方への移動は阻止するが前進は許容しているため、芯50は芯ホルダー19に保持されたまま後退することなく前進した位置を維持したまま、チャックユニット41と振り出しユニット42は図1の位置まで戻り、結果として、軸筒4を振ることにより芯50はチャックユニット41が前進した長さ前方へ移動し、芯50が前方へ繰出されることとなる。
【0031】
尚、この軸筒4の振り動作の際、本実施例の振出式シャープペンシル1の重量体17は、一般的な振出式シャープペンシルのように重量体17が軸筒4内で遊嵌しておらず、筒状体11に固定されている。このため、一般的な振出式シャープペンシルのように振り動作時に重量体が前後の当接部と当接する際に発生する当接音や部品同士の摺接音を軽減することができるものとなった。
また、一般的な振出式シャープペンシルでは、軸筒内で遊嵌している重量体を振り動作により発生する慣性力で加速させ、その力を直接ないし間接的に芯保持チャックに伝え、締具に対して後方へ弾発されている芯保持チャックを前進させることで芯の繰り出しを行っているが、本発明では芯の前進は許容するが芯の後退は阻止する芯保持チャック8を採用しているため、チャックユニット41ごと前進させることで芯50の繰り出しができる。このため、重量体17を筒状体11に固定し、第1コイルスプリング16(第一の弾発部材)で後方へ弾発していることで振り動作時の慣性力を得難い本発明構造でも芯を前方へ容易に繰出すことができると共に、重量体が振り動作後も軸筒内で何度も前後動することがなく、余計に芯50が繰出されてしまうことを防止できた。
【0032】
次に、図1及び図5を用いて、ノックユニットの後端を前方へ押圧(ノック動作)することで、芯50を前進させ先部材5の前端開口部5aから前方へ繰り出す状態を説明する。
図1の状態から、ノックユニット30の後端であるキャップ21を前方へ押圧すると、キャップ21とノック体20とがノックスプリング22の弾発力に抗して前進する。そして、ノック体20の内段部20dと芯タンク15の後端15cが当接すると、芯タンク15がコネクター14と共に前進を開始する。この際、第1コイルスプリング16の弾発力より第2コイルスプリング18の弾発力が大きくなるように設定しているため、コネクター14の前端に当接している重量体17が筒状体11と共に外段部11bが前軸2の後部内段2bに当接するまで前進する。そして、筒状体11の前進が止まると、筒状体11及び重量体17に対して芯タンク15とコネクター14とが第2コイルスプリング18の弾発力に抗して前進を開始する。更に、コネクター14は前部の前方把持部14aにより締具10を一定の力で把持しており(本実施例では1.0N)、このため、コネクター14の前進に合わせて締具10が芯50及び芯保持チャック8と共に前進する。そして、締具10の前端に固定している抜け止めリング13の前端が先部材5の内段5bに当接すると締具10の前進が止まる図5の状態となる。
ここで、キャップ21にかけている押圧力を解除すると、芯保持チャック8は芯50を後方への移動は阻止するが前進は許容しているため、芯50は芯ホルダー19に保持されたまま後退することなく前進した位置を維持したまま、第1コイルスプリング16の弾発力で筒状体11と重量体17とが後退し、重量体17の後端が後軸3の前端と当接することで重量体17と筒状体11の後退が停止する。そして、これと略同時に第2コイルスプリング18の弾発力でコネクター14と芯タンク15とコネクター14に把持されている締具10を含めてチャックユニット41ごと後退を開始し、締具10の外段10dと筒状体11の前端11dが当接すると、締具10の後退が止まり、コネクター14は第2コイルスプリング18の弾発力で更に後退し元の図1の状態に戻る。この際、芯50は前進した位置を維持するため、相対的に芯50が前方へ繰出された状態となる。
【0033】
また、軸筒4を振った際に振り出しユニット42の第2コイルスプリング18が収縮することなく、一体的に前進するための条件は、第1コイルスプリング16(第一の弾発部材)の弾発力をA、第2コイルスプリング18(第二の弾発部材)の弾発力の弾発力をBとした場合、5×A<Bの関係式を満たすように設定することが好ましく、7×A<Bの関係式を満たすことがより好ましい。これは、弾発力Bを5×A(より好ましくは7×A)より大きくすることで軸筒4を振った際に第2コイルスプリング18が収縮して芯タンク15とコネクター14とが筒状体11及び重量体17に対して前進することを防ぎ、前進するコネクター14により締具10が更に前進することを防止するためである。このため、振り動作時に締具10が前進する長さは、筒状体11の前進する長さのみに依存することなり、常に一定の芯繰り出し量を維持することが可能となる。更に、振り出しユニット42が振り動作時に一体的に動くため、振り出しユニット42全体の重さが慣性力として働くため、重量体17を軸筒4内で遊嵌していなくとも大きな慣性力を得ることができる。
尚、上記した第1コイルスプリング16(第一の弾発部材)の弾発力Aと第2コイルスプリング18(第二の弾発部材)の弾発力Bの関係式は、各々のスプリングの弾発力が取り付け時だけでなく、振り動作時により第1コイルスプリング16(第一の弾発部材)が収縮して弾発力Aが増大した状態にも適用される。
【0034】
具体的に本実施例では、取り付け時における第1コイルスプリング16(第一の弾発部材)の弾発力Aを0.19N、第2コイルスプリング18(第二の弾発部材)の弾発力Bを1.96Nとしているため、B>10.3×Aとなり、更に、振り動作時における第1コイルスプリング16(第一の弾発部材)の弾発力Aは0.27Nであるため、B>7.3×Aとなることから、上記の関係式を満たすため振り動作時に第2コイルスプリング18(第二の弾発部材)が収縮することがなく、芯50の繰り出し量が安定した。
【0035】
また、一般的なシャープペンシルのノック操作による芯出し状態において、ノックするのに必要な押圧力は、あまり高くなると押圧する指が痛くなることから10.0N以下に抑えることが好ましく、6.0N以下とすることがより好ましい。また、ノック部には通常消しゴムがついており、消しゴムで筆跡を擦り取る際に消しゴムが沈まないようにするには3.0N以上の力でノック部を後方へ押圧する必要がある。
本実施例において、キャップ21を前方へノックするのに必要な押圧力は、第1コイルスプリング16(第一の弾発部材)の弾発力Aと第2コイルスプリング18(第二の弾発部材)の弾発力Bとノックスプリング22の弾発力Cの総和により算出することができる。このため、3.0N≦A+B+C≦10.0Nとすることが好ましく、3.0N≦A+B+C≦6.0Nとすることがより好ましい。
【0036】
具体的に本実施例では、ノック開始時では、A+B+C=0.19N+1.96N+3.0N=5.15Nとなり、ノック終了時でもA+B+C=0.27N+2.15N+3.50N=5.92Nとなり、関係式を満たすことから、ノック時の押圧力が抑えられノックする際の指への負担が軽減されると共に消しゴム23の使用時に消しゴム23が沈むことなく使用することができるものとなった。
【符号の説明】
【0037】
1…振出式シャープペンシル、
2…前軸、2a…内段、2b…後部内段、
3…後軸、3a…係止孔、
4…軸筒、
5…先部材、5a…前端開口部、5b…内段、
6…後部筒状体、6a…クリップ、6b…外筒部、6c…内筒部、6d…ガイド孔、
6e…凸部、6f…後孔段部、
7…後筒体、7a…外段部、
8…芯保持チャック、8a…2つの片、8b…芯保持部、8c…凹部、
9…ボール、
10…締具、10a…テーパ部、10b…内段部、10c…後部外周部、
10d…外段、
11…筒状体、11a…前部内周部、11b…外段部、11c…雌螺子部、
11d…前端、
12…チャックスプリング、
13…抜け止めリング、
14…コネクター、14a…前方把持部、14b…スリット部、14c…後部突起、
14d…外方段部、
15…芯タンク、15a…前部外段、15b…内孔係止部、15c…後端、
16…第1コイルスプリング(第一の弾発部材)、
17…重量体、17a…雄螺子部、17b…内段、
18…第2コイルスプリング(第二の弾発部材)、
19…芯ホルダー、
20…ノック体、20a…係止突起部、20b…消しゴム装着部、
20c…スプリング受部、20d…内段部、
21…キャップ、
22…ノックスプリング、
23…消しゴム、
30…ノックユニット、
40…芯繰出機構、
41…チャックユニット、
42…振り出しユニット、
50…芯。
図1
図2
図3
図4
図5