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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-209663(P2019-209663A)
(43)【公開日】2019年12月12日
(54)【発明の名称】印刷ヘッド、及び、印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/265 20060101AFI20191115BHJP
   C22C 18/04 20060101ALI20191115BHJP
   C22C 23/02 20060101ALI20191115BHJP
   B41J 2/235 20060101ALI20191115BHJP
【FI】
   B41J2/265 A
   C22C18/04
   C22C23/02
   B41J2/235 103B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-110209(P2018-110209)
(22)【出願日】2018年6月8日
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116665
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 和昭
(74)【代理人】
【識別番号】100194102
【弁理士】
【氏名又は名称】磯部 光宏
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】山田 岳史
【テーマコード(参考)】
2C063
【Fターム(参考)】
2C063AC02
2C063AC13
2C063AE03
(57)【要約】
【課題】製造が容易で放熱性の良いドットインパクト式の印刷ヘッドを提供する。
【解決手段】ワイヤーが設けられた印刷ヘッドであって、ワイヤーに連結されたレバーと、レバーを駆動する駆動部と、レバー、及び駆動部が設けられたベースと、ベースに連結されたノーズ部材と、ノーズ部材に設けられており、ワイヤーを案内するガイド部と、を備え、ノーズ部材は、亜鉛合金又はマグネシウム合金である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤーが設けられた印刷ヘッドであって、
前記ワイヤーに連結されたレバーと、
前記レバーを駆動する駆動部と、
前記レバー、及び前記駆動部が設けられたベースと、
前記ベースに連結されたノーズ部材と、
前記ノーズ部材に設けられており、前記ワイヤーを案内するガイド部と、を備え、
前記ノーズ部材は、亜鉛合金又はマグネシウム合金である、印刷ヘッド。
【請求項2】
前記ガイド部は、前記ワイヤーを挿通するガイド穴を有する板状部材で構成され、
前記ノーズ部材には複数の溝が形成され、複数の前記溝に前記板状部材が嵌め込まれた、請求項1記載の印刷ヘッド。
【請求項3】
前記ノーズ部材は、前記駆動部により前記レバーとともに駆動される前記ワイヤーの移動方向に沿って、複数の前記板状部材を備え、
前記ワイヤーは複数の前記板状部材の前記ガイド穴を貫通して配置された、請求項2記載の印刷ヘッド。
【請求項4】
前記ノーズ部材は、前記ワイヤーの移動方向に交差する方向に延びる凹部を有し、
前記凹部の内側に、複数の前記溝、及び、リブが形成された、請求項3記載の印刷ヘッド。
【請求項5】
前記ノーズ部材は、前記ベースに固定される平板状のベース固定部、及び、キャリッジに固定される平板状のキャリッジ固定部を有し、
前記ベース固定部及び前記キャリッジ固定部に凹部が形成された、請求項1から4のいずれか1項に記載の印刷ヘッド。
【請求項6】
前記亜鉛合金又は前記マグネシウム合金は、アルミニウム合金より溶融点が低い、請求項1から5のいずれかに記載の印刷ヘッド。
【請求項7】
前記亜鉛合金は、亜鉛が95重量%以上であり、前記マグネシウム合金は、マグネシウムが85重量%以上である、請求項1から6のいずれかに記載の印刷ヘッド。
【請求項8】
ワイヤーが設けられた印刷ヘッドを搭載したキャリッジと、
印刷媒体を搬送する搬送部と、を備え、
前記搬送部により前記印刷媒体を搬送し、前記印刷ヘッドにより前記印刷媒体に印刷する印刷装置であって、
前記印刷ヘッドは、
前記ワイヤーに連結されたレバーと、
前記レバーを駆動する駆動部と、
前記レバー、及び前記駆動部が設けられたベースと、
前記ベースに連結されたノーズ部材と、
前記ノーズ部材に設けられており、前記ワイヤーを案内するガイド部と、を備え、
前記ノーズ部材は、亜鉛合金又はマグネシウム合金である、印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷ヘッド、及び、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷ヘッドのワイヤーを駆動してインクリボンを叩き、インクリボンのインクを印刷媒体に転写して印刷を行うドットインパクトプリンターが知られている。例えば、特許文献1には、このようなドットインパクトプリンターにおいて、ワイヤーを案内するノーズを、熱伝導性の良い金属で製造する旨の記載がある。特許文献1には、熱伝導性の良い金属としてアルミニウムが適する旨の記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3−193462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アルミニウム製のノーズ部材を、アルミダイカストなどで製造した場合、アルミニウムの流動性が低いため、ノーズ部材の寸法精度を確保し難い。そのため、二次加工をする必要や、寸法精度の高い別部材を取り付ける必要があり、ノーズ部材の製造が煩雑になるという課題があった。
【0005】
本発明は、製造が容易で放熱性の良いドットインパクト式の印刷ヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、ワイヤーが設けられた印刷ヘッドであって、前記ワイヤーに連結されたレバーと、前記レバーを駆動する駆動部と、前記レバー、及び前記駆動部が設けられたベースと、前記ベースに連結されたノーズ部材と、前記ノーズ部材に設けられており、前記ワイヤーを案内するガイド部と、を備え、前記ノーズ部材は、亜鉛合金又はマグネシウム合金である。
【0007】
上記発明において、前記ガイド部は、前記ワイヤーを挿通するガイド穴を有する板状部材で構成され、前記ノーズ部材には複数の溝が形成され、複数の前記溝に前記板状部材が嵌め込まれても良い。
【0008】
また、上記発明において、前記ノーズ部材は、前記駆動部により前記レバーとともに駆動される前記ワイヤーの移動方向に沿って、複数の前記板状部材を備え、前記ワイヤーは複数の前記板状部材の前記ガイド穴を貫通して配置されても良い。
【0009】
また、上記発明において、前記ノーズ部材は、前記ワイヤーの移動方向に交差する方向に延びる凹部を有し、前記凹部の内側に、複数の前記溝、及び、リブが形成されても良い。
【0010】
また、上記発明において、前記ノーズ部材は、前記ベースに固定される平板状のベース固定部、及び、キャリッジに固定される平板状のキャリッジ固定部を有し、前記ベース固定部及び前記キャリッジ固定部に凹部が形成されても良い。
【0011】
また、上記発明において、前記亜鉛合金又は前記マグネシウム合金は、アルミニウム合金より溶融点が低くても良い。
【0012】
また、上記発明において、前記亜鉛合金は、亜鉛が95重量%以上であり、前記マグネシウム合金は、マグネシウムが85重量%以上であっても良い。
【0013】
上記課題を解決するため、本発明は、ワイヤーが設けられた印刷ヘッドを搭載したキャリッジと、印刷媒体を搬送する搬送部と、を備え、前記搬送部により前記印刷媒体を搬送し、前記印刷ヘッドにより前記印刷媒体に印刷する印刷装置であって、前記印刷ヘッドは、前記ワイヤーに連結されたレバーと、前記レバーを駆動する駆動部と、前記レバー、及び前記駆動部が設けられたベースと、前記ベースに連結されたノーズ部材と、前記ノーズ部材に設けられており、前記ワイヤーを案内するガイド部と、を備え、前記ノーズ部材は、亜鉛合金又はマグネシウム合金である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】印刷装置の内部構造を示す斜視図。
図2】印刷ヘッドの斜視図。
図3】印刷ヘッドの縦断面図。
図4】ノーズ部材の斜視図。
図5】従来のアルミノーズ部材の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[1.第1実施形態]
[1−1.印刷装置の構成]
印刷装置1の全体構成について説明する。
図1は、本発明を適用した第1実施形態の印刷装置1の内部構造を示す斜視図である。
【0016】
印刷装置1は、印刷ヘッド5により、インクリボン2を介して後述するワイヤー3を印刷媒体4に打ち付けて印刷を行うドットインパクトプリンターである。印刷装置1は、印刷ヘッド5と、印刷媒体4を挟んで印刷ヘッド5に対向配置されるプラテン6とを備える。プラテン6は、図示しない搬送モーターの駆動力によって回転するプラテンローラーであり、印刷媒体4を搬送する搬送部として機能する。
【0017】
印刷装置1には、インクリボン2を格納するリボンカートリッジ7が装着される。リボンカートリッジ7は、印刷ヘッド5とプラテン6との間にインクリボン2を供給する。
【0018】
印刷装置1は、印刷装置1の本体右側に配置される右フレーム11aと本体左側に配置される左フレーム11bから構成される本体フレーム11を備える。右フレーム11aと左フレーム11bとの間には、ガイド軸10が架け渡される。ガイド軸10は、印刷媒体4の搬送方向に対して交差する印刷媒体4の幅方向へ延びる。ガイド軸10は、印刷ヘッド5を搭載するキャリッジ9を支持する。
【0019】
キャリッジ9は、ガイド軸10に沿って主走査方向に往復移動可能に取り付けられ、印刷ヘッド5を印刷媒体4の紙幅方向に走査させる。
【0020】
[1−2.印刷ヘッドの構成]
図2は、印刷ヘッド5の斜視図である。
印刷ヘッド5は、ワイヤー3を駆動する図1に示す円筒状のベース21と、ワイヤー3をインクリボン2に向けて案内する図2に示すノーズ部材22と、ベース21の外側に配置された放熱器23と、を備える。なお、印刷ヘッド5は、図1に示すように、インクリボン2をガイドするリボンガイド24も備え、リボンガイド24は印刷ヘッド5と共にガイド軸10に沿って移動する。
【0021】
[1−3.ベースの構成]
図3は、印刷ヘッド5の縦断面図である。
以降の説明において、ベース21からノーズ部材22側に向かう方向を前とし、ノーズ部材22からベース21側に向かう方向を後として説明する。
【0022】
ベース21は、前段ユニット21Aと、後段ユニット21Bと、を備える。前段ユニット21Aと後段ユニット21Bとは略同様に構成されており、前後方向に重ねた状態で配置される。前段ユニット21Aと後段ユニット21Bとは、円筒状のカバー21Cに収容されて一体に構成される。
【0023】
前段ユニット21Aは、略リング状のフレーム31を備える。フレーム31の後方には、ヨーク32、及び、サイドヨーク33が順次積層して配設される。サイドヨーク33の後方には、レバー34を後方から押えるレバーホルダー35が配置される。フレーム31のリング中心部には、円筒状のホルダー36が配置される。
【0024】
フレーム31は、軟磁性材料から構成される。フレーム31の外周部には、外周部に沿って周壁31Aが設けられる。フレーム31において、周壁31Aの径方向内側には、後方に突出するコア31Bが設けられる。コア31Bは、同心円上に所定間隔を空けて複数形成される。各コア31Bには、電磁コイル42がボビン41を介して組み付けられる。コア31B及び電磁コイル42により、いわゆる電磁石が構成され、レバー34を駆動する駆動部43が構成される。
【0025】
電磁コイル42の端子42Aは、フレーム31に設けられた孔31Cを貫通して、フレーム31の前側に固定された基板44に接続される。基板44には図示しない駆動回路が形成されており、駆動回路に端子42Aが接続される。基板44には、駆動回路に電力を供給するための端子台45が設けられる。
【0026】
駆動部43の各コア31Bに対向する位置には、軟磁性材料で構成されたレバー34が配置される。レバー34はフレーム31の径方向に延び、複数のレバー34が、フレーム31の周方向に、互いに間隔を空けて配置される。レバー34の径方向外側の基端部34Aは、軸46に回動可能に支持される。レバー34の径方向内側の先端部34Bは、ホルダー36の開口に達し、ワイヤー3が連結される。レバー34の径方向中央部には、駆動部43のコア31Bに対向してアーマチュア部34Cが形成される。
【0027】
ホルダー36は、レバー34の先端部34Bを保持するように、ベース21の径方向中心側に設けられる。ホルダー36の内周面には各ワイヤー3をガイドするガイド溝36Aがそれぞれ設けられる。ホルダー36はノーズ部材22の内部に連通する。レバー34の先端部34Bに取り付けられたワイヤー3は、ホルダー36のガイド溝36Aに沿ってノーズ部材22内に延びる。
【0028】
ホルダー36には、ガイド溝36Aよりも径方向外側にコイルバネ47が設けられる。コイルバネ47は、レバー34の先端部34Bをレバーホルダー35に向けて付勢する。
【0029】
基板44を介して駆動部43の電磁コイル42が通電されると、コア31Bが励磁されてレバー34のアーマチュア部34Cがコア31Bに吸引される。これにより、レバー34は、コイルバネ47の付勢力に抗して軸46を中心として回動し、ワイヤー3をノーズ部材22の先端ガイド61から突出させる突出位置まで移動する。また、電磁コイル42への通電が遮断されて電磁コイル42が非通電となると、コア31Bの吸引力が消える。このため、コイルバネ47の付勢力により、レバー34は、アーマチュア部34Cがコア31Bから離隔する退避位置に移動する。このとき、ワイヤー3は、レバー34の先端部34Bに引かれて先端ガイド61のガイド穴61Bの内側に退避する。
【0030】
このように、前段ユニット21Aでは、電磁コイル42の通電、非通電により、レバー34が移動し、レバー34の移動に伴って、ワイヤー3がノーズ部材22内を進退する。
【0031】
後段ユニット21Bでは、ワイヤー3は、後段ユニット21Bの後段ホルダー36Bと前段ユニット21Aのホルダー36とを通過してノーズ部材22内に延びる。この点以外は、後段ユニット21Bも、前段ユニット21Aと同様に構成される。後段ユニット21Bについて、前段ユニット21Aと同様の構成については同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0032】
[1−4.ノーズ部材の構成]
ノーズ部材22にはガイド部60が設けられる。ガイド部60は、ノーズ部材22の先端側に設けられた先端ガイド61と、ノーズ部材22の内部に配置された図3に示す複数の中間ガイド62と、で構成される。
【0033】
図4は、ノーズ部材22の斜視図である。
ノーズ部材22は、ベース21に連結される平板状のベース固定部51と、ベース固定部51の左右中央部から前方に突出する突出部52と、ベース固定部51と突出部52との間に設けられた左右一対の平板状のキャリッジ固定部53と、を備える。なお、図4の左右は、図1の印刷装置1の左右に対応する。
【0034】
ベース固定部51は、略左右対称の平板状に形成される。ベース固定部51には、突出部52に向かって上方から下方に切り欠かれた切り欠き部51Aが形成される。切り欠き部51Aによりノーズ部材22が軽量化される。
【0035】
ベース固定部51には、板厚方向に貫通する左右一対の固定孔51Bが設けられる。固定孔51Bには、図2に示すように、固定部材54が挿通される。固定部材54はベース固定部51をベース21に固定して連結する。
【0036】
ベース固定部51には、放熱器23側に突出する左右一対の接触部51Cが形成される。接触部51Cは、放熱器23側が面形状に形成され、図3に示すように、放熱器23に面接触する。ノーズ部材22が放熱器23に面接触するため、ノーズ部材22の熱が放熱器23に伝達され易くなる。
【0037】
ベース固定部51には、固定孔51Bの周囲に、板厚が薄くされた第一肉盗み部51Dが設けられる。また、ベース固定部51には、第一肉盗み部51Dに対して突出部52側で板厚が薄くされた第二肉盗み部51Eが設けられる。第一肉盗み部51Dおよび第二肉盗み部51Eは、凹部に対応する。第一肉盗み部51Dおよび第二肉盗み部51Eにより、ノーズ部材22が軽量化される。また、第一肉盗み部51Dおよび第二肉盗み部51Eにより、ノーズ部材22の外表面に凹凸が生じて表面積が増大するため、ノーズ部材22の放熱性が向上する。
【0038】
ベース固定部51の下部には、逆L字状に切り欠かれた位置決め部51Fが形成される。位置決め部51Fは、図2に示すように、放熱器23に接触してノーズ部材22の位置決めをする。
【0039】
突出部52は、図4に示すように、左壁部55と、右壁部56とを備える。また、突出部52は、左壁部55と右壁部56との間に設けられた前上壁部57と、図3に示すように、前上壁部57に隙間71Aを空けて後方に形成された後上壁部58と、を備える。さらに、突出部52は、後上壁部58の前端から上方に延びた接続部59を備える。接続部59は、左壁部55と右壁部56との間を接続する。
【0040】
左壁部55と、右壁部56と、前上壁部57と、後上壁部58とで囲まれたガイド空間71は、図3に示すように、ワイヤー3の移動方向に沿って延び、ベース21のホルダー36から前方に延びる。
【0041】
左壁部55と右壁部56とには、上下方向に延びる溝72を複数備える。このうち、前端溝72Aと前端中間溝72Bとは前上壁部57の下方に形成され、接続部59よりも前方に形成される。また、残りの複数の後方中間溝72Cは後上壁部58の下方に形成される。
【0042】
前端溝72Aには、図2図3に示すように、板状の先端ガイド61が下方から嵌め込まれる。先端ガイド61の上部には、上方に突出する凸部61Aが形成されており、前上壁部57に形成された位置決め穴57Aに嵌められ、先端ガイド61が位置決めされる。先端ガイド61には、前後方向に貫通する複数のガイド穴61Bが形成される。ガイド穴61Bには、ワイヤー3が突出、退避可能に挿通される。
【0043】
前端中間溝72Bには、板状の中間ガイド62が嵌められる。中間ガイド62は板厚方向に貫通するガイド穴62Aを備える。ガイド穴62Aには、ワイヤー3が挿通される。
【0044】
後方中間溝72Cは、ワイヤー3の移動方向に沿って所定の間隔を空けて形成される。図3に示すように、各後方中間溝72Cに、中間ガイド62が嵌め込まれる。
【0045】
図4に示すように、左壁部55と、右壁部56と、接続部59とにより、後方に凹んだ形状の凹部73が形成される。凹部73は、ワイヤー3の移動方向に対して交差した方向に延びており、上下方向に延びる。凹部73の内部には、前上壁部57と、後上壁部58との間の隙間71Aが位置する。隙間71Aを介して、凹部73が前上壁部57と、後上壁部58の下方のガイド空間71に通ずる。隙間71Aにより、ガイド空間71の熱気が上方に抜け易くなる。
【0046】
凹部73の内側、すなわち、接続部59の前面には、前方に突出する第一リブ59Aが形成される。また、接続部59の後面には、後方に突出する第二リブ59Bが形成される。第一リブ59Aおよび第二リブ59Bにより、ノーズ部材22の表面積が増大し放熱性が向上する。なお、凹部73の内側下部、すなわち、左壁部55および右壁部56の内面前端には、前端溝72Aと前端中間溝72Bが位置する。
【0047】
左壁部55と右壁部56との上部には、下方に切り欠かれた形状の第三肉盗み部55D、56Dが形成される。第三肉盗み部55D、56Dにより、ノーズ部材22が軽量化される。
【0048】
左右一対のキャリッジ固定部53には、上下方向に貫通する貫通孔53Aが形成される。貫通孔53Aには、図示しない固定部材が挿通され、ノーズ部材22がキャリッジ9に固定される。キャリッジ固定部53は、貫通孔53Aの周りに厚み方向に凹んだ複数の第四肉盗み部53Bを備える。第四肉盗み部53Bは凹部に対応する。第四肉盗み部53Bにより、ノーズ部材22は軽量化されると共に、表面積が増大する。各キャリッジ固定部53には左右方向外側に傾斜部53Cを備える。傾斜部53Cは、左右外側ほど上方に傾斜する。ここで、キャリッジ固定部53は、キャリッジ9に固定されると共に、図1に示すリボンガイド24を位置決めする。このため、傾斜部53Cによりリボンガイド24を位置決めし易くなる。
【0049】
ここで、本実施形態のノーズ部材22は亜鉛ダイカスト製である。ノーズ部材22が亜鉛合金製であるため、放熱性が樹脂よりも良い。亜鉛ダイカストでノーズ部材22を成形する場合、溶融金属の流動性のため、日本工業規格の記号「ZDC2」で特定される亜鉛合金が望ましく、より具体的には、亜鉛を95重量%以上含む材料であることが望ましい。なお、記号「ZDC2」で特定される亜鉛合金とは、重量%で、アルミニウムが3.5%以上4.3%以下、銅が0.25%以下、マグネシウムが0.020%以上0.06%以下、鉄が0.10%以下である。そして、不純物としての、鉛が0.005%以下、カドミウムが0.004%以下、錫が0.003%以下であり、その残部が亜鉛である亜鉛合金であり、不可避的混合物を含んでもよい。記号「ZDC2」の亜鉛合金の融点は381℃から387℃前後である。なお、アルミニウムの融点は660℃である。また、アルミニウム合金の融点は、種類にもよるが、600℃より大きい合金が多い。
【0050】
[1−5.放熱器の構成]
図2図3に示すように、放熱器23は、複数のフィン81を備える。放熱器23はベース21のカバー21Cやノーズ部材22の接触部51Cと接触し、ベース21やノーズ部材22から熱が伝達される。放熱器23は、いわゆるヒートシンクとして機能し、外気と接触することにより印刷ヘッド5の放熱を行う。放熱器23の下部には、左右一対の平板状の下キャリッジ固定部82が形成される。下キャリッジ固定部82はキャリッジ9に固定される。
【0051】
ドットインパクト式の印刷ヘッド5は、インクジェット式のものと比較して記録を行う際の消費電力量が大きく発熱量も大きい。そのため、放熱器23を設けることで、印刷ヘッド5の温度上昇が抑制され、印刷ヘッド5の駆動動作が安定する。
【0052】
[1−6.印刷ヘッドの作用、効果]
近年、ドットインパクトプリンターは高速化しており、第1実施形態の印刷装置1は、ピンドット数が多くてワイヤー3の数が多いと共に、ワイヤー3の移動速度が速い。印刷ヘッド5は、ワイヤー3が高速に移動すればするほど、ワイヤー3の数が多いほど熱が生じ易い。ワイヤー3をガイドするノーズ部材22も熱を持ち易いが、本実施形態では、ノーズ部材22が亜鉛合金製であるため放熱され易い。
【0053】
図5は、従来のアルミノーズ部材100の斜視図である。
従来のドットインパクト式の印刷ヘッド5では、放熱性を確保する場合には、アルミダイカストで製造されたアルミノーズ部材100が使用された。しかし、アルミダイカストでは、ダイカスト時に寸法精度が要求される複雑な形状を形成するのが困難である。よって、アルミノーズ部材100のアルミベース固定部101や、アルミ突出部102、アルミキャリッジ固定部103は、平面的な比較的単純な形状となり易い。
【0054】
このように、アルミダイカストでは、ダイカスト時に寸法精度を出すことが困難である。そのため、アルミノーズ部材100では、ガイド部60の装着部や、ベース21、放熱器23への接触部などの、寸法精度が必要な部分では、二次加工の必要が生じ易い。また、二次加工をしない場合でも、ガイドホルダーをアルミノーズ部材100に取り付け、ガイドホルダーにより寸法精度を出してガイド部60を取り付ける必要がある。そのため、アルミノーズ部材100では、二次加工の必要や、部品点数に伴う取り付け工程の増大など、製造工程が煩雑化し易く、コスト高になる傾向がある。
【0055】
これに対して、本実施形態のノーズ部材22は亜鉛合金製であり、亜鉛ダイカストで製造可能である。亜鉛ダイカストでは、ダイカスト時に寸法精度を確保し易く、アルミダイカストや樹脂成形よりも高精度の形状を成形可能である。よって、本実施形態のように、ノーズ部材22に肉盗み部51D、51E、55D、56D、53Bなどを設けて、ノーズ部材22の表面に複雑な形状を容易に設けることが可能である。また、これにより、亜鉛合金製のノーズ部材22を、軽量化し、放熱性を確保することが可能である。
【0056】
その上、ノーズ部材22の内側の溝72もダイカスト時に寸法精度を確保した状態で成形可能である。したがって、二次加工や、ガイドホルダーを介在させることなく、ノーズ部材22にガイド部60を設けることが可能であり、ノーズ部材22の製造が容易になる。
【0057】
以上説明したように、第1実施形態によれば、ワイヤー3が設けられた印刷ヘッド5は、レバー34と、駆動部43と、ベース21と、ノーズ部材22と、ガイド部60と、を備える。レバー34はワイヤー3に連結される。駆動部43はレバー34を駆動する。ベース21には、レバー34、及び駆動部43が設けられる。ノーズ部材22はベース21に連結される。ガイド部60は、ノーズ部材22に設けられており、ワイヤー3を案内する。ノーズ部材22は、亜鉛合金である。また、印刷装置1は、印刷ヘッド5を搭載したキャリッジ9と、印刷媒体4を搬送するプラテン6と、を備え、プラテン6により印刷媒体4を搬送し、印刷ヘッド5により印刷媒体4に印刷する。本発明を適用した印刷ヘッド5、及び、印刷ヘッド5を備える印刷装置1によれば、ノーズ部材22が亜鉛合金製であるため、製造が容易で放熱性の良いドットインパクト式の印刷ヘッド5で印刷できる。
【0058】
また、ガイド部60は先端ガイド61と中間ガイド62を備える。先端ガイド61は、ワイヤー3を挿通するガイド穴61Bを有する板状部材で構成される。中間ガイド62は、ガイド穴62Aを有する板状部材で構成される。ノーズ部材22には、前端溝72Aと前端中間溝72Bと、後方中間溝72Cとが形成される。前端溝72Aに先端ガイド61が嵌め込まれ、前端中間溝72Bと複数の後方中間溝72Cに中間ガイド62が嵌め込まれる。亜鉛合金製のノーズ部材22では、ダイカスト時に前端溝72A、前端中間溝72B、複数の後方中間溝72Cが、寸法精度を確保して成形可能である。よって、ノーズ部材22に対して二次加工などをせずに、ガイド部60を設けることが可能であり、ノーズ部材22の製造を容易にできる。
【0059】
また、ノーズ部材22は、駆動部43によりレバー34とともに駆動されるワイヤー3の移動方向に沿って、先端ガイド61と中間ガイド62を備える。ワイヤー3は先端ガイド61のガイド穴61Bと中間ガイド62のガイド穴62Aを貫通して配置される。したがって、先端ガイド61と中間ガイド62とが支持される複数の溝72をダイカスト時に一度に成形可能であり、二次加工などにより別々に成形する場合に比べて、さらに容易に、ノーズ部材22を製造できる。
【0060】
また、ノーズ部材22は、ワイヤー3の移動方向に交差する方向に延びる凹部73を有する。凹部73の内側には、前端溝72A、前端中間溝72B、及び、第一リブ59Aが形成される。狭くなり易い凹部73の内側に、前端溝72A、前端中間溝72B、及び、第一リブ59Aをダイカスト時に成形可能であり、ノーズ部材22の製造が容易である。
【0061】
また、ノーズ部材22は、ベース21に固定される平板状のベース固定部51、及び、キャリッジ9に固定される平板状のキャリッジ固定部53を有する。ベース固定部51には第一肉盗み部51Dおよび第二肉盗み部51Eが形成され、キャリッジ固定部53には、第四肉盗み部53Bが形成される。したがって、ノーズ部材22が軽量化されており、キャリッジ9で高速に移動させ易いと共に、ノーズ部材22の表面積が増加して放熱性を高めることができる。
【0062】
亜鉛合金は、アルミニウム合金より溶融点が低い。したがって、鋳造時に使用される金型を劣化し難くできる。
【0063】
亜鉛合金は、亜鉛が95重量%以上である。したがって、溶融した亜鉛合金の流動性が高く、亜鉛合金を金型形状に合わせ易いため、寸法精度が高いノーズ部材22を成形可能である。
【0064】
[2.第2実施形態]
[2−1.ノーズ部材の構成]
次に、第2実施形態について説明する。
第2実施形態では、ノーズ部材22の材質が第1実施形態とは異なる。第2実施形態では、亜鉛合金に代えてマグネシウム合金が用いられる。
【0065】
第2実施形態のノーズ部材22はマグネシウムダイカスト製である。ノーズ部材22がマグネシウムダイカスト製であるため、放熱性が樹脂よりも良い。マグネシウムダイカストでノーズ部材22を成形する場合、溶融金属の流動性のため、日本工業規格の記号「MDC1D」で特定されるマグネシウム合金が望ましく、より具体的には、マグネシウムが85重量%以上であることが望ましい。ここで、記号「MDC1D」で特定されるマグネシウム合金とは、以下の組成を有する合金である。すなわち、重量%で、アルミニウムが8.3%以上9.7%以下、亜鉛が0.35%以上1.0%以下、マンガンが0.15%以上0.50%以下、シリコンが0.10%以下である。そして、銅が0.030%以下、ニッケルが0.002%以下、鉄が0.005%以下、その他の不可避的不純物が0.01%以下であり、その残部がマグネシウムであるマグネシウム合金である。記号「MDC1D」のマグネシウム合金の融点は600℃程度であり600℃よりも低い。
【0066】
[2−2.印刷ヘッドの作用、効果]
第2実施形態のマグネシウムダイカスト製のノーズ部材22も、第1実施形態の亜鉛ダイカスト製のノーズ部材22と同様に、合金の流動性が高く、ダイカスト時に寸法精度を確保した形状に成形可能である。したがって、第2実施形態のノーズ部材22でも、第1実施形態と同様に製造が容易で放熱性の高いノーズ部材22である。
【0067】
以上説明したように、第2実施形態によれば、ノーズ部材22が、マグネシウム合金である点が第1実施形態と異なる。よって、本発明を適用した印刷ヘッド5、及び、印刷ヘッド5を備える印刷装置1によれば、第1実施形態と同様に、製造が容易で放熱性の良いドットインパクト式の印刷ヘッド5で印刷できる。
【0068】
マグネシウム合金は、アルミニウム合金より溶融点が低いため、鋳造時に使用される金型を劣化し難くできる。
【0069】
マグネシウム合金は、マグネシウムが85重量%以上である。したがって、溶融したマグネシウム合金の流動性が高く、マグネシウム合金を金型形状に合わせ易いため、寸法精度が高いノーズ部材22を成形可能である。
【0070】
[他の実施形態]
上記各実施形態において、その他の細部構成についても任意に変更可能であることは勿論である。
例えば、ノーズ部材22の表面にさらに肉盗み部やリブを設けることが可能である。
【0071】
上記各実施形態において、ノーズ部材22は、亜鉛合金製またはマグネシウム合金製としたが、これらも任意に変更可能である。
例えば、ノーズ部材22は、アルミニウムよりも流動性の高い合金、または、亜鉛やマグネシウムなどの金属を用いることが可能である。
【符号の説明】
【0072】
1…印刷装置、2…インクリボン、3…ワイヤー、4…印刷媒体、5…印刷ヘッド、6…プラテン(搬送部)、21…ベース、21A…前段ユニット、21B…後段ユニット、21C…カバー、22…ノーズ部材、23…放熱器、31…フレーム、31A…外周部、31B…コア、31C…孔、32…ヨーク、33…サイドヨーク、34…レバー、34A…基端部、34B…先端部、34C…アーマチュア部、35…レバーホルダー、36…ホルダー、36A…ガイド溝、36B…後段ホルダー、41…ボビン、42…電磁コイル、42A…端子、43…駆動部、44…基板、45…端子台、46…軸、47…コイルバネ、51C…接触部、56…右壁部、57…前上壁部、57A…位置決め穴、58…後上壁部、59…接続部、60…ガイド部、61…先端ガイド、61A…凸部、62…中間ガイド、62A…ガイド穴、71…ガイド空間、71A…隙間、72…溝、72A…前端溝、72B…前端中間溝、72C…後方中間溝、73…凹部、81…放熱フィン。
図1
図2
図3
図4
図5