【解決手段】パネル(3)と、パネル(3)を囲うように配置され且つ空気の吹出口(13a,13b,13c,13d)が形成された枠部材(5)と、吹出口(13a,13b,13c,13d)へ空気を送るファン(11a,11b,11c,11d)とを設ける。枠部材(5)は、複数の方向から互いに衝突するように空気を吹き出すことによって、パネル(3)の前方へ向かう気流を生じさせ、気流の方向が変わるように、吹出口(13a,13b,13c,13d)から吹き出される空気の流量を調節する制御器(7)を設ける。
パネル(3)と、上記パネル(3)を囲うように配置され且つ空気の吹出口(13a,13b,13c,13d,13e,13f,13g)が形成された枠部材(5)と、上記吹出口(13a,13b,13c,13d,13e,13f,13g)へ空気を送るファン(11a,11b,11c,11d,11e,11f,30)とを備える送風装置であって、
上記枠部材(5)は、複数の方向から互いに衝突するように空気を吹き出すことによって、上記パネル(3)の前方へ向かう気流を生じさせ、
上記気流の方向が変わるように、上記吹出口(13a,13b,13c,13d,13e,13f,13g)から吹き出される空気の流速、流量、向きのうち少なくとも1つを調節する制御器(7)を備えることを特徴とする送風装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、パネル前方へ向かう気流を生じさせることしか開示されていない。したがって、これまでは、吹出空気が衝突して生じた気流の向きをどのように制御するのか、検討されていなかった。
【0005】
本開示の目的は、吹出空気が衝突して発生する気流の方向を調節することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様は、パネル(3)と、上記パネル(3)を囲うように配置され且つ空気の吹出口(13a,13b,13c,13d,13e,13f,13g)が形成された枠部材(5)と、上記吹出口(13a,13b,13c,13d,13e,13f,13g)へ空気を送るファン(11a,11b,11c,11d,11e,11f,30)とを備える送風装置(1)であって、上記枠部材(5)は、複数の方向から互いに衝突するように空気を吹き出すことによって、上記パネル(3)の前方へ向かう気流を生じさせ、上記気流の方向が変わるように、上記吹出口(13a,13b,13c,13d,13e,13f,13g)から吹き出される空気の流速、流量、向きのうち少なくとも1つを調節する制御器(7)を備えることを特徴とする。
【0007】
第1の態様では、例えば、1つの吹出口(13a,13b,13c,13d,13e,13f,13g)から吹き出る空気の流速又は流量を増やすと、衝突した気流の向きは、流速又は流量を増やした吹出口とは逆側に向く。また、例えば、1つの吹出口(13a,13b,13c,13d,13e,13f,13g)の吹き出し方向を変えると、空気が衝突して生じた気流の向きも変化する。したがって、吹出空気が衝突して発生する気流の方向を調節することができる。
【0008】
本開示の第2の態様は、上記第1の態様において、上記制御器(7)は、上記吹出口(13a,13b,13c,13d,13e,13f,13g)から吹き出される空気の流量の合計が一定に保たれるように、それぞれの方向から吹き出される空気の流量を調節可能であることを特徴とする。
【0009】
第2の態様では、前方に向かう空気の流量を変化させずに、気流の方向を調節することができる。
【0010】
本開示の第3の態様は、上記第1又は2の態様において、上記吹出口(13a,13b,13c,13d,13e,13f)は、上記複数の方向にそれぞれ配置され、上記ファン(11a,11b,11c,11d,11e,11f)は、上記各吹出口(13a,13b,13c,13d,13e,13f)に対応するように1つずつ配置され、上記制御器(7)は、上記各ファン(11a,11b,11c,11d,11e,11f)の回転速度を調節することを特徴とする。
【0011】
第3の態様では、ファン(11a,11b,11c,11d,11e,11f)の回転数を調節することで、気流の方向を調節することができる。このため、気流の方向を調節するための部品の点数を抑えることができる。
【0012】
本開示の第4の態様は、上記第1又は2の態様において、上記吹出口(13a,13b,13c,13d)は、上記複数の方向にそれぞれ配置され、上記枠部材(5)は、上記各吹出口(13a,13b,13c,13d)に対応するように複数配置され且つ上記ファン(30)から上記各吹出口(13a,13b,13c,13d)に送られる空気が通る通風路(35a,35b)を備え、上記通風路(35a,35b)には、開度可変の流量調節用のダンパ(32a,32b)が配置され、上記制御器(7)は、上記ダンパ(32a,32b)の開度を調節して上記吹出口(13a,13b,13c,13d)から吹き出される空気の流量を調節することを特徴とする。
【0013】
第4の態様では、ファン(30)を吹出口(13a,13b,13c,13d)から離れた位置に配置する場合でも、各吹出口(13a,13b,13c,13d)から吹き出される空気の流量を調節することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
《実施形態1》
実施形態1について説明する。本実施形態の送風装置(1)は、例えば、室内の壁面に設けられ、室内に送風するために用いられる。
【0016】
−送風装置の全体構成−
図1に示すように、送風装置(1)は、パネル(3)、枠部材(5)、複数のファン(11a,11b,11c,11d)、及び制御器(7)を備える。
【0017】
パネル(3)は、例えば、映像を表示するディスプレイ、絵画、写真等により構成される。パネル(3)は、静止画を表示してもよく、動画を表示してもよい。パネル(3)は、例えば横長の矩形状に形成される。
【0018】
枠部材(5)は、パネル(3)を囲うように配置される。すなわち、枠部材(5)は、パネル(3)に対応した矩形状に構成される。具体的に、枠部材(5)は、第1縁部(5a)、第2縁部(5b)、第3縁部(5c)、及び第4縁部(5d)を備える。第1縁部(5a)は、枠部材(5)の長辺のうち下側の辺を構成する。第2縁部(5b)は、枠部材(5)の長辺のうち上側の辺を構成する。第3縁部(5c)は、枠部材(5)の短辺のうち
図1に向かって左側の辺を構成する。第4縁部(5d)は、枠部材(5)の短辺のうち
図1に向かって右側の辺を構成する。第1縁部(5a)と第2縁部(5b)とは、パネル(3)を挟んで互いに対向する。第3縁部(5c)と第4縁部(5d)とは、パネル(3)を挟んで互いに対向する。枠部材(5)は、中空に形成される。枠部材(5)の詳細については後述する。
【0019】
ファン(11a,11b,11c,11d)は、第1縁部(5a)、第2縁部(5b)、第3縁部(5c)、及び第4縁部(5d)にそれぞれ1つずつ配置される。ファン(11a,11b,11c,11d)は、例えばクロスフローファンで構成される。ファン(11a,11b,11c,11d)は、配置される各縁部(5a,5b,5c,5d)に沿うように配置される。ファン(11a,11b,11c,11d)は、対応する縁部(5a,5b,5c,5d)の後述する吹出口(13a,13b,13c,13d)へ空気を送る。
【0020】
制御器(7)は、枠部材(5)内に配置される。制御器(7)は、例えば、ファン(11a,11b,11c,11d)の回転速度を調節する。
【0021】
−枠部材−
図1及び
図2に沿って、枠部材(5)の構成について説明する。枠部材(5)は、内周面に、4つの空気の吹出口(13a,13b,13c,13d)を備える。各吹出口(13a,13b,13c,13d)は、パネル(3)の各辺に対応する位置に形成される。各吹出口(13a,13b,13c,13d)にはファン(11a,11b,11c,11d)が1つずつ配置される。ファン(11a,11b,11c,11d)から送られた空気は、吹出口(13a,13b,13c,13d)を通過して枠部材(5)から吹き出される。各吹出口(13a,13b,13c,13d)は、一方向に空気を吹き出す。
【0022】
第1縁部(5a)は、第1吹出口(13a)、第1吸込口(15a)、第1ファン(11a)、温度調節器(17)、及び通風路(14)を備える。第1縁部(5a)は、断面略四角形に形成される。
【0023】
第1吹出口(13a)は、第1縁部(5a)の上面に形成される。第1吹出口(13a)は、第1縁部(5a)の長手方向(左右方向)に延びる細長い開口である。第1縁部(5a)の上面には、第1吹出口(13a)に沿うようにフラップ(16)が設けられる。フラップ(16)の傾斜角度に応じて、第1吹出口(13a)からの吹出空気の向きが変わる。
【0024】
第1吸込口(15a)は、第1縁部(5a)の下面に形成される。第1吸込口(15a)は、第1縁部(5a)の長手方向(左右方向)に延びる細長い開口である。
【0025】
第1ファン(11a)は、第1吹出口(13a)と第1吸込口(15a)との間に位置する。第1ファン(11a)は、枠部材(5)の外側の空気を第1吸込口(15a)から取り入れて、第1吹出口(13a)に送る。第1ファン(11a)から送られた空気は、第1吹出口(13a)を通過して上方に吹き出される。
【0026】
温度調節器(17)は、第1ファン(11a)と第1吸込口(15a)との間に配置される。温度調節器(17)は、例えば、室外ユニット(図示省略)に接続される熱交換器により構成される。温度調節器(17)の温度を変化させることで、第1吹出口(13a)から吹き出す空気の温度を調節する。
【0027】
第1縁部(5a)は、前側部材(19)及び後側部材(18)を備える。前側部材(19)は、第1縁部(5a)の上面における前方(
図2中左側)寄りの位置から第1ファン(11a)の上面に向かって延びる。後側部材(18)は、第1縁部(5a)の上面における後方(
図2中右側)寄りの位置から第1ファン(11a)の下面に向かって延びる。前側部材(19)と後側部材(18)との間には通風路(14)が構成される。通風路(14)は、第1ファン(11a)と第1吹出口(13a)との間に形成される。通風路(14)は、第1ファン(11a)から吹き出された空気を第1吹出口(13a)へ導く。
【0028】
第2縁部(5b)、第3縁部(5c)及び第4縁部(5d)の内部構造については、図示は省略するが、第1縁部(5a)の内部構造と同様である。
【0029】
第2縁部(5b)は、第2吹出口(13b)、第2吸込口(15b)、第2ファン(11b)、温度調節器、及び通風路を備える。第2縁部(5b)は、断面略四角形に形成される。
【0030】
第2吹出口(13b)は、第2縁部(5b)の下面に形成される。第2吹出口(13b)は、第2縁部(5b)の長手方向(左右方向)に延びる細長い開口である。第2縁部(5b)の下面には、第2吹出口(13b)に沿うようにフラップが設けられる。フラップの傾斜角度に応じて、第2吹出口(13b)からの吹出空気の向きが変わる。
【0031】
第2吸込口(15b)は、第2縁部(5b)の上面に形成される。第2吸込口(15b)は、第2縁部(5b)の長手方向(左右方向)に延びる細長い開口である。
【0032】
第2ファン(11b)は、第2吹出口(13b)と第2吸込口(15b)との間に位置する。第2ファン(11b)は、枠部材(5)の外側の空気を第2吸込口(15b)から取り入れて、第2吹出口(13b)に送る。第2ファン(11b)から送られた空気は、第2吹出口(13b)を通過して下方に吹き出される。
【0033】
温度調節器は、第2ファン(11b)と第2吸込口(15b)との間に配置される。温度調節器は、例えば、室外ユニット(図示省略)に接続される熱交換器により構成される。温度調節器の温度を変化させることで、第2吹出口(13b)から吹き出す空気の温度を調節する。
【0034】
第2縁部(5b)は、前側部材及び後側部材を備える。前側部材は、第2縁部(5b)の下面における前方寄りの位置から第2ファン(11b)の下面に向かって延びる。後側部材は、第2縁部(5b)の下面における後方寄りの位置から第2ファン(11b)の上面に向かって延びる。前側部材と後側部材との間には通風路が構成される。通風路は、第2ファン(11b)と第2吹出口(13b)との間に形成される。通風路は、第2ファン(11b)から吹き出された空気を第2吹出口(13b)へ導く。
【0035】
第3縁部(5c)は、第3吹出口(13c)、第3吸込口(15c)、第3ファン(11c)、温度調節器、及び通風路を備える。第3縁部(5c)は、断面略四角形に形成される。
【0036】
第3吹出口(13c)は、第3縁部(5c)の右面に形成される。第3吹出口(13c)は、第3縁部(5c)の長手方向(上下方向)に延びる細長い開口である。第3縁部(5c)の右面には、第3吹出口(13c)に沿うようにフラップが設けられる。フラップの傾斜角度に応じて、第3吹出口(13c)からの吹出空気の向きが変わる。
【0037】
第3吸込口(15c)は、第3縁部(5c)の左面に形成される。第3吸込口(15c)は、第3縁部(5c)の長手方向(上下方向)に延びる細長い開口である。
【0038】
第3ファン(11c)は、第3吹出口(13c)と第3吸込口(15c)との間に位置する。第3ファン(11c)は、枠部材(5)の外側の空気を第3吸込口(15c)から取り入れて、第3吹出口(13c)に送る。第3ファン(11c)から送られた空気は、第3吹出口(13c)を通過して右方に吹き出される。
【0039】
温度調節器は、第3ファン(11c)と第3吸込口(15c)との間に配置される。温度調節器は、例えば、室外ユニット(図示省略)に接続される熱交換器により構成される。温度調節器の温度を変化させることで、第3吹出口(13c)から吹き出す空気の温度を調節する。
【0040】
第3縁部(5c)は、前側部材及び後側部材を備える。前側部材は、第3縁部(5c)の右面における前方寄りの位置から第3ファン(11c)の前面に向かって延びる。後側部材は、第3縁部(5c)の右面における後方寄りの位置から第3ファン(11c)の後面に向かって延びる。前側部材と後側部材との間には通風路が構成される。通風路は、第3ファン(11c)と第3吹出口(13c)との間に形成される。通風路は、第3ファン(11c)から吹き出された空気を第3吹出口(13c)へ導く。
【0041】
第4縁部(5d)は、第4吹出口(13d)、第4吸込口(15d)、第4ファン(11d)、温度調節器、及び通風路を備える。第4縁部(5d)は、断面略四角形に形成される。
【0042】
第4吹出口(13d)は、第4縁部(5d)の左面に形成される。第4吹出口(13d)は、第4縁部(5d)の長手方向(上下方向)に延びる細長い開口である。第4縁部(5d)の左面には、第4吹出口(13d)に沿うようにフラップが設けられる。フラップの傾斜角度に応じて、第4吹出口(13d)からの吹出空気の向きが変わる。
【0043】
第4吸込口(15d)は、第4縁部(5d)の右面に形成される。第4吸込口(15d)は、4縁部(5d)の長手方向(上下方向)に延びる細長い開口である。
【0044】
第4ファン(11d)は、第4吹出口(13d)と第4吸込口(15d)との間に位置する。第4ファン(11d)は、枠部材(5)の外側の空気を第4吸込口(15d)から取り入れて、第4吹出口(13d)に送る。第4ファン(11d)から送られた空気は、第4吹出口(13d)を通過して左方に吹き出される。
【0045】
温度調節器は、第4ファン(11d)と第4吸込口(15d)との間に配置される。温度調節器は、例えば、室外ユニット(図示省略)に接続される熱交換器により構成される。温度調節器の温度を変化させることで、第4吹出口(13d)から吹き出す空気の温度を調節する。
【0046】
第4縁部(5d)は、前側部材及び後側部材を備える。前側部材は、第4縁部(5d)の左面における前方寄りの位置から第4ファン(11d)の前面に向かって延びる。後側部材は、第3縁部(5c)の左面における後方寄りの位置から第4ファン(11d)の後面に向かって延びる。前側部材と後側部材との間には通風路が構成される。通風路は、第4ファン(11d)と第4吹出口(13d)との間に形成される。通風路は、第4ファン(11d)から吹き出された空気を第4吹出口(13d)へ導く。
【0047】
このように、各吹出口(13a,13b,13c,13d)は、それぞれの吹出方向が異なる。また、第1吹出口(13a)と第2吹出口(13b)とが向かい合い、第3吹出口(13c)と第4吹出口(13d)とが向かい合う。枠部材(5)は、各吹出口(13a,13b,13c,13d)が形成された4つの方向から互いに衝突するように空気を吹き出すことによって、パネル(3)の前方へ向かう気流を生じさせる。具体的に、枠部材(5)は、パネル(3)の中央側に向かってパネル(3)表面に沿うように空気を吹き出して、パネル(3)の中央部の前方で空気を衝突させる。
【0048】
−制御器−
制御器(7)は、プロセッサ(例えばマイクロコントローラ)と、プロセッサを動作させるためのソフトウェアを格納するメモリディバイス(例えば半導体メモリ)とを備える。また、メモリディバイスには、制御器(7)の制御動作に必要なデータなども格納される。
【0049】
制御器(7)は、各ファン(11a,11b,11c,11d)の回転速度を調節することで、各吹出口(13a,13b,13c,13d)から吹き出される空気の流量及び流速を調節する。具体的に、制御器(7)は、それぞれの吹出口(13a,13b,13c,13d)から吹き出される空気の流量の合計が一定に保たれるように、それぞれの方向から吹き出される空気の流量を調節可能である。制御器(7)は、各吹出口(13a,13b,13c,13d)から吹き出される空気の流量及び流速を調節することによって、それぞれの吹出空気が衝突することによって生じる気流の方向を変えることができる。また、制御器(7)は、1つ又は複数の吹出口(13a,13b,13c,13d)から吹き出される空気の流量がゼロになるようにファン(11a,11b,11c,11d)の回転速度を調節してもよい。
【0050】
図3及び
図4は、本実施形態の送風装置(1)から流れる気流(F)のシミュレーション結果を示す。
【0051】
図3では、制御器(7)は、各吹出口(13a,13b,13c,13d)から吹き出される空気の流量及び流速が等しくなるように調節している。この場合、気流(F)は、パネル(3)の中央部の前方からさらに前方に向かってほぼ真っ直ぐ流れる。
【0052】
一方、制御器(7)は、気流を向けたい方向とは逆側に位置する吹出口からの吹出空気の流量が残りの吹出口から吹出空気の流量よりも相対的に多くなり、且つ流速が残りの吹出口の流速よりも相対的に速くなるように各ファン(11a,11b,11c,11d)の回転速度を個別に調節する。また、制御器(7)は、各吹出口(13a,13b,13c,13d)から吹き出される空気の流量の合計が一定に保たれるように、各ファン(11a,11b,11c,11d)の回転速度を調節する。
【0053】
例えば、気流を下向きにしたいとき、制御器(7)は、第2ファン(11b)の回転速度を上げ、第1ファン(11a)、第3ファン(11c)及び第4ファン(11d)の回転速度を下げる。そうすることで、第2吹出口(13b)からの吹出空気の流量が、第1吹出口(13a)、第3吹出口(13c)及び第4吹出口(13d)からの吹出空気の流量よりも相対的に多くなり、流速が、第1吹出口(13a)、第3吹出口(13c)及び第4吹出口(13d)からの吹出空気の流速よりも相対的に速くなる。
【0054】
また、例えば、気流を右向きにしたいとき、制御器(7)は、第3ファン(11c)の回転速度を上げ、第1ファン(11a)、第2ファン(11b)及び第4ファン(11d)の回転速度を下げる。そうすることで、第3吹出口(13c)からの吹出空気の流量が、第1吹出口(13a)、第2吹出口(13b)及び第4吹出口(13d)からの吹出空気の流量よりも相対的に多くなり、流速が、第1吹出口(13a)、第2吹出口(13b)及び第4吹出口(13d)からの吹出空気の流速よりも相対的に速くなる。
【0055】
また、例えば、気流を左斜め上向きにしたいとき、制御器(7)は、第1ファン(11a)及び第4ファン(11d)の回転速度を上げ、第2ファン(11b)及び第3ファン(11c)の回転速度を下げる。そうすることで、第1吹出口(13a)及び第4吹出口(13d)からの吹出空気の流量が、第2吹出口(13b)及び第3吹出口(13c)からの吹出空気の流量よりも相対的に多くなり、流速が、第2吹出口(13b)及び第3吹出口(13c)からの吹出空気の流速よりも相対的に速くなる。
【0056】
図4に示すシミュレーションでは、第4吹出口(13d)からの吹出空気は、流量が残りの吹出口(13a,13b,13c)からの吹出空気の流量より多く、流速が残りの吹出口(13a,13b,13c)からの流速よりも相対的に速い。この場合、気流(F)は、パネル(3)の中央部の前方から第4吹出口(13d)の反対側(
図4中左側)寄りに向かって流れる。
【0057】
制御器(7)は、各縁部(5a,5b,5c,5d)に配置されたフラップ(16)の傾斜角度を調節することで、各吹出口(13a,13b,13c,13d)から吹き出される空気の向きを調節する。制御器(7)は、各吹出口(13a,13b,13c,13d)から吹き出される空気の向きを調節することによって、それぞれの吹出空気が衝突することによって生じる気流の方向を変えることができる。
【0058】
例えば、気流を下向きにしたいとき、制御器(7)は、第2吹出口(13b)から前方寄りに空気が吹き出るように、第2縁部(5b)のフラップの傾斜角度を調節する。
【0059】
また、例えば、気流を右向きにしたいとき、制御器(7)は、第3吹出口(13c)から前方寄りに空気が吹き出るように、第3縁部(5c)のフラップの傾斜角度を調節する。
【0060】
また、例えば、気流を左斜め上向きにしたいとき、制御器(7)は、第1吹出口(13a)及び第4吹出口(13d)から前方寄りに空気が吹き出るように、第1縁部(5a)及び第4縁部(5d)のフラップの傾斜角度を調節する。
【0061】
制御器(7)は、各ファン(11a,11b,11c,11d)の回転速度の調節と各フラップ(16)の傾斜角度の調節とを組み合わせて、それぞれの吹出空気が衝突することによって生じる気流の方向を変えてもよい。また、各ファン(11a,11b,11c,11d)の回転速度の調節のみでそれぞれの吹出空気が衝突することによって生じる気流の方向を変えてもよく、各フラップ(16)の傾斜角度の調節のみでそれぞれの吹出空気が衝突することによって生じる気流の方向を変えてもよい。
【0062】
−実施形態1の効果−
本実施形態の送風装置(1)は、パネル(3)と、パネル(3)を囲うように配置され且つ空気の吹出口(13a,13b,13c,13d)が形成された枠部材(5)と、吹出口(13a,13b,13c,13d)へ空気を送るファン(11a,11b,11c,11d)とを備える送風装置(1)であって、枠部材(5)は、複数の方向から互いに衝突するように空気を吹き出すことによって、パネル(3)の前方へ向かう気流を生じさせ、気流の方向が変わるように、吹出口(13a,13b,13c,13d)から吹き出される空気の流量を調節する制御器(7)を備える。
【0063】
本実施形態によれば、吹出空気が衝突して発生する気流の方向を調節することができる。したがって、パネル(3)の表示に合わせて気流の方向を変更することができる。例えば、パネル(3)が外の風景を表示する場合には、送風装置(1)は、様々な方向に送風することで、自然の風に近い送風を行うことができる。また、パネル(3)が動画を表示する場合には、送風装置(1)は、動画に合わせて送風の向きを変えて、臨場感を与えることができる。
【0064】
また、本実施形態の送風装置(1)は、制御器(7)は、吹出口(13a,13b,13c,13d)から吹き出される空気の流量の合計が一定に保たれるように、それぞれの方向から吹き出される空気の流量を調節可能である。
【0065】
本実施形態によれば、パネル(3)の前方に向かう空気の流量を変化させずに、気流の方向を調節することができる。このため、再現できる風の種類を増やすことができる。したがって、パネル(3)の表示に合った送風を行うことができる。
【0066】
また、本実施形態の送風装置(1)は、吹出口(13a,13b,13c,13d)は、複数の方向にそれぞれ配置され、ファン(11a,11b,11c,11d)は、各吹出口(13a,13b,13c,13d)に対応するように1つずつ配置され、制御器(7)は、各ファン(11a,11b,11c,11d)の回転速度を調節する。
【0067】
本実施形態によれば、ファン(11a,11b,11c,11d)の回転数を調節することで、気流の方向を調節することができる。このため、気流の方向を調節するための部品の点数を抑えることができる。したがって、送風装置(1)をコンパクトにすることができる。
【0068】
−実施形態1の変形例1−
本変形例では、
図5に示すように、パネル(3)は円形に形成されている。
【0069】
枠部材(5)は、パネル(3)を囲うように配置される。すなわち、枠部材(5)は、パネル(3)に対応した円形に構成される。枠部材(5)は、内周面に、6つの空気の吹出口(13a,13b,13c,13d,13e,13f)を備えている。各吹出口(13a,13b,13c,13d,13e,13f)は、枠部材(5)内において、パネル(3)の外周に沿うように略等間隔に形成されている。各吹出口(13a,13b,13c,13d,13e,13f)にはファン(11a,11b,11c,11d,11e,11f)が1つずつ配置される。すなわち、ファン(11a,11b,11c,11d,11e,11f)は6つ配置されている。
【0070】
本変形例によれば、吹出口(13a,13b,13c,13d,13e,13f)は、湾曲状に形成される。このため、1つの吹出口(13a,13b,13c,13d,13e,13f)によって多数の方向から空気を吹き出すことができる。
【0071】
−実施形態1の変形例2−
本変形例では、
図6に示すように、パネル(3)は三角形に形成されている。
【0072】
枠部材(5)は、パネル(3)を囲うように配置される。すなわち、枠部材(5)は、パネル(3)に対応した三角形に構成される。枠部材(5)は、第1縁部(5a)、第2縁部(5b)、及び第3縁部(5c)を備えている。各縁部(5a,5b,5c)は、内部にファン(11a,11b,11c)を備えている。また、各縁部(5a,5b,5c)は、内周面に吹出口(13a,13b,13c)を備えている。
【0073】
−実施形態1の変形例3−
本変形例では、
図7に示すように、パネル(3)は六角形に形成される。
【0074】
枠部材(5)は、パネル(3)を囲うように配置される。すなわち、枠部材(5)は、パネル(3)に対応した六角形に構成される。枠部材(5)は、第1縁部(5a)、第2縁部(5b)、第3縁部(5c)、第4縁部(5d)、第5縁部(5e)及び第6縁部(5f)を備える。各縁部(5a,5b,5c,5d,5e,5f)は、内部にファン(11a,11b,11c,11d,11e,11f)を備える。また、各縁部(5a,5b,5c,5d,5e,5f)は、内周面に吹出口(13a,13b,13c,13d,13e,13f)を備える。
【0075】
《実施形態2》
実施形態2について説明する。ここでは、本実施形態の送風装置(1)について、
図8及び
図9を参照しながら実施形態1の送風装置(1)と異なる点を説明する。
【0076】
−枠部材−
枠部材(5)は、第1縁部(5a)、第2縁部(5b)、第3縁部(5c)、第4縁部(5d)、ベース部(36)、台座部(37)、ファン(30)、温度調節器(17)及び制御器(7)を備える。
【0077】
ベース部(36)は、枠部材(5)のうちパネル(3)の後方(
図9中右側)部を構成する。ベース部(36)は、中空に形成される。ベース部(36)の内部は、仕切板(38)により前後に仕切られる。仕切板(38)の中央には孔(38a)が形成される。孔(38a)の後方には、温度調節器(17)が配置される。孔(38a)の前方には、ファン(30)が配置される。ベース部(36)の外側面における仕切板(38)の後方には、吸込口(15a,15b,15c,15d)が形成される。
【0078】
台座部(37)は、ベース部(36)の前端に設けられる。台座部(37)は、パネル(3)の背面を覆うように配置された平板状の部材である。台座部(37)は、送風装置(1)の前方に面する。台座部(37)には、パネル(3)が取り付けられる。
【0079】
ファン(30)は、本実施形態では、例えばターボファンである。ファン(30)は、回転軸方向から吸い込んだ空気を周方向へ吹き出す。ファン(30)は、孔(38a)の前方に1つ配置される。ファン(30)は、各吸込口(15a,15b,15c,15d)から取り入れた空気を各吹出口(13a,13b,13c,13d)に送る。
【0080】
温度調節器(17)は、ファン(30)の後方に1つ配置される。各吸込口(15a,15b,15c,15d)は、温度調節器(17)の周囲に形成される。
【0081】
第1縁部(5a)は、ベース部(36)の下端から前方に向かって延びる。第1縁部(5a)は、パネル(3)の下側の長辺に沿って設けられる。第1縁部(5a)は、パネル(3)の長辺の全長に亘って設けられる。第1縁部(5a)の前端部(39a)は上方に向かって延びるように形成される。第1縁部(5a)は、第1吹出口(13a)、第1通風路(35a)、及び第1ダンパ(32a)を備える。
【0082】
第1吹出口(13a)は、第1縁部(5a)の上面における前端部(39a)と台座部(37)との間に、左右方向に沿って複数形成される。第1吹出口(13a)は、ファン(30)から送られた空気を上方に吹き出す。
【0083】
第1通風路(35a)は、第1縁部(5a)の内部空間によって構成される。第1通風路(35a)における第1吹出口(13a)の後側には、第1ダンパ(32a)が配置される。第1ダンパ(32a)は、開度可変の流量調節用のダンパである。第1通風路(35a)は、ファン(30)から送られた空気を第1吹出口(13a)へ導く。
【0084】
第2縁部(5b)は、ベース部(36)の上端から前方に向かって延びる。第2縁部(5b)は、パネル(3)の上側の長辺に沿って設けられる。第2縁部(5b)は、パネル(3)の長辺の全長に亘って設けられる。第2縁部(5b)の前端部(39b)は下方に向かって延びるように形成される。第2縁部(5b)は、第2吹出口(13b)、第2通風路(35b)、及び第2ダンパ(32b)を備える。
【0085】
第2吹出口(13b)は、第2縁部(5b)の下面における前端部(39b)と台座部(37)との間に、左右方向に沿って複数形成される。第2吹出口(13b)は、ファン(30)から送られた空気を下方に吹き出す。
【0086】
第2通風路(35b)は、第2縁部(5b)の内部空間によって構成される。第2通風路(35b)における第2吹出口(13b)の後側には、第2ダンパ(32b)が配置される。第2ダンパ(32b)は、開度可変の流量調節用のダンパである。第2通風路(35b)は、ファン(30)から送られた空気を第2吹出口(13b)へ導く。
【0087】
第3縁部(5c)及び第4縁部(5d)の内部構造については、図示は省略するが、第1縁部(5a)及び第2縁部(5b)の内部構造と同様である。
【0088】
第3縁部(5c)は、ベース部(36)の左端から前方に向かって延びる。第3縁部(5c)は、パネル(3)の左側の短辺に沿って設けられる。第3縁部(5c)は、パネル(3)の短辺の全長に亘って設けられる。第3縁部(5c)の前端部は右方に向かって延びるように形成される。第3縁部(5c)は、第3吹出口(13c)、第3通風路、及び第3ダンパを備える。
【0089】
第3吹出口(13c)は、第3縁部(5c)の右面における前端部と台座部(37)との間に、上下方向に沿って複数形成される。第3吹出口(13c)は、ファン(30)から送られた空気を右方に吹き出す。
【0090】
第3通風路は、第3縁部(5c)の内部空間によって構成される。第3通風路における第3吹出口(13c)の後側には、第3ダンパが配置される。第3ダンパは、開度可変の流量調節用のダンパである。第3通風路は、ファン(30)から送られた空気を第3吹出口(13c)へ導く。
【0091】
第4縁部(5d)は、ベース部(36)の右端から前方に向かって延びる。第4縁部(5d)は、パネル(3)の右側の短辺に沿って設けられる。第4縁部(5d)は、パネル(3)の短辺の全長に亘って設けられる。第4縁部(5d)の前端部は左方に向かって延びるように形成される。第4縁部(5d)は、第4吹出口(13d)、第4通風路、及び第4ダンパを備える。
【0092】
第4吹出口(13d)は、第4縁部(5d)の左面における前端部と台座部(37)との間に、上下方向に沿って複数形成される。第4吹出口(13d)は、ファン(30)から送られた空気を左方に吹き出す。
【0093】
第4通風路は、第4縁部(5d)の内部空間によって構成される。第4通風路における第4吹出口(13d)の後側には、第4ダンパが配置される。第4ダンパは、開度可変の流量調節用のダンパである。第4通風路は、ファン(30)から送られた空気を第4吹出口(13d)へ導く。
【0094】
このように、通風路(35a,35b)は、各吹出口(13a,13b,13c,13d)に対応するように複数配置される。ファン(30)の吹出空気は、各通風路(35a,35b)を通って複数の吹出口(13a,13b,13c,13d)に分配される。
【0095】
−制御器−
制御器(7)は、各ダンパの開度を調節して各吹出口(13a,13b,13c,13d)から吹き出される空気の流量及び流速を調節する。
【0096】
−実施形態2の効果−
本実施形態の送風装置(1)は、吹出口(13a,13b,13c,13d)は、複数の方向にそれぞれ配置され、枠部材(5)は、各吹出口(13a,13b,13c,13d)に対応するように複数配置され且つファン(30)から各吹出口(13a,13b,13c,13d)に送られる空気が通る通風路(35a,35b)を備え、通風路(35a,35b)には、開度可変の流量調節用のダンパ(32a,32b)が配置され、制御器(7)は、ダンパ(32a,32b)の開度を調節して吹出口(13a,13b,13c,13d)から吹き出される空気の流量及び流速を調節する。
【0097】
本実施形態によれば、ファン(30)を吹出口(13a,13b,13c,13d)から離れた位置に配置する場合でも、各吹出口(13a,13b,13c,13d)から吹き出される空気の流量及び流速を調節することができる。
【0098】
−実施形態2の変形例1−
本変形例では、
図10に示すように、パネル(3)は円形に形成されている。
【0099】
枠部材(5)は、パネル(3)を囲うように配置される。すなわち、枠部材(5)は、パネル(3)に対応した円形に構成される。枠部材(5)は、内周面の全周に、複数の空気の吹出口(13g)を断続的に備えている。
【0100】
−実施形態2の変形例2−
本変形例では、
図11に示すように、枠部材(5)の前端部(39a,39b)は、パネル(3)の中央側に向かってパネル(3)の斜め前方へ向けて延びるように形成されている。各吹出口(13a,13b,13c,13d)は、枠部材(5)の前端に形成されている。このため、枠部材(5)は、パネル(3)の中央側に向かってパネル(3)の斜め前方へ向けて空気を吹き出すことで、パネル(3)の中央部の前方で空気を衝突させる。
【0101】
《その他の実施形態》
上記の各実施形態の送風装置(1)において、例えば、吹出口を2つ設けて、2方向から互いに衝突するように空気を吹き出すようにしてもよい。
【0102】
上記の各実施形態の送風装置(1)において、制御器(7)は、各吹出口(13a,13b,13c,13d,13e,13f,13g)から吹き出される空気の流量の合計が一定に保たれないように、各吹出口(13a,13b,13c,13d,13e,13f,13g)からの吹出空気の流量を調節してもよい。例えば、1つ又は複数の吹出口から吹き出される空気の流量を増やし、残りの吹出口から吹き出される空気の流量を変更しなくてもよい。また、例えば、1つ又は複数の吹出口から吹き出される空気の流量を減らし、残りの吹出口から吹き出される空気の流量を変更しなくてもよい。
【0103】
上記の各実施形態の送風装置(1)において、制御器(7)が吹出空気の流量、流速及び向きのうち1つを調節することにより、吹出空気が衝突することによって生じる気流の方向を変えてもよい。すなわち、吹出口(13a,13b,13c,13d,13e,13f,13g)から吹き出される空気の流速、流量、向きのうち少なくとも1つを調節するものであればよい。
【0104】
上記の各実施形態の送風装置(1)において、温度調節器(17)として、室外ユニットに接続される熱交換器を挙げたが、これに限定されない、温度調節器(17)として、ヒータやペルチェ素子等を用いてもよい。
【0105】
また、上記の各実施形態の送風装置(1)においてファン(11a,11b,11c,11d,11e,11f,30)として、プロペラファンやシロッコファン、斜流ファンなどを用いてもよい。
【0106】
また、上記の各実施形態の送風装置(1)において、内部に加湿器やアロマディフューザを配置してもよい。
【0107】
また、上記の各実施形態の送風装置(1)において、一部が室内に壁に埋め込まれるようにしてもよい。
【0108】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態および変形例は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。