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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-210127(P2019-210127A)
(43)【公開日】2019年12月12日
(54)【発明の名称】エレベーターの制御装置および方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/14 20060101AFI20191115BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20191115BHJP
【FI】
   B66B1/14 Z
   B66B3/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-109889(P2018-109889)
(22)【出願日】2018年6月7日
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】特許業務法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 勇来
(72)【発明者】
【氏名】星野 孝道
【テーマコード(参考)】
3F303
3F502
【Fターム(参考)】
3F303CA01
3F502HB01
3F502HB03
3F502JA05
3F502JA27
(57)【要約】
【課題】乗りかごの運転効率が更に高まる(例えば、利用者全体の待ち時間を更に短縮する)ことが期待できるエレベーター制御を提供する。
【解決手段】複数の階床における階床間を昇降動作する乗りかごと、複数の階床のそれぞれに設置され上昇または下降方向に乗りかごを呼寄せるホール呼び部とを備えたエレベーターの制御装置が、乗りかごの現在位置よりも乗りかごの運転方向と逆方向側にある階床のホール呼び部によるホール呼びが検出されたか否かの第1の判断を行い、当該第1の判断の結果が真の場合に乗りかごが走行中であっても運転方向を切り替える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の階床における階床間を昇降動作する乗りかごと、前記複数の階床のそれぞれに設置され上昇または下降方向に前記乗りかごを呼寄せるホール呼び部とを備えたエレベーターの制御装置であって、
いずれかの前記階床における前記ホール呼び部のホール呼びがされた場合に当該ホール呼びを検出するホール呼び検出部と、
前記乗りかごの現在位置よりも前記乗りかごの運転方向と逆方向側にある前記階床の前記ホール呼び部によるホール呼びが検出されたか否かの第1の判断を行い、前記第1の判断の結果が真の場合に、前記乗りかごが走行中であっても前記運転方向を切り替える制御部と
を備えたことを特徴とするエレベーターの制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のエレベーターの制御装置であって、
前記乗りかごの乗客の有無を推定する乗客推定部を更に備え、
前記制御部は、
前記乗りかごに乗客がいると推定されたか否かの第2の判断を行い、
更に前記第2の判断の結果が偽の場合に、前記乗りかごが走行中であっても前記運転方向を切り替え、
前記第2の判断の結果が真の場合には、前記運転方向を維持する、
ことを特徴とするエレベーターの制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載のエレベーターの制御装置であって、
前記制御部は、前記乗りかごの走行中に前記運転方向を切り替える場合には、前記乗りかごの減速度を、前記乗りかごに乗客がいると推定された場合にいずれかの前記階床に前記乗りかごを停止するために前記乗りかごを減速するときの減速度よりも大きな減速度で前記乗りかごを停止し、その後に、前記運転方向を切り替える、
ことを特徴とするエレベーターの制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載のエレベーターの制御装置であって、
前記制御部は、前記乗りかごの走行中に前記運転方向を切り替えるために前記乗りかごを停止する場合、前記乗りかごの位置を示す位置データを、前記乗りかごと連結されておらず前記乗りかごの昇降に伴い牽引されるガバナロープにより回転するガバナのガバナエンコーダを用いて行う、
ことを特徴とするエレベーターの制御装置。
【請求項5】
請求項1に記載のエレベーターの制御装置であって、
前記制御部が、前記運転方向を切り替える際に、前記乗りかごの位置を示す位置データを補正する、
ことを特徴とするエレベーター用制御装置。
【請求項6】
請求項1に記載のエレベーターの制御装置であって、
前記制御部は、
前記乗りかごの現在位置よりも前記乗りかごの運転方向と順方向側にある前記階床の前記ホール呼び部によるホール呼びが検出されたか否かの第3の判断を行い、
前記第3の判断の結果が真の場合、前記運転方向と順方向に前記乗りかごを運転継続させたときの最初の利用者待ちの開始から最後の利用者待ちの終了までの時間である第1の全体待ち時間よりも、前記乗りかごの前記運転方向を切替えたときの最初の利用者待ちの開始から最後の利用者待ちの終了までの時間である第2の全体待ち時間の方が短いか否かの判断である第4の判断を行い、
更に前記第4の判断の結果が真の場合に、前記乗りかごが走行中であっても前記運転方向を切り替える、
ことを特徴とするエレベーターの制御装置。
【請求項7】
請求項6に記載のエレベーターの制御装置であって、
前記制御部は、
前記第3の判断の結果が真の場合、前記乗りかごの現在位置よりも前記乗りかごの運転方向と逆方向側にある前記階床の前記ホール呼び部によるホール呼びが前記運転方向と逆方向へ進むことを示しているか否かの判断である第5の判断を行い、
前記第5の判断の結果が偽の場合に、前記第4の判断を行う、
ことを特徴とするエレベーターの制御装置。
【請求項8】
請求項7に記載のエレベーターの制御装置であって、
前記制御部は、前記第5の判断の結果が真の場合に、前記運転方向を維持する、
ことを特徴とするエレベーターの制御装置。
【請求項9】
請求項6に記載のエレベーターの制御装置であって、
前記制御部は、前記第3の判断の結果が偽の場合に、前記第4の判断を行うこと無しに、前記乗りかごが走行中であっても前記運転方向を切り替える、
ことを特徴とするエレベーターの制御装置。
【請求項10】
複数の階床における階床間を昇降動作する乗りかごと、前記複数の階床のそれぞれに設置され上昇または下降方向に前記乗りかごを呼寄せるホール呼び部とを備えたエレベーターの制御方法であって、
いずれかの前記階床における前記ホール呼び部のホール呼びがされた場合に当該ホール呼びを検出し、
前記乗りかごの現在位置よりも前記乗りかごの運転方向と逆方向側にある前記階床の前記ホール呼び部によるホール呼びが検出されたか否かの第1の判断を行い、
前記第1の判断の結果が真の場合に、前記乗りかごが走行中であっても前記運転方向を切り替える、
ことを特徴とするエレベーターの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベーターの制御装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベーターでは、利用者が乗り場でエレベーターの到着を待つ時間、すなわち待ち時間を短縮し、全体的な利用効率を高めるため、様々な技術が考案されている。
【0003】
例えば、特開平7−252032号公報では、「運転方向に対して逆方向になる新規発生の背後ホール呼びに対して応答することも含めて」運転制御する技術について記載がされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−252032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1記載の技術では、サービス階床に停止した際に逆方向のホール呼びに応じるように運転方向を切り替えることができる。乗りかごの運転効率が更に高まる(例えば、利用者全体の待ち時間を更に短縮する)ことが期待できるようエレベーター制御の更なる改良が望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
複数の階床における階床間を昇降動作する乗りかごと、複数の階床のそれぞれに設置され上昇または下降方向に乗りかごを呼寄せるホール呼び部とを備えたエレベーターの制御装置が、乗りかごの現在位置よりも乗りかごの運転方向と逆方向側にある階床のホール呼び部によるホール呼びが検出されたか否かの第1の判断を行い、当該第1の判断の結果が真の場合に乗りかごが走行中であっても運転方向を切り替える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、乗りかごの運転効率が更に高まることが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態によるエレベーターの全体構成図。
図2】本発明の一実施形態によるエレベーター制御処理のフローチャート。
図3図2のステップ102:YESに対応したエレベーター運転の概略図。
図4図2のステップ103:NOに対応したエレベーター運転の概略図。
図5図2のステップ104:YESに対応したエレベーター運転の概略図。
図6図2のステップ106:YESに対応したエレベーター運転の概略図。
図7図2のステップ106:NOに対応したエレベーター運転の概略図。
図8】本発明の一実施形態による制御盤の機能ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態を図面を用いて説明する。なお、以下の説明では、乗りかご1内にいる利用者を特に「乗客」と言う。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態によるエレベーターの全体構成図である。
【0011】
本実施形態におけるエレベーターは、乗りかご1がカウンタウェイト2と主ロープ3で連結されている、いわゆるつるべ式のエレベーターである。モータ4が主ロープ3を駆動することにより、乗りかご1が昇降路内を昇降する。
【0012】
モータ4には巻上機ブレーキ5が備えられており、巻上機ブレーキ5が動作することで、モータ4の回転が阻止される。
【0013】
ガバナロープ6は、乗りかご1の昇降に伴い牽引され、ガバナ7を回転させる。
【0014】
制御盤8の内部には、制御コントローラ9、および安全コントローラ10が備えられている。制御コントローラ9はモータ4に取付けられているモータエンコーダ11が発するパルス信号を用いて乗りかご1の位置データや速度データを作成し、それらに応じてモータ4およびブレーキ5へ動作指令を出力し、乗りかご1の昇降運転を制御する。
【0015】
安全コントローラ10は、ガバナ7に設置されたガバナエンコーダ12と接続されており、この信号を用いて、安全コントローラ10も制御コントローラ9と同様に、乗りかご1の位置データや速度データを作成する。一般に、主ロープ3とモータ4の間には滑りが生じるため、制御コントローラ9がモータエンコーダ11から算出する位置データは乗りかご1の実際の位置と差異が生じる可能性が高い。一方、ガバナロープ6とガバナ7の間にはほとんど滑りが生じないため、安全コントローラ10がガバナエンコーダ12を用いて算出する位置データは比較的高い精度を有する。安全コントローラ10は、乗りかご1の行き過ぎや過速といった異常状態を検出した場合にはモータ4およびブレーキ5への電源供給を遮断し、乗りかご1を制動状態にする。
【0016】
乗りかご1の上部には、位置検出センサ13が備えられており、各階床位置に設置された被検出体14を検出する。位置検出センサ13が被検出体14を検出することで、制御コントローラ9は乗りかご1が各階の位置にいると判断することができる。また、このとき、制御コントローラ9がモータエンコーダ11の信号を用いて算出した位置データをあらかじめ把握している各階の位置データに補正する。
【0017】
制御盤8と乗りかご1はテールコード15を介して接続されている。
【0018】
各階にはホール呼びボタン16が設置されており、利用者はホール呼びボタン16を押すことで、乗りかご1を各階に呼寄せるホール呼びを登録することができる。また、乗りかご1には行先階ボタン17が設置されており、乗りかご1に乗り込んだ利用者は行先階ボタン17を押すことで、任意の階を行先階として登録することができる。
【0019】
図8は、制御盤8の機能ブロック図である。
【0020】
制御盤8は、ホール呼び検出部81、乗客推定部82および制御部83を有する。これらの機能は、制御コントローラ9および安全コントローラ10の少なくとも制御コントローラ9により実現される。これらの機能の少なくとも一つは、一つ以上のコンピュータプログラムがプロセッサ部によって実行されることで実現されてもよいし、一つ以上のハードウェア回路(例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)またはASIC(Application Specific Integrated Circuit))によって実現されてもよい。プログラムがプロセッサ部によって実行されることで機能が実現される場合、定められた処理が、適宜に記憶部および/またはインターフェース部等を用いながら行われるため、機能はプロセッサ部の少なくとも一部とされてもよい。機能を主語として説明された処理は、プロセッサ部あるいはそのプロセッサ部を有する装置が行う処理としてもよい。プログラムは、プログラムソースからインストールされてもよい。プログラムソースは、例えば、プログラム配布計算機または計算機が読み取り可能な記録媒体(例えば非一時的な記録媒体)であってもよい。各機能の説明は一例であり、複数の機能が一つの機能にまとめられたり、一つの機能が複数の機能に分割されたりしてもよい。なお、「インターフェース部」は、一つ以上のインターフェースでよい。当該一つ以上のインターフェースは、一つ以上の同種の通信インターフェースデバイスであってもよいし二つ以上の異種の通信インターフェースデバイスであってもよい。「記憶部」は、メモリ部とPDEV部の少なくともメモリ部でよい。「メモリ部」は、一つ以上のメモリであり、典型的には主記憶デバイスでよい。メモリ部における少なくとも一つのメモリは、揮発性メモリであってもよいし不揮発性メモリであってもよい。「PDEV部」は、一つ以上のPDEVであり、典型的には補助記憶デバイスでよい。「PDEV」は、物理的な記憶デバイス(Physical storage DEVice)を意味し、典型的には、不揮発性の記憶デバイス、例えばHDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)である。
【0021】
ホール呼び検出部81は、いずれかの階床におけるホール呼びボタン16(ホール呼び部の一例)のホール呼びがされた場合に当該ホール呼びを検出する。
【0022】
乗客推定部82は、乗りかごの乗客の有無を推定する。乗客推定部82は、例えば、乗りかご1内の行先階ボタン17におけるいずれかの階が停止階として押されている場合に、乗客がいると推定する。乗りかご1に荷重センサやカメラが設置されていてもよく、乗客推定部82は、乗りかご1に乗客が乗っているかの判断を、行先階ボタン17に代えてまたは加えて、荷重センサやカメラを用いて行ってもよい。
【0023】
制御部83は、乗りかご1の昇降を制御する。制御部83には、例えば、モータエンコーダ11、ガバナエンコーダ12、位置検出センサ13および被検出体14から信号が入力される。これらの信号から、制御部83は、乗りかご1の運転方向を制御したり、乗りかご1の位置データ(乗りかご1の位置を示すデータ)や速度データ(乗りかご1の速度を示すデータ)を作成したりすることができる。制御部83は、乗りかご1の昇降制御のためにモータ4を制御する。制御部83の詳細は後述する。
【0024】
以上が、本発明の一実施形態におけるエレベーターの概略構成である。
【0025】
図2は、本発明の一実施形態によるエレベーター制御処理のフローチャートである。本フローは周期的に実行され、例えばその周期は十分短い。以降、本発明の一実施形態によるエレベーター制御処理をステップごとに説明する。
【0026】
ステップ101:制御コントローラ9が、ホール呼びボタン16からの信号の状態により、乗りかご1の現在位置よりも運転方向と逆方向の階のホール呼びがあるかを判断する。ホール呼びがない場合には、本フローが終了する。ホール呼びがある場合には、処理がステップ102に移る。
【0027】
ステップ102:制御コントローラ9が、乗りかご1内の行先階ボタン17からの信号の状態により、行先階が登録されているか否かを判断する。行先階が登録されている場合には、乗りかご1の内部に利用者がいるため、制御コントローラ9は、運転方向を反転しない(運転方向を維持する)。つまり、この場合には、本フローが終了する。行先階が登録されていない場合には、処理がステップ103に移る。
【0028】
ステップ103:制御コントローラ9が、ホール呼びボタン16からの信号の状態により、乗りかご1の現在位置よりも運転方向と順方向の階のホール呼びがあるかを判断する。ホール呼びがない場合には、直ちに運転方向を反転させるべく、処理がステップ107に移る。ホール呼びがある場合には、ステップ104に移る。
【0029】
ステップ104:制御コントローラ9が、ステップ101で検出した逆方向の階のホール呼びは現在の運転方向と逆方向にあたるかを判断する。逆方向の場合には、運転方向を反転して、その利用者へのサービス(逆方向への進行)を優先させると、現在の運転方向と順方向のホール呼びを登録した利用者へのサービスが遅くなる可能性(待ち時間が長くなる可能性)がある。なぜなら、当該利用者が逆方向へいずれの階床まで進むかがわからないためである。したがって、制御コントローラ9は、運転方向を反転しない(運転方向を維持する)。このため、本フローが終了する。そうでない場合には、処理がステップ105に移る。
【0030】
ステップ105:制御コントローラ9が、現在の運転方向のまま運転を継続し、順方向のホール呼びに応じた後に、逆方向のホール呼びに応じるまでの時間T1と、運転方向を反転し、逆方向のホール呼びに応じた後に、順方向のホール呼びに応じるまでの時間T2を計算する。ただし、後者の時間T2には、順方向のホール呼びが登録されてから、現在までの時間を加えたものとする。
【0031】
ステップ106:制御コントローラ9が、ステップ105で計算した時間T1とT2を比較する。T2の方が小さい場合には、運転方向を反転した方が利用効率が高いと判断できるため、処理がステップ107に移る。T1がT2以下の場合には、運転方向を反転しない方が利用効率が高いと判断できるため、本フローが終了する。
【0032】
ステップ107:制御コントローラ9が、乗りかご1が走行中かを判断する。走行中でない場合には(例えば、乗りかご1がいずれかの階床で停止している場合には)、そのまま運転方向を反転させればよいため、処理がステップ110に移る。走行中の場合には、ステップ108に移る。
【0033】
ステップ108:制御コントローラ9が、モータ4を制御することで、乗りかご1を停止させる。その際の減速度は通常運転時(乗りかご1に乗客がいる際の運転時)の減速度よりも大きくする。減速度を大きくすることで、運転方向の反転に要する時間を短縮することができ、より利用効率を高めることができる。乗りかご1の停止後に処理がステップ109に移る。
【0034】
ステップ109:制御コントローラ9が、乗りかご1の位置データをガバナエンコーダ12の信号を用いて安全コントローラ10が算出した値に補正する。前述のとおり、制御コントローラ9の位置データは、位置検出センサ13が被検出体14を検出した際に補正される。ステップ108では、各階以外に停止する可能性がある。したがって、本ステップにおいて、位置データを、比較的精度の高い値である、安全コントローラ10がガバナエンコーダ12を用いて算出した値に補正する。その後、処理がステップ110に移る。
【0035】
ステップ110:制御コントローラ9が、運転方向を反転し、ホール呼びに応じるために出発する。
【0036】
以上が、本発明の一実施形態によるエレベーター制御処理のフロー(制御コントローラ9がホール呼びおよびかご呼びの登録有無と呼びに応じるまでの走行時間によって、運転方向の反転の必要性を判断し、必要であれば運転方向を反転するフロー)である。
【0037】
図3〜7は、本発明の一実施形態によるエレベーターの運転を複数のケースに分けて示した概略図である。以降、各ケースを順に説明する。
【0038】
図3は、図2のステップ102:YESに対応する。
【0039】
まず利用者が乗りかご1に乗っており、下降運転をしているケースである(参照符号3a)。ここで、運転方向と逆方向の階のホール呼びボタン16を押して利用者がホール呼びを登録した場合を考える(参照符号3b)。このとき、既に行先階が登録されているため、図2のフローにおいて、ステップ102の後にフローが終了する。したがって、運転方向は反転せず、乗りかご1の中の乗客が降車し、行先階登録が解除されたのちに、ホール呼びに応じる(参照符号3c)。
【0040】
図4は、図2のステップ103:NOに対応する。
【0041】
乗客がおらず、下降運転をしているケースである(参照符号4a)。エレベーターには、乗客がいない場合に、予め定められている階に自動で運転して待機しておくといった運転があり、そのような運転によるケースである。ここで、運転方向と逆方向の階のホール呼びボタン16を押して利用者がホール呼びを登録した場合を考える(参照符号4b)。このとき、行先階は登録されておらず、また運転方向と順方向の階のホール呼びも登録されていないため、図2のフローにおいて、処理が、ステップ103の後に、ステップ107に移る。したがって、制御コントローラ9が、直ちに運転方向を反転し、ホール呼びに応じる(参照符号4c)。
【0042】
図5は、図2のステップ104:YESに対応する。
【0043】
下降運転しており、運転方向と順方向にホール呼びが登録されているケースである(参照符号5a)。ここで、運転方向と逆方向の階のホール呼びボタン16を押して、利用者がホール呼びを登録した場合を考える(参照符号5b)。ただし、そのホール呼びは現在の運転方向と逆方向にあたるものである。このとき、図2のフローにおいて、ステップ104の後にフローが終了する。したがって、運転方向は反転せず、制御コントローラ9が、順方向のホール呼びに応じた後に、逆方向のホール呼びに応じる(参照符号5c)。
【0044】
図6は、図2のステップ106:YESに対応する。
【0045】
図5と同じく、下降運転しており、運転方向と順方向にホール呼びが登録されているケースであり(参照符号6a)、運転方向と逆方向の階のホール呼びボタン16を押して、利用者がホール呼びを登録した場合である。図5と異なり、逆方向の階のホール呼びは、現在の運転方向と順方向にあたるものである(参照符号6b)。このとき、図2のフローにおいて、ステップ105で、制御コントローラ9が、順方向のホール呼びに応じた後に逆方向のホール呼びに応じる(逆方向側のホールでありホール呼びがされたホールに乗りかご1が停止する)までの時間T1と、運転方向を反転して逆方向のホール呼びに応じた後に順方向のホール呼びに応じる(順方向側のホールでありホール呼びがされたホールに乗りかご1が停止する)までの時間T2を計算する。T2の方が小さい場合、処理が、ステップ107に移る。この場合、制御コントローラ9が、直ちに運転方向を反転し、逆方向のホール呼びに応じる(参照符号6c)。
【0046】
図7は、図2のステップ106:NOに対応する。
【0047】
図6と同じく、下降運転しており、運転方向と順方向にホール呼びが登録されているケースであり(参照符号7a)、運転方向と逆方向の階のホール呼びボタン16を押して、利用者がホール呼びを登録した場合である(参照符号7b)。このとき、図2のフローにおいて、ステップ105で計算されたT1、T2のうち、T1の方が小さい場合、ステップ106の後にフローが終了する。したがって、運転方向は反転せず、制御コントローラ9が、順方向のホール呼びに応じた後に、逆方向のホール呼びに応じる(参照符号7c)。
【0048】
以上のとおり、運転方向を反転した方が、後に応じるホール呼びに応じる時間が小さくなる場合には、運転方向を反転して、逆方向のホール呼びに先に応じ、エレベーターの利用効率を上げることができる。
【0049】
なお、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために用いたものであり、本発明は必ず説明した全ての構成を備えるものに限定されるものでない。さらに、必ずしも説明したフローに限定されるものでない。例えば、図2のフローにおいて、ステップ105で計算される応答順による応答時間は、制御コントローラ9が過去の運転実績から算出する(例えば、過去の運転実績をニューラルネットワークのような学習済みモデルに入力することで得られる)一運転時間の平均値や最小あるいは最大値を用いる形態が考えられる。さらに、運転方向と逆方向の階に逆方向にあたるホール呼びが登録された場合も(ステップ104:YES)、条件に応じて(例えば、逆方向側への行先階の数が所定値未満の場合、或いは、何らかの方法により逆方向へ進んだ場合にかかる時間が見積もられ当該時間が所定の条件を満たす場合)、制御コントローラ9が、運転方向を反転させてもよい。
【0050】
以上の説明を、例えば下記のように総括することができる。下記の総括は、上記説明に無い事項を含んでもよい。
【0051】
複数の階床における階床間を昇降動作する乗りかご1と、複数の階床のそれぞれに設置され上昇または下降方向に前記乗りかごを呼寄せるホール呼びボタン16(ホール呼び部の一例)とを備えたエレベーターの制御盤8(制御装置の一例)が、ホール呼び検出部81と、制御部83とを備える。ホール呼び検出部81は、いずれかの階床におけるホール呼びボタン16のホール呼びがされた場合に当該ホール呼びを検出する。制御部83は、乗りかご1の現在位置よりも乗りかご1の運転方向と逆方向側にある階床のホール呼びボタン16によるホール呼びが検出されたか否かのステップ101の判断(第1の判断の一例)を行う。ステップ101の判断の結果が真の場合に(ステップ101:YES)、制御部83は、乗りかご1が走行中であっても運転方向を切り替える(反転する)(ステップ108)。これにより、乗りかご1の運転効率の向上(例えば、利用者全体の待ち時間の短縮)が期待できる。
【0052】
制御盤8は、乗りかごの乗客の有無を推定する乗客推定部82を更に備える。制御部83は、乗りかご1内で行き先階が登録されているか否かのステップ102の判断(乗りかごに乗客がいると推定されたか否かの第2の判断の一例)を行う。制御部83は、ステップ102の判断の結果が偽の場合(ステップ102:NO)に乗りかご1が走行中であっても運転方向を切り替え、ステップ102の判断の結果が真(ステップ102:YES)の場合には運転方向を維持する。これにより、乗りかご1内の乗客の希望を優先しつつ、乗りかご1の運転効率の向上が期待できる。
【0053】
制御部83は、ステップ102の判断の結果が偽(ステップ102:NO)であり、且つ、乗りかご1の走行中に運転方向を切り替える場合には、乗りかご1の減速度を、通常の減速度(乗りかご1に乗客がいると推定された場合にいずれかの階床に乗りかご1を停止するために乗りかごを減速するときの減速度の一例)よりも大きな減速度で乗りかご1を停止し、その後に、運転方向を切り替える(ステップ108)。これにより、乗客の乗り心地に影響を与えるといったこと無しに乗りかご1の運転効率を一層向上することが期待できる。
【0054】
なお、制御部83は、乗りかご1を通常の減速度より大きな減速度で停止する場合には、乗りかご1の位置を示す位置データを、ガバナエンコーダ12を用いて行う(ステップ109)。ガバナエンコーダ12は、乗りかご1と連結されておらず乗りかご1の昇降に伴い牽引されるガバナロープ6により回転するガバナ7のエンコーダである。主ロープ3とモータ4の間には滑りに比べて、ガバナロープ6とガバナ7の間には滑りが生じないため、ガバナエンコーダ12を用いて算出される位置データの精度は比較的高いことが期待される。運転方向を切り替える際の位置データの補正は、ガバナエンコーダ12を用いる以外の方法で行われてもよい。
【0055】
制御部83は、乗りかご1の現在位置よりも乗りかご1の運転方向と順方向側にある階床のホール呼びボタン16によるホール呼びが検出されたか否かのステップ103の判断(第3の判断の一例)を行う。ステップ103の判断の結果が真の場合(ステップ103:YES)、制御部83は、T1よりもT2が短いか否かのステップ106の判断(運転方向と順方向に乗りかご1を運転継続させたときの最初の利用者待ちの開始から最後の利用者待ちの終了までの時間である第1の全体待ち時間よりも、乗りかご1の運転方向を切替えたときの最初の利用者待ちの開始から最後の利用者待ちの終了までの時間である第2の全体待ち時間の方が短いか否かの判断である第4の判断の一例)を行う。ステップ101の判断の結果が真であること(ステップ101:YES)に加えてステップ106の判断の結果が真の場合に(ステップ106:YES)、制御部83は、乗りかご1が走行中であっても運転方向を切り替える(ステップ108)。運転方向を切り替えた方が待ち時間が短いと推定された場合に運転方向の切り替えが行われるので、乗りかご1の運転効率の向上がより期待できる。
【0056】
制御部83は、ステップ103の判断の結果が真の場合(ステップ103:YES)、乗りかご1の現在位置よりも乗りかご1の運転方向と逆方向側にある階床のホール呼びボタン16によるホール呼びが当該運転方向と逆方向へ進むことを示しているか否かのステップ104の判断(第5の判断の一例)を行う。制御部83は、ステップ104の判断の結果が偽の場合に(ステップ104:NO)、ステップ106の判断を行う。ステップ104:NOの場合、逆方向側にある階床から逆方向へと進まないため、ステップ106の判断を行うことが有効である。一方、ステップ104の判断の結果が真の場合に(ステップ104:YES)、制御部83は、運転方向を維持する。逆方向側にある階床から利用者が逆方向へいずれの階床まで進むかがわからないため、ステップ106の判断が行われず、運転方向が維持されることで、乗りかご1の運転効率の向上が期待される。
【0057】
制御部83は、ステップ103の判断の結果が偽の場合に(ステップ103:NO)、ステップ106の判断を行うこと無しに、乗りかごが走行中であっても運転方向を切り替える(ステップ108)。ステップ103:NOの場合、順方向へ進む必要性が無いとみなすことができ、故に、運転方向を切り替えることが、乗りかご1の運転効率の向上になると期待される。
【符号の説明】
【0058】
1…乗りかご、9…制御コントローラ、10…安全コントローラ、12…ガバナエンコーダ、16…ホール呼びボタン、17…行先階ボタン
図1
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図8