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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-209560(P2019-209560A)
(43)【公開日】2019年12月12日
(54)【発明の名称】印刷ヘッド、および、印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/275 20060101AFI20191115BHJP
【FI】
   B41J2/275
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-106715(P2018-106715)
(22)【出願日】2018年6月4日
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116665
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 和昭
(74)【代理人】
【識別番号】100194102
【弁理士】
【氏名又は名称】磯部 光宏
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】山田 岳史
【テーマコード(参考)】
2C063
【Fターム(参考)】
2C063AF01
2C063AF08
2C063AF10
2C063AF11
2C063AF17
2C063AF24
2C063AF27
2C063AF39
(57)【要約】
【課題】ドットインパクト方式の印刷ヘッドにおいて、レバーの回動支点部に対する摺動抵抗を低減しつつ、レバーの動作を安定させる。
【解決手段】ワイヤーと、ワイヤーに先端部が連結されたレバーと、レバーを駆動する駆動部と、レバーの基端部を移動可能に支持する支持部と、レバーから所定の隙間を設けて配置され、駆動部によりレバーが駆動される際、レバーの基端部の移動を規制する押えバネを備える印刷ヘッド。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤーと、
前記ワイヤーに先端部が連結されたレバーと、
前記レバーを駆動する駆動部と、
前記レバーの基端部を移動可能に支持する支持部と、
前記レバーから所定の隙間を設けて配置され、前記駆動部により前記レバーが駆動される際、前記レバーの基端部の移動を規制する規制部材と、を備えた、印刷ヘッド。
【請求項2】
前記レバーは前記駆動部により駆動されて前記ワイヤーを第1方向に移動させ、前記レバーの基端部は前記第1方向と反対の第2方向に移動し、
前記規制部材は前記レバーの基端部の前記第2方向への移動を規制する、請求項1記載の印刷ヘッド。
【請求項3】
前記規制部材は、前記レバーの基端部に対し前記第2方向の側に位置する第1規制部と、前記レバーの基端部に対し前記第2方向と交差する方向に位置する第2規制部と、を有し、前記第2規制部により、前記レバーの基端部側への移動を規制する、請求項2記載の印刷ヘッド。
【請求項4】
前記支持部は、前記レバーの基端部を前記第1方向の側で支持する支持面を有し、前記規制部材の前記第2規制部は前記に当接する、請求項3記載の印刷ヘッド。
【請求項5】
隣接する前記レバーの間に配置される基台を有し、前記規制部材の前記第1規制部は前記基台に当接する、請求項3記載の印刷ヘッド。
【請求項6】
前記レバーの基端部は、前記規制部材に対向する突出部を有する、請求項1から5のいずれか1項に記載の印刷ヘッド。
【請求項7】
前記規制部材は、前記レバーの基端部に当接して弾性変形する弾性部材である、請求項1から3のいずれか1項に記載の印刷ヘッド。
【請求項8】
印刷ヘッドと、
印刷媒体を搬送する搬送部と、を備え、
前記搬送部により前記印刷媒体を搬送し、前記印刷ヘッドにより前記印刷媒体に印刷する印刷装置であって、
前記印刷ヘッドは、
ワイヤーと、
前記ワイヤーに先端部が連結されたレバーと、
前記レバーを駆動する駆動部と、
前記レバーの基端部を移動可能に支持する支持部と、
前記レバーから所定の隙間を設けて配置され、前記駆動部により前記レバーが駆動される際、前記レバーの基端部の移動を規制する規制部材と、を備えた、印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷ヘッド、および、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクリボンを介してワイヤーを記録用紙に打ち付けて印刷を行うドットインパクトプリンターが知られている。一般的なドットインパクトプリンターの印刷ヘッドは、駆動用コイルによってレバーを駆動し、レバーがワイヤーを突出させることで印刷を行う(例えば、特許文献1参照)。また、特許文献1の構成では、レバーがずれないように、印刷ヘッドに、レバーを押さえる支点押えバネが配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2−281964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたように、レバーの回動支点を押えバネにより常に押さえる構成では、レバーの回動支点部に摺動抵抗が発生するので、レバーの動作の高速化が容易でない。
本発明は、ドットインパクト方式の印刷ヘッドにおいて、レバーの回動支点部に対する摺動抵抗を低減しつつ、レバーの動作を安定させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の印刷ヘッドは、ワイヤーと、前記ワイヤーに先端部が連結されたレバーと、前記レバーを駆動する駆動部と、前記レバーの基端部を移動可能に支持する支持部と、前記レバーから所定の隙間を設けて配置され、前記駆動部により前記レバーが駆動される際、前記レバーの基端部の移動を規制する規制部材と、を備える。
【0006】
また、本発明は、前記レバーは前記駆動部により駆動されて前記ワイヤーを第1方向に移動させ、前記レバーの基端部は前記第1方向と反対の第2方向に移動し、前記規制部材は前記レバーの基端部の前記第2方向への移動を規制する構成であってもよい。
【0007】
また、本発明は、前記規制部材は、前記レバーの基端部に対し前記第2方向の側に位置する第1規制部と、前記レバーの基端部に対し前記第2方向と交差する方向に位置する第2規制部と、を有し、前記第2規制部により、前記レバーの基端部側への移動を規制する構成であってもよい。
【0008】
また、本発明は、前記支持部は、前記レバーの基端部を前記第1方向の側で支持する支持面を有し、前記規制部材の前記第2規制部は前記支持面に当接する構成であってもよい。
【0009】
また、本発明は、隣接する前記レバーの間に配置される基台を有し、前記規制部材の前記第1規制部は前記基台に当接する構成であってもよい。
【0010】
また、本発明は、前記レバーの基端部は、前記規制部材に対向する突出部を有する構成であってもよい。
【0011】
また、本発明は、前記規制部材は、前記レバーの基端部に当接して弾性変形する弾性部材であってもよい。
【0012】
また、本発明は、印刷ヘッドと、印刷媒体を搬送する搬送部と、を備え、前記搬送部により前記印刷媒体を搬送し、前記印刷ヘッドにより前記印刷媒体に印刷する印刷装置であって、前記印刷ヘッドは、ワイヤーと、前記ワイヤーに先端部が連結されたレバーと、前記レバーを駆動する駆動部と、前記レバーの基端部を移動可能に支持する支持部と、前記レバーから所定の隙間を設けて配置され、前記駆動部により前記レバーが駆動される際、前記レバーの基端部の移動を規制する規制部材と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態の印刷装置の内部構造を示す斜視図。
図2】印刷ヘッドの側面図。
図3】印刷ヘッドの縦断面図。
図4】印刷ヘッドの内部構成を示す斜視図。
図5】印刷ヘッドの要部縦断面図。
図6】印刷ヘッドの要部断面視図。
図7】第2実施形態の印刷ヘッドの内部構成を示す斜視図。
図8】印刷ヘッドの要部縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[1.第1実施形態]
[1−1.印刷装置の構成]
印刷装置1の全体構成について説明する。
図1は、本発明を適用した第1実施形態の印刷装置1の内部構造を示す斜視図である。
【0015】
印刷装置1は、印刷ヘッド5により、インクリボン2を介して後述するワイヤー3を印刷媒体4に打ち付けて印刷を行うドットインパクトプリンターである。印刷装置1は、印刷ヘッド5と、印刷媒体4を挟んで印刷ヘッド5に対向配置されるプラテン6とを備える。プラテン6は、図示しない搬送モーターの駆動力によって回転するプラテンローラーであり、印刷媒体4を搬送する搬送部として機能する。
印刷装置1には、インクリボン2を格納し、印刷ヘッド5とプラテン6との間にインクリボン2を供給するリボンカートリッジ7が装着される。
【0016】
印刷装置1は、印刷装置1の本体右側に配置される右フレーム11aと本体左側に配置される左フレーム11bとから構成される本体フレーム11を備える。右フレーム11aと左フレーム11bとの間には、ガイド軸10が架け渡される。ガイド軸10は、印刷ヘッド5を搭載するキャリッジ9を支持する。
【0017】
キャリッジ9は、印刷媒体4の紙幅方向へ延びるガイド軸10に沿って往復移動可能に取り付けられ、印刷ヘッド5を印刷媒体4の紙幅方向に走査させる。
【0018】
[1−2.印刷ヘッドの構成]
図2は、印刷ヘッド5の側面図である。
印刷ヘッド5は、プラテン6に対向する側にノーズ21を備える。ノーズ21の内部には、後述するようにワイヤー3が配置され、ワイヤー3はノーズ21からプラテン6に向けて突出し、インクリボン2を印刷媒体4に打ち付ける。また、印刷ヘッド5には、プラテン6に対向する側とは反対側から蓋体19が装着される。蓋体19は、板バネ23によって印刷ヘッド5に固定される。
【0019】
図3は、印刷ヘッド5の縦断面図である。図4は、印刷ヘッド5の内部構成を示す斜視図である。図4においては、説明の便宜のため、ワイヤー3、及び、蓋体19の図示を省略する。図5は、印刷ヘッド5の要部縦断面図であり、レバー18の近傍を特に拡大して示す。
【0020】
図3に示すように、印刷ヘッド5は、磁性材料からなるフレーム17、バネホルダー20、ノーズ21、及び、基板24を備える。基板24はフレーム17に固定され、基板24とともにノーズ21がフレーム17に固定される。また、フレーム17には、板バネ23により蓋体19が固定される。板バネ23は、ノーズ21に係合され、弾力によって蓋体19の端面をバネホルダー20とともに押圧する。
【0021】
フレーム17の中央部には開口が形成され、フレーム17は全体として肉厚のリング形状を有する。フレーム17の中央部の開口には、筒状のバネホルダー20が挿入される。
【0022】
筒状のバネホルダー20の内部空間はノーズ21の内部に連通し、バネホルダー20及びノーズ21の内部にワイヤー3が収容される。ノーズ21の内部には、ワイヤー3を支持するノーズガイド22が配置される。
【0023】
印刷ヘッド5は、複数のワイヤー3を備える。フレーム17にはワイヤー3を駆動する複数のレバー18が配置され、各々のワイヤー3の基端部は、レバー18の先端部18aに接続される。
【0024】
印刷ヘッド5は、レバー18を個別に駆動する複数の駆動部16を備える。駆動部16は、フレーム17に設けられたコア17aと、ボビン15aを介してコア17aに装着されるコイル15と、を備える。コア17aは、磁性体のフレーム17と一体的に設けられる。フレーム17には、フレーム17の円周方向に沿って複数のコア17aが所定の間隔で配置され、各々のコア17aは、フレーム17の幅方向においては中央部に位置する。
【0025】
レバー18は、コア17aに対向する位置に設置される。詳細には、図5に示すように、レバー18の先端部18aはバネホルダー20の開口に達し、ワイヤー3に連結される。また、レバー18の中央部であるアーマチュア部18bは、コア17aに対向し、レバー18の基端部18cは、フレーム17の外周近傍に達する。
【0026】
また、バネホルダー20にはコイルバネ20aが、レバー18に対向して配置される。コイルバネ20aは、圧縮コイルバネであり、レバー18をフレーム17側から押圧する。
レバー18は、基端部18cを支点として回動可能であり、コイル15に通電していない状態では、コイルバネ20aにより付勢され、アーマチュア部18bがコア17aから離隔する。コイル15が通電された場合、駆動部16の磁力によりアーマチュア部18bがコイルバネ20aの付勢力に抗して吸引され、レバー18が、基端部18cを支点として回動する。レバー18の回動により、レバー18の先端部18aは、ワイヤー3とともにノーズ21側に移動し、ワイヤー3を突出させる。レバー18の動作については後に詳述する。
【0027】
フレーム17には、ヨーク13、サイドヨーク14、及び、押えバネ32が固定される。ここで、ヨーク13を第1ヨーク、サイドヨーク14を第2ヨークと呼ぶことができる。サイドヨーク14は、基台として機能する。押えバネ32は、SUSバネ材等の弾性材料で構成される弾性部材であり、本実施形態では板バネである。
【0028】
図5に示すように、ヨーク13は、複数のヨーク本体部13aと、ヨーク本体部13a間を接続するブリッジ部13bを備える。また、サイドヨーク14は、複数のサイドヨーク本体部14aと、サイドヨーク本体部14a間を接続する接続部14bとを備える。ヨーク本体部13a及びサイドヨーク本体部14aは、例えば同数である。
【0029】
図4に示すように、複数のレバー18は、先端部18aをバネホルダー20の開口に露出させた状態で、フレーム17に放射状に配置される。隣接するレバー18の間には、ヨーク13のヨーク本体部13aおよびサイドヨーク14のサイドヨーク本体部14aが配置される。ヨーク本体部13aはフレーム17の周縁に沿って等間隔で配置され、サイドヨーク本体部14aはヨーク本体部13aに重ねて配置される。
【0030】
押えバネ32は、レバー18に重なるように配置される。押えバネ32は、中央に開口を有する円板状の基部32aと、基部32aから広がる板体である延出部32bとを有する。複数の延出部32bは、基部32aからフレーム17の外周に向けて、放射状に拡がるように設けられる。延出部32bには、レバー18を規制する浮き規制部32cとスライド規制部32dとが設けられる。
延出部32bは、サイドヨーク本体部14aとサイドヨーク本体部14aの間に延び、浮き規制部32cによって、後述するようにレバー18の移動を規制する。換言すれば、レバー18の基端部18cは、ヨーク本体部13aとサイドヨーク本体部14aとの間において、押えバネ32の延出部32bにより覆われる。
押えバネ32は、バネホルダー20に対して位置決めされ、蓋体19とともに、板バネ23によって支持される。
【0031】
[1−3.レバーの支持構造]
図6は、印刷ヘッド5の要部断面視図であり、レバー18の基端部18c及びその周辺を拡大して示す。図5及び図6を参照して、レバー18の支持構造を説明する。
【0032】
レバー18の基端部18cは、レバー18が駆動される場合に回動中心となる。基端部18cは、第1支持部31によって支持される。第1支持部31は、フレーム17の周縁部に重ねて配置される耐摩耗部材12と、ヨーク13と、押えバネ32とを含んで構成される。第1支持部は、基端部18cを支持する支持部として機能する。押えバネ32は規制部材として機能し、浮き規制部32cは第1規制部に相当し、スライド規制部32dは第2規制部に相当する。
【0033】
上述のように、レバー18は駆動部16により駆動され、ワイヤー3を、ノーズ21より突出させる方向に移動させる。ワイヤー3がノーズ21から突出する場合のワイヤー3及びレバー18の移動方向を、第1方向A1とする。ワイヤー3が第1方向A1に移動するとき、コイルバネ20aは圧縮される。
駆動部16による駆動が解除されると、コイルバネ20aの付勢力により、ワイヤー3が第1方向A1と反対方向に移動する。このときの移動方向を、第2方向A2とする。ワイヤー3が第2方向A2に一定量移動すると、ワイヤー3がノーズ21内に収納される。
【0034】
レバー18は、ワイヤー3を第1方向A1及び第2方向A2に移動させる際に基端部18cを中心として回動するように、押えバネ32の浮き規制部32cにより押さえられる。
【0035】
基端部18cは、レバー18の回動軸方向において両側からヨーク本体部13aにより挟まれる。また、レバー18の延出方向において、ヨーク13のブリッジ部13bとスライド規制部32dの間に位置する。スライド規制部32dは、押えバネ32の延出部32bが折り曲げられて構成され、基端部18cよりも、フレーム17の周縁側に位置する。また、基端部18cは、浮き規制部32cと耐摩耗部材12の間に位置する。
【0036】
耐摩耗部材12は、中央に開口を有する円板形状であり、フレーム17の周縁部を覆うように配置され、耐摩耗部材12に重なるようにブリッジ部13bが配置される。耐摩耗部材12の中央の開口は、バネホルダー20の開口、及び、押えバネ32の基部32aと、略同心となる。
さらに、耐摩耗部材12には、押えバネ32のスライド規制部32dの端部が当接する。
【0037】
基端部18cは、ワイヤー3がノーズ21から突出していない状態において、第1支持部31を構成する部材との間に所定の隙間が形成されるように、配置される。詳細には、基端部18cはフック形状を有し、ブリッジ部13bとスライド規制部32dとの間、および、耐摩耗部材12と浮き規制部32cとの間には、基端部18cを可動とする空間が設けられる。この空間は、いわゆる遊びということもできる。
【0038】
図6に示すように、基端部18cがブリッジ部13bと耐摩耗部材12の支持面12aに当接した状態で、基端部18cと浮き規制部32cとの間に隙間d2が設けられる。同じ状態において、基端部18cスライド規制部32dとの間に、フレーム17の幅方向もしくはレバー18の延出方向に、隙間d1が設けられる。
隙間d1および隙間d2の大きさは、レバー18の動作の支障とならない範囲で適宜に設定および変更可能である。
【0039】
レバー18の突出部18dは、押えバネ32の浮き規制部32cとスライド規制部32dの接続部に向けて突出した形状を有する。図6に示す状態は、レバー18が第1方向A1に回動してワイヤー3がノーズ21より突出した状態である。この状態において、突出部18dとスライド規制部32dとの間には隙間d2があり、突出部18dと浮き規制部32cとの間には隙間d1がある。従って、レバー18が回動する範囲において、突出部18dが浮き規制部32c及びスライド規制部32dに接触しない状態が生じる。
【0040】
レバー18の基端部18cは第1支持部31に固定されていない。このため、レバー18が高速で駆動される場合など、レバー18が浮き規制部32c側に浮き上がることがある。このような場合、浮き規制部32cによってレバー18の浮き上がりが規制される。また、レバー18が駆動時にスライド規制部32d側に移動することもあるが、この場合、スライド規制部32dにより、レバー18がフレーム17の外部に突出する方向の動きが規制される。このように、レバー18は、押えバネ32により、本来の位置から逸脱しないように支持されるので、安定して動作可能である。
【0041】
隙間d1の大きさは、スライド規制部32dの長さにより調節可能である。すなわち、浮き規制部32cから延出されるスライド規制部32dの長さを調整することで、スライド規制部32dの下端が耐摩耗部材12に当接しない状態とすることもできる。
【0042】
[1−4.印刷ヘッドの動作]
ワイヤー3を動作させていない状態で、レバー18は、コイルバネ20aによって支持され、ワイヤー3を、ノーズ21から突出しない状態で保持する。この状態において、レバー18はコイルバネ20aにより第2方向A2に付勢されている。また、基端部18cまたはアーマチュア部18bが浮き規制部32cに接して、第2方向A2側への回動が規制される。
【0043】
コイル15に電流が供給されると、コイル15が励磁されて磁束が発生する。この磁束は、コア17a及びフレーム17の外周部を通り、ヨーク本体部13aに伝わる。ヨーク本体部13aに伝わった磁束は、レバー18の基端部18cおよびサイドヨーク本体部14aを介してレバー18のサイドヨーク本体部14aと対向する面、すなわちレバー18の側面に伝わる。
【0044】
そして、レバー18において、基端部18cからの磁束と側面からの磁束がアーマチュア部18bよりフレーム17のコア17aに流れ込み、効率の良い磁気回路が形成される。これにより、レバー18のアーマチュア部18bおよび基端部18cがフレーム17側に吸引され、レバー18が回動し、ワイヤー3を第1方向A1に移動させる。
【0045】
コイル15への通電が停止されると、レバー18は、コイルバネ20aの付勢力によって回動し、ワイヤー3とともに先端部18aを第2方向A2に移動させる。このレバー18の回動に伴い、ワイヤー3の先端側がノーズ21の中へ戻る。
【0046】
レバー18は、基端部18cが第1支持部31に保持された状態で回動する。基端部18cは隙間d1、d2を空けて保持されるため、第1支持部31を構成する部材のうち、レバー18の回動時に同時に3つ以上の部材と接触しない。これにより、レバー18の回動時において基端部18cに摩擦力を発生させる要素が減少し、円滑にレバー18が回動される。そして、基端部18cと接触する部材が減少するため、接触により摩耗する部材も低減される。
【0047】
また、仮に、基端部18cが、第1方向A1もしくは第2方向A2と交差する方向に動いた場合、ブリッジ部13bもしくはスライド規制部32dにより基端部18cの動きが規制される。ここで、第1方向A1もしくは第2方向A2と交差する方向とは、例えばフレーム17の幅方向もしくはレバー18の延出方向である。
【0048】
従って、第1支持部31によって、レバー18の挙動を安定させることができる。また、レバー18の挙動が安定することで第1支持部31の部材における偏摩耗を予防でき、印刷ヘッド5の耐久性の向上を図ることができる。
【0049】
さらに、塵埃などが基端部18cに侵入した場合においても、基端部18cが移動可能であり、基端部18cにおけるカジリなどの発生を抑制できる。
また、仮にレバー18が過度に移動したとしても、押えバネ32が弾性部材により構成されるため、押えバネ32の弾性変形により、レバー18と押えバネ32との接触時の衝撃が吸収される。これにより、レバー18および押えバネ32における塑性変形の発生を抑制し、印刷ヘッド5の耐久性を向上できる。
【0050】
レバー18と浮き規制部32cの間の隙間d1の大きさは、スライド規制部32dの長さにより調節され、レバー18とスライド規制部32dの間の隙間d2は浮き規制部32cの長さによって調節される。押えバネ32は、バネホルダー20を介して、フレーム17に対して位置決めされ、ヨーク13はフレーム17との当接により位置決めされる。このため、押えバネ32に対するヨーク13の位置を高い精度で設定でき、隙間d1および隙間d2の大きさを高い精度で設定できる。
また、本実施形態は、従来の印刷ヘッド5の部品点数と比較して、部品点数を増やすことなく実現できる。
【0051】
以上説明したように、第1実施形態に係る印刷ヘッド5は、ワイヤー3と、レバー18と、駆動部16と、第1支持部31と、押えバネ32とを備える。レバー18は、先端部18aにワイヤー3が連結される。駆動部16はレバー18を駆動する。第1支持部31は、レバー18の基端部18cを移動可能に支持する。規制部材としての押えバネ32は、レバー18から所定の隙間d1、d2を設けて配置され、駆動部16によりレバー18が駆動される際、レバー18の基端部18cの移動を規制する。
本発明を適用した印刷ヘッド5、及び、印刷ヘッド5を備える印刷装置1によれば、レバー18の回動支点となる基端部18cの位置が一定の範囲に保持され、レバー18の挙動を安定させることができる。これにより、円滑なワイヤー3の動きを実現できる。さらに、ワイヤー3の駆動を容易に高速化できる。また、レバー18の摩耗を抑制できる。
【0052】
また、レバー18は、駆動部16により駆動されてワイヤー3を第1方向A1に移動させる。レバー18の基端部18cは第1方向A1と反対の第2方向A2に移動し、押えバネ32はレバー18の基端部18cの第2方向A2への移動を規制する。これにより、レバー18の基端部18cの浮き上がりが抑えられ、レバー18の挙動が安定する。
【0053】
押えバネ32は、レバー18の基端部18cに対し第2方向A2側に位置する浮き規制部32cと、レバー18の基端部18cに対し第2方向A2と交差する方向に位置するスライド規制部32dを有する。スライド規制部32dにより、レバー18の基端部18c側への移動を規制する。これにより、レバー18の挙動を安定させることができる。
【0054】
また、第1支持部31は、レバー18の基端部18cを第1方向A1側で支持する支持面12aを有し、押えバネ32のスライド規制部32dは支持面12aに当接する。これにより、基端部18cを支持面12aにより受け止めることができ、レバー18の挙動を安定させることができる。
【0055】
また、レバー18の基端部18cは、押えバネ32に対向する突出部18dを有する。これにより、レバー18と押えバネ32との隙間を高い精度で設定でき、レバー18の浮き上がりをより小さくでき、レバー18の挙動を安定させることができる。また、レバー18の駆動速度を高速化できる。
【0056】
また、押えバネ32は、レバー18の基端部18cに当接して弾性変形する弾性部材であるため、レバー18の基端部18cが設定された隙間よりも大きく移動した場合に、押えバネ32の弾性力により、基端部18cを速やかに元の位置に戻すことができる。これにより、レバー18の挙動を安定した状態で維持することができる。
【0057】
また、印刷装置1は、印刷ヘッド5と、印刷媒体を搬送するプラテン6を備え、プラテン6により印刷媒体を搬送し、印刷ヘッド5により印刷媒体4に印刷する。印刷ヘッド5は、ワイヤー3と、ワイヤー3に先端部18aが連結されたレバー18と、レバー18を駆動する駆動部16と、レバー18の基端部18cを移動可能に支持する第1支持部31を有する。印刷ヘッド5は、レバー18から所定の隙間d1、d2を設けて配置され、駆動部16によりレバー18が駆動される際、レバー18の基端部18cの移動を規制する押えバネ32を備える。
この構成によれば、レバー18にかかる摩擦力を軽減し、レバー18を円滑に駆動できる。また、レバー18の基端部18cの浮き上がりを抑え、レバー18の挙動を安定化できる。これにより、円滑な印字を行うことができ、耐久性の高い印刷ヘッド5を備えた印刷装置1を実現できる。
【0058】
[2.第2実施形態]
[2−1.印刷ヘッドの構成]
次に、第2実施形態について説明する。
図7は、第2実施形態の印刷ヘッド5Aの内部構成を示す斜視図であり、図8は第2実施形態の印刷ヘッド5Aの要部縦断面図である。
印刷ヘッド5Aは、第1実施形態で説明した印刷ヘッド5において、押えバネ32に代えて、押えバネ132を備える。押えバネ132を除く構成は、第1の実施形態の印刷ヘッド5と同様であるため、図示および説明を省略する。
【0059】
押えバネ132は、サイドヨーク14に当接した状態で印刷ヘッド5に装着される。
押えバネ132は、押えバネ32と同様に、中央に開口を有する円板である第1規制部132aと、第1規制部132aから放射状に広がる第2規制部132c及び第3規制部132dとを有する。円板状の第1規制部132aに、複数の第2規制部132c及び第3規制部132dが形成される。第2規制部132cは、第1実施形態の延出部32bと同様に、隣接する2つのサイドヨーク本体部14aの間に延びる。
基端部18cは、耐摩耗部材12、ヨーク13、および押えバネ132により構成される第2支持部131により支持される。第2支持部131は支持部として機能し、押えバネ132は規制部材として機能する。
【0060】
押えバネ132の第1規制部132aは、蓋体19により、図示しないスペーサーを介して、サイドヨーク本体部14aに押し付けられており、第1規制部132aはサイドヨーク本体部14aに当接した状態で保持される。
【0061】
押えバネ132は、第3規制部132dの長さが、スライド規制部32dとは異なる点を除き、押えバネ32と共通の構成を有する。押えバネ132の取付構造も同様に、押えバネ32と共通である。
【0062】
第3規制部132dは第2規制部132cよりフレーム17に向けて延出され、第3規制部132dのフレーム17側の端部は、耐摩耗部材12とは接触しない。
第2規制部132cおよび第3規制部132dは、第1実施形態の押えバネ32と同様に、レバー18の基端部18cと隙間を設けて配置される。
【0063】
[2−2. 印刷ヘッドの動作]
第2実施形態において、押えバネ132によりレバー18の動きを規制する作用は、第1の実施形態と同様である。第2規制部132cは、レバー18の第2方向A2側への回動を規制する。
また、レバー18は、基端部18cが第2支持部131に保持された状態で回動し、この回動時に、基端部18cは第2支持部131を構成する部材のうち、対向する部材の一方にのみ当接する。これにより、円滑にレバー18が回動されるとともに摩耗する部材も低減される。
【0064】
また、レバー18の基端部18cが浮き上がる場合においても、基端部18cの可動範囲は、第2支持部131を構成する部材により規制される。レバー18の基端部18cが第1方向A1側もしくは第2方向A2側に動く場合には、耐摩耗部材12もしくは第2規制部132cに当接し、基端部18cの動きが設定された隙間の範囲で規制される。
【0065】
そして、基端部18cが、第1方向A1および第2方向A2と交差する方向にレバー18が動く場合には、基端部18cがブリッジ部13bもしくは第3規制部132dに当接する。このため、基端部18cの動きが設定された隙間の範囲で規制される。
【0066】
従って、第2支持部131により、レバー18の挙動が安定するとともに、第2支持部131の部材における偏摩耗を予防でき、印刷ヘッド5Aの耐久性を向上できる。
【0067】
さらに、塵埃などが基端部18cに侵入した場合においても、基端部18cが移動可能であり、基端部18cにおけるカジリなどの発生を抑制できる。耐摩耗部材12と第3規制部132dが接触していないので、塵埃などを耐摩耗部材12と第3規制部132d間より排出可能となる。
仮にレバー18が過度に移動したとしても、押えバネ132が弾性部材により構成されるため、弾性変形により接触時の衝撃が吸収される。これにより、印刷ヘッド5Aの耐久性を向上できる。
【0068】
レバー18と第2規制部132cの間の隙間の大きさは、押えバネ132の第1規制部132aとサイドヨーク本体部14aとの当接面からレバー18の基端部18cに設けた突出部18dとの距離により調節される。なお、押えバネ132とサイドヨーク本体部14aとの間にスペーサーを配置して、突出部18dと第2規制部132cとの隙間の距離を調節することもできる。
このため、レバー18と第2規制部132cの間の隙間の大きさを高い精度で設定でき、隙間の大きさが維持しやすい構造となる。また、レバー18と第3規制部132dの間の隙間の大きさも、高い精度で設定でき、隙間の大きさを維持しやすい構造となる。
これにより、従来のものと比較して、部品点数を増やすことなく、印刷ヘッド5Aの耐久性を向上できる。
【0069】
以上説明したように、第2実施形態に係る印刷ヘッド5Aは、隣接するレバー18の間に配置される基台としてのサイドヨーク14を有し、押えバネ132の第1規制部132aはサイドヨーク14に当接する。
印刷ヘッド5Aを備える印刷装置1によれば、サイドヨーク14の第1規制部132aとの当接面からフレーム17までの距離を調整することにより、押えバネ132とレバー18の間の隙間の大きさを高い精度で設定できる。そして、レバー18の浮き上がりを規制することで、レバー18の挙動を安定させることができる。
【0070】
なお、上述した各実施形態は、本発明の一態様を示すものに過ぎず、本発明の具体的態様および本発明の適用範囲は上記実施形態に限定されない。
例えば、第2実施形態で説明した押えバネ132において、ドーナツ状プレートの第1規制部132aをより大きなドーナツ状の板体で構成してもよい。この場合、第2規制部132cをドーナツ状の板体の外周部に接続する筒状に構成して、フレーム17の外周部に配置されるサイドヨーク14を覆う構成としてもよい。
【0071】
また、印刷ヘッド5、5Aが備えるワイヤー3の数は限定されず、適宜に変更可能であり、ワイヤー3の数に対応するレバー18やコイルバネ20aの数についても同様である。また、上述した印刷装置1が印刷する印刷媒体4の形態についても制限はなく、連続紙、ロール紙、カット紙等を用いる構成とすることができる。
また、印刷装置1は、図1に示すように独立した装置として構成されてもよいし、ATM(Automatic Teller Machine)等の装置に組み込まれる構成であってもよい。
その他の印刷装置1および印刷ヘッド5、5Aの細部構成についても本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更可能である。
【符号の説明】
【0072】
1…印刷装置、3…ワイヤー、4…印刷媒体、5…印刷ヘッド、6…プラテン、12…耐摩耗部材、12a…支持面、13…ヨーク、13a…ヨーク本体部、13b…ブリッジ部、14…サイドヨーク(基台)、14a…サイドヨーク本体部、14b…接続部、15…コイル、15a…ボビン、16…駆動部、17…フレーム、17a…コア、18…レバー、18a…先端部、18b…アーマチュア部、18c…基端部、18d…突出部、19…蓋体、20…バネホルダー、20a…バネ、23…板バネ、24…基板、31…第1支持部(支持部)、32…押えバネ(規制部材)、32a…基部、32b…延出部、32c…浮き規制部(第1規制部)、32d…スライド規制部(第2規制部)、131…第2支持部(支持部)、132…押えバネ(規制部材)、132a…第1規制部、132c…第2規制部、132d…第3規制部、d1、d2…隙間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8