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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-209851(P2019-209851A)
(43)【公開日】2019年12月12日
(54)【発明の名称】ワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20191115BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20191115BHJP
   H02G 3/04 20060101ALN20191115BHJP
【FI】
   B60R16/02 623D
   H01B7/00 301
   B60R16/02 620A
   H02G3/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-107876(P2018-107876)
(22)【出願日】2018年6月5日
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】木本 裕一
【テーマコード(参考)】
5G309
5G357
【Fターム(参考)】
5G309AA01
5G309AA09
5G357DA06
5G357DB03
5G357DC12
5G357DD05
5G357DE08
(57)【要約】
【課題】樹脂製の外装部材を所望の形状に保持することができるワイヤハーネスを提供する。
【解決手段】ワイヤハーネス10は、電線20と、電線20が配索される経路に沿った軸線方向を有し、電線20を嵌合させた状態で保持する保持部35を有し、電線20の配索される経路を規制する経路規制部材30と、電線20と経路規制部材30とを収容する樹脂製の外装部材50とを有する。経路規制部材30は、外装部材50よりも曲げ剛性が高い。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線と、
前記電線が配索される経路に沿った軸線方向を有し、前記電線を嵌合させた状態で保持する保持部を有し、前記電線の配索される経路を規制する経路規制部材と、
前記電線と前記経路規制部材とを収容する樹脂製の外装部材と、を有し、
前記経路規制部材は、前記外装部材よりも曲げ剛性が高いワイヤハーネス。
【請求項2】
前記経路規制部材は、前記軸線方向を有する軸部を有し、
前記軸部は、前記外装部材よりも曲げ剛性が高い芯部と、前記芯部の外周面を被覆する樹脂製の被覆部とを有する請求項1に記載のワイヤハーネス。
【請求項3】
前記保持部は、前記軸部の外周面に前記軸線方向と交差する方向に向かって外側に突出するように形成されている請求項2に記載のワイヤハーネス。
【請求項4】
前記軸部の外周には、前記軸部の周方向において等角度間隔を空けて複数の前記保持部が形成されている請求項3に記載のワイヤハーネス。
【請求項5】
前記保持部と前記被覆部とが一体に形成された一体品である請求項2〜4のいずれか一項に記載のワイヤハーネス。
【請求項6】
前記保持部は、前記電線が嵌合され、前記軸部の前記軸線方向に所定の間隔を空けて設けられた複数の嵌合部によって構成されている請求項2〜5のいずれか一項に記載のワイヤハーネス。
【請求項7】
前記電線が配索される経路は、直線経路及び曲線経路を有し、
前記曲線経路を規制する部分の前記経路規制部材は、前記嵌合部が設けられておらず、前記軸部のみによって構成されている請求項6に記載のワイヤハーネス。
【請求項8】
前記外装部材は、硬質の樹脂パイプである請求項1〜7のいずれか一項に記載のワイヤハーネス。
【請求項9】
前記外装部材は、前記経路規制部材の全体を包囲するように形成されている請求項1〜8のいずれか一項に記載のワイヤハーネス。
【請求項10】
前記外装部材の内部において、前記電線と前記経路規制部材とを包囲する電磁シールド部を有する請求項1〜9のいずれか一項に記載のワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハイブリッド車や電気自動車等の車両に用いられるワイヤハーネスとしては、電線の外側をコルゲートチューブや樹脂パイプ等の樹脂製の外装部材で覆われたワイヤハーネスが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−51042号公報
【特許文献2】特開2017−225207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、樹脂製の外装部材は、金属製の外装部材に比べると剛性が低いため、ワイヤハーネスの配索時及び配索後において、所望の形状を保持することが困難である。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、樹脂製の外装部材を所望の形状に保持することができるワイヤハーネスを提供することになる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するワイヤハーネスは、電線と、前記電線が配索される経路に沿った軸線方向を有し、前記電線を嵌合させた状態で保持する保持部を有し、前記電線の配索される経路を規制する経路規制部材と、前記電線と前記経路規制部材とを収容する樹脂製の外装部材と、を有し、前記経路規制部材は、前記外装部材よりも曲げ剛性が高い。
【発明の効果】
【0006】
本発明のワイヤハーネスによれば、樹脂製の外装部材を所望の形状に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態におけるワイヤハーネスを示す概略構成図。
図2】一実施形態におけるワイヤハーネスを示す概略断面図。
図3】一実施形態におけるワイヤハーネスを示す概略斜視図。
図4】(a),(b)は、一実施形態におけるワイヤハーネスを示す概略断面図。
図5】変更例におけるワイヤハーネスを示す概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、ワイヤハーネスの一実施形態について、図面に従って説明する。なお、各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張又は簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率についても、実際とは異なる場合がある。
【0009】
図1に示すワイヤハーネス10は、2個又は3個以上の電気機器(機器)を電気的に接続する。ワイヤハーネス10は、例えば、ハイブリッド車や電気自動車等の車両Vの前部に設置されたインバータ11と、そのインバータ11よりも車両Vの後方に設置された高圧バッテリ12とを電気的に接続する。ワイヤハーネス10は、例えば、車両の床下等を通るように配索される。インバータ11は、車両走行の動力源となる車輪駆動用のモータ(図示略)と接続される。インバータ11は、高圧バッテリ12の直流電力から交流電力を生成し、その交流電力をモータに供給する。高圧バッテリ12は、例えば、数百ボルトの電圧を供給可能なバッテリである。
【0010】
図1及び図2に示すように、ワイヤハーネス10は、複数(ここでは、2本)の電線20と、電線20の両端部に取り付けられた一対のコネクタC1と、電線20の配索される経路を規制する経路規制部材30とを有している。また、ワイヤハーネス10は、複数の電線20を一括して包囲する電磁シールド部40と、複数の電線20及び経路規制部材30を包囲する樹脂製の外装部材50とを有している。
【0011】
各電線20は、例えば、高電圧・大電流に対応可能な高圧電線である。また、各電線20は、例えば、自身にシールド構造を有しないノンシールド電線である。各電線20の一端部はコネクタC1を介してインバータ11と接続され、各電線20の他端部はコネクタC1を介して高圧バッテリ12と接続されている。
【0012】
図2に示した電磁シールド部40は、全体として長尺の筒状をなしている。電磁シールド部40は、例えば、複数の電線20と経路規制部材30とを一括して包囲するように形成されている。例えば、電磁シールド部40は、複数の電線20の略全長に亘って、複数の電線20と経路規制部材30とを一括して包囲するように形成されている。電磁シールド部40は、例えば、外装部材50の内部の空間に設けられている。電磁シールド部40は、例えば、可撓性を有することで電線20の配索経路に沿って変形可能に構成されている。本例の電磁シールド部40は、複数の金属素線が編み込まれて構成された筒状の部材であり、可撓性を有する編組部材である。電磁シールド部40を構成する金属素線の材料としては、例えば、銅系やアルミニウム系などの金属材料を用いることができる。
【0013】
外装部材50は、可撓性を有することで電線20の配索経路に沿って変形可能に構成されている。外装部材50は、電線20を覆うことで電線20を保護する。外装部材50は、全体として長尺の筒状をなしている。外装部材50は、複数の電線20と経路規制部材30とを一括して包囲するとともに、電磁シールド部40を包囲している。換言すると、複数の電線20と経路規制部材30と電磁シールド部40とは、外装部材50の内部の空間に設けられている。本例の外装部材50は、経路規制部材30の全体を覆うように形成されている。すなわち、本例の外装部材50は、経路規制部材30の全長を覆うとともに、経路規制部材30の全周を覆うように形成されている。換言すると、本例の経路規制部材30は、外装部材50の外側に露出していない。
【0014】
外装部材50としては、例えば、硬質の樹脂パイプ、コルゲートチューブやツイストチューブを用いることができる。本例の外装部材50は、硬質の樹脂パイプである。外装部材50の材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ABS樹脂などの合成樹脂を用いることができる。
【0015】
各電線20は、導体よりなる芯線21と、芯線21の外周を被覆する絶縁被覆22とを有する被覆電線である。各電線20は、例えば、車両の前後方向に延びるように長尺状に形成されている。芯線21としては、例えば、複数の金属素線を撚り合せてなる撚り線、内部が中実構造をなす柱状(例えば、円柱状)の1本の金属棒からなる単芯線や内部が中空構造をなす筒状導体(パイプ導体)などを用いることができる。また、芯線21としては、撚り線、単芯線や筒状導体を組み合わせて用いてもよい。芯線21の材料としては、例えば、銅系やアルミニウム系などの金属材料を用いることができる。絶縁被覆22は、例えば、芯線21の外周面を全周に亘って密着状態で被覆している。絶縁被覆22は、例えば、合成樹脂などの絶縁材料によって構成されている。絶縁被覆22は、例えば、芯線21に対する押出成形(押出被覆)によって形成することができる。
【0016】
図3に示すように、各電線20が配索される経路は、例えば、第1直線経路R1と、第2直線経路R2と、それら第1直線経路R1と第2直線経路R2との間の中間経路R3とを有している。中間経路R3は、曲線経路RCを含んでいる。本例の中間経路R3は、2つの曲線経路RCと、それら2つの曲線経路RCの間に設けられた直線経路とを含んでいる。
【0017】
経路規制部材30は、電線20が配索される経路に沿った軸線方向を有している。経路規制部材30は、電線20が配索される経路に沿って延びるように長尺状に形成されている。経路規制部材30は、例えば、電線20が配索される経路に合わせて二次元的又は三次元的に適宜曲げ加工される。
【0018】
経路規制部材30は、電線20を嵌合させた状態で保持し、外装部材50の内部において電線20が配索される経路を規制するように設けられている。経路規制部材30は、単数であってもよいし、複数であってもよい。例えば、電線20における複数の区間が1つの経路規制部材30によって規制されていてもよいし、電線20における1つの区間が複数の経路規制部材30によって規制されていてもよい。また、経路規制部材30は、直線部のみから構成してもよいし、屈曲部のみから構成してもよいし、直線部と屈曲部とを組み合わせた構成としてもよい。本例のワイヤハーネス10では、電線20における第1直線経路R1と中間経路R3と第2直線経路R2という3つの経路(区間)が1つの経路規制部材30によって規制されている。
【0019】
なお、電線20の経路長の略全長を1つの経路規制部材30によって規制するようにしてもよい。この場合の経路規制部材30の経路長は、例えば、電線20の経路長よりも短く設定することが好ましい。これにより、例えば、電線20の端部に取り付けられたコネクタC1と経路規制部材30が干渉することを抑制できる。
【0020】
経路規制部材30は、外装部材50よりも曲げ剛性が高く、外装部材50よりも曲がり難くなっている。経路規制部材30は、例えば、電線20よりも曲げ剛性が高く、電線20よりも曲がり難くなっている。
【0021】
経路規制部材30は、例えば、電線20が配索される経路に沿った軸線方向を有する軸部31と、軸部31の軸線方向と交差する方向(つまり、径方向)に向かって外側に突出するように形成され、電線20を嵌合させた状態で保持する保持部35とを有している。
【0022】
軸部31は、例えば、芯部32と、芯部32の外周を被覆する樹脂製の被覆部33とを有している。本例の軸部31(芯部32及び被覆部33)は、電線20が配索される第1直線経路R1、中間経路R3及び第2直線経路R2に沿った軸線方向を有している。すなわち、本例の軸部31は、第1直線経路R1に沿った軸線方向を有する直線部S1と、中間経路R3に沿った軸線方向を有する複数の屈曲部31R及び直線部31Sと、第2直線経路R2に沿った軸線方向を有する直線部S2とを有している。
【0023】
芯部32は、例えば、柱状や管状に形成されている。本例の芯部32は、円柱状に形成されている。芯部32は、外装部材50よりも曲げ剛性が高く、外装部材50よりも曲がり難くなっている。芯部32は、例えば、電線20よりも曲げ剛性が高く、電線20よりも曲がり難くなっている。芯部32は、外装部材50の形状を維持し得る剛性を有する材料から構成されている。芯部32の材料としては、曲げ加工により、経路を設定することを可能にするという観点から、塑性変形可能な材料であることが好ましい。芯部32の材料としては、例えば、金属材料が好適に用いられる。金属材料としては、銅系、鉄系やアルミニウム系などの金属材料を用いることができる。本例の芯部32は、アルミニウム系の金属材料からなる。これにより、経路規制部材30全体を軽量化することができる。例えば、芯部32と、その芯部32と同じ長さの電線20の芯線21とを比較すると、芯部32の方が芯線21よりも軽くなっている。
【0024】
被覆部33は、例えば、芯部32の外周面を全周に亘って密着状態で被覆している。この被覆部33は、筒状に形成されている。本例の被覆部33は、円筒状に形成されている。被覆部33は、例えば、芯部32を全長に亘って密着状態で被覆している。すなわち、芯部32の外周面全面が被覆部33によって被覆されている。換言すると、芯部32の外周面は被覆部33から露出されていない。被覆部33の材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステルやポリエチレンなどの合成樹脂を用いることができる。被覆部33は、芯部32と電線20とが直接接触することを抑制し、電線20を保護する保護機能を有している。被覆部33は、芯部32とは異なる材料によって構成され、芯部32とは別体に形成されている。
【0025】
保持部35は、軸部31(具体的には、被覆部33)の外周面に形成されている。軸部31の外周には、例えば、軸部31の周方向において所定の間隔を空けて複数(ここでは、2つ)の保持部35が形成されている。例えば、軸部31の外周には、軸部31の周方向において等角度間隔(ここでは、180度)を空けて2つの保持部35が形成されている。各保持部35は、例えば、軸部31(具体的には、被覆部33)の外周面から軸部31の軸線方向(延在方向)と交差する方向(つまり、径方向)に向かって外側に突出するように形成されている。本例では、2つの保持部35が、軸部31を中心にして互いに反対方向に突出するように形成されている。換言すると、本例の経路規制部材30では、外装部材50よりも曲げ剛性の高い芯部32が経路規制部材30の中心に位置するように形成されている。各保持部35は、1本の電線20を保持するために設けられている。
【0026】
各保持部35は、例えば、複数(図3では、4個)の嵌合部36によって構成されている。複数の嵌合部36は、軸部31の軸線方向において所定の間隔を空けて設けられている。すなわち、複数の嵌合部36は、電線20が配索される経路に沿って所定の間隔を空けて並んで設けられている。複数の嵌合部36は、例えば、軸部31のうち複数の屈曲部31Rには設けられていない。また、複数の嵌合部36は、例えば、軸部31のうち中間経路R3に沿った軸線方向を有する複数の屈曲部31R及び直線部31Sには設けられていない。換言すると、複数の嵌合部36は、軸部31のうち直線部S1,S2のみに設けられている。
【0027】
各嵌合部36は、軸部31(具体的には、被覆部33)の外周面から軸部31の径方向外側に突出するように形成されている。各嵌合部36には、電線20の延在方向(軸線方向)における中間部分が取り付けられる。
【0028】
図2に示すように、各嵌合部36は、例えば、電線20の外周形状に沿った環状構造を有している。本例の各嵌合部36の環状構造は、例えば、C字状に形成されている。詳述すると、各嵌合部36の環状構造は、円形の外周形状を有する電線20を嵌合させた状態で保持するための円形の内周形状を有している。各嵌合部36の環状構造は、その環状構造の径方向に沿って電線20を挿入可能とする挿入部37を有している。すなわち、各嵌合部36の環状構造は、不連続の環状構造であり、第1端部36Aと、その第1端部36Aと離間した第2端部36Bとを有している。挿入部37は、軸部31の外周面から離間した位置に設けられている。例えば、挿入部37は、嵌合部36において軸部31の外周面から最も離間した位置に設けられている。
【0029】
図4に示すように、各嵌合部36の環状構造は、第1端部36Aと第2端部36Bとの間の挿入部37から電線20を挿入可能な挿入姿勢(図4(a)参照)と、電線20に取り付けられた取付姿勢(図4(b)参照)とに変形可能に構成されている。ここで、各嵌合部36の環状構造では、第1端部36Aと第2端部36Bとの間隔(つまり、挿入部37の幅)が、電線20の直径以下に設定されている。また、各嵌合部36の環状構造は、第1端部36Aと第2端部36Bとの間隔が広がるように弾性変形可能に形成されている。
【0030】
各嵌合部36の材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステルやポリエチレンなどの合成樹脂を用いることができる。各嵌合部36の材料としては、軸部31の被覆部33と同種の材料であってもよいし、被覆部33と異種の材料であってもよい。本例の各嵌合部36は、被覆部33と同種の材料で構成されており、被覆部33と一体に形成されている。すなわち、被覆部33と複数の嵌合部36とは一体に形成された一体品である。
【0031】
図2に示すように、経路規制部材30は、各保持部35に1本の電線20が嵌合されて保持された状態で、樹脂製の外装部材50の内部空間に配置されている。経路規制部材30は、外装部材50の内部空間において、その内部空間の径方向中心に芯部32が配置されるように設けられている。
【0032】
なお、本実施形態の経路規制部材30は、各保持部35のみによって電線20を保持しており、電線20を保持するために保持部35以外の固定部材(例えば、粘着テープや結束バンド)を用いていない。
【0033】
次に、ワイヤハーネス10の製造方法の一例について説明する。
まず、経路規制部材30の各保持部35に電線20を取り付ける。具体的には、図4(a)に示すように、電線20を自身の直径よりも小さな嵌合部36の挿入部37に挿入すると、嵌合部36の環状構造では、第1端部36Aと第2端部36Bとの間隔が一時的に広がるように弾性変形する(図示略)。そして、図4(b)に示すように、電線20が挿入部37を通り抜けて嵌合部36内部に嵌合されると、嵌合部36の環状構造が元の形状に戻るように弾性復帰する、つまり第1端部36Aと第2端部36Bとの間隔が狭まるように弾性復帰する。すなわち、嵌合部36と電線20とは、弾性変形を利用して抜け止めが行われるスナップフィット構造である。
【0034】
このとき、嵌合部36の環状構造の径方向に沿って電線20を挿入可能な挿入部37が嵌合部36に形成されている。このため、一方の電線20を一方の保持部35に取り付けた後であっても、他方の保持部35の嵌合部36の径方向に沿って他方の電線20を挿入することで、他方の電線20の中間部を他方の保持部35に取り付けることができる。
【0035】
その後、経路規制部材30及び電線20を外装部材50の内部に挿通する。このとき、外装部材50の内部には、経路規制部材30及び電線20を一括して包囲する電磁シールド部40が設けられている。
【0036】
続いて、外装部材50に対して曲げ加工を施すことにより、外装部材50を、電線20が配索される経路に沿った所望の形状に変形させる。このとき、外装部材50の内部に配置された経路規制部材30、電線20及び電磁シールド部40も外装部材50と同様に、電線20が配索される経路に沿った所望の形状に変形される。すなわち、本例では、外装部材50及びその外装部材50の内部に配置された経路規制部材30、電線20及び電磁シールド部40が、第1直線経路R1、中間経路R3及び第2直線経路R2に沿った形状に変形される。
【0037】
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
(1)樹脂製の外装部材50の内部に、その外装部材50よりも曲げ剛性の高い経路規制部材30を設けた。この経路規制部材30が芯部材として機能するため、樹脂製の外装部材50を、電線20が配索される経路に沿った所望の形状に保持することができる。
【0038】
例えば、硬質の樹脂パイプ(外装部材50)に対して曲げ加工を施した場合には、その曲げ加工から時間が経過すると、樹脂材料の特性上、曲げ加工後の形状(屈曲形状)が元の形状(直線形状)に戻る傾向がある。これに対し、本実施形態のワイヤハーネス10では、樹脂パイプである外装部材50の内部に、その外装部材50よりも曲げ剛性の高い経路規制部材30が設けられているため、外装部材50の屈曲形状が直線形状に戻ろうとするときに、その変形が経路規制部材30によって規制される。これにより、樹脂製の外装部材50を、電線20が配索される経路に沿った所望の形状に保持することができる。
【0039】
また、可撓性に優れたコルゲートチューブ(外装部材50)の場合には、直線経路において撓みなどが発生しやすく、直線形状を保持することが困難である。これに対し、本実施形態のワイヤハーネス10では、外装部材50の内部に芯部材となる経路規制部材30を設けるようにしたため、外装部材50の撓みなどの変形が経路規制部材30によって規制される。これにより、樹脂製の外装部材50を、電線20が配索される経路に沿った所望の形状に保持することができる。
【0040】
(2)経路規制部材30に、電線20を嵌合させた状態で保持する保持部35を設けた。このため、保持部35に電線20を嵌合させることにより、経路規制部材30に対して電線20を取り付けることができる。したがって、経路規制部材30とは別部材の固定部材(例えば、粘着テープや結束バンド)を用いることなく、経路規制部材30に対して電線20を取り付けることができる。
【0041】
(3)経路規制部材30の軸部31を、外装部材50よりも曲げ剛性が高い芯部32と、その芯部32の外周面を被覆する樹脂製の被覆部33とによって構成した。この構成によれば、樹脂製の被覆部33により芯部32の外周面を被覆したことによって、例えば金属製の芯部32の端部が、電線20の絶縁被覆22と直接接触することを抑制できる。このため、例えば、ワイヤハーネス10を車体に組み付けた後に、車両走行時の振動により電線20が揺動した場合であっても、芯部32の端部の角部分によって、絶縁被覆22が損傷することを抑制できる。これにより、ワイヤハーネス10の耐久性を向上させることができる。
【0042】
(4)保持部35を、軸部31の外周面にその軸部31の軸線方向と交差する方向に向かって外側に突出するように形成した。また、軸部31の外周に、軸部31の周方向において等角度間隔を空けて複数の保持部35を形成した。この構成によれば、芯部材である芯部32を、経路規制部材30の中心付近に配置させることができる。
【0043】
(5)芯部32と別体に形成された被覆部33と保持部35とを一体に形成するようにした。換言すると、芯部32と保持部35とを別体で形成するようにした。これにより、芯部32の形状と保持部35の形状とを個別に設定することができる。このため、例えば保持部35を特定の経路(例えば、曲線経路RCを含む中間経路R3)には設定しないといった構造を採用することができる。
【0044】
(6)ところで、外装部材50、経路規制部材30及び電線20に対して曲げ加工をする際に、その曲げ部分に経路規制部材30の嵌合部36が存在すると、その嵌合部36によって曲げ加工が阻害されるおそれがある。
【0045】
これに対し、本実施形態では、電線20が配索される経路のうち曲線経路RCを規制する部分の経路規制部材30を、嵌合部36を設けずに、軸部31のみによって構成するようにした。これにより、軸部31(特に、芯部32)によって外装部材50の形状を保持しつつも、外装部材50、経路規制部材30の軸部31及び電線20に対する曲げ加工が阻害されることを好適に抑制できる。
【0046】
(7)1つの保持部35に1本の電線20を保持するようにした。このため、複数の電線20が経路規制部材30に取り付けられる際に、複数の電線20が異なる保持部35によって保持される。したがって、複数の電線20の相対的な位置関係が経路規制部材30によって規制される。この結果、外装部材50の内部における複数の電線20の配設位置(配列)を好適に保持することができる。
【0047】
(他の実施形態)
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0048】
・上記実施形態では、中間経路R3を規制する部分の経路規制部材30を、嵌合部36を設けずに、軸部31のみによって構成するようにした。これに限らず、中間経路R3のうち曲線経路RCを規制する部分の経路規制部材30のみを、軸部31のみによって構成するようにしてもよい。すなわち、中間経路R3内の直線経路を規制する部分の経路規制部材30(つまり、軸部31の直線部31S)に嵌合部36を設けるようにしてもよい。
【0049】
また、曲線経路RCを規制する部分の経路規制部材30(つまり、軸部31の屈曲部31R)にも嵌合部36を設けるようにしてもよい。
・上記実施形態では、4つの嵌合部36によって1つの保持部35を構成するようにしたが、嵌合部36の数は特に限定されない。
【0050】
・上記実施形態における嵌合部36の形状は、図2及び図3に示した形状に特に限定されない。嵌合部36の形状は、電線20を嵌合させた状態で保持可能な形状であれば特に限定されない。
【0051】
・上記実施形態における芯部32の材料は、外装部材50よりも曲げ剛性が高い材料であれば、金属材料に限定されない。
・上記実施形態では、保持部35と被覆部33とを一体に形成するようにしたが、保持部35と被覆部33とを別体に形成するようにしてもよい。
【0052】
・上記実施形態では、保持部35と芯部32(軸部31)とを別体に形成するようにしたが、保持部35と芯部32(軸部31)とを一体に形成するようにしてもよい。
例えば図5に示すように、経路規制部材30Aを一部品で構成するようにしてもよい。経路規制部材30Aは、電線20が配索される経路に沿った軸線方向を有し、外装部材50よりも曲げ剛性が高い軸部31Aを有している。本例の軸部31Aは、略円柱状に形成されている。軸部31Aの外周面には、軸部31Aの周方向において所定の間隔(ここでは、180度)を空けて複数(ここでは、2つ)の保持部35Aが形成されている。各保持部35Aは、軸部31Aの外周面から軸部31Aの径方向内側に凹む溝部である。各保持部35Aは、軸部31Aの軸線方向(延在方向)に沿って連続して延びるように形成されている。これら複数の保持部35Aは、軸部31Aと一体に形成されている。各保持部35Aは、電線20を嵌合させた状態で保持することができる。
【0053】
軸部31Aは、外装部材50の形状を維持し得る剛性を有する材料から構成されている。軸部31Aの材料としては、曲げ加工により、経路を設定することを可能にするという観点から、塑性変形可能な材料であることが好ましい。軸部31Aの材料としては、例えば、金属材料が好適に用いられる。金属材料としては、銅系、鉄系やアルミニウム系などの金属材料を用いることができる。
【0054】
図5に示した経路規制部材30Aにおいて、軸部31A及び保持部35Aの表面を被覆する樹脂製の被覆部を形成するようにしてもよい。
・上記実施形態では、1つの保持部35に1本の電線20を嵌合させたが、1つの保持部35に複数の電線20を嵌合させてもよい。
【0055】
・上記実施形態における経路規制部材30の保持部35に対して電線20を保持した上で、さらに経路規制部材30とは別部材である固定部材によって電線20を経路規制部材30に固定するようにしてもよい。固定部材としては、例えば、粘着テープや結束バンドなどを用いることができる。
【0056】
・上記実施形態では、電線20をノンシールド電線に具体化したが、電線20の種類はこれに限定されない。例えば、電線20を、自身にシールド構造を有するシールド電線に具体化してもよい。この場合には、電磁シールド部40を省略してもよい。
【0057】
・上記実施形態では、電磁シールド機能を有するワイヤハーネス10に具体化したが、電磁シールド機能を有さないワイヤハーネス10に具体化してもよい。
・上記実施形態では、外装部材50の内部に挿通される電線20が2本であったが、特に限定されるものではなく、車両の仕様に応じて電線20の本数は変更することができる。例えば、外装部材50の内部に挿通される電線20は、1本であってもよいし、3本以上であってもよい。例えば、外装部材50の内部に挿通される電線として、低圧バッテリと各種低電圧機器(例えば、ランプ、カーオーディオ等)とを接続する低圧電線を追加した構成としてもよい。
【0058】
・車両におけるインバータ11と高圧バッテリ12の配置関係は、上記実施形態に限定されるものではなく、車両構成に応じて適宜変更してもよい。
・上記実施形態では、電線20によって接続される電気機器としてインバータ11及び高圧バッテリ12を採用したが、これに限定されない。例えば、インバータ11と車輪駆動用のモータとを接続する電線に採用してもよい。すなわち、車両に搭載される電気機器間を電気的に接続するものであれば適用可能である。
【符号の説明】
【0059】
10…ワイヤハーネス、20…電線、30,30A…経路規制部材、31,31A…軸部、32…芯部、33…被覆部、35,35A…保持部、36…嵌合部、40…電磁シールド部、50…外装部材。
図1
図2
図3
図4
図5